JP2000095984A - インクジェット用水性インク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用水性インク及びインクジェット記録方法

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JP2000095984A JP26820098A JP26820098A JP2000095984A JP 2000095984 A JP2000095984 A JP 2000095984A JP 26820098 A JP26820098 A JP 26820098A JP 26820098 A JP26820098 A JP 26820098A JP 2000095984 A JP2000095984 A JP 2000095984A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録における安定噴射、
記録物の鮮明性、高濃度記録、耐水性、耐擦性いずれも
バランスのとれた、各種の方式のインクジェット記録に
有用なインクジェット用水性インク及び、インクジェッ
ト記録方法を提供する。 【解決手段】 5,5’−ジメチルヒダントインホル
ムアルデヒド樹脂とカラーインデックスナンバーベーシ
ックレッド1:1から成る水溶性着色樹脂5%とポリエ
チレングリコール(平均分子量200)10%とトリエ
チレングリコールモノメチルエーテル6%と純水79%
を十分に混合攪拌した後、0.8μmのメンブランフィ
ルタで濾過してインクとし、記録ヘッドにより、噴射安
定性、噴射応答性、記録画像の品質、各種記録材に対す
る耐擦性、各種記録材での耐水性の試験評価を行ったと
ころ、いずれにおいても良好な結果を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水と水溶性有機溶
剤と着色剤を必須成分として成るインクジェット用水性
インク及びそのインクを微細な液滴として飛翔させて記
録を行うインクジェット記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方法は、例えば、静
電吸引方法、圧電素子を用いてインクに機械的振動又は
変位を与える方法、インクを加熱することにより気泡を
発生させ、この時に発生する圧力を利用する方法等、種
々のインク噴射方法により、インク滴を形成し、これら
の一部又は全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行
うものである。従来、このようなインクジェット記録方
法に使用するインクとして、水を主溶剤として使用した
水性インクの開発が盛んに行われている。
【0003】インクジェット用水性インクには、記録装
置のヘッド先端部やインク流路内で目詰まりを起こさ
ず、安定した噴射が可能であること、鮮明な色調で十分
に高い濃度の記録画像を与えること、記録物の耐水性、
耐擦性に優れていること等の性能が要求される。
【0004】インクジェット用水性インクの着色剤とし
ては一般に染料もしくは顔料が用いられている。
【0005】顔料は染料よりも耐水性に優れているが、
顔料はインク媒体に溶解しているのではなく分散してい
るので、液安定性に劣り、長期間保存や水分蒸発によっ
て顔料の分散が不安定となり凝集が起こる。このため、
顔料インクは染料インクと比べると、インクジェットプ
リンターのヘッドの先端部やインク流路内で目詰まりを
起こしやすい。また、顔料は記録物上で粒子として存在
するため、耐擦性にも問題を有している。そのためイン
クジェットプリンター用として製品化されている例は少
なく、開発段階の物が多い。それに対して水溶性の染料
は顔料と比べて耐水性は劣るものの、インク媒体中に完
全に溶解するため、染料インクはインクジェットプリン
ターのヘッドの先端部やインク流路内で目詰まりしにく
く、鮮明な色調で高濃度の記録物を得ることが比較的容
易に可能である。そのためインクジェットプリンター用
として水溶性染料を着色剤として用いたインクジェット
用水性インクの製品化の例は多い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
インクジェット用水性インクでは、インクジェット記録
における十分な噴射安定性と記録物の鮮明性、高濃度記
録、耐水性、耐擦性を同時に満足している例はない。
【0007】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、インクジェット記録における十
分な噴射安定性と記録物の鮮明性、高濃度記録、耐水
性、耐擦性を同時に満足するインクジェット用水性イン
ク及びインクジェット記録方法を提供することを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、請求項1記載のインクジェット用水性インクは、着
色剤主成分として水溶性樹脂が塩基性染料によって均一
に着色処理された水溶性着色樹脂を含有することを特徴
とする。また、請求項2記載のインクジェット用水性イ
ンクは、該水溶性着色樹脂の該水溶性樹脂成分が5,
5’−ジメチルヒダントインとホルムアルデヒドの共重
合により得られる5,5’−ジメチルヒダントインホル
ムアルデヒド樹脂、または1−メチロール−5,5’−
ジメチルヒダントインの縮重合により得られる1−メチ
ロール−5,5’−ジメチルヒダントイン樹脂、または
ビニルピロリドンの付加重合によって得られるポリビニ
ルピロリドンから選ばれることを特徴とする。
【0009】また、請求項3記載のインクジェット用水
性インクは、該水溶性着色樹脂の該水溶性樹脂の分子量
が10000以下であることを特徴とする。
【0010】また、請求項4記載のインクジェット用水
性インクは、該水溶性着色樹脂中の該水溶性樹脂と該塩
基性染料の配合比が10:1から1:1の範囲内である
ことを特徴とする。
【0011】また、請求項5記載のインクジェット用水
性インクは、該水溶性着色樹脂のインク中の含有量が1
から10重量%であることを特徴とする。
【0012】また、請求項6記載のインクジェット記録
方法は、請求項1〜5のいずれかに記載のインクジェッ
ト用水性インクを使用して記録を行うことを特徴とす
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0014】本発明における着色剤主成分の水溶性着色
樹脂は、水溶性樹脂を塩基性染料によって均一に着色処
理したものである。該水溶性着色樹脂をインクジェット
用水性インクの着色剤として使用することにより、単に
染料を着色剤として使用した場合と比べて、極めて優れ
た耐水性を得ることが可能となる。また、該水溶性着色
樹脂は、インク中では染料を着色剤として使用した場合
と同様に完全に溶解しているため、安定噴射を阻害する
ことなく、鮮明性、高濃度記録、耐擦性に優れた記録を
得ることが可能である。
【0015】水溶性着色樹脂により、優れた耐水性が得
られる理由は以下のように考えられる。
【0016】本発明の水溶性着色樹脂はその着色過程に
おいて、水溶性樹脂と塩基性染料の弱い結合を形成し、
インク中に溶解混合された後においても、この結合は微
小な会合体として維持される。さらに、インクジェット
記録により記録された記録物上においてもこの結合は維
持される。すなわち、記録物上の塩基性染料は、水溶性
樹脂との結合により保持され、記録物が乾燥した後に水
が供給されても水溶性樹脂の水中への拡散速度の遅さに
起因して、簡単に水に流れることはない。
【0017】このように、水溶性着色樹脂の使用によ
り、安定噴射性と鮮明性、高濃度記録、耐水性、耐擦性
に優れたインクジェット用水性インク及びインクジェッ
ト記録方法が達成される。
【0018】本発明の該水溶性樹脂としては、水に対し
て5%もしくはそれ以上の溶解度を示し、且つ、水への
溶解速度が遅く、且つ、その水溶液が著しい増粘を起こ
さないものが好適に使用される。具体的には、5,5’
−ジメチルヒダントインとホルムアルデヒドの共重合に
より得られる5,5’−ジメチルヒダントインホルムア
ルデヒド樹脂、または1−メチロール−5,5’−ジメ
チルヒダントインの縮重合により得られる1−メチロー
ル−5,5’−ジメチルヒダントイン樹脂、またはビニ
ルピロリドンの付加重合によって得られるポリビニルピ
ロリドン、あるいはこれらの誘導体類が挙げられるが、
本発明の効果が得られる限りにおいて、これらに限定さ
れるものではない。また、これらの樹脂は2種類以上を
混合して使用することも可能である。また、該水溶性樹
脂の分子量は10000以下であることがさらに望まし
い。
【0019】本発明の該塩基性染料としては、各種市販
品を使用することができる。具体的には、カラーインデ
ックスナンバーベーシックレッド1,1:1,2,1
2,13,14,18,22,27,28,29,3
4,38,39,46,46:1,67,69,70、
カラーインデックスナンバーベーシックバイオレット
1,2,3,4,5,7,8,10,11,11:1,
20,33、カラーインデックスナンバーベーシックブ
ルー3,6,7,9,11,12,16,17,24,
26,41,47,66、カラーインデックスナンバー
ベーシックグリーン1,4,5、カラーインデックスナ
ンバーベーシックイエロー1,11,19,21,2
4,25,28,29,36,45,51,67,7
3、カラーインデックスナンバーベーシックオレンジ1
4,21,22,32、カラーインデックスナンバーベ
ーシックブラウン1,4等が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。また、これらの塩基性染料は2
種類以上を混合して使用することも可能であり、その場
合には単独では得られない所望の色を得ることも可能と
なる。また、該塩基性染料は市販品の状態では硫酸ナト
リウム等の無機不純物を多量に含む場合があるため、必
要に応じてイオン交換樹脂による精製処理や、濾過によ
る精製処理を行っても良い。不純物が多い場合、着色過
程における結合が阻害されたり、十分な着色が得られな
かったり、ヘッド先端部で析出し目詰まりの原因となる
等の弊害が起こる場合がある。このような点から、該塩
基性染料の純度は90%以上が望ましく、95%以上で
あることがさらに望ましい。
【0020】該水溶性着色樹脂中の水溶性樹脂と塩基性
染料の配合比は10:1から1:1の範囲内であること
が望ましい。塩基性染料の配合比が前記比より少ないと
十分な着色力が得られず、多いと水溶性樹脂との結合に
よる効果が十分に得られなくなる。
【0021】本発明の該水溶性着色樹脂は以下に示すい
づれかの方法によって調製することが可能である。 1)水溶性樹脂を60℃以上の温度に加熱して低粘度の
液体とし、該液体中に塩基性染料を加え、均一になるま
で混合攪拌した後、常温まで冷却して水溶性着色樹脂を
得る。 2)インク成分である不揮発性有機溶剤を60℃以上の
温度に加熱し、該加熱溶剤中に水溶性樹脂と塩基性染料
を加えて均一になるまで混合攪拌した後、常温まで冷却
して水溶性着色樹脂の不揮発性有機溶剤溶液を得る。
【0022】以上のようにして得られた水溶性着色樹脂
のインクジェット用水性インクへの着色剤としての望ま
しい含有量は、インク全量に対して1〜10重量%、好
ましくは2〜6重量%である。もし、1重量%未満であ
ると、十分な着色力が得られず、鮮明で高濃度の記録が
得られない。また、10重量%を越えると必要以上に増
粘し、噴射安定性が阻害され、記録紙上での乾燥が極端
に遅くなる等の問題を生じる。
【0023】本発明において使用される溶媒は水と水溶
性有機溶剤の混合溶媒である。
【0024】水としては、種々のイオンを含有する一般
の水ではなく、脱イオン水を使用することが望ましい。
この時の水の含有量は、所望されるインクの特性に依存
して広い範囲で決定されるが、インクの全重量に対して
一般に10〜90重量%、好ましくは40〜80重量%
の範囲内である。
【0025】また、水溶性有機溶剤は主としてインクジ
ェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥防止を目的
として使用され、従って揮発性の低い溶剤を選択するこ
とが望ましい。このような水溶性有機溶剤としては、ポ
リエチレングリコール等のポリアルキレングリコール
類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチ
レングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレン
グリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレン
グリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジ
グリコール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタ
ンジオール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリ
コール類;グリセリン;2−ピロリドン、N−メチル−
2−ピロリドン等のピロリドン類が挙げられる。これら
の水溶性有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種類以上
混合して用いることも可能である。
【0026】インク中の上記水溶性有機溶剤の含有量
は、インク全量に対して重量%で5〜50重量%、好ま
しくは7〜40重量%、より好ましくは10〜30重量
%である。もし、5重量%未満であると、湿潤作用が不
十分となり、目詰まり等の問題が生じる。また、50重
量%を越えると、インクが必要以上に増粘し、噴射不能
となったり、記録紙上での乾燥が極端に遅くなる等の問
題を生じる。
【0027】本発明の及び本発明に使用するインクの基
本構成は以上の通りであるが、その他従来公知の各種浸
透剤、分散剤、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整
剤、pH調整剤、防腐防カビ剤等を必要に応じて添加す
ることができる。
【0028】上記浸透剤としては、20℃での蒸気圧が
0.1mmHg以下の多価アルコールモノアルキルエー
テルを使用することが望ましい。該多価アルコールモノ
アルキルエーテルは、記録紙へのインク浸透速度を効果
的に速めることにより、インクの紙面上での速乾性を向
上させ、記録紙上での遅乾性に起因するブリーディング
(異なる色の境界でのにじみ)を防止し、且つ、浸透に
伴うフェザリング(紙の繊維に沿ったヒゲ状のにじみ)
を起こし難いものが好適に使用される。
【0029】上記多価アルコールモノアルキルエーテル
の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールモノ
メチルエーテル(20℃での蒸気圧0.1mmHg)、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(20℃での
蒸気圧0.01mmHg)、ジエチレングリコールモノ
イソブチルエーテル(20℃での蒸気圧0.01mmH
g)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(2
0℃での蒸気圧0.06mmHg)、ジプロピレングリ
コールモノプロピルエーテル(20℃での蒸気圧0.0
2mmHg)、ジプロピレングリコールモノイソプロピ
ルエーテル(20℃での蒸気圧0.05mmHg)、ジ
プロピレングリコールモノブチルエーテル(20℃での
蒸気圧0.05mmHg)、トリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル(20℃での蒸気圧0.01mmHg
未満)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル
(20℃での蒸気圧0.01mmHg未満)、トリプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル(20℃での蒸気
圧0.02mmHg)、トリプロピレングリコールモノ
ブチルエーテル(20℃での蒸気圧0.01mmHg未
満)等が挙げられる。
【0030】一般的な多価アルコールアルキルエーテル
は独特の臭気を有しており、その蒸気圧が20℃で0.
1mmHgより高いものをインクに用いると、インク自
体も高臭気性となり、一般オフィス、家庭で使用するに
は大きな問題となる。しかしながら、上記に例示した多
価アルコールモノアルキルエーテルは20℃での蒸気圧
が0.1mmHg以下と低く、インクに使用しても低臭
気性であり、前述の問題はない。
【0031】さらに、上記多価アルコールアルキルエー
テルの中でも、20℃での蒸気圧が0.01mmHg未
満のものは、特に臭気が少なく、好適に使用することが
できる。インク中の上記多価アルコールアルキルエーテ
ルの含有量は、インク全量に対して重量%で3〜15重
量%が好ましい。もし、3重量%未満であると、インク
の記録紙への浸透速度が遅く、乾燥時間、ブリーディン
グに問題を生じる。また、15重量%を越えると、イン
クの記録紙への浸透が激しくなり、記録紙の裏までイン
クが達してしまったり、フェザリングにも問題を生じ
る。
【0032】また、浸透性、乾燥性の制御を目的とし
て、エチルアルコール、1−プロパノール、2−プロパ
ノール等の1価アルコールを必要に応じて添加してもよ
い。
【0033】また、記録液を帯電させるタイプのインク
ジェット記録方法に使用されるインクを調合する場合に
は、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化ナトリウム
等の無機塩類等の比抵抗調整剤が添加される。
【0034】尚、熱エネルギーの作用によってインクを
噴射させるタイプのインクジェット方式に適用する場合
には、熱的な物性値(例えば比熱、熱膨張係数、熱電導
率等)が調整されることもある。
【0035】以上のようにして得られる本発明で使用す
るインク及び該インクを使用したインクジェット記録方
法は、従来技術の問題点が十分に解決されており、イン
クジェット記録における安定噴射、記録物の鮮明性、高
濃度記録、耐水性、耐擦性いずれもバランスのとれた優
れたものであり、各種の方式のインクジェット記録用の
インクとして有用であり、優れた記録を与えることがで
きる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を具体化した実施例について説
明する。
【0037】尚、文、表中%とあるのは重量基準であ
る。
【0038】表1に示す通り、本発明の水溶性着色樹脂
を得た。
【0039】
【表1】 着色樹脂例1〜例6は、加熱温度約120℃の条件下で
各例に示す水溶性樹脂を溶融液体化し、各例に示す塩基
性染料を加えて1時間混合攪拌を行い、常温に冷却して
着色樹脂の固形物を得た。
【0040】着色樹脂例7は、100℃に加熱した例に
示す水溶性有機溶剤中に例に示す水溶性樹脂と例に示す
塩基性染料を加え、2時間攪拌混合し、常温に冷却して
着色樹脂の水溶性有機溶剤溶液を得た。
【0041】尚、表1中の水溶性樹脂の分子量は重量平
均分子量であり、光散乱法もしくはゲル濾過クロマトグ
ラフィ−により求めることができる。 <実施例1> 液組成 着色樹脂 例1 5% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 79% 上記各材料を十分に混合攪拌した後、0.8μmのメン
ブランフィルタで濾過してインクとした。
【0042】このインクを用いて、記録ヘッド内のイン
クに熱エネルギーを与えて液滴を発生させ、記録を行う
オンデマンドタイプのマルチヘッド(噴射オリフィス径
35μm、発熱抵抗体抵抗値150オーム、駆動電圧3
0ボルト、周波数2KHz)を有する記録装置、及び記
録ヘッド内のインクにピエゾ素子振動による圧力を与え
て液滴を発生させ、記録を行うオンデマンドタイプのマ
ルチヘッド(噴射オリフィス径40μm、駆動電圧30
ボルト、周波数10KHz)を有する記録装置により、
以下の試験評価を行ったところ、いずれにおいても良好
な結果を得た。
【0043】(試験評価1)噴射安定性;室温(25
℃)、5℃、40℃の雰囲気下でそれぞれ24時間の連
続噴射を行ったが、いずれの条件でも終始安定した高品
質の記録が行えた。
【0044】(試験評価2)噴射応答性;2秒間の間欠
噴射と2カ月間放置後の噴射について調べたが、いずれ
の場合にもオリフィス先端での目詰まりはなく、安定で
均一に記録された。
【0045】(試験評価3)記録画像の品質;以下に示
す被記録材に記録された画像は、濃度が高く鮮明であ
り、その色調は鮮やかなマゼンタ色であった。
【0046】 被記録材;ゼロックス社製「ゼロックス4200」 ゼロックス社製「ゼロックスL」 ハンマーミル社製「ハンマーミルコピープラスホワイト」 東洋濾紙社製ノンサイズ紙「東洋濾紙No4」 (試験評価4)各種被記録材に対する耐擦性;上記(試
験評価3)に示した被記録材に噴射記録5秒後、インク
付着部を指で擦り、画像ずれ、滲みの有無を判定した結
果、いずれも画像ずれ、滲み等がなく、優れた定着性を
示した。
【0047】(試験評価5)各種被記録材での耐水性;
上記(試験評価3)に示した被記録材に記録された文
字、画像を30秒間水道水中に浸した後、引き上げて自
然乾燥させて文字、画像の劣化を確認したところ、にじ
みはなく、文字も良好に判読可能であった。
【0048】<実施例2>実施例1と同様の方法により
下記の液組成を用いてインクを調製し、ぞれぞれについ
て実施例1と同様に試験評価1〜5の検討を行った。こ
れらはいずれも実施例1と同様に優れた結果を示した。
また、試験評価3での色調は鮮やかなシアン色であっ
た。
【0049】 液組成 着色樹脂 例2 5% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 79% <実施例3>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、ぞれぞれについて実施例1と
同様に試験評価1〜5の検討を行った。これらはいずれ
も実施例1と同様に優れた結果を示した。また、試験評
価3での色調は鮮やかなイエロー色であった。
【0050】 液組成 着色樹脂 例3 5% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 79% <実施例4>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、ぞれぞれについて実施例1と
同様に試験評価1〜5の検討を行った。これらはいずれ
も実施例1と同様に優れた結果を示した。また、試験評
価3での色調は深みのあるブラック色であった。
【0051】 液組成 着色樹脂 例4 5% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 79% 次に、実施例1〜4のインクをそれぞれマゼンタイン
ク、シアンインク、イエローインク、ブラックインクと
して使用し、フルカラー記録を実施例1に示した記録装
置で行ったところ、鮮明で高濃度、且つ、良好な色調の
記録が得られた。また、記録された画像や文字はブリー
ディングやフェザリングもなく、良好な印字品質となっ
た。
【0052】<実施例5>実施例1と同様の方法により
下記の液組成を用いてインクを調製し、ぞれぞれについ
て実施例1と同様に試験評価1〜5の検討を行った。こ
れらはいずれも実施例1と同様に優れた結果を示した。
【0053】 液組成 着色樹脂 例5 2% グリセリン 20% 2−ピロリドン 10% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4% 純水 64% <実施例6>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、ぞれぞれについて実施例1と
同様に試験評価1〜5の検討を行った。これらはいずれ
も実施例1と同様に優れた結果を示した。
【0054】 液組成 着色樹脂 例6 4% グリセリン 25% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 8% 純水 63% <実施例7>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、ぞれぞれについて実施例1と
同様に試験評価1〜5の検討を行った。これらはいずれ
も実施例1と同様に優れた結果を示した。
【0055】 液組成 着色樹脂 例7 20% (ポリエチレングリコールを16%含む) カラーインデックスナンバーベーシックイエロー37 1% 2−ピロリドン 10% トリエチレングリコールモノブチルエーテル 4% 純水 65% <比較例1>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、それぞれについて実施例と同
様に試験評価1〜5の検討を行った。その結果、試験評
価3において、鮮明性に欠ける薄い濃度の記録となっ
た。また、試験評価5においては、にじみが激しく、文
字の認識も困難となった。
【0056】 液組成 カラーインデックスナンバーダイレクトレッド227 1% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 83% <比較例2>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、それぞれについて実施例と同
様に試験評価1〜5の検討を行った。その結果、試験評
価3において画像の鮮明性が十分でなく、試験評価5に
おいては文字の認識は可能であったが、にじみが目立っ
ていた。
【0057】 液組成 カラーインデックスナンバーベーシックバイオレット11:1 1% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 83% <比較例3>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、それぞれについて実施例と同
様に試験評価1〜5の検討を行った。その結果、試験評
価1において一部不安定な噴射が観察された。また、試
験評価2においても、2ヶ月放置後の噴射において噴射
曲がりや不噴射が一部発生した。
【0058】 液組成 着色樹脂 例1 15% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 69% 次に比較実験のため、表2に示す比較用着色樹脂を得
た。
【0059】
【表2】 比較用着色樹脂1〜2は、加熱温度120℃の条件下で
各例に示す水溶性樹脂を溶融液体化し、各例に示す染料
を加えて1時間混合攪拌を行い、常温に冷却して比較用
着色樹脂の固形物を得た。
【0060】比較用着色樹脂例3は、例に示す水溶性樹
脂と例に示す塩基性染料を水を溶媒として、常温で1時
間攪拌混合した後、フリーズドライによって比較用着色
樹脂の固形物を得た。
【0061】<比較例4>実施例1と同様の方法により
下記の液組成を用いてインクを調製し、ぞれぞれについ
て実施例1と同様に試験評価1〜5の検討を行った。そ
の結果、試験評価5において明らかなにじみが発生し
た。
【0062】 液組成 比較用着色樹脂 例1 3% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 81% <比較例5>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、ぞれぞれについて実施例1と
同様に試験評価1〜5の検討を行った。その結果、試験
評価3において、鮮明性に欠ける薄い濃度の記録となっ
た。また、試験評価5においては、にじみが激しく、文
字の判読が困難となった。
【0063】 液組成 比較用着色樹脂 例2 5% ポリエチレングリコール(平均分子量200) 10% トリエチレングリコールモノメチルエーテル 6% 純水 79% <比較例6>実施例1と同様の方法により下記の液組成
を用いてインクを調製し、ぞれぞれについて実施例1と
同様に試験評価1〜5の検討を行った。その結果、試験
評価1において不安定な噴射が頻繁に観察された。ま
た、試験評価2においても、2ヶ月放置後の噴射におい
て噴射曲がりや不噴射が発生した。
【0064】 液組成 比較用着色樹脂 例3 4% トリエチレングリコール 16% 純水 80% 以上の実施例、比較例についての試験評価1〜5の結果
を表3に示す。
【0065】
【表3】 表3に示す通り、本発明の実施例によれば、インクジェ
ット記録における安定噴射、記録物の鮮明性、高濃度記
録、耐水性、耐擦性いずれもバランスのとれた優れたも
のであり、各種の方式のインクジェット記録用のインク
として有用であり、優れた記録を与えることができる。
一方、比較例においては、試験評価のいづれかにおいて
問題を有している。
【0066】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように本発
明のインクジェット用水性インクは、着色剤主成分とし
て水溶性樹脂が塩基性染料によって均一に着色処理され
た水溶性着色樹脂を含有することを特徴とし、望ましく
は、該水溶性着色樹脂の該水溶性樹脂成分が5,5’−
ジメチルヒダントインとホルムアルデヒドの共重合によ
り得られる5,5’−ジメチルヒダントインホルムアル
デヒド樹脂、または1−メチロール−5,5’−ジメチ
ルヒダントインの縮重合により得られる1−メチロール
−5,5’−ジメチルヒダントイン樹脂、またはビニル
ピロリドンの付加重合によって得られるポリビニルピロ
リドンから選ばれることを特徴とし、さらに望ましく
は、該水溶性着色樹脂の該水溶性樹脂の分子量が100
00以下であることを特徴とし、さらに望ましくは、該
水溶性着色樹脂中の該水溶性樹脂と該塩基性染料の配合
比が10:1から1:1の範囲内であることを特徴と
し、さらに望ましくは、該水溶性着色樹脂のインク中の
含有量が1から10重量%であることを特徴としている
ため、インクジェット記録における安定噴射、記録物の
鮮明性、高濃度記録、耐水性、耐擦性いずれもバランス
のとれた優れたものであり、各種の方式のインクジェッ
ト記録用のインクとして有用であり、優れた記録を与え
ることができる。
【0067】また、本発明のインクジェット記録方法
は、前記インクジェット用水性インクを使用して記録を
行うことを特徴としているため、インクジェット記録に
おける安定噴射、記録物の鮮明性、高濃度記録、耐水
性、耐擦性いずれもバランスのとれた優れたものであ
り、各種の方式のインクジェット記録方法として有用で
あり、優れた記録を与えることができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水と水溶性有機溶剤と着色剤を必須成分
    として成るインクジェット用水性インクにおいて、着色
    剤主成分として水溶性樹脂が塩基性染料によって均一に
    着色処理された水溶性着色樹脂を含有することを特徴と
    するインクジェット用水性インク。
  2. 【請求項2】 該水溶性着色樹脂の該水溶性樹脂成分が
    5,5’−ジメチルヒダントインとホルムアルデヒドの
    共重合により得られる5,5’−ジメチルヒダントイン
    ホルムアルデヒド樹脂、または1−メチロール−5,
    5’−ジメチルヒダントインの縮重合により得られる1
    −メチロール−5,5’−ジメチルヒダントイン樹脂、
    またはビニルピロリドンの付加重合によって得られるポ
    リビニルピロリドンから選ばれることを特徴とする請求
    項1に記載のインクジェット用水性インク。
  3. 【請求項3】 該水溶性着色樹脂の該水溶性樹脂の分子
    量が10000以下であることを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のインクジェット用水性インク。
  4. 【請求項4】 該水溶性着色樹脂中の該水溶性樹脂と該
    塩基性染料の配合比が10:1から1:1の範囲内であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のイ
    ンクジェット用水性インク。
  5. 【請求項5】 該水溶性着色樹脂のインク中の含有量が
    1から10重量%であることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれかに記載のインクジェット用水性インク。
  6. 【請求項6】 水と水溶性有機溶剤と着色剤を必須成分
    として成るインクジェット用水性インクを微細な液滴と
    して飛翔させて記録を行うインクジェット記録方法にお
    いて、請求項〜5のいずれかに記載のインクジェット用
    水性インクを使用することを特徴とするインクジェット
    記録方法。
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