JP2000096184A - 表面性状に優れたばね用線材 - Google Patents

表面性状に優れたばね用線材

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JP2000096184A
JP2000096184A JP10344569A JP34456998A JP2000096184A JP 2000096184 A JP2000096184 A JP 2000096184A JP 10344569 A JP10344569 A JP 10344569A JP 34456998 A JP34456998 A JP 34456998A JP 2000096184 A JP2000096184 A JP 2000096184A
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Takeshi Kuroda
武司 黒田
Nobuhiko Ibaraki
信彦 茨木
Hiroshi Momozaki
寛 百崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 SV処理前にEC検査を行う表面品質管理シ
ステムを導入する場合は勿論のこと、該システムを導入
しない場合においても適用可能な表面性状に優れたばね
用線材を提供する。 【解決手段】 線材の表層疵検査部における円弧長1.
5mmの円周方向線と交差する各疵について、下記定義
で求められる長手方向疵の疵深さ(Di)及び疵数(N
i)が下式を満足すると共に、該線材の表層疵検査部に
存在する脱炭層の最大深さが150μm以下であるとこ
ろに要旨を有するものである。 【数1】 Di:各疵の夫々の深さは、該長手疵の深さが最大とな
る深さ点をa1とし、a1点を通る半径方向直線が上記
表面円周と交差する点をa2としたときのa1−a2間
の距離[μm単位の1の位で四捨五入した数値(単位:
10μm)] Ni:疵深さがDiである疵の数

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面性状に優れた
ばね用線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジン、クラッチ、燃料噴射
装置、懸架装置等に用いられるSi−Cr系等のばね用
線材には高い疲労特性が要求される為、疲労特性に悪影
響を及ぼす表面疵や脱炭層等を除去する必要がある。特
に、圧延線材表層部の長手方向疵は比較的深く、疲労特
性を低下させることがある為、この長手方向疵を除去す
ることが極めて重要である。そこで、圧延線材に生じた
表層部の欠陥(疵・脱炭層)を除去する目的で切削(皮
削り,SV)や研削(CG)が一般に行われており、通
常、表層より約0.15mmを削っている。
【0003】一方、線材表面欠陥に対するユーザーサイ
ドの要求特性は近年益々厳しくなっており、SV処理の
前に、インラインで渦流探傷[EC(Eddy current fla
w detection )探傷]試験を実施し、圧延線材表面の長
手方向疵等を線材全長にわたって検査することにより、
SV処理後の表面欠陥を予測して管理するという方法が
導入されている。
【0004】この管理方法によれば、EC検査によって
「SV処理後に疵が残存する」と認定された線材は不良
材(EC不良材)として処理され、歩留まりが低下する
のみならず、線材の表面欠陥を選別する為に多くの労力
・時間等を費やすことになり、生産性も低下するという
問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであり、SV処理前にEC検査を行
う表面品質管理システムを導入する場合は勿論のこと、
該システムを導入しない場合においても適用可能な、表
面性状に優れたばね用線材を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の表面性状に優れたばね用線材は、線材の表層疵検
査部における円弧長1.5mmの円周方向線と交差する
各疵について、下記定義で求められる長手方向疵の疵深
さ(Di)及び疵数(Ni)が下式[以下、式(1)と
呼ぶ]を満足するところに要旨を有するものである。
【0007】
【数3】
【0008】Di:各疵の夫々の深さは、該長手疵の深
さが最大となる深さ点をa1とし、a1点を通る半径方
向直線が上記表面円周と交差する点をa2としたときの
a1−a2間の距離[μm単位の1の位で四捨五入した
数値(単位:10μm)] Ni:疵深さがDiである疵の数
【0009】上記要件を満足するばね用線材は、特に長
手方向疵が著しく軽減されたものである。また、上記要
件に加え、更に「線材の表層疵検査部に存在する脱炭層
の最大深さが150μm以下である」という要件を満足
するものは、長手方向疵のみならず脱炭層も軽減された
表面性状に極めて優れたばね用線材として有用である。
【0010】
【発明の実施の形態】前述した通り、線材表面に現れた
欠陥(疵,脱炭層)は疲労特性の低下をもたらす為、ワ
イヤーメーカーは厳しい表面品質管理を余儀なくされて
おり、ワイヤー製造工程において、SV等を採用して表
面を皮削りしたり、EC探傷機を導入して全長にわたっ
て表面疵を検査する等の方法を実施している。
【0011】この様な表面品質管理の一例として、SV
処理の前にEC検査を行い、EC検査の結果により「不
良品」と「良品」を選別する方法がある(以下、SV処
理の前にEC検査を行う表面品質管理システムを「EC
−SV管理システム」と呼ぶ場合がある)。
【0012】ここで、上記EC検査は、交流を流したコ
イルを線材に近接させたとき線材に渦電流が発生し、表
面欠陥(疵)が存在するとその渦電流にみだれが起こ
り、コイルに誘起される電圧や電流が変化することを利
用して疵(主に長手疵)を検出する渦電流試験方法のひ
とつであり、疵深さの深いものをセンサ(プローブコイ
ル)が探傷すると考えられていた。
【0013】しかしながら、本発明者らが検討したとこ
ろ、EC検査では、「疵深さの深いもの」のみならず、
「疵深さが浅いものであっても疵の数の多いもの」も検
出することが分かった。このうち前者(=疵深さの深い
もの)は、疲労特性を著しく低下させる為、真に「不良
品」と判定されるべきものであるが、後者(=疵深さが
浅く疵の数の多いもの)は、疵深さは深くなく(従っ
て、その程度の疵深さであればSVにより除去し得
る)、本来ならば「良品」と判定されるべきところ、E
C検査では「不良品」として却下されるものである。
【0014】この様にEC出力値には、疵の深さのみな
らず、疵の数も影響することが判明したので、これら
「疵の深さ」及び「疵の数」を指標にし、線材の表面欠
陥を検出し得る方法について鋭意検討した。その結果、
上式(1)の関係を満足する線材は、SVの実施により
長手方向疵が制御された表面性状に優れたものであり、
線材の表面品質管理を行ううえで重要なパラメーターと
なることを見出した。
【0015】更に、本発明者らがEC出力レベルと線材
表層部に存在する表面欠陥の関係について検討を重ねた
ところ、EC出力レベルには、上述の長手方向疵のみな
らず、脱炭層の最大深さも大きな影響を及ぼすことを見
出した。即ち、長手方向疵のみならず脱炭層の最大深さ
をも制御することによって始めてEC出力レベルを合格
基準値の範囲内に抑えることが可能であり、EC検査に
よる基準を確実にクリアできることを見出した。
【0016】以上の知見を基に、長手方向疵も脱炭層も
軽減された表面性状に優れたばね用線材を得る為には、
上式(1)の関係を満足すると共に、脱炭層の最大深さ
を150μm以下に制御することが有効であることを見
出し、本発明を完成したのである。従って、これらの要
件を満足する線材は、上記EC−SV管理システムにお
いても、EC検査により「不良品」と判定されず基準値
をクリアできること、換言すれば、本発明で特定する上
記要件は、EC検査結果を正確に予測し得る指標となり
得ること;更に、該EC−SVシステムの導入の有無に
かかわらず本発明で特定する上記要件を満足する線材
は、通常のSV処理(表層より150μmを削る)を必
須的に行う限り、全て「長手疵も脱炭層もなく、表面性
状に優れた線材」となり得る点で、極めて有用である。
【0017】この様に表面欠陥のない表面性状に優れた
ばね用線材を得る為には、従来のEC−SV管理システ
ムによれば、長手疵の深さのみを低減すれば良いと考え
られていたところ、該疵の深さのみならず疵の数も制御
することが必要であること;更にEC出力レベルには、
これらの長手疵と共に脱炭層の最大深さも影響している
という知見は本発明者らによって始めて見出されたもの
であり、この点に本発明の技術的意義が存在する。
【0018】まず、本発明において、上式(1)を特定
した理由について説明する。この式(1)は、長手疵の
ない表面性状に優れたばね用線材を得る為の指標となる
ものであり、該式の関係を満足する線材であれば、15
0μmのSV処理を行う限り、全て「長手疵のない表面
性状に優れた線材」と判定されるものである。尚、この
式は、そのまま上記のEC−SV管理システムにおける
EC出力レベルに対応する様設定されている(下式を参
照)。
【0019】
【数4】
【0020】即ち、式(1)の計算値がそのままEC検
査におけるEC出力高さを反映する様、100μm(D
i=10)の疵が1本(Ni=1)存在(該式による計
算値:100)したとき、EC出力レンジの50%とな
る様に設定し、その時のEC出力高さを100とした。
【0021】ここで、本発明における「疵」とは、疵部
の存在する線材を横断面で観察した場合、該線材表面に
おける接線と同一方向で且つその幅が最も広い部分(図
1中のWに相当)が1μm以上であるものを意味する。
かかる要件を満足する疵について、疵の深さ(Di)及
び疵の数(Ni)を前述の定義に従って測定する。これ
らの定義における理解を一層深める為に、図2(線材の
横断面図)を用いて説明する。まず、疵の深さ(Di)
は、図2において疵の深さが最大となる深さ点をa1、
該a1点を半径方向直線が表面円周と交差する点をa2
としたときのa1−a2間の距離(図中、Lに相当)を
意味する。また、疵の数(Ni)は、円弧長1.5mm
(図中、α部に相当)の範囲に存在する上記疵を対象と
し、同じ疵深さの疵の本数をNiとする。具体的には図
2の場合、上記α部には疵A(疵深さ50μmのものが
3本)及び疵B(疵深さ40μmのものが1本)が存在
しているが、上記定義に従えば、疵AではDi=5,N
i=3;疵BではDi=4,Ni=1となる。これらを
上式(1)に代入すれば、
【0022】
【数5】
【0023】となり、かかる場合は本発明の要件を満足
する表面性状に優れたばね用線材となる。
【0024】なお、上式(1)において、測定(検査)
範囲を円弧長1.5mmの範囲に特定したのは、EC
検査では、EC検出器の有効探傷幅が小さい程、疵の検
出精度が高くなることから、探傷幅は小さい方が良いこ
と、長手方向疵の検査で一般に用いられている回転プ
ローブ型探傷器の探傷幅は、最小で1.5mmであるこ
と、等を考慮したものである。次に、上式(1)の上限
値を158未満に限定した理由について説明する。
【0025】一般にSVの削り代は表面より150μm
であり[ばね論文集(1977年第22号P53)及び
第38回伸線分科会(H6年11月11日)等]、深さ
が150μm未満の表面疵であれば、SVにより除去す
ることが可能である。上式(1)によれば、150μm
(Di=15)の疵が1本(Ni=1)存在したとき、
該式による計算値は158(従って、EC出力高さも1
58となる)となり、そのときのEC出力レンジは85
%となる様に設定されている。上記EC−SV管理シス
テムによれば、EC検査の結果、EC出力レンジが85
%以上のものは「不良品」と判定されるので、この85
%の数値が、EC検査における合否を決定する基準とな
る。従って、上式の計算値が158以上と本発明範囲を
外れる線材は、EC検査においても「不良品」と判定さ
れ、一方、上式の計算値が158未満と本発明範囲を満
足し、且つ脱炭層の最大深さが150μm未満である
(脱炭層については以下に詳述する)線材は、EC検査
によっても「良品」と判定され、SVによって表面疵を
完全に除去することができる。
【0026】尚、式(1)の上限値として好ましいのは
150である。上述の如く「158」という数値は、S
Vの削り代を150μmとして設定されたものである
が、削り代どおりに厳密に削り取ることは困難であり、
多少のバラツキが生じてしまうことを考慮すれば、上限
値を150とすることが推奨される。
【0027】もちろん、SVの削り代が変化すれば式
(1)の上限値は変化することは言うまでもなく、該削
り代に応じて上式(1)の上限値を設定し直すことも可
能である。
【0028】尚、EC検査では20μm未満の疵はノイ
ズに含まれてしまうため、疵深さの最小値は20μmで
ある。従って、深さが20μmの疵(Di=2)が1本
(Ni=1)存在するときは、式(1)の値は計算上7
となるが、この様な線材をEC検査してもEC出力レベ
ルは非常に低く、ノイズと判別不可能となる。
【0029】ここで、疵深さは、線材の表層疵検査部に
おける円弧長1.5mmの円周方向線と交差する各疵の
疵深さ(Di)を上記定義に従い、光学顕微鏡で観察す
ることにより測定する。一般に、疵の形状によってEC
出力は変化し、例えば放電加工の様な人工疵と自然疵と
では、疵深さが同じであっても、EC出力に及ぼす影響
は相違することが知られている。しかしながら、本発明
で対象とする様な工業的に発生する疵の場合はEC出力
に及ぼす影響は極めて少ない為、疵の形状を考慮する必
要は無く、疵の深さ及び疵の数によってのみEC出力は
決定されることから、本発明では、上記方法で観察され
る全ての疵を対象とする。具体的には、肉眼若しくは顕
微鏡で長手方向疵等の見られる部分につき、上記の要領
で疵深さを測定する。
【0030】一方、疲労寿命に悪影響を及ぼす表面欠陥
には、上記長手疵の他、脱炭層も挙げられる。EC検査
では被検材の電気伝導度や透磁率等の影響を受ける
(「鉄鋼製品の渦流探傷法」,平成2年11月発行,4
5頁,社団法人日本鉄鋼協会)が、脱炭部は非脱炭部に
比べ固溶C(炭素)が極端に少なく、電気伝導度も変化
するので、上記の長手疵と同様、脱炭層もEC出力に対
して影響を及ぼすことが分かった。
【0031】そこで、EC出力に及ぼす脱炭層の影響に
ついて鋭意検討した結果、脱炭現象は炭素の拡散反応で
あり、上記長手疵の場合とは異なり、脱炭深さがなだら
かに変化する為、EC出力に対しては脱炭層の最大深さ
のみが影響しており、この最大深さは、EC出力高さに
ほぼ相当することを見出した。
【0032】従って、脱炭層のみに関して言えば、脱炭
層の最大深さを150μm未満に制御すれば、SVによ
り該脱炭層を除去することができるので、EC検査によ
る「不良品」の発生を皆無にすることができる。
【0033】この脱炭層深さは、線材を横断面に切断し
た後、研磨・腐食してから光学顕微鏡で表層部を観察
し、上記疵深さの場合と同様にして脱炭層深さを測定し
た場合、その深さが最大となる深さを意味する。
【0034】この様に本発明では、「疵」と「脱炭層」
の両方を表面性状の指標としているが、EC検査によれ
ば、両者は、EC検査で検出される位相角が異なる為、
相互作用による影響はない。実際のところ、疵発生部分
と脱炭層部分をEC出力画面で比較すると、両者は波形
の向きが異なっており、明瞭に区別できることから、両
者のEC出力高さを比較し、該出力高さの高い方が、表
面性状に対し、より一層悪影響を及ぼすものであるとみ
なし、高い方のEC出力高さをもって該線材の「EC出
力高さ」としている。従って、EC検査によれば、長手
疵によるEC出力高さと脱炭によるEC出力高さのう
ち、いずれかが基準出力高さを超えたときには、EC検
査で「不良品」と判定されることになるが、本発明によ
れば、長手疵の欠陥は式(1)で判定され、脱炭層の欠
陥は最大深さで判定されることになり、いずれかの要件
を満足しないものはEC検査により不良品と判定される
ものとして却下されることになる。
【0035】この様に本発明によれば、線材表面の長手
疵を評価する指標として有用な上式(1)と脱炭層の最
大深さを測定することによって、EC−SV管理システ
ムにおけるEC検査結果を正確に予測することができる
ので、従来の如く、「疵の深さが150μm未満である
にもかかわらずEC検査では不良品と判定された」等の
不具合を回避することができ、上記管理システムに適し
た線材判別手段を提供することができた点で本発明は極
めて意義深いものである。もっとも本発明は、このEC
−SV管理システムに限定して適用されるものでは決し
てなく、SV等の表面手入れをするばね用線材の全てに
おいて適用することが可能であり、この限りにおいて、
本発明の要件を満足する線材は、いずれの表面品質管理
システムを導入したとしても全て「表面性状に優れたも
の」として判定されることになる。
【0036】上記要件を満足する本発明線材を得る為に
は、鋼片加熱時間をあまり長くせずに概ね4時間未満に
制御する;表面粗れの小さい圧延ミル(例えば、少なく
ともRmax150μm未満のもの)を使用する等の方
法が有効である。
【0037】本発明は、自動車のエンジン、クラッチ、
燃料噴射装置、懸架装置等の如く、高い疲労特性が要求
されるばね用線材であって、JIS規格のSWO−V,
SWOCV−V,SWOSC−V等に匹敵するか若しく
はそれ以上の強度レベルに調質されるばね用線材に適用
される。この様なばね用鋼の成分範囲としては、JIS
G4801ばね鋼鋼材に記載されているものが挙げら
れるが、引張強度、絞り、伸び等の機械的性質を良好に
発揮させる必要があることを考慮すれば、具体的には下
記の範囲内に制御することが推奨される。重量%で、
C:0.38〜0.85%、Si:0.25〜2.10
%,Mn:0.2〜1.0%,P<0.035%,S<
0.035%を含み、更に、Cr:0.65〜1.50
%,Mo:0.10〜0.50%,V:0.05〜0.
30%,Ni:0.2〜0.5%,Nb:0.02〜
0.06%,Ti:0.02〜0.09%,Cu:0.
10〜0.30%の少なくとも1種を合計で2.5%以
下含有する。
【0038】以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に
説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制
限されるものでは決してなく、前・後記の主旨に適合し
得る範囲で適切に変更して実施することも勿論可能であ
り、いずれも本発明の技術的範囲内に包含される。
【0039】
【実施例】表1に示す成分組成からなるSi−Cr系ば
ね用鋼(JIS規格SUP12)をφ8.0mmに圧延
し、線材を作製した。圧延の際には、圧延ミルの表面性
状、加熱炉におけるビレットの滞在時間等を変化させる
ことにより、線材表面に存在する長手疵及び脱炭量をコ
ントロールした。
【0040】この様にして圧延したサンプルを横断面に
切断し、埋め込み研磨(脱炭層を観察するときには、更
に腐食)した後、表層部を光学顕微鏡で観察することに
より、長手疵の分布と脱炭層の最大深さを夫々測定し
た。得られた結果を表2に示す。
【0041】一方、上記のサンプルについて、表3に示
す条件でEC検査を実施した。その結果を表4に示し、
併せて式(1)の計算値、脱炭層の最大深さ、および長
手疵の最大深さを同表に併記する。
【0042】尚、上記の顕微鏡観察及びEC検査を行っ
た後、上記サンプルを用いて引続き0.15mmの削り
代でSVを実施し、SV後のサンプル表面に存在する長
手疵及び脱炭層について調査した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】表の結果より以下の様に考察することがで
きる。まず、A1〜A5は、式(1)の計算値:158
未満を満たし、且つ脱炭層の最大深さも150μmと本
発明の要件を満足する実施例であるが、EC検査による
EC出力レベルは85%未満と、基準値をクリアするも
のであった。即ち、深さが150μmの疵が1条あるB
1の場合、EC出力値は85%となり、この出力値以上
の線材はEC検査によれば「不良品」とみなされるのに
対し、上記A1〜A5のEC出力レベルはいずれも85
%未満であるので「良品」と判定されるのである。尚、
A1のEC出力レベルはノイズと判別できない程低かっ
た。
【0048】また、上記サンプルについてSVを実施す
れば、線材表面に疵や脱炭層は一切認められなかった。
【0049】これに対し、B1〜B6は以下の点で本発
明の要件を満足しない比較例である。即ち、B1は前述
の通り疵の最大深さが150μmで、式(1)の計算値
を満足しない例;B2は疵の最大深さが180μmのた
め、式(1)の計算値を満足しない例;B3・B4は、
疵の最大深さは150μm未満であるものの疵数が多い
為、式(1)の計算値を満足しない例;B5は、疵の最
大深さは150μm未満であるが疵数が多い為式(1)
の計算値を満足せず、且つ脱炭層の最大深さが150μ
mを超える例;B6は、式(1)の計算値は満足する
が、脱炭層の最大深さが150μmを超える例である。
このうちB1〜B5は、長手疵の深さおよび数が式
(1)の計算値を満足しない為、EC出力レベルの合格
基準値である「85%未満」をクリアすることができ
ず、いずれも高くなっている。また、B6は、長手疵に
関しては式(1)の要件を満足するものの脱炭層の最大
深さが深い為、これがEC出力レベルに影響し、結果的
に「100%」という高出力レベルの値が得られた例で
ある。このうちB1,B3,B4については、長手疵の
深さが浅く、且つ脱炭層の最大深さも浅いため、SV処
理によってこれらの表面欠陥を除去することができる
が、B2では長手疵の深さが深く、またB5,B6では
脱炭層の最大深さが深い為、SV処理を実施しても表面
欠陥を除去することができなかった。
【0050】この様に、長手疵に関して式(1)の要件
を満足しないか、或いは脱炭層の最大深さが150μm
を超える為、本発明の要件を満足しないものは、EC出
力レベルの合格基準値である「85%未満」をクリアす
ることができず、EC検査により全て「不良材」と判定
されることが分かった。換言すれば、本発明の要件を満
足するものは、いずれもEC検査によって「良品」と判
定され、一方、本発明の要件を満足しないものは、いず
れもEC検査によって「不良品」と判定されることか
ら、EC検査をクリアする為の極めて有効な指標となり
得ることが分かった。また、本発明線材をSV処理した
ものは、線材表面に長手方向疵も脱炭層も全く見られ
ず、表面性状に極めて優れていることが分かった。
【0051】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているの
で、表面性状の良否を判定するEC検査の合格基準をク
リアする為の、極めて有効な指標となり得る。また、本
発明では、長手疵のみならず脱炭層も含めた表面欠陥を
表面性状のパラメーターとしている為、本発明の範囲内
であれば、SV処理によって該欠陥を除去することが可
能である。従って、本発明の要件を満足する線材は、1
50μmを削り取るSV処理を前提とする限り、上記の
EC−SV管理システムのみならず、いずれの表面品質
管理システムにおいても全て「表面性状に優れている」
と判定されることになり、表面性状に優れたばね用線材
を得る為の指標として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における疵の概念を説明するための概略
図である。
【図2】本発明で定義する疵深さ(Di)及び疵の数
(Ni)の概念を説明するための概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 百崎 寛 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神戸 製鋼所神戸製鉄所内 Fターム(参考) 3J059 AD04 BA01 BB01 BC02 BC19 EA08 GA02 GA07

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 線材の表層疵検査部における円弧長1.
    5mmの円周方向線と交差する各疵について、下記定義
    で求められる長手方向疵の疵深さ(Di)および疵数
    (Ni)が下式を満足することを特徴とする表面性状に
    優れたばね用線材。 【数1】 Di:各疵の夫々の深さは、該長手疵の深さが最大とな
    る深さ点をa1とし、a1点を通る半径方向直線が上記
    表面円周と交差する点をa2としたときのa1−a2間
    の距離[μm単位の1の位で四捨五入した数値(単位:
    10μm)] Ni:疵深さがDiである疵の数
  2. 【請求項2】 線材の表層疵検査部における円弧長1.
    5mmの円周方向線と交差する各疵について、下記定義
    で求められる長手方向疵の疵数(Ni)及び疵深さ(D
    i)が下式を満足すると共に、該線材の表層疵検査部に
    存在する脱炭層の最大深さが150μm以下であること
    を特徴とする表面性状に優れたばね用線材。 【数2】 Di:各疵の夫々の深さは、該長手疵の深さが最大とな
    る深さ点をa1とし、a1点を通る半径方向直線が上記
    表面円周と交差する点をa2としたときのa1−a2間
    の距離[μm単位の1の位で四捨五入した数値(単位:
    10μm)] Ni:疵深さがDiである疵の数
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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH06122920A (ja) * 1992-10-12 1994-05-06 Kobe Steel Ltd 高強度ばね用鋼材の製法
JPH07278747A (ja) * 1994-04-04 1995-10-24 Mitsubishi Steel Mfg Co Ltd 低脱炭性ばね用鋼
JPH0810826A (ja) * 1994-06-27 1996-01-16 Daido Steel Co Ltd 軸受用合金鋼冷間引抜加工線材の製造方法

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