JP2000081046A - 転がり軸受装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 玉軸受２の内部仕様を変えることなく高剛性
化ができ、しかも低コストのスイングアーム用玉軸受装
置１を提供する。 【解決手段】 軌道輪すなわち内輪５及び外輪６が軸部
材３及び他の部材４にそれぞれ圧入固定される転がり軸
受２において、内輪５の内径部と外輪６の外径部との少
なくとも一方のはめあい部分の軸方向長さａを、軌道面
と転動体７との接触側で、転がり軸受２の幅Ｌの半分以
下の長さとしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁気ディスク装置
用スイングアーム用軸受のように、高速で微小揺動する
部位に使用される転がり軸受装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】たとえば従来のスイングアーム用軸受装
置では、特開平８−１８４３２２号公報に示されるよう
に軸受が嵌合する軸の外径面やハウジングの内径面にぬ
すみ部を設け、そのぬすみ部に接着剤を塗布して、接着
固定するものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】最近、磁気ディスク装
置はますます高密度化が要求され、位置決めの制御帯域
を向上させるために、玉軸受の剛性に起因する主共振の
向上が必要とされている。すなわち、玉軸受の高剛性化
のため、従来は内部仕様を変更（溝Ｒを小さく）した仕
様の軸受を用いて圧入または接着しなければならなかっ
た。このため、仕様の異なる軸受を新たに製作するとい
うコスト高の問題があった。

【０００４】そこで、本発明においては、転がり軸受の
内部仕様を変えることなく高剛性化ができ、しかも低コ
ストのスイングアーム用転がり軸受装置を提供すること
を課題としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のスイングアーム
用転がり軸受装置では、転がり軸受の軌道輪を軸部材及
び他の部材にそれぞれ圧入固定し、軌道輪の少なくとも
一方のはめあい部分の軸方向長さを、該軌道輪の軌道面
と転動体との接触側で、転がり軸受の幅の半分以下の長
さとした。

【０００６】本発明によると、転がり軸受を例えばハウ
ジングに圧入する場合、圧入部分の軸方向長さを短くす
ることにより、外輪又は内輪に作用するしめしろ力によ
って外輪又は内輪が変形する。これにより、軌道面の溝
Ｒが小さくなることにより、高剛性化が図れる。また、
転がり軸受の内輪及び外輪は軸部材及びハウジングにそ
れぞれ圧入固定されているので、接着剤を用いる必要が
ない。そのため、接着剤のアウトガスによる磁気ディス
ク表面への汚染の問題がなくなる。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明によるスイングアーム用転
がり軸受装置では、内輪が軸部材に外輪がハウジングに
それぞれ圧入固定された転がり軸受において、外輪の外
径部の圧入部分を、軌道面と転動体との接触側のみに設
け、その圧入部分の軸方向長さを転がり軸受の幅の半分
以下の長さとしている。これにより、圧入によって外輪
に作用するしめしろ力で外輪が変形し、外輪の軌道面の
溝Ｒが小さくなり、スイングアーム用転がり軸受装置の
高剛性化が図れる。

【０００８】本発明によるスイングアーム用転がり軸受
装置の別の実施形態では、内輪が軸部材に外輪がハウジ
ングにそれぞれ圧入固定された転がり軸受において、内
輪の内径部の圧入部分を、軌道面と転動体との接触側の
みに設け、その圧入部分の軸方向長さを転がり軸受の幅
の半分以下の長さとしている。これにより、圧入によっ
て内輪に作用するしめしろ力で内輪が変形し、内輪の軌
道面の溝Ｒが小さくなり、スイングアーム用転がり軸受
装置の高剛性化が図れる。

【０００９】

【実施例】次に、本発明における装置について具体的に
説明する。図１は、本発明のスイングアーム用転がり軸
受装置の第１実施例を示す断面図である。スイングアー
ム用転がり軸受装置１は、玉軸受２と、軸部材３と、ハ
ウジング４とから構成されている。玉軸受２の軌道輪す
なわち内輪５及び外輪６は、軸部材３及びハウジング４
にそれぞれ圧入固定されている。なお、圧入時のしめし
ろとしては、直径で１μｍ以上１２μｍ以下が好まし
い。１μｍより小さいと動く心配があり、１２μｍをこ
えると軌道輪の変形が大きく、トルク変動の原因とな
る。予圧付与方法は、内輪５を加振しながら圧入し、外
輪６の側で共振周波数を測定しながら予圧制御する、い
わゆる共振圧入方式（共振管理）でもよい。内外輪５、
６とも軸部材３及びハウジング４に圧入固定されている
ため、接着剤によるアウトガスの発生の問題がなくな
る。

【００１０】また、外輪６の外径部に圧入されるハウジ
ング４のはめあい部分４ａの軸方向長さａを、外輪６の
軌道面と玉７との接触側で、玉軸受２の幅Ｌの半分以下
の長さとしている。圧入によるしめしろ力によって外輪
６が変形するため、溝Ｒが小さくなり、高剛性化が図れ
る。

【００１１】なお、玉軸受の予圧変化を防止するため
に、軸部材３とハウジング４は熱膨張係数を等しくする
ことが望ましく、オーステナイト系ステンレス鋼同士、
あるいはフェライト系ステンレス鋼同士、あるいはまた
オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系ステンレ
ス鋼の組合せが好ましい。とくに、フェライト系ステン
レス鋼は耐食性と切削性がよいので、軸部材３とハウジ
ング４の材質に最適である。

【００１２】図２は、本発明のスイングアーム用転がり
軸受装置の第２実施例を示す断面図である。第１実施例
と異なる点は、内輪の内径部のはめあい部分の軸方向長
さを、軌道面と玉との接触側で、玉軸受の幅の半分以下
の長さとしている点である。スイングアーム用転がり軸
受装置１１は、玉軸受１２と、軸部材１３と、ハウジン
グ１４とから構成されている。玉軸受１２の内輪１５及
び外輪１６は、軸部材１３及びハウジング１４にそれぞ
れ圧入固定されている。内外輪１５、１６とも軸部材１
３及びハウジング１４に圧入固定されているため、接着
剤によるアウトガスの発生の問題がなくなる。また、内
輪１５の内径部に圧入される軸部材１３のはめあい部分
１３ａの軸方向長さｂを、内輪１５の軌道面と玉１７と
の接触側で、玉軸受１２の幅Ｌの半分以下の長さとして
いる。圧入によるしめしろ力によって内輪１５が変形す
るため、溝Ｒが小さくなり、高剛性化が図れる。

【００１３】

【発明の効果】本発明は、以上説明したような形態で実
施され、以下に記載されるような効果を奏する。本発明
によると、転がり軸受の軌道輪が軸部材及びハウジング
にそれぞれ圧入固定され、また転がり軸受の軌道輪の少
なくとも一方のはめあい部分の軸方向長さを、軌道面と
玉との接触側で、転がり軸受の幅の半分以下の長さとす
ることにより、転がり軸受の内部仕様を変えることなく
高剛性化ができ、低コスト化が図れる。また、接着剤を
用いずに軌道輪を圧入して固定するので、接着剤による
アウトガスがなくなり、磁気ディスク装置のスイングア
ーム用転がり軸受に最適である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のスイングアーム用転がり軸受装置の第
１実施例を示す断面図。

【図２】本発明のスイングアーム用転がり軸受装置の第
２実施例を示す断面図。

【符号の説明】

１、１１・・・スイングアーム用転がり軸受装置 ２、１２・・・玉軸受 ３、１３・・・軸部材 ４、１４・・・ハウジング ５、１５・・・内輪 ６、１６・・・外輪 ７、１７・・・玉 ４ａ・・・・・はめあい部分 １３ａ・・・・はめあい部分 Ｌ・・・・・・玉軸受の幅 ａ，ｂ・・・・はめあい部分の軸方向長さ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 転がり軸受の軌道輪が軸部材及び他の部
   材にそれぞれ圧入固定されており、前記軌道輪の少なく
   とも一方のはめあい部分の軸方向長さを、該軌道輪の軌
   道面と転動体との接触側で、前記転がり軸受の幅の半分
   以下の長さとしたことを特徴とするスイングアーム用転
   がり軸受装置。