JP2000086864A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 疲労強度、衝撃強度と耐摩耗性に優れていて
おり、マグネットスイッチ等の可動部品、プーリ、自動
車のブレーキピストン、ブレーキブースターなどの機構
部品に適したフェノール樹脂成形材料を提供する。 【解決手段】 （ａ）ノボラック型フェノール樹脂、
（ｂ）ヘキサメチレンテトラミン、（ｃ）ガラス繊維の
微粉砕物、及び（ｄ）綿紡績工程において集塵ダストと
して排出される綿屑を含有するフェノール成形材料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、疲労強度、衝撃強
度及び耐摩耗性に優れたフェノール樹脂成形材料に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】フェノール樹脂成形材料は耐熱性、電気
特性、機械特性、寸法安定性などのバランスに優れ、自
動車の機構部品を始めとして広範囲の分野に利用されて
いる。マグネットスイッチ等の可動部品、プーリ、自動
車のブレーキピストン、ブレーキブースターなどの機構
部品には、荷重が繰り返し部品にかかるため疲労強度
が、また隣接する部品との接触によりクラックが生じや
すいため衝撃強度が要求され、更に樹脂部品と金属部品
とが摺動し耐摩耗特性が要求される。このため、かかる
用途には従来より比較的高強度で耐摩耗性の優れた綿織
物粉砕物を配合したフェノール樹脂成形材料が用いられ
ている（例えば、特開平４−１０３６５４号公報）。し
かし、昨今の可動部品、あるいは機構部品に要求される
疲労強度、衝撃強度は、より高く厳しいものとなってお
り、従来の綿織物粉砕物を配合したフェノール樹脂成形
材料では疲労強度が十分でない。ガラスファイバーを配
合したフェノール樹脂成形材料を用いると、疲労強度は
高くなるが、耐摩耗性が低下するため実用化には至って
いない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの問
題点を解決するため種々の検討の結果なされたものであ
り、その目的とするところは、疲労強度、衝撃強度及び
耐摩耗性に優れたフェノール樹脂成形材料を提供すると
ころにある。

【０００４】

【課題が解決するための手段】本発明は、（ａ）ノボラ
ック型フェノール樹脂、（ｂ）ヘキサメチレンテトラミ
ン、（ｃ）ガラス繊維の微粉砕物、及び（ｄ）綿紡績工
程において集塵ダストとして排出される綿屑を含有する
ことを特徴とするフェノール樹脂成形材料に関するもの
であり、疲労強度、衝撃強度及び耐摩耗性に優れたフェ
ノール樹脂成形材料を提供するものである。

【０００５】本発明の（ａ）ノボラック型フェノール樹
脂は通常のフェノール樹脂成形材料に使用されているも
のであれば良く、ランダムノボラック樹脂、ハイオルソ
ノボラック樹脂等、特に限定されない。また、必要に応
じてレゾール型フェノール樹脂を配合することもでき
る。配合量については、通常成形材料全体の３０〜６０
重量％である。本発明の（ｂ）ヘキサメチレンテトラミ
ンは、通常のフェノール樹脂の硬化剤として用いられる
微粉末状のものが用いられ、通常ノボラック型フェノー
ル樹脂１００重量部に対して７〜３０重量部、好ましく
は１２〜２０重量部配合して用いられる。

【０００６】本発明に使用する（ｃ）ガラス繊維の微粉
砕物は、従来使用されているガラス繊維を微粉砕したも
のであり、通常繊維径１５μｍ以下、繊維長５００μｍ
以下で、未収束のものが用いられる。このような形状の
ガラス繊維の微粉砕物を使用することにより、耐磨耗
性、特に金属に対する磨耗を低減させることができる。
通常のガラス繊維は、疲労強度、衝撃強度は優れている
が、耐摩耗性が劣る。これに対し、（ｃ）ガラス繊維の
微粉砕物は、疲労強度、衝撃強度は幾分低下するが、依
然として高い水準を維持しており、耐摩耗性が大きく改
善される。

【０００７】ガラス繊維の微粉砕物は繊維径５〜１５μ
ｍ、繊維長３０〜５００μｍで、収束されていないもの
が好ましい。繊維径が５μｍ未満のものは製造が困難で
一般には市販されていない。１５μｍを越えると、金属
への摩擦抵抗が大きくなり耐摩耗性が低下するようにな
る。また繊維長が３０μｍ未満では疲労強度の向上効果
が小さく、５００μｍを越えると、金属への摩擦抵抗が
大きくなり耐摩耗性が低下するようになる。また、収束
されているガラス繊維の微粉砕物ではフェノール樹脂成
形材料中で繊維が１本づつに解繊せず一部繊維の束とし
て残るため、成形品表面に露出した繊維の束が金属と接
触すると解繊し、この解繊した繊維が成形品から離脱し
て摺動部に入り込み、金属の摩耗を促進してしまうの
で、好ましくない。また、配合量は成形材料全体の５〜
２０重量％が好ましい。５重量％未満では疲労強度、衝
撃強度が十分に向上せず、２０重量％を超えると耐摩耗
性が低下するようになる。

【０００８】本発明に使用する（ｄ）綿紡績工程におい
て集塵ダストとして排出される綿屑は、成形品の疲労強
度、衝撃強度を維持向上させるために配合されるもので
ある。（ｄ）綿紡績工程において集塵ダストとして排出
される綿屑は、特に限定されるものではない。この綿屑
の代わりに、綿織物粉砕物を使用しても特性上同じもの
が得られるが、綿織物粉砕物はかなり高価なものであ
り、集塵ダストとして排出される綿屑は綿織物粉砕物よ
り安価である。また、配合量は成形材料全体の３〜１５
重量％が好ましい。３重量％未満では疲労強度、衝撃強
度が十分に向上せず、１５重量％を超えると、成形材料
か段階での作業性が困難であり、また見掛け密度が低下
する。

【０００９】本発明は、ノボラック型フェノール樹脂
に、（ｃ）ガラス繊維の微粉砕物と（ｄ）綿紡績工程に
おいて集塵ダストとして排出される綿屑とを配合するこ
とにより、両成分の特徴を併せ持ち、それぞれの欠点を
補うものである。従って、通常のガラス繊維、又はこれ
と綿織物粉砕物を使用したものと比較して、疲労強度及
び衝撃強度は同等ないしそれ以上であり、かつ、耐摩耗
性が大きく向上する。さらに、綿織物粉砕物を使用した
ものと比較して、疲労強度及び衝撃強度が大きく向上す
る。

【００１０】また、本発明のフェノール樹脂成形材料に
は、更に木粉、パルプ粉、フェノール樹脂積層板、成形
品の粉砕物などの有機質のもの、タルク、クレー、マイ
カ、炭酸カルシウム、カーボンなどの無機質の粉末のも
のを１種以上を用いることができる。長繊維のガラスフ
ァイバーは少量の配合でも耐摩耗性を悪くするため使用
できない。更に滑剤、着色剤、硬化促進剤、難燃剤など
の各種添加剤を適宜配合することができる。本発明のフ
ェノール樹脂成形材料は、樹脂成分、充填剤、その他の
添加剤を配合し、ロールミル、２軸混練機などで混練
し、粉砕して製造することができる。

【００１１】

【実施例】以下実施例により本発明を説明する。配合に
おいて「部」は重量部である。表１に示す樹脂及び充填
材の配合にて、加熱ロールにより混練してフェノール樹
脂成形材料を得た。

【００１２】（測定方法） 試験用成形品の作製：トランスファー成形（１７５℃、
３分） １．疲労強度：ＪＩＳ Ｋ ６９１１による曲げ強さの測
定方法において、荷重を６Ｋgfとし、この荷重を試験片
に繰り返し加え、破壊するまでの回数を示した。 ２．衝撃強度：ＪＩＳ Ｋ ６９１１によるシャルピー衝
撃強さを示した。 ３．耐摩耗性：鈴木式摩耗試験機を用い、試験用成形品
と金属（Ｓ−５５Ｃ）を摺動させ、金属の摩耗量を測定
した。（荷重：５Ｋgf／cm² 、周速：１００mm／sec、
試験時間１時間）

【００１３】 表 １ 実施例１ 比較例１ 比較例２ 比較例３ 比較例４ ガラス繊維 ※ 繊維径(μｍ) 15 15 15 − 15 繊維長(μｍ) 100 100 1500 − 100 配 合 フェノール樹脂 ５０ ５０ ５０ ５０ ５０ ヘキサミン １０ １０ １０ １０ １０ ガラス繊維 １０ １０ １０ − １０ 綿屑 ５ − ５ ５ − 綿織物粉砕物 − ５ − − − 木粉 ２０ ２０ ２０ ３０ ２５ その他 ５ ５ ５ ５ ５ 特 性 疲労強度(回数) ５×10⁴ ５×10⁴ ８×10⁴ ８×10³ ７×10³ 衝撃強さ(kJ/mm) ３.８ ３.８ ３.８ ２.８ ２.８ 耐摩耗性(mg) ０.５ ０.５ ３０ ０.５ ０.５ ※実施例１及び比較例１と４は未収束のガラス繊維微粉砕物を使用した。 比較例２は収束したガラス繊維を使用した。

【００１４】

【発明の効果】上記の実施例からも明らかなように、本
発明のフェノール樹脂成形材料は疲労強度、衝撃強度と
耐摩耗性に優れているため、マグネットスイッチ等の可
動部品、プーリ、自動車のブレーキピストン、ブレーキ
ブースターなどの機構部品に適している。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）ノボラック型フェノール樹脂、
   （ｂ）ヘキサメチレンテトラミン、（ｃ）ガラス繊維の
   微粉砕物、及び（ｄ）綿紡績工程において集塵ダストと
   して排出される綿屑を含有することを特徴とするフェノ
   ール樹脂成形材料。
2. 【請求項２】 ガラス繊維の微粉砕物が繊維径５〜１５
   μｍ、繊維長３０〜５００μｍで、収束されていないも
   のである請求項１記載のフェノール樹脂成形材料。