JP2003049217A - 鉄スクラップ溶解方法 - Google Patents

鉄スクラップ溶解方法

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JP2003049217A
JP2003049217A JP2001235830A JP2001235830A JP2003049217A JP 2003049217 A JP2003049217 A JP 2003049217A JP 2001235830 A JP2001235830 A JP 2001235830A JP 2001235830 A JP2001235830 A JP 2001235830A JP 2003049217 A JP2003049217 A JP 2003049217A
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furnace
scrap
manufacturing process
molten steel
hood
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Jun Taniguchi
潤 谷口
Takeshi Nakamura
毅 中村
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Topy Industries Ltd
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  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄スクラップの溶解エネルギー原単位を低減
させる。 【解決手段】 電気炉10は、炉体11と炉体11を覆
うフード12と電極13,14とを備えている。フード
12には、排ガス上流側から順に回転炉20とシャフト
炉30が連なっている。第1工程では、シャフト炉30
に収容されていた予熱済みの大片スクラップが装入され
るとともに、塊コークスがシュータ17から装入され
る。第2工程では、アーク放電により大片スクラップが
溶解される。この際、密閉された炉内で大量の塊コーク
スの炭素が溶湯中に効率良く入り込み、炭素含有率2%
以上の溶銑が得られる。第3工程では、小片スクラップ
がシュータ42から供給され、回転炉20を介して予熱
されながら炉内に装入される。また、炉内に大量の酸素
が吹き込まれる。これにより、溶湯中の炭素含有量が低
下して溶鋼が得られる。最後の第4工程で出鋼される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄スクラップを電
気炉で溶解する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄資源リサイクルシステムとして、電気
炉により鉄スクラップを溶解して溶鋼を得、この溶鋼か
ら種々の鉄鋼製品を得ることは良く知られている。用い
られる電気炉は、図4に示すように、浅い鍋形状の炉体
101と、炉蓋102を備えている。例えば直流電気炉
では、炉蓋102に設けられた1本以上の上部電極10
3と炉底に設けられた1本以上の炉底電極104を備え
ている。
【0003】上記電気炉では、上部電極103と炉底電
極104間のアーク放電によって、炉内のスクラップを
溶解するようになっている。スクラップは嵩張るため複
数回にわたって装入,溶解を繰り返す。詳述すると、前
回チャージの出鋼が終了した後、炉蓋102を旋回させ
て炉内を一旦開放する。この炉内にスクラップを装入
し、炉蓋102を戻して炉内を閉じた後、通電溶解を行
う。上記スクラップ溶解が進んで炉内空間に余裕が生じ
たら、炉蓋102を旋回させて炉内を再び開放し、新た
にスクラップを装入し通電溶解を行う。このような通電
溶解を例えば3回繰り返し、炉内のスクラップが完全に
溶解した後、炉体101を傾け、炉体101の出鋼口1
05から取鍋へ溶鋼を出鋼し、最終成分調整を行う。こ
のようにして、炭素含有量が0.05〜0.3%程度の
普通鋼すなわちスクラップと同様の普通鋼の溶鋼が得ら
れる。
【0004】上記スクラップ溶解を電力によってのみ行
うと電力消費量が大きくなり溶解コストが高くなるた
め、実際には酸化反応熱(燃焼熱)をも利用している。
すなわちコークス,石炭,アルミニウム,オイル等の助
燃材を供給するとともにランスパイプ106等から酸素
を吹き込むことにより、これら助燃材および鉄の酸化反
応を起こさせ、その反応熱によりスクラップの溶解を助
ける。なお、コークスや石炭などは、酸化された鉄を還
元する役割も担う。
【0005】ところで、上記電気炉を用いて0.5%以
上の炭素含有量の高い鋼を製造することも公知である。
この場合、コークスや石炭等を助燃材としてだけではな
く加炭材としても供給し、その炭素成分を溶鋼中に溶け
込ませて、炭素含有量を上昇させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように電気炉に
おいて、溶鋼の炭素含有量を上昇させるという考えは公
知であったが、溶銑レベルまで炭素含有量を上昇させる
という考えは全くなかった。そのため、鉄スクラップの
融点を大きく下げることができず、大きな溶解エネルギ
ー原単位(単位重量の鉄スクラップ溶解に必要なエネル
ギーであり、具体的には電力エネルギーと燃焼エネルギ
ーを加えたもの)を必要とした。
【0007】ちなみに、上記従来の電気炉では、溶銑レ
ベルまで炭素含有量を上昇させることは不可能であった
が、高炭素溶鋼を製造する場合であっても、大きな困難
が伴っていた。詳述すると、加炭材はスクラップ装入時
に一緒に装入されるが、スクラップの断続的な崩落に伴
って加炭材が溶鋼中に落下し、これによりCOの大量に
よりスラグの急激な膨張を誘起し、その結果、炉体10
1の作業口107からスラグが大量に流出し、これと一
緒に加炭材も流出した。また、スクラップ装入時に炉蓋
102を旋回させて炉内を開放するので、炉内に大量の
空気が入り込み加炭材の酸化反応を誘起した。また、炉
内は操業中、排ガス集塵のために負圧になっており、作
業口107から連続して大量の空気が侵入し、加炭材を
酸化させた。これらの理由により、装入した加炭材は有
効に溶鋼中に着炭しなかった。また、上記スラグ流出時
に通電溶解を一時的に中断するため、操業時間が長くな
る欠点もあった。
【0008】上記のようなスラグ流出,加炭材流出を避
けるために、炉蓋102に設けたシュータから加炭材を
少量ずつ投入したり、ランスパイプから粉状加炭材を溶
鋼中に少量ずつ吹き込む方法もあるが、上記と同様に大
気による加炭材の酸化を抑制できず、着炭効率が悪いば
かりか、この加炭材の供給に時間がかかるため、操業時
間が大幅に長くなってしまう。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様は、
鉄スクラップ溶解方法において、実質的に密閉された電
気炉の炉内空間においてアーク放電により鉄スクラップ
を溶解するとともに加炭を行い、炭素含有量が2%以上
の溶銑を得ることを特徴とする。
【0010】本発明の第2態様は、第1態様の鉄スクラ
ップ溶解方法において、上記電気炉が、内径に比べて高
さが大である炉体と、この炉体の上端炉口を覆うフード
と、このフードに連なるスクラップ予熱手段とを有し、
これにより上記溶銑製造工程において炉内空間を実質的
に密閉することを特徴とする。本発明の第3の態様は、
第2態様の鉄スクラップ溶解方法において、上記溶銑製
造工程に先だって鉄スクラップとともに加炭材の大部分
を装入することを特徴とする。
【0011】本発明の第4の態様は、第2態様の鉄スク
ラップ溶解方法において、上記電気炉は、上記フードを
貫通する中空の上部電極と炉体の底部に設けられた炉底
電極とを有し、上記溶銑製造工程に先だって鉄スクラッ
プとともに加炭材の大部分を装入しておき、上記溶銑製
造工程の途中で、補填加炭材としての粉状の加炭材を、
上部電極からその下端近傍のアークスポットに供給する
ことを特徴とする。
【0012】本発明の第5の態様は、第2〜4態様の鉄
スクラップ溶解方法において、上記溶銑製造工程の後
に、炉口を開放せずに上記スクラップ予熱手段からの追
加スクラップを、フードを介して炉内空間に供給すると
ともに、酸素を供給し、これにより溶湯中の炭素含有量
を低下させて溶鋼を得ることを特徴とする。
【0013】本発明の第6の態様は、第5態様の鉄スク
ラップ溶解方法において、上記溶銑製造工程では、炉体
の羽口から炉内空間に酸素ガスをも吹き込み、炉内で酸
化反応熱を発生させ、上記溶鋼製造工程では、上部電極
に換えてランスパイプをフードに装着し、上記羽口のみ
ならずこのランスパイプから大量の酸素を供給すること
を特徴とする。
【0014】本発明の第7の態様は、第6態様の鉄スク
ラップ溶解方法において、上記溶銑製造工程および溶鋼
製造工程で、炉体の底部から窒素ガスを供給して溶湯を
攪拌することを特徴とする。
【0015】本発明の第8の態様は、第5〜7態様の鉄
スクラップ溶解方法において、上記スクラップ予熱手段
として、排ガス上流側の回転炉と排ガス下流側のシャフ
ト炉とを備え、この回転炉は、上記追加スクラップとし
ての比較的小片のスクラップを上記溶鋼製造工程で発生
する排ガスを利用して予熱するとともに連続的に電気炉
内に供給し、上記シャフト炉は、比較的大片のスクラッ
プを収容して、上記溶銑製造工程および溶鋼製造工程で
発生する排ガスにより予熱し、溶鋼製造工程終了後に、
予熱された大片スクラップを次回チャージのために、上
記回転炉,フードを経て電気炉内に供給することを特徴
とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
図1は、本発明の鉄スクラップ溶解方法を実行するため
の装置を示す。この装置は、電気炉10と、回転炉20
(第1予熱炉,スクラップ予熱手段)と、シャフト炉3
0(第2予熱炉,スクラップ予熱手段)とを備えてい
る。この基本構造は、特開平9−143524号公報,
特開平11−293351号公報に開示されているよう
に公知である。
【0017】電気炉10は、炉体11と、この炉体11
の上端の炉口11aを覆うフード12と、フード12に
挿脱可能に設けられた1本の上部電極13と、炉体11
の底部に設けられた炉底電極14とを、備えている。本
実施形態の電気炉10は直流電気炉で、その電源容量
(トランス)が12.5MVAであり、スクラップ溶解
能力が15t/hrである。炉体11は、例えば内径が
1.9m,高さ4.5mであり、高さが内径より2倍以
上大きく(約2.4倍)なっている。
【0018】炉体11の側壁には複数の例えば5つの横
吹き羽口15が設けられている。横吹き羽口15は、2
重管構造であり、内管を介して最大150Nm/hr
本の酸素吹き込みが可能であり、また外管を介して羽口
冷却用のLPGの吹き込みを行えるようになっている。
【0019】炉体11の底部には、複数例えば2つの底
吹き羽口16が設けられている。底吹き羽口16は、最
大100Nm/hr本の窒素吹き込みが可能である。
上部電極13は、18インチの中空黒鉛電極であり、内
径30mmの通路を介し、約200Nm/hrの窒素
をキャリアガスとして用いることにより、最大30Kg
/分の微粉コークス(粉状加炭材)を供給することがで
きるようになっている。
【0020】上記フード12は筒部を有し、この筒部の
下端開口12aが上記炉体11の炉口11aに対峙して
この炉口11aに被さるようになっており、筒部の周壁
には、塊コークス(塊状の加炭材)及び副原料(生石灰
やドロマイト)を装入するためのシュータ17が設けら
れている。また、フード12の上部は上記筒部に連なっ
て横方向に開口する支持部12bを有している。この支
持部12b近傍には酸素または空気等の助燃ガスを供給
するノズル18が二次燃焼バーナとして設けられてい
る。
【0021】上記フード12の支持部12bには上記回
転炉20の排ガス上流端が回転可能に接続されている。
この回転炉20は小片スクラップ(150mm以下,図
示しない)を予熱するためのものであり、排ガス下流端
が上流端より若干高くなるよう傾いている。この回転炉
20の下流端は、連結体40の側部開口に回転可能に支
持されている。この連結体40の上部開口には、シャフ
ト炉30の下端が連結されている。シャフト炉30は、
大片スクラップ(150〜300mm,図1においてA
で示す)を収容して予熱するためのものである。シャフ
ト炉30の周壁には、後述の作用をなすクランプ31と
それより下方に位置するフィンガー32が設けられてい
る。上記大片スクラップは、シャフト炉30の上端開口
30aから装入するようになっている。シャフト炉30
の上端近傍には連結筒35が設けられており、この連結
筒35は集塵装置に連なっている。
【0022】上記連結体40には、上記シャフト炉30
の下方に位置するプッシャ41が往復動可能に設けられ
ている。さらに連結体40には、小片スクラップを装入
するためのシュータ42が設けられている。
【0023】上記構成の装置を用いて、本発明方法の一
実施形態をなす鉄スクラップの溶解方法を実行する。こ
の方法は、連続的に実行される下記の4つの工程を備え
ている。 第1の工程:大片スクラップ,塊コークス装入工程 第2の工程:アーク溶解工程(溶銑製造工程) 第3の工程:小片スクラップ装入および昇熱工程(溶鋼
製造工程) 第4の工程:成分調整および出鋼工程
【0024】まず、第1の工程である大片スクラップ,
塊コークス装入工程について説明する。この工程は、前
回チャージでの出鋼工程が終了した後、実行される。す
なわち、シャフト炉30に収容され前回チャージの第
2,第3工程で発生した排ガスにより無酸化雰囲気中で
約1100°Cまで予熱された大片スクラップを、電気
炉10の炉体11内に供給する。詳述すると、クランプ
31でこのクランプ31より上方の大片スクラップの落
下を防止しながら、フィンガー32を開いてクランプ3
1より下方の大片スクラップを連結体40に落下させ、
次に、フィンガー32を閉じてクランプ31を開放して
大片スクラップをフィンガー32まで落下させる。上記
動作を繰り返すことにより、大片スクラップを連結体4
0へ分割供給する。プッシャ41は、その往復動により
分割供給された連結体40の大片スクラップを回転炉2
0へ押し出す。回転炉20では、その回動により大片ス
クラップをフード12を介して炉体11内へ落下させ
る。このようにして、今回のチャージに必要とする大片
スクラップの全量を炉体11内に供給する。また、この
大片スクラップと相前後してシュータ17から加炭材と
しての大量の塊コークス、及びスラグ生成のための生石
灰と軽焼ドロマイトを炉体11内に装入する。
【0025】第2工程の初期または第1工程の終期に、
シャフト炉30に新たな大片スクラップを収容して、今
回チャージの第2,第3工程で発生する排ガスによって
予熱し、次回のチャージに用いる。
【0026】第2工程では、電極13,14間に電圧を
印加し、その間に発生するアークによって大片スクラッ
プを溶解する。また、この第2工程のほぼ全期間におい
て横吹き羽口15から酸素を吹き込む。この酸素吹き込
みにより、塊コークスの炭素の炭素の一部および大片ス
クラップの一部が酸化し、この酸化反応熱により大片ス
クラップの溶解を助ける。なお、第1工程で装入された
塊コークスは大量であって、この塊コークスの炭素は、
上記酸化反応及び酸化鉄の還元で消費する量を遥かに超
えており、この超えた分の炭素が溶湯中に溶け込み、溶
湯中の炭素含有量を大幅に上昇させる。その結果、2%
以上の溶銑となる。
【0027】上記のように炭素含有量が大幅に上昇して
溶銑になると、大片スクラップの融点を低くすることが
でき、ひいては、大片スクラップの溶解エネルギー原単
位を低減させることができる。なお、第2工程終了時点
の溶湯温度は1250〜1400°Cである。
【0028】上記第2工程において、塊コークスの炭素
の溶湯への着炭を効率良く行うことができ、短時間で炭
素含有量の大幅な上昇を達成することができる。これ
は、アーク溶解の途中で炉口11aが開放されず、炉内
がフード12によって実質的に密閉された状態を維持さ
れており、制御された酸素量しか炉内に入らず、塊コー
クスの炭素が大気中の空気に触れて無駄に消費されない
からである。また、炉内が正圧になっていて大気の侵入
をより一層確実に防ぐことができ、この点からも炭素の
無駄な消費を防ぐことができるからである。
【0029】上記第2工程のほぼ全期間において、底吹
き羽口16から窒素ガスを吹き込む。この窒素ガスは溶
湯を攪拌し、上記着炭作用を促進する。炉体11が深バ
ス形状をなしているため、底吹きによる攪拌作用をより
一層高めることができる。この窒素ガス吹き込みおよび
上述した酸素ガス吹き込みにより、炉内は上述したよう
に正圧となっている。
【0030】上記第2工程において、必要に応じて上部
電極13から微粉コークスを吹き込んでアークスポット
に供給することにより、着炭効率を一層上昇させること
ができる。例えば、第2工程で得られる溶銑の炭素含有
率は塊コークスだけの場合2.8%程度、微粉コークス
を加えた場合4.0%程度となる。微粉コークスを吹き
込みむ場合でも、加炭材の大部分は塊コークスとして予
めスクラップとともに装入しておき、微粉コークス吹き
込み量は、塊コークスの2割以下とする。これにより、
微粉コークス吹き込みによって第2工程時間が長くなる
のを回避する。
【0031】第3工程では、アーク放電を行わない。ま
ず、フード12から上部電極13を引き抜き、その代わ
りにランスパイプ50を挿入する。そして、この第3工
程のほぼ全期間において、ランスパイプ50および横吹
き羽口15から酸素を吹き込む。横吹き羽口15からの
単位時間当たりの酸素吹き込み量は、第2工程よりも多
く、またランスパイプ50からも横吹き羽口15より多
い酸素を吹き込む。これにより、吹き込まれた酸素と、
炉内の溶銑中の炭素との酸化反応により、多量の反応熱
を発生させることができ、溶湯温度は上昇する。上記第
3工程では、酸素吹精と下記する窒素ガス底吹きによる
溶湯の激しい攪拌に対応するスラグを作るため、第1工
程と同等量もしくは半分量程度の生石灰と軽焼ドロマイ
トをシュータ17から添加する。
【0032】上記第3工程では、小片スクラップをシュ
ータ42から供給し、プッシャ41を往復動させて回転
炉20に送り、この回転炉20を回して少量ずつ連続的
に炉内に供給する。この際、ノズル18から酸素または
空気等の助燃ガスを供給して炉内からの排ガス中のCO
等を燃焼させ、これにより小片スクラップを回転炉20
内を搬送する過程で急速予熱する。
【0033】上述したように、炉内には炭素含有量が2
%以上の溶銑が溜まっており、上記小片スクラップを小
さな溶解エネルギー原単位で溶解することができる。ま
た、上記炉内での酸化反応熱により連続的に供給される
小片スクラップの溶解を維持することができる。
【0034】上記第3工程において、上記酸化反応によ
る脱炭作用および小片スクラップの供給による希釈作用
により、溶湯における炭素含有量が低下し、最終的には
0.05〜0.3%程度の普通鋼の溶鋼が得られる。な
お、溶湯の炭素含有量が徐々に低くなっても酸化反応熱
による溶湯温度の上昇により、小片スクラップを確実に
溶解することができる。そして、小片スクラップの供給
が終わり小片スクラップが完全に溶解した後、所定の温
度,炭素含有量で酸素吹き込みを停止する。第3工程終
了時点の溶鋼温度は1650〜1700°Cである。
【0035】上記第3工程でも、ほぼ全期間にわたって
底吹き羽口16から窒素ガスを吹き込んで溶湯を攪拌
し、酸化反応を促進させるとともに、小片スクラップの
溶解およびこの溶解部分への着炭を促進する。底吹き窒
素ガスの単位時間当たりの吹き込み量は、第3工程の方
が第2工程より多い。
【0036】第4工程では、炉体11を傾けて溶鋼を取
鍋に出鋼する。この際、次チャージのスクラップ熔解を
促進するため溶鋼の一部を炉内に残しておく。
【0037】次に、上記鉄スクラップ溶解方法の実施例
の詳細について述べる。第1工程で装入される大片スク
ラップを10.5tonにし、第3工程で装入される小
片スクラップを4.5tonとした。また、第1工程で
の塊コークスの装入量は、大片スクラップと小片スクラ
ップを含む鉄スクラップ1ton当たり90Kg程度と
した。必要に応じて第2工程で微粉コークスを吹き込む
場合には、鉄スクラップ1ton当たり9Kg程度とし
た。第1工程での、スラグを作るための生石灰と軽焼ド
ロマイトのチャージ当たりの装入量はそれぞれ、120
kg,80kgとした。第3工程当初で添加する生石灰
と軽焼ドロマイトの量は、それぞれチャージ当たり、6
0〜120kg,40〜80kgとした。
【0038】第2工程での横吹き羽口15からの酸素吹
き込み量は300Nm/hrである。第3工程での横
吹き羽口15からの酸素吹き込み量は500Nm/h
r、ランスパイプ50からは最大2000Nm/hr
である。このように、第3工程での酸素吹き込み量は、
第2工程より大幅に増大する。
【0039】底吹き羽口16からの窒素吹き込みは、第
2工程で60Nm/hrで、第3工程で200Nm
/hrであり、第3工程の方が多い。溶湯1ton当た
りに換算すると、第2工程では3,000リットル/h
r,第3工程では10,000リットル/hrである。
従来の電気炉でも酸素吹き込みにより攪拌する場合があ
るが、その吹き込み量は50〜500リットル/hrで
ある。本発明は電気炉が深バス構造であることにより、
吹き込み量が従来に比べて大幅に増大するとともに、従
来より攪拌のレベルが格段に増大する。また、ランスパ
イプ50から溶湯面に向かう大量酸素吹き込みにより、
溶湯の攪拌はより一層強いものとなる。
【0040】図2は、本発明の第2工程(アーク溶解工
程)での着炭効率を従来方法と比較して示す。着炭効率
は、炉内に供給された炭素量とアーク溶解工程終了時点
で溶銑に着炭した炭素量との比で表される。本発明方法
によれば、上述したように密閉型電気炉10によって炉
内COガスの過剰燃焼(カーボンロス)を抑えることが
できるため、着炭効率を上昇させることができる。着炭
効率は40%から80%の範囲で平均60%であり、従
来方法と比較して格段に上昇した。なお、図2は、微粉
コークスを供給すると着炭効率が一層高くなることも示
している。
【0041】図3は、第3工程終了時点での理論値のリ
ン分配比(溶鋼中のリンに対するスラグ中のリンの比)
と実績値のリン分配比の関係を示すものである。理論値
のリン分配比は水渡等が提唱している脱リン平衡式で、
実施時のスラグ中の種々の酸化物の含有率(分析値)に
基づいて計算される分配比である。これを横軸にし、同
一実施例での実際の分配比(スラグ及びメタル中のリン
の分析値の比)を縦軸にして示したものである。溶湯界
面の反応効率が最高の場合、実際のリン分配比が、計算
された分配比(平衡値)に達する(図4における破線上
の座標に位置する)ことになる。本発明では上記強攪拌
により非常に高い反応効率が得られ、従来方法に比べて
リン分配比が高く平衡値に近い。
【0042】本発明方法によれば、ほぼ同じ組成の溶鋼
を得るための溶解エネルギー原単位を従来方法より約2
5%低減することができた。また、上記第2,第3工程
はそれぞれ20〜30分程度であり、操業時間を短縮す
ることができる。
【0043】本発明は上記実施形態に制約されず、種々
の態様が可能である。例えば上記第2工程の過程で、大
片スクラップを分割供給してもよい。また、溶銑製造
後、脱炭せずに出鋼してもよい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の態
様によれば、電気炉でアーク溶解とともに加炭を行って
溶銑を得るので、鉄スクラップを低融点で溶解でき、溶
解エネルギー原単位を低減することができる。しかも、
密閉された空間で加炭を行うので、着炭効率を上昇させ
ることができる。
【0045】本発明の第2の態様によれば、深バスの炉
体とフードとスクラップ予熱手段により、安定した密閉
空間を得ることができる。本発明の第3の態様によれ
ば、溶銑製造工程に先だって加炭材の大部分を装入する
ので、加炭材の装入によって溶銑製造工程の時間が延び
るのを回避できる。
【0046】本発明の第4の態様によれば、上記溶銑製
造工程に先だって加炭材の大部分を装入するので、加炭
材の装入によって溶銑製造工程の時間が延びるのを回避
できる。しかも、上記溶銑製造工程の途中で、補填加炭
材としての粉状の加炭材を、上部電極からその下端近傍
のアークスポットに供給するので、着炭効率をより一層
向上させることができる。
【0047】本発明の第5の態様によれば、追加スクラ
ップの供給と酸素供給により、溶銑を脱炭して溶鋼を得
ることができる。また、この過程でも追加スクラップの
溶解エネルギー原単位を低減させることができる。本発
明の第6の態様によれば、溶鋼製造工程において大量の
酸素を供給でき、操業時間の短縮を図ることができる。
本発明の第7の態様によれば、深バス形状の炉体におい
て窒素ガスの底吹きを行うので、溶湯の攪拌を良好に行
うことができ、着炭効率の上昇,スクラップ溶解効率の
上昇、溶鋼の脱リンに寄与することができる。
【0048】本発明の第8の態様によれば、鉄スクラッ
プを大片スクラップ,小片スクラップに分けて異なる予
熱炉で予熱することにより、予熱効率を上げることがで
きる。また、大片スクラップを溶銑製造工程に先だって
炉内に供給して溶銑製造工程でアーク放電により溶解
し、小片スクラップを溶鋼製造工程で連続供給し溶湯脱
炭に伴う酸化反応熱で溶解することにより、溶解のため
の操業を安定して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態をなす鉄スクラップ溶解方
法において、溶銑製造工程を実行している状態を示す概
略図である。
【図2】同方法の溶銑製造工程において着炭効率を従来
方法と比較して示す図である。
【図3】同方法の攪拌効果をリン分配比によって、従来
方法と比較して示す図である。
【図4】従来の電気炉を示す概略図である。
【符号の説明】
10 電気炉 11 炉体 12 フード 13 上部電極 14 炉底電極 15 横吹き羽口 16 底吹き羽口 17 副原料投下口(シュータ) 20 回転炉(第1予熱炉,スクラップ予熱手段) 30 シャフト炉(第2予熱炉,スクラップ予熱手段) 50 ランスパイプ
フロントページの続き Fターム(参考) 4K001 AA10 BA22 FA10 4K013 BA17 4K014 CA01 CC05 CD13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実質的に密閉された電気炉の炉内空間にお
    いてアーク放電により鉄スクラップを溶解するとともに
    加炭を行い、炭素含有量が2%以上の溶銑を得ることを
    特徴とする鉄スクラップ溶解方法。
  2. 【請求項2】上記電気炉は、内径に比べて高さが大であ
    る炉体と、この炉体の上端炉口を覆うフードと、このフ
    ードに連なるスクラップ予熱手段とを有し、これにより
    上記溶銑製造工程において炉内空間を実質的に密閉する
    ことを特徴とする請求項1に記載の鉄スクラップ溶解方
    法。
  3. 【請求項3】上記溶銑製造工程に先だって鉄スクラップ
    とともに加炭材の大部分を装入することを特徴とする請
    求項2に記載の鉄スクラップ溶解方法。
  4. 【請求項4】上記電気炉は、上記フードを貫通する中空
    の上部電極と炉体の底部に設けられた炉底電極とを有
    し、 上記溶銑製造工程に先だって鉄スクラップとともに加炭
    材の大部分を装入しておき、上記溶銑製造工程の途中
    で、補填加炭材としての粉状の加炭材を、上部電極から
    その下端近傍のアークスポットに供給することを特徴と
    する請求項2に記載の鉄スクラップ溶解方法。
  5. 【請求項5】上記溶銑製造工程の後に、炉口を開放せず
    に上記スクラップ予熱手段からの追加スクラップを、フ
    ードを介して炉内空間に供給するとともに、酸素を供給
    し、これにより溶湯中の炭素含有量を低下させて溶鋼を
    得ることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の
    鉄スクラップ溶解方法。
  6. 【請求項6】上記溶銑製造工程では、炉体の羽口から炉
    内空間に酸素ガスをも吹き込み、炉内で酸化反応熱を発
    生させ、 上記溶鋼製造工程では、上部電極に換えてランスパイプ
    をフードに装着し、上記羽口のみならずこのランスパイ
    プから大量の酸素を供給することを特徴とする請求項5
    に記載の鉄スクラップ溶解方法。
  7. 【請求項7】上記溶銑製造工程および溶鋼製造工程にお
    いて、炉体の底部から窒素ガスを供給して溶湯を攪拌す
    ることを特徴とする請求項6に記載の鉄スクラップ溶解
    方法。
  8. 【請求項8】上記スクラップ予熱手段として、排ガス上
    流側の回転炉と排ガス下流側のシャフト炉とを備え、こ
    の回転炉は、上記追加スクラップとしての比較的小片の
    スクラップを上記溶鋼製造工程で発生する排ガスを利用
    して予熱するとともに連続的に電気炉内に供給し、上記
    シャフト炉は、比較的大片のスクラップを収容して、上
    記溶銑製造工程および溶鋼製造工程で発生する排ガスに
    より予熱し、溶鋼製造工程終了後に、予熱された大片ス
    クラップを次回チャージのために、上記回転炉,フード
    を経て電気炉内に供給することを特徴とする請求項5〜
    7のいずれかに記載の鉄スクラップ溶解方法。
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