JP4751228B2 - 精錬炉及び精錬方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑などの溶湯を精錬する精錬炉及びその精錬炉を用いた精錬方法に関するものである。
溶銑やスクラップを主原料とする鋼の精錬は、転炉を用いて行われる。転炉の炉口から転炉中に溶銑とスクラップを装入し、炉を直立させて酸素上吹きによって脱炭精錬を行うとともに、生石灰などを炉内に装入してスラグを生成し脱りん精錬や脱硫精錬をも行う。
スクラップの一種として、鉄以外の不純物を多く含む低級鉄スクラップがある。自動車や電気製品の製造過程で発生するプレス屑やシュレッダー屑は、亜鉛メッキ鋼板などを含んでいるため、亜鉛を多く含有する。また、自動車を廃車した場合、あるいは家電製品を廃棄する場合には、これらをシュレッダーによって破砕して各金属毎に選別するものの、鉄以外の金属や非金属が多く含有されることとなる。また最近は、廃棄自動車をプレスして鉄源とするプレス屑が多く発生する。自動車のプレス屑は、鉄以外の金属や非金属が特に多く含まれる。
低級鉄スクラップや自動車プレス屑を転炉精錬の主原料の一部として用いる場合、スクラップ中に含有されるCuやCrなどの非鉄金属は転炉精錬で除去されず、精錬後の溶湯中に残存する。転炉で溶製する鋼は、品種毎に含有し得る不純物の上限が定まっているので、スクラップから混入する不純物がこの上限を超えないよう、スクラップ中の不純物含有量を管理する必要がある。しかし、スクラップ中の不純物濃度はばらつきが大きいので、ばらつき最大のスクラップ中不純物濃度でも、溶製する品種の許容不純物濃度を超えないよう、スクラップの使用量を低く抑える必要が生じてくる。
転炉精錬等で発生する排ガス中には、酸化鉄や未酸化の鉄粉がダストとして含まれ、これらダストは主に湿式集塵機で集塵し、シックナーとプレス脱水機で脱水した上で天日乾燥し、リサイクル原料としての製鋼ダストとなる。この乾燥の段階で、未酸化の鉄粉も酸化される。このようにして完全酸化した製鋼ダストは、焼結材料としての利用や造粒による冷却材としての利用が一般的である。
転炉での脱りん精錬や脱炭精錬、二次精錬での脱硫精錬の結果として、製鋼スラグが発生する。製鋼スラグは塩基度が高く、凝固した後の経時変化でスラグ中に含まれる遊離石灰が膨張するため、土木材料としての用途が限られるという問題がある。また脱りん精錬で使用した製鋼スラグ中にはP25が含まれるが、製鋼スラグ中のP25濃度はせいぜい2〜8質量%程度であり、これでは燐酸肥料の用途に用いることはできない。
特許文献1においては、通常の溶銑を脱りん精錬して得られた脱りんスラグを別の溶銑浴に添加し、スラグ中のP25を還元してその溶銑中にPとして移行させ、その溶銑中のP濃度を0.5〜3%まで上昇させる第1工程と、第1工程で生成したスラグを除去した後にその溶銑中に高塩基度のフラックスを添加して精錬を行う第2工程でP25濃度が10〜30%のスラグを得ることのできる発明が記載されている。これにより、通常の脱りん精錬で得られたスラグからはP25を除去し、かわりにP25濃度の極めて高いスラグを生成し、この高P25スラグを肥料やりん酸原料として用いることができる。
特開平11−158526号公報
転炉で溶製する鋼は、品種毎に不純物含有量の上限が定められている。低級スクラップや自動車プレス屑中に含有される不純物濃度は一定しないので、これらの屑鉄を転炉主原料の一部として用いるに際しては、屑鉄中の不純物濃度が高めに振れた場合でもその溶製品種の不純物濃度上限を超えないよう、屑鉄の使用量を低く抑える必要があった。そのため、転炉精錬における低級スクラップや自動車プレス屑の消費量を伸ばすことができないという問題があった。
自動車プレス屑中には、金属のみならず多量の非金属が含有されている。含有する非金属物質には可燃性のものも多く含まれているため、高温の転炉中に装入する際に一気に蒸発・燃焼する。スクラップを転炉に装入する際には、転炉炉口を炉前側に傾動しているため、この炉口から多量の高温ガス、火炎、粉塵が噴出することとなり、クレーンワイヤーの損傷や建家外への粉塵漏洩等が発生する。
製鋼ダストを完全酸化せずに乾燥させ、粉体として溶銑中に吹き込むことができれば、酸化鉄を還元するためのエネルギーを減らすことができるので、製鋼ダストを原料として精錬する際のコストを低減することができる。通常の上吹き転炉や上底吹き転炉において、炉口から浸漬ランスを浸漬させて溶湯中に粉体を吹き込もうとすると、浸漬ランスの浸漬位置が酸素上吹きランスの近傍となるため、浸漬ランスが酸素ジェットの影響を強く受けて損傷される。浸漬ランスの損傷を防止しようとすると、上吹き酸素の送酸量を大幅に低減しなければならなくなる。また、底吹き羽口から製鋼ダストを吹き込むことも可能だが、吹き込み流量、吹き込み時期等の自由度が乏しく、十分な量の製鋼ダストを吹き込むことができない。
脱りんスラグを溶銑中に添加し、脱りんスラグを改質するとともに最終的に肥料として使用可能な高りんスラグを製造する処理において、溶銑の存在する精錬炉中に溶融状態の脱りんスラグを装入する際、スラグ中の酸素と溶銑中炭素とが反応し、炉前側に傾動している精錬炉炉口から火炎や粉塵が噴出することとなり、クレーンワイヤーの損傷や建家外への粉塵漏洩等が発生する。
本発明は、低級スクラップや自動車プレス屑の使用量の増大を可能とし、自動車プレス屑や溶融スラグを炉内に装入する際に発生する火炎や粉塵を防止する精錬炉及び精錬方法を提供することを第1の目的とする。また、粉体の製鋼ダストを鉄浴内に吹き込むことができる精錬炉及び精錬方法を提供することを第2の目的とする。さらに、上吹きランス以外の手段を用いて精錬炉内にエネルギー源を供給する手段を提供することを第3の目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)第1の開口部3と第2の開口部4を有し、傾動軸2の回りに傾動可能な精錬炉1であって、第2の開口部4にかぶせる開閉蓋8を有し、第1の開口部3から傾動軸2に下ろした垂線23の方向と第2の開口4部から傾動軸2に下ろした垂線24の方向とは、互いに異なった角度に配置されており、一方の開口部から主原料又はスラグを装入する際に他方の開口部から集塵することを特徴とする精錬炉。
(2)第1の開口部3から傾動軸2に下ろした垂線の足33と第2の開口部4から傾動軸2に下ろした垂線の足34は傾動軸方向に異なった位置に配置され、第1の開口部3から排ガスを吸引する排ガスダクト6と、第2の開口部4から集塵する集塵口7とを有し、精錬炉の傾動角度を一定の角度としたときに第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対し、精錬炉の傾動角度を別の一定の角度としたときに第2の開口部4と集塵口7とが相対することを特徴とする上記(1)に記載の精錬炉。
(3)第2の開口部4と集塵口7とが相対する傾動角度において、第1の開口部3から主原料やスラグを装入可能であることを特徴とする上記(2)に記載の精錬炉。
(4)第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度において、第2の開口部4からスクラップ又はスラグを装入可能であることを特徴とする上記(2)又は(3)に記載の精錬炉。
(5)第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度において、第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせることが可能であることを特徴とする上記(2)乃至(4)のいずれかに記載の精錬炉。
(6)排ガスダクト6から第1の開口部3を経由して精錬炉内に挿入する酸素ランス15、浸漬ランス17のうちの1以上を有し、及び/又は、開閉蓋8から第2の開口部4を経由して精錬炉内に挿入する浸漬ランス17、上吹き酸素ランス18、粉体溶射バーナーノズル19のうちの1以上を有することを特徴とする上記(2)乃至(5)のいずれかに記載の精錬炉。
(7)第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度において溶湯に浸漬しない位置の炉壁に、酸素を吹き込むノズル20と燃焼バーナーノズル21の一方又は両方を有することを特徴とする上記(6)に記載の精錬炉。
(8)第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度において溶湯に浸漬する位置の炉壁又は炉底に、ガス吹き込み羽口22を有することを特徴とする上記(2)乃至(7)のいずれかに記載の精錬炉。
(9)炉壁に出湯孔5を有することを特徴とする上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の精錬炉。
(10)炉の内部空間形状が、傾動軸方向に長いことを特徴とする上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の精錬炉。
(11)第2の開口部4と集塵口7とが相対する傾動角度に精錬炉を傾動させ、第2の開口部4を通じて集塵口7から集塵しつつ、第1の開口部3から低級スクラップ、自動車プレス屑又は溶融スラグを装入することを特徴とする上記(3)に記載の精錬炉を用いた精錬方法。
(12)第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度に精錬炉を傾動させ、第1の開口部3から排ガスダクト6を通じて集塵しつつ、第2の開口部4から低級スクラップ又は自動車プレス屑を装入することを特徴とする上記(4)に記載の精錬炉を用いた精錬方法。
(13)転炉排ガスから湿式集塵によって得られたダストを酸化抑制雰囲気で乾燥し、精錬炉1内に溶湯を装入し、排ガスダクト6から第1の開口部3を経由して精錬炉内に挿入した酸素ランス15で溶湯に酸素ガスを吹き付け、第2の開口部4にかぶせた開閉蓋8から第2の開口部4を経由して精錬炉内に挿入した浸漬ランス17を用いて前記乾燥したダストを溶湯中に吹き込むことを特徴とする上記(6)に記載の精錬炉を用いた精錬方法。
本発明は、第1の開口部3と第2の開口部4を有し、傾動軸2の回りに傾動可能な精錬炉1であって、一方の開口部から自動車プレス屑やスラグを装入する際に他方の開口部から集塵することができるので、装入時に装入口から火炎や粉塵が発生することを防止できる。また、第1の開口部3から酸素ランス15で上吹き送酸する際に第2の開口部4から浸漬ランス17を挿入できるので、酸素ランス15と浸漬ランス17の間の間隔をあけることができ、酸素ランス15からの送酸量を低下させずに浸漬ランス17から粉体を吹き込むことができる。さらに、粉体溶射バーナーや壁面に設置された燃焼バーナーなど、上吹きランス以外の手段を用いて精錬炉内にエネルギー源を供給することができる。
図1〜6に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
本発明の精錬炉1は、通常の転炉と同様、傾動軸2を有し、傾動軸2の回りに傾動可能である。一方通常の転炉が炉口を1つしか有していないのに対し、本発明の精錬炉は第1の開口部3と第2の開口部4の2つの開口部を有している。2つの開口部の位置関係としては、図6に示すように、第1の開口部3から傾動軸2に下ろした垂線(以下「第1の垂線23」ともいう。)の方向と第2の開口部4から傾動軸に下ろした垂線(以下「第2の垂線24」ともいう。)の方向とは、互いに異なった角度に配置されていることを特徴とする。図6(a)のように傾動軸2の方向に見たとき、第1の垂線23と第2の垂線24とがなす角度をθと置く。
ここで垂線とは、特定の直線と垂直に交わる直線を意味する。そして垂線の足(あし)とは、その特定直線と垂線との交点を意味する。本発明では、傾動軸2がこの特定直線に該当する。
2つの開口部が、傾動軸2から見て互いに異なった角度に配置されているため、一方の開口部が傾動軸の直上に位置しているとき(以下このような位置を「直立位置」という。)に、他方の開口部は傾動軸直上から傾いた位置に存在することとなる。このとき、直立位置にある開口部を排ガスダクトあるいは集塵口と相対するように配置すれば、この開口部から精錬炉内のガスを吸引することができる。同時に、傾動軸の直上から傾いた位置に存在する開口部を、主原料装入に好適な角度に配置しておけば、この開口部から主原料を装入することができる。もうひとつの開口部から精錬炉内のガスを吸引しているので、精錬炉内が若干負圧になり、装入している開口部から装入された原料から発生する粉塵・火炎は開口部から漏洩せず、炉内を経由して集塵している開口部から吸引される。
本発明はこれにより、一方の開口部から、高温の炉内に自動車プレス屑を装入する場合、あるいは溶銑が存在する炉内に溶融スラグを装入する場合であっても、装入に際して発生する火炎や粉塵は他方の開口部から吸引・集塵されるので、装入する開口部から火炎や粉塵が外部に放散する事態を回避することが可能となる。
第1の垂線23と第2の垂線24とがなす角度θは、30〜70度の範囲であると好ましい。θが小さすぎても大きすぎても、第2の開口部4を直立位置として集塵口7と相対したときの第1の開口部3の位置が高すぎあるいは低すぎ、第1の開口部3から溶湯やスクラップ等の主原料及び溶融スラグを装入することが困難となる。θが30〜70度の範囲であれば、主原料や溶融スラグを装入するのに好適である。
本発明の精錬炉は、第2の開口部4にかぶせる開閉蓋8を有している。従って、この精錬炉で酸素吹き込み精錬を行うに際しては、第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせ、第1の開口部3のみを開口して精錬を行うことが可能となる。
本発明の精錬炉は好ましくは、第1の開口部3から排ガスを吸引する排ガスダクト6と、第2の開口部4から集塵する集塵口7とを有し、精錬炉の傾動角度を一定の角度としたときに第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対し、精錬炉の傾動角度を別の一定の角度としたときに第2の開口部4と集塵口7とが相対するように配置する。通常、第1の開口部3が直立位置にあるときに排ガスダクト6と相対し(図1)、第2の開口部4が直立位置にあるときに集塵口7と相対する(図2)ように配置する。本発明の精錬炉はさらに、第1の開口部3から傾動軸2に下ろした垂線の足33と第2の開口部4から傾動軸2に下ろした垂線の足34は傾動軸方向に異なった位置に配置される(図6(b))。その結果、第1の開口部3が直立位置にあるときの部位と、第2の開口部4が直立位置にあるときの部位とが異なった位置となるので、図1(d)に示すように、排ガスダクト6と集塵口7を別々の位置に設置することが可能となるのである。
本発明の好ましい実施の形態では、第2の開口部4と集塵口7とが相対する傾動角度において、第1の開口部3から主原料や溶融スラグを装入可能である。例えば、第2の開口部4が直立位置にあるときに、第2の開口部4が集塵口7と相対すると同時に、第1の開口部3が主原料やスラグを装入するに最適な傾動角度となっている(図2(a)、図3(a))。その結果、第1の開口部3から主原料やスラグを装入し、多量の火炎や粉塵が発生したとしても、それら火炎や粉塵は第2の開口部4から集塵口7を通して集塵されるので、火炎や粉塵が炉外に漏出することがない。ここで火炎や粉塵を発生させる主原料とは、鉄以外の物質を多く含む自動車プレス屑などの鉄スクラップ、または溶鉄を指す。
本発明の別の好ましい形態では、第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度において、第2の開口部4からスクラップを装入可能である。例えば、第1の開口部3が直立位置にあるときに、第1の開口部3が排ガスダクト6と相対すると同時に、第2の開口部4がスクラップを装入するに最適な傾動角度となっている(図3(b))。その結果、第2の開口部4から自動車プレス屑を装入し、多量の火炎や粉塵が発生したとしても、それら火炎や粉塵は第1の開口部3から排ガスダクトを通して集塵されるので、火炎や粉塵が炉外に漏出することがない。
第2の開口部4にかぶせる開閉蓋8については、精錬炉が傾動する際に炉とともに動くものであってもよいし、図1、2に示すように、開閉蓋8を建家側に配置するものであってもよい。建家側配置とする場合には、精錬炉の傾動角度を特定の角度としたときに、第2の開口部4が開閉蓋8と相対し(図1)、このときに開閉蓋8を移動することによって第2の開口部4を開閉蓋8で閉鎖するのである。
特に、第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度において、第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせることが可能であることとすると好ましい。通常、第1の開口部3が直立位置にあるときに排ガスダクト6と相対する(図1)。このような位置で第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせることにより、第2の開口部4は閉鎖され、図1(c)(d)に示すように、第1の開口部3を通じて酸素ランス15を挿入すれば酸素精錬を行うことが可能となる。
開閉蓋8は、精錬炉内を向く側を耐火物で覆い、開閉蓋8と傾動軸2との間の間隔を可変とする駆動装置30を有すると好ましい。第2の開口部4が開閉蓋8と相対する位置において、開閉蓋8と駆動軸2との間隔を狭めるように開閉蓋8を駆動すれば、開閉蓋8によって第2の開口部4を閉鎖することができる(図1(a)(b))。開閉蓋8と傾動軸2との間隔を広げるように開閉蓋8を駆動すれば、第2の開口部4が開閉蓋8から解放され、精錬炉を傾動軸の周りに傾動することが可能となる。開閉蓋8をさらに傾動軸2から遠ざけるか、あるいは開閉蓋8を第2の開口部4の横方向に移動することにより、第2の開口部4を通じてスクラップを装入することが可能となる(図3(b))。
上記実施の形態における本発明の精錬炉は、主原料の装入が完了した後、第1の開口部3と排ガスダクト6とが相対する傾動角度に炉を傾動させ、第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせる(図1(a)(b))。
このとき、排ガスダクト6から第1の開口部3を経由して精錬炉内に挿入する酸素ランス15、浸漬ランス17のうちの1以上を有することにより、精錬が行われる。また、開閉蓋8から第2の開口部4を経由して精錬炉内に挿入する浸漬ランス17、上吹き酸素ランス18、粉体溶射バーナーノズル19のうちの1以上を有することにより、精錬をより効率的に行うことができる。図4において、第1の開口部から酸素ランス15を挿入し、第2の開口部から浸漬ランス17を挿入した状況が描かれている。
排ガスダクト6から第1の開口部3を経由して精錬炉内に挿入する酸素ランス15は、通常の上吹き転炉における酸素ランスが転炉の炉口を経由して転炉内に挿入されるのと同様に機能することができる。精錬炉内に装入された主原料に対して、酸素ランス15の先端ノズルから純酸素を吹き付けることによって、脱りん精錬反応、脱炭精錬反応を進行させるとともに、別に添加した炭材を燃焼することによって溶湯に熱エネルギーを注入する役割を果たす。
第1の開口部3から挿入する酸素ランス15とは別に、第2の開口部4から挿入する上吹き酸素ランス18を設置することができる。第2の開口部4から挿入する上吹き酸素ランスの利用方法としては、次の2点が挙げられる。
すなわち、(1)スクラップを第2の開口部から装入する場合、(2)脱りん精錬を行う場合、の2点である。(1)の場合には、装入されたスクラップの溶解を促進するため、第2開口部から酸素吹込みを、第1開口部から炭材吹込を行うことが望ましい。また(2)の脱りん精錬の場合には、第1と第2の両方の開口部から酸素ランスを挿入して酸素供給位置を分散させ、それぞれの位置での酸素供給速度を低減してソフトブロー化することによって、スラグ中酸素ポテンシャルの向上を図ることが望ましい。
浸漬ランス17は、図4(b)に示すように、ランスの先端を溶湯中に浸漬し、溶湯内に粉体を吹き込む機能を有する。ランスは耐火物で覆われ、溶湯中に浸漬するランス先端部には粉体を吹き込むノズルが開口している。吹き込みノズルから、キャリアーガスとともに粉体を溶湯中に吹き込むことができる。キャリアーガスとしては窒素ガスを用いることができる。浸漬ランスを用いて溶湯中に吹き込む粉体としては、エネルギー源となる炭材、鉄源となる製鋼ダストをはじめとする各種ダスト類、スラグを形成するための石灰・ドロマイト類を挙げることができる。
浸漬ランス17については、排ガスダクト6から第1の開口部3を経由して精錬炉内に挿入することも、図4(b)に示すように開閉蓋8から第2の開口部4を経由して精錬炉内に挿入することも可能である。浸漬ランス17は主として第2の開口部4を経由して精錬炉内に挿入するが、前述のようにスクラップを第2の開口部から装入する場合には、酸素ランスを第2の開口部4を経由して挿入し、炭材吹込のための浸漬ランスを第1の開口部3を経由して挿入することが望ましい。
溶湯中に粉体を吹き込むのであれば、炉底羽口から吹き込むことももちろん可能である。ただし、炉底羽口から吹き込む場合には、粉体吹き込み速度(単位時間吹き込み量)は羽口の形状によって制限され、吹き込みタイミングも自由度が乏しい。それに対し、浸漬ランス17から粉体を吹き込むこととすれば、先端のノズル形状を選択することで自由に粉体吹き込み速度を選択することができる。また、吹き込みタイミングについても、吹き込みたい時期に浸漬ランス17を炉内に挿入すればいいので、自由な時期に吹き込みを行うことができる。
本発明の精錬炉は、酸素ランス15を挿入する第1の開口部3とは別に第2の開口部4を有しており、かつ好ましくは第1の開口部から傾動軸に下ろした垂線の足33と第2の開口部から傾動軸に下ろした垂線の足34は、図6(b)に示すように、傾動軸方向に異なった位置に配置される。その結果、第2の開口部4からランス類を挿入することとすれば、酸素ランス15からの上吹き酸素ジェットから離れた位置にランス類を配置することができる。この点が本発明の重要な特徴となっている。
浸漬ランス17を用いてダスト粉や炭材粉を浸漬ランスから吹き込むと、吸熱反応により精錬炉内の温度が低下する。そのため、粉体吹き込み中あるいは吹き込み前後に、溶湯に酸素吹き込みを実施し、あるいは粉体溶射バーナー19や壁面の燃焼バーナー21を用いてバーナー火炎を吹き込むことにより、炉内にエネルギーを注入することは有効である。また非吹錬中に炉内雰囲気温度を高め、種湯温度の低下や壁面冷却による耐火物損耗を防ぐためにも有効である。
粉体溶射バーナーの構造については、例えば特許第3584434号公報(製鋼排出物処理用バーナー)に示されるように、燃料、粉体、酸素を中心孔および環状スリットから吹込むノズルがある。また燃料はLPG等の気体燃料でもよいし、灯油や重油等の液体燃料でもよい。用いる粉体はCaOまたはSiO2を主成分とする生石灰粉や石炭灰等である。粉体を火炎と共に投射する目的は2つある。1点はスラグの塩基度調整であり、小塊を上方から投入するよりも、粉体を溶融状態でスラグ面に吹き付ける方が溶解・混合を効率よく行える利点がある。もう1点はバーナーの着熱効率の向上である。すなわちバーナー火炎単独では輻射対流伝熱による着熱となるが、溶融粉体をスラグ面に投射することにより、接触伝熱を付加できる効果がある。
第2の開口部4からランス類を炉内に挿入するに際しては、開閉蓋8にランス挿入口31を備え、その挿入口を通じてランスを挿入すると良い。
溶湯表面に対して酸素を吹きつけたりエネルギーを注入するに際しては、上記各種ランスを用いる以外にも、炉壁に設けたノズルを用いて酸素やエネルギーを照射することとしても良い。このため本発明では、図4(d)に示すように、第1の開口部と排ガスダクトとが相対する傾動角度において溶湯に浸漬しない位置の炉壁に、酸素を吹き込むノズル20と燃焼バーナーノズル21の一方又は両方を設けると良い。炉壁に設ける酸素ノズルおよび燃焼バーナーノスルの例としては、主として電気炉で利用されているパネル埋込み型ノズルがある(参考文献 AISE STEEL TECHNOLOGY May 2001.P21)。
精錬炉内の溶湯を攪拌することで精錬反応を促進し、溶湯の混合を促進することができる。炉体の壁面あるいは底面からガスを吹き込んで、このガスで溶湯を攪拌すると好ましい。このため、本発明においては、図4(d)に示すように、第1の開口部と排ガスダクトとが相対する傾動角度において溶湯に浸漬する位置の炉壁又は炉底に、ガス吹き込み羽口22を設けると好ましい。ガス吹き込み羽口22は、単管として窒素ガスを吹き込むことができる。あるいは二重管とし、内管からは純酸素を吹き込み、外管と内管との間の空間からは、冷却ガスとしてLPG、CO2、窒素等を吹き込むこととしてもよい。
本発明の精錬炉の炉壁に出湯口5を設けると良い。出湯口5は、図1(b)に示すように、第1の開口部3を直立したとき、第2の開口部4が存在する側面と反対側の側面に配置すると良い。第1の開口部3を直立させての炉内の溶湯の精錬が完了した後、出湯口5が下がる方向に炉を傾動させることにより、出湯口5から炉内の溶湯35を出湯することができる(図5(a))。その後、精錬炉を反対側に傾動し、第2の開口部4から炉内に残留したスラグ36を排出することができる(図5(b))。出湯口5の位置は、第1の開口部3から主原料としての溶湯を装入するに際し、その溶湯が出湯口からこぼれ出ることのない位置に設置すると良い。
通常の酸素上吹き転炉は、直立したときにその内部空間形状が縦長の形状を有している。それに対し、本発明の精錬炉の内部空間形状としては、第1の開口部3を直立し、第1の開口部3から酸素ランス15を用いて酸素を上吹きしつつ、第2の開口部4から浸漬ランスなどを挿入して粉体吹き込みなどを行う。浸漬ランス17は上吹き酸素の影響を受けない位置に浸漬させることとなる。このように、本発明の精錬炉は傾動軸方向に空間を必要とするため、炉の内部空間形状が、図1(d)に示すように、傾動軸方向に長いこととすると好ましい。
本発明の精錬炉を用いて低級スクラップや自動車プレス屑を溶解する場合には、これらスクラップを炉内に装入してから溶銑を装入する方法と、種湯としての溶銑を予め炉内に配置しておき、そこにこれらスクラップを装入する方法とがある。いずれを採用しても良い。スクラップ装入後、炭材を添加しつつ酸素吹き込みを行うと、スクラップの迅速溶解が可能になると同時に、スクラップ比率を高めて溶解を行うことができる。溶銑中に高濃度の炭素を含むことにより、溶解温度を下げ、スクラップを溶解することができる。スクラップの溶解に伴って溶銑中の炭素濃度が下がるので、炭材を添加して炭素源を供給する。さらに添加した炭材を吹き込んだ酸素で燃焼し、この燃焼熱をエネルギーとして用いることとすれば、スクラップ比率の高い溶解を行うことができる。
本発明の精錬炉をスクラップ溶解のみを目的として使用する場合、炉内に種湯としての溶銑を保持し、そこに上記の方法でスクラップを装入し、炭材を添加しつつ酸素吹き込みを行ってスクラップを溶解し、溶銑とする。溶解完了後、装入したスクラップ量に見合うだけの溶銑を出湯口5から出湯し、その溶銑を主原料として別の転炉を用いて鋼を製造することができる。スクラップ溶解を行った精錬炉には種湯が残るので、ここに新たなスクラップを装入することによってスクラップ溶解を続けることができる。
以上のように、本発明の精錬炉を用いてスクラップを溶解し、溶銑を製造した場合には、精錬完了時の溶銑成分を分析することができる。その結果、溶銑中に含まれるCrやCuなどの不純物成分が判明するので、この成分値に基づき、この溶銑の使用方法を判断することができる。具体的には、CrやCuなどの不純物成分が少ない溶銑、例えば高炉溶銑と上記スクラップ溶解溶銑とを混合して転炉精錬の原料とするに際し、スクラップ溶解溶銑の使用量を、転炉で製造する鋼に許容される不純物濃度の範囲内に的確に制御することが可能となる。
従来、低級スクラップや自動車プレス屑を転炉精錬の主原料として用いる場合、スクラップ中に含まれる不純物含有量が不明であってばらつきが多いため、これらスクラップの使用量を十分に増大することができなかった。それに対し、本発明の精錬炉でスクラップを溶解して溶銑とした後に、この溶銑を転炉主原料として用いることとすれば、不純物含有量を的確に把握した後に転炉で用いることができるので、結果的にスクラップ使用量を増大することが可能となる。
本発明の精錬炉は、図4に示すように、第1の開口部3から挿入した酸素ランス15を用いて炉内に酸素吹き込みを行いつつ、第2の開口部4から挿入した浸漬ランス17を用いて溶湯中に粉体を吹き込むことができる。この機能を利用することにより、転炉ダストを過度に酸化させずにそのまま製鋼主原料とすることが可能となる。以下に説明する。
通常の転炉精錬で発生した排ガスは、OG式湿式集塵によって集塵され、集塵されたダストはシックナー、プレス脱水機を経由して水分含有量を減少させる。このようにして得られたダストを酸化抑制雰囲気で乾燥する。具体的には、例えば、400℃以上の燃焼排ガスまたは高温窒素の気流中にスラリー状態または脱水した状態の転炉ダストを導入し、サイクロンまたはバグフィルターを通すことによって乾燥した粉状の製鋼ダストを得ることができる。
本発明の精錬炉内に溶湯を装入し、排ガスダクトから第1の開口部を経由して精錬炉内に挿入した酸素ランス15で溶湯に酸素ガスを吹き付け、第2の開口部にかぶせた開閉蓋8から第2の開口部を経由して精錬炉内に挿入した浸漬ランス17を用いて上記乾燥したダストを溶湯中に吹き込む。転炉で発生するダストはその大部分が酸化鉄及び鉄であり、鉄を過度に酸化させずに乾燥して本発明の精錬炉内に添加するので、ダストを溶鉄とするに際しての還元エネルギーを削減して用いることが可能となる。
通常の転炉精錬で発生した高塩基度かつ低いP25含有量である転炉スラグを改質し、低塩基度でほとんどP25を含有しないスラグとし、併せてP25含有量が極めて高いスラグを生成するに際し、本発明の精錬炉を用いると好ましい。以下に説明する。
本発明の精錬炉に溶銑を収容しておき、転炉精錬で発生した高塩基度かつ低いP25含有量である転炉スラグを溶融状態で第1の開口部3から装入する。このとき、第2の開口部4は集塵口7と相対している。溶銑中に転炉スラグを装入するに際し、溶融スラグが炉内の溶銑と反応してガスや火炎が激しく発生するが、第2の開口部4から集塵口7を通して炉内雰囲気を排出しているので、発生したガスや火炎は第1の開口部3から漏出することがなく、すべて第2の開口部4を通じて集塵することができる。
スラグの装入が完了した後、第1の開口部3を直立させ(図4)、炉内にSiO2源を添加してスラグの塩基度を下げ、炭材を投入しつつ酸素吹き込みを行って熱エネルギーを注入し、スラグを溶解しつつスラグ中のP25を還元して溶銑のP含有量を増大させる。SiO2源を添加するに際し、粉体溶射バーナーノズルを用いて粉体SiO2源を添加することとすれば、スラグの溶解を促進させることができる。
還元精錬が完了すると、スラグは低塩基度となり、P25をほとんど含有しない成分となる。第2の開口部4を通じてこのスラグを炉外に排出する(図5(b))。塩基度が低いので、通常の高塩基度スラグのようにCaOの膨張が発生することがなく、土木材料として使用することが可能となる。
炉内にはP濃度が上昇した溶銑が残留している。この溶銑を用い、高塩基度でP25を含有する転炉スラグを装入して還元精錬を行う処理を繰り返す。その結果として、低塩基度でP25をほとんど含有しないスラグを生成すると同時に、溶銑中のP濃度が逐次上昇する。
溶銑中のP濃度が0.2質量%以上となったなら、次にこの高P溶銑を用いて、P25含有量が高いスラグを生成することができる。精錬炉内に石灰源を投入し、酸素吹き込みによって脱P処理を行う。炉内の溶銑中にはSiがほとんど含まれないので、少ない石灰源の投入で高塩基度スラグを形成することができる。この結果、スラグ中のP25濃度を10%以上に濃縮することができる。このスラグを第2の開口部4から排出する(図5(b))。P25濃度が極めて高いので、リン酸肥料やリン原料として用いることが可能となる。
本発明の精錬炉1として、図1〜5に示すように、傾動軸周りに傾動可能であり、第1の開口部3、第2の開口部4、出湯口5を有する炉を用いた。第1の開口部3から傾動軸に下ろした第1の垂線23の方向と第2の開口部から傾動軸に下ろした第2の垂線24の方向との間の角度θは45度である。第1の垂線の足33と第2の垂線の足34との間の間隔Dは4.5mである(図6)。炉内空間形状は、傾動軸2の径方向における内径が最大で直径4.5mであり、傾動軸の軸方向の幅が8.5mである。
第1の開口部3を直立させる位置で、第1の開口部3は排ガスダクト6と相対する(図1)。排ガスダクト6から排ガスを吸引し、OG式湿式集塵装置によって集塵を行い、集塵後のガスは燃料ガスとしてガスホルダーに回収される。第2の開口部4を直立させる位置で、第2の開口部4は集塵口7と相対する(図2)。集塵口7から排ガスを吸引し、バグフィルターによって集塵を行う。
第1の開口部3が直立した位置において、第1の開口部3から酸素ランス15を挿入し、精錬炉内の溶湯に酸素ガスを上吹きすることができる(図4(c))。
第1の開口部3が直立した位置において、第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせることができる(図4(b))。開閉蓋8にはランス挿入口31を有し、ここから挿入した浸漬ランス17を用い、N2ガスをキャリアガスとして、炉内の溶湯中に粉体を吹き込むことができる。また、ランス挿入口30から粉体溶射バーナーノズル19を挿入することもできる。
第1の開口部3が直立したときに溶湯に浸漬する位置の炉底には、窒素ガスを吹き込むためのガス吹き込み羽口22を有する(図4(d))。
(実施例1)
低級スクラップと自動車プレス屑を溶解して溶銑とし、別の転炉での精錬主原料として用いるに際し、本発明の精錬炉1を適用した。
精錬炉内に種湯として150トンの溶銑を装入しておき、H3、H4等の低級スクラップ及び自動車プレス屑を50トンシュート26に詰め、第2の開口部4を直立させた状態で第1の開口部3から装入した(図3(a))。第1の開口部3は45度の角度で傾いているので、シュート26からスクラップ類を炉内に装入することができる。また、第2の開口部4に相対する集塵口7を通じて炉内が負圧となっているので、自動車プレス屑装入時に発生するガスや火炎はすべて第2の開口部4から吸引され、第1の開口部3から外へ漏洩するガスは皆無であった。このあと、スラグの塩基度低下を防ぐために、塩基度1.5以上の転炉スラグ10トンを溶融状態でスクラップと同様の方法で第1の開口部3から炉内に装入した(図2(a))。
装入完了後、精錬炉を傾動させ、第1の開口部3が直立する位置とした(図4)。この位置において、第1の開口部3は排ガスダクト6と相対し、第2の開口部4は開閉蓋8をかぶせることが可能な位置になる。この位置で第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせ、第1の開口部3から酸素ランス15を挿入して送酸を開始した(図4(c)(d))。送酸開始後、第2の開口部4にかぶせた開閉蓋8のランス挿入口31を開け、浸漬ランス17を炉内に挿入し、炉内への微粉炭の吹き込みを開始した(図4(b))。酸素吹き込み中は、溶湯の攪拌効果を上げるため、炉底に配置した複数のガス吹き込み羽口22から窒素ガスを合計で1200Nm3/hの流量で吹き込んだ(図4(d))。
浸漬ランス17を通じて微粉炭を9トン吹き込み、炉上から小塊石炭を6トン投入し、酸素ランス17から酸素を10800Nm3送酸したところで精錬操作を終了した。炉内に装入したスクラップ類は溶解を完了している。溶銑成分の分析を行い、種湯150トンを残し、出湯口5を通じて溶銑を溶銑鍋28へと払い出し(図5(a))、スラグは反対側に傾動して第2の開口部4からスラグ鍋29へと払い出した(図5(b))。エネルギー源としては微粉炭及び小塊石炭を用いたが、廃タイヤ等の利用も可能である。
払い出した溶銑は、別の高炉溶銑と共に、転炉での精錬主原料として用いられる。スクラップ溶解溶銑中の不純物濃度が分析の結果判明しているので、転炉精錬で製造する鋼品種が許容する不純物範囲となるように、最大限にスクラップ溶解溶銑を使用することが可能である。
払い出したスラグは、塩基度が1〜1.2となるように調整しているので、膨張特性のない骨材として土木用材料に供された。
(実施例2)
転炉の排ガスを湿式集塵して得られたダストを過度に酸化させずに用いて還元溶解するに際し、本発明の精錬炉を適用した。
転炉の排ガスをOG湿式集塵装置で集塵し、シックナーと、プレス脱水機を経由して水分含有量を22質量%に減少させた後、400℃の高温窒素雰囲気で乾燥し、水分含有量1.0%質量以下の粉状ダストを得た。この状態で、ダスト中にはFeOが69質量%、Fe23が0質量%、金属Feが23質量%含まれていた。
本発明の精錬炉内に200トンの溶銑を装入しておき、第1の開口部3を直立して第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせ、開閉蓋8のランス挿入口30から浸漬ランス17を溶銑中に浸漬し、この浸漬ランス17を通じて乾燥した上記ダストを溶銑中に吹き込んだ(図4(b))。ダスト吹き込みと並行して、第1の開口部3から酸素ランス15を介して酸素を上吹きし(図4(c))、併せて小塊石炭を連続的に投入した。攪拌力を確保するために、ダスト吹き込みによる攪拌の他に、炉底のガス吹き込み羽口22から窒素ガスを1200Nm3/hの流量で吹き込んだ(図4(d))。スラグの塩基度の低下を防ぐために、塩基度1.5以上の転炉スラグを20トン装入した。
以上の方法でダストの還元と溶解を実施したところ、ダスト1トン当たり酸素353Nm3/トン、炭材(C品位78%)587kg/トンの消費が必要であった。ダストを完全に酸化してから還元・溶解する従来法と比較し、酸素と炭材の消費量を36%削減することができた。
ダストを還元溶解して得られた鉄分は溶銑として回収し、転炉精錬に供した。エネルギー源としては微粉炭及び小塊石炭を用いたが、廃タイヤ等の利用も可能である。
(実施例3)
転炉精錬で発生した高塩基度でP25を含有するスラグを、低塩基度でP25をほとんど含まないスラグに改質し、併せてP25含有量が10%を超える高P25スラグを形成するに際し、本発明の精錬炉を適用した。
本発明の精錬炉に高炉溶銑を200トン装入しておき、塩基度が2.0でP25含有量が4.0質量%の転炉スラグを20トン、第1の開口部から炉内に装入した。第2の開口部4が直立して集塵口7と相対し、第2の開口部4から炉内の雰囲気を吸引しているので、溶融スラグ装入時にスラグと溶銑が反応して発生するガスや火炎はすべて第2の開口部4から集塵され、炉外へのガスの漏洩は皆無であった。
第1の開口部3を直立して第2の開口部4に開閉蓋8をかぶせ、炉底のガス吹き込み羽口22から1200Nm3/h以上の窒素ガスを溶銑中に吹き込んで強攪拌を行いつつ、小塊石炭を6.3トン添加し、酸素ランス15を通じて酸素を440Nm3吹き込み、初期のスラグ還元処理を行った(図4)。このとき、開閉蓋8のランス挿入口31から粉体溶射バーナーノズル19を炉内に装入し、フライアッシュを溶解しながら炉内に添加した。フライアッシュ添加量は、炉内のスラグ塩基度が1.2程度となるように調整した。
以上の精錬により、スラグの塩基度が低下した結果としてスラグ中のP25が還元され、溶銑中のP濃度が上昇した。精錬後のスラグ成分及び溶銑中のP含有量は、表1の「Blow1処理後」の欄に記載したとおりである。
精錬完了後、第2の開口部4からスラグだけを排出し、次いで第1の開口部3から第1回と同様の成分の転炉スラグを第1回と同じ分量装入し、同様の精錬を繰り返し行った。合計3回のスラグ装入と精錬を繰り返した。精錬後のスラグ成分及び溶銑中のP含有量は、表1の「Blow2、3処理後」の欄に記載したとおりである。最終的に溶銑中のP含有量は0.51質量%まで濃縮された。
Figure 0004751228
次いで、転炉スラグを第2の開口部4から排出した後、炉内に生石灰を3トンと鉄鉱石を5トン添加し、第1の開口部を通じた酸素ランス15及び第2の開口部を通じた上吹き酸素ランス18の両方から合計で3500Nm3の酸素を吹き込んだ。このとき、炉底のガス吹き込み羽口22からは窒素ガスを合計で600Nm3/hの流量で吹き込んで溶銑を攪拌し、脱りん反応を促進させた。
その結果、溶銑中のP含有量は0.13質量%まで低下し、スラグ中のP25含有量は23.4質量%まで上昇した。このスラグを第2の開口部から排出し、リン製品の原料及びリン酸肥料として有効活用した。
炉内の溶銑の一部を出湯口から排出し、残りは種湯として引き続きスラグの還元精錬に供した。
本発明の精錬炉を示す図であり、(a)は側面図であってA−A矢視図、(b)はB−B矢視断面図、(c)はC−C矢視断面図、(d)は正面断面図である。 本発明の精錬炉を示す図であり、(a)は側面図であってA−A矢視図、(b)はB−B矢視断面図、(c)はC−C矢視断面図、(d)は正面図である。 本発明でスクラップ挿入時の精錬炉を示す側面図である。 本発明の精錬炉を示す図であり、(a)は側面図であってA−A矢視図、(b)はB−B矢視断面図、(c)はC−C矢視断面図、(d)は正面断面図である。 本発明の精錬炉を示す側面図であり、(a)は溶湯排出時、(b)はスラグ排出時を示す図である。 本発明の精錬炉の開口部の配置を示す図であり、(a)は側面図、(b)は斜視概念図である。
符号の説明
1 精錬炉
2 傾動軸
3 第1の開口部
4 第2の開口部
5 出湯口
6 排ガスダクト
7 集塵口
8 開閉蓋
15 酸素ランス
17 浸漬ランス
18 上吹き酸素ランス
19 粉体溶射バーナーノズル
20 酸素吹き込みノズル
21 燃焼バーナーノズル
22 ガス吹き込み羽口
23 第1の垂線
24 第2の垂線
26 シュート
27 溶湯鍋
28 溶銑鍋
29 スラグ鍋
30 駆動装置
31 ランス挿入口
33 第1の垂線の足
34 第2の垂線の足
35 溶湯
36 スラグ

Claims (13)

  1. 第1の開口部と第2の開口部を有し、傾動軸の回りに傾動可能な精錬炉であって、前記第2の開口部にかぶせる開閉蓋を有し、第1の開口部から傾動軸に下ろした垂線の方向と第2の開口部から傾動軸に下ろした垂線の方向とは、互いに異なった角度に配置されており、一方の開口部から主原料又はスラグを装入する際に他方の開口部から集塵することを特徴とする精錬炉。
  2. 第1の開口部から傾動軸に下ろした垂線の足と第2の開口部から傾動軸に下ろした垂線の足は傾動軸方向に異なった位置に配置され、第1の開口部から排ガスを吸引する排ガスダクトと、第2の開口部から集塵する集塵口とを有し、精錬炉の傾動角度を一定の角度としたときに前記第1の開口部と排ガスダクトとが相対し、精錬炉の傾動角度を別の一定の角度としたときに前記第2の開口部と集塵口とが相対することを特徴とする請求項1に記載の精錬炉。
  3. 前記第2の開口部と集塵口とが相対する傾動角度において、前記第1の開口部から主原料又はスラグを装入可能であることを特徴とする請求項2に記載の精錬炉。
  4. 前記第1の開口部と排ガスダクトとが相対する傾動角度において、前記第2の開口部からスクラップ又はスラグを装入可能であることを特徴とする請求項2又は3に記載の精錬炉。
  5. 前記第1の開口部と排ガスダクトとが相対する傾動角度において、前記第2の開口部に前記開閉蓋をかぶせることが可能であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の精錬炉。
  6. 前記排ガスダクトから第1の開口部を経由して精錬炉内に挿入する酸素ランス、浸漬ランスのうちの1以上を有し、及び/又は、前記開閉蓋から第2の開口部を経由して精錬炉内に挿入する浸漬ランス、上吹き酸素ランス、粉体溶射バーナーノズルのうちの1以上を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の精錬炉。
  7. 前記第1の開口部と排ガスダクトとが相対する傾動角度において溶湯に浸漬しない位置の炉壁に、酸素を吹き込むノズルと燃焼バーナーノズルの一方又は両方を有することを特徴とする請求項6に記載の精錬炉。
  8. 前記第1の開口部と排ガスダクトとが相対する傾動角度において溶湯に浸漬する位置の炉壁又は炉底に、ガス吹き込み羽口を有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の精錬炉。
  9. 炉壁に出湯孔を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の精錬炉。
  10. 炉の内部空間形状が、傾動軸方向に長いことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の精錬炉。
  11. 前記第2の開口部と集塵口とが相対する傾動角度に精錬炉を傾動させ、前記第2の開口部を通じて集塵口から集塵しつつ、前記第1の開口部から低級スクラップ、自動車プレス屑又はスラグを装入することを特徴とする請求項3に記載の精錬炉を用いた精錬方法。
  12. 前記第1の開口部と排ガスダクトとが相対する傾動角度に精錬炉を傾動させ、前記第1の開口部から排ガスダクトを通じて集塵しつつ、前記第2の開口部から低級スクラップ又は自動車プレス屑を装入することを特徴とする請求項4に記載の精錬炉を用いた精錬方法。
  13. 転炉排ガスから湿式集塵によって得られたダストを酸化抑制雰囲気で乾燥し、
    前記精錬炉内に溶湯を装入し、
    前記排ガスダクトから第1の開口部を経由して精錬炉内に挿入した酸素ランスで溶湯に酸素ガスを吹き付け、前記第2の開口部にかぶせた開閉蓋から第2の開口部を経由して精錬炉内に挿入した浸漬ランスを用いて前記乾燥したダストを溶湯中に吹き込むことを特徴とする請求項6に記載の精錬炉を用いた精錬方法。
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