JP2000096125A - アーク炉による冷鉄原料の溶解方法 - Google Patents

アーク炉による冷鉄原料の溶解方法

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JP2000096125A
JP2000096125A JP27096498A JP27096498A JP2000096125A JP 2000096125 A JP2000096125 A JP 2000096125A JP 27096498 A JP27096498 A JP 27096498A JP 27096498 A JP27096498 A JP 27096498A JP 2000096125 A JP2000096125 A JP 2000096125A
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furnace
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arc furnace
cold iron
melting
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Hideaki Mizukami
秀昭 水上
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アーク炉で冷鉄原料を加熱・溶解するために
供給するエネルギーを当該冷鉄原料へ効率浴着熱させる
溶解方法を開発する。 【解決手段】 1ヒート分の冷鉄原料の全量又は一部を
アーク炉へ装入し、通電開始後の供給電力量が100k
Wh/tに達するまでに、補助燃焼装置からの炉内への
送酸量を、13〜(全送酸量−10)Nm3 /tとなる
よう調節する。更に望ましくは、全送酸量を30〜43
Nm3 /tとなるように調節する。また、炉体形状とし
て、鉄源原料全量が溶解したときの炉内湯面から炉内側
壁上端までの高さLと、炉内径Dとの関係がL/D=
0.6〜1.4を満たすものを使用する。 【効果】 スクラップ予熱用の特別な装置、スクラップ
装入用の特別な機器を設けることなく、着熱効率が向上
し、操業性及びコスト低減に寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ア−ク炉による
金属原料の溶解および溶融金属の精錬、特に冷鉄原料の
製鋼精錬工程において、1装入チャンスに大量のスクラ
ップを装入することができるアーク炉を用いた操業にお
いて、冷鉄原料を溶解するために供給するエネルギーの
当該冷鉄原料への着熱効率を向上させる技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】金属原料の溶解および溶融金属の精錬等
に使用されるアーク炉へのスクラップ装入は、通常、ス
クラップバケットを用いることによって所謂バッチ装入
が行われている。ところが、スクラップの嵩密度が小さ
いために、ア−ク炉1チャ−ジの出湯に対して必要な量
のスクラップを1回の装入チャンスの装入作業によって
装入することは困難である。そこで、通常は最初の装入
チャンスの装入作業で装入されたスクラップがある程度
溶解して、炉内にスクラップを装入するための容積が形
成された後に第2回目の装入作業(追加装入作業)をす
ることが必要となっている。そのため、追加装入作業時
に炉蓋開閉を必要とし、生産性が低下し、また炉蓋開閉
時に炉内の熱が炉外に放散するという問題がある。そこ
で、溶解のスタ−ト後は炉蓋の開閉をしなくてもよいよ
うにするため、1チャ−ジの出湯に必要な量のスクラッ
プを全量、予め炉内に装入した後に、電気炉に通電を開
始してスクラップの加熱溶解を始めるという方法が、い
くつか提案されている。
【0003】例えば、実開平1−167594号公報に
は、溶解途中で金属スクラップを追加装入する際の炉内
熱エネルギー損失を抑制するために、初装入でスクラッ
プの全量を装入できる炉体形状を得ることとし、シルレ
ベル(スラグ排出口の上端面を指す)から炉体上端面ま
での高さHを、炉殻の内径Dの0.75倍以上とする、
即ち、H≧0.75Dとするアーク炉が開示されている
(以下、先行技術1という)。
【0004】また、特公平7−92337号公報には、
先行技術1と同様の目的で、炉殻高さHと炉底部におけ
る炉殻内径Dの比を0.9以上とする、即ちH/D≧
0.9とする直流アーク式のスクラップ溶解炉が開示さ
れている(以下、先行技術2という)。
【0005】更に、例えば、5th European
Electric SteelCongress,J
une 19−23,1995,Paris によれ
ば、一電源で2炉を交互に操業することができる所謂ツ
イン炉では、一方が通電溶解中に、他方の待機炉におい
て、酸素バーナーによりスクラップを通電前に予熱する
方法が実施されている(以下、先行技術3という)。
【0006】また、New Melting Tech
nologies(25th Advaced Tec
hnology Symposium,May,11−
14,1997,St.Petersburg,F
L.,USA)には、初装入でスクラップの全量を装入
できる直流炉2基を用い、1本の電極で交互にスクラッ
プを溶解する方式に炉(ツイン炉)を構成し、即ち、通
電溶解中の炉(溶解炉)とこれに対する他方の炉(待機
炉)から構成されたアーク炉設備において、酸素バーナ
ーや酸素/カーボンランスを使用し、待機炉でスクラッ
プの予熱を行ない、一方、溶解炉での溶解が終了して出
鋼した後に電極を待機炉側に移動して溶解を開始すると
いう方法が提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前述した先行技術1及
び2においては、初装入のみで1ヒート分のスクラップ
全量を収容できる炉形状の提案がなされており、従って
追加装入時の炉蓋の開閉は必要なく、これによる熱損失
は低減される。また、炉内容積が増大し、スクラップの
全量が溶解スタート時から炉内に収容されているので、
操業中に発生する排ガス、例えばコークス等の補助熱源
と酸素吹き込みとにより発生したCOガスや、それが炉
内への侵入空気等により二次燃焼したCO2 ガスからの
スクラップへの着熱も効率的になる。しかしながら、こ
の効果的なアーク炉の具体的な操業方法については何ら
提示されていない。
【0008】また、先行技術3には、待機中に酸素バー
ナーや酸素/カーボンランスを用いた補助燃料の燃焼に
より、スクラップを予熱し、効率よくスクラップを予熱
・溶解する方法が提案されている。しかしながら、先行
技術3及び4共に、その具体的な操業方法については何
ら提示されていない。
【0009】従って、この発明の課題は、上述したよう
な初装入のみで1ヒート分のスクラップ全量を収容でき
るアーク炉を用いてその利点を生かし、且つ、炉内への
補助燃料及び酸素の吹込みにより発生したガスの有する
顕熱等のエネルギーを、炉内に装入されたスクラップへ
効果的に着熱させる方法を開発することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
課題を解決したアーク炉による冷鉄原料の溶解方法を開
発すべく鋭意実機による試験を重ね、後述する種々の試
験結果を解析し、確認実験をして下記発明を完成させ
た。
【0011】即ち、請求項1記載のアーク炉による冷鉄
原料の溶解方法は、原料として冷鉄原料を使用するアー
ク炉による製鋼精錬工程中の原料溶解工程において、ア
ーク炉として、当該アーク炉の1ヒートで使用する冷鉄
原料の全量を初装入の1装入チャンスで収容する炉内容
積をもち、且つ、酸素含有ガスで燃料を燃焼させてエネ
ルギーを供給する酸素燃焼装置及び/又は酸素含有ガス
のみを供給する酸素供給装置からなる補助燃焼装置を備
えたアーク炉を用いる。そして、当該アーク炉への通電
によるアーク熱と上記補助燃焼装置による補助燃焼熱と
を含むエネルギーにより、上記装入冷鉄原料を加熱・溶
解するに際して、アーク炉への電力供給量が当該アーク
炉への装入全冷鉄原料1トン当たり100kWhに到達
する時点までに、補助燃焼装置により炉内に供給する酸
素量:O2(100)を、次式: 13≦O2(100)≦O2(total)−10 (Nm3 /t)--------------(1) 但し、 O2(total):1ヒートの全期間中に補助燃焼装置からア
ーク炉へ供給される酸素の装入全冷鉄原料1トン当たり
の供給量(Nm3 /) を満たすように制御することに特徴を有するものであ
る。
【0012】また、請求項2記載のアーク炉による冷鉄
原料の溶解方法は、請求項1記載の発明の方法におい
て、上記補助燃焼装置から、上記アーク炉を用いた操業
1ヒートの全期間中に当該アーク炉内に供給する酸素量
を、装入全冷鉄原料1トン当たり30〜43Nm3 の範
囲内に制御することに特徴を有するものである。
【0013】そして、請求項3記載のアーク炉による冷
鉄原料の溶解方法は、請求項1又は2記載の発明の方法
において、アーク炉の形状として、鉄源原料が全量溶解
したときの炉内湯面から炉内側壁上端までの高さ:L
と、炉内径:Dとの間の関係が次式: L/D=0.6〜1.4 --------------------------(1) を満たすものであることに特徴を有するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、この発明を、図面を参照し
ながら説明する。図1は、この発明の溶解方法を実施す
るのに適したアーク溶解炉例の概略縦断面図である。同
図において、Lは1溶解分(1ヒート分)のスクラップ
全量が溶解したときの炉内湯面11aから、炉内側壁上
端1aまでの高さを示し、Dは炉内径を示す。ここで、
L/D=0.6〜1.4を満たすアーク炉を用いてこの
発明を実施する。その際、補助燃焼装置から炉内に供給
する送酸量に関する各種条件の限定理由について説明す
る。
【0015】(1)補助燃焼装置からの炉内への送酸条
件 先ず、補助燃焼装置からの送酸量を、炉内に装入さ
れた冷鉄原料の加熱のために通電を開始し、その供給電
力量が冷鉄原料1トン当たり100kWhに到達するま
でに吹き込むべき酸素量をもって限定した。送酸量の限
定方法をこのようにした理由は次の通りである。容量1
50トンで、L/D=0.83の1回装入式直流アーク
炉を用い、初装入にスクラップと共にコークスを炉内に
投入し、通電開始前から水冷ランス及び酸素/灯油バー
ナーを用い、水冷ランスと上記バーナーとから炉内に酸
素を吹き込みつつ、通電を開始した。こうして吹き込ま
れる酸素量が20Nm3 /tに達するまでの期間を、通
電開始からの電力量が設定値x(kWh/t)に達する
までの期間に一致させる。こうした条件で試験操業した
各ヒートの電力原単位y(kWh/t)、即ち、通電開
始から通電終了までに供給した溶鋼1トン当たりの電力
量を測定した。上記試験を、補助燃焼装置からの1ヒー
ト当たりの全送酸量が、30、35及び40Nm3 /t
の3水準の各場合について行なった。こうして得られた
試験結果を、図2に示す。なお、同図において、横軸の
送酸量20Nm3 /tに達するまでの供給電力量が比較
的小さいものは、通電開始前に全送酸量の多くの部分を
供給したことを示している。
【0016】図2によれば、全送酸量の如何に関わら
ず、x=100を超えるとyが急激に増大する傾向があ
る。従って、供給電力量がほぼ100kWh/tに達す
るまでの間に、所定の送酸量20Nm3 /tの吹込みを
完了しておくのが望ましいことがわかる。なお、図2の
xとyとの関係は、所定の送酸量の20Nm3 /tを他
の水準に変化させても類似していることを確認した。
【0017】 次に、供給電力量が100kWh/t
に達するまでの送酸量(O2(100)で表わす)を、13≦
2(100)≦O2(total)−10(Nm3 /t)(但し、O
2(total)は1ヒートの全期間中に補助燃焼装置からアー
ク炉へ供給される酸素の装入全冷鉄原料1トン当たりの
供給量(Nm3 /)を表わす)を満たすように制御する
理由を説明する。
【0018】上記項での試験と同様、容量150トン
で、L/D=0.83の1回装入式直流アーク炉を用
い、初装入にスクラップと共にコークスを炉内に投入
し、通電開始前から水冷ランス及び酸素/灯油バーナー
を用い、水冷ランスと上記バーナーとから炉内に送酸し
た。試験ヒート単位で送酸速度のパターンを種々変化さ
せ、通電開始後の供給電気量が100kWh/tに達す
る時点までの送酸量O2(100)を、0から当該ヒートの全
送酸量O2(total)までの間で変化させた。因みに、O
2(100)をO2(total)に一致させたヒートとは、通電開始
後の供給電気量が100kWh/tに達する時点までに
全送酸量を吹込んだヒートを意味する。そして、各試験
ヒートにおける電力原単位yを測定した。上記試験を、
補助燃焼装置からの1ヒート当たりの全送酸量が、2
0、25、30、35及び40Nm3 /tの5水準の各
場合について行なった。こうして得られた試験結果を、
図3に示す。図3によれば、全送酸量の如何に関わら
ず、電力原単位yはO2(100)が増加するにつれて減少
し、O2(100)が13Nm3 /tから(O2(total)−1
0)Nm3/tの範囲にわたってほぼ最低値になり、O2
(100)が(O2(total)−10)Nm 3 /tを超えると電
力原単位は急激に大きくなる。
【0019】上述した及びの解析結果より、電力原
単位を小さくするために、通電開始後の供給電力が10
0kWh/tに達する時点までの送酸量O2(100)が、1
3Nm3 /tから(O2(total)−10)Nm3 /tの範
囲内になるように制御するのがよい。
【0020】 更に、補助燃焼装置から供給する全送
酸量を、30〜43Nm3 の範囲内に制御するのが望ま
しい。その理由は、上記図3によれば、全送酸量が25
Nm 3 /t以下では、電力原単位が低いO2(100)の範囲
が狭く、しかも、電力原単位の最小値も300kWh/
tを超えて大きくなる。一方、本発明者等が実施した今
回のアーク炉操業結果によれば、全送酸量が43Nm3
/tを超えると、スラグ中のFeO濃度が高くなって鉄
歩留りが低下し、また、品質への悪影響が出始める。従
って、補助燃焼装置から供給する全送酸量は、30〜4
3Nm3 の範囲内に制御するのが望ましい。
【0021】上述したように、13Nm3 /tから(O
2(total)−10)Nm3 /tの範囲内の酸素を、通電後
の供給電力量が100kWh/tまでに供給すると、当
該ヒートの電力原単位が低くなる理由は、次の通り考え
られる。供給電力量が100kWh/t以下の時期には
未だ炉内には温度の低いスクラップが十分な量存在する
ため、補助燃焼装置による燃焼ガスからのスクラップへ
の着熱効率が高い。ところが、供給電力量が100kW
h/t以上の時期になると、上記燃焼ガスからのスクラ
ップへの着熱効率は、アーク溶解によりスクラップ量が
減少しており、またスクラップの温度もアーク溶解によ
り高くなっている。そのために、燃焼ガスからスクラッ
プへの着熱効率が悪くなる。また、(O2(total)−1
0)Nm3 /t以上の酸素を供給電力が100kWh/
t以上に達する以前に吹き込むと、それ以降の送酸量が
10Nm3 /t未満に制限されてしまい、溶落ち以降の
炉内炭素源と吹込み酸素とによって生じるCOガスによ
るスラグのフォーミング現象が不十分となり、アークの
着熱効率が低下してくるため、電力原単位が逆に増加し
てくると考えられる。また、13Nm3/t未満では、
補助燃焼装置による補助熱源の燃焼熱自体が少なくな
り、低温のスクラップが十分にある時期での予熱が十分
に行なわれないことによると考えられる。
【0022】以上述べたように、通電開始後の供給電力
量が100kWh/tに達するまでの時期に、補助燃焼
装置から吹き込む酸素量O2(100)を、 13≦O2(100)≦O2(total)−10) Nm3 /t とし、また、全期間で使用する酸素量ヲ30Nm3 /t
以上とすることにより、補助燃焼装置から吹き込まれた
酸素と補助熱源との燃焼による発生ガスから炉内スクラ
ップへの着熱が有効に行なわれる。
【0023】(2)炉体形状 次に、この発明において、アーク炉の炉内湯面から炉内
側壁上端までの高さ:Lと、炉内径:Dとの間の関係
を、前記(2)式に限定したのは下記の理由による。ス
クラップ装入式アーク炉において、スクラップの溶解効
率に影響する要因の第1として、炉内の発生ガスの顕熱
および潜熱のスクラップへの熱伝達が重要である。即
ち、発生ガスに接するスクラップの表面積が大きく、か
つ、この接触時間が長い方が有利である。一方、一般的
に、ア−ク炉の炉内径はスクラップを予熱するための装
置が設置された炉排ガスダクトの内径に比べて大きいの
で、排ガスのスクラップへの熱伝達上からも有利であ
る。
【0024】上記要因の第2として、ア−クの分布に対
する装入されたスクラップの分布およびア−クの分布と
炉内壁との位置関係が重要である。即ち、スクラップは
ア−クにできるだけ近い方が有利であり、そして、炉内
壁はア−クから一定の距離以上離れていた方が有利であ
る。
【0025】従って、この発明においては、湯面から炉
内側壁上端までの高さ:Lと炉内径:Dとの比:L/D
は、スクラップの溶解効率に影響する要因を定量的に表
わす指標として適する。
【0026】ア−ク炉操業におけるスクラップの溶解効
率は、上述したように、発生ガス及びア−クからスクラ
ップへの着熱効率によって大きく左右される。この着熱
効率に着目して、L×D2 が一定であるという条件、即
ち、湯面よりも上方の炉内容積を一定にした各種L/D
の小型試験ア−ク炉を用いて、発生ガスの排ガスにより
ア−ク炉外へ持ち去られる熱損失について試験した。試
験溶解はいずれのチャ−ジにおいても、嵩密度が一定の
スクラップを用い、かつ、初装入で全てのスクラプを装
入し、通電開始前からのバーナー予熱と通電開始後の酸
素ランスからの送酸とコークスインジェクションとの併
用によるア−ク炉試験操業を行なった。
【0027】図4は、湯面から炉内側壁上端までの高
さ:Lと炉内径:Dとの比:L/Dと、排ガスの熱損失
比との関係を示すグラフである。但し、排ガスの熱損失
比は、L/D=0.55の場合の試験チャ−ジにおける
排ガスの顕熱および潜熱の和に対する、当該試験チャ−
ジにおける排ガスの顕熱および潜熱の和で表わしたもの
である。
【0028】図4から明らかなように、L/Dが増加す
るに従い、排ガスの熱損失比は低下する。L/Dが0.
6における排ガスの熱損失比は0.90程度に低下し、
その効果も操業コスト上有用なものである。更に、L/
Dが大きくなるほど排ガスの熱損失比は低下している。
【0029】しかしながら、L/Dが1.4を超えても
排ガスの熱損失比の低下量は小さくほぼ飽和する。一
方、L/Dが大きくなるほど、電極昇降装置、建屋、ク
レ−ン設備および炉体冷却設備等の諸元を大きくしなけ
ればならないという不利益が発生し、L/Dが1.4を
超えると上記不利益が問題となる。
【0030】従って、スクラップの溶解効率の向上を図
るためには、少なくとも、湯面から炉内側壁上端までの
高さ:Lと炉内径:Dとの比L/Dを、0.6〜1.4
の範囲内にすべきである。
【0031】一方、この発明のア−ク炉は、1チャ−ジ
の出湯に必要な量のスクラップを全量、1回の装入チャ
ンスで装入することができる炉内容積を有することが必
要である。そこで、1チャ−ジのスクラップ装入量、お
よび、L/Dを決め、これに応じて定まるLおよびDを
算出することにより、所望の炉内寸法を求めることがで
きる。通常のア−ク炉においては、鉄源原料が全量溶解
したときの湯面から炉内側壁上端までの高さ:L、炉内
径D、及び、スクラップの装入量:Wの間には、下記
(3)式: L/D=(4/π){(ρl −ρS ’)/ρl ρS ’}(W/D3 ) ------------------------(3) 但し、ρl :溶鋼の密度 ρS ’:スクラップの嵩密度 W :スクラップの装入量の関係がある。
【0032】ア−ク炉において使用される製鋼用スクラ
ップには種々の形態のものが使用される。従って、これ
らスクラップの嵩密度も0.3〜1.0t/m3 の範囲
内の種々のものにわたるが、その加重平均値は、0.7
t/m3 程度である。従って、1チャ−ジのスクラップ
装入量:W、および、L/Dを与えれば、湯面から炉内
側壁上端までの高さ:L、および、炉内径:Dが求めら
れる。例えば、W=50tとすれば、この発明の特徴で
あるL/D≧0.6が満たされるためには、炉内径:D
は、D≦5.1(m)であって、且つ、湯面から炉内側
壁上端までの高さ:Lは、Dの値に応じて、L≧0.6
×D(m)であればよい。
【0033】従って、湯面から炉内側壁上端までの高
さ:Lと炉内径:Dとの比L/Dを、0.6〜1.4の
範囲内に限定することによって、スクラップの溶解効率
の向上を図ることに効果を奏し、且つ、1チャ−ジの出
湯に使用されるスクラップを全量、溶解開始前に装入す
ることができるようなア−ク炉の炉内寸法および形状を
決めることができる。
【0034】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に詳細に説
明する。図1は、この発明によるアーク炉例を示す概略
縦断面であり、本発明の範囲内の冷鉄原料の溶解方法で
ある実施例1、及び本発明の範囲外の冷鉄原料の溶解方
法である比較例1を行なった。同図に示した炉体は、従
来の直流式アーク炉のフリ−ボ−ドの高さを高くしたも
のである。1はアーク炉の炉体であって、炉本体2の上
部には炉蓋4が固定され、炉蓋4には上部電極棒5が装
入される電極装入孔4a、および、排ガスダクト6に連
結する排ガス口4bが設けられている。そして、ア−ク
炉から発生した上記排ガスは、排ガスダクト6を通り、
集塵機(図示せず)および排風機(図示せず)を経由し
て排出される。一方、炉本体2の炉底には、下部電極8
および湯溜まり部10に溜まった溶湯11を排出するた
めの湯口9が設けられている。
【0035】図6は、従来の直流式ア−ク炉の例を示す
概略縦断面であり、これは図1の炉本体2のフリーボー
ドの高さが低いことを除けば、図1に示したア−ク炉と
比較して相違する点はない。図6に示したアーク溶解炉
を用いて、本発明の範囲外の冷鉄原料の溶解方法の試験
(比較例2)を行なった。
【0036】表1に各種試験条件をしめした。フリ−ボ
−ドの高さ:Lと、炉内径:Dとの間の関係が、L/D
=0.85であって、スクラップを初装入チャンスで全
量装入し、通電開始後の供給電力量が100kWh/t
に達するまでに、補助燃料及び炉内スクラップを酸化燃
焼させるために炉内に吹き込む酸素量を16Nm3 /t
- 冷鉄とした本発明の実施例1と、上記酸素量を6Nm
3 /tとした比較例1、並びに、L/D=0.55であ
って、スクラップを初装入チャンスに1/2装入し、溶
落ち後残りの1/2を追加装入し、そして酸素を所定量
吹き込んで溶解・精錬を行なった場合(比較例2)の試
験操業を行なった。全送酸量は実施例1並びに比較例1
及び2のいずれも32Nm3 /tとした。なお、図5に
は、実施例1の操業における通電及び送酸パターンを示
す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例1及び比較例1、2における操業方
法は、スクラップの装入方法と酸素の供給方法が異なっ
ている。即ち、実施例1及び比較例1では、アーク炉の
炉蓋4を開いて、スクラップ装入用バケットにより炉体
1内に1ヒート分のスクラップ全量を装入し、炉蓋4を
閉め、通電開始前より酸素バーナー及び水冷ランスから
一定量の送酸をした後、上部電極5を炉蓋4を通して炉
内の所定位置まで下降させ、次いで、通電を開始し、上
部電極5とスクラップ7との間にアークを発生させ、ス
クラップ7を加熱・溶解する。なお、上部電極5の下降
は、スクラップ7を上部電極5でボーリングしながら行
なう。スクラップ7の一部が溶融して上部電極5の下端
近傍に湯溜まりを形成し、次第にその湯溜まりが広がっ
ていく。この間、バーナー及び水冷ランスからの送酸は
続けて所定量の酸素を供給する。なお、比較例2のアー
ク炉操業においては、所定量の湯溜まりが形成されたと
きに、一旦、通電を中断し、上部電極5を上昇させ、炉
蓋4を開き、そしてスクラップの残量を炉内へ装入した
後、再び溶解操業に入る。この場合には、通電開始前の
送酸は行なっていない。
【0039】この間、スクラップはアーク熱と発生ガス
の顕熱とによって加熱され、溶解する。次いで、昇温及
び所定の精錬をした後、溶解の化学成分組成を所定値に
調整した後、炉体1を傾動機構(図示せず)によって傾
動することによって湯口9から溶鋼を出湯する。なお、
この発明によるアーク炉は直流式アーク炉に限定される
ものではなく、3相交流式アーク炉等にも同等に適用で
きる。
【0040】表2に、実施例1並びに比較例1及び2に
おける総括熱収支を示す。
【0041】
【表2】
【0042】表2より、本発明のアーク炉による冷鉄原
料の溶解方法を実施した操業においては、特に、発生ガ
スの顕熱及び潜熱が有効に利用されていることがわかっ
た。
【0043】
【発明の効果】上述したように、本発明によれば、スク
ラップを予熱するための特別な装置、及び、ア−ク炉へ
スクラップを装入するための特別な機器等を設けること
なく、炉内径に対する湯面から炉内側壁上端までの高さ
の比を適正な値にすることと、通電開始後の供給電力が
100kWh/tに達するまでに補助燃焼装置から供給
する酸素量を適切に設定することとによって、 アーク
炉排ガスからのスクラップへの着熱効率を高めることが
できる。かくして、操業性に優れ、しかも、操業コスト
を大幅に削減することができる。このようなアーク炉に
よる冷鉄原料の溶解方法を提供することができ、工業上
極めて有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法の実施に用いた直流式アーク炉
を示す概略縦断面図である。
【図2】送酸量が20Nm3 /tに達するまでの時点で
の供給電力量と、当該ヒートの電力原単位との関係を、
全送酸量で層別して表わしたグラフである。
【図3】直流アーク炉における通電開始後の供給電力量
が100kWh/tに達するまでの送酸量と当該チャー
ジの電力原単位との関係を、全送酸量で層別して表わし
たグラフである。
【図4】直流式ア−ク炉における湯面から炉内側壁上端
までの高さLと炉内径Dとの比L /Dと、排ガスの熱
損失比との関係を示すグラフである。
【図5】実施例1の操業における通電及び送酸パターン
を示す図である。
【図6】従来の直流式ア−ク炉の例を示す概略縦断面で
ある。
【符号の説明】
L 炉内湯面から炉内側壁上端までの高さ D 炉内径 1 ア−ク炉の炉体 1a 炉内側壁上端 2 炉本体 4 炉蓋 4a 電極装入孔 4b 排ガス口 5 上部電極 6 排ガスダクト 7 スクラップ 8 下部電極 9 湯口 10 炉底 11 溶湯 11a 湯面

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料として冷鉄原料を使用するアーク炉
    による製鋼精錬工程中の原料溶解工程において、前記ア
    ーク炉として、当該アーク炉の1ヒートで使用する冷鉄
    原料の全量を初装入の1装入チャンスで収容する炉内容
    積をもち、且つ、酸素含有ガスで燃料を燃焼させてエネ
    ルギーを供給する酸素燃焼装置及び/又は酸素含有ガス
    のみを供給する酸素供給装置からなる補助燃焼装置を備
    えたアーク炉を用い、当該アーク炉への通電によるアー
    ク熱と前記補助燃焼装置による補助燃焼熱とを含むエネ
    ルギーにより、前記装入冷鉄原料を加熱・溶解する方法
    において、 前記アーク炉への電力供給量が当該アーク炉への装入全
    冷鉄原料1トン当たり100kWhに到達する時点まで
    に、前記補助燃焼装置により炉内に供給する酸素量:O
    2(100)を、下記(1)式: 13≦O2(100)≦O2(total)−10 (Nm3 /t)--------------(1) 但し、 O2(total):1ヒートの全期間中に補助燃焼装置からア
    ーク炉へ供給される酸素の装入全冷鉄原料1トン当たり
    の供給量(Nm3 /) を満たすように制御することを特徴とする、アーク炉に
    よる冷鉄原料の溶解方法。
  2. 【請求項2】 前記補助燃焼装置から前記アーク炉によ
    る操業1ヒートの全期間中に当該アーク炉内に供給する
    酸素量を、装入全冷鉄原料1トン当たり30〜43Nm
    3 の範囲内に制御することを特徴とする、請求項1記載
    のアーク炉による冷鉄原料の溶解方法。
  3. 【請求項3】 前記アーク炉は、鉄源原料が全量溶解し
    たときの炉内湯面から炉内側壁上端までの高さ:Lと、
    炉内径:Dとの間の関係が下記(2)式: L/D=0.6〜1.4 ------------------------------(2) を満たすものであることを特徴とする、請求項1又は2
    記載のアーク炉による冷鉄原料の溶解方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020000335A (ko) * 2000-06-23 2002-01-05 이구택 전기로의 냉연재 제조방법

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