JP2000090813A - 電子放出素子及び電子放出源とそれらの製造方法並びにそれらを使用した画像表示装置及びその製造方法 - Google Patents

電子放出素子及び電子放出源とそれらの製造方法並びにそれらを使用した画像表示装置及びその製造方法

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JP2000090813A
JP2000090813A JP17330999A JP17330999A JP2000090813A JP 2000090813 A JP2000090813 A JP 2000090813A JP 17330999 A JP17330999 A JP 17330999A JP 17330999 A JP17330999 A JP 17330999A JP 2000090813 A JP2000090813 A JP 2000090813A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 六炭素環構造を有するカーボン材料を含む粒
子或いは粒子の凝集体を電子放出部として用いること
で、低コストで製造可能であり、且つ効率的に電子を放
出できる安定性の高い電子放出素子を提供する。 【解決手段】 電子放出素子が、第1の電極と、該第1
の電極上に配置された電子放出部と、を少なくとも備え
ており、該電子放出部は、粒子或いはその凝集体から構
成されており、該粒子が、六炭素環構造を有するカーボ
ン材料を含んでいる。六炭素環構造を有するカーボン材
料は、例えば、グラファイト或いはカーボンナノチュー
ブを主成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子を放出する電
子放出素子及びその製造方法に関し、特に、六炭素環構
造を有するカーボン材料を含む粒子或いはその凝集体を
使用して形成される電子放出素子及びその製造方法に関
する。更に、本発明は、上記のような電子放出素子を複
数個用いて構成される電子放出源、及びそのような電子
放出源を利用して構成される画像表示装置、並びにそれ
らの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高精細な薄型ディスプレィ用の電
子銃に代わる電子源や、高速動作が可能な微小真空デバ
イスの電子源(エミッタ部)として、ミクロンサイズの
微小電子放出素子の開発が盛んである。
【0003】従来、電子放出素子としては、高温に加熱
されたタングステン等の材料に高電圧を印加して電子を
放出させる「熱放出型」のものが用いられていたが、近
年では、高温に加熱する必要が無く、低電圧でも電子を
放出することが可能である「冷陰極型」の電子放出素子
が、盛んに研究開発されている。このような冷陰極型の
電子放出素子には様々なタイプがあるが、一般的には、
電界放出形(FE型)、トンネル注入型(MIM型或い
はMIS型)、或いは表面伝導型(SCE型)などが報
告されている。
【0004】FE型の電子放出素子では、ゲート電極に
電圧をかけて電子放出部に電界を印加することにより、
シリコン(Si)やモリブデン(Mo)で作製されたコ
ーン状の突起部から電子を放出させる。MIM型或いは
MIS型の電子放出素子では、金属、絶縁体層、半導体
層等を含む積層構造を形成し、金属層の側より電子をト
ンネル効果を利用して絶縁体層に注入・通過させて、電
子放出部より外部に取り出す。また、SCE型の電子放
出素子では、基板上に形成された薄膜の面内方向に電流
を流して、予め形成された電子放出部(一般的には、薄
膜の通電領域中に存在する微細な亀裂部分)から、電子
を放出させる。
【0005】これらの冷陰極型電子放出素子の素子構造
は、何れも、微細加工技術を用いることによって構成の
小型化及び集積化を図ることができるという特徴を有し
ている。
【0006】ここで、冷陰極型電子放出素子として要求
される特性は、低電圧・低消費電力駆動で高電流が安定
に得られることであるが、同時に、安価に製造し得る構
成であることも必要である。
【0007】このような冷陰極型電子放出素子として、
例えば特開平7−282715号公報に開示されている
構成は、模式的に図1に示される。図1に示されている
従来技術による構成は、特定の処理を行うことにより電
子親和力が負となり得るダイヤモンドを電子放出源とし
て利用しようとするものであり、その構成として、ダイ
ヤモンド膜ではなくダイヤモンド粒子を用いることによ
り、製造上での簡素化、更には低コスト化を実現しよう
としている。
【0008】具体的な構成を説明すると、図1におい
て、基板111の上に電極となる導電層112が形成さ
れ、さらにその上に、ダイヤモンド粒子113からなる
電子放出部114が形成されている。ダイヤモンド粒子
113は、所定の処理により、電子親和力が負になって
いる。このダイヤモンド粒子113に対向するように電
子引き出し電極(図示せず)が設けられ、この電子引き
出し電極に電位を与えることにより、ダイヤモンド粒子
113からなる電子放出部114から電子を取り出す。
【0009】ここで、ダイヤモンド粒子113は、その
表面の電子親和力が負になっているので、導電層112
からダイヤモンド粒子113に入った電子は、容易にダ
イヤモンド粒子113から放出されることが期待され
る。これによって、図1の構成では、理論上は、対向す
る電子引き出し電極(図示せず)に高電圧を印加しなく
とも、電子の取り出しが可能になることが期待される。
【0010】また、図1の構成は、ダイヤモンド粒子1
13を用いて電子放出部114を構成していることか
ら、容易に且つ低コストで形成され得る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】一般的に、電子放出素
子に含まれる電子放出部の構成材料は、(1)比較的に
小さな電界で電子を放出し易い(すなわち、効率的な電
子放出が可能である)、(2)得られる電流の安定性が
良い、(3)電子放出特性の経時変化が小さい、などの
特性を有することが要求される。しかし、これまでに報
告されている前述のような従来技術による電子放出素子
は、その動作特性の電子放出部の形状に対する依存性や
経時変化が大きいという課題を有している。
【0012】また、従来技術によれば、再現性良く電子
放出素子を作製することが困難であり、その動作特性の
制御が非常に困難である。
【0013】前述の図1に示す従来技術の構成では、電
子放出部114から電子を取り出そうとすると、実際に
は以下に挙げるような問題が発生する場合がある。
【0014】第1に、理論とは異なり、電子放出部11
4を構成するダイヤモンド粒子113の電子親和力が負
であるにもかかわらず、実際には、対向する電子引き出
し電極(図示せず)には、従来と同様の高電圧を印加す
る必要がある。これは、導電層112とダイヤモンド粒
子113との界面に存在する電子障壁に起因する。導電
層112とダイヤモンド粒子113とがオーミック接合
を形成すれば、このような問題は発生しないが、一般に
は、ダイヤモンドとオーミック接合を得ることは、材料
的に困難である。その結果、導電層112とダイヤモン
ド粒子113との間にはショットキー接合が形成され
て、導電層112からダイヤモンド粒子113に電子を
注入するためには、両者の界面に存在する電子障壁を、
電子が越えなければならない。このため、電子放出部1
14を構成するダイヤモンド粒子113から外部に電子
を引き出すためには、従来と同様に、対向する電子引き
出し電極への高電圧の印加が必要となる。
【0015】更に、図1の構成では、個々のダイヤモン
ド粒子113が電子放出源として機能するため、均一且
つ安定な電子放出を実現するためには、ダイヤモンド粒
子113の塗布状態の均一性及び安定性を得ることが必
要である。しかし、実際には、その実現が困難である。
特に、付着状態の安定性は、ダイヤモンド粒子113の
サイズに大きく影響される。例えば、粒子サイズがミク
ロンオーダになってくると、ダイヤモンド粒子113の
欠落などが発生して、安定的な電子放出の実現が困難に
なる。
【0016】以上のように、図1に示す従来の構成で
は、導電層112からダイヤモンド粒子113に電子を
効率的に注入することが困難であること、及びダイヤモ
ンド粒子113を均一且つ安定に塗布及び固着させるこ
とが困難であること、などの理由により、十分に満足し
得る動作特性を有する電子放出素子を得ることが困難で
ある。以上のようなことから、従来技術における電子放
出素子の構成、またはそれに含まれる電子放出部の構造
や材料は、要求される特性を十分に満たすものであると
は言えない。
【0017】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、その目的は、(1)低電圧駆動で
高電流を安定に得ることが可能な電子放出素子及びその
製造方法を提供すること、(2)六炭素環構造を有する
カーボン材料を含む粒子或いは粒子の凝集体を電子放出
部として用いることで、低コストで製造可能であり、且
つ効率的に電子を放出できる安定性の高い電子放出素子
を提供すること、(3)特に、電子放出部材として六炭
素環構造を有するカーボン材料を含む粒子を用いること
で、より効率的に電子を放出できる電子放出素子を提供
すること、(4)上記のような電子放出素子を複数個配
置することにより、高効率な電子放出源を提供するこ
と、(5)上記のような電子放出源と画像形成部材とを
用いて、明るく安定な画像を表示する画像表示装置を提
供すること、(6)電子放出部として用いられる六炭素
環構造を有するカーボン材料を含む粒子に対する重要な
作製プロセスを、容易に且つ合理的に実施できる電子放
出素子の製造方法を提供すること、及び(7)六炭素環
構造を有するカーボン材料を含む粒子を電極に対して均
一に固着させる工程を実施することにより、安定して動
作する電子放出部を有する電子放出素子を、大面積に渡
って容易に且つ再現性良く作成できる電子放出素子の製
造方法を提供すること、である。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のある局面によれ
ば、第1の電極と、該第1の電極上に配置された電子放
出部と、を少なくとも備えた電子放出素子が提供され
る。該電子放出部は、粒子或いはその凝集体から構成さ
れており、該粒子が、六炭素環構造を有するカーボン材
料を含んでいて、そのことによって、前述の目的が達成
される。
【0019】ある実施形態では、前記電子放出部の近傍
に設置された第2の電極を更に備える。
【0020】ある実施形態では、前記電子放出部が、固
着材によって前記第1の電極に固着されている。
【0021】ある実施形態では、前記第1の電極の表面
が凹凸形状を有しており、前記電子放出部は、該凹凸形
状に沿って配置されている。
【0022】ある実施形態では、前記六炭素環構造を有
するカーボン材料は、グラファイトを主成分とする。
【0023】例えば、前記グラファイトが高配向性グラ
ファイトである。
【0024】好ましくは、前記電子放出部は、前記六炭
素環構造におけるσ結合の切断部が電子放出方向に向い
た状態で、前記第1の電極の上に配置されている。
【0025】ある実施形態では、前記六炭素環構造を有
するカーボン材料は、グラファイトを主成分としてお
り、前記電子放出部は、該グラファイトの積層面に対す
る法線が前記第1の電極の表面にほぼ平行になるような
状態で該記第1の電極の上に配置されている。
【0026】或いは、前記六炭素環構造を有するカーボ
ン材料は、グラファイトを主成分としており、前記電子
放出部は、該グラファイトの積層面に対する法線が前記
第1の電極の表面にほぼ垂直になるような状態で該記第
1の電極の上に配置されており、該グラファイトの上面
には、該六炭素環構造におけるσ結合の切断部が存在し
ている。
【0027】ある実施形態では、前記六炭素環構造を有
するカーボン材料は、カーボンナノチューブを主成分と
する。
【0028】例えば、前記カーボンナノチューブの先端
が前記粒子の表面から突出している。
【0029】好ましくは、前記カーボンナノチューブの
先端が終端せずに開放している。
【0030】例えば、前記カーボンナノチューブは、炭
素電極間のアーク放電によって形成されたカーボンナノ
チューブを含むバルクカーボンの精製によって作成され
たものである。
【0031】或いは、前記カーボンナノチューブは、触
媒作用を利用したプラズマCVD法によって形成された
ものである。
【0032】好ましくは、前記固着材がビークルであ
る。
【0033】ある実施形態では、前記第1の電極が、炭
素化合物を生成可能な元素を含む。
【0034】ある実施形態では、前記第1の電極が、少
なくとも半導体層を1層以上含む多層構造を有する。
【0035】本発明の他の局面によれば、第1の電極
と、該第1の電極上に配置された電子放出部と、を少な
くとも備えた電子放出素子において、該電子放出部は、
粒子或いはその凝集体から構成されており、該電子放出
部は、固着材によって該第1の電極の上に固着されてい
て、そのことによって、前述の目的が達成される。
【0036】好ましくは、前記粒子が、六炭素環構造を
有するカーボン材料を含んでいる。
【0037】好ましくは、前記固着材がビークルであ
る。
【0038】好ましくは、前記固着材は、前記第1の電
極の表面における前記電子放出部の固着箇所のみに存在
しており、該第1の電極の表面のその他の部分には存在
していない。
【0039】本発明の更に他の局面によれば、第1の電
極を形成する工程と、該第1の電極上に、粒子或いはそ
の凝集体から構成された電子放出部を配置する工程と、
を少なくとも含む電子放出素子の製造方法において、該
粒子として、六炭素環構造を有するカーボン材料を含む
材料からなる粒子を使用し、そのことによって、前述の
目的が達成される。
【0040】ある実施形態では、前記電子放出部の近傍
に第2の電極を設置する工程を更に含む。
【0041】ある実施形態では、前記電子放出部を配置
する工程は、固着材によって該電子放出部を前記第1の
電極に固着する工程を含む。
【0042】好ましくは、前記固着材としてビークルを
使用する。
【0043】ある実施形態では、前記第1の電極の表面
に凹凸形状を形成する工程を更に含み、前記電子放出部
を該凹凸形状に沿って配置する。
【0044】例えば、前記凹凸形状をサンドブラスト法
で形成する。
【0045】或いは、前記凹凸形状をエッチング法で形
成する。
【0046】ある実施形態では、前記第1の電極の上に
前記電子放出部を配置する工程は、所定の固着材に前記
粒子を混合させた溶液を該第1の電極の表面に塗布する
塗布工程と、該塗布された溶液を乾燥させる乾燥工程
と、を含む。
【0047】前記塗布工程をスピナー塗布によって行っ
てもよい。
【0048】好ましくは、前記乾燥工程によって、前記
固着材が、前記電子放出部の電子放出サイト近傍の表面
から除去される。
【0049】ある実施形態では、前記固着材を、少なく
とも前記電子放出部の電子放出サイト近傍の表面から除
去する工程を更に含む。
【0050】ある実施形態では、前記第1の電極の上に
前記電子放出部を配置する工程は、前記電子放出素子を
構成する粒子が混合された溶液を該第1の電極の表面に
塗布する塗布工程と、少なくとも、該塗布された溶液に
含まれる前記電子放出部の電子放出サイト近傍の表面か
ら該溶液を除去するとともに、該電子放出部と該第1の
電極との間に炭化物を形成する処理工程と、を含み、該
炭化物によって該電子放出部を該第1の電極に固着させ
る。
【0051】好ましくは、前記処理工程は、水素、酸
素、窒素、アルゴン、クリプトン、炭化水素の中の少な
くとも1つを含むプラズマへの暴露工程を含む。
【0052】本発明の更に他の局面によれば、第1の電
極を形成する工程と、該第1の電極上に、粒子或いはそ
の凝集体から構成された電子放出部を配置する工程と、
を少なくとも含む電子放出素子の製造方法において、該
第1の電極の上に該電子放出部を配置する工程は、所定
の固着材と該電子放出部を構成する粒子とが混合された
溶液を該第1の電極の表面に塗布する塗布工程と、少な
くとも、該塗布された溶液に含まれる前記電子放出部の
電子放出サイト近傍の表面から該固着材が除去されるよ
うに、該溶液を乾燥させる乾燥工程と、を含んでおり、
そのことによって、前述の目的が達成される。
【0053】好ましくは、前記粒子として、六炭素環構
造を有するカーボン材料を含む材料からなる粒子を使用
する。
【0054】好ましくは、前記固着材としてビークルを
使用する。
【0055】好ましくは、前記乾燥工程によって、前記
固着材は、前記第1の電極の表面における前記電子放出
部の固着箇所のみに存在し、該第1の電極の表面のその
他の部分には存在しない。
【0056】本発明の電子放出源は、所定のパターンに
配置された複数の電子放出素子と、該複数の電子放出素
子の各々に入力信号を供給する手段と、を備えており、
該複数の電子放出素子の各々は、上記で説明した本発明
の電子放出素子であって、該複数の電子放出素子が、各
々への該入力信号に応じてそれぞれ電子を放出するよう
に構成されていて、そのことによって、前述の目的が達
成される。
【0057】本発明の画像表示装置は、上記で説明した
本発明の電子放出源と、該電子放出源から放出された電
子に照射されて画像を形成する画像形成部材と、を備え
ており、そのことによって、前述の目的が達成される。
【0058】本発明の電子放出源の製造方法は、複数の
電子放出素子を、各々への入力信号に応じて電子を放出
するように、所定のパターンに配列して形成する工程
と、該複数の電子放出素子の各々に該入力信号を供給す
る手段を形成する工程と、を含み、該複数の電子放出素
子の各々を、上記で説明した本発明の方法によって形成
し、そのことによって、前述の目的が達成される。
【0059】本発明の画像表示装置の製造方法は、電子
放出源を構成する工程と、該電子放出源から放出された
電子に照射されて画像を形成する画像形成部材を、該電
子放出源に対して所定の位置関係に配置する工程と、を
含み、該電子放出源を上記で説明した本発明の方法によ
って形成し、そのことによって、前述の目的が達成され
る。
【0060】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しながら、本
発明の様々な実施形態について説明する。なお、図面中
で、対応する構成要素には同じ参照番号を付しており、
重複する説明は省略することがある。
【0061】高効率な電子放出素子を実現するために
は、電子の放出を容易にする素子構造の設計及び材料の
選択が、重要な考慮事項になる。また、実用面からは、
低価格で製造できることが望まれる。そこで、本発明で
は、六炭素環構造を有するカーボン材料を含有する粒子
或いはその凝集体を電子放出部として使用することによ
り、高効率で電子を放出し且つ面発光が可能であるよう
な、容易に製造される電子放出素子を実現する。
【0062】なお、本願明細書で述べる「粒子」とは、
特定の形状に限定されるものではない。いわゆる粒状の
形状を有する分離された個体の他に、針状、筒状、球状
など、様々な形状を有する分離された個体を、包括的に
示す。また、以下では、説明の簡単化のために、「粒子
或いはその凝集体」を単に「粒子」と称することがあ
る。
【0063】(第1の実施形態)本発明の電子放出素子
では、少なくとも、第1の電極(導電層)と、該第1の
電極に固着された粒子を包含する冷陰極部と、が設けら
れる。図2は、そのような本発明の構成に従った第1の
実施形態における電子放出素子の構成を、模式的に示す
構成図である。
【0064】具体的には、図2の構成において、1は基
板(本実施形態ではガラス基板)、2は第1の電極(本
実施形態ではクロム電極)、24は電子放出部、4は絶
縁層(本実施形態ではSiO2層)、5は第2の電極
(本実施形態ではアルミニウム電極)である。電子放出
部24は、電子放出部材の粒子3から構成されており、
例えばグラファイト粒子3から構成される。
【0065】本実施形態の電子放出素子は、図3〜図6
を参照して以下に説明するようなプロセスで、形成され
る。
【0066】まず、図3に示すように、ガラス基板1の
上に、RFスパッタリング法で厚さ200nmのクロム
電極2を形成する。
【0067】次に、イソブチルメタアクリレートをブチ
ルカルビトールで希釈した溶液20ccに平均粒径5μ
mのグラファイト粒子400mgを混入し、超音波撹拌
或いは回転ローラによる撹拌などで、均一に分散させ
る。このとき、グラファイト粒子の分布密度は、2×1
7個/cm2である。この溶液をクロム電極2の上にス
ピナーで塗布し、300℃雰囲気で1時間放置して乾燥
させる。これにより、図4に示すように、クロム電極2
の上にグラファイト粒子3が付着する。なお、図4で、
6は、グラファイト粒子3が分散されていた溶液に含ま
れる有機物を示す。
【0068】乾燥後に、図5に示すように、グラファイ
ト粒子3が塗布された電極表面を水素プラズマ7に曝し
て、グラファイト粒子3の表面に残留する有機物6を除
去する。この時のガラス基板1の温度は、例えば350
度となる。ここで、プラズマ7の温度及び基板1の温度
を適切に設定することによって、プラズマ7に曝した有
機物6が分解除去される一方で、グラファイト粒子3と
クロム電極2との間に位置している有機物6は、図5の
丸の中に拡大図として模式的に示しているように、炭化
して炭化物8となり、処理後も残存する。この炭化物8
によって、グラファイト粒子3がクロム電極2に固着さ
れる。一方、グラファイト粒子3の表面の有機物6を除
去することで、グラファイト粒子3(電子放出部24)
からの電子放出特性が、安定して保持される。
【0069】更に、SiO2層4(厚さ15μm)及び
アルミニウム電極5(厚さ0.1μm)をスパッタリン
グ法で順に形成し、エッチングにより、所定の箇所にホ
ールを形成する。グラファイト粒子3が付着したクロム
電極2は、このホールの中に位置される(図6参照)。
【0070】以上のプロセスで作成した電子放出素子で
は、クロム電極2とアルミニウム電極5との間に45V
の電位差を印加すると、グラファイト粒子3からの電子
の放出が始まる。更に、75Vの電位差の印加で、約3
0μA/mm2の電子放出密度が確認できた。
【0071】なお、本実施形態では、水素プラズマ処理
によって、グラファイト粒子3の表面に残留する有機物
6を除去し且つグラファイト粒子3と第1の電極(クロ
ム電極)2との間に水素プラズマ処理によって炭化物8
を形成して、グラファイト粒子3を第1の電極2に固着
している。しかし、不必要な残存有機物の除去やグラフ
ァイト粒子の固定方法は、これに限るものではない。例
えば、上記のプロセスは、少なくとも水素、酸素、窒
素、アルゴン、クリプトン、炭化水素の中の1つ以上を
含むプラズマへの暴露工程を含み得る。このようなプラ
ズマに直接に曝された有機物6は、分解除去されるが、
電子放出部24(六炭素環構造を有するカーボン材料を
含む電子放出部材の粒子3)と第1の電極2との間に介
在する有機物6は、一部が分解されて炭化物8(炭素或
いは炭素を主成分とする材料)に変質する。この炭化物
8が固着材として機能して、電子放出部24(粒子3)
を、第1の電極2に強固に固着させる。
【0072】上記の構成では、グラファイト粒子3を電
子放出部24として使用しているが、電子放出部24の
構成材料は、グラファイト粒子3に限られるわけではな
く、六炭素環構造を有するカーボン材料を含む材料とす
ればよい。但し、実用上は、電子放出部24をグラファ
イト粒子3或いはグラファイト粒子の凝集体で構成する
ことが好ましいことを、本願発明者らは確認した。
【0073】すなわち、グラファイトは、図7に示すよ
うに六炭素環が連なる層状構造であるが、本願発明者ら
による検討によって、六炭素環が途切れた部分(六炭素
環におけるσ構造の切断部)15から、電子が放出され
易いことが見い出された。その一方で、六炭素環の表面
部16からは、電子を放出させることが困難であること
も、見い出した。
【0074】また、図8に模式的に示すように、粒子状
のグラファイトでは、粒子の周辺部17は六炭素環が途
切れた状態(図7の15に相当する)であり、そこから
は容易に電子が放出される。従って、グラファイト粒子
3を高密度に均一に分散塗着させて電子放出部24とし
て機能させることにより、高密度な電子放出部24を備
えた電子放出素子を実現できる。なお、グラファイト粒
子の凝集体でも、同様の効果が得られる。
【0075】また、グラファイト粒子3、或いは、その
他の六炭素環構造を有するカーボン材料を含む電子放出
部24は、第1の電極2に固着されていることが好まし
い。
【0076】上記の説明では第1の電極2をクロム電極
としているが、第1の電極2が、炭素化合物を生成可能
な元素を1つ以上含有していることが、更に好ましい。
この構成によれば、電子放出部24として機能する六炭
素環構造を有するカーボン材料を含む材料と第1の電極
2との間に、炭素化合物が容易に形成される。この結
果、電子放出部24(電子放出部材の粒子3)を、電気
的且つ機械的に強固且つ安定に、第1の電極2に固着す
ることができる。この結果、電子放出部24への第1の
電極2からの電子の移動が容易となり、電子放出特性が
向上する。
【0077】(第2の実施形態)図9に、本発明の第2
の実施形態を示す。基本的な構成は第1の実施形態と同
じであるが、図9に示す第2の実施形態の構成では、ク
ロム電極3の上に分散塗布されて電子放出部24として
機能するグラファイト粒子3が、その端部17(図8参
照)が第2の電極(アルミニウム電極)5の方向(クロ
ム電極2に垂直上方)を向くように(すなわち、電子放
出方向を向くように)、配置されている。
【0078】先述のように、グラファイトは六炭素環が
連なる層状構造であり、グラファイト粒子3の端部17
は、六炭素環が途切れた部分(図7の参照番号15)に
相当する。従って、グラファイト粒子3の端部17が、
電子放出方向であるアルミニウム電極5の方向(クロム
電極2に垂直上方)を向く図9の構成によれば、グラフ
ァイト粒子3の端部17に位置する六炭素環の途切れた
部分に電界が集中し易くなり、更に電子が放出しやすく
なる。このため、第1の実施形態に比べて、更に低い電
圧で電子を放出することが可能となる。
【0079】具体的には、本実施形態の電子放出素子で
は、クロム電極2とアルミニウム電極5との間に30V
の電位差を印加すると、グラファイト粒子3からの電子
の放出が始まる。更に、50Vの電位差の印加で、約3
0μA/mm2の電子放出密度が確認できた。また、本
実施形態の構成では、粒子3を密に分散配置させること
ができるので、第1の実施形態に比べて、電子を放出す
る点(「電子放出サイト」とも称する)の数が増加する
とともに、電子放出サイトの分布の均一性も向上した。
【0080】なお、電子放出部24として機能する粒子
として、グラファイト粒子の代わりの他の材料の粒子を
使用する場合であっても、電子が放出され易い箇所を上
記のように電子放出方向に向けて配置することによっ
て、上記と同様の効果を得ることができる。
【0081】例えば、次の実施形態で説明するカーボン
ナノチューブを使用して電子放出部24を構成する場合
には、カーボンナノチューブをその先端が電子放出方向
を向くように配置すればよい。
【0082】(第3の実施形態)図10は、本発明の第
3の実施形態における電子放出素子の構成を、模式的に
示す構成図である。
【0083】具体的には、図10の構成において、1は
基板(本実施形態では石英ガラス基板)、2は第1の電
極(本実施形態ではタングステン電極)、24は電子放
出部、14は第2の電極として機能するメッシュ状電極
である。本実施形態では、カーボンナノチューブ或いは
カーボンナノチューブの凝集体を含むカーボン粒子(後
述するカーボンナノチューブ粒子)9によって、電子放
出部24を構成している。
【0084】図11に模式的に示すように、カーボンナ
ノチューブ11は六炭素環で構成される針状の粒子であ
り、アスペクト比(粒子長/粒子径)は非常に大きい。
このため、カーボンナノチューブ11の先端には電界が
集中しやすくなり、容易に電子が放出される。この時、
カーボンナノチューブ11の先端が、図12に参照番号
11aで示すように、炭素原子が結合して閉じた状態に
あるよりも、図13に参照番号11bで示すように、終
端の炭素原子が開放されている状態であることが、効率
的な電子放出を実現するためには好ましい。
【0085】カーボンナノチューブ11は、炭素電極間
のアーク放電によって形成されたカーボンナノチューブ
を含むバルクカーボンの精製によって作成してもよく、
或いは、触媒作用を利用したプラズマCVD法によって
形成してもよい。
【0086】カーボン電極(不図示)間のアーク放電に
よる形成プロセスを更に説明すると、80Torrのヘ
リウム雰囲気中に設置されたカーボン電極間にアーク放
電を発生させる。これによって、カーボン電極の一部が
スパッタリング蒸着され、カーボン膜を形成する。図1
4に模式的に示すように、このようにして形成されたカ
ーボン膜10の中には、約20%の割合でカーボンナノ
チューブ11が含有される。これらのカーボンナノチュ
ーブ11は、典型的には直径10nm且つ長さ2〜3μ
mの針状構造である。なお、カーボン膜10に含まれる
カーボンナノチューブ11以外の成分は、殆どがカーボ
ン粒子である。
【0087】本実施形態では、このようにして形成した
カーボンナノチューブ11を含むカーボン膜10を粒子
状に粉砕して、図10の構成における電子放出部24を
構成する電子放出部材の粒子9として、使用している。
なお、以下の説明では、このようにして得られた粒子9
を、カーボンナノチューブ粒子9とも記述する。
【0088】本実施形態の電子放出素子は、以下に説明
するようなプロセスにて、形成される。
【0089】まず、第1の工程として、石英ガラス基板
1の上に、RFスパッタリング法で、厚さ200nmの
タングステン電極2を形成する。次に、第2の工程とし
て、酢酸イソアミンの溶液20ccに平均粒径20μm
のカーボンナノチューブ粒子200mgを混入し、超音
波撹拌或いは回転ローラを用いた攪拌などで、溶液中に
均一に分散させる。このとき、カーボンナノチューブ粒
子の分布密度は、6×108個/cm2である。次に、第
3の工程として、この溶液をタングステン電極2の上に
スピナーで塗布し、300℃雰囲気で1時間放置して乾
燥させる。更に、第4の工程として、乾燥後に、カーボ
ンナノチューブ粒子が塗布された表面を、1%の酸素を
含む水素ガスのプラズマに曝す。この時の石英ガラス基
板1の温度は、例えば700℃となる。そして、第5の
工程として、石英ガラス基板1の上方に、50μmの距
離を隔ててメッシュ状電極14を設置する。
【0090】上記の第1〜第3の工程は、第1の実施形
態における対応する工程と、基本的に同様である。しか
し、本実施形態では、第4の工程において、分散配置さ
れたカーボンナノチューブ粒子9の表面を、基板温度7
00℃の高温状態で、1%の酸素を含む水素ガスのプラ
ズマに曝す。この条件下では、カーボン粒子の方がカー
ボンナノチューブ11よりエッチングされやすいため
に、図15に模式的に示すように、カーボンナノチュー
ブ11の一部が、粒子9から飛び出した構造となる。こ
の結果、カーボンナノチューブ11の先端には強い電界
集中が発生し、電子が放出しやすくなる。
【0091】また、アーク放電で形成されたカーボンナ
ノチューブ11は、図12のように、その先端が閉じた
構造11aであるが、温度700℃の高温雰囲気中で1
%の酸素を含む水素ガスのプラズマに曝されることによ
り、先端がエッチングされて、図13のように先端が開
放された構造11bとなる。このように先端が開放され
た構造11bは、言い換えれば、六炭素環が切れた状態
であり、第1の実施形態でも説明したように電子が放出
され易くなる。また、同時に、電子放出サイト数も増加
する。
【0092】更に、上記のプラズマ処理によって、カー
ボンナノチューブ粒子9とタングステン電極2との界面
では、炭素化合物であるタングステンカーバイド(W
C)が形成される。この炭素化合物によって、カーボン
ナノチューブ粒子9はタングステン電極2に固着され
る。この結果、カーボンナノチューブ粒子9とタングス
テン電極2との間の接触抵抗は小さくなり、電子は安定
に供給される。なお、そのような炭素化合物を生成させ
るためには、第1の電極2の材料は、タングステンに限
らず、シリコン或いはチタンなどの他の材料でもかまわ
ない。更に、第1の電極2は、タングステンと銅、或い
はタングステンとアルミニウムの混合物であってもかま
わない。
【0093】以上のように、カーボンナノチューブ粒子
9によって電子放出部24を構成する電子放出素子を上
記のようなプロセスで形成すると、低印加電圧で多くの
電子を安定に放出できる電子放出素子を実現できる。具
体的には、メッシュ状電極14の印加電圧が50Vにお
いて電子放出が開始されて、印加電圧70Vで50μA
/mm2の電子放出密度を確認できた。
【0094】なお、カーボンナノチューブ粒子9を水素
プラズマに曝する雰囲気は、本実施形態に記載した条件
に限るものではない。プラズマ処理時に水素中に混入さ
れる酸素量は、0.1atm%〜20atm%であるこ
とが好ましい。混入される酸素量が0.1atm%以下
では、エッチング効果が低下し、カーボンナノチューブ
11の一部が粒子9から飛び出した構造になり難く、同
時に、カーボンナノチューブ11の先端が開放され難く
なるために好ましくない。一方、混入される酸素量が2
0atm%以上になると、エッチング作用が強くなり過
ぎて、プロセス条件の制御が困難となる。
【0095】また、上記のプラズマ処理時の基板1の温
度は、プラズマの条件によってその最適条件が変わる。
但し、基板温度が200℃以下では、エッチング効果が
極端に低下するために好ましくない。また、第1の電極
2の構成材料として炭素化合物を合成する材料を使用す
る場合には、炭素化合物が合成できる温度以上に、基板
温度を保持することが好ましい。更に、基板温度が10
00℃以上になると、エッチング作用が強くなり過ぎて
プロセス条件の制御が困難となるため、好ましくない。
【0096】なお、上記の本実施形態の説明では、第2
の電極としてメッシュ状電極14を使用しているが、こ
れに代えて、第1の実施形態で説明したような形状の電
極構成としても良い。
【0097】また、本実施形態で説明したメッシュ状電
極14は、カーボンナノチューブ粒子9を使用する場合
に限らず、他の電子放出部材を使用して電子放出部24
を構成する場合にも使用可能であり、本願明細書の他の
実施形態において使用することも可能である。
【0098】(第4の実施形態)図16は、本発明の第
4の実施形態における電子放出素子の構成を、模式的に
示す構成図である。
【0099】具体的には、図16の構成において、1は
基板(本実施形態ではガラス基板)、2は第1の電極
(本実施形態ではアルミニウム電極)、24は電子放出
部、4は絶縁層(本実施形態ではSiO2層)、5は第
2の電極(本実施形態ではアルミニウム電極)、13は
Si半導体層である。電子放出部24は、電子放出部材
の粒子3、例えばグラファイト粒子3から構成される。
【0100】本実施形態の電子放出素子では、基板1の
上にSi半導体層13が形成されており、その上に形成
される第1の電極2が、実質的に多層構造を有してい
る。このような本実施形態の電子放出素子は、第1の実
施形態において図3〜図6を参照して説明したプロセス
に、更にSi半導体層13を形成する工程を付加した、
以下のようなプロセスによって形成される。
【0101】まず、ガラス基板1の上に、プラズマCV
D法で、厚さ250nmのSi半導体層13(P型:比
抵抗4×106Ω・cm)を形成する。続いて、Si半
導体層13の上に、RFスパッタリング法で厚さ500
nmのアルミニウム電極2を形成する。次に、イソブチ
ルメタアクリレートをブチルカルビトールで希釈した溶
液20ccに平均粒径5μmのグラファイト粒子400
mgを混入し、超音波撹拌或いは回転ローラによる撹拌
などで、均一に分散させる。このとき、グラファイト粒
子の分布密度は、2×107個/cm2である。この溶液
をアルミニウム電極2の上にスピナーで塗布し、300
℃雰囲気で1時間放置して乾燥させる。これにより、ア
ルミニウム電極2の上にグラファイト粒子3が付着す
る。更に、乾燥後に、グラファイト粒子が塗布された表
面を水素プラズマに曝して、グラファイト粒子3の表面
に残留する有機物を除去する。そして、SiO2層4
(厚さ15μm)及びアルミニウム電極5(厚さ0.1
μm)をスパッタリング法で順に形成し、エッチングに
より、所定の箇所にホールを形成する。グラファイト粒
子3が付着したアルミニウム電極2は、このホールの中
に位置される。
【0102】このように、基板1の上に、少なくともS
i半導体層13のような半導体層或いは高抵抗層を1層
以上設けて、その上に第1の電極2を形成することで、
第1の電極2を実質的に多層構造とすれば、この半導体
層或いは高抵抗層により異常放電が発生し難くなり、放
出される電流値が安定する。
【0103】具体的には、以上のプロセスで作成した電
子放出素子では、アルミニウム電極5に45Vの電圧を
印加すると電子の放出がはじまり、印加電圧75Vで約
30μA/mm2の電子放出密度を確認できた。この
時、異常放電等による素子の破壊は全く認められず、エ
ミッション電流も極めて安定していた。Si半導体層1
3を設けないと、約50%の経時的なエミッション電流
のバラツキが生じるが、本実施形態によれば、経時的な
エミッション電流のバラツキは10%以下であった。
【0104】上記のSi半導体層13のような半導体層
或いは高抵抗層を1層以上設けて第1の電極2を実質的
に多層構造にする構成は、本願明細書の他の実施形態に
おいても、適用可能である。
【0105】なお、これまでの説明では、第2の電極と
して、電子放出部に対応する位置に開口部が設けられて
いる形状の電極やメッシュ状電極を使用しているが、こ
れらに代えて、以下の実施形態で説明するような、開口
部を有さない平面状電極が電子放出部から所定の距離を
隔てて配置されている構成としても良い。
【0106】(第5の実施形態)図17は、本発明の第
5の実施形態における電子放出素子の構成を模式的に示
す断面図である。
【0107】図17に示すように、本実施形態の電子放
出素子では、基板61の上に、第1の電極として機能す
る導電層51が形成されている。その導電層51の上
に、電子放出部材の粒子52が固着材53によって固定
されて、電子放出部54を形成している。更に、基板6
1に対向するように電子引き出し電極(第2の電極)5
5が配置されている。
【0108】図17の構成は、一般的にダイオ−ド構成
と呼ばれる。この構成を有する電子放出素子では、電子
引き出し電極55に電圧を印加し、電子放出部54を構
成する粒子52に電界を集中させて、そこから電子56
を取り出す。
【0109】ここで、電子放出部54から電子56を時
間的且つ場所的に均一に放出させるためには、電子放出
部54を構成する粒子52を、導電層(第1の電極)5
1に対して、確実且つ均一に、更に高密度で塗布及び付
着させることが必要である。本実施形態では、粒子52
を固着材53により固定されているので、非常に安定な
付着状態が確保できる。
【0110】図17では、導電層51と粒子52との近
傍にのみ固着材53が存在する状態を示したが、特にこ
れに限るものでない。例えば、図18に示すように、粒
子52の表面にも固着材53が存在する状態としてもよ
い。但し、このように粒子52の表面に固着材53が存
在している場合に、実際の電子放出点(電子放出サイ
ト)の近傍の表面も固着材53で覆われてしまうと、電
子が放出され難くなる。従って、少なくとも粒子52の
電子放出点(電子放出サイト)の近傍の表面、図示され
ている構成では粒子52の上端部の近傍では、固着材5
3が存在せずに、粒子52の表面が露出していることが
好ましい。
【0111】この点に関連して、後に図24(d)とし
て示すように、電子放出部材の粒子52の表面の固着材
が除去されて、電子放出部材の本来の電子放出特性が確
保される一方で、導電層51と粒子52との間に十分な
量の固着材73が残存して、十分な固着性が確保される
ような状態を実現することが、好ましい。このような状
態は、固着材53として、蛍光体塗布などで多用される
材料であるビークルを用いることによって、実現され
る。ビークルは、真空中での使用に際して実績があるの
で有利であることに加えて、上記のような固着状態を実
現できることから、固着材53として好ましい材料であ
る。
【0112】電子放出部54を構成する電子放出部材の
粒子52は、互いに独立した状態であってもよく、或い
は、一部が凝集した状態であっても構わない。また、導
電層51は、電子放出部54を構成する粒子52に電子
を供給する電極として作用するものであり、通常の金属
をはじめとする導電性の薄膜或いは厚膜で構成すること
ができる。また、導電層51が1層構造或いは多層構造
の何れであっても、本発明の効果が得られる。また、構
造上、許容される場合には、基板61と導電層51とを
兼ねた構成も可能である。
【0113】以上のように、電子放出部材の粒子52を
固着材53で導電層51の上に付着させれば、電子供給
源である導電層(電極)51と粒子52との間が確実に
固着されてその信頼性が高まるとともに、両者の間にオ
ーミック接合が確立されて、導電層51から粒子52へ
の電子の注入が良好に行われる。
【0114】なお、以上の説明において、電子放出素子
の構成を、上記のダイオード構成に代えて、電子放出部
54に対応した箇所に開口部を有する引き出し電極が電
子放出部54と所定の間隔を隔てて設けられている、い
わゆるトライオード構成としても、同様の効果が得られ
る。
【0115】(第6の実施形態)図19は、本発明の第
6の実施形態における電子放出素子の構成を模式的に示
す断面図である。本実施形態では、第5の実施形態で説
明した構成における電子放出部54を構成する電子放出
部材の粒子を、特にグラファイト粒子72としている。
【0116】図19の構成をあらためて説明すると、本
実施形態の電子放出素子では、基板61の上に導電層
(電極)51が形成されている。その導電層51の上
に、グラファイト粒子72が固着材53によって固定さ
れて電子放出部54を形成している。更に、基板51に
対向するように電子引き出し電極55が配置されてい
る。
【0117】図19の構成も、一般的にダイオ−ド構成
と呼ばれる。この構成を有する電子放出素子では、電子
引き出し電極55に電圧を印加し、電子放出部54を構
成するグラファイト粒子72に電界を集中させて、そこ
から電子56を取り出す。
【0118】ここで、図20(b)には、グラファイト
粒子72の巨視的状態を模式的に示している。これを微
視的に見れば、図20(a)に模式的に示すように、六
炭素の環状構造が2次元的に拡がったものが、層状に重
なった構造を有している。第1の実施形態に関連しても
説明したように、グラファイト粒子72の端面には、微
視的構造である六炭素環におけるσ結合の切れた部分が
露出している。従って、グラファイト粒子72に電界を
集中させると、そのようなσ結合の切れた露出部分から
(図19の構成では、図中に電子56の放出経路として
矢印で模式的に示しているように、その端部から)、電
子が多く放出されることが、実験により判っている。
【0119】この点に関連して、本願発明者らが行った
グラファイト粒子の電子放出に関する実験結果を以下に
説明する。
【0120】具体的には、上記で説明したダイオード構
成を有する電子放出素子において、真空度が10-7To
rrオーダの雰囲気中で10V/μmの電界強度が得ら
れるように電圧を印加して、エミッション電流を測定し
たところ、電子放出部を構成する電子放出部材の粒子と
してグラファイト粒子を使用している場合には、μAオ
ーダのエミッション電流が得られた。これに対して、同
様の条件で、電子放出部材としてCu、Al、及びTi
2を使用すると、何れの場合もnAオーダのエミッシ
ョン電流しか得られなかった。このように、電子放出部
材としてグラファイト粒子を使用することによって、よ
り効率的な電子放出を実現することができる。
【0121】グラファイト粒子における上述のような六
炭素環のσ結合の切れた部分は、自然発生的なものでも
良いし、後工程で形成したものでも良い。
【0122】例えば、図21には、図19の構成におい
て、その積層面に対する法線が導電層(電極)51の表
面にほぼ垂直になるように配置されているグラファイト
粒子72の表面(上面)に、凹部(切り込み部)722
を設けている。これによって、この部分722に、σ結
合の切れた部分を露出させる。これによって、この凹部
722から電子が放出され易くなり、実質的にこの凹部
722の近傍が、電子放出部54として作用することに
なる。更に、この凹部722をグラファイト粒子72の
表面に選択的に形成することにより、電子放出を選択的
に行わせることが可能になる。
【0123】また、図21に示す凹部722を有する構
成において、グラファイト粒子72として、その六炭素
環構造の配向性が高い高配向性グラファイトを用いる
と、上述した効果が更に顕著に得られるようになる。本
願発明者らが行った実験では、商品名「スーパー・グラ
ファイト」として知られているグラファイト・シートの
表面にカッター・ナイフで凹形状の筋(切り込み部)を
形成し、その部分からの電子放出状態を測定したとこ
ろ、グラファイト・シートの端面に加えて、上記で形成
された凹形状の筋部からも、電子が放出することが確認
された。
【0124】或いは、上記のようなグラファイト粒子7
2の表面の凹部722を、機械的に形成する代わりに化
学的な作用によって形成しても、同様の効果を得ること
ができる。
【0125】更に図22に示す構成では、グラファイト
粒子72を、その端面が電子引き出し電極55に向く様
な方向に(すなわち、その積層面に対する法線が導電層
(電極)51の表面にほぼ平行になるように向けて)、
導電層51の上に固着材53によって固着している。
【0126】グラファイト粒子は、図20(a)に示し
た微視的積層構造に起因して、図20(b)に模式的に
示すような扁平形状をとる場合が多い。このため、導電
層51の上にグラファイト粒子72を塗布すると、その
積層面に対する法線が、導電層51の表面の法線と略平
行となる場合が多い。このような場合には、電子放出に
最も貢献するグラファイトの端面が電子引き出し電極5
5に対向しないので、端面に露出している六炭素環のσ
結合の切れた部分への電界の集中は、非効率になる。
【0127】これに対して、図22に示すように、グラ
ファイト粒子72の端面が電子引き出し電極55に向く
ような配置(すなわち、その積層面に対する法線が導電
層(電極)51の表面にほぼ平行になるような配置)と
することによって、端面へ電界を効果的に集中させるこ
とができて、電子放出効率を向上させることができる。
【0128】図22に示す構成において、グラファイト
粒子72として、その六炭素環構造の配向性が高い高配
向性グラファイトを用いると、上述した効果が更に顕著
に得られるようになる。
【0129】更に、図23に示す構成では、図19にお
ける基板61に代えて、表面に凹凸形状を有する基板6
2を使用して、その凹凸形状の上に導電層51を設けて
いる。電子放出部材としてのグラファイト粒子72は、
この凹凸形状に沿って設置され、更にその上方に、電子
引き出し電極55を設けている。
【0130】このような構成では、グラファイト粒子7
2は、基板62の表面の凹凸形状に沿って固着されるこ
とにより、必然的に、その端面を電子引き出し電極55
に向けて、固着される。これによって、六炭素環のσ結
合の切れた部分が露出しているグラファイト粒子72の
端面が電子引き出し電極55に対向するようになるの
で、電界集中が効果的に発生して、電子放出効率が向上
する。なお、図23に示す構成においても、グラファイ
ト粒子72として、その六炭素環構造の配向性が高い高
配向性グラファイトを用いると、上述した効果が更に顕
著に得られるようになる。
【0131】上述したような凹凸形状の形成方法として
は、エッチングによる基板表面の粗面化やブラスト処理
による基板表面の粗面化など、公知の方法を適宜選択す
ればよい。或いは、凹凸形状が設けられた基板表面に導
電層を形成して、それによって導電層を間接的に凹凸形
状に設ける代わりに、平坦な基板表面に導電層を形成し
た後に、その導電層の表面に直接に凹凸形状を設けて
も、上記と同様の効果を得ることができる。
【0132】なお、以上の説明において、電子放出素子
の構成を、上記のダイオード構成に代えて、電子放出部
54に対応した箇所に開口部を有する引き出し電極が電
子放出部54と所定の間隔を隔てて設けられている、い
わゆるトライオード構成としても、同様の効果が得られ
る。
【0133】なお、以上の説明における固着材53の存
在状態は、上記で特に図示しているものに限るものでな
く、グラファイト粒子72からの実際の電子放出点を固
着材が覆わない限りは、他の形態であっても構わない。
例えば、図30に模式的に示すように、グラファイト粒
子72の表面の固着材が除去されて、電子放出部材の本
来の電子放出特性が確保される一方で、図30の丸の中
に拡大図として模式的に示しているように、導電層51
とグラファイト粒子72との間に十分な量の固着材73
が残存して、十分な固着性が確保されるような状態を実
現することが、好ましい。このような状態は、固着材5
3として、蛍光体塗布などで多用される材料であるビー
クルを用いることによって、実現される。
【0134】(第7の実施形態)本実施形態では、上記
で説明した固着材の好ましい塗布工程を含む、電子放出
素子の製造プロセスの一例を説明する。
【0135】固着材53の塗布を容易に行うためには、
固着材53に、電子放出部材として機能する粒子52を
混入し混合させた溶液を、例えばスピンコート法或いは
印刷法などで塗布する工程を行うことが好ましい。この
ような方法によれば、固着材の塗布均一性が非常に向上
するとともに、溶液の適当な粘性により、塗布状態は均
一且つ高密度なものとなる。その結果、均一且つ安定し
た電子放出状態を得ることが可能となる。
【0136】図24(a)〜(c)を参照して、具体的
な塗布工程を説明する。
【0137】まず、図24(a)に示すように、基板6
1の上に導電層51を形成する。次に、形成された導電
層51の上に、図24(b)に示すように、電子放出部
材の粒子52と固着材53との混合溶液を滴下し塗布し
た後に、更に乾燥させる。これによって、図24(c)
に示すように、導電層51の上に、粒子52が固着され
る。この結果、粒子52を導電層51の上に、高密度且
つ均一に、しかも安定に付着させることが可能となり、
エミッション電流の均一化及び安定化が図れる。
【0138】なお、図25に示すように、導電層51が
形成された基板61を回転台80の上に載せ、回転させ
ながら粒子52と固着材53との混合溶液を滴下して塗
布する、いわゆるスピナー塗布を行えば、粒子52の塗
布均一性が更に増す。
【0139】ところで、固着材53の塗布に際しては、
電子放出部材の粒子52を導電層51に確実に固着させ
ることができる一方で、固着材53が、電子放出部材の
粒子52の電子放出サイト近傍の表面上に残存しないこ
とが、重要である。上記のように電子放出部材の粒子5
2と固着材53とを混合して塗布する方法を適用する場
合には、特に、固着材53が上記のような要件を満足す
る特性を有していることが、好ましい。
【0140】これに対して、既に述べたように、固着材
53として、例えば、蛍光体塗布などで多用される材料
であるビークルを用いれば、固着材が有するべき上記の
特性を確実に確保することができる。
【0141】具体的には、固着材としてビークルを使用
する場合、図24(b)に示す塗布工程の後で約400
℃で1時間に渡って乾燥させると、図24(d)に示す
ように、電子放出部材の粒子52の表面の固着材(ビー
クル)が除去されて、電子放出部材の本来の電子放出特
性が確保される。その一方で、導電層51と粒子52と
の間には、十分な量の固着材(ビークル)73が残存し
て、十分な固着性が確保される。
【0142】なお、乾燥或いは熱処理によって粒子表面
の固着材が除去できない場合には、プラズマ処理などの
後処理によって、不必要な箇所の固着材を除去する。こ
のとき、電子放出部材の粒子は、後処理によって損傷を
うけ難い材料で構成することが好ましい。例えば、炭素
材料であれば、耐スパッタ性が高いので、プラズマ処理
などの後処理を経ても損傷をうけ難い。
【0143】(第8の実施形態)図26に、本発明の第
8の実施形態として、画像表示装置の概略断面図を示
す。
【0144】具体的には、図26の構成において、本発
明による電子放出素子211が、外囲器212の一部を
兼ねた基板212aの上に複数個形成されて、電子放出
源224を構成している。213は画像形成部であり、
電子放出素子211からの電子に対して例えば加速・偏
向・変調等の駆動・制御を行う電子駆動電極213a
と、外囲器212の一部212bの内面に塗布された蛍
光体213bとからなり、駆動された電子により蛍光体
213bを発光させて画像を表示する。なお、特に図示
していないが、複数の電子放出素子211の各々に入力
信号を供給する回路が更に設けられており、複数の電子
放出素子211からの電子の放出が各々への該入力信号
に応じて制御されるように、構成されている。
【0145】ここで、電子放出源211として本発明の
電子放出素子を用いているため、低電圧で安定且つ時間
的・場所的に安定なエミッション電流の取り出しが可能
であり、従って、高品質な画像表示装置が実現できる。
【0146】図27(a)〜(d)には、本実施形態の
画像表示装置の製造方法の概略工程図を示す。
【0147】まず、図27(a)に示すように、外囲器
212の一部を兼ねる基板212aに、本発明の電子放
出素子211を複数個形成して、電子放出源224を構
成する。そして、画像形成部213の一部である電子駆
動電極213aを配設し(図27(b))、また、内面
に蛍光体213bを塗布した外囲器の一部212bを設
置する(図27(c))。最後に、外囲器212の内部
を真空にして、図26に示した本実施形態による画像表
示装置を製造する(図27(d))。
【0148】これによって、本発明の電子放出素子を用
いた画像表示装置を製造することが可能となり、従っ
て、高品質な画像表示装置の製造が可能となる。
【0149】(第9の実施形態)次に、本発明の第9の
実施形態として、以上に説明した本発明の電子放出素子
を複数個使用して構成される電子放出源を説明する。図
28は、本実施形態における電子放出源322の構成を
模式的に示す図である。
【0150】この電子放出源322では、互いに電気的
に絶縁された複数のX方向配線X1〜Xm(参照番号3
20で総称する)、及び同様に互いに電気的に絶縁され
た複数のY方向配線Y1〜Yn(参照番号321で総称
する)を、お互いに直交する方向に約50μmの距離を
隔てて配置する。そして、X方向配線320及びY方向
配線321の各交差部328に本発明に係る電子放出素
子が形成されるように、各交差部328においてY方向
配線321と交差するX方向配線320の上に、六炭素
環構造のカーボンを含有する電子放出部311を複数個
ずつ配置する。このようにして、複数の電子放出素子
(以下では、交差部と同じ参照番号328を使用する)
が2次元的に配列されて単純マトリクス配線された、本
実施形態の電子放出源322の構成が得られる。
【0151】X方向配線320及びY方向配線321の
数(すなわちm及びnの値)は、特定の値に限られるも
のではない。例えば、16×16のようにm及びnを同
じ数にしたり、或いはmとnとを異なる数にしてもよ
い。
【0152】図28の電子放出源322の構成によれ
ば、Y方向配線321に与える電圧を入力信号として、
トータルの電子放出量を制御することができる。その際
に、各々の電子放出素子328に与える電圧値を変える
ことによって、電子放出量が変調できる。
【0153】更に、図28の構成を有する電子放出源3
22は、従来技術による構成と比較して、電子放出効率
が高く且つ電子放出量の経時変化も小さい。また、図2
8の構成にて2次元配列された電子放出素子328に対
して、X方向及びY方向に分布を有する入力信号を与え
ると、その入力信号の分布に対応した電子放出分布が得
られる。
【0154】このように、本実施形態の電子放出源32
2によれば、高効率な電子放出素子328を多数有して
いるために、小さな印加電力で大きな電子放出電流が得
られる。また、電子放出領域を広く設定することができ
る。更に、入力信号に応じて個々の電子放出素子328
からの電子放出量を制御できるので、任意の電子放出分
布を得ることが可能となる。
【0155】(第10の実施形態)本実施形態では、上
述の第9の実施形態にて作製した電子放出源322を用
いて形成される、蛍光体を発光させる画像表示装置を説
明する。図29は、本実施形態の画像表示装置の構成を
示す概略図である。
【0156】図29の画像表示装置は、本発明の電子放
出素子を単純マトリクス配線して構成された電子放出源
322(第9の実施形態を参照)を含む。このとき、先
の実施形態で説明したように、電子放出源322に含ま
れた個々の電子放出素子328は、選択的に独立して駆
動され得る。電子放出源322はバックプレート323
の上に固定されており、それに対向するように、フェー
スプレート324がサイドプレート327によって支え
られて配置され、容器(エンクロージャー)を形成して
いる。なお、フェースプレート324の内面(バックプ
レート323に対向する面)には、透明電極325及び
蛍光体326が形成されている。
【0157】フェースプレート324、バックプレート
323、及びサイドプレート327で構成される容器
は、その内部を真空に保持する必要がある。従って、各
プレート間の接合部は、真空漏れが生じないように封止
される。本実施形態では、フリットガラスを窒素雰囲気
中で約500℃の温度にて焼成し、封着している。封着
後に、各プレートで形成される容器の内部を、必要に応
じて加熱しながら、イオンポンプなどのオイルレス排気
ポンプにより約1×10-7Torr以上の高真空雰囲気
になるまで排気し、その後に最終的に封止する。この真
空度を保持するために、容器内にゲッター(図示せず)
が配置される。
【0158】フェースプレート324の内面の蛍光体3
26は、ブラックストライプ配列とされており、例えば
印刷法で形成する。一方、透明電極325は、放出され
た電子を加速するためのバイアス電圧を印加する引き出
し電極として作用するものであり、例えばRFスパッタ
リング法で形成する。
【0159】または、放出された電子を加速するための
構成としては、このような透明電極325(引き出し電
極)を設ける代わりに、蛍光体326の表面に非常に薄
いメタルバックを設ける方法がある。この構成において
も、本実施形態の効果が有効に得られる。
【0160】このような構成の画像表示装置において、
外部の所定の駆動回路(不図示)からX側配線320及
びY側配線321(第9の実施形態における図28を参
照)を通じて、各電子放出素子328に所定の入力信号
を印加する。これによって、各電子放出素子328から
の電子放出を制御し、放出された電子によって蛍光体3
26を所定のパターンで発光させる。これにより、高輝
度で高精細な画像を表示できる、フラットパネルディス
プレイのような画像表示装置を得ることができる。
【0161】なお、各プレートによって形成される容器
は、以上で説明した構成に限られるものではなく、例え
ば、大気圧に対して十分な強度を確保するために、フェ
ースプレート324とバックプレート323との間に、
更に支持体が設置されている構成であっても構わない。
また、発せられる電子ビームのフォーカス性を更に改善
するために、電子放出源322とフェースプレート32
4との間に、更にフォーカス電極(絞り制御用電極)が
設置されている構成とすることもできる。
【0162】以上のように、本実施形態における画像表
示装置は、少なくとも、複数の電子放出素子328を含
む電子放出源322と、蛍光体326などの画像形成部
材と、これらの電子放出源322や画像形成部材を真空
状態に保持する容器と、を含み、入力信号に応じて電子
放出源322(各電子放出素子328)から放出される
電子を画像形成部材(蛍光体326)に加速して照射す
ることで、画像を形成する。特に、電子放出源として、
高効率及び安定性の高い電子放出が可能な本発明による
電子放出源322を配置することによって、制御性良く
高輝度に蛍光体326を発光させることが可能となる。
【0163】以上に本発明の様々な実施形態を説明した
が、各実施形態で個別に説明した特徴は、適宜組み合わ
せることが可能である。使用する部材の構成材料や形成
方法は、適宜変更可能である。
【0164】また、本発明における第2の電極としての
対向電極(電子引き出し電極)は、電子放出素子の一部
として設けても良く、或いは、電子放出素子には含まれ
ない別の構成部材として設けても良い。
【0165】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、六炭素
環構造を有するカーボン材料を含む粒子或いはその凝集
体を用いて電子放出部を形成することで、効率よく且つ
均一に電子を放出することができる安定性の高い電子放
出素子が得られる。特に、電子放出部材として、六炭素
環が途切れた構造を備えたカーボン材料(例えばグラフ
ァイトやカーボンナノチューブ)を用いて、これによっ
て電子放出部を構成することによって、更に効率よく電
子を放出することができ、大きなエミッション電流が得
られる。
【0166】また、本発明に係る電子放出素子を複数個
使用し、例えばそれらを2次元アレイ状に配置して構成
される電子放出源では、電子放出領域の広域化が可能と
なる。また、その際に、電子放出源を構成する各電子放
出素子への電気的接続状態を適切に設定すれば、入力信
号に応じて個々の電子放出素子の電子放出量を制御する
ことが可能になり、任意の電子放出分布を得たり消費電
力を低減したりすることが可能になる。
【0167】更に、上記のような電子放出素子(電子放
出源)と、電子を照射されて画像を形成する画像形成部
材とを組み合わせることによって、制御性良く高輝度に
画像形成部材を発光させることができる画像表示装置
(例えばフラットパネルディスプレイ)が構成される。
【0168】また、本発明によれば、電子放出部の構成
材料として非常に適した、六炭素環が途切れた構造を備
えたカーボン材料(例えばグラファイトやカーボンナノ
チューブ)を、電子放出部として機能し得る形態で、所
定の表面に再現性良く且つ任意密度で配置できる。これ
によって、高効率な電子放出素子を、容易に形成するこ
とができる。
【0169】更に、本発明の他の電子放出素子では、電
子供給源として機能する導電層に、電子放出部材の粒子
を固着材で固着させた構成とすることによって、安定且
つ信頼性の高い固着状態が実現されて、エミッション電
流の安定化が図れる。
【0170】また、固着材の塗布に際しては、電子放出
部材の粒子を固着材に混入させた溶液を用いることによ
って、その適当な粘性により、例えばスピンコートなど
で塗布することが可能となる。これによって、固着材の
容易な塗布か実現されるので、粒子或いは粒子の凝集体
からなる電子放出部の均一且つ高密度な分散配置を容易
に実現することができて、エミッション状態の均一化や
高密度化、更には、高効率な電子放出素子の容易な形成
が、可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術による冷陰極型電子放出素子の構成を
模式的に示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における電子放出素子
の構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における電子放出素子
の製造プロセスのある工程を説明するための図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における電子放出素子
の製造プロセスのある工程を説明するための図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における電子放出素子
の製造プロセスのある工程を説明するための図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における電子放出素子
の製造プロセスのある工程を説明するための図である。
【図7】グラファイトの層状構造を模式的に示す図であ
る。
【図8】グラファイト粒子の構造を模式的に示す図であ
る。
【図9】本発明の第2の実施形態における電子放出素子
の構成を模式的に示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における電子放出素
子の構成を模式的に示す図である。
【図11】カーボンナノチューブの構造を模式的に示す
図である。
【図12】カーボンナノチューブの先端部の閉じた状態
を模式的に示す図である。
【図13】カーボンナノチューブの先端部の開放された
状態を模式的に示す図である。
【図14】カーボンナノチューブを含むカーボン膜の状
態を模式的に示す図である。
【図15】カーボンナノチューブを含む粒子の状態を模
式的に示す図である。
【図16】本発明の第4の実施形態における電子放出素
子の構成を模式的に示す図である。
【図17】本発明の第5の実施形態における電子放出素
子の構成を模式的に示す図である。
【図18】本発明の第5の実施形態における電子放出素
子の他の構成を模式的に示す図である。
【図19】本発明の第6の実施形態における電子放出素
子の構成を模式的に示す図である。
【図20】(a)及び(b)は、グラファイトの微視的
構成及び巨視的構成を、それぞれ模式的に示す図であ
る。
【図21】本発明の第6の実施形態における電子放出素
子の他の構成を模式的に示す図である。
【図22】本発明の第6の実施形態における電子放出素
子の更に他の構成を模式的に示す図である。
【図23】本発明の第6の実施形態における電子放出素
子の更に他の構成を模式的に示す図である。
【図24】(a)〜(d)は、本発明における電子放出
素子の製造プロセスの各工程を説明するための図であ
る。
【図25】本発明における電子放出素子の他の製造プロ
セスのある工程を説明するための図である。
【図26】本発明の第8の実施形態における画像表示装
置の構成を模式的に示す断面図である。
【図27】(a)〜(d)は、図26の画像表示装置の
製造プロセスの各工程を説明するための図である。
【図28】本発明の第9の実施形態における電子放出源
の構成を模式的に示す図である。
【図29】本発明の第10の実施形態における画像表示
装置の構成を模式的に示す図である。
【図30】本発明の第6の実施形態における電子放出素
子の更に他の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】 1 基板 2 電極 3 電子放出部材の粒子(グラファイト粒子) 4 絶縁層 5 電極 6 有機物 7 プラズマ 8 炭化物 9 電子放出部材の粒子(カーボンナノチューブ粒子) 10 カーボン膜 11 カーボンナノチューブ 13 Si半導体層 14 メッシュ状電極 24 電子放出部 51 導電層(電極) 52 電子放出部材の粒子 53 固着材 54 電子放出部 55 電子引き出し電極 56 電子 61 基板 72 電子放出部材の粒子(グラファイト粒子) 73 固着材 111 基板 112 導電層 113 ダイヤモンド粒子 114 電子放出部 211 電子放出素子 212 外囲器 213 画像形成部 224 電子放出源 311 電子放出部 320 X方向配線 321 Y方向配線 322 電子放出源 323 バックプレート 324 フェースプレート 325 透明電極 326 蛍光体 327 サイドプレート 328 電子放出素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 出口 正洋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 北畠 真 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の電極と、該第1の電極上に配置さ
    れた電子放出部と、を少なくとも備えた電子放出素子で
    あって、 該電子放出部は、粒子或いはその凝集体から構成されて
    おり、 該粒子が、六炭素環構造を有するカーボン材料を含んで
    いる、電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記電子放出部の近傍に設置された第2
    の電極を更に備える、請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記電子放出部が、固着材によって前記
    第1の電極に固着されている、請求項1に記載の電子放
    出素子。
  4. 【請求項4】 前記第1の電極の表面が凹凸形状を有し
    ており、前記電子放出部は、該凹凸形状に沿って配置さ
    れている、請求項1に記載の電子放出素子。
  5. 【請求項5】 前記六炭素環構造を有するカーボン材料
    は、グラファイトを主成分とする、請求項1に記載の電
    子放出素子。
  6. 【請求項6】 前記グラファイトが高配向性グラファイ
    トである、請求項5に記載の電子放出素子。
  7. 【請求項7】 前記電子放出部は、前記六炭素環構造に
    おけるσ結合の切断部が電子放出方向に向いた状態で、
    前記第1の電極の上に配置されている、請求項1に記載
    の電子放出素子。
  8. 【請求項8】 前記六炭素環構造を有するカーボン材料
    は、グラファイトを主成分としており、前記電子放出部
    は、該グラファイトの積層面に対する法線が前記第1の
    電極の表面にほぼ平行になるような状態で該記第1の電
    極の上に配置されている、請求項1に記載の電子放出素
    子。
  9. 【請求項9】 前記六炭素環構造を有するカーボン材料
    は、グラファイトを主成分としており、前記電子放出部
    は、該グラファイトの積層面に対する法線が前記第1の
    電極の表面にほぼ垂直になるような状態で該記第1の電
    極の上に配置されており、 該グラファイトの上面には、該六炭素環構造におけるσ
    結合の切断部が存在している、請求項1に記載の電子放
    出素子。
  10. 【請求項10】 前記六炭素環構造を有するカーボン材
    料は、カーボンナノチューブを主成分とする、請求項1
    に記載の電子放出素子。
  11. 【請求項11】 前記カーボンナノチューブの先端が前
    記粒子の表面から突出している、請求項10に記載の電
    子放出素子。
  12. 【請求項12】 前記カーボンナノチューブの先端が終
    端せずに開放している、請求項10に記載の電子放出素
    子。
  13. 【請求項13】 前記カーボンナノチューブは、炭素電
    極間のアーク放電によって形成されたカーボンナノチュ
    ーブを含むバルクカーボンの精製によって作成されたも
    のである、請求項10に記載の電子放出素子。
  14. 【請求項14】 前記カーボンナノチューブは、触媒作
    用を利用したプラズマCVD法によって形成されたもの
    である、請求項10に記載の電子放出素子。
  15. 【請求項15】 前記固着材がビークルである、請求項
    3に記載の電子放出素子。
  16. 【請求項16】 前記第1の電極が、炭素化合物を生成
    可能な元素を含む、請求項1に記載の電子放出素子。
  17. 【請求項17】 前記第1の電極が、少なくとも半導体
    層を1層以上含む多層構造を有する、請求項1に記載の
    電子放出素子。
  18. 【請求項18】 第1の電極と、該第1の電極上に配置
    された電子放出部と、を少なくとも備えた電子放出素子
    であって、 該電子放出部は、粒子或いはその凝集体から構成されて
    おり、 該電子放出部は、固着材によって該第1の電極の上に固
    着されている、電子放出素子。
  19. 【請求項19】 前記粒子が、六炭素環構造を有するカ
    ーボン材料を含んでいる、請求項18に記載の電子放出
    素子。
  20. 【請求項20】 前記固着材がビークルである、請求項
    18に記載の電子放出素子。
  21. 【請求項21】 前記固着材は、前記第1の電極の表面
    における前記電子放出部の固着箇所のみに存在してお
    り、該第1の電極の表面のその他の部分には存在してい
    ない、請求項18に記載の電子放出素子。
  22. 【請求項22】 第1の電極を形成する工程と、 該第1の電極上に、粒子或いはその凝集体から構成され
    た電子放出部を配置する工程と、を少なくとも含む電子
    放出素子の製造方法であって、 該粒子として、六炭素環構造を有するカーボン材料を含
    む材料からなる粒子を使用する、電子放出素子の製造方
    法。
  23. 【請求項23】 前記電子放出部の近傍に第2の電極を
    設置する工程を更に含む、請求項22に記載の電子放出
    素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記電子放出部を配置する工程は、固
    着材によって該電子放出部を前記第1の電極に固着する
    工程を含む、請求項22に記載の電子放出素子の製造方
    法。
  25. 【請求項25】 前記固着材としてビークルを使用す
    る、請求項24に記載の電子放出素子の製造方法。
  26. 【請求項26】 前記第1の電極の表面に凹凸形状を形
    成する工程を更に含み、前記電子放出部を該凹凸形状に
    沿って配置する、請求項22に記載の電子放出素子の製
    造方法。
  27. 【請求項27】 前記凹凸形状をサンドブラスト法で形
    成する、請求項26に記載の電子放出素子の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記凹凸形状をエッチング法で形成す
    る、請求項26に記載の電子放出素子の製造方法。
  29. 【請求項29】 前記第1の電極の上に前記電子放出部
    を配置する工程は、 所定の固着材に前記粒子を混合させた溶液を該第1の電
    極の表面に塗布する塗布工程と、 該塗布された溶液を乾燥させる乾燥工程と、を含む、請
    求項22に記載の電子放出素子の製造方法。
  30. 【請求項30】 前記塗布工程をスピナー塗布によって
    行う、請求項29に記載の電子放出素子の製造方法。
  31. 【請求項31】 前記乾燥工程によって、前記固着材
    が、前記電子放出部の電子放出サイト近傍の表面から除
    去される、請求項29に記載の電子放出素子の製造方
    法。
  32. 【請求項32】 前記固着材を、少なくとも前記電子放
    出部の電子放出サイト近傍の表面から除去する工程を更
    に含む、請求項29に記載の電子放出素子の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記第1の電極の上に前記電子放出部
    を配置する工程は、 前記電子放出素子を構成する粒子が混合された溶液を該
    第1の電極の表面に塗布する塗布工程と、 少なくとも、該塗布された溶液に含まれる前記電子放出
    部の電子放出サイト近傍の表面から該溶液を除去すると
    ともに、該電子放出部と該第1の電極との間に炭化物を
    形成する処理工程と、を含み、該炭化物によって該電子
    放出部を該第1の電極に固着させる、請求項22に記載
    の電子放出素子の製造方法。
  34. 【請求項34】 前記処理工程は、水素、酸素、窒素、
    アルゴン、クリプトン、炭化水素の中の少なくとも1つ
    を含むプラズマへの暴露工程を含む、請求項33に記載
    の電子放出素子の製造方法。
  35. 【請求項35】 第1の電極を形成する工程と、 該第1の電極上に、粒子或いはその凝集体から構成され
    た電子放出部を配置する工程と、を少なくとも含む電子
    放出素子の製造方法であって、該第1の電極の上に該電
    子放出部を配置する工程は、 所定の固着材と該電子放出部を構成する粒子とが混合さ
    れた溶液を該第1の電極の表面に塗布する塗布工程と、 少なくとも、該塗布された溶液に含まれる前記電子放出
    部の電子放出サイト近傍の表面から該固着材が除去され
    るように、該溶液を乾燥させる乾燥工程と、を含む、電
    子放出素子の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記粒子として、六炭素環構造を有す
    るカーボン材料を含む材料からなる粒子を使用する、請
    求項35に記載の電子放出素子の製造方法。法。
  37. 【請求項37】 前記固着材としてビークルを使用す
    る、請求項35に記載の電子放出素子の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記乾燥工程によって、前記固着材
    は、前記第1の電極の表面における前記電子放出部の固
    着箇所のみに存在し、該第1の電極の表面のその他の部
    分には存在しない、請求項35に記載の電子放出素子の
    製造方法。
  39. 【請求項39】 所定のパターンに配置された複数の電
    子放出素子と、 該複数の電子放出素子の各々に入力信号を供給する手段
    と、を備えた電子放出源であって、 該複数の電子放出素子の各々は、請求項1に記載の電子
    放出素子であって、 該複数の電子放出素子が、各々への該入力信号に応じて
    それぞれ電子を放出するように構成されている、電子放
    出源。
  40. 【請求項40】 請求項39に記載の電子放出源と、 該電子放出源から放出された電子に照射されて画像を形
    成する画像形成部材と、を備える画像表示装置。
  41. 【請求項41】 所定のパターンに配置された複数の電
    子放出素子と、 該複数の電子放出素子の各々に入力信号を供給する手段
    と、を備えた電子放出源であって、 該複数の電子放出素子の各々は、請求項18に記載の電
    子放出素子であって、 該複数の電子放出素子が、各々への該入力信号に応じて
    それぞれ電子を放出するように構成されている、電子放
    出源。
  42. 【請求項42】 請求項41に記載の電子放出源と、 該電子放出源から放出された電子に照射されて画像を形
    成する画像形成部材と、を備える画像表示装置。
  43. 【請求項43】 複数の電子放出素子を、各々への入力
    信号に応じて電子を放出するように、所定のパターンに
    配列して形成する工程と、 該複数の電子放出素子の各々に該入力信号を供給する手
    段を形成する工程と、を含む電子放出源の製造方法であ
    って、 該複数の電子放出素子の各々を、請求項22に記載の方
    法によって形成する、電子放出源の製造方法。
  44. 【請求項44】 電子放出源を構成する工程と、 該電子放出源から放出された電子に照射されて画像を形
    成する画像形成部材を、該電子放出源に対して所定の位
    置関係に配置する工程と、を含む画像表示装置の製造方
    法であって、 該電子放出源を請求項43に記載の方法によって構成す
    る、画像表示装置の製造方法。
  45. 【請求項45】 複数の電子放出素子を、各々への入力
    信号に応じて電子を放出するように、所定のパターンに
    配列して形成する工程と、 該複数の電子放出素子の各々に該入力信号を供給する手
    段を形成する工程と、を含む電子放出源の製造方法であ
    って、 該複数の電子放出素子の各々を、請求項35に記載の方
    法によって形成する、電子放出源の製造方法。
  46. 【請求項46】 電子放出源を構成する工程と、 該電子放出源から放出された電子に照射されて画像を形
    成する画像形成部材を、該電子放出源に対して所定の位
    置関係に配置する工程と、を含む画像表示装置の製造方
    法であって、 該電子放出源を請求項45に記載の方法によって構成す
    る、画像表示装置の製造方法。
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