JP2000095810A - 触媒担体用固体状アルミノキサンおよびその製造方法、ならびにその用途 - Google Patents

触媒担体用固体状アルミノキサンおよびその製造方法、ならびにその用途

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JP2000095810A
JP2000095810A JP24813398A JP24813398A JP2000095810A JP 2000095810 A JP2000095810 A JP 2000095810A JP 24813398 A JP24813398 A JP 24813398A JP 24813398 A JP24813398 A JP 24813398A JP 2000095810 A JP2000095810 A JP 2000095810A
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aluminoxane
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English (en)
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Atsuo Obata
畑 敦 生 小
Kazuto Goto
藤 和 人 後
Tetsuhiro Matsumoto
本 哲 博 松
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】嵩密度の低い触媒担体用固体状アルミノキサン
を提供すること。遷移金属化合物触媒成分と組合せるこ
とにより重合活性が大きく、高い空間率を保有する固体
状触媒を形成することのできるオレフィン重合用触媒成
分を提供すること。均一なオレフィン重合体を提供する
こと、エラストマー領域のゴムを多く含有するオレフィ
ン重合体を提供すること。 【解決手段】触媒担体用固体状アルミノキサンは、嵩密
度が0.01〜1.0g/ccの範囲にあり、好ましく
は平均粒子径が50〜50000μmの範囲にある。固
体状触媒は、固体状アルミノキサンと遷移金属化合物と
からなり嵩密度が0.01〜1.0g/ccの範囲にあ
り、予備重合触媒は固体状触媒にオレフィンを予備重合
して得られ嵩密度が0.01〜1.0g/ccの範囲に
ある。オレフィン重合体は、平均粒子径が100〜10
0000μmの範囲にあり嵩密度が0.05〜0.55
g/ccの範囲にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、触媒担体用固体状
アルミノキサンおよびその製造方法、ならびにその用途
に関し、さらに詳細には、オレフィン重合触媒成分およ
び/または重合触媒用担体として用いることができる嵩
密度が低い触媒担体用固体状アルミノキサン、およびそ
の製造方法、ならびに該触媒担体用固体状アルミノキサ
ンを含むオレフィン重合用触媒およびオレフィン重合用
予備重合触媒、該触媒を用いたオレフィンの重合方法お
よびその重合方法によって得られるオレフィン重合体に
関する。
【0002】なお、本明細書において、「重合」という語
は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用
いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合
体だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられるこ
とがある。
【0003】
【発明の技術的背景】オレフィン重合体、たとえばポリ
エチレン、またはエチレンとα−オレフィンとの共重合
体である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、エ
チレン・プロピレンターポリマー(EPT)などに代表
されるオレフィン重合体は、フィルム成形用材料や工業
用材料などとして広く利用されている。
【0004】このようなオレフィン重合体は、チーグラ
ー型またはメタロセン型触媒を用いて製造されている。
近年のオレフィン重合用の遷移金属触媒の改良によっ
て、遷移金属の単位量あたりのオレフィン重合体生産能
力が飛躍的に向上し、その結果、重合後における触媒除
去操作が省略されるようになった。
【0005】特にメタロセン系重合触媒は高活性であ
り、また得られた重合体の分子量分布が狭い等の特徴に
より、透明性、表面非粘着性等において優れた力学物性
を発現することが知られており、溶液重合、スラリー重
合、気相重合等において実用化されつつある。
【0006】スラリー重合、気相重合用固体触媒として
用いられる場合は、メタロセン触媒成分およびアルミノ
キサンのいずれか一方または両方の成分をシリカ、シリ
カ・アルミナ、アルミナなどの多孔性無機酸化物担体に
担持させた無機担体担持固体触媒を用いて、懸濁重合系
または気相重合系においてオレフィンの重合を行うとす
る試みもなされている。
【0007】しかしながら、無機担体担持固体触媒を用
いてオレフィンを懸濁重合系または気相重合系で重合ま
たは共重合を行った場合、触媒中に活性に寄与しないシ
リカ等を含有しているため単位触媒重量あたりの活性は
溶液重合系にくらべて低下する。
【0008】また、無機担体担持固体触媒を用いてオレ
フィンを重合すると比較的高嵩密度のポリマーが得られ
る。一般に、気相重合、スラリー重合では、溶液重合に
比べ活性点の周りに重合体が存在した状態で重合するた
め、組成分布および/または分子量分布が広い不均一な
重合体が得られやすい。特に、粒子内に空間をほとんど
含まない重合体粒子では、粒子内へのモノマー拡散の影
響を受け、モノマーの濃度分布を生じやすくなり、不均
一な重合体が得られやすい。
【0009】
【発明の目的】本発明は上記のような従来技術における
問題点を解決するためになされたものであって、重合触
媒用担体となりうるような嵩密度の低い固体状アルミノ
キサンを提供すること、さらにはメタロセン触媒成分と
組合せることにより重合活性が大きく、高い空間率を保
有する固体状オレフィン重合用触媒を形成することので
きるオレフィン重合用触媒成分を提供することにある。
【0010】また、本発明の他の目的は、組成分布およ
び/または分子量分布が狭い均一なオレフィン重合体を
提供すること、およびエラストマー領域のゴムを多く含
有するオレフィン重合体を提供することにある。
【0011】
【発明の概要】本発明に係る触媒担体用固体状アルミノ
キサンは、下記一般式(I)または(II)で表されるア
ルミノキサン、および下記一般式(IIIa)で表される繰
り返し単位と下記一般式(IIIb)で表される繰り返し単
位とを有するアルミノキサンから選ばれる1種のアルミ
ノキサンからなり、
【0012】
【化6】
【0013】(式中、Rは炭素原子数が1ないし10の
炭化水素基を示し、mは2ないし500の整数を示し、
n、pはそれぞれ1以上の整数を示す。) 嵩密度が0.01ないし1.0g/ccの範囲にあるこ
とを特徴としている。
【0014】この触媒担体用固体状アルミノキサンは、
平均粒子径が50ないし50000μmの範囲にあるこ
とが好ましい。前記触媒担体用固体状アルミノキサン
は、たとえばアルキル基とアルミ原子比が1.5以上の
アルミノキサンの溶液と、該アルミノキサンの不溶性な
いし難溶性溶媒とを接触させてアルミノキサンを析出さ
せ、その析出させる際の総析出量の少なくとも80重量
%のアルミノキサンを析出開始から60秒以内で析出さ
せることで得られる。
【0015】また前記触媒担体用固体状アルミノキサン
は、アルキル基とアルミ原子の比が1.5以上のアルミ
ノキサン溶液と水とを、アルミノキサンのアルキル基と
アルミ原子の比が1.0ないし1.5となるまで反応さ
せ、析出させて得ることも好ましい。
【0016】この析出の際には固体状アルミノキサンの
平均粒子径が50ないし50000μmの範囲となるよ
うに析出条件を制御することが好ましい。この触媒担体
用固体状アルミノキサンは、オレフィン重合用触媒成分
および/または重合触媒担体としてメタロセン触媒成分
と組合せて用いることができる。
【0017】具体的には(A)メタロセン触媒成分を
(B)前記一般式(I)または(II)で表されるアルミ
ノキサン、および前記一般式(IIIa)で表される繰り返
し単位と前記一般式(IIIb)で表される繰り返し単位と
を有するアルミノキサンから選ばれる1種のアルミノキ
サンであって、嵩密度が0.01ないし1.0g/cc
の範囲にある固体状アルミノキサンに担持することによ
って得られる重合触媒、または前記触媒の存在下、もし
くは前記触媒と(C)有機アルミニウム化合物との存在
下にオレフィンを予備重合して得られる予備重合触媒と
して用いられる。
【0018】この予備重合触媒の平均粒子径は50ない
し50000μmの範囲内にあることが好ましく、また
嵩密度は0.01ないし0.2g/cc範囲内にあるこ
とが好ましい。
【0019】本発明に係るオレフィンの重合方法は、前
記触媒の存在下にオレフィンを重合、好ましくは気相ま
たはスラリー状の液相で重合することを特徴としてい
る。本発明に係るオレフィン重合体は、平均粒子径が1
00ないし100000μmの範囲にあり、かつ嵩密度
が0.05g/ccないし0.55g/ccの範囲にあ
ることを特徴としている。このようなオレフィン重合体
は、上記のようなオレフィン重合方法により製造するこ
とができる。
【0020】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る触媒担体用固
体状アルミノキサンおよびその製造方法、ならびにその
用途について具体的に説明する。
【0021】触媒担体用固体状アルミノキサン 本発明の触媒担体用固体状アルミノキサンは、下記一般
式(I)または(II)で表されるアルミノキサン、およ
び下記一般式(IIIa)で表される繰り返し単位と下記一
般式(IIIb)で表される繰り返し単位とを有するアルミ
ノキサンから選ばれる1種のアルミノキサンである。
【0022】
【化7】
【0023】ここで、Rは炭素原子数が1ないし10、
好ましくは1ないし4の炭化水素基であり、具体的には
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、イ
ソプロペニル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキ
サデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、シクロヘ
キシル基、シクロオクチル基、フェニル基、トリル基、
エチルフェニル基などの炭化水素基などを例示すること
ができる。これら例示したもののうちで、メチル基、エ
チル基、イソブチル基が好ましく、特にメチル基が好ま
しい。
【0024】mは2ないし500、好ましくは6ないし
300、特に好ましくは10ないし100の範囲にあ
る。n、pはそれぞれ1以上の整数を示す。前記一般式
(IIIa)で表される繰り返し単位と前記一般式(IIIb)
で表される繰り返し単位とを有するアルミノキサンは、
ベンゼンの凝固点降下法により測定した分子量が200
〜2000の範囲内にあることが好ましい。
【0025】また、該アルミノキサンは、Rの一部が塩
素、臭素などのハロゲン原子で置換され、かつハロゲン
含有率が40重量%以下のハロゲン化アルミノキサンで
あってもよい。
【0026】本発明に係る固体状アルミノキサンの嵩密
度は、0.01ないし1.0g/cc、好ましくは0.
02ないし0.5g/cc、より好ましくは0.02な
いし0.45g/cc、さらに好ましくは0.02ない
し0.43g/ccの範囲にある。空隙率は、一般に5
0%ないし98%、好ましくは60%ないし95%、特
に好ましくは70%ないし90%の範囲にあり、多孔質
である。
【0027】固体状アルミノキサンの嵩密度が0.01
g/ccより小さくなると、固体状アルミノキサンの強
度が低下し、気相重合やスラリー重合に使用する際に、
崩壊もしくは外力によって粒子が変形したり、または粒
子性状が悪化することがある。また嵩密度が1.0g/
ccより大きくなると、重合中のポリマー粒子内の空隙
率が低くなり、不均一なポリマーが生じやすい、アルミ
ノキサンの表面積が小さくなり活性が低いなどの問題を
生じることがある。
【0028】ここで、固体状アルミノキサンの嵩密度
は、溶媒中で調製したアルミノキサンスラリーより室温
下で真空乾燥を行って溶媒を除去し、不活性雰囲気下で
1ccの容積を持つ容器に充填し、その重量を測定する
ことによって求めることができる。
【0029】また、本発明に係る固体状アルミノキサン
は、下記方法で測定されるn-ヘキサン中のアルミ嵩濃度
が、通常0.02〜1.0mmol/cc、好ましくは
0.04ないし0.5mmol/cc、特に好ましくは
0.05ないし0.2mmol/ccの範囲にある。
【0030】n-ヘキサン中のアルミ嵩濃度は、以下のよ
うにして測定される。すなわち、容積を測定可能な容器
(例えば、メスシリンダー)に、窒素雰囲気下で、固体
状アルミノキサンのn-ヘキサンスラリーを所定量投入す
る。投入する量は予め又は投入後測定し、トータルアル
ミ仕込みモル数を求めておく。固体状アルミノキサンの
投入量は、沈降スラリー体積(後述)が±0.1vol%
の誤差範囲内で測定可能な量であれば適宜選択できる。
固体状アルミノキサン投入後、24時間以上静置し、沈
降したスラリーと上澄みの界面を目視で確認し、沈降ス
ラリー部の容積(沈降スラリー体積)を測定する。投入
した固体状アルミノキサン中のアルミモル数を沈降スラ
リー部容積で割ったものをn-ヘキサン中のアルミ嵩濃度
とする。
【0031】さらに本発明に係る固体状アルミノキサン
の平均粒子径は、一般に50ないし50000μm、好
ましくは200ないし10000μm、特に好ましくは
500ないし5000μmの範囲にある。
【0032】固体状アルミノキサンの平均粒子径は、走
査型電子顕微鏡により粒子を観察し、100個以上の粒
子の粒径を測定し、重量平均化することにより求めた。
固体状アルミノキサンの粒径は、ピタゴラス法最大長を
粒子像より測定した。即ち、水平方向、垂直方向それぞ
れに、粒子像を2本の平行線ではさんだ長さを測り、下
式をもって計算で求めた。
【0033】粒径=((水平方向長さ)2+(垂直方向
長さ)20.5 重量平均粒子径は、上記で求めた粒径を用いて下式によ
り求めた。 平均粒径=Σnd4/Σnd3(ここでn;粒子個数、
d;粒径) 上記の平均粒径は、固体状アルミノキサンおよび予備重
合固体状触媒各々について測定した。
【0034】さらに、本発明の固体状アルミノキサンは
25℃の温度に保持されたn-ヘキサンに対し溶解する割
合が、通常0ないし40モル%、好ましくは0ないし2
0モル%、特に好ましくは0ないし10モル%の範囲を
満足する。 固体状アルミノキサンのn-ヘキサンに対す
る溶解割合は、25℃に保持された50mlのn-ヘキサ
ンに固体状アルミノキサン担体2gを加えた後2時間の
撹拌を行ない、次いでG−4グラス製フイルターを用い
て溶液部を分離して、この濾液中のアルミニウム濃度を
測定することにより求めた。従つて、溶解割合は用いた
アルミノキサン2gに相当するアルミニウム原子の量に
対する前記濾液中に存在するアルミニウム原子の割合と
して決定する。
【0035】本発明に係る固体状アルミノキサンは、ア
ルミノキサンの溶液を調製した後、一定の条件でアルミ
ノキサンを析出させることにより製造することができ
る。アルミノキサンの溶液は、少なくともアルミノキサ
ンおよびアルミノキサンの可溶性溶媒から形成される。
アルミノキサンの溶液を得る方法としては単に両成分を
混合する方法または両成分を加熱下に混合する方法など
を例示することができる。また、アルミノキサンの溶液
は、以下のようにして調製することもできる。 (1)吸着水を含有する化合物、結晶水を含有する塩
類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、
硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第
1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液にトリアル
キルアルミニウムを添加して反応させる方法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムに
直接水を作用させる方法。
【0036】また、(1)および(2)の方法を逐次的
に併用してもかまわない。なお、該アルミノキサンの溶
液には少量の有機金属成分を含有していても差しつかえ
ない。たとえば、前記トリアルキルアルミニウムの他に
ハロゲン含有有機アルミニウム化合物や有機マグネシウ
ム化合物などの有機金属化合物成分を存在させてもよ
い。
【0037】このようにして得られたアルミノキサンの
溶液からアルミノキサンを一定の条件下で析出させるこ
とで、本発明の固体状アルミノキサンを製造することが
できる。たとえば、アルミノキサンの溶液と該アルミノ
キサンの不溶性ないし難溶性溶媒とを接触させること、
またはアルミノキサン中のアルキル基とアルミ原子との
比(アルキル基/アルミ原子)を特定の値としてアルミ
ノキサンを不溶解とすることにより、固体状アルミノキ
サンを懸濁状態で析出させる。
【0038】さらに詳しくは、アルミノキサンの溶液に
アルミノキサンの不溶性ないし難溶性溶媒を加えて撹拌
下に接触させるか、またはアルミノキサンの不溶性ない
し難溶性溶媒にアルミノキサンの溶液を加えて撹拌下に
接触させることにより固体状アルミノキサンを懸濁状態
で析出させる。または溶解している状態のアルミノキサ
ンに水を混入し、アルキル基とアルミ原子の比を下げる
ことによっても固体状アルミノキサンを得ることができ
る。
【0039】また前記方法以外でも本発明の固体状アル
ミノキサンの性状を確保できる条件であればいずれでも
よい。難溶性溶媒を用いるときには、アルミノキサンの
溶液と該アルミノキサンの不溶性ないし難溶性溶媒とを
接触させる際に、その総析出量の80重量%のアルミノ
キサンを析出開始から60秒以内で析出させることが好
ましい。
【0040】このようにして得られたアルミノキサン
は、担体としてではなく単に助触媒としての触媒成分と
して用いてもよい。アルミノキサンの溶液と該アルミノ
キサンの不溶性ないし難溶性溶媒との接触において、ア
ルミノキサンの溶液の濃度は特に限定されないが、通常
0.01〜2.0モル/リットル、好ましくは0.1〜
0.5モル/リットルの範囲である。
【0041】アルミノキサンの溶液と該アルミノキサン
の不溶性ないし難溶性溶媒との接触において、アルミノ
キサンの溶液100重量部に対する該アルミノキサンの
不溶性ないし難溶性溶媒の割合は、通常100ないし1
0000重量部、好ましくは500ないし5000重量
部の範囲であり、接触の際の温度は−100℃ないし1
00℃、好ましくは−50ないし70℃、特に好ましく
は−30ないし50℃の範囲であり、接触は通常撹拌下
に実施される。
【0042】可溶性溶媒または難溶性溶媒として選ばれ
る溶媒種はアルミノキサンの性状によって異なる。たと
えば、前記一般式(I)、(II)または(IIIa)におい
て、Rがメチル基で、アルキル基とアルミ原子の比が
1.5以上のアルミノキサンの可溶性溶媒として、たと
えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベ
ンゼン、ブチルベンゼン、キシレン、クロルベンゼンな
どの芳香族炭化水素を挙げることができる。
【0043】アルミノキサンの不溶性ないし難溶性溶媒
として、一般に飽和炭化水素溶媒が用いられ、たとえば
ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、灯油、シクロ
ヘキサンなどの直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素およ
びシクロヘキサン、ノルボルナン、エチルシクロヘキサ
ンなどの脂環式炭化水素を挙げることができる。アルミ
ノキサンの不溶性ないし難溶性溶媒としてはアルミノキ
サンの溶液を得る際に使用する可溶性溶媒よりも高い沸
点を有する溶媒を使用することが好ましい。
【0044】アルキル基とアルミ原子の比を下げること
により固体状アルミノキサンを得るには、溶解している
状態のアルミノキサンに、直接水を作用させる方法が例
示できる。さらに詳しくはアルキル基とアルミ原子の比
が1.5以上のアルミノキサン溶液に水を導入し、アル
ミノキサンと水を反応させ、反応後のアルミノキサンの
アルキル基とアルミ原子の比を下げることによって析出
させる。
【0045】アルミノキサンと水との反応において、ア
ルミノキサンの溶液の濃度は特に限定されないが、通常
0.01〜2.0モル/リットル、好ましくは0.1〜
0.5モル/リットルの範囲である。
【0046】アルミノキサンと水との反応において、反
応後のアルミノキサンのアルキル基とアルミ原子の比
は、通常0.5ないし1.5、好ましくは0.9ないし
1.5、より好ましくは1.0ないし1.5、特に好ま
しくは1.1ないし1.3の範囲であり、反応温度は、
−100℃ないし100℃、好ましくは−50℃ないし
70℃、特に好ましくは−30℃ないし50℃の範囲で
あり、水との接触は通常攪拌下で、できるだけ水を分散
した状態で実施することが望ましい。水の分散を促進す
る方法として、不活性ガスに水蒸気を含ませ、アルミノ
キサン溶液にバブリングさせる方法などが例示できる。
また、水と反応させたアルミノキサンに、新たなアルミ
ノキサンを混合し、アルキル基とアルミ原子の比が0.
5ないし1.5となるように水と反応させてもよい。
【0047】この方法で用いられる溶媒としては、アル
キル基とアルミ原子の比が高いときには、アルミノキサ
ンを溶解するが、アルキル基とアルミ原子が1.5以下
となると析出させる溶媒が望ましい。たとえば、前記一
般式(I)、(II)または(IIIa)において、Rがメチ
ル基とi-ブチル基の7対3となる混合アルキル基で、総
アルキル基とアルミ原子の比が1.7であるアルミノキ
サンはヘキサンに可溶であるが、水と反応させてアルキ
ル基とアルミ原子の比が1.5以下となると析出する。
【0048】なお本開示は単なる例示であり、この製法
に限定されるものではないことはいうまでもない。オレフィン重合用触媒 本発明の固体状アルミノキサンはオレフィン重合用触媒
成分(担体及び/または助触媒)として使用される。特
に、本発明の固体状アルミノキサン成分と、メタロセン
触媒成分から形成される多孔状固体触媒は、懸濁重合法
および気相重合法のいずれの方法によるオレフィンの重
合に適用しても極めて高活性であり、特に気相重合法に
おいて高活性であり、均一な重合体を得ることができる
という特徴を有している。また、エラストマー領域のゴ
ムを多く含有する重合体を得ることもできる。特に従来
困難とされていた気相、スラリー状態においても効率的
にエラストマー領域の重合体を得られることは特筆すべ
きことである。
【0049】本発明の固体状アルミノキサンとメタロセ
ン触媒成分から形成される固体触媒の態様としては、固
体状アルミノキサン成分にメタロセン触媒成分が担持さ
れた触媒がある。
【0050】固体状アルミノキサン成分にメタロセン触
媒成分を担持して固体触媒を調製する方法としては、
(1)一旦調製した固体状アルミノキサンにメタロセン
触媒成分を担持する方法、(2)固体状アルミノキサン
成分を形成させる工程でメタロセン触媒成分を加え、固
体状アルミノキサンの形成にひき続きまたは同時進行で
メタロセン触媒成分が該固体状アルミノキサンに担持さ
せる方法などを採用することができる。
【0051】(2)の方法をより具体的に説明すると、
たとえば、(2-(1))アルミノキサンの溶液とアルミノキ
サンの不溶性ないし難溶性溶媒とを接触させることによ
り固体状アルミノキサンを懸濁状態で析出させて固体状
アルミノキサンの懸濁液を形成させ、この固体状アルミ
ノキサンの懸濁液とメタロセン触媒成分の溶液とを接触
させる方法、(2-(2))アルミノキサンの溶液に水を導入
し、アルキル基とアルミ原子の比が1.5以下とするこ
とで固体状アルミノキサンを懸濁状態で析出させて固体
状アルミノキサンの懸濁液を形成させ、この固体状アル
ミノキサンの懸濁液とメタロセン触媒成分の溶液とを接
触させる方法が挙げられる。
【0052】上記いずれの方法においても、いずれかの
工程に後述する電子供与体、有機アルミニウム化合物な
どの他の触媒成分を加えてもよい。前記、固体状アルミ
ノキサンを用いた固体触媒の嵩密度は、0.01ないし
1.0g/cc、好ましくは0.02ないし0.5g/c
c、より好ましくは0.02ないし0.45g/cc、特
に好ましくは0.02ないし0.43g/ccである。
【0053】前記オレフィン重合用固体触媒において、
固体触媒の平均粒子径は50ないし50000μm、好
ましくは200ないし10000μm、より好ましくは
500ないし5000μmである。ここで、該オレフィ
ン重合用固体触媒の嵩密度、平均粒子径は固体状アルミ
ノキサンと同様の方法で測定される。
【0054】予備重合触媒 本発明の固体状アルミノキサンとメタロセン触媒成分と
から形成される触媒は、オレフィンが予備重合された予
備重合触媒であってもよい。予備重合は、前記固体触媒
の存在下、無溶媒下または不活性炭化水素媒体中で行な
われるが、操作性の点で不活性炭化水素媒体中で行うこ
とが好ましい。
【0055】ここで不活性炭化水素溶媒としては、ブタ
ン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪
族系炭化水素、シクロペンタン、メチルシクロペンタ
ン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどの脂環族系炭
化水素、灯油、軽油などの石油留分などが挙げられる。
【0056】予備重合に用いられるオレフィンとしては
炭素原子数が2ないし20のα−オレフィン、たとえば
エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテ
ン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、
1-テトラデセンなどを例示することができる。これらの
α−オレフィンは、単独でまたは2種以上組合せて用い
ることができる。これらのなかではエチレン単独または
エチレンと少量の他のα−オレフィンとの組合せが好ま
しい。
【0057】予備重合における予備重合反応系内の固体
触媒の濃度は、通常該固体触媒中の遷移金属原子の濃度
として10-6ないし1グラム原子/リットル、好ましく
は10-4ないし10-2グラム原子/リットルの範囲であ
る。メタロセン触媒成分中の遷移金属(M)と固体状ア
ルミノキサンのアルミニウム金属原子(Al)との比率
(M/Al)は通常0.2ないし0.001、好ましく
は0.05ないし0.002、より好ましくは0.02
ないし0.005である。
【0058】予備重合温度は−20℃ないし70℃、好
ましくは−10℃ないし60℃、より好ましくは0℃な
いし50℃の範囲である。予備重合は回分式又は連続式
のいずれを採用することもできるし、常圧又は加圧下い
ずれでも行うことができる。
【0059】予備重合においては水素のような分子量調
節剤を共存させてもよいが、少なくとも135℃のデカ
リン中で測定した極限粘度[η]が0.2dl/g以
上、好ましくは0.5ないし20dl/gの予備重合体
を製造することができる量に抑えるのがよい。
【0060】なお予備重合触媒を形成する際には、後述
する電子供与体、有機アルミニウム化合物などの他の触
媒成分を加えてもよい。このようにして得られたオレフ
ィン重合用予備重合触媒は、前記固体触媒中のメタロセ
ン触媒成分1ミリグラム原子あたり1ないし50000
g、好ましくは10ないし20000g、より好ましく
は100ないし15000g、特に好ましくは100な
いし10000gのα−オレフィンが重合されているこ
とが望ましい。また予備重合触媒の平均粒子径は、50
ないし80000μm、好ましくは500ないし500
0μmの範囲にあることが好ましく、予備重合触媒の嵩
密度は0.01ないし0.2g/ccの範囲にあること
が好ましい。
【0061】メタロセン触媒成分 前記触媒に用いられるメタロセン触媒成分は触媒性能を
有するものであればいずれでもよいが通常下記一般式
(IV)または(V)で表される遷移金属化合物が用いら
れる。
【0062】MLx … (IV) 式中、Mは元素の周期表第4族から選ばれる遷移金属原
子であり、具体的にはチタン、ジルコニウムおよびハフ
ニウムからなる群から選択されるものである。このなか
でチタン、ジルコニウムが好ましくジルコニウムが特に
好ましい。
【0063】Lは遷移金属原子に配位する配位子であ
り、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を
有する配位子を含む配位子であり、シクロペンタジエニ
ル骨格を有する配位子を含む配位子以外のLは、炭素原
子数1ないし12の炭化水素基、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R基(ただし
Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子
数1ないし8の炭化水素基)、ハロゲン原子、水素原子
などであり、xは遷移金属原子の原子価である。
【0064】前記一般式(IV)で表される遷移金属化合
物の例としては、シクロペンタジエニル骨格を有する配
位子を含むジルコニウム化合物を挙げることができる。
このようなジルコニウム化合物はたとえば下記式(I
V') R1 k 2 l 3 m 4 n Zr … (IV') (ここでR1 はシクロペンタジエニル骨格を有する配位
子を示し、R2 、R3 およびR4 はシクロペンタジエニ
ル骨格を有する配位子、アリール基、アルキル基、シク
ロアルキル基、アラルキル基、ハロゲン原子、水素、O
a 、SRb 、NRc 2またはPRd 2であり、Ra
b 、Rc およびRd は、アルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基などの炭化水素基、シリ
ル基であり、2個のRc およびRd が連結して環を形成
することもできる。k≧1、k+l+m+n=4であ
る)で示される化合物である。
【0065】シクロペンタジエニル骨格を有する配位子
としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、メチル
シクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル
基、ジメチルシクロペンタジエニル基、インデニル基、
テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基等を例示す
ることができる。アルキル基としては、たとえば、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、デ
シル基、オレイル基などを例示することができ、アリー
ル基としては、たとえば、フェニル基、トリル基などを
例示することができ、アラルキル基としては、ベンジル
基、ネオフイル基などを例示することができ、シクロア
ルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル
基、シクロオクチル基、ノルボニル基、ビシクロノニル
基、およびこれらの基のアルキル置換基を例示すること
ができる。その他ビニル基、アリル基、プロペニル基、
イソプロペニル基、1-ブテニル基などの不飽和脂肪族基
やシクロヘキセニル基などの不飽和脂環式基についても
例示することができる。ハロゲン原子としては、フツ
素、塩素、臭素などを例示することができる。
【0066】前記一般式(IV)で表されるジルコニウム
化合物としては次の化合物を例示することができる。ビ
ス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリド
モノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジル
コニウムモノブロミドモノハイドライド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)メチルジルコニウムハイドライド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムハイド
ライド、ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシル
ジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)フェニルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)ベンジルジルコニウムハイドライド、
ビス(シクロペンタジエニル)ネオペンチルジルコニウ
ムハイドライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)
ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(イ
ンデニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブ
ロミド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニ
ウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エチ
ルジルコニウムモノクロリド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)シクロヘキシルジルコニウムモノクロリド、ビス
(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムモノク
ロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコ
ニウムモノクロリド、ビス(メチルシクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジクロリド、ビス(ペンタメチルシク
ロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドビス(イン
デニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)
ジルコニウムジブロミド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ジルコニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジ
エニル)メトキシジルコニウムクロリド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)エトキシジルコニウムクロリド、ビス
(シクロペンタジエニル)ブトキシジルコニウムクロリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)2-エチルヘキソキシ
ジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)
メチルジルコニウムエトキシド、ビス(シクロペンタジ
エニル)メチルジルコニウムブトキシド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)フェニルジルコニウムエトキシド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムエト
キシド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)エトキシ
ジルコニウムクロリド、ビスインデニルエトキシジルコ
ニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)エトキ
シジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ブトキ
シジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)2-エチ
ルヘキソキシジルコニウム、ビス(シクロペンタジエニ
ル)フェノキシジルコニウムクロリド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)シクロヘキソキシジルコニウムクロリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルメトキシジ
ルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)メ
チルジルコニウムフェニルメトキシド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)トリメチルシロキシジルコニウムクロリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)トリフェニルシロキ
シジルコニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニ
ル)チオフェニルジルコニウムクロリド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)チオエチルジルコニウムクロリド、ビ
ス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチルアミド)ジ
ルコニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルア
ミドジルコニウムクロリド、エチレンビス(インデニ
ル)エトキシジルコニウムクロリド、エチレンビス(4,
5,6,7−テトラヒドロ-1-インデニル)エトキシジルコニ
ウムクロリド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジ
ルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジエチルジル
コニウム、エチレンビス(インデニル)ジフェニルジル
コニウム、エチレンビス(インデニル)ジベンジルジル
コニウム、エチレンビス(インデニル)メチルジルコニ
ウムモノブロミド、エチレンビス(インデニル)エチル
ジルコニウムモノクロリド、エチレンビス(インデニ
ル)ベンジルジルコニウムモノクロリド、エチレンビス
(インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、エチ
レンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチ
レンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド、エチ
レンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジメ
チルジルコニウム、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒド
ロ-1-インデニル)メチルジルコニウムモノクロリド、
エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)
ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テト
ラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジブロミド、エ
チレンビス(4-メチル-1-インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、エチレンビス(5-メチル-1-インデニル)ジ
ルコニウムジクロリド、エチレンビス(6-メチル-1-イ
ンデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(7-
メチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチ
レンビス(5-メトキシ-1-インデニル)ジルコニウムジ
クロリド、エチレンビス(2,3-ジメチル-1-インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(4,7-ジメ
チル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレ
ンビス(4,7-ジメトキシ-1-インデニル)ジルコニウム
ジクロリド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジメトキシド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウ
ムジエトキシド、エチレンビス(インデニル)メトキシ
ジルコニウムクロリド、エチレンビス(インデニル)エ
トキシジルコニウムクロリド、エチレンビス(インデニ
ル)メチルジルコニウムエトキシド、エチレンビス(4,
5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ジルコニウムジメ
トキシド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-イ
ンデニル)ジルコニウムジエトキシド、エチレンビス
(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)メトキシジル
コニウムクロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒド
ロ-1-インデニル)エトキシジルコニウムクロリド、エ
チレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)メ
チルジルコニウムエトキシド。なおこれらにおいてエチ
レン架橋部をイソプロピリデン、ジフェニルメチレン、
メチルフェニルメチレンなどのアルキレン架橋部とした
化合物も例示される。さらにエチレン架橋部をジメチル
シリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレ
ン等のケイ素原子架橋部とした化合物も例示される。
【0067】前記一般式(IV)で表されるチタン化合物
としては、次の化合物を例示することができる。ビス
(シクロペンタジエニル)チタニウムモノクロリドモノ
ハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)メチルチ
タニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)
フェニルチタニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)ベンジルチタニウムクロリド、ビス(シクロペン
タジエニル)チタニウムクロリド、ビス(シクロペンタ
ジエニル)チタニウムジベンジル、ビス(シクロペンタ
ジエニル)エトキシチタンクロリド、ビス(シクロペン
タジエニル)ブトキシチタンクロリド、ビス(シクロペ
ンタジエニル)メチルチタンエトキシド、ビス(シクロ
ペンタジエニル)フェノキシチタンクロリド、ビス(シ
クロペンタジエニル)トリメチルシロキシチタンクロリ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)チオフェニルチタン
クロリド、ビス(シクロペンタジエニル)ビス(ジメチ
ルアミド)チタン、ビス(シクロペンタジエニル)エト
キシチタン、エチレンビス(インデニル)チタニウムジ
クロリド、エチレンビス(4,5,6,7-テトラヒドロ-1-イ
ンデニル)チタニウムジクロリド。
【0068】前記一般式(IV)で表されるハフニウム化
合物としては、次の化合物を例示することができる。ビ
ス(シクロペンタジエニル)ハフニウムモノクロリドモ
ノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)エチル
ハフニウムモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエ
ニル)フェニルハフニウムクロリド、ビス(シクロペン
タジエニル)ハフニウムジクロリド、ビス(シクロペン
タジエニル)ハフニウムジベンジル、ビス(シクロペン
タジエニル)エトキシハフニウムクロリド、ビス(シク
ロペンタジエニル)ブトキシハフニウムクロリド、ビス
(シクロペンタジエニル)メチルハフニウムエトキシ
ド、ビス(シクロペンタジエニル)フェノキシハフニウ
ムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)チオフェニ
ルハフニウムクロリド、ビス(シクロペンタジエニル)
ビス(ジエチルアミド)ハフニウム、エチレンビス(イ
ンデニル)ハフニウムジクロリド、エチレンビス(4,5,
6,7-テトラヒドロ-1-インデニル)ハフニウムジクロリ
ド。
【0069】次に、一般式(V)で表される遷移金属化
合物について説明する。 L1 MX2 … (V) Mは、周期表第4族の遷移金属であり、L1 は、非局在
化π結合基の誘導体であり、金属M活性サイトに拘束幾
何形状を付与しており、Xは、互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子もしくはハロゲン原子であるか、
または20個以下の炭素原子、ケイ素原子もしくはゲル
マニウム原子を含有する炭化水素基、シリル基もしくは
ゲルミル基である。
【0070】このような前記一般式(V')で表される化
合物のうちでは、下記一般式(V')で示される遷移金属
化合物が好ましい。
【0071】
【化8】
【0072】式中、Mはチタン、ジルコニウムまたはハ
フニウムであり、Xは、上記と同じである。CpはMに
π結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペン
タジエニル基である。
【0073】Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第
14族の元素(たとえばケイ素、ゲルマニウムまたはス
ズ)であり、Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む
配位子であり、ZとYとで縮合環を形成してもよい。
【0074】このような前記一般式(V')で示される化
合物としては、具体的に、ジメチルシリレン(t-ブチル
アミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)
チタンジクロリド、((t-ブチルアミド)(テトラメチ
ル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チ
タンジクロリドなどが挙げられる。
【0075】上記のようなメタロセン触媒成分は、1種
単独でまたは2種以上組合わせて用いることができる。その他の触媒成分 本発明に係るオレフィン重合用触媒を用いたオレフィン
の重合時には、電子供与体、有機アルミニウム化合物な
どを使用することもできる。
【0076】電子供与体としてはカルボン酸類、エステ
ル類、エーテル類、ケトン類、アルデヒド類、アルコー
ル類、フェノール類、酸アミド類、アルミニウム、ケイ
素などの金属原子−O−C結合含有化合物類などの含酸
素化合物、ニトリル類、アミン類、ホスフィン類などを
例示することができる。該電子供与体の含有割合はメタ
ロセン触媒成分中の遷移金属原子(M)1グラム原子に
対して通常は1モル以下、好ましくは0.1ないし0.
6モルの範囲である。
【0077】また重合時には、前記メタロセン触媒成分
を担持した固体状アルミノキサン以外に、メタロセン触
媒成分を担持していない同一または異なった固体状アル
ミノキサンもしくは溶液状のアルミノキサン、または 一般式 Rh p i q AlX3-p-q (式中、Rh は炭素原子数1ないし10の炭化水素基、
好ましくは炭素原子数1ないし6のアルキル基、アルケ
ニル基、シクロアルキル基またはアリール基でR i は炭
素原子数1ないし6のアルコキシ基、アリーロキシ基、
Xはハロゲン原子であって3≧p>0、2≧q≧0)で
表わされる有機アルミニウム化合物を使用することもで
きる。特に、トリイソブチルアルミニウムやイソプレニ
ルアルミニウムのような分岐鎖状基を持つ有機アルミニ
ウム化合物の添加は重合活性の向上に効果を示す。
【0078】さらに重合時には、下記のようなイオン化
イオン性化合物を使用することもできる。イオン化イオ
ン性化合物は、前記メタロセン触媒成分と反応してイオ
ン対を形成する化合物であり、たとえばルイス酸、イオ
ン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物を例
示することができる。
【0079】ルイス酸としては、BR3 (式中、Rはフ
ッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換
基を有していてもよいフェニル基またはフッ素原子であ
る。)で示される化合物が挙げられ、たとえばトルフル
オロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロ
フェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、
トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-
トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス
(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0080】イオン性化合物としては、トリアルキル置
換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジ
アルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム
塩などを挙げることができる。具体的に、トリアルキル
置換アンモニウム塩としては、たとえばトリエチルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアン
モニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)
アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられ
る。ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ
(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ
(フェニル)ホウ素などが挙げられる。さらにイオン性
化合物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルア
ニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0081】ボラン化合物としては、デカボラン(1
4)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレ
ート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ド
デカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)
などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0082】カルボラン化合物としては、4-カルバノナ
ボラン(14)、1,3-ジカルバノナボラン(13)、ビ
ス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハ
イドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩
(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げら
れる。
【0083】上記のようなイオン化イオン性化合物は、
1種単独でまたは2種以上組合せて用いることができ
る。重合に用いるオレフィン 前記オレフィン重合用固体触媒または予備重合触媒によ
り重合することができるオレフィンの例としては、炭素
原子数が2ないし20の直鎖状または分岐状のα−オレ
フィン、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-
ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセン、1-エイコセンなど、炭素原子数が3ない
し20の環状オレフィン、たとえばシクロペンテン、シ
クロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネ
ン、テトラシクロドデセン、2-メチル1,4,5,8-ジメタノ
-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどを挙
げることができる。さらにスチレン、ビニルシクロヘキ
サン、ジエンなどを用いることもできる。
【0084】ジエンとして具体的には、1,4-ヘキサジエ
ン、1,6-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6
-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエ
ンなどの鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシ
クロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5-ビ
ニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-
メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノル
ボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボ
ルネンなどの環状非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデ
ン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン
-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,2-ノルボルナジエン
などを挙げることができる。
【0085】これらのうちエチレン単独またはエチレン
と炭素原子数3ないし10のα−オレフィンとの組合せ
が好適である。重合の形態 前記オレフィン重合用固体触媒または予備重合触媒を用
いる重合方法において、オレフィンの重合は通常、気相
でまたはスラリー状で行なわれる。スラリー重合におい
ては、不活性炭化水素を媒体としてもよいし、オレフィ
ン自身を媒体とすることもできる。炭化水素媒体として
具体的には、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オク
タデカンなどの脂肪族系炭化水素;シクロペンタン、メ
チルシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン
などの脂環族系炭化水素;灯油、軽油などの石油留分な
どが挙げられる。
【0086】前記オレフィン重合用固体触媒または予備
重合触媒を用いたオレフィンの重合は、気相で行うこと
が好ましく、特に予備重合触媒を用いて気相で行うこと
が好ましい。
【0087】重合条件 前記オレフィン重合用固体触媒または予備重合触媒を使
用してオレフィンのスラリー重合法を実施する際は、通
常重合温度は−50ないし120℃、好ましくは0ない
し100℃の範囲である。
【0088】前記オレフィン重合用固体触媒または予備
重合触媒を使用してオレフィンの気相重合法を実施する
際は、通常重合温度は0ないし120℃、好ましくは2
0ないし100℃の範囲である。
【0089】重合圧力は通常常圧ないし100kg/c
2、好ましくは2ないし50kg/cm2の加圧条件下
であり、重合は、回分式、半連続式、連続式のいずれの
方法においても行うことができる。さらに重合を反応条
件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0090】重合の際には、水素のような分子量調節剤
を共存させてもよい。前記オレフィン重合用固体触媒ま
たは予備重合触媒を用いてスラリー重合または気相重合
をする際の該メタロセン触媒成分の使用割合は重合反応
系内の該遷移金属原子の濃度として通常は10-8ないし
10-2グラム原子/リットル、好ましくは10-7ないし
10-3グラム原子/リットルの範囲である。メタロセン
触媒成分中の遷移金属(M)と固体状アルミノキサンの
アルミニウム金属原子(Al)との比率(M/Al)は
通常0.2ないし0.0001、好ましくは0.05な
いし0.0005、より好ましくは0.02ないし0.
001である。この比が0.2よりも大きいと触媒の重
合活性が低下し、この比が0.0001よりも小さいと
Al原子あたりの重合活性が低下することがある。
【0091】本発明のオレフィン重合用固体触媒または
予備重合触媒は、高い空隙率を有しているので、モノマ
ーの拡散を促進させ、モノマーの濃度分布を少なくする
ことができ、分子量分布、組成分布の狭い均一なオレフ
ィン重合体を製造することができる。
【0092】オレフィン重合体 上記のようにしてオレフィンを重合すると、以下のよう
な物性を有する新たなオレフィン重合体が得られる。そ
のオレフィン重合体の平均粒子径は、通常100ないし
100000μm、特に200ないし50000μmの
範囲にあり、嵩密度は、通常0.05ないし0.55g
/ccの範囲にある。
【0093】
【発明の効果】本発明の固体状アルミノキサンを用いる
と、多孔状のオレフィン重合用触媒が得られる。この触
媒を用いてオレフィンを重合すると、多孔質の重合体粒
子が得られる。得られた重合体粒子は、嵩密度が大きい
ことから気体の保持量が大きく防音効果や断熱効果が必
要な防音材や断熱材にそのまま使用することが可能であ
る。
【0094】また本発明の固体状アルミノキサンをオレ
フィン重合用触媒成分として用いることによって触媒の
活性が向上し、かつ組成分布が狭い重合体および共重合
体を製造することが可能となる。さらに、固体状アルミ
ノキサンをオレフィン重合用触媒成分として用いること
により、従来困難であったエラストマー領域のゴムを多
く含有できる触媒が得られ、またエラストマー領域のゴ
ムを多く含有するオレフィン重合体を効率良く製造する
ことができる。特に気相重合においてはエラストマー領
域のオレフィン重合体を安定して効率良く製造すること
ができる。このことにより、プロピレンブロック共重合
体の製造において問題とされていたランダム共重合段に
おいてもパウダー塊の発生や紐状ポリマーの発生もなく
長期間安定して重合することが可能となる。
【0095】気相重合で得られた重合体粒子は、溶媒等
の揮発成分を除去する必要がなく重合器から抜出された
ままの状態で使用することが可能である。
【0096】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0097】
【実施例1】[固体状アルミノキサンの調製1]Wit
co社製PMAO(ポリメチルアルミノキサン)を用い
て、固体状アルミノキサンの調整を行った。使用したア
ルミノキサンは、アルキル基としてメチル基のみからな
り、アルキル基とアルミ原子比は1.8であった。アル
キル基とアルミ原子比の測定は以下の通り行った。
【0098】100ml攪拌機付のガラス製容器に、室
温で窒素ブランケット状態で、アルミ原子濃度0.06
mmol/mlのアルモキサン溶液をアルミ原子として
2mmol仕込み、0.5N硫酸水溶液10mlを10
〜15分かけて滴下して加水分解した。その際、発生し
たガスをビュレット内に水と置換することで捕集し、ガ
スの容積を測定するとともに、ガス組成をガスクロマト
グラフィーで測定した。また、加水分解後の液の体積も
計量するとともに、液組成もガスクロマトグラフィーで
測定した。その結果より、ガス、液中に含まれるメタン
の量を算出し、メタンとアルミ原子の比をもってアルキ
ル基とアルミ原子比とした。また、ベンゼン中の凝固点
降下から求めた分子量は876であり、従ってこのアル
ミノキサンの重合度は15であった。このメチルアルミ
ノキサンは、25℃のトルエンに少なくとも1.5mo
l/リットルのアルミ原子濃度以下で可溶であった。2
5℃のn-ヘキサンに対する溶解割合は0.8モル%であ
った。
【0099】300mlの減圧可能な撹拌機付反応器
に、室温で撹拌下150mlの精製n-ヘキサンを加え、
1.0mol/リットルに濃度調整したアルミノキサン
トルエン溶液を30ml採取し、室温で5秒以内に全量
を攪拌下のn-ヘキサン中に投入した。n-ヘキサンとトル
エンの混合溶媒での溶解割合は、1.8モル%であり、
投入したアルミノキサンは、ほぼ瞬時(1秒以内)平衡
溶解割合まで析出した。次いで真空ポンプを用い反応器
内を4torrに減圧しつつ反応器内の温度を約3時間
かけて35℃に上げることにより、反応器中の溶媒を除
去し、メチルアルミノキサンをさらに析出させた。この
反応液をフイルターを使いろ過し、液相部を除去するこ
とにより、固体状アルミノキサンを得た。該固体状アル
ミノキサンの平均粒子径は210μmであり、嵩密度は
0.42g/ccであり、n-ヘキサン中のアルミ嵩濃度
は0.15mmol/mlであった。
【0100】なお本実施例においてn-ヘキサン中のアル
ミ嵩濃度は以下のようにして測定した。すなわち、ガス
置換可能な100mlのメスシリンダーの内部を窒素置
換し、得られたアルミノキサンを0.02mmol/m
lのn-ヘキサンスラリーに調整したものを50cc投入
した。その後、24時間以上静置し、沈降したスラリー
と上澄みの界面を目視で確認し、沈降スラリー部の容積
を測定した。投入アルミノキサン量(1mmol)を沈
降スラリー部容積で割ってn-ヘキサン中のアルミ嵩濃度
とした。
【0101】
【実施例2】[固体状アルミノキサンの調製2]東ソー
アクゾ社製アルミノキサン(MMAO−3A)を用い
て、固体状アルミノキサンの調整を行った。使用したア
ルミノキサンは、アルキル基としてメチル基とi-ブチル
基の比が7/3からなり、アルキル基とアルミ原子比は
1.6であった。アルキル基とアルミ原子比の測定は、
実施例1と同様に行ったが、ガスと液の分析は、メタン
およびi-ブタン量の両者について行い、メタンおよびi-
ブタンの和とアルミ原子の比をもってアルキル基とアル
ミ原子比とした。また、ベンゼン中の凝固点降下から求
めた分子量は952であり、従ってこのアルミノキサン
の重合度は13であった。このアルミノキサンは、25
℃のトルエンおよびn-ヘキサンに少なくとも1.5mo
l/リットルのアルミ原子濃度以下で可溶であった。
【0102】300mlの減圧可能な撹拌機付反応器
に、室温で撹拌下、精製n-ヘキサンを溶媒として、0.
2mol/リットルに濃度調整したアルミノキサン溶液
を150ml投入した。水に窒素をバブリングさせ、窒
素中の水の濃度が0.018g/N-リットル−N2 とな
るように調整し、その窒素をアルミノキサン溶液に2N-
リットル/hrのガス量で6時間バブリングさせた。ア
ルミノキサンは窒素導入後時間経過とともに析出した。
水との反応後のアルキル基とアルミ原子の比は、1.2
であった。次いで実施例1と同様の操作で溶媒を除去
し、固体状アルミノキサンを得た。該固体状アルミノキ
サンの平均粒子径は350μmであり、嵩密度は0.3
9g/ccであり、n-ヘキサン中のアルミ嵩濃度は0.
12mmol/mlであった。
【0103】
【実施例3】[予備重合]2リットルの撹拌機付反応器
中に窒素雰囲気下で、脱水精製したn-ヘキサンを0.5
リットル装入し、実施例2において溶媒を除去する前の
アルミノキサンスラリーをアルミ原子として2.9mm
olとなる量で、トリイソブチルアルミニウムを4.9
mmolとなる量で、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリドを0.0049mm
olとなる量で仕込み、全溶媒量が1リットルとなるよ
うに精製したn-ヘキサンを装入した。
【0104】次いで、反応器内の窒素をエチレンでパー
ジした後、室温で、全圧4.0kg/cm2(3.0k
g/cm2 G)の条件下で1時間予備重合を行った。窒
素置換した後、得られた予備重合触媒スラリーを取り出
し、ガラスフィルターを用いて溶媒と予備重合触媒を分
離した。予備重合触媒1gあたり20mlのヘキサンで
デカンテーションを4回行った。加熱窒素により乾燥さ
せ、11gの予備重合触媒を得た。得られた予備重合触
媒の平均粒子径は800μmであり、嵩密度は0.05
g/ccであった。
【0105】
【実施例4】[重合]内容積2リットルの攪拌機のつい
た十分に脱水、窒素置換したオートクレーブに、食塩を
100g導入した。次いでオートクレーブ内を70℃に
昇温し、エチレン置換した後に実施例3で得られた予備
重合触媒10gを導入し、エチレン/プロピレン=1/
1(モル比)の混合ガスを300N-リットル/hrの速
度で導入し、圧力を9kg/cm2(8kg/cm
2 G)となるよう脱気しながら1時間重合した。重合
は、反応器壁面にポリマー付着することなく安定的に行
うことができた。重合終了後、固体を回収し多量の水で
食塩を洗い流した後、乾燥させたところ32.3gの共
重合体を得た。得られた重合体の平均粒子径は、820
μmで、嵩密度は0.19g/ccであった。
【0106】デカン200mlに得られた重合体1gを
加え、150℃に加熱して溶解させた後、5時間かけ6
0℃まで冷却し不溶分を濾別して、デカン可溶分を回収
した結果、65.3重量%がデカン可溶分であった。し
たがって得られた重合体中に21.1gのエチレン−プ
ロピレン共重合体を含有していることが分かった。デカ
ン可溶分のエチレン組成は、79mol%であり、13
5℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は、1.91
dl/gであった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の示すオレフィンの重合における触媒
の調整の一例を示すフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松 本 哲 博 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井化学株式会社内 Fターム(参考) 4H048 AA02 AA03 AB40 AD15 AD17 BC50 VA20 VA22 VA80 VB10 4J028 AA01A AB00A AB01A AC01A AC10A AC20A AC28A BA01B BA02B BB01B BB02B BC14B BC25B DB10A EB02 EB03 EB04 EB05 EB07 EB09 EB10 FA01 FA04 GA06 GA09 GA26 GB01 4J100 AA02P AA03P AA04P AA15P AA16P AA17P AA19P AA20P AA21P AB02P AR03P AR04P AR09P AR11P AR16P AR21P AR22P AS11P AS15P AU21P BB01P CA01 EA05 EA09 FA10 FA19 FA22 FA43 JA67

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)または(II)で表される
    アルミノキサン、および下記一般式(IIIa)で表される
    繰り返し単位と下記一般式(IIIb)で表される繰り返し
    単位とを有するアルミノキサンから選ばれる1種のアル
    ミノキサンであって、 【化1】 (式中、Rは炭素原子数が1ないし10の炭化水素基を
    示し、mは2ないし500の整数を示し、n、pはそれ
    ぞれ1以上の整数を示す。) 嵩密度が0.01ないし1.0g/ccの範囲にあるこ
    とを特徴とする触媒担体用固体状アルミノキサン。
  2. 【請求項2】平均粒子径が50ないし50000μmの
    範囲にある請求項1に記載の触媒担体用固体状アルミノ
    キサン。
  3. 【請求項3】アルキル基とアルミ原子比が1.5以上の
    アルミノキサンの溶液と、該アルミノキサンの不溶性な
    いし難溶性溶媒とを接触させてアルミノキサンを析出さ
    せ、その析出させる際の総析出量の少なくとも80重量
    %のアルミノキサンを析出開始から60秒以内で析出さ
    せて、下記一般式(I)、(II)で表されるアルミノキ
    サン、および下記一般式(IIIa)で表される繰り返し単
    位と下記一般式(IIIb)で表される繰り返し単位とを有
    するアルミノキサンから選ばれる1種のアルミノキサン
    であって、 【化2】 (式中、Rは炭素原子数が1ないし10の炭化水素基を
    示し、mは2ないし500の整数を示し、n、pはそれ
    ぞれ1以上の整数を示す。) 嵩密度が0.01ないし1.0g/ccの範囲にあるア
    ルミノキサンを製造することを特徴とする触媒担体用固
    体状アルミノキサンの製造方法。
  4. 【請求項4】前記固体状アルミノキサンの平均粒子径が
    50ないし50000μmの範囲にある請求項3に記載
    の触媒担体用固体状アルミノキサンの製造方法。
  5. 【請求項5】アルキル基とアルミ原子の比が1.5以上
    のアルミノキサンの溶液と水とを、アルミノキサンのア
    ルキル基とアルミ原子の比が1.0ないし1.5となる
    まで反応させ、析出させて、下記一般式(I)または
    (II)で表されるアルミノキサン、および下記一般式
    (IIIa)で表される繰り返し単位と下記一般式(IIIb)
    で表される繰り返し単位とを有するアルミノキサンから
    選ばれる1種のアルミノキサンであって、 【化3】 (式中、Rは炭素原子数が1ないし10の炭化水素基を
    示し、mは2ないし500の整数を示し、n、pはそれ
    ぞれ1以上の整数を示す。) 嵩密度が0.01ないし1.0g/ccの範囲にあるア
    ルミノキサンを製造することを特徴とする触媒担体用固
    体状アルミノキサンの製造方法。
  6. 【請求項6】前記固体状アルミノキサンの平均粒子径が
    50ないし50000μmの範囲にある請求項5に記載
    の触媒担体用固体状アルミノキサンの製造方法。
  7. 【請求項7】(A)メタロセン触媒成分が、(B)下記
    一般式(I)または(II)で表されるアルミノキサン、
    および下記一般式(IIIa)で表される繰り返し単位と下
    記一般式(IIIb)で表される繰り返し単位とを有するア
    ルミノキサンから選ばれる1種のアルミノキサンであっ
    て、 【化4】 (式中、Rは炭素原子数が1ないし10の炭化水素基を
    示し、mは2ないし500の整数を示し、n、pはそれ
    ぞれ1以上の整数を示す。) 嵩密度が0.01ないし1.0g/ccの範囲にある固
    体状アルミノキサンに担持されてなることを特徴とする
    オレフィン重合用触媒。
  8. 【請求項8】前記メタロセン触媒成分(A)が、下記一
    般式(IV)または(V)で表される遷移金属化合物であ
    る請求項7に記載のオレフィン重合用触媒; MLx … (IV) (式中、Mは元素の周期表第4族から選ばれる遷移金属
    原子であり、Lは遷移金属原子に配位する配位子であ
    り、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を
    有する配位子を含む配位子であり、シクロペンタジエニ
    ル骨格を有する配位子を含む配位子以外のLは、炭素原
    子数1ないし12の炭化水素基、アルコキシ基、アリー
    ロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R基(ただし
    Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子
    数1ないし8の炭化水素基)、ハロゲン原子または水素
    原子であり、xは遷移金属原子の原子価である。) L1 MX2 … (V) (式中、Mは、周期表第4族の遷移金属原子を示し、L
    1 は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サ
    イトに拘束幾何形状を付与しており、Xは、互いに同一
    でも異なっていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原
    子であるか、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子
    もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリ
    ル基もしくはゲルミル基である。)
  9. 【請求項9】(A)メタロセン触媒成分と、(B)下記
    一般式(I)または(II)で表されるアルミノキサン、
    および下記一般式(IIIa)で表される繰り返し単位と下
    記一般式(IIIb)で表される繰り返し単位とを有するア
    ルミノキサンから選ばれる1種のアルミノキサンであっ
    て、 【化5】 (式中、Rは炭素原子数が1ないし10の炭化水素基を
    示し、mは2ないし500の整数を示し、n、pはそれ
    ぞれ1以上の整数を示す。) 嵩密度が0.01ないし1.0g/ccの範囲にある固
    体状アルミノキサンと、必要に応じて(C)有機アルミ
    ニウム化合物との存在下にオレフィンを予備重合して得
    られたことを特徴とするオレフィン重合用予備重合触
    媒。
  10. 【請求項10】前記メタロセン触媒成分(A)が、下記
    一般式(IV)または(V)で表される遷移金属化合物で
    ある請求項9に記載のオレフィン重合用予備重合触媒; MLx … (IV) (式中、Mは元素の周期表第4族から選ばれる遷移金属
    原子であり、Lは遷移金属原子に配位する配位子であ
    り、少なくとも1個のLはシクロペンタジエニル骨格を
    有する配位子を含む配位子であり、シクロペンタジエニ
    ル骨格を有する配位子を含む配位子以外のLは、炭素原
    子数1ないし12の炭化水素基、アルコキシ基、アリー
    ロキシ基、トリアルキルシリル基、SO3R基(ただし
    Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子
    数1ないし8の炭化水素基)、ハロゲン原子または水素
    原子であり、xは遷移金属原子の原子価である。) L1 MX2 … (V) (式中、Mは、周期表第4族の遷移金属原子を示し、L
    1 は、非局在化π結合基の誘導体であり、金属M活性サ
    イトに拘束幾何形状を付与しており、Xは、互いに同一
    でも異なっていてもよく、水素原子もしくはハロゲン原
    子であるか、または20個以下の炭素原子、ケイ素原子
    もしくはゲルマニウム原子を含有する炭化水素基、シリ
    ル基もしくはゲルミル基である。)
  11. 【請求項11】平均粒子径が50ないし50000μm
    の範囲にあり、嵩密度が0.01ないし0.2g/cc
    の範囲にある請求項10に記載のオレフィン重合用予備
    重合触媒。
  12. 【請求項12】請求項7ないし11のいずれかに記載の
    触媒を用いてオレフィンを重合することを特徴とするオ
    レフィンの重合方法。
  13. 【請求項13】請求項7ないし11のいずれかに記載の
    触媒を用いてオレフィンを気相重合またはスラリー重合
    することを特徴とするオレフィンの重合方法。
  14. 【請求項14】請求項9ないし11のいずれかに記載の
    予備重合触媒を用いてオレフィンを気相重合することを
    特徴とするオレフィンの重合方法。
  15. 【請求項15】平均粒子径が100ないし100000
    μmの範囲にあり、かつ嵩密度が0.05g/ccない
    し0.55g/ccの範囲にあることを特徴とするオレ
    フィン重合体。
  16. 【請求項16】請求項7ないし11のいずれかに記載の
    触媒を用いてオレフィンを重合して、平均粒子径が10
    0ないし100000μmの範囲にあり、かつ嵩密度が
    0.05ないし0.55g/ccの範囲にあるオレフィ
    ン重合体を製造することを特徴とするオレフィン重合体
    の製造方法。
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