JP2000096119A - 転炉型精錬炉における地金付着抑制吹錬方法 - Google Patents
転炉型精錬炉における地金付着抑制吹錬方法Info
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Abstract
し、炉口や炉内側壁の耐火物を溶損させることなく、地
金の付着状態を良好に管理する吹錬方法。 【解決手段】 吹錬期間を前期と後期に分け、前期には
地金溶解用ノズル7から酸素を供給して炉口や内壁に付
着した地金8 、8'を溶解・除去し、後期には地金溶解用
ノズルからパージガスを主体に流してノズルの目詰まり
を防止する。前後期の境界を吹錬開始から50〜95
%、望ましくは70〜95%の間とし、前期に流す地金
溶解用酸素ガス中の純酸素流量は吹錬用酸素の3〜10
%の範囲とする。またパージガス期間の地金溶解用酸素
ガス中の純酸素流量は、地金溶解用期間の50%以下と
する。地金溶解用酸素の噴射方向θをランスに対して4
0〜90°の下向きとする。溶銑Siを0.15wt.%以
下、前回ヒートのスラグを10kg/t-steel以上炉内に残
留させ、炉内スラグ量を30kg/t-steel以下とする。
Description
て、炉内への原料装入操作を円滑に行なうと共に、炉口
装置や炉内側壁の円滑な保全を図るために、炉口及び炉
内側壁への地金付着を抑制する転炉吹錬方法に関するも
のである。
ピッティング、スロッピングにより飛散した溶鋼及びス
ラグの一部は炉口や炉内側壁に地金として付着する。付
着した地金はヒ−トを続けるにつれて成長し、その大き
さがある限度以上になると溶銑及びスクラップ装入の障
害になるばかりでなく、吹錬中の浴中への落下や溶融流
下により操業に大きな支障をきたす。そこで、上記の付
着地金は操業に支障をきたす大きさ以上になる前に除去
する必要がある。
スクラップシュ−トを炉口地金部にぶつけ物理的に除去
する方法がある。しかしながら、この方法は転炉非吹錬
時に実施しなければならないので、非製鋼時間の増大を
招き転炉生産性を著しく阻害する。また、スクラップシ
ュ−トを炉口地金部に直接ぶつけるため、その衝撃で炉
口レンガの脱落をおこす危険性がある。
なく吹錬中に発生する排ガスを2次燃焼させ炉口や炉内
側壁地金を溶解除去する方法が提案されている。例えば
特開平6−248323号公報は、吹錬中に、吹錬用主
ランスの側壁に設けた吹錬用ランス軸に対してθ=25
〜40°の範囲内の角度で下向きに取付けられた2次燃
焼用酸素供給ノズルから湯面に向けて2次燃焼用酸素を
吹き付け、転炉排ガスを炉内で燃焼させ、発生した熱で
炉口に付着した地金を溶解・除去する方法(先行技術
1)を開示している。
は、転炉精錬中に、吹錬用ノズル及び炉口地金溶解用ノ
ズルを備えた吹錬用ランスを用いて、炉口地金溶解用ノ
ズルから転炉炉口に向けて空気を噴射させることにより
炉口地金を溶解・除去する方法(先行技術2)を開示し
ている。
口や炉内側壁地金の溶解除去技術の開発に際して、地金
の溶解・除去中に耐火物に対する損傷を極力防止し、し
かも効率的に地金除去を行ない生産性を確保することを
前提として、下記問題の解決を図ることを課題とした。
ラップの転炉装入作業に支障をきたさないようにし、吹
錬中における付着地金の離脱・落下や溶融流下による吹
錬終了時における溶鋼温度や成分の異常発生を未然に防
止すると共に、炉口耐火物の溶損を回避しつつ地金の付
着・成長を抑制して、炉口装置や炉内側壁の補修・維持
を良好に行なうために、地金付着状態を良好に管理する
必要がある。そのためには、炉口地金溶解用の酸素を地
金付着位置に的確に、且つその位置に適正圧力の酸素ガ
スを適量だけ供給することにより、付着地金を溶解・除
去しなければならない。即ち、付着地金が的確に溶解・
除去されるように、炉口地金溶解用酸素の供給を制御し
なければならない。
がある。先行技術1では、2次燃焼用酸素の噴射方向が
比較的鉛直下向きに近いので、炉内排ガスに巻き込まれ
ながらCOガスを2次燃焼させ、炉内から炉口にかけて
の2次燃焼に大部分が消費される。従って、その際発生
する高熱による2000℃以上の高温ガスは、転炉炉口
地金の溶解のみならず転炉炉口金物および炉口耐火物に
著しい損傷を与え易い。
素源として空気を用いるので、酸素を噴射させる場合よ
りも噴射量が増加し、炉口耐火物の金物の溶損を防止す
ることができる。ところが、空気では酸素濃度が低いの
で、炉口地金の溶解に時間を要し、効率が悪い。
物、即ち下地耐火物の損傷を抑制しつつ広範囲に付着し
た地金を均一に効率よく溶解する制御をするためには、
1ヒート内での吹錬時期により地金溶解用酸素ガス中の
純酸素流量を適切に変えることが必要である。地金溶解
用ノズルから供給される酸素ガス流は、炉内ガス流れに
より大きく変わる。ここで、炉内ガス流の状態は、その
時点における浴の成分組成と吹錬用酸素流量に依存して
変化する。従って、地金溶解用酸素ガス中の純酸素流量
は、その時点における吹錬用酸素の流量により適切に定
めなければならない。しかしながら、先行技術には、こ
のような技術的事項の開示はみられない。
あり、この発明が解決すべき課題の中心である、地金溶
解用酸素の供給を良好に制御することはできない。従っ
て、この発明の目的は、転炉における溶鋼の生産性を確
保することを前提とし、炉口や炉内側壁の耐火物を溶損
させることなく、地金の付着状態を良好に管理する吹錬
方法を提供することにある。
観点から研究を重ね、下記知見を得た。1.先ず、炉口
及び炉内側壁に地金が付着するのは、吹錬のどの時期に
多いのかについて試験した。その結果、地金付着時期
は、吹錬の比較的初期に多量に付着するとの知見を得
た。そこで、付着地金の溶解操作は少なくとも、吹錬初
期を含んで実施すべきであるとの着想を得た。
避する必要がある。即ち、吹錬の末期において、炉口や
炉内側壁に付着した地金を、地金溶解用酸素ガスにより
溶解・除去すると、浴中への地金の溶融流下や地金の塊
りの落下により、浴中不純物成分の上昇や浴温度の低下
等が起こり、吹錬終点時の成分組成及び溶鋼温度の制御
性が悪化して、目標成分組成外れや目標温度外れが発生
し、操業の安定性を害し、生産性の低下、品質の低下あ
るいは生産歩留の低下等、弊害が発生し易くなる。従っ
て、吹錬終了時点における溶鋼の温度及び成分組成の目
標外れを防止するためには、少なくとも、吹錬末期に行
なう温度及び成分分析用試料採取の後、いわゆるサブラ
ンス計測実施の後には、地金溶解用酸素を供給しないこ
とが望ましい。そして、この間は、地金溶解用ノズルが
目詰まりを起こさないようにするために、当該ノズルか
らパージガスを流し続ける必要がある。従って、転炉吹
錬中に炉口や炉内側壁付着地金を溶解・除去するに際し
ては、吹錬末期にはこのような操作をしてはならない。
だけ均一に溶解し、且つ地金の下地にある耐火物を損傷
させないようにするためには、炉内ガス流れの状態に応
じて地金溶解用酸素ガスを供給することが効果的である
こと、即ち、吹錬用酸素ガスの流量に応じた流量の地金
溶解用酸素ガスを供給することが効果的であることを知
見した。この発明は上記事項を基本的知見としてなされ
たものであり下記の通りでる。
として、上吹き又は上底吹き酸素により精錬を行なう転
炉型精錬炉において、吹錬用ノズルが下端に設けられ、
地金溶解用ノズルが外周面に設けられ、上記地金溶解用
ノズルからは酸素ガス又はパージガスを吹錬用酸素ガス
とは独立に制御して供給することができるランスを用
い、炉口及び炉内側壁に地金が付着するのを抑制する吹
錬方法において、吹錬期間を吹錬前期と吹錬後期とに区
分する。そして、吹錬前期には地金溶解用ノズルから酸
素ガスを供給して炉口及び/又は炉内側壁に付着した地
金を溶解し、次いで吹錬後期には、地金溶解用ノズルか
ら不活性ガスからなるパージガス又はこのパージガスと
純酸素に換算して所定流量以下の酸素ガスとを流して、
当該地金溶解用ノズルの目詰まりを防止しつつ吹錬する
ことに特徴を有するものである。ここで、地金溶解用ノ
ズルから流す酸素ガスとは、一般に純酸素であるが、酸
素含有ガスであればよく、ガスの到達距離を長くするた
めに、不活性ガスを混入させることも可能である。ま
た、地金を溶解・除去するとは、付着しようとしている
地金の付着を防止することを含む。なお、吹錬用酸素ガ
スには、通常工業用純酸素ガスを使用する。
明において、上記吹錬前期と後期との境界時点を、吹錬
の開始から吹錬全予定時間の50〜95%の範囲内の時
点とし、吹錬前期に流す地金溶解用酸素ガス中の純酸素
流量を吹錬用酸素ガスの流量の3〜10%の範囲内と
し、そして、吹錬後期においてパージガスと共に地金溶
解用ノズルから流す酸素ガス中の純酸素流量を、吹錬前
期に流した地金溶解用酸素ガス中の純酸素流量の50%
以下に制限することに特徴を有するものである。
明において、上記吹錬前期と後期との境界時点を、吹錬
の開始から吹錬全予定時間の70〜95%の範囲内の時
点とし、吹錬前期に流す地金溶解用酸素ガス中の純酸素
流量を吹錬用酸素ガスの流量の3〜10%の範囲内と
し、そして、吹錬後期においてパージガスと共に地金溶
解用ノズルから流す酸素ガス中の純酸素流量を、吹錬前
期に流した地金溶解用酸素ガス中の純酸素流量の50%
以下に制限することに特徴を有するものである。
3記載の発明において、上記地金溶解用ノズルから噴射
させる酸素の噴射方向を、ランスの長手方向軸心線との
なす角度が40〜90°の範囲内であって、且つ下向き
乃至水平方向にすることに特徴を有するものである。
として、上吹き又は上底吹き酸素により精錬を行なう転
炉型精錬炉において、上記転炉型精錬炉へ装入する溶銑
のSi濃度が0.15wt.%以下であり、前回ヒートのス
ラグを10kg/t-steel以上炉内に残留させ、今回ヒート
の炉内スラグ量を30kg/t-steel以下とし、且つ、請求
項1〜4記載のいずれかの条件で吹錬することに特徴を
有するものである。
形態を説明する。図1は、この発明の方法を実施するた
めに用いる設備例の概念図である。
上方から、炉口4を通って炉内にランス5を挿入する。
ランス5には、下端に吹錬用酸素ノズル6を備え、下端
から上方の所定位置に、地金溶解用ノズル7を備えてい
る。地金溶解用ノズル7からのガス噴射方向は、鉛直に
設定されるランスの長手方向軸心線とのなす角度が40
〜90°の範囲内の下向き乃至水平方向である。これに
より、炉口4及びその絞り部に付着した地金(特に断ら
ない限り「炉口地金」という)、並びに炉内側壁に付着
した地金(特に断らない限り炉口地金と合わせて「地
金」という)のいずれをも溶解・除去する。ランス5の
構造としては、吹錬用酸素ノズル6に酸素ガスを供給す
る酸素供給管、地金溶解用ノズル7に酸素ガス及び/又
はパージガスを供給する酸素・パージガス供給管、並び
にランスの冷却用給水管及び排水管の四重管構造となっ
ている。こうして、地金溶解用酸素の供給経路を、吹錬
用酸素の供給経路から独立させて制御し得るようにして
ある。
ル6から所定の流量a(Nm3 /min)の酸素ガスを
噴射して、溶銑を吹錬する。一方、地金溶解用ノズル7
から所定の流量b(Nm3 /min)の酸素ガスを噴射
して、炉口4及びその絞り部に付着した地金8、並びに
炉内側壁に付着した地金8’を溶解し、除去する。但
し、ここで重要なのは、地金8、8’を溶解・除去する
に当たっては、地金の下地にある耐火物まで損傷しては
いけないこと、及び通常は炉口の絞り部内面のほぼ全面
に亘って付着した地金を均一に溶解・除去することであ
る。これを実現するための地金溶解用酸素ガス中の純酸
素流量を、吹錬用酸素ガスの流量に関して求めた。
ンスとして、6孔ラバールノズルからなる吹錬用ノズル
が下端に設けられ、地金溶解用ノズルがランス下端から
の所定高さ位置の2段に、各々、ランス外周に沿って1
0個のノズルが設けられ、ノズル径が8mmのものを使
用した。地金溶解用酸素の噴射方向と、ランスの軸心線
とのなす角度θ(図1参照)は90°、即ち水平方向に
酸素を噴射させた。吹錬用酸素の流量aとして、170
〜500Nm3 /min、及び700〜1000Nm3
/minの2水準で行なった。
準値に達したときに行なった。吹錬用酸素の流量aと、
地金溶解用酸素の流量bとの比率(b/a)×100
(%)を、0〜70%の範囲内の種々の値に変化させて
行なった。そして、炉口地金の溶解に伴う炉口径の拡大
速度より炉口地金の溶解速度を求め、これを溶解速度指
数で表わした。この指数は大きいほど溶解速度が速く、
地金除去に望ましいことを表わす。また、炉口耐火物の
溶損速度を測定し、指数で表わした。この指数は小さい
ほど溶損速度が遅く望ましいことを表わす。
関係を示し、図3に、b/aと炉口耐火物の溶損速度と
の関係を示す。図2及び3からわかるように、b/aが
1〜50%の範囲内の場合には、炉口地金を速やかに溶
解することができ、しかも、炉口耐火物の溶損量も少な
い。特に、b/aが3〜10%の場合に良好な結果が得
られた。
流量b(Nm3 /min)は、吹錬用酸素ガスの流量a
(Nm3 /min)の3〜10%の範囲内において供給
することにより、目標とする地金溶解を行なうのがよ
い。
と後期とに区分し、前期に、上記地金溶解用酸素の供給
条件により地金溶解操作を行なう。その理由は、少なく
とも、地金の付着速度の大きい時期を含んで地金溶解を
行なうことにより、効率的に地金が溶解されること、ま
た、こうすることにより、既に炉口付着地金が多量に形
成されているヒートの終了後に、非吹錬時に次ヒートの
原料装入作業確保のための地金除去操作をしなければな
らないような事態を発生させないためにも効果的であ
る。炉口への地金付着速度が大きい時期は、吹錬の比較
的初期であるからである。
スト発生量との関係を示す。これによれば、ダストの発
生量は吹錬の初期に多い。そして、図5は、従来の吹錬
方法において、吹錬初期のダスト発生量と一定ヒート数
の操業で炉口地金を除去した回数との関係を示す。これ
によれば、初期ダスト発生量が多くなるほど、炉口地金
除去頻度が多くなる。従って、図4及び図5より、炉口
地金は、吹錬初期のダスト発生量が多い時期にその付着
形成速度が早いことがわかる。
度が早い時期を含んでいることが重要であるから、その
時期は吹錬初期から、吹錬末期のいわゆるサブランス計
測実施の前程度までなら通常は問題とならない。また、
地金付着が多量の状態でのヒートであれば、吹錬終点予
定時の前、全吹錬予定時間の5%程度逆上った時点まで
地金溶解を継続しても差し支えないし、少量の地金付着
であれば吹錬半ばで地金溶解を終了してもよい。
一概に定めることは必ずしも有利ではないから、吹錬前
期と後期との境界時点は、一例として、吹錬の開始から
吹錬全予定時間の50〜95%の範囲内のある時点とす
ればよい。また、他の例として、吹錬の開始から吹錬全
予定時間の70〜95%の範囲内のある時点とすればよ
い。いずれを選択するかは、操業全般の転炉の地金付着
の状況、精錬対象鋼種や当該溶製鋼の成品仕様、炉口耐
火物の損耗状況その他、設備及び操業条件を勘案して個
々のケースで決めるのがよい。 (3)次に、地金溶解操作をしない吹錬後期において
は、地金溶解用ノズルからはパージガスを流す。この場
合、当該ノズルの目詰まりを防止することが目的であ
る。従って、通常はノズル出口で2気圧(絶対圧力)程
度ないしそれより若干高め程度のガス圧力を保持しなけ
ればならないことを前提とし、その上で適切な、ガス流
量を確保するようにする。かかるパージガスの流量は経
験的に決定すればよい。但し、パージガス種は、低窒素
鋼種の溶製時には、吹錬末期ではアルゴンガス等の不活
性ガスを使用すべきである。窒素ガスは、吹錬末期以後
での脱窒効果は期待できないので低窒素鋼種では使用で
きないが、高窒素鋼種を溶製する場合はこの限りではな
い。また、パージガスは地金溶解用ノズル7を用いる関
係もあり、酸素ガスを所定値以下に制限すれば、パージ
ガスと一緒に流しても差し支えない。所定値とは一般
に、溶解地金の塊り落下を防止する観点から、地金溶解
操作時期の地金溶解用酸素ガス中の純酸素流量の50%
以下に制限する。地金落下発生防止上、一層の安定性を
要する場合には、地金溶解用酸素ガス中の純酸素流量の
20%以下に制限する。
は、ランスの長手方向軸心線10に対する角度θが、4
0〜90°の角度をなして下向き乃至水平方向にする
と、上述した地金溶解・除去の作用・効果が大きいこと
もわかった。
結果、炉口に付着する地金の生成要因について以下の知
見を得、それを基に開発した炉口地金付着を抑制する転
炉吹錬方法を実施する。
地金は、吹錬初期のダスト発生量が多い時期にその付着
形成速度が早い。更に調査をした結果、吹錬の比較的初
期のダスト発生量は、図6及び図7に示すように溶銑中
Si濃度と前ヒートからの炉内残留スラグ量の影響が大
きい。即ち、転炉装入溶銑中のSi濃度が高くなるにつ
れて吹錬の比較的初期に発生するダスト量は多くなり、
Si濃度が0.15wt.%以下なら吹錬の比較的初期ダス
ト発生量は少なく抑えられ、また、前ヒートからの炉内
スラグ残留量が、10kg/t-steel以上あると、吹錬の比
較的初期に発生するダスト量は少なく抑えられる。
は溶銑中炭素よりも酸化されやすく、脱炭吹錬の初期は
脱珪素反応が優先的に起こる。この時溶銑の自由表面近
傍は稠密であり、酸素ガスの衝突又は通過により非常に
ダスト(スプラッシュ)が発生しやすい状態になってい
ると考えられる。一方、脱炭反応が活発な時期に移行す
ると溶銑または溶鋼の自由表面近傍は脱炭反応によって
生じたCOガスが存在し泡状となってダスト(スプラッ
シュ)が発生しにくい状態になると考えられる。
程で一度溶融したスラグであるから、脱炭吹錬の比較的
初期においても速やかに溶解する。従って、初期に速や
かに溶銑の自由表面を覆い、ダストの発生を抑制できる
と考えられる。
以下とし、前ヒートの炉内スラグを10kg/t-steel以上
当該ヒートの炉内に残留させて吹錬を開始することによ
り、炉口地金付着を抑制した。
に検討したところ、付着地金は鉄とスラグとの小粒が混
合した状態であることが判明した。この状態で炉口に付
着すると相互に絡み合って強固に固着してしまう。炉内
に存在するスラグ量と吹錬の比較的初期のダスト発生速
度との関係を調べた結果、図8に示すように、炉内に存
在するスラグ量が少ない場合(約30kg/t-steel以下の
とき)に、初期のダスト発生速度が小さいという結果を
得た。この結果と、図5の初期のダスト発生速度が小さ
い方が炉口地金除去頻度が減るという結果とを組み合わ
せると、吹錬中に炉内に存在するスラグ量が少なく30
kg/t-steel以下のときに、一定ヒート数当たりの炉口地
金除去を要する回数が少なくて良いとの結果が得られ
る。ただし、スラグ量が過度に少ない場合は溶鉄のカバ
ーとなるものが存在せず溶鉄飛散につながる。これは、
上記図7において、前ヒートからのスラグ残留量が10
kg/t-steel以上あると、吹錬の比較的初期に発生するダ
スト量が少なく、従って、炉口地金付着量が少なくなる
ことからわかる。以上により、吹錬中の炉内スラグを3
0kg/t-steel以下とすることにより炉口地金付着を抑制
した。
鉄とスラグとの小粒が混合した状態で、相互に絡み合っ
て強固に固着・成長し、凝固したものであることがわか
った。このような付着地金の溶解においては、付着地金
のスラグ成分部分が溶融しにくい。従って、付着地金の
スラグ成分部分の比率を小さくすることが望ましい。こ
れに対しては、上記及び項の説明から、第一は、吹
錬中の炉内スラグ量を必要且つ最小限にすること、即
ち、理想的には10ないし20kg/t-steelに調整するこ
とである。一方、スラグは転炉精錬反応中、脱P反応の
促進に不可欠である。従って、転炉装入鉄原料中のP濃
度を、素鋼目標P濃度以下に、従って成品仕様のP濃度
以下に予め調整しておけば、生成スラグ量を少なくして
もよい。上記P濃度低減の手段として、素鋼目標P濃度
以下に脱P処理された溶銑を主な鉄源とするのが、転炉
操業やコスト上から望ましい。また、このようにするこ
とにより、付着地金は溶解し易くなり、地金の広範囲に
わたり均一に溶解・除去され、また下地耐火物の損傷も
一層抑制される。
る。試験方法は、300t転炉に溶銑310t及びスク
ラップ10t、並びに造滓材を所定量装入し、上吹きラ
ンスで脱炭精錬をした。用いた設備は図1に示したもの
に準じる。上吹きランスとして、下端に吹錬用酸素ノズ
ルを配し、下端から同一高さの外周面に地金溶解用酸素
ノズルを等間隔に8孔を、下端から2000mm高さ毎
に2段配した8孔×2段型のものを用いた。そして、ノ
ズルの形状及び諸元、並びにノズルの取付け角を種々変
えた。また、地金溶解用酸素ガス中の純酸素流量、及び
ノズル出口前圧力を各種に設定した。
30ヒートの精錬を行ない、次いで、本発明の範囲外の
条件により連続30ヒートの精錬を行なった。表1に、
本発明の範囲内の試験(実施例)、及び範囲外の試験
(比較例)の試験条件を示す。
例の連続30ヒートの前後に、炉口及び炉内側壁に付着
していた地金の位置と量との測定、及び、炉内耐火物の
損耗状態を測定し、連続ヒート前後の測定値を比較し
て、それぞれの地金溶解指数、及び耐火物溶損指数を求
めた。表1にこれら指数を併記した。
溶損を抑えつつ地金の溶解が促進され、これに対して、
比較例では、地金の付着堆積は防止されたが、耐火物の
損傷が進んだ。
転炉型精錬炉における生産性を阻害することなく、炉口
耐火物の損傷を抑制しつつ、効率的に炉口地金の付着を
抑制する方法を提供することができ、工業上有用な効果
がもたらされる。
の概念図である。
中の純酸素流量bとの比率b/aと、炉口地金の溶解速
度との関係を示すグラフである。
ス中の純酸素流量bとの比率b/aと、炉口耐火物の溶
損速度との関係を示すグラフである。
移を示すグラフである。
示すグラフである。
銑Si濃度の影響を示すグラフである。
炉内残留スラグ量の影響を示すグラフである。
ラグ量の影響を示すグラフである。
Claims (5)
- 【請求項1】 溶銑を主たる鉄源として、上吹き又は上
底吹き酸素により精錬を行なう転炉型精錬炉において、
吹錬用ノズルが下端に設けられ、地金溶解用ノズルが外
周面に設けられ、前記地金溶解用ノズルからは酸素ガス
又はパージガスを吹錬用酸素ガスとは独立に制御して供
給することができるランスを用い、炉口及び/又は炉内
側壁に地金が付着するのを抑制する吹錬方法において、 吹錬期間を吹錬前期と吹錬後期とに区分し、前記吹錬前
期には前記地金溶解用ノズルから酸素ガスを供給して炉
口及び/又は炉内側壁に付着した地金を溶解・除去し、
次いで吹錬後期には、前記地金溶解用ノズルからパージ
ガス又はこのパージガスと純酸素に換算して所定流量以
下の酸素ガスとを流して、当該地金溶解用ノズルの目詰
まりを防止しつつ吹錬することを特徴とする、転炉型精
錬炉における地金付着抑制吹錬方法。 - 【請求項2】 前記吹錬前期と後期との境界時点を、吹
錬の開始から吹錬全予定時間の50〜95%の範囲内の
時点とし、前記吹錬前期に流す地金溶解用酸素ガス中の
純酸素流量を吹錬用酸素ガス流量の3〜10%の範囲内
とし、そして、前記吹錬後期においてパージガスと共に
前記地金溶解用ノズルから流す酸素ガス中の純酸素流量
を、前記吹錬前期に流した地金溶解用酸素ガス中の純酸
素流量の50%以下に制限する、請求項1記載の転炉型
精錬炉における地金付着抑制吹錬方法。 - 【請求項3】 前記吹錬前期と後期との境界時点を、吹
錬の開始から吹錬全予定時間の70〜95%の範囲内の
時点とし、前記吹錬前期に流す地金溶解用酸素ガス中の
純酸素流量を吹錬用酸素ガスの流量の3〜10%の範囲
内とし、そして、前記吹錬後期において不活性ガスと共
に前記地金溶解用ノズルから流す酸素ガスの流量を、前
記吹錬前期に流した地金溶解用酸素ガス中の純酸素流量
の50%以下に制限する、請求項1記載の転炉型精錬炉
における地金付着抑制吹錬方法。 - 【請求項4】 請求項1、2又は3記載の吹錬方法にお
いて、前記地金溶解用ノズルから噴射させる酸素の噴射
方向を、前記ランスの長手方向軸心線とのなす角度が4
0〜90°の範囲内であって、且つ下向き乃至水平方向
にすることを特徴とする、転炉型精錬炉における地金付
着抑制吹錬方法。 - 【請求項5】 溶銑を主たる鉄源として、上吹き又は上
底吹き酸素により精錬を行なう転炉型精錬炉において、
前記転炉型精錬炉へ装入する溶銑のSi濃度が0.15
wt.%以下であり、前回ヒートのスラグを10kg/t-steel
以上炉内に残留させ、今回ヒートの炉内スラグ量を30
kg/t-steel以下とし、且つ、請求項1〜4記載のいずれ
かの条件で吹錬することを特徴とする、転炉型精錬炉に
おける地金付着抑制吹錬方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26529198A JP4016500B2 (ja) | 1998-09-18 | 1998-09-18 | 転炉型精錬炉における地金付着抑制吹錬方法 |
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JP2000096119A true JP2000096119A (ja) | 2000-04-04 |
JP4016500B2 JP4016500B2 (ja) | 2007-12-05 |
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JP (1) | JP4016500B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100758436B1 (ko) * | 2001-06-27 | 2007-09-14 | 주식회사 포스코 | 전로 콘부의 지금부착 방지방법 |
JP2011179041A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 転炉内地金の除去方法 |
JP2011225973A (ja) * | 2010-03-29 | 2011-11-10 | Jfe Steel Corp | 転炉炉口堆積地金の溶解方法 |
-
1998
- 1998-09-18 JP JP26529198A patent/JP4016500B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP2011179041A (ja) * | 2010-02-26 | 2011-09-15 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 転炉内地金の除去方法 |
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