JP2000079670A - 積層シ―ト - Google Patents

積層シ―ト

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JP2000079670A
JP2000079670A JP11129076A JP12907699A JP2000079670A JP 2000079670 A JP2000079670 A JP 2000079670A JP 11129076 A JP11129076 A JP 11129076A JP 12907699 A JP12907699 A JP 12907699A JP 2000079670 A JP2000079670 A JP 2000079670A
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JP
Japan
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sheet
weight
resin
crosslinked foamed
olefin
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JP11129076A
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English (en)
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Kazuo Yamagata
一雄 山形
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、シボ保持性及び成形性に優れてい
るとともに寸法安定性に優れ、得られる成形品は熱安定
性に優れている積層シートを提供する。 【解決手段】 本発明の積層シートは、プロピレン系樹
脂及びエチレン系樹脂からなる架橋発泡シートの両面
に、無機繊維シート及びオレフィン系樹脂層がこの順序
で積層一体化されており、上記オレフィン系樹脂層のう
ちの少なくとも一つのオレフィン系樹脂層には無機充填
材が含有されていることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用内装材等
に使用される積層シートに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用内装材、特に、自動車用天井材
には、軽量性、成形性、耐熱性、耐たわみ性等の性能が
要求される。これら、要求性能を満たすものとして、特
公平4−9137号公報には、エチレン系重合体とプロ
ピレン系重合体よりなる架橋発泡シートの両面に非発泡
プロピレン系重合体シートが積層されてなる積層シート
が開示されており、又、特公平6−24767号公報に
は、プロピレン系重合体とエチレン重合体からなる2枚
の架橋発泡シートのそれぞれの片面に、プロピレン系重
合体からなる非発泡の表皮層を積層し、得られた積層体
の架橋発泡シート同士を熔融、圧着し、一体化する自動
車用内装材の製造方法が開示されている。
【0003】しかしながら、上記積層シート及び自動車
用内装材は、高温における強度が不足していることか
ら、成形加熱時にその中央部が下方に垂れ下がる、所謂
ドローダウンを生じることがあり、そのために得られる
成形品の表面に皺等が発現し、表面性に優れた成形品を
満足に得ることができないといった問題があった。
【0004】又、上記ドローダウンを防止するために成
形温度を下げると、加熱が不十分であることから成形品
に成形歪みが残存し、得られる成形品は熱安定性に劣る
といった問題があった。
【0005】更に、オレフィン系樹脂は線膨張係数が大
きいことから、上記積層シート及び自動車内装材は高温
域と低温域との寸法差が著しく、寸法安定性に欠けると
いった問題点もあった。
【0006】このような問題点を解決するために、特公
平3−52342号公報には、スチレン系樹脂発泡シー
トを芯材とし、この両面に有機繊維不織布に無機繊維と
スチレン系樹脂エマルジョンを含浸して得た樹脂強化シ
ートを積層した積層体が提案されているものの、この積
層体は芯材にスチレン系樹脂発泡シートを用いているこ
とからリサイクル性に欠け、今日問題となっている環境
性の観点から好ましくない。
【0007】更に、成形品の熱安定性の向上を目的とし
て、特開平7−1628号公報には、芯材にゲル分率が
5〜20重量%の熱可塑性樹脂発泡シートに、表面材が
熱可塑性樹脂フィルムとガラスペーパーとの複合シート
からなる積層複合体が提案されているが、この積層複合
体に用いられている芯材はゲル分率が5〜20重量%と
低い範囲内に抑えられていることから、高温における強
度に欠けるといった問題点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、シボ保持性
及び成形性に優れているとともに寸法安定性に優れ、得
られる成形品は熱安定性に優れている積層シートを提供
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の積層シートは、
プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂からなる架橋発泡
シートの両面に、無機繊維シート及びオレフィン系樹脂
層がこの順序で積層一体化されており、上記オレフィン
系樹脂層のうちの少なくとも一つのオレフィン系樹脂層
には無機充填材が含有されていることを特徴とする。
【0010】上記架橋発泡シートを構成するプロピレン
系樹脂(以下、「プロピレン系樹脂(A)」という)
は、プロピレンを主成分とする他のモノマーとの共重合
体又はホモポリプロピレンである。
【0011】上記プロピレンを主成分とする他のモノマ
ーとの共重合体としては、例えば、プロピレン−α−オ
レフィン共重合体が挙げられ、プロピレン−α−オレフ
ィン共重合体は、ブロック共重合体、ランダム共重合体
又はランダムブロック共重合体のいずれであってもよ
く、これらは、単独で用いられても併用されてもよい。
【0012】なお、上記α−オレフィンとしては、例え
ば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オ
クテン等が挙げられ、プロピレン−α−オレフィン共重
合体中のα−オレフィンの含有量は、多いと、架橋発泡
シートの表面性が低下することがあり、又、少ないと、
架橋発泡シートの柔軟性及び伸びが低下して成形性が低
下することがあるので、1〜8重量%が好ましく、2〜
5重量%がより好ましい。
【0013】又、上記プロピレン系樹脂(A)のメルト
インデックス(以下、「MI」という)は、大きいと、
架橋発泡シートの耐熱性が低下することがあり、又、小
さいと、架橋発泡シートの成形性が低下するとともに、
得られる成形品の表面性も低下することがあるので、
0.2〜10g/10分が好ましい。なお、本発明にお
いて、プロピレン系樹脂のMIとは、JIS K721
0に基づき、温度230℃、荷重2.16kgfの条件
下で測定されたものをいう。
【0014】更に、上記プロピレン系樹脂(A)のクロ
ス分別法による94℃以上での溶出量は、多いと、架橋
発泡シートの成形性が低下するとともに、得られる成形
品の表面性も低下することがあり、又、少ないと、架橋
発泡シートの耐熱性が低下し、成形時に気泡破れ等が生
じることがあるので、50〜95重量%が好ましく、6
0〜90重量%がより好ましい。そして、クロス分別法
による94℃以上での溶出分の重量平均分子量は、大き
いと、架橋発泡シートの成形性が低下するとともに、得
られる成形品の表面性も低下することがあり、又、小さ
いと、架橋発泡シートの耐熱性が低下し、成形時に気泡
破れが生じることがあるので、2×10 5 〜10×10
5 が好ましい。
【0015】即ち、上記プロピレン系樹脂(A)として
は、MIが0.2〜10g/10分、クロス分別法によ
る94℃以上での溶出量が50〜95重量%及び該溶出
分の重量平均分子量2×105 〜10×105 であるプ
ロピレン−α−オレフィン共重合体が更に好ましい。
【0016】なお、本発明でいうクロス分別法による溶
出量及び該溶出分の重量平均分子量は、下記に示した方
法によって測定されたものをいう。即ち、先ず、樹脂を
140℃或いは樹脂が完全に溶解する温度のo−ジクロ
ロベンゼンに溶解させた後、一定温度で冷却し、予め用
意しておいた不活性担体の表面に、結晶性の高い順に薄
いポリマー層として生成させる。次に、連続的又は段階
的に昇温し、溶出した成分の温度を順次検出し、組成分
布(結晶性分布)を測定する。これを温度上昇溶離分別
という。同時に、溶出した成分を高温型GPCにより分
析して、分子量と分子量分布を測定する。これにより、
各温度での溶出量及び該溶出分の重量平均分子量を算出
する。本発明では、上述した温度上昇溶離分別部分と高
温型GPC部分の両方をシステムとして備えているクロ
ス分別クロマトグラフ装置(三菱化学社製 商品名「C
FC−T150A型」)を使用して測定した。
【0017】上記架橋発泡シートを構成するエチレン系
樹脂(以下、「エチレン系樹脂(A)」という)として
は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレ
ン、高密度ポリエチレン等のホモポリエチレン、エチレ
ンを主成分とする他のモノマーとの共重合体等が挙げら
れる。
【0018】上記エチレンを主成分とする他のモノマー
との共重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフ
ィン共重合体が挙げられ、これらは、単独で用いられて
も併用されてもよい。
【0019】なお、上記α−オレフィンとしては、例え
ば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−
オクテン等が挙げられ、エチレン−α−オレフィン共重
合体中のエチレンの含有量は、少ないと、架橋発泡シー
トの耐熱性が低下することがあるので、60重量%以上
が好ましく、80重量%以上がより好ましい。
【0020】又、上記エチレン系樹脂(A)のMIは、
大きいと、架橋発泡シートの耐熱性が低下するととも
に、得られる成形品の表面性も低下することがあり、
又、小さくなると、樹脂成分の流動性が低下して架橋発
泡シートの生産性が低下することがあるので、0.5〜
10g/10分が好ましく、0.7〜4g/10分がよ
り好ましく、0.9〜3g/10分が特に好ましい。な
お、本発明において、エチレン系樹脂のMIとは、JI
S K7210に基づき、温度190℃、荷重2.16
kgfの条件下で測定されたものをいう。
【0021】更に、上記エチレン系樹脂(A)のクロス
分別法による94℃以上での溶出量は、多いと、架橋発
泡シートの圧縮歪みに対する回復性が低下することがあ
り、又、少ないと、架橋発泡シートの耐熱性が低下する
とともに、得られる成形品の表面性が低下することがあ
るので、5〜20重量%が好ましく、6〜10重量%が
より好ましい。そして、クロス分別法による94℃以上
での溶出分の重量平均分子量は、大きいと、架橋発泡シ
ートの圧縮歪みに対する回復性が低下することがあり、
又、小さいと、架橋発泡シートの耐熱性が低下するとと
もに、得られる成形品の表面性が低下することがあるの
で、1.5×105 〜10×105 が好ましく、2×1
5 〜5×105 がより好ましい。
【0022】即ち、上記エチレン系樹脂(A)として
は、MIが0.5〜10g/10分、クロス分別法によ
る94℃以上での溶出量が5〜20重量%及び該溶出分
の重量平均分子量が1.5×105 〜10×105 であ
るエチレン−α−オレフィン共重合体が最も好ましい。
【0023】上記架橋発泡シートは上記プロピレン系樹
脂(A)及びエチレン系樹脂(A)とからなり、プロピ
レン系樹脂(A)の含有量は、多いと、架橋発泡シート
の柔軟性及び圧縮歪みに対する回復性が低下することが
あり、又、少ないと、架橋発泡シートの耐熱性が低下す
るので、50〜90重量%が好ましく、55〜85重量
%がより好ましい。このときの上記エチレン系樹脂
(A)の含有量は、50〜10重量%が好ましく、45
〜15重量%がより好ましい。
【0024】又、プロピレン系樹脂(A)とエチレン系
樹脂(A)の組み合わせとしては、プロピレン系樹脂
(A)として、MIが0.2〜10g/10分、クロス
分別法による94℃以上での溶出量が50〜95重量%
及び該溶出分の重量平均分子量が2×105 〜10×1
5 であるプロピレン−α−オレフィン共重合体を用
い、エチレン系樹脂(A)として、MIが0.5〜10
g/10分、クロス分別法による94℃以上での溶出量
が5〜20重量%、該溶出分の重量平均分子量が1.5
×105 〜10×105 であるエチレン−α−オレフィ
ン共重合体を用いるのが好ましい。
【0025】上記架橋発泡シートを構成する樹脂とし
て、上記プロピレン系樹脂(A)及び上記エチレン系樹
脂(A)の他に、エチレン−プロピレンゴム、スチレン
−イソプレン−スチレンゴム(SIS)、スチレン−エ
チレン−ブタジエン−スチレンゴム(SEBS)等を架
橋発泡シートの物性を損なわない範囲内で添加してもよ
い。
【0026】次に、架橋発泡シートの製造方法を説明す
る。架橋発泡シートの製造方法としては、任意の公知の
発泡体の製造方法を用いることができるが、熱分解型発
泡剤を用いて発泡させるのが好ましい。
【0027】このように熱分解型発泡剤を用いて発泡さ
せる発泡方法を用いると、発泡体に架橋構造を付与して
高発泡倍率のものを得ることができ、得られる架橋発泡
シートは軽量性に優れたものとなり好適である。
【0028】上記架橋発泡シートの製造方法としては、
例えば、上記プロピレン系樹脂(A)とエチレン系樹脂
(A)と熱分解型発泡剤とからなる発泡性樹脂組成物
に、必要に応じて架橋助剤を添加した上で、この発泡性
樹脂組成物を押出機に供給して溶融混練して発泡性樹脂
成形体を押出し、この得られた発泡性樹脂成形体に電離
性放射線を所定量照射して発泡性樹脂成形体に架橋構造
を付与した後、この架橋された発泡性樹脂成形体を上記
熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して架橋発泡シー
トを製造する方法、上記プロピレン系樹脂(A)とエチ
レン系樹脂(A)と熱分解型発泡剤とからなる発泡性樹
脂組成物に、架橋剤及び必要に応じて架橋助剤を添加し
た上で、この発泡性樹脂組成物を押出機に供給して溶融
混練して発泡性樹脂成形体を押出し、この得られた発泡
性樹脂成形体を押出しと同時に加熱ロール等によって上
記熱分解型発泡剤の分解温度以上に加熱して架橋発泡シ
ートを製造する方法等が挙げられる。
【0029】上記発泡性樹脂組成物を押出機に供給して
溶融混練する際、該発泡性樹脂組成物の溶融粘度が大き
いと、一次発泡が発生して、得られる架橋発泡シートの
表面性が低下したり、或いは、その後の発泡において所
望発泡倍率が得られなかったりすることがあるので、上
記発泡性樹脂組成物の溶融粘度が10,000ポイズ以
下となるように調整するのが好ましい。
【0030】上記熱分解型発泡剤としては、従来から発
泡体製造に用いられているものであれば特に限定され
ず、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタ
メチレンテトラミン、ヒドラドジカルボンアミド、アゾ
ジカルボン酸バリウム塩、ニトロソグアニジン、p,p
, −オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、ベ
ンゼンスルホニルヒドラジド、N,N, −ジニトロソペ
ンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジ
ド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジ
ド)、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0031】上記熱分解型発泡剤の添加量は適宜調節さ
れるが、多いと破泡することがあり、又、少ないと、発
泡しないことがあるので、上記プロピレン系樹脂(A)
及び上記エチレン系樹脂(A)の総量100重量部に対
して、1〜50重量部が好ましく、1〜30重量部が更
に好ましい。
【0032】上記架橋助剤としては、特に限定されず、
例えば、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパント
リメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリ
レート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、
トリメリット酸トリアリルエステル、トリアリルイソシ
アヌレート、エチルビニルベンゼン、ネオペンチルグリ
コールジメタクリレート、1,2,4−ベンゼントリカ
ルボン酸トリアリルエステル、1,6−ヘキサンジオー
ルジメタクリレート等が挙げられる。
【0033】上記架橋助剤の添加量は適宜調整される
が、多いと、発泡性樹脂成形体の架橋が進み過ぎ発泡を
阻害することがあり、又、少ないと、添加した効果が得
られないので、上記プロピレン系樹脂(A)及び上記エ
チレン系樹脂(A)の総量100重量部に対して、0.
5〜30重量部が好ましく、2.0〜15重量部がより
好ましい。
【0034】上記架橋剤としては、特に限定されず、例
えば、イソブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサ
イド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパー
オキシ)ヘキサン−3、1,3−ビス(t−ブチルパー
オキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパー
オキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチ
ルパーオキシベンゾエート、シクロヘキサンパーオキサ
イド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘ
キサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(t
−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−
ビス(t−ブチルパーオキシ)ベルレート、ベンゾイル
パーオキサイド、クミルパーオキシネオデカネート、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルオパーオキ
シ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカー
ボネート、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート、
t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−
ブチルパーオキシ)ブタン、ジ−t−ブチルパーオキシ
イソフタレート、t−ブチルパーオキシマレイン酸等が
挙げられる。
【0035】上記架橋剤の添加量は、多いと、架橋密度
が高くなりすぎて発泡しないことがあり、又、少ない
と、架橋密度が不足し発泡に必要な剪断粘度が得られな
いことがあるので、上記プロピレン系樹脂(A)及び上
記エチレン系樹脂(A)の総量100重量部に対して、
0.1〜10重量部が好ましい。
【0036】なお、上記架橋剤及び架橋助剤の添加量の
目安としてゲル分率が挙げられ、得られる架橋発泡シー
トのゲル分率が好ましくは20〜75重量%、より好ま
しくは、30〜65重量%となるように架橋助剤の添加
量を調整すればよい。
【0037】ここで、本発明においてゲル分率とは、架
橋発泡シートをAg秤量し、これを120℃のキシレン
中に24時間浸漬し、残差を200メッシュの金網で濾
過し、金網上の不溶解分を真空乾燥し、その時の重量を
測定し(Bg)、下記式により算出されたものである。 ゲル分率(重量%)=100×B/A
【0038】上記電離性放射線としては、従来から発泡
性樹脂成形体の架橋に用いられているものであれば、特
に限定されず、例えば、α線、β線、ガンマ線、電子線
等が挙げられる。
【0039】なお、上記発泡性樹脂組成物には、発泡性
を阻害しない範囲で、上記架橋助剤の他に、2,6−ジ
−t−ブチル−p−クレゾール等のフェノール系、リン
系、アミン系、ジラウリルチオジプロピオネート等のイ
オウ系等の酸化防止剤;メチルベンゾトリアゾール等の
金属害防止剤、リン系、チッソ系、ハロゲン系、アンチ
モン系及びこれらを混合してなる難燃剤、充填剤、帯電
防止剤、顔料等が添加されてもよい。
【0040】上記の如くして製造された架橋発泡シート
の発泡倍率は、大きいと、架橋発泡シートの機械的強度
が低下することがあり、又、小さいと、架橋発泡シート
の軽量性が低下することがあるので、10〜50倍が好
ましく、15〜40倍がより好ましい。なお、本発明で
いう発泡倍率とは、架橋発泡シートの体積をその重量で
除したものをいう。
【0041】又、上記架橋発泡シートの単位重量当たり
の融解エネルギーが以下の範囲内となるように調整する
ことによっても上記と同様に優れた耐熱性及び機械的強
度を有する架橋発泡シートが得られる。
【0042】先ず、上記単位重量当たりの融解エネルギ
ーとは、示差走査熱量分析の融解ピーク面積から得られ
る熱量値(mJ)をサンプル重量(mg)で除して得ら
れるものである。この示差走査熱量分析の融解ピーク面
積は、JIS K7211-1 997 に準拠して測定された
融解ピーク曲線と、該融解ピーク曲線の融解開始温度部
分と融解終了温度部分とを結ぶ直線とによって囲まれた
部分の面積をいう(図1(a)における斜線部分の面
積)。なお、本発明では融解開始温度を70℃とする。
【0043】上記単位重量当たりの融解エネルギーの具
体的な測定方法としては、セイコー電子株式会社製SS
C5200示差走査熱量計を用いることによって示差走
査熱量分析の融解ピーク曲線を測定して該融解ピーク曲
線から融解ピーク面積を算出し、この融解ピーク面積か
ら熱量値を得る方法が挙げられる。
【0044】上記単位重量当たりの融解エネルギーに含
まれる120℃以上の融解エネルギーとは、上記示差走
査熱量分析の融解ピーク面積に対する120℃以上部分
の融解ピーク面積(図1(b)の斜線部分)の百分率を
算出し、上記示差走査熱量分析の融解ピーク面積から得
られる熱量値に上記算出した百分率を掛けて得られるも
のをいう。
【0045】同様に、上記単位重量当たりの融解エネル
ギに含まれる140℃以上の融解エネルギーとは、上記
示差走査熱量分析の融解ピーク面積に対する140℃以
上部分の融解ピーク面積(図1(c)の斜線部分)の百
分率を算出し、上記示差走査熱量分析の融解ピーク面積
から得られる熱量値に上記算出した百分率を掛けて得ら
れるものをいう。
【0046】上記示差走査熱量分析の融解ピーク面積に
対する120℃又は140℃以上部分の融解ピーク面積
の百分率の具体的な算出方法の一例としては、示差走査
熱量分析の融解ピーク曲線を紙にコピーし、該融解ピー
ク曲線と、該融解ピーク曲線の融解開始温度部分と融解
終了温度部分とを結ぶ直線とによって囲まれた部分を切
り取り、その切り取った紙の重さを測定する一方、上記
切り取った紙のうちの120℃又は140℃以上部分の
紙の重さを測定し、120℃又は140℃以上部分の紙
の重さを切り取った紙全体の重さで除すことによって算
出することができる。
【0047】上記架橋発泡シートの単位重量当たりの融
解エネルギーは、小さいと、架橋発泡シートの結晶性成
分量が減少して、該架橋発泡シートの耐熱性及び機械的
強度が低下するので、85mJ/mg以上が好ましい。
【0048】又、上記架橋発泡シートにおける単位重量
当たりの融解エネルギーに含まれる120℃以上の融解
エネルギーは、小さいと、高温融解結晶成分が減少して
架橋発泡シートの耐熱性及び機械的強度が低下するの
で、60mJ/mgよりも大きいのが好ましい。
【0049】同様に、上記架橋発泡シートにおける単位
重量当たりの融解エネルギーに含まれる140℃以上の
融解エネルギーは、小さいと、高温融解結晶成分が減少
して架橋発泡シートの耐熱性及び機械的強度が低下する
ので、40mJ/mgよりも大きいのが好ましい。
【0050】即ち、単位重量当たりの融解エネルギーを
85mJ/mg以上に構成することによって、架橋発泡
シートに優れた耐熱性及び機械的強度を付与することが
できる。
【0051】又、単位重量当たりの融解エネルギーに含
まれる120℃以上の融解エネルギーを60mJ/mg
よりも大きく且つ140℃以上の融解エネルギーを40
mJ/mgよりも大きく構成することによって、架橋発
泡シートに優れた耐熱性及び機械的強度を付与すること
ができる。
【0052】更に、単位重量当たりの融解エネルギーに
含まれる120℃以上の融解エネルギーを60mJ/m
gよりも大きく且つ140℃以上の融解エネルギーが4
0mJ/mgよりも大きく構成するとともに、単位重量
当たりの融解エネルギーを85mJ/mg以上に構成す
ることによって、架橋発泡シートに、より優れた耐熱性
及び機械的強度を付与することができる。
【0053】このような単位重量当たりの融解エネルギ
ーを有する架橋発泡シートを構成するプロピレン系樹脂
としては、上記プロピレン系樹脂(A)と同様のものが
用いられるが、その中でも、ホモポリプロピレンが好ま
しく、高結晶性のアイソタクチックホモポリプロピレン
が更に好ましく、ペンダット分率が96%以上のアイソ
タクチックホモポリプロピレンが最も好ましい。
【0054】更に、上記アイソタクチックホモポリプロ
ピレンのMIは、高いと、発泡性が低下することがあ
り、又、低いと、溶融粘度が増大して熱分解型発泡剤を
混練して押し出す際に得られるシートに一次発泡が発生
することがあるので、5〜30g/10分が好ましい。
【0055】上記架橋発泡シートを構成する樹脂中の上
記プロピレン系樹脂の含有量は、多くなると、製造工程
において一次発泡を生じて得られる架橋発泡シートの表
面性が低下したり、或いは、所望の発泡倍率が得られな
いことがあり、又、少ないと、得られる架橋発泡シート
の高温強度が低下することがあるので、10〜90重量
%が好ましい。
【0056】即ち、上記架橋発泡シートを構成する樹脂
中、MIが5〜30g/10分のアイソタクチックホモ
ポリプロピレンが10〜90重量%であることが好まし
い。
【0057】上記単位重量当たりの融解エネルギーを有
する架橋発泡シートを構成するエチレン系樹脂として
は、上記エチレン系樹脂(A)と同様のものが用いら
れ、上記架橋発泡シートの単位重量当たりの融解エネル
ギーを増大させるために、密度が0.95g/cc以上
の高密度ポリエチレンを用いることが好ましい。
【0058】又、エチレン系樹脂のMIは、高いと、架
橋発泡シートの成形性が低下し、又、低いと、溶融粘度
が増大して熱分解型発泡剤を混練して押し出す際に得ら
れるシートに一次発泡が発生することがあるので、0.
5〜15g/10分が好ましく、2〜15g/10分が
更に好ましい。
【0059】そして、架橋発泡シートを構成する樹脂中
の上記エチレン系樹脂の含有量は、少ないと、得られる
架橋発泡シートの剛性が低下することがあり、又、多い
と、得られる架橋発泡シートの高温強度が低下すること
があるので、10〜90重量%が好ましい。
【0060】即ち、上記架橋発泡シートを構成する樹脂
中、MIが0.5〜15g/10分で且つ密度が0.9
5g/cc以上の高密度ポリエチレンを10〜90重量
%含有することが好ましい。
【0061】上記架橋発泡シートの常温における20%
引張応力は、小さいと、得られる積層シートの常温での
曲げ強度が不足することがあるので、1kg/cm2
上が好ましく、4kg/cm2 以上が更に好ましい。
【0062】又、上記架橋発泡シートの100℃におけ
る20%引張応力は、小さいと、得られる積層シートの
100℃での曲げ強度が不足することがあるので、0.
5kg/cm2 以上が好ましく、1kg/cm2 以上が
更に好ましい。
【0063】なお、上記常温及び100℃における20
%引張応力は、JIS K7127に準拠して測定され
たものであり、具体的には、得られた架橋発泡シートか
ら打抜き型を用いてJIS2号ダンベルを打抜き、テン
シロン引張測定機を用いて標線間距離が25mm、引張
速度が200mm/minの条件下において常温及び1
00℃におけるJIS2号ダンベルの20%引張応力を
測定した。
【0064】次に、上記架橋発泡シートの両面には、無
機繊維シート及びオレフィン系樹脂層がこの順序で積層
一体化されている。このように、架橋発泡シートの表面
に無機繊維シートを積層一体化することによって、得ら
れる積層シートの線膨張率を向上させて寸法安定性に優
れた積層シートを得ることができる。しかも、本発明で
は、架橋発泡シートの両面に無機繊維シートを積層一体
化させているので、積層シートの耐熱性を向上させるこ
とができ、ドローダウンを生じさせることなく、積層シ
ートの成形加工を加熱を十分に行った上で行うことがで
きるので、成形歪みが抑えられた熱安定性に優れた成形
品を得ることができる。
【0065】上記無機繊維シートを構成する無機繊維と
しては、例えば、カーボン(炭素)繊維、ガラス繊維、
セラミック繊維、アルミナ繊維等が挙げられ、カーボン
(炭素)繊維とガラス繊維が好ましく、ガラス繊維が更
に好ましく、これら無機繊維は単独で用いられても併用
されてもよい。又、上記無機繊維シートは単層であって
も複層であってもよい。
【0066】上記無機繊維の繊維径は、太いと、積層シ
ートの軽量性が低下するとともに取扱い時に皮膚刺激が
強くなることがあり、又、細いと、積層シートの強度が
低下することがあるので、3〜19μmが好ましい。
【0067】上記無機繊維の繊維長は、長いと、無機繊
維シートを作製する際に繊維相互がまつわり易く分散性
が低下し、得られる積層シートの品質が不均一となるこ
とがあり、又、短いと、積層シートの成形加工時に延伸
された際、無機繊維同士の追従性が少なく、無機繊維シ
ートが切断したり破れたりすることがあるので、10〜
50mmが好ましい。
【0068】上記無機繊維シートの重量は、重いと、得
られる積層シートの軽量性が低下することがあり、又、
軽いと、無機繊維シートを積層一体化させた効果が得ら
れないことがあるので、5〜50g/m2 が好ましい。
【0069】上記無機繊維シートの製造方法としては、
上記無機繊維をモノフィラメントの状態で水中(白水)
に分散させ、これを抄きあげてシート状に作製し、繊維
の交絡部において繊維同士をバインダー樹脂で結着させ
る所謂抄造法、無機繊維にバインダー樹脂としてエチレ
ン樹脂を混練して、カードマシン等で薄くシート状物に
成形した後、熱ロールや熱プレス等でヒートセットする
方法等が挙げられる。
【0070】上記バインダー樹脂としては、例えば、酢
酸ビニル樹脂、各種アクリル酸樹脂、ウレタン樹脂、エ
ステル樹脂等が挙げられ、これらバインダー樹脂は単独
で用いられても併用されてもよい。
【0071】上記抄造法においては、バインダー樹脂を
水中(白水)に溶解又はパウダー状で混入したり、エマ
ルジョンとして無機繊維に含浸させてもよく、これらの
方法を併用してもよい。
【0072】上記エマルジョンとしては、例えば、アク
リル系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体、飽和ポリエステル等のエマルジョン等が
挙げられる。又、上記パウダー状のバインダー樹脂とし
ては、例えば、プロピレン系樹脂、ポリビニルアルコー
ル、エチレン系樹脂等のパウダー状の樹脂が挙げられ
る。
【0073】上記オレフィン系樹脂層を構成するものと
しては、例えば、プロピレン系樹脂(以下、「プロピレ
ン系樹脂(B)」という)、エチレン系樹脂(以下「エ
チレン系樹脂(B)という)、低融点プロピレン系樹脂
等が挙げられる。
【0074】上記プロピレン系樹脂(B)としては、上
記架橋発泡シートで用いられる上記プロピレン系樹脂
(A)と同様のものが用いられ、これらは単独で用いら
れても併用されてもよい。
【0075】そして、上記プロピレン系樹脂(B)の中
でも、得られる積層シートの曲げ強度等の物理的強度が
優れている点から、ホモポリプロピレン、ブロックポリ
プロピレンが好ましく、ホモポリプロピレンとブロック
ポリプロピレンとを併用するのがより好ましい。
【0076】又、上記プロピレン系樹脂(B)の融点
は、高いと、得られる積層シートの成形性が低下するこ
とがあり、又、低いと、得られる積層シートの耐熱性が
低下することがあるので、160〜170℃が好まし
い。なお、本発明において、融点とは昇温速度10℃/
分での示差熱分析曲線のピーク温度をいう。
【0077】上記ホモポリプロピレンとしては、機械的
強度、耐熱性、耐摩擦性に優れるアイソタクチックホモ
ポリプロピレンが好ましい。又、上記ブロックポリプロ
ピレンとしては、例えば、プロピレンを主成分とするプ
ロピレン−α−オレフィンブロック共重合体が挙げら
れ、α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1
−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げら
れ、エチレンが好ましい。
【0078】上記プロピレン系樹脂(B)のMIは、大
きいと、溶融粘度が低下してシート化が困難となり、
又、小さいと、積層シートを成形した際に成形歪みが残
存しやすくなり熱安定性が低下するので、0.3〜15
g/10分が好ましい。
【0079】上記オレフィン系樹脂層中における上記プ
ロピレン系樹脂(B)の含有量は、少ないと、得られる
積層シートの耐熱性が低下することがあるので、上記オ
レフィン系樹脂層の樹脂中50重量%以上が好ましく、
70重量%以上が更に好ましい。
【0080】上記エチレン系樹脂(B)としては、上記
エチレン系樹脂(A)において用いられるものと同様の
ものが用いられ、エチレン含有量が70重量%以上のエ
チレン−α−オレフィン共重合体が好ましい。
【0081】上記低融点プロピレン系樹脂としては、上
記プロピレン系樹脂(B)よりも低い融点を有するプロ
ピレン系樹脂をいい、例えば、プロピレン−α−オレフ
ィンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン
三元共重合体等が挙げられ、上記α−オレフィンとして
は、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1
−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテ
ン、1−オクテン等が挙げられ、エチレンが好ましい。
【0082】又、上記低融点プロピレン系樹脂のα−オ
レフィンの含有量は、多いと、オレフィン系樹脂層の耐
熱性が低下し、又、少ないと、積層シートの成形性が低
下することがあるので、2〜10重量%が好ましい。
【0083】上記低融点プロピレン系樹脂の融点は、高
いと、積層シートの成形性が低下することがあり、又、
低いと、積層シートの耐熱性が低下することがあるの
で、125〜150℃が好ましい。
【0084】上記低融点プロピレン系樹脂のMIは、大
きいと、溶融粘度が低下してシート化が困難となり、
又、小さいと、積層シートを成形した際に成形歪みが残
存しやすくなり熱安定性が低下するので、0.3〜15
g/10分が好ましい。
【0085】更に、上記架橋発泡体シートの両面に積層
一体化されたオレフィン系樹脂層のうちの少なくとも一
つのオレフィン系樹脂層には無機充填材が含有されてお
り、このようにオレフィン系樹脂層に無機充填材を含有
させることによって、得られる積層シートの剛性及び耐
熱性を向上させて成形加熱時におけるドローダウンを防
止し、成形品表面に皺等が発現するのを回避し表面性に
優れた成形品を得ることができる。
【0086】又、オレフィン系樹脂層の少なくとも一つ
のオレフィン系樹脂層に無機充填材を含有させることに
よって、積層シートの耐熱性を向上させて、ドローダウ
ンを生じさせることなく成形加熱時における積層シート
の加熱を十分なものとすることができるとともに、オレ
フィン系樹脂層の樹脂成分を相対的に低減させ、成形時
に樹脂成分中に発現する成形歪みを低減することがで
き、更に、オレフィン系樹脂層中に無機充填材を分散さ
せることによって、成形時に樹脂中に発現した成形歪み
を非連続化させ、成形歪みが連続化することによる成形
歪みの相乗的増加を阻止し、全体として成形歪みを抑え
ることができるので、積層シートからは成形歪みが抑え
られた熱安定性に優れた成形品を得ることができる。な
お、無機充填材は、架橋発泡シートの両面に積層一体化
されたオレフィン系樹脂層の双方に含有されていてもよ
いのはいうまでもない。
【0087】上記無機充填材の形態は、粉末状、バルン
状又は繊維状のいずれであっても特に限定されず、粉末
状無機充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、タル
ク、カオリンクレー、マイカ、酸化チタン等が挙げら
れ、バルン状無機充填材としては、例えば、シラスバル
ン、ガラスバルン、フライアッシュバルン等が挙げら
れ、繊維状無機充填材としては、例えば、ガラス繊維、
ウィスカー等が挙げられる。これら無機充填材の中で
も、樹脂に対する剛性向上の効果が大きく、得られる積
層シートの剛性及び耐熱性が優れているという点で、炭
酸カルシウム、タルク、マイカが好ましく、タルク、マ
イカがより好ましい。
【0088】上記無機充填材の大きさは、大きくなる
と、積層シートの低温での衝撃強度が低下するので、粒
径又は繊維径が20μm以下のものが好ましい。
【0089】上記無機充填材のオレフィン系樹脂層中の
含有量は、多いと、得られる積層シートの軽量性が低下
し、又、少ないと、積層シートの剛性及び耐熱性が低下
するので、オレフィン系樹脂100重量部に対して、1
〜120重量部が好ましく、オレフィン系樹脂層がプロ
ピレン系樹脂(B)のみから構成されている場合は、プ
ロピレン系樹脂(B)100重量部に対して、1〜12
0重量部が好ましく、10〜100重量部がより好まし
い。
【0090】次に、上記積層シートの製造方法について
説明する。上記積層シートの製造方法としては、例え
ば、(1)架橋発泡シートの両面に無機繊維シート及び
オレフィン系樹脂シートを熱ラミネート又は接着剤によ
って順次積層一体化する方法(2)架橋発泡シートの両
面に無機繊維シートを配設し、夫々の無機繊維シート上
にオレフィン系樹脂層を構成するオレフィン系樹脂シー
トを溶融押出した後、両面から加圧、一体化する方法
(3)架橋発泡シートを2枚用意し、一方の架橋発泡シ
ートの一面に無機繊維シートを配設し、この無機繊維シ
ート上にオレフィン系樹脂層を構成するオレフィン系樹
脂シートを溶融押出して積層一体化して積層体を得る
一方、他方の架橋発泡シートの一面にも同様にして無機
繊維シート及びオレフィン系樹脂シートを積層一体化し
て積層体を得る。そして、上記積層体と積層体と
を夫々の架橋発泡シートを対向状態にして重ね合わせ、
架橋発泡シート同士を熱融着させる方法等が挙げられ
る。なお、上記例示の製造方法において、架橋発泡シー
トの両面に積層一体化されるオレフィン系樹脂層のうち
の少なくとも一つのオレフィン系樹脂層には無機充填材
を含有させておく。
【0091】上記積層シートの厚さは、厚いと、軽量性
が低下することがあり、又、薄いと、曲げ強度等の機械
的強度が低下することがあるので、1〜10mmが好ま
しい。架橋発泡シートの両面に積層されている上記無機
繊維シートとオレフィン系樹脂層の総厚みは、上記積層
体と同様の理由で、0.1〜1mmが好ましい。
【0092】上記積層シートでは、架橋発泡シートの両
面に無機繊維シート及びオレフィン系樹脂層を積層一体
化した場合を説明したが、上記積層シートにおける無機
繊維シートと架橋発泡体との間にオレフィン系樹脂層を
設けてもよい。
【0093】即ち、プロピレン系樹脂及びエチレン系樹
脂からなる架橋発泡シートの両面に、オレフィン系樹脂
層、無機繊維シート及びオレフィン系樹脂層がこの
順序で積層一体化されており、上記オレフィン系樹脂層
のうちの少なくとも一つのオレフィン系樹脂層には
無機充填材が含有されている積層シートであってもよ
い。
【0094】上記オレフィン系樹脂層及びオレフィン
系樹脂層は上記オレフィン系樹脂層と同様の樹脂が用
いられ、又、無機繊維シートも上記と同様のものが用い
られるので、その説明を省略する。
【0095】次に、上記積層シートの製造方法を説明す
る。上記積層シートの製造方法としては、例えば、
(1)架橋発泡シートの両面にオレフィン系樹脂層を
構成するオレフィン系樹脂シート、無機繊維シート及び
オレフィン系樹脂層を構成するオレフィン系樹脂シー
トを熱ラミネート又は接着剤によって順次積層一体化す
る方法(2)架橋発泡シートの両面にオレフィン系樹脂
層を構成するオレフィン系樹脂シートを溶融押出しす
るとともに該オレフィン系樹脂層の夫々に無機繊維シ
ートを配設し、更に、該無機繊維シートの夫々にオレフ
ィン系樹脂層を構成するオレフィン系樹脂シートを溶
融押出した後、両面から加圧する方法(3)架橋発泡シ
ートを2枚用意し、一方の架橋発泡シートの一面にオレ
フィン系樹脂層を構成するオレフィン系樹脂シートを
溶融押出しするとともに該オレフィン系樹脂層上に無
機繊維シートを配設し、更に、該無機繊維シート上にオ
レフィン系樹脂層を構成するオレフィン系樹脂シート
を溶融押出して積層一体化して積層体を得る一方、他
方の架橋発泡シートの一面にも同様にしてオレフィン系
樹脂層、無機繊維シート及びオレフィン系樹脂層を
積層一体化して積層体を得る。そして、上記積層体
と積層体とを夫々の架橋発泡シートを対向状態にして
重ね合わせ、架橋発泡シート同士を熱融着させる方法等
が挙げられる。なお、上記例示の製造方法において、架
橋発泡シートの両面に積層一体化されるオレフィン系樹
脂層のうちの少なくとも一つのオレフィン系樹脂層
には無機充填材を含有させておく。
【0096】上記積層シートの厚さは、厚いと、軽量性
が低下することがあり、又、薄いと、曲げ強度等の機械
的強度が低下することがあるので、1〜10mmが好ま
しい。架橋発泡シートの両面に積層されている上記無機
繊維シートとオレフィン系樹脂層の総厚みは、上記積層
体と同様の理由で、0.1〜1mmが好ましい。
【0097】
【実施例】実施例1〜6及び比較例1〜3においては、
下記に示した化合物を使用した。但し、溶出量は、クロ
ス分別法による94℃以上での溶出量であり、溶出分
は、クロス分別法による94℃以上で溶出した樹脂分で
ある。
【0098】プロピレン系樹脂(A) ホモポリプロピレン;ペンダット分率=98%、MI=
15g/10分、融点167.8℃のアイソタクチック
ホモポリプロピレン
【0099】P−E共重合体;MI=2g/10分、
溶出量=75重量%、溶出分の重量平均分子量=3.4
×105 、分子量分布=4.5、融点=150.5℃、
エチレン含有量=3.2重量%であるプロピレン−エチ
レンランダム共重合体
【0100】エチレン系樹脂(A) LLDPE;密度=0.917g/cm3 、MI=2.
5g/10分、溶出量=6.8重量%、溶出分の重量平
均分子量=2.3×105 、エチレン含有量=85重量
%であるエチレン−1−オクテン共重合体
【0101】HDPE;密度=0.969g/c
3 、MI=5.0g/10分の高密度ポリエチレン
【0102】プロピレン系樹脂(B) P−E共重合体;MI=4g/10分、融点=16
6.7℃であるプロピレン−エチレンブロック共重合体
【0103】エチレン系樹脂(B) HDPE;密度=0.945g/cm3 、MI=2.
0g/10分、融点132℃の高密度ポリエチレン
【0104】無機繊維シート 繊維径13μm及び繊維長12.5mmの無機繊維から
なり且つ抄造法によって製造された無機繊維シート(オ
リベスト社製 ガラス繊維量=20g/m2 、平均厚み
0.12mm)
【0105】(実施例1)P−E共重合体80重量
部、LLDPE20重量部、トリメチロールプロパント
リメタクリレート3重量部、アゾジカルボンアミド8重
量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3
重量部、ジラウリルチオプロピオネート0.3重量部及
びメチルベンゾトリアゾール0.5重量部を、二軸押出
機にて190℃で溶融混練した後、厚さ1.5mmの発
泡性樹脂シートを連続的に押出した。
【0106】得られた発泡性樹脂シートの一面に加速電
圧が800kVの電子線を3Mrad照射して架橋した
後、熱風及び赤外線ヒーターによって250℃に保持さ
れた縦型発泡炉に、発泡性樹脂シートを連続的に供給
し、発泡性樹脂シートを発泡させて架橋発泡シートを得
た。
【0107】得られた架橋発泡シートの厚みは4mm、
発泡倍率は20倍、ゲル分率は50重量%、常温におけ
る20%引張応力は2.9kg/cm2 及び100℃に
おける20%引張応力は0.9kg/cm2 であった。
又、得られた架橋発泡シートの単位重量当たりの融解エ
ネルギーは69mJ/mgであり、単位重量当たりの融
解エネルギーに含まれる120℃以上の融解エネルギー
は48mJ/mgであり、単位重量当たりの融解エネル
ギーに含まれる140℃以上の融解エネルギーは23m
J/mgであった。
【0108】次に、P−E共重合体100重量部及び
平均粒径10μmのタルク50重量部を二軸押出機に供
給して210℃で溶融混練し、この溶融混練された樹脂
を上記架橋発泡シートの両面に厚さ0.1mmで押出ラ
ミネートし、オレフィン系樹脂層を積層一体化すると
ともに、該オレフィン系樹脂層の夫々に無機繊維シー
トを配設し、更に、P−E共重合体100重量部及び
平均粒径10μmのタルク50重量部を、上記とは別の
二軸押出機に供給して210℃で溶融混練し、この溶融
混練された樹脂を、上記架橋発泡シートの両面に配設し
た無機繊維シートの夫々に押出ラミネートした後、ピン
チロールによって両面から加圧することによって積層一
体化させて積層シートを得た。なお、積層シートの厚み
は4.6mmであり、架橋発泡シートの一面に積層一体
化されたオレフィン系樹脂層、無機繊維シート及びオ
レフィン系樹脂層の総厚みは0.3mmづつであっ
た。
【0109】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を以下の方法で測定し、その結果を表1
に示した。
【0110】(曲げ強度)得られた積層シートの曲げ強
度をJIS K7171に準拠して測定した。但し、試
験片の大きさは50mm×150mm、荷重スピードは
50mm/min、測定温度は85℃とした。
【0111】(線膨張係数)積層シートを85℃の高温
槽と0℃の冷蔵庫とに夫々1時間以上放置し、その寸法
差を測定し、次式により線膨張係数を測定した。なお、
試験片の大きさは50mm×150mmとした。 〔線膨張係数〕=(寸法差/測定前寸法)×85
【0112】(熱安定性)得られた積層シートを両面1
50℃に加熱した後、図2に示したように、断面が半径
96mmの半円形状の凸部を有する雄型金型11及び断面
が半径100mmの半円形状の凹部を有する雌型金型12
からなるプレス型1を用い、雌雄金型11、12間に積層シ
ートを配設し、雌雄金型11、12を夫々温度40℃に保持
した状態でクリアランス4mmで閉じて積層シートをプ
レス成形し、図3に示したように、中央部が凹円弧状に
成形された成形品2を得た。なお、成形品2中、21は架
橋発泡シート、22はオレフィン系樹脂層、23は無機繊
維シート、24はオレフィン系樹脂層である。
【0113】得られた成形品2を温度25℃、相対湿度
60%の条件下に24時間放置した後、85℃のオーブ
ン中で16時間加熱し、成形品2に反りによる変形が生
じたか否かを目視観察し、反りによる変形がなかった場
合を○、反りによる変形があった場合を×として評価し
た。
【0114】(実施例2)P−E共重合体80重量
部、LLDPE20重量部、トリメチロールプロパント
リメタクリレート3重量部、アゾジカルボンアミド8重
量部、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.3
重量部、ジラウリルチオプロピオネート0.3重量部及
びメチルベンゾトリアゾール0.5重量部を、二軸押出
機にて190℃で溶融混練した後、厚さ1.5mmの発
泡性樹脂シートを連続的に押出した。
【0115】得られた発泡性樹脂シートの一面に加速電
圧が800kVの電子線を3Mrad照射して架橋した
後、熱風及び赤外線ヒーターによって250℃に保持さ
れた縦型発泡炉に、発泡性樹脂シートを連続的に供給
し、発泡性樹脂シートを発泡させて架橋発泡シートを得
た。なお、得られた架橋発泡シートの厚みは4mm、発
泡倍率は20倍、ゲル分率は50重量%、常温における
20%引張応力は2.9kg/cm2 及び100℃にお
ける20%引張応力は0.9kg/cm2 であった。
又、得られた架橋発泡シートの単位重量当たりの融解エ
ネルギーは69mJ/mgであり、単位重量当たりの融
解エネルギーに含まれる120℃以上の融解エネルギー
は48mJ/mgであり、単位重量当たりの融解エネル
ギーに含まれる140℃以上の融解エネルギーは23m
J/mgであった。
【0116】次に、上記架橋発泡シートの両面に無機繊
維シートを配設するとともに、P−E共重合体100
重量部及び平均粒径10μmのタルク50重量部を二軸
押出機に供給して210℃で溶融混練し、この溶融混練
された樹脂を、上記架橋発泡シートの両面に配設した無
機繊維シートの夫々に厚さ0.3mmで押出ラミネート
した後、ピンチロールによって両面から加圧することに
よって積層一体化させて、架橋発泡シートの両面に無機
繊維シート及びオレフィン系樹脂層が積層一体化され
てなる積層シートを得た。なお、積層シートの厚みは
4.6mmであり、架橋発泡シートの一面に積層一体化
された無機繊維シート及びオレフィン系樹脂層の総厚
みは0.3mmづつであった。
【0117】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表1に示した。
【0118】(実施例3)オレフィン系樹脂層及びオ
レフィン系樹脂層において、P−E共重合体の代わ
りにHDPEを用いた以外は実施例1と同様にして積
層シートを得た。
【0119】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表1に示した。
【0120】(実施例4)オレフィン系樹脂層におい
て、P−E共重合体の代わりにHDPEを用いた以
外は実施例2と同様にして積層シートを得た。
【0121】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表1に示した。
【0122】(実施例5)P−E共重合体80重量部
の代わりにホモポリプロピレン40重量部及びP−E共
重合体40重量部を用いたこと以外は実施例1と同様
にして積層シートを得た。
【0123】なお、得られた架橋発泡シートの厚みは4
mm、発泡倍率は20倍、ゲル分率は50重量%、常温
における20%引張応力は5.3kg/cm2 及び10
0℃における20%引張応力は1.8kg/cm2 であ
った。又、得られた架橋発泡シートの単位重量当たりの
融解エネルギーは90mJ/mgであり、単位重量当た
りの融解エネルギーに含まれる120℃以上の融解エネ
ルギーは69mJ/mgであり、単位重量当たりの融解
エネルギーに含まれる140℃以上の融解エネルギーは
58mJ/mgであった。
【0124】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表1に示した。
【0125】(実施例6)P−E共重合体80重量部
の代わりにホモポリプロピレン40重量部及びP−E共
重合体40重量部を用いたこと、LLDPE20重量
部の代わりにHDPE20重量部を用いたこと以外は
実施例1と同様にして積層シートを得た。
【0126】なお、得られた架橋発泡シートの厚みは4
mm、発泡倍率は20倍、ゲル分率は50重量%、常温
における20%引張応力は6.0kg/cm2 及び10
0℃における20%引張応力は2.1kg/cm2 であ
った。又、得られた架橋発泡シートの単位重量当たりの
融解エネルギーは100mJ/mgであり、単位重量当
たりの融解エネルギーに含まれる120℃以上の融解エ
ネルギーは85mJ/mgであり、単位重量当たりの融
解エネルギーに含まれる140℃以上の融解エネルギー
は60mJ/mgであった。
【0127】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表1に示した。
【0128】
【表1】
【0129】(比較例1)架橋発泡シートの両面に積層
一体化したオレフィン系樹脂層上に無機繊維シートを
配設することなく、オレフィン系樹脂層を積層一体化
したこと以外は実施例1と同様にして積層シートを得
た。
【0130】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表2に示した。
【0131】(比較例2)オレフィン系樹脂層及びオ
レフィン系樹脂層にタルクを含有させなかったこと以
外は実施例1と同様にして積層シートを得た。なお、積
層シートの厚みは4.6mmであり、架橋発泡シートの
一面に積層一体化させたオレフィン系樹脂層、無機繊
維シート及びオレフィン系樹脂層の総厚みは0.3m
mづつであった。
【0132】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表2に示した。
【0133】(比較例3)架橋発泡シートの両面に無機
繊維シートを配設することなく、オレフィン系樹脂層
を積層一体化したこと、オレフィン系樹脂層にタルク
を含有させなかったこと以外は実施例2と同様にして積
層シートを得た。なお、積層シートの厚みは4.6mm
であり、架橋発泡シートの一面に積層一体化させたオレ
フィン系樹脂層の厚みは0.3mmであった。
【0134】得られた積層シートの曲げ強度、線膨張係
数及び熱安定性を実施例1と同様の方法で測定し、その
結果を表2に示した。
【0135】
【表2】
【0136】
【発明の効果】本発明の積層シートは、その中央部が架
橋発泡シートからなるので軽量性に優れている。しか
も、本発明の積層シートは、その架橋発泡シートの両面
に無機充填材が含有されたオレフィン系樹脂層が少なく
とも一層積層一体化されているとともに、架橋発泡シー
トの両面に無機繊維シートが積層一体化されていること
から、オレフィン系樹脂層の少なくとも一つに無機充填
材を含有させたことによる線膨張係数の小値化効果と架
橋発泡シートの両面に無機繊維シートを積層一体化させ
たことによる線膨張係数の小値化効果とが相乗的に作用
し合い、一方だけでは奏し得ない優れた線膨張係数の小
値化効果を奏し、よって、積層シートは極めて小さい線
膨張係数を有し、寸法安定性に優れている。
【0137】又、本発明の積層シートは、その架橋発泡
シートの両面に無機充填材が含有されたオレフィン系樹
脂層が少なくとも一層積層一体化されていることから耐
熱性及び高温での剛性に優れており、よって、積層シー
トを成形加工する際にドローダウンを生じさせることな
く十分に加熱した上で成形加工を施すことができるとと
もに、無機充填材を含有するオレフィン系樹脂層の樹脂
成分を相対的に低減させ、成形時に樹脂成分中に発現す
る成形歪みを低減させることができ、更に、オレフィン
系樹脂層中に無機充填材を分散させているので、成形時
に樹脂成分中に発現した成形歪みを非連続化し、成形歪
みが連続化することによって相乗的に増加するのを阻止
し、成形歪みを抑えることができるので、積層シートか
らは成形歪みが抑えられた熱安定性に優れた成形品を得
ることができる。
【0138】更に、本発明の積層シートは、その架橋発
泡シートの両面に無機繊維シートが積層一体化されてい
ることから耐熱性及び高温での剛性に優れており、よっ
て、積層シートを成形加工する際にドローダウンを生じ
させることなく十分に加熱した上で成形加工を施すこと
ができ、より一層成形歪みを抑えることができ、より熱
安定性に優れた成形品を得ることができる。
【0139】又、本発明の積層シートは、少なくとも一
つの無機充填材を含有するオレフィン系樹脂層及び無機
繊維シートを備えていることから、成形加熱時において
優れた剛性及び耐熱性を発揮し、ドローダウン等の不測
の事態を生じることはなく、よって、オレフィン系樹脂
層に皺等を発現させることなく、美麗な表面を有する表
面性に優れた成形品を得ることができる。
【0140】本発明の積層シートを構成する架橋発泡シ
ートが、その単位重量当たりの融解エネルギーが所定値
以上となるとともに熱分解型発泡剤を用いて得られたも
のである場合には、耐熱性、機械的強度、成形性及び軽
量性に優れたものである。
【0141】更に、メルトインデックスが5〜30g/
10分のアイソタクチックホモポリプロピレンを10〜
90重量%含有させ、或いは、メルトインデックスが
0.5〜15g/10分で且つ密度が0.95g/cc
以上の高密度ポリエチレンを10〜90重量%含有させ
ることによって高結晶性成分量を増加させて、得られる
架橋オレフィン系樹脂発泡体の耐熱性及び機械的強度を
より向上させることができる。
【0142】そして、上記架橋発泡シートの製造方法と
して、プロピレン系樹脂とエチレン系樹脂と熱分解型発
泡剤とからなる発泡性樹脂組成物を押出機にて10,0
00ポイズ以下の溶融粘度で溶融混練して発泡性樹脂成
形体を製造し、この発泡性樹脂成形体を架橋した後又は
架橋と同時に発泡させる方法を採用することによって、
発泡体に架橋構造を付与し、より優れた耐熱性、機械的
強度及び成形性並びに軽量性を有する架橋オレフィン系
樹脂発泡体を得ることができる。
【0143】又、上記製造方法において、プロピレン系
樹脂とエチレン系樹脂と熱分解型発泡剤とからなる発泡
性樹脂組成物を押出機にて10,000ポイズ以下の溶
融粘度で溶融混練することによって、一次発泡が生じる
のを阻止して、表面性に優れているとともに気泡径が略
均一化され、更に、所望の発泡倍率に発泡した架橋発泡
シートを得ることができる。
【0144】最後に、本発明の積層シートは、それを構
成する樹脂としてオレフィン系樹脂のみを用いているこ
とからリサイクル性に優れており、環境面においても優
れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】架橋発泡シートの融解ピーク曲線の一例を示し
た図である。
【図2】実施例で用いたプレス型の雌雄金型の斜視図で
ある。
【図3】実施例1で成形した成形品の斜視図である。
【符号の説明】
1 プレス型 11 雄型金型 12 雌型金型 2 成形品 21 架橋発泡シート 22 オレフィン系樹脂層 23 無機繊維シート 24 オレフィン系樹脂層

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂か
    らなる架橋発泡シートの両面に、無機繊維シート及びオ
    レフィン系樹脂層がこの順序で積層一体化されており、
    上記オレフィン系樹脂層のうちの少なくとも一つのオレ
    フィン系樹脂層には無機充填材が含有されていることを
    特徴とする積層シート。
  2. 【請求項2】 プロピレン系樹脂及びエチレン系樹脂か
    らなる架橋発泡シートの両面に、オレフィン系樹脂層
    、無機繊維シート及びオレフィン系樹脂層がこの順
    序で積層一体化されており、上記オレフィン系樹脂層
    のうちの少なくとも一つのオレフィン系樹脂層には無
    機充填材が含有されていることを特徴とする積層シー
    ト。
  3. 【請求項3】 上記無機充填材を含有しているオレフィ
    ン系樹脂層は、オレフィン系樹脂100重量部と無機充
    填材1〜120重量部とからなることを特徴とする請求
    項1又は請求項2に記載の積層シート。
  4. 【請求項4】 上記架橋発泡シートを構成するプロピレ
    ン系樹脂は、メルトインデックス0.2〜10g/10
    分、クロス分別法による94℃以上での溶出量50〜9
    5重量%及び該溶出分の重量平均分子量2×105 〜1
    0×105 であるプロピレン−α−オレフィン共重合体
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれ
    か1項に記載の積層シート。
  5. 【請求項5】 上記架橋発泡シートを構成するエチレン
    系樹脂は、メルトインデックス0.5〜10g/10
    分、クロス分別法による94℃以上での溶出量5〜20
    重量%及び該溶出分の重量平均分子量1.5×105
    10×105 であるエチレン−α−オレフィン共重合体
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれ
    か1項に記載の積層シート。
  6. 【請求項6】 上記架橋発泡シートは、その単位重量当
    たりの融解エネルギー(示差走査熱量分析の融解ピーク
    面積から得られる熱量値/重量)が85mJ/mg以上
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれ
    か1項に記載の積層シート。
  7. 【請求項7】 上記架橋発泡シートは、その単位重量当
    たりの融解エネルギー(示差走査熱量分析の融解ピーク
    面積から得られる熱量値/重量)に含まれる120℃以
    上の融解エネルギーが60mJ/mgよりも大きく且つ
    140℃以上の融解エネルギーが40mJ/mgよりも
    大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれ
    か1項に記載の積層シート。
  8. 【請求項8】 上記架橋発泡シートは、メルトインデッ
    クスが5〜30g/10分のアイソタクチックホモポリ
    プロピレンを10〜90重量%含有することを特徴とす
    る請求項1、請求項2、請求項3、請求項6又は請求項
    7のいずれか1項に記載の積層シート。
  9. 【請求項9】 上記架橋発泡シートは、メルトインデッ
    クスが0.5〜15g/10分で且つ密度が0.95g
    /cc以上の高密度ポリエチレンを10〜90重量%含
    有することを特徴とする請求項1、請求項2、請求項
    3、請求項6、請求項7又は請求項8のいずれか1項に
    記載の積層シート。
  10. 【請求項10】 上記架橋発泡シートは、プロピレン系
    樹脂とエチレン系樹脂と熱分解型発泡剤とからなる発泡
    性樹脂組成物を押出機にて10,000ポイズ以下の溶
    融粘度で溶融混練して発泡性樹脂成形体を製造し、この
    発泡性樹脂成形体を架橋した後又は架橋と同時に発泡さ
    せることによって得られたものであることを特徴とする
    請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の積層シー
    ト。
  11. 【請求項11】 上記無機繊維シートを構成する無機繊
    維がガラス繊維であることを特徴とする請求項1乃至請
    求項10のいずれか1項に記載の積層シート。
  12. 【請求項12】 上記無機繊維シートを構成する無機繊
    維の繊維径が3〜19μmであるとともに繊維長が10
    〜50mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項
    11のいずれか1項に記載の積層シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008539098A (ja) * 2005-04-29 2008-11-13 ウッドブリッジ・フォーム・コーポレイション フォーム積層製品及びそれの製造方法
KR20180082687A (ko) * 2017-01-10 2018-07-19 주식회사 하도에프앤씨 차량 내외장재용 열 가소성 소재, 그 제조방법 및 이를 이용한 차량용 내외장재 성형품

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