JP2000090809A - 電界放出陰極、電子放出素子および電界放出陰極の製造方法 - Google Patents

電界放出陰極、電子放出素子および電界放出陰極の製造方法

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JP2000090809A JP25551998A JP25551998A JP2000090809A JP 2000090809 A JP2000090809 A JP 2000090809A JP 25551998 A JP25551998 A JP 25551998A JP 25551998 A JP25551998 A JP 25551998A JP 2000090809 A JP2000090809 A JP 2000090809A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低電界動作が可能で、かつ微細構造の電界放出
陰極を提供する。 【解決手段】カーボンナノチューブ1をレジスト2に懸
濁させてレジスト2中に分散させ、次いでレジスト2を
導電性基板4上にコートし、次いでレジスト2の懸濁樹
脂層5表面をカーボンナノチューブ1を残して選択的に
エッチバックすることによりカーボンナノチューブ1の
先端を突出させ、次いでコートされたレジスト2を硬化
してレジスト2の電気抵抗を減少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワー用スイッチ
素子、ディスプレイなどに適用される電界放出陰極、電
子放出素子および電界放出陰極の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電界放出型の微小冷陰極はその高速応答
の可能性や耐放射線、耐熱性、大電流化の可能性等によ
って非常に多くの研究がなされている。提案者はこれま
でに本素子をパワースイッチング用デバイスに応用する
ことを目的にした提案(特願平9−236046号等)
を行っており、大電流・高電圧のスイッチングデバイス
としての可能性を提唱している。
【0003】この微小冷陰極を用いた電子放出素子は、
電界集中を起こしやすい先鋭な先端を有する冷陰極と、
この冷陰極の近傍に配置した制御電極、さらに放出した
電子を受ける電子捕獲電極(陽極)からなる。通常、冷
陰極に対して近傍に設けた制御電極に正の電圧を印加
し、近接効果と冷陰極先端での電界集中効果により、冷
陰極先端に10-7V/cm以上の強電界を印加し、トン
ネル効果によってその先端から電子を放出させる。放出
した電子は冷陰極に対向して配置された陽極に印加され
た正の電圧によって陽極に引き寄せられ、冷陰極・陽極
間に電流が流れる。
【0004】電界放出陰極として、上記に示す応用への
適用を図る上で、低電界での電子放出、および安定した
大電流放出が要となる。これらの実現に向けた多くの提
案がなされているが、そのひとつとしてカーボンナノチ
ューブを用いた低電界電子放出の試みがある。カーボン
ナノチューブは近年、ようやくその存在と特異な物性が
知られるようになってきた物質で、シングルウォールの
ものでは、直径が10nm以下という極めて細い径を有
している。この極めて細くアスペクト比の大きい形状は
電界集中効果が期待でき、これまでにも見かけの平均電
界(印加電圧/距離)としては非常に低い値から電子放
出が得られることが確認されている。
【0005】しかしながら、カーボンナノチューブを用
いた電界放出陰極も以下に示す問題がある。図7はカー
ボンナノチューブを用いた従来の電界放出陰極の一例を
示す図である。図7に示すように、これまでの主なるナ
ノチューブを用いた電界放出陰極はアーク法等で得られ
た混合物を適宜生成し、グラファイト等を除去した後、
束状のマクロ形状で得られたものを、切り出したり、あ
るいは引き抜いたりしたナノチューブ束71を、基板4
上に導電性ペースト等の導電性樹脂72で接着して作製
される。このような手法で作製された素子も低電界動作
は実現できるものの、ナノチューブ束71はランダムな
紛状あるいは細線束状のマクロ形状で得られるため、ゲ
ートを再現性よくナノチューブ束71に近接して形成す
ることが困難であったため、ゲートを設ける3極構成や
多数のアレイを同時形成する等の微細加工は困難であっ
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したようにカーボ
ンナノチューブを用いた従来の電界放出陰極によれば、
そのアスペクト比の大きさより電界集中効果が実現で
き、低電界動作が可能であるが、ゲートを設けて3極構
成にする等の微細構造デバイスへの適用は困難である。
【0007】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、その目的とするところは、低電界動作が可能
で、かつ微細構造の電界放出陰極及びそれを用いた電子
放出素子を提供することにある。また、本発明の別の目
的は、大量に再現性よく作成可能な電界放出陰極の製造
方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
電界放出陰極は、少なくとも一部が導電性を有する基板
と、この導電性基板上に形成され、複数の導電性極細物
質が分散して形成されてなる非晶質の導電性樹脂由来炭
素系マトリクス層とを具備してなり、前記導電性極細物
質の先端が前記マトリクス層の表面から突出してなるこ
とを特徴とする。
【0009】また、本発明の請求項2に係る電子放出素
子は、少なくとも一部が導電性を有する基板と、該基板
上に形成され、複数の導電性極細物質が懸濁し、かつ該
導電性物質同士が分散して形成されてなる非晶質の導電
性樹脂由来炭素系マトリクス層により形成された微小冷
陰極と、この冷陰極に対向配置され該冷陰極からの放出
電子を捕獲する陽極と、前記冷陰極に近接配置され該冷
陰極からの放出電子を制御する制御電極とを具備してな
り、前記導電性極細物質の先端は前記マトリクス層の表
面から突出し、前記陽極には前記冷陰極に対して正の電
位が印加され、かつ前記制御電極には前記冷陰極に対し
て負又は同じ電位が選択的に印加されることを特徴とす
る。
【0010】本発明において、マトリクス層の持つ導電
性とは、マトリクス層がリークを生じる程度の導電性を
持つ場合も含み、導体と呼ばれるほど高い導電性は必ず
しも必要とされない。
【0011】本発明の望ましい形態を以下に示す。 (1)導電性極細物質はカーボンナノチューブである。 (2)導電性極細物質は炭素系マトリクス層中で該マト
リクス層の膜厚方向に最も高く配向されてなる。
【0012】(3)導電性樹脂由来炭素系マトリクス層
は、水素結合を多く含み、細孔(ポア)を有する。 また、本発明の請求項3に係る電界放出陰極の製造方法
は、導電性極細物質を有機樹脂に懸濁させて該有機樹脂
中に分散させる工程と、前記有機樹脂を少なくとも一部
が導電性を有する基板上にコートする工程と、前記コー
トされた有機樹脂を硬化して該有機樹脂の電気抵抗を減
少させる工程とを含むことを特徴とする。
【0013】また、本発明の請求項4に係る電界放出陰
極の製造方法は、導電性極細物質を有機樹脂に懸濁させ
て該有機樹脂中に分散させる工程と、少なくとも一部が
導電性を有し、凹部を有し、かつ該凹部を含めて表面に
薄い酸化膜が形成された第1の基板上に前記有機樹脂を
前記凹部を含めてコートする工程と、前記コートされた
有機樹脂を硬化して該有機樹脂の電気抵抗を減少させる
工程と、該硬化した有機樹脂上に第2の基板を形成する
工程と、前記第1の基板を該第1の基板の凹部に形成さ
れた凸状の有機樹脂の先端部が開口するまで選択的に除
去する工程とを含むことを特徴とする。
【0014】本発明において、有機樹脂の電気抵抗を減
少させることには、有機樹脂がリークを生じる程度の電
気抵抗とする場合も含み、電気抵抗を減少させて導体に
する程度の減少は必ずしも必要とされない。
【0015】本発明の望ましい形態を示す。 (1)有機樹脂を硬化する工程の途中あるいはその前後
で、有機樹脂のマトリクス層の表面を導電性極細物質を
残して選択的にエッチバックすることにより、導電性極
細物質の先端を突出させる。 (2)有機樹脂を硬化する前に、複数の導電性極細物質
を有機樹脂のマトリクス層の膜厚方向に最も高く配向さ
せる。 (3)(2)の導電性極細物質の配向は、有機樹脂の膜
厚方向に交流、直流又は交番電界を印加して導電性極細
物質の向きを電界方向に配向させることにより行う。 (4)(2)の配向を行う場合、コートされた有機樹脂
の膜厚よりも導電性極細物質の平均長を短くする。
【0016】(作用)本発明では、電界放出用の導電性
極細物質を有機樹脂に懸濁し、有機樹脂中に導電性極細
物質を分散させる。従って、有機樹脂中に均一に導電性
極細物質が分散し、また半導体微細プロセスを用いるこ
とができるため、均一な膜厚、平滑な表面構造のマトリ
クス層を得ることができ、微細な構造の電界放出陰極を
容易にかつ再現性よく作成することができる。また、均
一に電界放出陰極を形成できるため、電界集中効果も高
く、低い印加電圧で安定に電子を放出する電界放出陰極
が得られ、さらに素子の大面積化・大電流化も容易とな
る。
【0017】また、有機樹脂を硬化して水素結合を多く
含む非晶質のマトリクス層を形成するため、マトリクス
層として重要な靱性に富む強固な電界放出陰極を形成す
ることができる。従って、導電性基板との確実な接触が
得られ、安定した低電圧動作が可能となる。
【0018】さらに、導電性極細物質を有機樹脂の表面
に鉛直方向に配向させることにより、電子放出に寄与す
る導電性極細物質の密度を向上させることができ、高い
電流密度を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施形態を説明する。 (第1実施形態)図1は本発明の第1実施形態に係る電
界放出陰極の製造方法を示す図である。まず、アーク放
電法等公知の方法により、細線束状のカーボンナノチュ
ーブ1を作製する。この際、必要に応じて精製を行って
もよい。そして、得られたカーボンナノチューブ1をレ
ジスト2中に分散及び懸濁させる(図1(a))。具体
的には、予め有機溶剤で分散させたカーボンナノチュー
ブ1をポジレジスト2(東京応化製OFPR)と混合
し、ナノチューブ1を十分に分散させるため、超音波等
を併用して攪拌する。このようにして得られた懸濁液3
を導電性基板4上にスピンコータを用いて塗布し、懸濁
樹脂層5を形成する(図1(b))。次いで、この懸濁
樹脂層5の予備硬化を行う(図1(c))。具体的には
80℃で30分間の熱処理を行う。
【0020】この予備硬化の後に、酸素ガスを用いたC
DE(Chemical Dry Etching)や、有機溶剤による表面層
エッチング等を用いて、膜表面から懸濁樹脂層5中のレ
ジスト2を選択的にエッチバックする(図1(d))。
このエッチバックにより、懸濁樹脂層5の表面にはカー
ボンナノチューブ1の先端が突出し、陰極として用いた
場合に十分な電界集中効果を得ることができる。
【0021】このエッチバックの後に、追加の硬化のた
めの熱処理を行い、さらに、Arイオンをイオン注入す
ることにより懸濁樹脂層5に導電性を付与する(図1
(e))。熱処理は一例として300℃、3時間、イオ
ン注入は一例としてAr+ を200keVで5×1016
cm-2注入する。このArイオンの注入により懸濁樹脂
層5中のC−H結合が切断され、徐々に懸濁樹脂層5の
抵抗が下がり、導電性を有する。これにより、従来のナ
ノチューブ束により形成された電界放出陰極の場合のよ
うに、カーボンナノチューブ同士が接触し、基板とナノ
チューブ束の先端が電気的に接続された構成をとらなく
ても、導電性を有する炭素系マトリクスを介して電子の
注入経路を確保することができる。
【0022】なお、懸濁液3中のカーボンナノチューブ
1の密度を上げることによりナノチューブ同士が接触し
て形成されたマトリクス層であってももちろんよい。こ
のようにして形成された炭素系マトリクス層は非晶質で
あり、水素結合を多く含む。従って、マトリクス層とし
て重要な靱性に富む強固な電界放出陰極を得ることがで
きる。また、マトリクス中には多数のポアを有し、製造
された電界放出陰極の表面にはカーボンナノチューブ1
の先端が突出した構造となる。
【0023】また、導電性極細物質として用いられる材
料と懸濁液として用いられる材料とを炭素系として同じ
ものを用いることにより、両者の熱膨張係数が同一で膜
として安定した構造を得ることができる。また、導電性
極細物質と懸濁液が近似した電子構造をとるため、障壁
が少なく低損失であり、電荷注入の際、マトリクスから
チューブへの電子注入が容易となる。
【0024】以上に示した工程により形成された電界放
出陰極に真空中で平面型のアノードを対向配置して電圧
を印加したところ、見かけの平均電界で2V/μm以下
の低い電界から電子放出が観測され、安定で低電圧動作
の可能な電界放出陰極が得られた。
【0025】(第2実施形態)図2は本発明の第2実施
形態に係る電界放出陰極の製造方法を示す工程断面図で
ある。以下、第1実施形態と重複する部分については詳
細な説明は省略する。
【0026】まず、レジスト2にカーボンナノチューブ
1を懸濁させて懸濁液3を作成し、基板4上にこの懸濁
液3をコートして懸濁樹脂層5を形成する(図2
(a))。そして、この懸濁樹脂層5の予備硬化を行う
(図2(b))。ここまでは第1実施形態と同様であ
る。
【0027】次いで、公知のリソグラフィ工程を用いて
懸濁樹脂層5をパターニングする(図2(c))。次い
で、パターニングされた懸濁樹脂層5中のレジスト2を
選択的にエッチバックして懸濁樹脂層5の表面にカーボ
ンナノチューブ1の先端を突出させる(図2(d))。
さらに、追加の硬化のための熱処理及びArイオン等の
イオン注入を行い、懸濁樹脂層5に導電性を付与し、非
晶質の炭素系マトリクス層を形成する(図2(e))。
【0028】このように、パターニングにより基板4表
面の一部に懸濁樹脂層5を残存させることにより、基板
4上の必要な部分にのみ所望の形状の電界放出陰極を形
成することができる。また、アレイ状の多数の電界放出
陰極を形成することができる。
【0029】(第3実施形態)図3は本発明の第3実施
形態に係る電界放出陰極の製造方法を示す工程断面図で
ある。まず、レジスト2にカーボンナノチューブ1を懸
濁させて懸濁液3を作成し、基板4上にこの懸濁液3を
コートして懸濁樹脂層5を形成する(図3(a))。そ
して、この懸濁樹脂層5の予備硬化を行う(図3
(b))。ここまでは第1実施形態と同様である。
【0030】次いで、この予備硬化した懸濁樹脂層5上
にAl薄膜31を形成し、このAl薄膜31をリソグラ
フィ工程を用いてパターニングし、Al薄膜31に開口
部32を形成して懸濁樹脂層5の一部を露出させる(図
3(c))。次いで、Al薄膜31の一部を開口した状
態で、開口部32の懸濁樹脂層5をエッチバックし、レ
ジスト2中のカーボンナノチューブ1の先端を突出させ
る(図3(d))。さらに、アルミ薄膜の開口部32に
露出した懸濁樹脂層5に対して追加の硬化を行い、懸濁
樹脂層5に導電性を付与する(図3(e))。これによ
り、基板4上に形成された懸濁樹脂層5のうち、部分的
に電界放出しやすい構造を得る。さらに、Al薄膜から
なる電極層によって、横方向の伝導性を向上させること
ができる。これにより、導電性でない基板に適用するこ
とができる。
【0031】なお、本実施形態では、懸濁樹脂層5を覆
う膜の材料として金属(Al)を用いたが、これに限定
されるものではなく、各種の導電性薄膜の他、絶縁膜を
形成して、絶縁性の電子放出抑止層としてもよい。ま
た、カバー膜の形成のタイミングもエッチバックや硬化
等の処理を終えてから行ってもよい。
【0032】(第4実施形態)図4は本発明の第4実施
形態に係る電子放出素子の製造工程を示す工程断面図で
ある。まず、レジスト2及びカーボンナノチューブ1か
らなる懸濁液3を基板4上にコートして懸濁樹脂層5を
形成し(図4(a))、この懸濁樹脂層5の予備硬化を
行う(図4(b))。ここまでは第1実施形態と同様で
ある。
【0033】次いで、SiO2 等の絶縁性材料からなる
ゲート絶縁膜41及びAl等の導電性材料からなるゲー
ト電極層42を順次積層して形成し、これらゲート絶縁
膜41及びゲート電極層42を公知のリソグラフィ工程
を用いてパターニングする。このパターニングにより開
口部43を形成し、懸濁樹脂層5の一部を露出させる
(図4(c))。
【0034】次いで、懸濁樹脂層5表面のレジスト2を
選択的にエッチバックして懸濁樹脂層5表面にカーボン
ナノチューブ1を突出させる(図4(d))。さらに、
開口部43の懸濁樹脂層5に対して追加の硬化を行い、
懸濁樹脂層5に導電性を付与する(図4(e))。これ
により、基板4上に形成された懸濁樹脂層5のうち、部
分的に電界放出しやすい構造を得るとともに、ゲート電
極付の微細な電子放出素子を得ることができる。
【0035】(第5実施形態)図5は本発明の第5実施
形態に係る電界放出陰極の製造方法を示す工程断面図で
ある。
【0036】本実施形態では第1実施形態と同様に、ま
ずカーボンナノチューブ1及びレジスト2からなる懸濁
液3を基板4に塗布(図5(a))後、懸濁樹脂層5の
膜面に対して例えば鉛直方向に交流あるいは直流電界を
印加し、ナノチューブを電界方向に配向させる(図5
(b))。この配向効果を高めるために、懸濁させる液
は極力低粘度化し、かつ、ナノチューブの線長は膜厚よ
りも小さいことが望ましい。これにより、膜中のナノチ
ューブをより多く、膜面に対して鉛直方向に向かせ、こ
の状態を保持しながら加熱する、光照射する等して予備
硬化、エッチバック及び追加の硬化を行う(図5(c)
〜(e))。
【0037】このように懸濁樹脂層5の硬化前にカーボ
ンナノチューブ1を鉛直方向に配向させることによっ
て、電界電子放出に起用する鉛直方向にむいた先端形状
を増やすことができ、電流密度の向上を図ることができ
る。
【0038】(第6実施形態)図6は本発明の第6実施
形態に係る電子放出素子の製造方法を示す工程断面図で
ある。
【0039】まず、Si基板1に異方性エッチングを用
いて逆ピラミッド状の凹部を形成する。次いで、このS
i基板1を熱酸化して凹部を含めたSi基板1表面に熱
酸化膜62を形成する。次いで、上記第1〜第5実施形
態と同様に作成されたカーボンナノチューブ1及びレジ
スト2からなる懸濁液3を凹部に充填するようにSi基
板1表面にコートして懸濁樹脂層63を形成する(図6
(a))。次いで、この懸濁樹脂層63を硬化した後、
導電性基板64を懸濁樹脂層63に接合する。
【0040】次に、Si基板61を図6のように凹部の
先端部が開口するまで除去する。なお、このSi基板6
1は一部のみならず全て除去してもよい。さらに、熱酸
化膜62をエッチングし、懸濁樹脂層63を露出させ、
エッチバック・硬化(導電性付与)等の工程を行って、
陰極を完成させる。本実施形態により、マクロ的にも電
界を集中させる突起構造を再現性良く作製することがで
きる。
【0041】なお、本実施形態では導電性基板64を用
いたが、ガラスに電極層を形成した別の基板であっても
よい。なお、本発明は上記実施形態に限定されるもので
はない。本実施形態で用いるカーボンナノチューブ1は
極細線状導電性物質の一例であり、それ以外の類似物質
を用いても良く、例えば、各種のウィスカー等を用いる
こともできる。さらに、本実施形態で用いたレジストも
一例であり、基本的には、何らかの操作で膜化可能な液
状有機物質あるいはその混合液であれば用いることがで
きる。硬化の処理も上記に限定されるものではなく、熱
・イオン注入・プラズマ処理等の他に、電子線照射、真
空や各種雰囲気中での加熱、光照射、各種放射線照射等
を用いてもよい。また、基板も全面が導電性のものを用
いる必要はなく、部分的に導電性を付与したパターン電
極付基板、透明電極付ガラス基板、低抵抗半導体基板、
金属基板等各種を用いることができる。また、本実施形
態では、エッチバックを行ったが、エッチバックなしで
も行うこともできる。エッチバックなしで行う場合に
は、予備硬化・硬化等の工程を分けることなく、連続的
に行ってもよい。また、有機溶剤に付与する導電性は、
有機溶剤中にリークを生じる程度でよく、導体と呼ばれ
るほど高い導電性は必要とされない。
【0042】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、導
電性極細物質が導電性樹脂由来炭素系マトリクス層に分
散して形成され、また半導体微細プロセスを用いて作成
できるため、微細な構造の電界放出陰極を再現性よく得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電界放出陰極の製
造方法を示す図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る電界放出陰極の製
造方法を示す工程断面図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る電界放出陰極の製
造方法を示す工程断面図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る電界放出陰極の製
造方法を示す工程断面図。
【図5】本発明の第5実施形態に係る電界放出陰極の製
造方法を示す工程断面図。
【図6】本発明の第6実施形態に係る電界放出陰極の製
造方法を示す工程断面図。
【図7】従来の電界放出陰極の全体構成を示す図。
【符号の説明】 1…カーボンナノチューブ 2…レジスト 3…懸濁液 4…導電性基板 5,63…懸濁樹脂層 31…Al薄膜 32…開口部 41…ゲート絶縁膜 42…ゲート電極層 61…Si基板 62…熱酸化膜 64…導電性基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐久間 尚志 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 張 利 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中山 和也 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 Fターム(参考) 5C035 BB01 BB03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一部が導電性を有する基板
    と、この導電性基板上に形成され、複数の導電性極細物
    質が分散して形成されてなる非晶質の導電性樹脂由来炭
    素系マトリクス層とを具備してなり、 前記導電性極細物質の先端が前記マトリクス層の表面か
    ら突出してなることを特徴とする電界放出陰極。
  2. 【請求項2】 少なくとも一部が導電性を有する基板
    と、該基板上に形成され、複数の導電性極細物質が分散
    して形成されてなる非晶質の導電性樹脂由来炭素系マト
    リクス層により形成された冷陰極と、 この冷陰極に対向配置され該冷陰極からの放出電子を捕
    獲する陽極と、 前記冷陰極に近接配置され該冷陰極からの放出電子を制
    御する制御電極とを具備してなり、 前記導電性極細物質の先端は前記マトリクス層の表面か
    ら突出し、前記陽極には前記冷陰極に対して正の電位が
    印加され、かつ前記制御電極には前記冷陰極に対して負
    又は同じ電位が選択的に印加されることを特徴とする電
    子放出素子。
  3. 【請求項3】 導電性極細物質を有機樹脂に懸濁させて
    該有機樹脂中に分散させる工程と、 前記有機樹脂を少なくとも一部が導電性を有する基板上
    にコートする工程と、 前記コートされた有機樹脂を硬化して該有機樹脂の電気
    抵抗を減少させる工程とを含むことを特徴とする電界放
    出陰極の製造方法。
  4. 【請求項4】 導電性極細物質を有機樹脂に懸濁させて
    該有機樹脂中に分散させる工程と、 少なくとも一部が導電性であって凹部を有し、かつ該凹
    部を含めて表面に薄い酸化膜が形成された第1の基板上
    に前記有機樹脂を前記凹部を含めてコートする工程と、 前記コートされた有機樹脂を硬化して該有機樹脂の電気
    抵抗を減少させる工程と、 該硬化した有機樹脂上に第2の基板を形成する工程と、 前記第1の基板を、該第1の基板の凹部に形成された凸
    状の有機樹脂の先端部が開口するまで選択的に除去する
    工程とを含むことを特徴とする電界放出陰極の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記有機樹脂を硬化する工程の途中ある
    いはその前後で、前記有機樹脂のマトリクス層の表面を
    前記導電性極細物質を残して選択的にエッチバックする
    ことにより、前記導電性極細物質の先端を突出させるこ
    とを特徴とする請求項3又は4に記載の電界放出陰極の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 前記有機樹脂を硬化する前に、前記複数
    の導電性極細物質を前記有機樹脂のマトリクス層の膜厚
    方向に最も高く配向させることを特徴とする請求項3又
    は4に記載の電界放出陰極の製造方法。
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