JP2000096126A - アーク炉による冷鉄原料の溶解方法 - Google Patents

アーク炉による冷鉄原料の溶解方法

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JP2000096126A
JP2000096126A JP27096398A JP27096398A JP2000096126A JP 2000096126 A JP2000096126 A JP 2000096126A JP 27096398 A JP27096398 A JP 27096398A JP 27096398 A JP27096398 A JP 27096398A JP 2000096126 A JP2000096126 A JP 2000096126A
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furnace
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arc furnace
cold iron
scrap
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JP27096398A
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Hideaki Mizukami
秀昭 水上
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Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アーク炉で冷鉄原料を加熱・溶解するために
供給するエネルギーを当該冷鉄原料へ効率浴着熱させる
溶解方法を開発する。 【解決手段】 1ヒート分の冷鉄原料の全量又は一部を
アーク炉へ装入し、補助燃焼装置から酸素を供給して加
熱し、次いで通電して冷鉄原料を加熱し、溶解する。そ
の際、通電開始前の送酸量を3〜10Nm3 /t- 冷鉄
に制御する。かかる操業を1ヒートの全送酸量を25N
3 /t- 溶鋼以上で行なうヒートに採用する。更に、
炉体形状として、鉄源原料全量が溶解したときの炉内湯
面から炉内側壁上端までの高さLと、炉内径Dとの関係
がL/D=0.6〜1.4を満たすものを使用する。 【効果】 スクラップ予熱用の特別な装置、スクラップ
装入用の特別な機器を設けることなく、着熱効率が向上
し、操業性及びコスト低減に寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ア−ク炉による
金属原料の溶解および溶融金属の精錬、特に冷鉄原料の
製鋼精錬工程において、1装入チャンスに大量のスクラ
ップを装入することができるアーク炉を用いた操業にお
いて、冷鉄原料を溶解するために供給するエネルギーの
当該冷鉄原料への着熱効率を向上させる技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】金属原料の溶解および溶融金属の精錬等
に使用されるアーク炉へのスクラップ装入は、通常、ス
クラップバケットを用いることによって所謂バッチ装入
が行われている。ところが、スクラップの嵩密度が小さ
いために、ア−ク炉1チャ−ジの出湯に対して必要な量
のスクラップを1回の装入チャンスの装入作業によって
装入することは困難である。そこで、通常は最初の装入
チャンスの装入作業で装入されたスクラップがある程度
溶解して、炉内にスクラップを装入するための容積が形
成された後に第2回目の装入作業(追加装入作業)をす
ることが必要となっている。そのため、追加装入作業時
に炉蓋開閉を必要とし、生産性が低下し、また炉蓋開閉
時に炉内の熱が炉外に放散するという問題がある。そこ
で、溶解のスタ−ト後は炉蓋の開閉をしなくてもよいよ
うにするため、1チャ−ジの出湯に必要な量のスクラッ
プを全量、予め炉内に装入した後に、電気炉に通電を開
始してスクラップの加熱溶解を始めるという方法が、い
くつか提案されている。
【0003】例えば、実開平1−167594号公報に
は、溶解途中で金属スクラップを追加装入する際の炉内
熱エネルギー損失を抑制するために、初装入でスクラッ
プの全量を装入できる炉体形状を得ることとし、シルレ
ベル(スラグ排出口の上端面を指す)から炉体上端面ま
での高さHを、炉殻の内径Dの0.75倍以上とする、
即ち、H≧0.75Dとするアーク炉が開示されている
(以下、先行技術1という)。
【0004】また、特公平7−92337号公報には、
先行技術1と同様の目的で、炉殻高さHと炉底部におけ
る炉殻内径Dの比を0.9以上とする、即ちH/D≧
0.9とする直流アーク式のスクラップ溶解炉が開示さ
れている(以下、先行技術2という)。
【0005】更に、New Melting Tech
nologies(25th Advaced Tec
hnology Symposium,May,11−
14,1997,St.Petersburg,F
L.,USA)には、初装入でスクラップの全量を装入
できる直流炉2基を用い、1本の電極で交互にスクラッ
プを溶解する方式に炉(ツイン炉)を構成し、即ち、通
電溶解中の炉(「溶解炉」)とこれに対する他方の炉
(「待機炉」)から構成されたアーク炉設備において、
酸素バーナーや酸素/カーボンランスを使用し、「待機
炉」でスクラップの予熱を行ない、一方、「溶解炉」で
の溶解が終了して出鋼した後に電極を待機炉側に移動し
て溶解を開始するという方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した先行技術1及
び2においては、初装入のみで1ヒート分のスクラップ
全量を収容できる炉形状の提案がなされており、従って
追加装入時の炉蓋の開閉は必要なく、これによる熱損失
は低減される。また、炉内容積が増大し、スクラップの
全量が溶解スタート時から炉内に収容されているので、
操業中に発生する排ガス、例えばコークス等の補助熱源
と酸素吹き込みとにより発生したCOガスや、それが炉
内への侵入空気等により二次燃焼したCO2 ガスからの
スクラップへの着熱も効率的になる。しかしながら、こ
の効果的なアーク炉の具体的な操業方法については何ら
提示されていない。
【0007】また、先行技術3には、待機中に酸素バー
ナーや酸素/カーボンランスを用いた補助燃料の燃焼に
より、スクラップを予熱し、効率よくスクラップを予熱
・溶解する方法が提案されている。しかしながら、その
具体的な操業方法については何ら提示されていない。
【0008】従って、この発明の課題は、上述したよう
な初装入のみで1ヒート分のスクラップ全量を収容でき
るアーク炉を用いてその利点を生かし、且つ、炉内への
補助燃料及び酸素の吹込みにより発生したガスの有する
顕熱等のエネルギーを、炉内に装入されたスクラップへ
効果的に着熱させる方法を開発することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
課題を解決したアーク炉による冷鉄原料の溶解方法を開
発すべく鋭意研究を重ねた。即ち、冷鉄原料の加熱を効
率よく行なうために、冷鉄原料をその比表面積ができる
だけ大きい状態において、しかも冷鉄原料と加熱用ガス
との間の温度差ができるだけ大きい時期に加熱操作を実
施する方法を、アーク炉操業工程に応用することが有効
であるとの着想のもとに、実機試験を重ねた。その結
果、従来、アーク炉に通電開始後のスクラップ溶解期に
実施していた炉内への補助燃料吹込みによるスクラップ
の加熱操作を見直した。即ち、アーク炉にスクラップを
装入後、通電を開始する前に、炉内装入済みのスクラッ
プに対する上記補助燃料吹込みによりこれを加熱するこ
とが有効であるとの知見を得た。この発明は、上述した
知見に基づきなされたものであって、その要旨は次の通
りである。
【0010】請求項1記載の発明は、原料として冷鉄原
料を使用するアーク炉による製鋼精錬工程中の原料溶解
工程において、下記1.〜3.項を実施することに特徴
を有するものである。 1.使用するアーク炉が備える条件として、 当該アーク炉の1ヒートで使用する冷鉄原料の全量
を、初装入の1回の装入チャンスで収容する炉内容積を
有すること。 炉内に装入された冷鉄原料を加熱するための補助燃焼
装置を備えていること。ここで補助燃焼装置とは、酸素
含有ガスで燃料を燃焼させてアーク炉内にエネルギーを
供給するための酸素燃焼装置及び酸素含有ガスのみを供
給し、アーク炉内に存在する燃焼物質、例えばコークス
等を燃焼させてエネルギーを供給するための装置のいず
れをも含むものとする。 2.上記1.項のアーク炉に冷鉄原料の全量又はその一
部を上記アーク炉へ装入した後、補助燃焼装置により装
入冷鉄原料を加熱する。しかる後に、アーク炉に通電を
開始して、冷鉄原料をアーク加熱し、溶解することに特
徴を有するものである。 3.上記アーク炉に通電する以前に前記酸素ガス燃焼装
置で使用する酸素量を、前記装入冷鉄原料1トン当たり
3〜10Nm3 の範囲内に制御する。
【0011】請求項2記載の発明は、上述した請求項1
記載の発明方法を適用するヒートとして、下記条件を満
たすものに限定する。即ち、アーク炉による製鋼精錬工
程の全期間に使用する酸素量が、当該アーク炉による精
錬工程の1ヒートで出鋼される溶鋼1トン当たり、25
Nm3 以上であるヒートにおいてのみ実施する。
【0012】請求項3記載の発明は、上述した請求項1
又は2において、使用するアーク炉は更に、鉄源原料が
全量溶解したときの炉内湯面から炉内側壁上端までの高
さ:Lと、炉内径:Dとの間の関係が下記(1)式: L/D=0.6〜1.4 --------------------------(1) を満たすものであることに特徴を有するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照し
ながら説明する。 (1)通電開始前の送酸量 図1は、この発明の溶解方法を実施するのに適したアー
ク溶解炉例の概略縦断面図である。同図において、Lは
1溶解分(1ヒート分)のスクラップ全量が溶解したと
きの炉内湯面11aから、炉内側壁上端1aまでの高さ
を示し、Dは炉内径を示す。
【0014】この発明において通電開始前の酸素使用量
を、3〜10Nm3 /t- 冷鉄(但し、Nm3 /t- 冷
鉄:通電開始前の炉内装入冷鉄原料1トン当たりに対し
て、酸素ガス燃料燃焼装置で使用された酸素の体積。以
下、これに準じる。)の範囲内に限定し、また、望まし
くは更に、出鋼溶鋼1トン当たりのアーク炉精錬全期間
に使用する酸素量(以下、「全送酸量」という)を、2
5Nm3 /t- 溶鋼に限定するのがよいとしたのは、下
記試験結果に基づく。
【0015】容量150トンで、L/D=0.83の1
回装入式直流アーク炉を用い、初装入にスクラップと共
にコークスを炉内に投入し、通電開始前に水冷ランス及
び酸素/灯油バーナーを用い、水冷ランスと上記バーナ
ーとから炉内に吹き込んだ酸素合計量を種々の水準に変
化させたときの、上記酸素合計使用量と出鋼溶鋼1トン
当たりの当該ヒートの全期間の電力原単位との関係をみ
る試験をした。上記酸素合計使用量は、冷鉄1トン当た
りの酸素使用量(以下、「通電開始前の送酸量」とい
い、Nm3 /t- 冷鉄で表記する)で表わし、1ヒート
全期間を通しての電力原単位(以下、「電力原単位」と
いう)は、出鋼溶鋼1トン当たり全期間の電力使用量
(kWh/t)で表わす。なお、この試験においては、
1ヒート当たりの全送酸量を、20、25、30及び3
5Nm3 /t- 溶鋼の4水準に変化させて試験した。こ
れらの試験結果を、図2に示す。なお、同図には、スク
ラップ装入を従来どおり2回のチャンスで行なう通常操
業時について、全送酸量が30Nm3 /t- 溶鋼の場合
の電力原単位を併記した。
【0016】図2より、下記事項〜がわかる。 全送酸量が一定の場合には、通電開始前の送酸量が
大きくなるにつれて、電力原単位は低減する。即ち、通
電開始前の送酸量が3Nm3 /t- 冷鉄未満では電力原
単位の低減効果は小さいが、通電開始前の送酸量の増加
につれてその効果は大きくなる。そして、その酸素原単
位が10Nm3 /t- 冷鉄を超えると、電力原単位の低
減効果はほぼ飽和する。
【0017】 しかも、上記の関係は、ヒート間に
おける全送酸量の大小にかかわらずほぼ同じである。上
記及びの結果より、この発明においては、電力原単
位の低減効果を得るために、通電開始前の送酸量を、3
〜10Nm3 /t- 冷鉄の範囲内に限定した。
【0018】なお、上記において、スクラップ加熱に
消費される全送酸量が一定であるにもかかわらす、通電
開始前の送酸量が多い方が電力原単位が低くなるのは、
次の理由による。即ち、通電開始前には1ヒート分のス
クラップの内大部分が常温に近い低温状態にあること、
及びスクラップ形状が原形のままであるからその比表面
積が大きいことにより、発生した燃焼熱及び燃焼ガスの
保有顕熱のスクラップに対する着熱効率は高い。これに
対して、通電以後における上記着熱効率は、スクラップ
の既昇温及び部分的溶融による比表面積減少により低下
するからである。
【0019】通電開始前の送酸量が3Nm3 /t- 冷鉄
未満では、補助熱源の燃焼ガスが炉内のスクラップとの
接触チャンスが少なく、そのため着熱効率が低いからと
考えられる。一方、通電開始前の送酸量が10Nm3
t- 冷鉄を超えると、酸素が吹き込まれた部位で局所的
にスクラップの酸化が起こり、効果が減少するものと考
えられる。こうした理由により、通電開始前の送酸量を
3〜10Nm3 /t-冷鉄の範囲内とすることにより、
酸素バーナー又は水冷ランスから吹き込まれた酸素と補
助熱源の燃焼による発生ガスから炉内スクラップへの着
熱が有効に行われたものである。
【0020】 また、図2によると、全送酸量が25
Nm3 /t- 溶鋼以下になると、例えば20Nm3 /t
- 溶鋼では、通常のスクラップ2回装入型のアーク炉で
の電力原単位(但し、通常操業ではこの場合の全送酸量
は30Nm3 /t- 溶鋼の場合)と同じレベルである。
従って、この発明では、全送酸量を25Nm3 /t-溶
鋼以上にするのが望ましい。
【0021】なお、1ヒート全期間を通じての酸素使用
量、即ち全送酸量の決定は、当該ヒートの作業開始前
に、対象鋼種や工程運用上等要因により予めきめておく
のが望ましい。
【0022】(2)炉体形状 次に、この発明において、アーク炉の炉内湯面から炉内
側壁上端までの高さ:Lと、炉内径:Dとの間の関係
を、前記(1)式に限定したのは下記の理由による。ス
クラップ装入式アーク炉において、スクラップの溶解効
率に影響する要因の第1として、炉内の発生ガスの顕熱
および潜熱のスクラップへの熱伝達が重要である。即
ち、発生ガスに接するスクラップの表面積が大きく、か
つ、この接触時間が長い方が有利である。一方、一般的
に、ア−ク炉の炉内径はスクラップを予熱するための装
置が設置された炉排ガスダクトの内径に比べて大きいの
で、排ガスのスクラップへの熱伝達上からも有利であ
る。
【0023】上記要因の第2として、ア−クの分布に対
する装入されたスクラップの分布およびア−クの分布と
炉内壁との位置関係が重要である。即ち、スクラップは
ア−クにできるだけ近い方が有利であり、そして、炉内
壁はア−クから一定の距離以上離れていた方が有利であ
る。
【0024】従って、この発明においては、湯面から炉
内側壁上端までの高さ:Lと炉内径:Dとの比:L/D
は、スクラップの溶解効率に影響する要因を定量的に表
わす指標として適する。
【0025】ア−ク炉操業におけるスクラップの溶解効
率は、上述したように、発生ガス及びア−クからスクラ
ップへの着熱効率によって大きく左右される。この着熱
効率に着目して、L×D2 が一定であるという条件、即
ち、湯面よりも上方の炉内容積を一定にした各種L/D
の小型試験ア−ク炉を用いて、発生ガスの排ガスにより
ア−ク炉外へ持ち去られる熱損失について試験した。試
験溶解はいずれのチャ−ジにおいても、嵩密度が一定の
スクラップを用い、かつ、初装入で全てのスクラプを装
入し、通電開始前からのバーナー予熱と通電開始後の酸
素ランスからの送酸とコークスインジェクションとの併
用によるア−ク炉試験操業を行なった。
【0026】図3は、湯面から炉内側壁上端までの高
さ:Lと炉内径:Dとの比:L/Dと、排ガスの熱損失
比との関係を示すグラフである。但し、排ガスの熱損失
比は、L/D=0.55の場合の試験チャ−ジにおける
排ガスの顕熱および潜熱の和に対する、当該試験チャ−
ジにおける排ガスの顕熱および潜熱の和で表わしたもの
である。
【0027】図3から明らかなように、L/Dが増加す
るに従い、排ガスの熱損失比は低下する。L/Dが0.
6における排ガスの熱損失比は0.90程度に低下し、
その効果も操業コスト上有用なものである。更に、L/
Dが大きくなるほど排ガスの熱損失比は低下している。
【0028】しかしながら、L/Dが1.4を超えても
排ガスの熱損失比の低下量は小さくほぼ飽和する。一
方、L/Dが大きくなるほど、電極昇降装置、建屋、ク
レ−ン設備および炉体冷却設備等の諸元を大きくしなけ
ればならないという不利益が発生し、L/Dが1.4を
超えると上記不利益が問題となる。
【0029】従って、スクラップの溶解効率の向上を図
るためには、少なくとも、湯面から炉内側壁上端までの
高さ:Lと炉内径:Dとの比L/Dを、0.6〜1.4
の範囲内にすべきである。
【0030】一方、この発明のア−ク炉は、1チャ−ジ
の出湯に必要な量のスクラップを全量、1回の装入チャ
ンスで装入することができる炉内容積を有することが必
要である。そこで、1チャ−ジのスクラップ装入量、お
よび、L/Dを決め、これに応じて定まるLおよびDを
算出することにより、所望の炉内寸法を求めることがで
きる。通常のア−ク炉においては、鉄源原料が全量溶解
したときの湯面から炉内側壁上端までの高さ:L、炉内
径D、及び、スクラップの装入量:Wの間には、下記
(2)式: L/D=(4/π){(ρl −ρS ’)/ρl ρS ’}(W/D3 ) ------------------------(2) 但し、ρl :溶鋼の密度 ρS ’:スクラップの嵩密度 W :スクラップの装入量 の関係がある。
【0031】ア−ク炉において使用される製鋼用スクラ
ップには種々の形態のものが使用される。従って、これ
らスクラップの嵩密度も0.3〜1.0t/m3 の範囲
内の種々のものにわたるが、その加重平均値は、0.7
t/m3 程度である。従って、1チャ−ジのスクラップ
装入量:W、および、L/Dを与えれば、湯面から炉内
側壁上端までの高さ:L、および、炉内径:Dが求めら
れる。例えば、W=50tとすれば、この発明の特徴で
あるL/D≧0.6が満たされるためには、炉内径:D
は、D≦5.1(m)であって、且つ、湯面から炉内側
壁上端までの高さ:Lは、Dの値に応じて、L≧0.6
×D(m)であればよい。
【0032】従って、湯面から炉内側壁上端までの高
さ:Lと炉内径:Dとの比L/Dを、0.6〜1.4の
範囲内に限定することによって、スクラップの溶解効率
の向上を図ることに効果を奏し、且つ、1チャ−ジの出
湯に使用されるスクラップを全量、溶解開始前に装入す
ることができるようなア−ク炉の炉内寸法および形状を
決めることができる。
【0033】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説
明する。図1は、この発明によるアーク炉例を示す概略
縦断面であり、本発明の範囲内の冷鉄原料の溶解方法で
ある実施例1、及び本発明の範囲外の冷鉄原料の溶解方
法である比較例1を行なった。同図に示した炉体は、従
来の直流式アーク炉のフリ−ボ−ドの高さを高くしたも
のである。1はアーク炉の炉体であって、炉本体2の上
部には炉蓋4が固定され、炉蓋4には上部電極棒5が装
入される電極装入孔4a、および、排ガスダクト6に連
結する排ガス口4bが設けられている。そして、ア−ク
炉から発生した上記排ガスは、排ガスダクト6を通り、
集塵機(図示せず)および排風機(図示せず)を経由し
て排出される。一方、炉本体2の炉底には、下部電極8
および湯溜まり部10に溜まった溶湯11を排出するた
めの湯口9が設けられている。
【0034】図4は、従来の直流式ア−ク炉の例を示す
概略縦断面であり、これは図1の炉本体2のフリーボー
ドの高さが低いことを除けば、図1に示したア−ク炉と
比較して相違する点はない。図4に示したアーク溶解炉
を用いて、本発明の範囲外の冷鉄原料の溶解方法の試験
(比較例2)を行なった。
【0035】表1に、フリ−ボ−ドの高さ:Lと、炉内
径:Dとの間の関係が、L/D=0.85であって、ス
クラップを初装入チャンスで全量装入し、通電開始前に
は補助燃料及び炉内スクラップを酸化燃焼させるために
炉内に吹き込む酸素量を7Nm3 /t- 冷鉄とした本発
明の実施例1と、通電開始前の送酸量を2Nm3 /t-
冷鉄とした比較例1、並びに、L/D=0.55であっ
て、スクラップを初装入チャンスに1/2装入し、溶落
ち後残りの1/2を追加装入し、そして酸素を所定量吹
き込んで溶解・精錬を行なった場合(比較例2)の試験
操業を行なった。
【0036】
【表1】
【0037】実施例1及び比較例1、2における操業方
法は、スクラップの装入方法と酸素の供給方法が異なっ
ている。即ち、実施例1及び比較例1では、アーク炉の
炉蓋4を開いて、スクラップ装入用バケットにより炉体
1内に1ヒート分のスクラップ全量を装入し、炉蓋4を
閉め、通電開始前に酸素バーナー及び水冷ランスから一
定量の送酸をした後、上部電極5を炉蓋4を通して炉内
の所定位置まで下降させ、次いで、通電を開始し、上部
電極5とスクラップ7との間にアークを発生させ、スク
ラップ7を加熱・溶解する。なお、上部電極5の下降
は、スクラップ7を上部電極5でボーリングしながら行
なう。スクラップ7の一部が溶融して上部電極5の下端
近傍に湯溜まりを形成し、次第にその湯溜まりが広がっ
ていく。この間、バーナー及び水冷ランスからの送酸は
続けて所定量の酸素を供給する。なお、比較例2のアー
ク炉操業においては、所定量の湯溜まりが形成されたと
きに、一旦、通電を中断し、上部電極5を上昇させ、炉
蓋4を開き、そしてスクラップの残量を炉内へ装入した
後、再び溶解操業に入る。この場合には、通電開始前の
送酸は行なっていない。
【0038】この間、スクラップはアーク熱と発生ガス
の顕熱とによって加熱され、溶解する。次いで、昇温及
び所定の精錬をした後、溶解の化学成分組成を所定値に
調整した後、炉体1を傾動機構(図示せず)によって傾
動することによって湯口9から溶鋼を出湯する。なお、
この発明によるアーク炉は直流式アーク炉に限定される
ものではなく、3相交流式アーク炉等にも同等に適用で
きる。
【0039】表2に、実施例1並びに比較例1及び2に
おける総括熱収支を示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2より、本発明のアーク炉による冷鉄原
料の溶解方法を実施した操業においては、特に、発生ガ
スの顕熱及び潜熱が有効に利用されていることがわかっ
た。
【0042】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、スク
ラップを予熱するための特別な装置、及び、ア−ク炉へ
スクラップを装入するための特別な機器等を設けること
なく、炉内径に対する湯面から炉内側壁上端までの高さ
の比を適正な値にすることと、通電開始前の炉内補助燃
料の燃焼用酸素量を適切に設定することとによって、ア
ーク炉排ガスからのスクラップへの着熱効率を高めるこ
とができる。かくして、操業性に優れ、しかも、操業コ
ストを大きく削減することができる。このようなアーク
炉による冷鉄原料の溶解方法を提供することができ、工
業上極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法の実施に用いた直流式アーク炉
を示す概略縦断面図である。
【図2】1ヒート分のスクラップ全量を装入後におけ
る、通電開始前送酸量と電力原単位との関係を、1ヒー
ト当たりの全送酸量で層別して示したグラフである。
【図3】直流式ア−ク炉における湯面から炉内側壁上端
までの高さLと炉内径Dとの比L /Dと、排ガスの熱
損失比との関係を示すグラフである。
【図4】従来の直流式ア−ク炉の例を示す概略縦断面で
ある。
【符号の説明】
L 炉内湯面から炉内側壁上端までの高さ D 炉内径 1 ア−ク炉の炉体 1a 炉内側壁上端 2 炉本体 4 炉蓋 4a 電極装入孔 4b 排ガス口 5 上部電極 6 排ガスダクト 7 スクラップ 8 下部電極 9 湯口 10 炉底 11 溶湯 11a 湯面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料として冷鉄原料を使用するアーク炉
    による製鋼精錬工程中の原料溶解工程において、前記ア
    ーク炉として、当該アーク炉の1ヒートで使用する冷鉄
    原料の全量を初装入の1装入チャンスで収容する炉内容
    積をもち、且つ、酸素含有ガスで燃料を燃焼させてエネ
    ルギーを供給する酸素燃焼装置及び/又は酸素含有ガス
    のみを供給する酸素供給装置からなる補助燃焼装置を備
    えたアーク炉を用い、前記冷鉄原料の全量又はその一部
    を前記アーク炉へ装入した後、前記補助燃焼装置により
    前記装入冷鉄原料を加熱し、次いで、前記アーク炉に通
    電して前記冷鉄原料をアーク加熱し、溶解する方法であ
    って、前記アーク炉に通電する以前に前記補助燃焼装置
    で使用する酸素量を、前記装入冷鉄原料1トン当たり3
    〜10Nm3 の範囲内に制御することを特徴とする、ア
    ーク炉による冷鉄原料の溶解方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法を、前記アーク炉に
    よる前記製鋼精錬工程の全期間に使用する酸素量が、前
    記アーク炉による当該精錬工程の1ヒートで出鋼される
    溶鋼1トン当たり、25Nm3 以上であるヒートにおい
    て実施することを特徴とする、アーク炉による冷鉄原料
    の溶解方法。
  3. 【請求項3】 前記アーク炉は、鉄源原料が全量溶解し
    たときの炉内湯面から炉内側壁上端までの高さ:Lと、
    炉内径:Dとの間の関係が下記(1)式: L/D=0.6〜1.4 --------------------------(1) を満たすものであることを特徴とする、請求項1又は2
    記載のアーク炉による冷鉄原料の溶解方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020000335A (ko) * 2000-06-23 2002-01-05 이구택 전기로의 냉연재 제조방법
CN115821149A (zh) * 2022-11-30 2023-03-21 南阳飞龙汽车零部件有限公司 一种解决铸钢类产品裂纹的方法

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