JP2000078780A - 電気モータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ステータでの全体的な磁気抵抗を小さくし
て、モータ性能を向上させること。 【解決手段】 コイル５２ｂが装着されるティース部５
２ａとヨーク部５２ｃを連結してステータ５２を構成す
るようにした電気モータにおいて、ティース部５２ａに
方向性電磁鋼板を用いるとともに、ヨーク部５２ｃに透
磁率の方向性の小さい磁性材（低炭素鋼鋼管でも無方向
性電磁鋼板でも実施可能）を用いた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電気モータ（電動
機）に係り、特にステータの構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】電気モータの一つとして、コイルが装着
されるティース部とヨーク部を連結してステータを構成
するようにしたものがあり、例えば特開平９−１４９５
６９号公報に示されている。この公報に示されている電
気モータにおいては、ステータ（固定子鉄心）が電磁鋼
板（けい素鋼板）等の磁性材を軸方向に所定枚数積層す
ることにより形成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記した公報に示され
ている電気モータにおいては、ティース部及びヨーク部
（固定子鉄心）が電磁鋼板（けい素鋼板）等の磁性材を
軸方向に所定枚数積層することにより形成されていると
の記載があるものの、磁束形成に最適な電磁鋼板の具体
的な構成は示唆されておらず、磁束形成の構成に改善の
余地がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記した問題
に着目してなされたものであり、コイルが装着されるテ
ィース部とヨーク部を連結してステータを構成するよう
にした電気モータにおいて、前記ティース部に方向性電
磁鋼板を用いるとともに、前記ヨーク部に透磁率の方向
性の小さい磁性材を用いたことに特徴がある。

【０００５】この場合において、前記ティース部の前記
ヨーク部との連結部形状を凹形状とし、この凹形状の連
結部にて前記ティース部が前記ヨーク部に形成した凸部
に嵌合連結されるようにすること、前記ティース部の前
記ヨーク部との連結部形状を先細テーパ形状とし、この
先細テーパ形状の連結部にて前記ティース部が前記ヨー
ク部に形成した先広テーパ形状の凹部に嵌合連結される
ようにすること、前記ティース部の前記ヨーク部との連
結部形状を略矩形形状とし、この略矩形形状の連結部の
先端面にて前記ティース部が前記ヨーク部に形成した連
結平面に接合連結されるようにすることも可能である。

【０００６】

【発明の作用・効果】本発明による電気モータにおいて
は、一般的に直線状に形成されてヨーク部との連結部に
て磁束の方向が大きく変化（偏向）するティース部に方
向性電磁鋼板を用いるとともに、ヨーク部に透磁率の方
向性の小さい磁性材を用いたため、ティース部での磁気
抵抗を小さくすることができ、ティース部での透磁率を
上げることができるとともに、ティース部とヨーク部を
共に方向性電磁鋼板にて構成する場合に比して、ティー
ス部とヨーク部の連結部での磁気損失（方向性電磁鋼板
では磁気抵抗値の小さい方向に磁束が流れようとするた
め、連結部では特定の磁路に磁束が集中し、局所的に磁
束密度が上昇してヒステリシス損が増加する）を少なく
することができて、ステータでの全体的な磁気抵抗を小
さくすることができ、モータ性能を向上させることがで
きる。

【０００７】また、本発明の実施に際して、ティース部
のヨーク部との連結部形状を凹形状とし、この凹形状の
連結部にてティース部がヨーク部に形成した凸部に嵌合
連結されるようにした場合、またはティース部のヨーク
部との連結部形状を先細テーパ形状とし、この先細テー
パ形状の連結部にてティース部がヨーク部に形成した先
広テーパ形状の凹部に嵌合連結されるようにした場合、
或いはティース部のヨーク部との連結部形状を略矩形形
状とし、この略矩形形状の連結部の先端面にてティース
部がヨーク部に形成した連結平面に接合連結されるよう
にした場合には、ティース部とヨーク部の一般的な連結
構造、すなわちティース部のヨーク部との連結部形状を
略矩形形状とし、この略矩形形状の連結部にてティース
部がヨーク部に形成した略矩形の凹部に嵌合連結される
ようにした場合に比して、ティース部とヨーク部の連結
部にて磁束を高効率にて偏向させることができて、ティ
ース部での上記した特性を十分に活かしながら、ティー
ス部とヨーク部の連結部での磁気損失を可能な限り少な
くすることができ、ステータでの全体的な磁気抵抗を効
果的に小さくすることができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図
面に基づいて説明する。図１は本発明による電気モータ
５０を備えたラック・ピニオン型のステアリング装置を
示していて、このステアリング装置においては、車両の
左右方向に延在して配設されて車体（図示省略）に組付
けられるハウジング１０に対して入力軸２０、操舵軸３
０、ボールスクリュー機構４０及び電動モータ５０等が
組付けられている。

【０００９】入力軸２０は、ハウジング１０に回転可能
かつ軸方向へ移動不能に組付けられており、ハウジング
１０から突出した外端部にて自在継手，中間シャフト，
自在継手，ステアリングメインシャフト等を介してステ
アリングホイール（全て図示省略）にトルク伝達可能に
連結されるようになっている。また、入力軸２０は、内
端部に形成したピニオン（図示省略）にて操舵軸３０の
一側外周に形成したラック歯３１と操舵力伝達可能に係
合していて、その回転によって操舵軸３０を車両の左右
方向（操舵軸の軸方向）へ移動させるようになってい
る。

【００１０】操舵軸３０は、ラックバーともよばれるも
のであり、ピニオンに対応した部位（ラック歯３１を形
成した部位の背面部）をピニオンに対向して設けた周知
のラックガイド１１（ハウジング１０に組付けられてい
る）にて操舵軸３０の径方向に移動可能に弾性支持され
るとともに、左端部をエンドストッパ１２（ハウジング
１０に組付けられている）によって操舵軸３０の径方向
に移動不能に固定支持された状態で、車両の左右方向
（操舵軸の軸方向）へ移動可能かつ回転不能に組付けら
れていて、ハウジング１０を貫通しており、左右両端に
てタイロッド３２，３３とナックルアーム（図示省略）
を介して転舵輪（図示省略）に操舵力伝達可能に連結さ
れるようになっている。また、操舵軸３０には、ボール
スクリュー機構４０のねじ軸４１が一体的に形成されて
いて、このねじ軸４１の外周には螺旋溝が形成されてい
る。

【００１１】ボールスクリュー機構４０は、操舵軸３０
の弾性支持部（ラックガイド１１によって支持されてい
る部分）と固定支持部（エンドストッパ１２によって支
持されている部分）間にて電気モータ５０における回転
軸５１の回転を操舵軸３０の軸方向変位に変換して伝達
する回転変位変換手段であり、操舵軸３０に対して同軸
的に設けられていて、操舵軸３０に一体的に形成したね
じ軸４１と、このねじ軸４１の外周にて電気モータ５０
の回転軸５１に操舵軸回りに回転可能（回転軸５１と一
体回転可能）かつ操舵軸方向へ移動不能に組付けたナッ
ト４２と、このナット４２とねじ軸４１間にて薄肉円筒
状のケージ４３によって回転自在に保持されてねじ軸４
１外周に形成した螺旋溝とナット４２の内周に形成した
螺旋溝間に介装された多数のボール４４によって構成さ
れている。

【００１２】電気モータ５０は、ボールスクリュー機構
４０を介して操舵軸３０に軸方向の操舵助勢力を付与す
るものであり、操舵軸３０に対して同軸的に組付けられ
ていて、ハウジング１０にボール軸受１３，１４を介し
て回転可能かつ軸方向へ移動不能に組付けた筒状の回転
軸（出力軸）５１と、ハウジング１０の一部をも構成す
るステータ５２を備えており、その回転出力を周知の操
舵トルクセンサ（図示省略）や回転軸５１の回転を検出
するセンサＳ等からの信号に基づいて制御装置（図示省
略）によって制御されるようになっている。

【００１３】回転軸５１は、図１及び図２に示したよう
に、磁性材によって段付円筒状に形成した軸本体５１ａ
と、この軸本体５１ａの外周に等間隔にて配置されて固
着された１６個の永久磁石５１ｂによって構成されてい
る。各永久磁石５１ｂは、軸方向に長い形状であって、
内周側（一つ飛びにＳ極とされている）を内周に向けて
凸となる弧形状に形成され、また外周側（一つ飛びにＮ
極とされている）を回転軸５１の回転中心を中心とする
円弧形状に形成されており、周方向の両端部が中央部よ
り薄肉とされている。

【００１４】ステータ５２は、方向性電磁鋼板（方向性
けい素鋼板）を横長で所定形状（図３に示した形状）に
打ち抜いた後に環状に屈曲成形しその後に軸方向にて積
層して一体的に構成した１８個のティース部５２ａと、
各ティース部５２ａに装着されたコイル５２ｂと、これ
ら各コイル５２ｂとティース部５２ａを内部に収容する
ヨーク部５２ｃを備えていて、これらは接着性及び電気
絶縁性を有する樹脂にてモールドされて一体化されてい
る。各ティース部５２ａは、図２及び図３（図２の一部
を展開して概略的に示した図）に示したように、内周側
に周方向に延びる磁極部５２ａ１（各磁極部間は細幅に
形成されていて環状に屈曲成形されるとき折れ曲がるよ
うになっている）を有するとともに、外周側に先細テー
パ形状（傾斜角θは略４５度以下が望ましい）の連結部
５２ａ２を有していて、中間部がコイル装着部５２ａ３
とされており、連結部５２ａ２にてヨーク部５２ｃに設
けた先広テーパ形状の凹部５２ｃ１に嵌合連結されて組
付けられるようになっている。ヨーク部５２ｃは、磁路
形成体として機能しかつハウジング等構造体として利用
可能な磁性材によって構成されていて、その素材として
はティース部５２ａの方向性電磁鋼板に比して透磁率の
方向性の小さい磁性材である例えばＳ１０ＣまたはＳ１
５Ｃ等の低炭素鋼鋼管が採用されている。

【００１５】上記のように構成した本実施形態の電動式
パワーステアリング装置においては、操舵力が入力軸２
０のピニオンから操舵軸３０のラック歯３１形成部位に
直接伝達されるとともに、電気モータ５０の出力が制御
装置（図示省略）の制御下にてボールスクリュー機構４
０を介して操舵軸３０のねじ軸４１形成部位に伝達さ
れ、この電気モータ５０の出力（操舵助勢力）によって
操舵トルクが的確に助勢される。

【００１６】ところで、本実施形態の電気モータ５０に
おいては、図２及び図３に示したように、直線状に形成
されてヨーク部５２ｃとの連結部５２ａ２にて磁束（図
３の矢印参照）の方向が大きく変化（偏向）するティー
ス部５２ａに方向性電磁鋼板を用いるとともに、ヨーク
部５２ｃにティース部５２ａの方向性電磁鋼板に比して
透磁率の方向性の小さい磁性材である低炭素鋼鋼管を用
いたため、ティース部５２ａでの磁気抵抗を小さくする
ことができ、ティース部５２ａでの透磁率を上げること
ができるとともに、ティース部５２ａとヨーク部５２ｃ
を共に方向性電磁鋼板にて構成する場合に比して、ティ
ース部５２ａとヨーク部５２ｃの連結部での磁気損失
（ティース部５２ａを構成する方向性電磁鋼板では磁気
抵抗値の小さい方向（図３の垂直方向）に磁束が流れよ
うとするため、ティース部５２ａとヨーク部５２ｃの連
結部では特定の磁路に磁束が集中し、局所的に磁束密度
が上昇してヒステリシス損が増加する）を少なくするこ
とができて、ステータ５２での全体的な磁気抵抗を小さ
くすることができ、モータ性能を向上させることができ
る。

【００１７】また、本実施形態の電気モータ５０におい
ては、ティース部５２ａのヨーク部５２ｃとの連結部形
状を先細テーパ形状とし、この先細テーパ形状の連結部
５２ａ２にてティース部５２ａがヨーク部５２ｃに形成
した先広テーパ形状の凹部５２ｃ１に嵌合連結されるよ
うにした（方向性電磁鋼板で構成したティース部５２ａ
の連結部５２ａ２では、図３水平方向の磁束が可能な限
り発生しない形状とした）ため、ティース部のヨーク部
との連結部形状を略矩形形状とし、この略矩形形状の連
結部にてティース部がヨーク部に形成した略矩形形状の
凹部に嵌合連結されるようにした場合（ティース部を構
成する方向性電磁鋼板の特性が災いして、ティース部と
ヨーク部の連結部での磁気損失が大きくなる場合）に比
して、ヨーク部５２ｃとヨーク部５２ｃの連結部にて磁
束を高効率にて偏向させることができて、ティース部５
２ａでの上記した特性を十分に活かしながら、ティース
部５２ａとヨーク部５２ｃの連結部での磁気損失を可能
な限り少なくすることができ、ステータ５２での全体的
な磁気抵抗を効果的に小さくすることができる。

【００１８】また、上記のように構成した本実施形態の
電動式パワーステアリング装置においては、電気モータ
５０のヨーク部５２ｃが電動式パワーステアリング装置
のハウジング１０の一部としても利用できて、電動式パ
ワーステアリング装置をシンプルかつ小型に構成できる
とともに、ヨーク部５２ｃでの渦電流損（鉄損量）を利
用してステアリングのプリロードトルク（負荷）を発生
させることができて、車両の適切な走行安定性（逆入力
によるふらつき防止）を確保することが可能である。

【００１９】また、本実施形態においては、電気モータ
５０のヨーク部５２ｃを鋼管で構成したため、高価な電
磁鋼板の使用量を減らすことができるとともに、ヨーク
部５２ｃを安価に構成できて、電動式パワーステアリン
グ装置を安価に製作することができる。また、操舵軸３
０が電気モータ５０の回転軸５１内に同軸的に配置され
て貫通するラックバーであるため、電気モータ５０をラ
ックバーすなわち操舵軸３０の周囲にコンパクトに配置
して小径化を図ることができ、電動式パワーステアリン
グ装置を小型化することができる。

【００２０】上記実施形態においては、図２及び図３に
示したように、ティース部５２ａのヨーク部５２ｃとの
連結部形状を先細テーパ形状とし、この先細テーパ形状
の連結部５２ａ２にてティース部５２ａがヨーク部５２
ｃに形成した先広テーパ形状の凹部５２ｃ１に嵌合連結
されるようにして本発明を実施したが、例えば、図４及
び図５に示したように、ティース部１５２ａのヨーク部
１５２ｃとの連結部形状を略矩形形状とし、この略矩形
形状の連結部１５２ａ２の先端面にてティース部１５２
ａがヨーク部１５２ｃに形成した連結平面１５２ｃ１に
接合連結されるようにして本発明を実施すること、或い
は図６及び図７に示したように、ティース部２５２ａの
ヨーク部２５２ｃとの連結部形状を凹形状とし、この凹
形状の連結部２５２ａ２にてティース部２５２ａがヨー
ク部２５２ｃに形成した凸部２５２ｃ１に嵌合連結され
るようにして本発明を実施することも可能であり、ティ
ース部とヨーク部の連結部形状は適宜変更して実施し得
るものである。

【００２１】また、図２〜図７に示した上記各実施形態
においては、各ティース部５２ａ，１５２ａ，２５２ａ
を連続一体に形成するようにしたが、図８、図９及び図
１０に示したように、各ティース部５２ａ，１５２ａ，
２５２ａを分割別体に形成して本発明を実施することも
可能である。また、上記各実施形態においては、ヨーク
部５２ｃ，１５２ｃ，２５２ｃを低炭素鋼鋼管にて構成
したが、ヨーク部の外周にハウジングが配設される構成
の電気モータである場合には、方向性電磁鋼板に比して
透磁率の方向性の小さい磁性材である無方向性電磁鋼板
を積層してヨーク部を構成することも可能である。

【００２２】また、上記各実施形態においては、電動式
パワーステアリング装置に採用される電気モータ５０に
本発明を実施したが、本発明はコイルが装着されるティ
ース部とヨーク部を連結してステータを構成するように
した種々な電気モータに実施し得るものであり、上記各
実施形態に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明による電気モータを備えた電動式パワ
ーステアリング装置の一実施形態を示す全体図である。

【図２】 図１に示した電気モータの回転軸とステータ
の構成を示す図である。

【図３】 図２に示したステータにおけるティース部と
ヨーク部の連結構造を展開して概略的に示した図であ
る。

【図４】 電気モータの回転軸とステータの他の構成を
示す図である。

【図５】 図４に示したステータにおけるティース部と
ヨーク部の連結構造を展開して概略的に示した図であ
る。

【図６】 電気モータの回転軸とステータのその他の構
成を示す図である。

【図７】 図６に示したステータにおけるティース部と
ヨーク部の連結構造を展開して概略的に示した図であ
る。

【図８】 ティース部を分割別体にて構成した場合の図
３相当図である。

【図９】 ティース部を分割別体にて構成した場合の図
５相当図である。

【図１０】 ティース部を分割別体にて構成した場合の
図７相当図である。

【符号の説明】

１０…ハウジング、１１…ラックガイド、１２…エンド
ストッパ、１３，１４…ボール軸受、２０…入力軸、３
０…操舵軸、４０…ボールスクリュー機構、４１…ねじ
軸、４２…ナット、４３…ケージ、４４…ボール、５０
…電気モータ、５１…回転軸、５１ａ…軸本体、５１ｂ
…永久磁石、５２…ステータ、５２ａ…ティース部、５
２ａ１…磁極部、５２ａ２…先細テーパ形状の連結部、
５２ａ３…コイル装着部、５２ｂ…コイル、５２ｃ…ヨ
ーク部、５２ｃ１…先広テーパ形状の凹部、１５２ａ…
ティース部、１５２ａ２…略矩形形状の連結部、１５２
ｃ…ヨーク部、１５２ｃ１…連結平面、２５２ａ…ティ
ース部、２５２ａ２…凹形状の連結部、２５２ｃ…ヨー
ク部、２５２ｃ１…凸部。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 コイルが装着されるティース部とヨーク
   部を連結してステータを構成するようにした電気モータ
   において、前記ティース部に方向性電磁鋼板を用いると
   ともに、前記ヨーク部に透磁率の方向性の小さい磁性材
   を用いたことを特徴とする電気モータ。
2. 【請求項２】 前記ティース部の前記ヨーク部との連結
   部形状を凹形状とし、この凹形状の連結部にて前記ティ
   ース部が前記ヨーク部に形成した凸部に嵌合連結される
   ようにしたことを特徴とする請求項１記載の電気モー
   タ。
3. 【請求項３】 前記ティース部の前記ヨーク部との連結
   部形状を先細テーパ形状とし、この先細テーパ形状の連
   結部にて前記ティース部が前記ヨーク部に形成した先広
   テーパ形状の凹部に嵌合連結されるようにしたことを特
   徴とする請求項１記載の電気モータ。
4. 【請求項４】 前記ティース部の前記ヨーク部との連結
   部形状を略矩形形状とし、この略矩形形状の連結部の先
   端面にて前記ティース部が前記ヨーク部に形成した連結
   平面に接合連結されるようにしたことを特徴とする請求
   項１記載の電気モータ。