JP2000080473A - 炭素系被膜及びその形成方法 - Google Patents

炭素系被膜及びその形成方法

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JP2000080473A
JP2000080473A JP11128901A JP12890199A JP2000080473A JP 2000080473 A JP2000080473 A JP 2000080473A JP 11128901 A JP11128901 A JP 11128901A JP 12890199 A JP12890199 A JP 12890199A JP 2000080473 A JP2000080473 A JP 2000080473A
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JP11128901A
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Keiichi Kuramoto
慶一 蔵本
Hitoshi Hirano
均 平野
Yoichi Domoto
洋一 堂本
Hisaki Tarui
久樹 樽井
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜中の水素原子が炭素原子と結合すること
で、膜中における炭素原子間の結合の形成を阻害し、膜
硬度,耐摩耗性は大幅に低下するという問題があった。 【解決手段】 本発明の炭素系被膜は、基体上に形成さ
れた被膜中に、He,Ne,Ar,Kr,Xeの希ガス元素のう
ち、少なくとも一種の元素を含有させたことを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば基体上に形
成される炭素系被膜及びその形成方法に関し、特に電気
シェーバー刃、コンプレッサ用部品、印刷用マスク(ス
クリーン)、印刷用スキージの表面改質、薄膜ヘッド、
弾性表面波素子の保護膜、絶縁膜をはじめ、耐摩耗性、
耐食性を必要とする機械、化学、電子部材へ幅広く応用
が可能な炭素系被膜びその形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素系被膜は、機械的特性及び化学的安
定性等に優れているため、コーティング材料等として大
きな期待を集めている。その被膜中に水素を取り込むこ
とによって、炭素系被膜の機械的特性、化学的安定性等
を向上させている場合がある。
【0003】一般的に、炭素系被膜においては膜中の水
素濃度を変化させることで膜特性の制御は可能である
が、膜中の水素濃度が高くなると炭素系被膜の内部応力
は低減され、基体と炭素系被膜との密着性の点では優れ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、膜中の水素
原子は、炭素原子と結合することで炭素原子の結合手を
終端するため、膜中の炭素原子間における結合の形成を
阻害し、膜硬度、耐摩耗性等の機械的特性が低下すると
いう問題があった。
【0005】これに対して本発明者らは、炭素系被膜に
希ガス原子(He,Ne,Ar,Kr,Xe等)を含有させること
により、膜特性(内部応力,硬度,耐摩耗性等)が向上
することを見出した。
【0006】また、炭素系被膜の形成に際し、基体と炭
素系被膜との間に中間層を形成することで密着性が向上
することが知られているが、さらに中間層の材料や形成
方法等を特定することでよりいっそう密着性が向上する
ことを見出した。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の炭素系被膜は、
He,Ne,Ar,Kr,Xeから選ばれる少なくとも一種の原子
を被膜中に含有させたことを特徴とする。
【0008】前記炭素系被膜中の前記少なくとも一種の
原子含有濃度が5〜300ppmであることを特徴とする。
【0009】前記炭素系被膜が非晶質炭素系被膜である
ことを特徴とする。
【0010】前記炭素系被膜の少なくとも一部に結晶領
域を含むことを特徴とする。
【0011】前記炭素系被膜にSi,N,Ta,Ge,Cr,F,
B,Ti,W,Mo,Ru及びoから選ばれる少なくとも一種の
原子が含有されていることを特徴とする。
【0012】前記炭素系被膜と基体との間に、中間層が
形成されていることを特徴とする。
【0013】前記中間層がSi,Ti,Zr,Ge,Ru,Mo,W
の少なくとも1つあるいはこれらの混合物、または、こ
れらの単体あるいは混合物の酸化物、窒化物、もしくは
炭化物であることを特徴とする。
【0014】中間層上に形成される炭素系被膜原子のう
ち少なくとも一種類の原子を前記中間層に混入してお
り、その原子が前記基体側から前記被膜側に向かって多
くなっていることを特徴とする。
【0015】中間層膜が非晶質であることを特徴とす
る。
【0016】中間層膜中に含まれる水素濃度が30%以下
であることを特徴とする。
【0017】また、He,Ne,Ar,Kr,Xeから選ばれる少
なくとも一種の希ガスと炭化水素ガスとを用いてプラズ
マCVD法により炭素系被膜を基体上に形成する炭素系
被膜の形成方法において、前記被膜成膜時の基体の温度
を100℃以下に維持することを特徴とする。
【0018】前記基体に負の電圧を印加することを特徴
とする。
【0019】前記炭素系被膜と前記基体の間に中間層を
形成する際に、前記中間層の形成時に基体に負の電圧を
基体に印加することを特徴とする。
【0020】前記中間層がスパッタ法により形成されて
いることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図5に従って本発
明の実施の形態を説明する。
【0022】図1は、本発明の炭素系被膜を形成する製
造装置の概略構成図である。同図に示すように、真空チ
ャンバー(7)の内部に、プラズマ発生室(4)と、基体(8)
が設置されるべき反応室(13)とが形成され、プラズマ発
生室(4)には、導波管(2)を介してマイクロ波発生装置
(1)が接続されている。
【0023】前記導波管(2)とプラズマ発生室(4)の接続
部にはマイクロ波導入窓(3)が設けられ、プラズマ発生
室(4)にはプラズマ発生室(4)にArガス等の希ガスを導入
するためのガス導入管(5)が接続されている。
【0024】また、プラズマ発生室(4)を包囲してプラ
ズマ磁界発生装置(6)が設けられ、真空チャンバー(7)内
の反応室(13)には、基体ホルダ(9)が設置されると共
に、CH4ガス等の炭化水素系ガスからなる材料ガス(反
応ガス)を導入するためのガス導入管(11)が接続されて
いる。また、基体ホルダ(9)には高周波電源(10)が接続
され、さらに基体温度制御手段(12)が設けられている。
【0025】炭素系被膜中への希ガス原子の混入は、例
えば炭化水素系ガスを材料に用いたプラズマCVD法に
おける膜形成プロセスにおいて、材料ガスに希ガスを混
合してガス導入管(11)から反応室(13)へ供給することに
より行われる。このとき、後で詳述するように、材料ガ
スへ混合する希ガスの混合量を大きくすることによっ
て、膜中における希ガス原子の含有濃度は大きくするこ
とができ、炭素系被膜の形成時の基体温度を制御するこ
とにより、その希ガス原子の膜中濃度をより良く制御す
ることが可能である。
【0026】即ち、基体温度を低く維持することによっ
て、希ガス原子の膜中濃度を大きくすることができ、一
方基体温度を高く維持することによって、希ガス原子の
膜中濃度を小さくすることができる。
【0027】以下、前述の装置を用いて、実施例1乃至
実施例5について説明する。 <実施例1> [希ガス原子を含有した水素化非晶質炭素系被膜の形
成]先ず、基体ホルダ(9)上に基体(8)を取り付け、真空
チャンバー(7)の内部を10- 5〜10-7Torrに排気する。次
に、ガス導入管(5)からArガスを供給すると共に、マイ
クロ波発生装置(1)から2.45GHz、100Wのマイクロ波を供
給して、プラズマ発生室(4)内に形成されたプラズマを
基体(8)表面に放射する。
【0028】ガス導入管(11)からはCH4ガスを100sccmの
一定量で供給し、そのガス導入管(11)から供給されたAr
ガスは、プラズマの作用により活性化され、反応性の高
いイオン、又は中性の活性状態となって、基体(8)の表
面へ放射される。
【0029】また、これと同時に基体に発生する自己バ
イアス電圧が-50Vになるように高周波電源(10)から周波
数が13.56MHzの高周波電力を投入する。
【0030】さらに、基体温度制御手段(12)により、基
体の温度を100℃以下に保つように制御する。基体温度
を100℃以下に保つように制御するのは、基体温度が100
℃以上では膜中への十分なAr原子の混入量が得られない
からである。
【0031】以上の工程により、Si基体上に膜厚約4000
Åの水素化非晶質炭素系被膜が得られた。
【0032】次に、図2は前記の工程によって炭素系被
膜を形成する場合におけるArガス流量と膜中Ar原子濃度
との関係を示す図である。
【0033】尚、膜中のAr原子濃度は、炭素系被膜中へ
の希ガス原子イオンのイオン注入等で作製された既知の
希ガス原子濃度を有する標準サンプルにより校正された
二次イオン質量分析法質量分析法(SIMS:一次イオンを
サンプルに照射、エッチングを行いながら、表面からス
パッタされる二次イオンの質量分析を行うことで、濃度
分布の測定を行う方法)等により測定が可能である。
【0034】図2から、ガス導入管(11)からArガスを導
入する際に、そのArガスの流量によって炭素系被膜中の
Ar原子濃度の制御が可能であることが分かる。
【0035】尚、この例においては、添加原子として、
H(水素)がCH4ガスの分解物として含まれている。
【0036】一方、図3は前記に示す工程によって炭素
系被膜を形成する場合における炭素系被膜中のAr原子濃
度と炭素系被膜の硬度、応力の関係を示す図である。図
3においては、添加原子として、20重量%のHがCH4ガス
の分解物として含まれているが、10〜30重量%のHがCH4
ガスの分解物として含まれている場合においても図3と
同様な傾向が確認できた。
【0037】また、添加原子として、H以外にも[Si,
N,Ta,Ge,Cr,F,B,Ti,W,Mo,Ru及びo]の内のい
ずれかを採用することにより、Hと同様な効果を得るこ
とが実験により確認できた。
【0038】前記図3から、炭素系被膜中のAr原子濃度
の増加に伴って、炭素系被膜の硬度が約18%増加させる
ことができ、しかもその炭素系被膜の内部応力の増加は
8%以下に抑制できることが分かる。
【0039】さらに、図4は本実施例の炭素系被膜中の
Ar原子濃度と摺動試験(500gの荷重をかけたアルミナボ
ールで膜表面を摺動)による摩耗深さとの関係を示す図
である。同図では、炭素系被膜中のAr原子濃度が0ppmの
時の摩耗深さを1.0として正規化した結果を表わしてい
る。
【0040】この図から、炭素系被膜中のAr原子濃度が
5〜300ppmで摩耗深さが小さく、即ち耐摩耗性が良好に
なることが分かる。但し、Ar原子濃度が300ppm以上で摺
動により基体から炭素系被膜が剥離することが分かっ
た。従って、炭素系被膜中のAr原子含有濃度は5〜300pp
mであることが好ましく、更に好ましいのは10〜100ppm
と判断した。 <実施例2> [結晶性を有する炭素系被膜被膜の形成後におけるイオ
ン注入による希ガス元素の混入]前記図1の装置を用い
て、反応ガスとしてCH4を1sccm、また、希ガスとしてAr
ガスの代わりにH2ガスを100sccmとし、被膜形成時の基
体温度を500℃とすることで膜厚約2000Åの結晶性を有
する炭素系被膜をまず基体(8)上に形成する。
【0041】尚、この実施の形態では前記したような
「Si,N,Ta,Ge,Cr,F,B,Ti,W,Mo,Ru及びOから
選ばれる少なくとも一種の添加原子」は含有させていな
い。
【0042】次にイオン注入装置により加速電圧200KV
でKrイオンを被膜に注入するべく、真空装置内の基体ホ
ルダに炭素系被膜を設置する。
【0043】尚、基体ホルダは100℃以下を保つように
水冷されており、イオン源にKrガスを導入することでKr
イオンを生成し、加速電圧200KVにて炭素系被膜表面よ
りKrイオンを注入することでKr原子を膜中に混入させ
る。またイオン注入量は1×1011atoms/cm2・sに固定
し、イオン注入時間を変化させて、炭素被膜表面近傍
(表面から深さ1μm以内)に混入するKr原子濃度を制
御した。
【0044】図5は、本実施例に係る炭素系被膜の表面
近傍のKr原子濃度と摺動試験(1000gの荷重をかけたア
ルミナボールで膜表面を摺動)による摩耗深さとの関係
を示す図である。同図は、炭素系被膜の表面近傍のKr原
子濃度が0ppmの時の摩耗深さを1.0として正規化した結
果を表わしている。
【0045】この図から、炭素系被膜中のKr原子濃度が
4〜500ppmで摩耗深さが小さく、即ち耐摩耗性が良好に
なることが分かる。従って、炭素系被膜中のKrガス含有
濃度は4〜500ppmであることが好ましく、更に好ましい
のは10〜300ppmと判断した。
【0046】前述の如く、前記図5では膜中のKr濃度の
実用的な下限値は4ppmであるが、図4において膜中のAr
濃度が4ppmだと摩耗深さが大きい(前述の如く膜中のAr
濃度が5ppmが下限である)。このため、膜中の希ガス原
子濃度の下限は5ppmと判断した。
【0047】また、前述の如く、前記図5では膜中のKr
濃度の実用的な上限値は500ppmであるが、図4において
膜中のAr濃度が4ppmだと剥離が発生する(前述の如く膜
中のAr濃度が300ppmが上限である)。このため、膜中の
希ガス原子濃度の上限は300ppmと判断した。
【0048】以上より、膜中の希ガス原子濃度は5ppm〜
300ppmが良好であると結論付けた。
【0049】尚、炭素系被膜中に含有する希ガス原子の
種類としてはHe,Ne,Ar,Kr,Xeの何れでも同様の効果
が得られることを実験により確認している。
【0050】本発明の炭素系被膜は、Ar等の希ガス原子
を炭素被膜中に含有させることで硬度、耐摩耗性の向上
を実現しているが、それに伴って被膜の内部応力が増加
し、密着性の低下を引き起こすことがある。そこで、さ
らに接着層として基体と炭素系被膜の間に中間層を形成
することが密着性の向上に有効であることがわかった。
【0051】以下、この中間層を形成した例について詳
述する。 <実施例3> [SUS基体上にスパッタで形成したSi薄膜の中間層上に
炭素系被膜を形成]先ず、チャンバー内にArガスを約1
×10-3Torr導入し、SUS基体(8)と対向させて設置されて
いる図示しないSiターゲットに、高周波電源を接続し、
高周波電力を印加することで、Siターゲットをスパッタ
し、SUS基体(8)上に膜厚約300ÅのSi中間層を形成し
た。このとき、基体(8)に高周波電源10より高周波電力
を印加してバイアス電圧を印加するが、印可するバイア
ス電圧を-20V,-50V,-100Vに変えて計4種類のサンプ
ルを作成した。
【0052】その後、各サンプルに対して、ガス導入管
(5)からArガスを200sccmの一定量で供給し、且つガス導
入管(11)からCH4ガスを100sccmの一定量で供給すると共
に、マイクロ波発生装置(1)から2.45GHz、100Wのマイク
ロ波を供給して、プラズマ発生室(4)内に形成されたプ
ラズマを基体(8)表面に放射する。
【0053】そして、これと同時に基体(8)に発生する
自己バイアス電圧が-50Vになるように、高周波電源(10)
から周波数が13.56MHzの高周波電力を投入する。さら
に、基体温度制御手段(12)により、基体温度を100℃以
下に保つように制御する。
【0054】以上の工程により、膜厚約4000Åの炭素系
被膜を形成した。このとき、膜硬度約3500Hvの炭素系被
膜が得られた。このときの被膜の内部応力は約7GPaであ
った。
【0055】これらのサンプルに対して、ビッカース圧
子を荷重2Kgで押し込み、膜の剥離数より密着性を評価
した(評価数:50、比較例として中間層なしのものも評
価した)。
【0056】
【表1】
【0057】表において、中間層を設けなかったものは
全て剥離してしまったが、バイアス電圧を-20Vとしたも
のは剥離数が10個程度であり、十分実用的なレベルであ
った。この結果から、-20Vのように0Vを下回るバイアス
電圧、即ち、負のバイアス電圧が有効であると判断し
た。
【0058】この表より、中間層形成によって、内部応
力が高い本炭素系被膜であっても、SUS基体の上に形成
可能であると同時に、負のバイアス電圧を印加すること
で、密着性がより向上することがわかる。
【0059】さらに、これらのSi中間層をSIMS分析によ
り膜中水素濃度を測定したところ、1%以下であることを
確認した。また、X線回折分析により、その結晶性につ
いて評価したところ、非晶質であることも確認できた。 <実施例4> [プラズマCVD法で形成したガラス基体上のSi薄膜の
中間層上に炭素系被膜を形成]先ず、ガラス基体(8)上
にプラズマCVD法(SiH4ガスを高周波グロープラズマ
で分解・堆積)により非晶質のSi薄膜の中間層を形成し
た。このとき、基体ホルダには-50Vの電圧を印加すると
同時に、高周波電力あるいは基体温度を制御すること
で、Si薄膜中の水素濃度が夫々約25%、約30%、約35%と
なるようなサンプルを計3種類作成した。
【0060】さらに、この各サンプルに対して、上記と
同様に中間層のSi薄膜上に膜厚約4000Åの炭素系被膜を
形成した。そして、これらのサンプルについて、ビッカ
ース圧子を荷重1Kgで押し込み、膜の剥離数より密着性
を評価した(評価数:50)。
【0061】
【表2】
【0062】表において、中間層中の水素濃度が約30%
のものは剥離数が10個程度であり、、十分実用的なレベ
ルであった。この表から、膜中の水素濃度が高くなるほ
ど、密着性が低下することがわかり、有益な中間層中の
水素濃度としては、30%以下、好ましくは25%以下である
と判断した。 <実施例5> [Fe系合金基体上に形成したTi薄膜の中間層上に炭素系
被膜を形成]先ず、チャンバー内にArガスを約1×10-3T
orr導入し、Fe合金基体(8)と対向させて設置されている
図示しないTiターゲットに、高周波電源を接続し、高周
波電力400Wを印加する。
【0063】そして、Arガスの流量を一定に保持した状
態で、CH4ガスを流量0の状態から漸次増加するよう導入
する(ガス分圧で0〜約1×10-3Torr(分圧)まで増加:
5分間)。また、基板には高周波電源より高周波電力を
印加し、成膜開始時から成膜終了時まで-50Vのバイアス
電圧を印加する。尚、成膜時間は約5分間である。こう
してFe合金基体上に膜厚約500ÅのTi被膜の中間層が形
成された。
【0064】こうして形成された中間層をSIMS分析を用
いて中間層中の炭素濃度分布を測定した結果、表面から
基体側に向かって膜厚方向に炭素濃度が約15%から約0%
に変化していることを確認した。
【0065】その後、中間層上に膜厚約4000Åの炭素系
被膜を形成し、ビッカース圧子の荷重を200g〜2Kgと変
化させて、膜の剥離の有無について評価した(比較サン
プル:中間層無しのものと、中間層中に炭素濃度が傾斜
していないもの、〇は剥離なし、×は剥離を示す)。
【0066】
【表3】
【0067】この表より、Ti薄膜の中間層を有するもの
は十分な密着性を有していることがわかるが、特に炭素
濃度が傾斜しているものはより密着性が高いことが確認
できた。
【0068】尚、上記の各実施例において、成膜時にお
いて基体に対して印加する負のバイアス電圧は、直流電
圧でも同様の効果を得ることができる。
【0069】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に依れば、炭素系被膜中に希ガス原子を混入させること
によって、希ガス原子は膜中の炭素原子と結合しないた
め、硬度、耐摩耗性において重要な膜中の炭素原子間の
結合の形成を阻害することはなく、また膜中の希ガス原
子は膜中の炭素原子の移動を阻害するため、硬度,耐摩
耗性が上昇する効果を奏する。
【0070】そして、希ガス原子は反応性が低いため、
炭素系薄膜の機械的、電気的、化学的、光学的特性を制
御するために膜中に添加されるSi,N,Ta,Ge,Cr,F,
B,O ,Ti,W,Mo,Ru等の原子とは化合しないため、
斯かる原子を添加した炭素系被膜に対しても、該原子の
添加により招来される効果(硬度、耐摩耗性の向上)を
阻害することなく、本発明における希ガス原子含有の効
果が同様に得られる。
【0071】また、基体と炭素系被膜の間に中間層を形
成することで、炭素系被膜の基体に対する十分な密着性
が得られる。
【0072】さらに、成膜時の基体の温度を100℃以下
に維持することで、炭素系被膜中に含まれる希ガス原子
濃度が増加し、炭素系被膜の硬度を向上させつつ、しか
もその炭素系被膜の内部応力の増加を低く抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る炭素系被膜を形成するための装置
の概略構成図である。
【図2】本発明に係る炭素系被膜を形成する場合のAr流
量と炭素系被膜中のAr濃度との関係を示す図である。
【図3】本発明に係る炭素系被膜を形成する場合のその
被膜中Ar濃度と硬度,応力の関係を示す図である。
【図4】本発明に係る炭素系被膜中のAr濃度と摺動試験
(500gの荷重をかけたアルミナボールで膜表面を摺動)に
よる摩耗深さとの関係を示す図である。
【図5】本発明に係る炭素系被膜中のKr濃度と摺動試験
(1000gの荷重をかけたアルミナボールで膜表面を摺動)
による摩耗深さとの関係を示す図である。
【符号の説明】
1 マイクロ波発生装置 2 導波管 3 マイクロ波導入窓 4 プラズマ発生室 5 ガス導入管 6 プラズマ磁界発生装置 7 真空チャンバー 8 基体 9 基体ホルダ 10 高周波電源 11 ガス導入管 12 基体温度制御手段 13 反応室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 堂本 洋一 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 樽井 久樹 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 He,Ne,Ar,Kr,Xeから選ばれる少なく
    とも一種の原子を被膜中に含有させたことを特徴とする
    炭素系被膜。
  2. 【請求項2】 前記炭素系被膜中の前記少なくとも一種
    の原子含有濃度が5〜300ppmであることを特徴とする請
    求項1記載の炭素系被膜。
  3. 【請求項3】 前記炭素系被膜が非晶質炭素系被膜であ
    ることを特徴とする請求項2記載の炭素系被膜。
  4. 【請求項4】 前記炭素系被膜の少なくとも一部に結晶
    領域を含むことを特徴とする請求項3記載の炭素系被
    膜。
  5. 【請求項5】 前記炭素系被膜にSi,N,Ta,Ge,Cr,
    F,B,Ti,W,Mo,Ru及びoから選ばれる少なくとも一
    種の原子が含有されていることを特徴とする請求項1乃
    至請求項4記載の炭素系被膜。
  6. 【請求項6】 前記炭素系被膜と基体との間に、中間層
    が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項
    5記載の炭素系被膜。
  7. 【請求項7】 前記中間層がSi,Ti,Zr,Ge,Ru,Mo,
    Wの少なくとも1つあるいはこれらの混合物、または、
    これらの単体あるいは混合物の酸化物、窒化物、もしく
    は炭化物であることを特徴とする請求項1乃至請求項6
    記載の炭素系被膜。
  8. 【請求項8】 中間層上に形成される炭素系被膜原子の
    うち少なくとも一種類の原子を前記中間層に混入してお
    り、その原子が前記基体側から前記被膜側に向かって多
    くなっていることを特徴とする請求項1乃至請求項7記
    載の炭素系被膜。
  9. 【請求項9】 中間層膜が非晶質であることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項9記載の炭素系被膜。
  10. 【請求項10】 中間層膜中に含まれる水素濃度が30%
    以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項9記載
    の炭素系被膜。
  11. 【請求項11】 He,Ne,Ar,Kr,Xeから選ばれる少な
    くとも一種の希ガスと炭化水素ガスとを用いてプラズマ
    CVD法により炭素系被膜を基体上に形成する炭素系被
    膜の形成方法において、前記被膜成膜時の基体の温度を
    100℃以下に維持することを特徴とする炭素系被膜の形
    成方法。
  12. 【請求項12】 前記基体に負の電圧を印加することを
    特徴とする請求項11記載の炭素系被膜の形成方法。
  13. 【請求項13】 前記炭素系被膜と前記基体の間に中間
    層を形成する際に、前記中間層の形成時に基体に負の電
    圧を基体に印加することを特徴とする請求項11あるい
    は請求項12記載の炭素系被膜の形成方法。
  14. 【請求項14】 前記中間層がスパッタ法により形成さ
    れていることを特徴とする請求項11乃至請求項13記
    載の炭素系被膜の形成方法。
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