JP2000082919A - アンテナ装置 - Google Patents

アンテナ装置

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JP2000082919A JP18906399A JP18906399A JP2000082919A JP 2000082919 A JP2000082919 A JP 2000082919A JP 18906399 A JP18906399 A JP 18906399A JP 18906399 A JP18906399 A JP 18906399A JP 2000082919 A JP2000082919 A JP 2000082919A
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勝 小川
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訓利 西川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 車載用衛星追尾アンテナ装置などとして用い
られるアンテナ装置の薄型化、小型化を図る。 【解決手段】 グランド板4の下面から上面である反射
面側に向かって給電プローブ1を挿入し給電プローブ1
をグランド板4の上面側に突出配置する。グランド板4
の上面において給電プローブ1の付近には、給電プロー
ブ1と共に一次放射器を構成する半円筒形状の副反射鏡
2が設けられ、また副反射鏡2と給電プローブ1を挟ん
でその鏡面が対向するよう主反射鏡3が配置される。主
反射鏡3は、水平方向断面が放物線形状を有し、所定の
焦点又は焦線を備え、その焦点又は焦線に給電プローブ
1が位置するようグランド板4上に立設され、更に、ア
ンテナの仰角を電波到来又は放射方向に向けるために所
定の取り付け角度θでグランド板4上に取り付けてい
る。アンテナ装置の方位角方向の追尾は、グランド板4
を給電プローブ1と非接触で回転可能な構成とすること
で達成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アンテナ装置、
特に、マイクロ波帯の信号、例えば衛星放送を受信する
ためのアンテナ装置の低姿勢化を実現するための構成に
関する。
【0002】
【従来の技術】図14は、例えば特開昭61−1571
05号公報に示された従来のアンテナ装置の構成を示し
ている。このアンテナ装置は、衛星放送信号などの受信
用アンテナ装置であり、水平面内では放物線、垂直面内
では直線となる帯状の放物柱面を備え、垂直方向に直線
状の焦線を有する主反射鏡12と、該鏡12の放物線の
焦線上に配置され、マイクロストリップ線路によって形
成された一次放射器14を備え、支持腕26によって主
反射鏡12と一次放射器14が接続されている。このア
ンテナ装置では、図15及び図16に示すように、衛星
から送られてくる電波を主反射鏡12で反射し、焦線上
に配置された一次放射器14で受信し、受信した電気信
号を一次放射器14に直結された高周波回路24で処理
する。このアンテナ装置は、屋外に設置した際に着雪を
防ぐために、図14及び図16に示すように主反射鏡1
2の柱面が鉛直方向に立つように設置される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
アンテナ装置を車載用の衛星通信装置において用いる場
合には、美観を損ねず、防犯、走行中の風の影響を減ら
す等の理由から薄型であることが望ましい。しかし、図
14のようなアンテナ装置では、衛星の仰角が高くなる
ほど、アンテナ装置の超薄型化が困難になるという問題
がある。つまり、このアンテナ装置は、主反射鏡12と
一次放射器14を配置する高さを相対的に変化させるこ
とで仰角面内の指向性を衛星方向に向ける構成であるた
め、衛星の仰角が高くなるほど支持腕26を高くしなけ
ればならず、アンテナ装置の全体高さ(主反射鏡12の
高さに支持腕26の高さを加えた高さ)もそれにつれて
高くなってしまう。
【0004】上記課題を解決するために、本発明は、薄
型化、即ち、装置高さの減少を可能としたアンテナ装置
を提供することを目的とする。
【0005】また、本発明の他の目的は、追尾アンテナ
装置などに用いられる場合において、性能の低下なく、
より簡易で安価かつ薄型のアンテナ装置を提供すること
である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、以下のような特徴を有する。
【0007】まず、この発明のアンテナ装置は、グラン
ド板と、前記グランド板の上面に突出するよう配置され
た給電プローブと、前記グランド板の上面の前記給電プ
ローブ付近に立設された副反射鏡と、所定の焦点又は焦
線を有する主反射鏡であって、前記グランド板の上面に
おいて前記給電プローブを挟んでその鏡面が前記副反射
鏡の鏡面と向き合い、かつ該焦点又は焦線が前記給電プ
ローブの設置位置に一致するように立設された主反射鏡
と、を備えることを特徴とする。
【0008】このような構成において、グランド板上に
配置される部材をそれぞれ適切な大きさ又は長さとし、
また適切な位置に配置することで、給電プローブと副反
射鏡とにより、主反射鏡のみに対し効率的に電波を放射
でき、或いは、主反射鏡が受けた電波を給電プローブに
直接又は副反射鏡を介して照射でき、広い周波数帯域で
インピーダンスの整合をとることが容易となり、また高
効率のアンテナ装置を実現できる。また、グランド板に
よる鏡像の効果により、アンテナの高さは約半分に抑え
ることができる。なお、本発明のグランド板は、少なく
とも上記鏡像効果を発現するに足る領域のみその表面が
導電性材料で構成されていればよい。例えばグランド板
をポリカーボネート等のプラスチック板で構成し、その
上記上面に導電性薄膜を形成したものを採用することが
できる。
【0009】また、本発明の他のアンテナ装置では、グ
ランド板と、前記グランド板に形成された開口部にて、
前記グランド板の下面から挿入され前記グランド板の上
面に突出するように該グランド板と非接触で配置された
給電プローブと、前記グランド板の上面に突出配置され
た前記給電プローブの近くに立設された副反射鏡と、所
定の焦点又は焦線を有する主反射鏡であって、前記グラ
ンド板の上面において前記給電プローブを挟んでその鏡
面が前記副反射鏡の鏡面と向き合い、かつ該焦点又は焦
線が前記給電プローブの設置位置に一致するように立設
された主反射鏡と、を備える。
【0010】また本発明においては、前記グランド板
は、基台上に配置され、前記給電プローブを中心軸とし
て、該給電プローブと非接触で前記基台に対して回転す
ることができる。そして、グランド板を給電プローブと
非接触で回転させることで、該アンテナの方位角を電波
到来方向又は電波放射方向に向けることができる。
【0011】このように、給電プローブがグランド板と
非接触であるから、例えばグランド板を給電プローブを
中心軸として方位角方向に回転させる場合でも、該給電
プローブに電力を供給するための配線を回転させる必要
が無く、配線を回転運動に対応させるためのロータリジ
ョイント等の部材が不要となり、アンテナ装置のコスト
ダウンに寄与する。また、グランド板に高周波回路を取
りつける必要がなく、グランド板を回転駆動する機構を
簡易かつ小型とできる。また、主反射鏡の取り付け角度
θを所望の角度とし、アンテナ部の仰角方向の指向性を
設定することにより、仰角調整用の特別な機構を省略で
きアンテナ装置の薄型化に有利である。
【0012】また、本発明においてアンテナ装置は、前
記グランド板の上面の内、少なくとも開口部付近が導電
性であり、さらに、前記開口部の内表面は、前記グラン
ド板の上面から下面に向かうほぼ4分の1波長の長さの
領域において導電性であることを特徴とする。
【0013】更に、本発明において、前記グランド板の
開口部には、その周縁に沿って、前記グランド板の放射
面から裏面に向かってほぼ4分の1波長の高さを有する
円環状導体部材が設けられ、該円環状導体部材の中空部
に前記給電プローブを挿入した構成も採用可能である。
【0014】以上のように開口部内表面を導電性にした
り、円環状導体部材を採用することより、グランド板と
給電プローブとが非接触の状態でも電波がグランド板の
裏面側に漏れることを防止できる。そのため、アンテナ
装置の効率向上を図ることも可能となる。
【0015】本発明では、更に、上記いずれかのアンテ
ナ装置において、前記給電プローブとして、同軸線路の
開放端において外導体のスリーブがほぼ4分の1波長分
折り返され、前記同軸線路の中心導体から線状導体が、
前記開放端よりほぼ4分の1波長の長さ延びるスリーブ
ダイポールアンテナ素子を用いることも可能である。
【0016】このように、グランド板とスリーブダイポ
ールアンテナ素子とを組合わせ、該アンテナ素子の給電
点の位置をグランド板の上面位置から上方に離すことに
より、グランド板の鏡像効果により、給電プローブと副
反射鏡とから構成される一次放射器として2素子のリニ
アアレーを用いた場合と同等の特性が得られ、アンテナ
の水平方向への指向性を高めることが可能となる。この
ため、(特に主反射鏡の高さが低い場合には)主反射鏡
上方へ放射される余分な電波を減らすことができ、アン
テナ装置の効率を向上させることができる。
【0017】更に、本発明では、上記いずれかのアンテ
ナ装置において、前記主反射鏡が電波到来方向又は電波
放射方向の仰角に応じた取り付け角度で前記グランド板
上に立設されていることを特徴とする。このような構成
により、主反射鏡のグランド板に対する取り付け角度θ
を所望の角度とすることにより、アンテナの仰角方向の
指向性を調整できるため、主反射鏡の高さによって規定
されるアンテナ装置の厚さを薄くでき、より薄型のアン
テナ装置の実現が可能となる。また、仰角の調整のため
にアンテナ装置全体の姿勢を変える必要がなく、装置の
薄型化を図ることが可能である。
【0018】また、本発明において、主反射鏡の高さを
低く設定して仰角方向において指向性ビームの幅を広く
すれば、アンテナ装置の仰角方向への追尾を不要とする
ことも容易である。逆に、上記主反射鏡として、給電プ
ローブの位置に焦点を持つ帯状のオフセットパラボラ形
状のものを用いた場合には、仰角面内における指向性ビ
ームの幅を狭め、より高いピーク利得を得ることが可能
である。
【0019】また、本発明の他の観点では、前記グラン
ド板は前記基台上にベアリングを介して回転可能に取り
付けられたターンテーブルであり、前記基台上に配置さ
れたモータの駆動力を該グランド板に伝達することで、
前記グランド板を、前記給電プローブを中心軸として回
転させることを特徴とする。
【0020】グランド板上に必要最小限の部材(例えば
ここでは主反射鏡と副反射鏡)が設けられているだけで
あり、また給電プローブがグランド板と非接触であるた
め給電プローブへの配線が簡単で、グランド板を軽くす
ることが可能となる。よって、簡易な機構により、この
グランド板を回転させることができ、またグランド板を
回転させるためのモータとして小型のモータを使用する
ことができる。
【0021】本発明の更に別の観点においては、ガイド
が、前記基台上の複数位置で前記グランド板を回転可能
に支持し、前記基台上に配置されたモータの駆動力を該
グランド板に伝達することで、前記グランド板を、前記
給電プローブを中心軸として回転させることを特徴とす
る。
【0022】このようにガイドによって、グランド板を
支持し、モータによってグランド板を回転させれば、大
きくなるにつれて高価になるベアリング等を用いること
なく、非常に簡単な構成でグランド板を回転させて、人
工衛星を追尾可能なアンテナ装置を実現できる。また、
ガイドは、グランド板をその回転周上で複数箇所におい
て支持しても良い。
【0023】本発明の更に別の観点においては、前記グ
ランド板は、その上面の内、少なくとも前記副反射鏡の
鏡面とこれと対向する前記主反射鏡の鏡面とによって囲
まれる領域内が、鏡像効果を発現する反射面として機能
することを特徴とする。
【0024】グランド板の上面においてその副反射鏡と
主反射鏡との対向領域を少なくとも反射面とすれば、本
発明のグランド板としての機能が達成される。なお、グ
ランド板において、鏡像効果を発現する反射面を得るた
めには、例えば、その領域においてグランド板表面を導
電性とすればよい。
【0025】また、本発明において、以上に説明した焦
点又は焦線を有する主反射鏡は、例えば焦点を有する回
転放物面を備えた主反射鏡、又は焦線を有する放物柱面
を備えた主反射鏡によって構成される。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面を用いてこの発明の好
適な実施の形態(以下実施形態という)について説明す
る。
【0027】[実施形態1]図1は、この発明の実施形
態に係るアンテナ装置の概略構成を示している。図2は
このアンテナ装置の平面図、図3は、中心部の断面図で
ある。アンテナ装置は、例えば、車載用衛星追尾アンテ
ナであり、送信アンテナ、受信アンテナのどちらとして
も動作するが、以下、送信アンテナとして説明する。
【0028】円盤状のグランド板4には、その裏側(下
側)から線状の給電プローブ1が挿入され、グランド板
4の反射面(上面)側にこの給電プローブ1が突出して
いる。グランド板4の反射面上には、更に、この給電プ
ローブ1を挟むように副反射鏡2と主反射鏡3が配置さ
れている。主反射鏡3は、水平断面が放物線、垂直断面
が直線を描き、所定の焦線を有する帯状の放物柱面であ
り、その焦線上に給電プローブ1が位置するように給電
プローブから距離D2だけ離間して配置されている。副
反射鏡2は円筒形状(半円筒形状)であり、上記主反射
鏡3と給電プローブ1を挟んでその鏡面が向き合うよう
に給電プローブ1の近くに配置(プローブ1と距離D1
だけ離間して配置)されている。
【0029】本実施形態では、グランド板4、線状の給
電プローブ1及び副反射鏡2によってアンテナ装置の一
次放射器が構成されており、また、線状の給電プローブ
1をグランド板4の裏側から挿入することでモノポール
アンテナが構成されている。このモノポールアンテナの
指向性は水平面内無指向性となっている。このため、給
電プローブ1の横、つまり主反射鏡3に対し給電プロー
ブ1を挟んで対向するよう副反射鏡2を配置し、副反射
鏡2の水平面内方向での幅W1(図2参照)と、垂直方
向の高さH1(図3)を最適化することにより、給電プ
ローブ1から副反射鏡2に到達する電波をこの副反射鏡
2で反射させて主反射鏡3に対して効率的に照射するこ
とができる。なお、図3では、グランド板4の上面を反
射面とすることによる鏡像効果を表している。
【0030】更に、本実施形態1の一次放射器の構成で
は、給電プローブの長さを、共振長となるおおよそ1/
4波長とし、給電プローブ1と副反射鏡2との距離D1
を調整することで、広帯域にインピーダンスの整合をと
ることが可能となっている。
【0031】本実施形態1のアンテナ装置では、波長に
比べて十分大きなグランド板を用いて、グランド板上に
主反射鏡を取り付けているため、グランド板4のエッジ
による電波の散乱の影響がなく、一次放射器の指向性ビ
ームの打ち上げ角(仰角)を抑えている。その結果、主
反射鏡3の上方への電波の無駄な放射が減少し、主反射
鏡の高さを減じてアンテナ装置を薄型にしてもアンテナ
の効率が低下することを防ぐことが可能となる。
【0032】なお、本実施形態1において、図2に点線
で示すように、少なくとも副反射鏡2の鏡面とこれに対
向する主反射鏡3の鏡面として囲まれるグランド板4の
上面領域において、グランド板4の上面が反射面として
機能すれば十分である。ただし、エッジによる電波の散
乱を防ぐという観点からは、図2において副反射鏡2と
主反射鏡3の端部間を結ぶ点線の外側までグランド板4
の上面が反射面として機能し、鏡像効果を発現すること
が好ましい。さらに、グランド板を導電性プラスチック
により構成してもよい。この場合は、グランド板の上面
に特に導電性薄膜を設けなくても鏡像効果が得られる。
【0033】また、主反射鏡3は、グランド板4の水平
面(グランド板4の平面)における垂線に対し、所定の
取り付け角度θ傾けて取り付けることが可能となってい
る。このため、アンテナの姿勢を高くしなくても、取り
付け角度θを衛星の仰角に応じて設定することで、容易
に指向性ビームを衛星方向に向けることができる。
【0034】本実施形態1のアンテナ装置では、アンテ
ナ装置の全体の高さが主反射鏡3の高さにほぼ等しい。
従来の図14に示すごときアンテナ装置では、指向性ビ
ームの仰角が高くなると、それに応じてアンテナ高さの
増大が避けられなかったが、図4に示すように、本実施
形態1のアンテナ装置により、指向性ビームの仰角が高
くなっても、この主反射鏡3の取り付け角度θを調整す
るだけで対応できるため、アンテナの高さが増すことが
ない。またθ=0の場合にはグランド板の鏡像の効果に
よりアンテナの高さを図14に示される装置の約半分と
しても同等の指向性が得られる。従って、極めて薄型の
アンテナ装置の実現を図ることができる。
【0035】アンテナ装置の利得や、指向性ビーム幅
は、副反射鏡2の幅W1及び高さH1、主反射鏡3の幅
W2及び高さH2を調整することにより所望の値が得ら
れる。主反射鏡3の高さH2が低い場合、仰角面内にお
ける指向性ビーム幅が広がり、利得が低下する。そこ
で、本実施形態1のアンテナ装置では、図2に示すよう
に主反射鏡3を水平断面方向において放物線状として水
平面内方向の指向性ビームを絞ることで、アンテナ装置
の薄型化による開口面積の減少に伴う利得低下を抑えて
いる。
【0036】以上のような構成とすることで、本実施形
態1にかかるアンテナ装置は、薄型化が可能でかつそれ
に伴う利得低下の少ない高性能のアンテナが得られ、車
載用などに適した薄型アンテナを実現することが可能で
ある。
【0037】上記アンテナ装置においては、主反射鏡3
として水平断面が放物線形状、仰角面内における断面が
直線状のものを用いている。しかしこれに限らず、図5
に示すように、給電プローブ1の位置に焦点を有し、か
つ図中の点線を回転中心軸とする帯状の回転放物面(オ
フセットパラボラ)の主反射鏡3を用いても良い。一次
放射器の波源が点波源と見なせる場合、図1のような放
物柱状の主反射鏡3よりも高いピーク利得が得られ感度
の向上が図られる。
【0038】[実施形態2]本実施形態2にかかるアン
テナ装置では、給電プローブとして、上記実施形態1の
給電プローブ1に代え、図6に示すようなスリーブダイ
ポールアンテナ素子11を用いる。図3の給電プローブ
1を構成する同軸線路の開放端において、外導体11b
のスリーブ11dが使用波長λのおよそ4分の1波長の
長さだけ折り返され、中心導体11aからは線状導体
が、開放端より4分の1波長だけ伸ばされている。な
お、線状導体は、中心導体がそのまま伸ばされても、中
心導体と別体の導体が接続されていてもよい。この様な
構成によっても、グランド板4及び副反射鏡2に対する
スリープダイポールアンテナ素子11の位置(給電点)
を適切な位置とすることにより、実施形態1と同様に広
い周波数帯域でインピーダンスの整合をとることができ
る。なお、一次放射器以外の構成(主反射鏡)は実施形
態1と同様である。
【0039】実施形態1のようにグランド板4を備えた
モノポールの一次放射器では、比較的指向性ビームの幅
が広いため、主反射鏡3の高さがそれほど高くないの
で、主反射鏡3の上方にも電波が放射されることを完全
に防ぐことはできず、アンテナの効率が多少低い。単体
のスリーブダイポールアンテナは、グランド板を必要と
しないで動作し、グランド板付きモノポールアンテナと
同等の指向性を有する。しかし、図6に示すようにスリ
ーブダイポールアンテナ素子11とグランド板4とを組
み合わせ、アンテナ素子11の給電点の位置をグランド
板4より上方へ離す構成とすることにより、図7に概念
的に示すようにグランド板4による鏡像効果によって一
次放射器に2素子のリニアアレーを用いた場合と等しい
特性が得られ、水平方向への指向性がより強められる。
なお、スリーブダイポールアンテナ素子の給電点は、同
軸線路のスリーブ11dの折り返された位置(11c)
である。
【0040】本実施形態2のようにアンテナ素子11と
グランド板4とを組み合わせることで、水平方向への指
向性を強めることができる。したがって、主反射鏡の高
さH2をより低くした場合には、同じ条件下における実
施形態1のアンテナ装置よりも利得を向上させることが
できる。よって、薄型アンテナ装置としてより好適であ
る。
【0041】[実施形態3]本実施形態3では、上述の
実施形態1に示すようなアンテナ装置をアンテナ部とし
て用い、アンテナ部の方位角を回転制御可能として、車
載用衛星追尾アンテナなどの追尾アンテナ装置に適用し
ている。
【0042】従来知られているアンテナ装置を車載用衛
星追尾型アンテナとする場合、例えば、図17及び図1
8に示すような構成とすることが考えられる。具体的に
は、図示するように平面アンテナ51及びこれを電気的
に駆動する高周波回路42がターンテーブル45上に設
けられ、基台48上にベアリング49によって回転自在
に取り付けられたターンテーブル45を方位角追尾用モ
ータ46で回転させることで、方位角方向の追尾を行
う。また仰角方向の追尾は、ターンテーブル45上に仰
角追尾用モータ43及びこのモータを駆動する駆動回路
44を設け、平面アンテナ51及び高周波回路42の仰
角をこの仰角追尾用モータ43で直接調整している。従
来のアンテナ装置ではこのような構成を採用しているた
め、ターンテーブル45上の電気回路に配線ケーブルに
よって電力を供給する必要がありターンテーブル45に
はロータリージョイント、スリップリング50を設けな
ければならない。また、多くの装置がターンテーブル4
5上に配置されるため、このターンテーブル45を回転
させる方位角追尾用モータ46として比較的大型のモー
タを用いる必要がある。このため従来の衛星追尾アンテ
ナ装置は、平面アンテナの仰角が直接調整されるためア
ンテナ装置が厚く大型となり、さらに高価な部品を使用
することから装置のコストダウンも難しかった。
【0043】そこで、追尾アンテナ装置においては、小
型で省電力、かつ薄型で安価なアンテナ装置を提供する
ことが望まれている。
【0044】本実施形態3の追尾アンテナ装置は、この
ような要求を実現することを目的としており、図1のよ
うな構成のアンテナ部を基台上に回転制御可能に支持し
て構成している。図8は、この追尾アンテナ装置を概念
的に示し、図9は、その概略断面構成を示している。
【0045】図示するようにアンテナ部を構成するグラ
ンド板34の反射面側には、実施形態1と同様の副反射
鏡2及び主反射鏡3が設けられている。給電プローブ3
1は、基台36上に固定配置された高周波回路39に接
続され、更にグランド板34に設けられた開口部におい
てその裏面側から挿入され、グランド板34と非接触で
グランド板34の反射面側に突出している。
【0046】グランド板34は、アンテナ装置を所望の
方位角に回転させるためのターンテーブルを兼ねてお
り、基台36上にベアリング37によって給電プローブ
31を中心軸として回転可能に取り付けられている。ま
た、基台36上には方位角追尾用モータ35が取り付け
られており、円盤状のグランド板34の外周部に配置さ
れてグランド板34の外周部に駆動力を伝達すること
で、グランド板34を回転駆動する。該モータ35は、
方位角追尾用モータ駆動回路38によって駆動されてお
り、該駆動回路38は、基台36上のグランド板34と
の間に設けられている。
【0047】図10は、本実施形態3の給電部のより詳
細な構成を示している。図10に示すように、給電部で
は、同軸線路よりなる給電プローブ31の中心導体31
aがグランド板34の反射面側に約1/4波長の高さに
突出配置され、給電プローブ31の外導体31bは、グ
ランド板34の反射面で終端している。グランド板34
に設けられた開口部の外周には、外導体31bと間隔を
保ち、かつグランド板34の反射面から裏面側に向かっ
て1/4波長の高さ(厚さ)を有する円環状導体部材3
2が設けられている。そして、この円環状導体部材32
の中空部に給電プローブ31が非接触で挿入されてい
る。このような円環状導体部材32の存在により、給電
プローブ31とグランド板34とが非接触であっても、
給電プローブ31と円環状導体部材32との間から電波
がグランド板34の裏面側に漏れることが防止され、給
電プローブ31とグランド板34とが接触した状態と同
じ電気的特性を得ることができる。
【0048】また、以上のような円環状導体部材32を
採用する構成に限らず、グランド板34に形成された開
口部の内表面が、そのグランド板34の上面から下面に
向かってほぼ1/4波長の長さとし、かつその内表面を
導電性とすることで、グランド板34の下面から電波が
洩れることを防止できる。具体的には、図10におい
て、点線で示すように、グランド板34の上面から下面
までの厚さが1/4波長程度以上の場合、開口部の内表
面を導電性とすればよい。これは、例えば、開口部内表
面に導電性層を形成することで実現できる。また、グラ
ンド板34として導電材料を用いても実現できる。
【0049】また、本実施形態3では、グランド板34
と給電プローブ31とが接触しない構造であるため、衛
星を方位角方向において追尾するためにグランド板34
をモータ35によって回転駆動した場合でも、給電プロ
ーブ31は回転しない。従って、給電プローブ31と高
周波回路39との間にロータリジョイントを取り付ける
必要が無い。更に、本実施形態3にかかる追尾アンテナ
装置では、衛星を追尾する場合において、アンテナの主
反射鏡3の高さH2を比較的低く設定し、衛星方向に向
けた指向性ビームの幅を仰角面内で広げることで、仰角
方向での追尾を不要としている。このため、アンテナを
仰角方向に駆動するためのスペースが不要となる。更に
仰角追尾のためのモータや駆動回路が不要になり、方位
角追尾のためのターンテーブルであるグランド板34上
には副反射鏡2、主反射鏡3といった金属板で製作可能
な部品のみを載せればよい。これらの反射鏡は軽いの
で、グランド板34を回転させるモータ35として小型
のものを用いることができる。また、グランド板34上
にモータ、モータ駆動回路等の電力を必要とする回路等
が不要であるため、そのためのスリップリングも不要で
ある。
【0050】以上のように本実施形態3の追尾アンテナ
装置は、アンテナ自体の構造を簡易なものとでき、安価
かつ軽量であり、更に薄型の追尾アンテナ装置とするこ
とができ、車載用衛星追尾アンテナ装置などに非常に適
している。
【0051】また、上記説明においては、主反射鏡3と
して図8及び図9に示すように水平断面が放物線、垂直
断面が直線を描き、所定の焦線を有する帯状の放物柱面
のものを用いているが、上述した図5に示すように給電
プローブ31の位置に焦点を有する帯状の回転放物面
(オフセットパラボラ)の形状を有する主反射鏡3を用
いても良い。一次放射器の波源が点波源と見なせる場合
には、図8及び図9のような放物柱状の主反射鏡3より
も図5の主反射鏡3を用いることにより、より高いピー
ク利得が得られる。
【0052】またグランド板34の上面全体が導電性を
備えて反射面として機能する構成の他、図2に示したよ
うに少なくとも、対向する副反射鏡2と主反射鏡3とで
囲まれたグランド板34の上面領域が、鏡像効果を発現
する反射面である構成も採用可能である。但し、エッジ
による電波散乱の影響を少なくするためには、グランド
板34の反射面は大きい方がよい。なお以下の実施形態
においても、これらグランド板34の反射面に関する構
成例がそれぞれ採用可能である。
【0053】[実施形態4]図11及び図12は、本実
施形態4にかかる追尾アンテナ装置の構成を示してい
る。本実施形態4は、上記実施形態3の追尾アンテナ装
置と方位角追尾駆動の機構が異なっている。他の構成に
ついては、実施形態3と同様であり説明を省略する。本
実施形態4では、図9において示したベアリング37に
代えて、グランド板34の外周部に複数個(例えば3
個)のガイド40を配置し、グランド板34の端部をガ
イド40にはめ込むことで、該グランド板34を基台3
6上に回転可能に支持している。なお、グランド板34
の方位角方向への回転駆動は実施形態3と同様にモータ
35が行う。
【0054】図9に示すようなベアリング37は、高周
波回路39をその内周に組み込むことを可能とする程度
の大きさが必要であり、比較的大型のベアリング37を
用いなければならない。このような大型のベアリング3
7は高価であり薄型化も難しい。また、ベアリング37
により回路基板等を基台36上に載置するスペースが制
限される。従って、本実施形態4のようにベアリングを
省略した構成とすることで、より安価で、薄型の衛星追
尾アンテナ装置を実現することができる。
【0055】[実施形態5]図13は、実施形態5にか
かる追尾アンテナ装置の一次放射器の構成を示してい
る。
【0056】本実施形態5にかかるアンテナ装置では、
給電プローブとして上記実施形態2と同様のスリーブダ
イポールアンテナを用いている。他の部分の構成は上記
実施形態3又は実施形態4と同様の構成が適用可能であ
り説明を省略する。このスリーブダイポールアンテナ素
子41は、図8又は図9の給電プローブ31を構成する
同軸線路の開放端において、外導体41bのスリーブ4
1dが使用波長λのおよそ1/4の長さだけ折り返さ
れ、中心導体41aから線状導体が、開放端より1/4
の長さだけ伸ばされている。なお、グランド板34に形
成された開口部の外周には、実施形態3と同様にグラン
ド板34の反射面から1/4波長の高さの円環状導体部
材32が設けられ、スリープダイポールアンテナ素子4
1は、この円環状導体部材32の中空部に非接触で挿入
されている。そして、この円環状導体部材32により、
アンテナ素子41を中心軸としてグランド板34を回転
可能とすると共にグランド板34の裏面側に電波が漏れ
ることを防止している。また、この導体部材32により
スリープダイポールアンテナ素子41とグランド板34
とが接触した状態と同じ電気的特性を得ることができ
る。
【0057】本実施形態において、スリープダイポール
アンテナ素子41の位置(給電点41c)をグランド板
34及び副反射鏡2に対して適切な位置とすることで、
上述の他の実施形態と同様に広い周波数帯域でインピー
ダンスの整合をとることが可能となっている。そして、
一次放射器を図13に示すような構成とすることによ
り、グランド板34による鏡像効果によって一次放射器
に2素子からなるリニアアレーを用いた場合と等しい特
性が得られ、水平方向への指向性がより強められる。こ
のため、上記実施形態3及び4に示すアンテナ装置に比
べ、より一層主反射鏡の高さを低くでき、アンテナ装置
全体の薄型化に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1のアンテナ装置の構成を示す概略
図である。
【図2】 図1のアンテナ装置の概略平面図である。
【図3】 図1のアンテナ装置の概略断面図である。
【図4】 アンテナの高さと指向性ビームの仰角との関
係を示す図である。
【図5】 実施形態1のアンテナ装置の一部変形例を示
す概略断面図である。
【図6】 実施形態2のアンテナ装置の一次放射器の概
略断面構成を示す図である。
【図7】 実施形態2のアンテナ装置の動作を説明する
ための概念図である。
【図8】 実施形態3にかかる追尾アンテナ装置の概略
構成を示す図である。
【図9】 図8の追尾アンテナ装置の概略断面構成を示
す図である。
【図10】 図8の追尾アンテナ装置の給電部の詳細な
構成を説明する図である。
【図11】 実施形態4の追尾アンテナ装置の概略構成
を示す図である。
【図12】 図11の追尾アンテナ装置の概略断面構成
を示す図である。
【図13】 実施形態5の追尾アンテナ装置の一次放射
器の概略断面構成を示す図である。
【図14】 従来のアンテナ装置の構成を示す図であ
る。
【図15】 図14のアンテナ装置の平面図である。
【図16】 図14のアンテナ装置の側断面図である。
【図17】 追尾アンテナ装置の構成を示す図である。
【図18】 図17の追尾アンテナ装置の概略断面構成
を示す図である。
【符号の説明】
1,11,31,41 給電プローブ、2 副反射鏡、
3 主反射鏡、4 グランド板、30 配線ケーブル、
32 円環状導体部材、34 グランド板(ターンテー
ブル)、35 方位角追尾用モータ、36 基台、37
ベアリング、38 方位角追尾用モータ駆動回路、3
9 高周波回路、40 ガイド。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 訓利 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐藤 和夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グランド板と、 前記グランド板の上面に突出するように配置された給電
    プローブと、 前記グランド板の上面の前記給電プローブ付近に立設さ
    れた副反射鏡と、 所定の焦点又は焦線を有する主反射鏡であって、前記グ
    ランド板の上面において前記給電プローブを挟んでその
    鏡面が前記副反射鏡の鏡面と向き合い、かつ該焦点又は
    焦線が前記給電プローブの設置位置に一致するように立
    設された主反射鏡と、 を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 【請求項2】 グランド板と、 前記グランド板に形成された開口部にて、前記グランド
    板の下面から挿入され前記グランド板の上面に突出する
    ように前記グランド板と非接触で配置された給電プロー
    ブと、 前記グランド板の上面に突出配置された前記給電プロー
    ブの近くに立設された副反射鏡と、 所定の焦点又は焦線を有する主反射鏡であって、前記グ
    ランド板の上面において前記給電プローブを挟んでその
    鏡面が前記副反射鏡の鏡面と向き合い、かつ該焦点又は
    焦線が前記給電プローブの設置位置に一致するように立
    設された主反射鏡と、 を備えることを特徴とするアンテナ装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のアンテナ装置におい
    て、 前記グランド板は、基台上に配置され、前記給電プロー
    ブを中心軸として、該給電プローブと非接触で前記基台
    に対して回転可能であることを特徴とするアンテナ装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のアンテナ装置におい
    て、 前記グランド板は前記基台上にベアリングを介して回転
    可能に取り付けられたターンテーブルであり、 前記基台上に配置されたモータの駆動力を該グランド板
    に伝達して前記グランド板を前記給電プローブを中心軸
    として回転させることを特徴とするアンテナ装置。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のアンテナ装置におい
    て、 ガイドが、前記基台上の複数位置で前記グランド板を回
    転可能に支持し、 前記基台上に配置されたモータの駆動力を該グランド板
    に伝達することで、前記グランド板を前記給電プローブ
    を中心軸として回転させることを特徴とするアンテナ装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項2〜5のいずれかに記載のアンテ
    ナ装置において、 前記グランド板の上面の内、少なくとも開口部付近は導
    電性であり、 前記開口部の内表面は、前記グランド板の上面から下面
    に向かうほぼ4分の1波長の長さの領域において導電性
    であることを特徴とするアンテナ装置。
  7. 【請求項7】 請求項2〜5のいずれかに記載のアンテ
    ナ装置において、 前記グランド板の開口部には、その周縁に沿って、前記
    グランド板の上面から下面に向かってほぼ4分の1波長
    の高さを有する円環状導体部材が設けられ、該円環状導
    体部材の中空部に前記給電プローブが挿入されているこ
    とを特徴とするアンテナ装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載のアンテ
    ナ装置において、 前記給電プローブは、同軸線路の開放端において外導体
    のスリーブがほぼ4分の1波長分折り返され、前記同軸
    線路の中心導体からは線状導体が、前記開放端よりほぼ
    4分の1波長の長さ延びたスリーブダイポールアンテナ
    素子であることを特徴とするアンテナ装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載のアンテ
    ナ装置において、 前記主反射鏡は、電波到来方向又は電波放射方向の仰角
    に応じた取り付け角度で前記グランド板上に立設されて
    いることを特徴とするアンテナ装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載のアン
    テナ装置において、 前記グランド板の上面は、少なくとも前記副反射鏡の鏡
    面とこれと対向する前記主反射鏡の鏡面とによって囲ま
    れる領域内が、鏡像効果を発現する反射面として機能す
    ることを特徴とするアンテナ装置。
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