JP2009044799A - ブラシレスモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ブラシレスモータの出力の向上およびロストルクの低減を達成すること。
【解決手段】ステータコア29は、環状のヨーク31およびヨーク31から径方向Rの内方に延び且つ周方向Cに間隔を隔てて配置された複数のティース32を有している。ティース32の主体部41にコイル30が巻回されている。ステータコア29は電磁鋼板56を積層してなる。ステータコア29の径方向Rに関するティース32の内端部47に、ステータコア29の軸方向外方に延びる軸方向延伸突部52,53が設けられている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ブラシレスモータに関する。
通例、ブラシレスモータは、ロータとステータとを備えている(例えば、特許文献1,2および3参照)。
特開2005−224035号公報 特開2006−174525号公報 実開平6−29353号公報
このようなブラシレスモータにおいて、出力の向上およびロストルクの低減が要請されている。特に自動車の電動パワーステアリング装置に用いられるブラシレスモータは、比較的低い周波数域で使用されるときにロストルクが大きい傾向にあり、操舵フィーリングの低下が生じ易いことから、かかる要請が強い。本発明は、これらの課題を解決することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、互いに対向するステータ(25)およびロータ(24;24A)を備え、上記ステータは、環状のヨーク(31)およびヨークからステータ(25)の径方向(R)内方に延び且つステータの周方向(C)に間隔を隔てて配置された複数のティース(32)を有する環状のステータコアと、上記ティースの主体部(41)に巻回されたコイル(30)とを含み、上記ステータコアは電磁鋼板(56)を積層してなり、ステータコアの径方向に関するティースの内端(47)に、ステータコアの軸方向(X)外方に延びる軸方向延伸突部(52,53)が設けられていることを特徴とするブラシレスモータ(20)を提供するものである(請求項1)。
本発明によれば、ヒステリシス損失の小さい材料としての電磁鋼板を用いてステータコアを形成していることにより、ステータコアのヒステリシス損失を少なくできるので、ブラシレスモータの出力の更なる向上を達成できる。例えば軟磁性粉末材料を用いてステータコアを形成した場合と比べて、ステータコアのヒステリシス損失が小さくて済み、出力をより向上できる。また、軸方向延伸突部を設けていることにより、ステータコアを通過する磁束をより多くでき、更なる出力の向上を達成できる。
さらに、ステータコアのヒステリシス損失を少なくできる結果、ブラシレスモータのロストルクを低減できる。特に、電動パワーステアリング装置の操舵補助用の電動モータとしてブラシレスモータを用いたとき、ロストルクを低減して得られる効果が顕著である。具体的には、ステータコアのヒステリシス損失が大きいと、ロストルク、特に低周波数域でのロストルクが大きく、その結果、操舵フィーリングの低下が生じる。しかしながら、本発明によれば、ロストルクが低減されていることにより、操舵フィーリングの低下を確実に抑制することができる。
また、本発明において、上記ヨークに、上記ティースの主体部よりもステータコアの軸方向外方に延びる延伸部(42,43)が設けられている場合がある(請求項2)。この場合、ステータコアを通過する磁束をより多くでき、更なる出力の向上を達成できる。
また、本発明において、上記ステータコアの軸方向に関して、ステータコアは、ティースの主体部を有する第1の領域(57)と、上記軸方向延伸突部を有する第2の領域(58)とを含み、上記第1の領域において電磁鋼板が相対的に薄肉に形成され、上記第2の領域において電磁鋼板が相対的に厚肉に形成されている場合がある(請求項3)。
この場合、第2の領域の電磁鋼板の枚数を少なくできる。通例、電磁鋼板の表面および裏面には絶縁被膜が施されているが、電磁鋼板の枚数を少なくすることにより、ステータコアの軸方向に関する絶縁被膜の厚みの総和を少なくできる。その結果、絶縁被膜を設けることに起因する磁気抵抗を少なくでき、更なる出力の向上を達成できる。
なお、上記において、括弧内の数字は、後述する実施の形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態にかかる永久磁石型ブラシレスモータを備える電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。図1を参照して、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2に連結されているステアリングシャフト3と、ステアリングシャフト3に自在継手4を介して連結されている中間軸5と、この中間軸5に自在継手6を介して連結されているピニオン軸7と、ピニオン軸7の先端部に設けられたピニオン8に噛み合うラック9を形成し且つ車両の左右方向に延びるラック軸10とを有している。
ラック軸10の両端部にはそれぞれタイロッド11が連結されており、各タイロッド11は、対応するナックルアーム(図示せず)を介して対応する車輪12に連結されている。操舵部材2が操作されてステアリングシャフト3が回転されると、この回転は中間軸5等を介してピニオン8に伝達され、ピニオン8およびラック9によって、車両の左右方向に沿うラック軸10の直線運動に変換される。これにより車輪12の転舵が達成される。
ステアリングシャフト3は、操舵部材2に連なる入力軸としての第1の操舵軸13と、自在継手4に連なる出力軸としての第2の操舵軸14とを有している。これら第1および第2の操舵軸13,14は、トーションバー15を介して互いに同軸的に連結されている。
トーションバー15の近傍には、トーションバー15のねじれに起因する第1の操舵軸13と第2の操舵軸14との相対回転変位量を検出するトルクセンサ16が設けられている。このトルクセンサ16の検出信号は、制御部17に与えられる。制御部17は、トルクセンサ16からの検出信号に基づいて操舵部材2に加えられた操舵トルクを算出する。そして、算出した操舵トルクや車速センサ18からの車速検出信号等に基づいて、ドライバ19を介して、操舵補助用のブラシレスモータ20の駆動を制御する。これにより、ブラシレスモータ20(以下、単にモータ20ともいう。)が駆動し、モータ20の出力軸21の出力回転が、歯車装置としての減速機22で減速された後、第2の操舵軸14へ伝達される。第2の操舵軸14に伝えられた動力は、さらに中間軸5等を介して、上記ラック軸10、タイロッド11およびナックルアーム等を含む舵取り機構23に伝えられ、運転者の操舵が補助される。
図2は、モータ20の概略構成を示す断面図である。図3は、図2のIII−III線に沿う断面図である。図2および図3を参照して、モータ20は、例えば、3相ブラシレスモータであって、後述する永久磁石27の磁極26の数P=8且つスロット39の数S=12の、8極12スロットのブラシレスモータである。
モータ20は、出力軸21に同行回転可能に連結された環状のロータ24と、ロータ24の周囲を取り囲むことによりロータ24と対向するステータ25とを備えている。
ロータ24は、ロータ24の周方向に交互に異なる磁極26を有する永久磁石27を配列してなる。永久磁石27の内周面は、環状のロータコア28の外周面に固定されている。ロータコア28には、モータ20の出力軸21が同行回転可能に連結されている。
永久磁石27は、複数の円弧状の磁石を環状に並べたセグメント磁石であってもよいし、環状のリング磁石であってもよい。永久磁石27は、後述するティース32の内端部47とロータ27の軸方向の全域に亘って対向している。
各磁極26は、ロータ24の周方向に関して、N極とS極とが交互に配置されている。各磁極26は、ロータ24の軸方向と平行に延びており、スキューが施されていない。なお、各磁極26をロータ24の軸方向に対して傾斜した方向に延ばすことによりスキューを施してもよい。
ステータ25は、環状のステータコア29と、このステータコア29に保持された複数のコイル30とを含んでいる。なお、以下では、単に「軸方向X」というときには、ステータコア29の軸方向Xをいうものとし、「径方向R」、というときには、ステータコア29の径方向Rをいうものとし、「周方向C」というときには、ステータコア29の周方向Cをいうものとする。
ステータコア29は、環状のヨーク31と、このヨーク31からステータコア29の径方向Rの内方に延びる複数のティース32とを含む。
ヨーク31は円筒状をなしており、ロータ24の外周を取り囲んでいる。ヨーク31は、モータ20のハウジングとしても機能している。軸方向Xに関するヨーク31の一端部33および他端部34には、それぞれ、端壁35,36が設けられている。これらの端壁35,36によって、ヨーク31の開口が覆われている。
一方の端壁35は、軸受37を介して出力軸21を回転自在に支持している。他方の端壁36は、軸受38を介して出力軸21を回転自在に支持している。ティース32は、ステータコア29の周方向Cにスロット39を挟んで等間隔に配置されている。
図4は、ステータコア29の要部の模式的な斜視図である。図2および図4を参照して、ティース32は、コイル30が集中巻きによって巻回される主体部41を含んでいる。主体部41は、軸方向Xとは平行に延びており、軸方向Xに関するヨーク31の中間部40に連なっている。
ティース32の主体部41よりもステータコア29の軸方向Xの外方に延びる延伸部42,43が、ヨーク31に設けられている。一方の延伸部42は、ヨーク31の中間部40に対して軸方向Xの一方X1側に延びている。他方の延伸部43は、ヨーク31の中間部40に対して軸方向Xの他方X2側に延びている。各延伸部42,43は、それぞれ、対応する端壁35,36に接続されている。軸方向Xに関して、各延伸部42,43の長さは互いに等しくされている。
図5は、図4のV−V線に沿う断面図である。図4および図5を参照して、軸方向Xに関するティース32の主体部41の中間部44は、横幅が一定にされている。軸方向Xに関するティース32の主体部41の一端部45および他端部46は、それぞれ、当該軸方向Xの外方に滑らかに凸湾曲した形状をなしている。主体部41の一端部45および他端部46の断面形状は、それぞれ、例えば半楕円形形状をなしており、先鋭な形状を含んでいない。
これにより、主体部41に巻回されているコイル30(図5において、コイル30を2点鎖線で図示)と主体部41との接触を滑らかにでき、コイル30に局所的に大きな力が作用することを防止している。すなわち、コイル30に応力集中が生じないようにしている。
図4を参照して、径方向Rに関するティース32の内端部47は、磁束の通過量をより多くするための構成を有している。具体的には、軸方向Xに沿ってみたときに内端部47は円弧状をなしている。また、内端部47は、軸方向Xに並ぶ複数の段部としての第1の段部48および第2の段部49を含んでいる。
第1の段部48は、相対的に軸方向Xの一方X1側に配置されており、第2の段部49は、相対的に軸方向Xの他方X2側に配置されている。軸方向Xに関して、第1および第2の段部48,49の長さは互いに等しくされている。
所定の基準線Bの延びる方向に沿ってみたとき、第1および第2の段部48,49は、当該所定の基準線Bを中心とする点対称形状をなしている。基準線Bは、第1および第2の段部48,49の境界部50の中心51を通り且つ径方向Rに沿って延びている。周方向Cに関して、第1および第2の段部48,49は、主体部41の両側方に突出している。
図2および図4を参照して、第1および第2の段部48,49は、それぞれ、ティース32の主体部41に対して軸方向Xの外方に延びる軸方向延伸突部52,53を含んでいる。第1の段部48の軸方向延伸突部52は、主体部41に対して軸方向Xの一方X1側に突出しており、第2の段部49の軸方向延伸突部53は、主体部41に対して軸方向Xの他方X2側に突出している。
軸方向Xに関して、主体部41に対する各軸方向延伸突部52,53の突出量Dは互いに等しくされている。この突出量Dは相対的に少なくされており、軸方向Xに関する主体部41からの各ヨーク31の延伸部42,43の突出量Eは相対的に多くされている。
ヨーク31の一方の延伸部42、ティース32の一端部45および第1の段部48の軸方向延伸突部52によって区画された溝54に、コイル30の一部が収容されている。同様に、ヨーク31の他方の延伸部43、ティース32の他端部46および第2の段部49の軸方向延伸突部53よって区画された溝55に、コイル30の一部が収容されている。
図3および図4を参照して、周方向Cに関する第1および第2の段部48,49の位置が、所定のスキュー角度θだけ互いにずらされている。スキュー角度θは、下記式(1)または下記式(2)で表されるθ1を用いて、下記式(3)で表される角度範囲内に設定されている。
θ1=360/〔2×LCM(P,S)〕…(1)
θ1=360/(6×P)…(2)
θ1−a≦θ≦θ1+a…(3)
ただし、LCM(P,S)は磁極26の数Pおよびスロット39の数Sの最小公倍数であり、aは角度公差である。
上記角度公差aは、例えば、1°に設定されている。スキューに関連する寸法公差を十分に確保しつつ、スキュー角度θを設けることによるコギングトルクの抑制効果を十分に発揮できる範囲の角度公差として、上記の角度公差が好ましい。
本実施の形態において、LCM(P,S)=LCM(8,12)=24となる。したがって、上記式(1)より、θ1=360/(2×24)=7.5°となり、スキュー角度θは、上記式(3)より、7.5°−1°≦θ≦7.5°+1°、すなわち、6.5°≦θ≦8.5°の角度範囲内に設定される。
なお、θ1は、上記式(2)より、θ1=360/(6×8)=7.5となり、上記式(3)より、7.5°−1°≦θ≦7.5°+1°、すなわち、6.5°≦θ≦8.5°の角度範囲内に設定されてもよい。
上記式(1)のうち、数字の「2」は、ティース32の内端部47が2段積み(第1および第2の段部48,49)にされていることを示している。また、LCM(P,S)は、コギングトルクによる振動の基本次成分を示している。
また、上記式(2)のうち、数字の「6」は、ブラシレスモータのロータのトルクリップルによる振動の一般的な基本次成分が6次成分であることを示している。
スキュー角度θを設けることにより、モータ20のコギングトルクを確実に抑制することができる。
図2および図5を参照して、本実施の形態の特徴の1つは、ステータコア29が電磁鋼板56を軸方向Xに積層してなる点にある。すなわち、ステータコア29は、軟磁性粉末材料等を用いることなく、電磁鋼板56のみを用いて形成されている。
電磁鋼板56は、板材をプレス加工等して形成されている。電磁鋼板56として、例えば、鉄等の強磁性体に珪素が添加され、且つ表面および裏面に絶縁処理が施された珪素鋼板を例示することができる。電磁鋼板56は、相対的に薄肉の薄肉電磁鋼板561と、相対的に厚肉の厚肉電磁鋼板562とを含んでいる。
薄肉電磁鋼板561の肉厚F1は、例えば0.35mmとされ、厚肉電磁鋼板562の肉厚F2は、例えば0.5mmとされている。なお、肉厚が同じである電磁鋼板のみを用いてステータコア29を形成してもよい。
軸方向Xに関して、ステータコア29は、ティース32の主体部41を有する第1の領域57と、軸方向延伸突部52,53およびヨーク31の延伸部42,43を有する第2の領域58とを含んでいる。
第1の領域57に薄肉電磁鋼板561が配置されており、第2の領域58に厚肉電磁鋼板562が配置されている。軸方向Xに沿っての薄肉電磁鋼板561の枚数が相対的に多くされ、軸方向Xに沿っての厚肉電磁鋼板562の枚数が相対的に少なくされている。
第1の領域57のうちティース32の主体部41の中間部44を含み軸方向Xに直交する断面において、薄肉電磁鋼板561は、図6(A)に示すように、ヨーク形成部59およびティース形成部60を有している。
図5を参照して、第1の領域57のうちティース32の主体部41の一端部45または他端部46を含み軸方向Xに直交する断面において、薄肉電磁鋼板561は、図6(B)および図6(C)に示すように、軸方向Xの外方に進むに従い形状が変化している。具体的には、軸方向Xの外方に進むに従い、ティース32の主体部41の横幅が細くなる形状とされている。
図5および図6(D)を参照して、第2の領域58のうちティース32の内端部47を含み軸方向Xに直交する断面において、厚肉電磁鋼板562は、ティース形成部60と、ヨーク形成部59とを含んでおり、これらティース形成部60およびヨーク形成部59が径方向Rに離隔して配置されている。
図2および図6(E)を参照して、第2の領域58のうちティース32の内端部47よりも軸方向Xの外方に位置し軸方向Xに直交する断面において、厚肉電磁鋼板562は、ヨーク形成部59のみを含んでいる。
軸方向Xに隣接する電磁鋼板56同士は、互いに固定されている。具体的には、例えば、図7に示すように、各電磁鋼板56にかしめ部62が形成されている。かしめ部62は、プレス加工を施して電磁鋼板56の表面を加圧することより電磁鋼板56の裏面に膨出させて形成することができる。かしめ部62は、各電磁鋼板56のヨーク形成部59に少なくとも1つ(本実施の形態において、周方向Cに等間隔に2つ)形成されている。
また、ティース形成部60を含む電磁鋼板56にかしめ部63が設けられている。かしめ部63は、電磁鋼板56のティース形成部60に少なくとも1つ(本実施の形態において、周方向Cに等間隔を隔てて2つ)形成されている。
表面および裏面の向きが揃えられた状態で電磁鋼板56が積層されることにより、各電磁鋼板56の対応するかしめ部62同士および対応するかしめ部63同士が互いに係合し、隣り合う電磁鋼板56が互いに固定される。
ステータコア29は、例えば、ステータコア29の各軸方向位置の断面形状に合致する形状にプレス成形された電磁鋼板56を積層して形成される。なお、ステータコア29は、例えば、図7に示す形状の電磁鋼板56を積層した後、不要な箇所を切削加工により削ることで形成してもよい。
以上の次第で、本実施の形態によれば、ヒステリシス損失の小さい材料としての電磁鋼板56を用いてステータコア29を形成している。これにより、ステータコア29のヒステリシス損失を少なくできるので、モータ20の出力の更なる向上を達成できる。
例えば、軟磁性粉末材料を用いてステータコアを形成した場合と比べて、本実施の形態では、ステータコア29のヒステリシス損失が小さくて済み、モータ20の出力をより向上できる。また、各ティース32に軸方向延伸突部52,53を設けていることにより、ステータコア29を通過する磁束をより多くでき、更なる出力の向上を達成できる。
さらに、ステータコア29のヒステリシス損失を少なく出来る結果、モータ20のロストルクを低減できる。特に、電動パワーステアリング装置1の操舵補助用の電動モータとしてのモータ20は、ロストルクを低減して得られる効果が顕著である。
具体的には、ステータコア29のヒステリシス損失が大きいと、ロストルク、特に低周波数域でのロストルクが大きく、その結果、操舵フィーリングの低下が生じる。しかしながら、本実施の形態によれば、このロストルクが低減されていることにより、操舵フィーリングの低下を確実に抑制することができる。
また、ヨーク31に、ティース32の主体部41よりも軸方向Xの外方に延びる延伸部42,43が設けられている。これにより、ステータコア29を通過する磁束をより多くでき、モータ20の更なる出力の向上を達成できる。
さらに、第1の領域57において薄肉電磁鋼板561を用い、第2の領域58において厚肉電磁鋼板562を用いている。これにより、第2の領域58において、電磁鋼板56の枚数を少なくできる。電磁鋼板56の表面および裏面には絶縁被膜が施されているが、第2の領域58の電磁鋼板56(厚肉電磁鋼板562)の枚数を少なくすることにより、軸方向Xに関する絶縁被膜の厚みの総和を少なくできる。その結果、絶縁被膜を設けることに起因する磁気抵抗を少なくでき、モータ20の更なる出力の向上を達成できる。
また、例えば、軟磁性粉末材料を用いてステータコアを形成する場合には、当該材料をステータコアの形状にするために当該材料を型に入れてプレス圧を負荷する必要があるが、このとき負荷し得るプレス圧には限界がある。したがって、ステータコアの形状の自由度に限界があり、ステータコアを、周方向に複数に分割された分割コアで形成せざるを得ない場合がある。しかしながら、本実施の形態では、薄肉の電磁鋼板56を用いているので、少ないプレス圧で容易に電磁鋼板56をプレス成形でき、形状の自由度が高い。
さらに、ロータ24の永久磁石27の外周面の曲率半径を一定にしていることから、永久磁石27の着磁等を容易にでき、永久磁石27の製造が容易であり、ロータ24の製造がより容易である。また、ティース32の内端部47の第1および第2の段部48,49の位置を周方向Cにスキュー角度θだけずらすという簡易な構成により、コギングトルクを確実に抑制できる。
例えば、コギングトルクを低減するために、永久磁石27の外周面の曲率半径を周方向Cの位置によって変化させるいわゆる偏肉構造を採用した場合や、永久磁石27を軸方向Xに複数段設けて各段の永久磁石の周方向の位置をずらす構造を採用した場合には、永久磁石27の製造に手間がかかって生産性が低下する上に、低減できないコギングトルク成分が存在する。しかしながら、本実施の形態では、このような不具合を防止できる。
また、ステータコア全体をスキューさせた場合には、コイルの占積率を上げ難いが、本実施の形態では、ステータコア29のうちのティース32の内端部47のみを段積みにすることで第1および第2の段部48,49の周方向Cの位置をずらしているので、ティース32の主体部41をスキューしておらず、コイルの占積率を十分に確保できる。
さらに、ティースの内端部を軸方向に対して傾斜させてスキューさせる方法も考えられるが、この場合、ティース内端部の位置を周方向に連続的に変化する必要があるため、ティース形成部を形成するためのプレス機のパンチ位置の調整が絶えず必要となり、生産性が低下し、且つトルク定数の低下を招いてしまう。しかしながら、本実施の形態によれば、ティース32の内端部47のうち周方向Cの位置が変化するのは第1および第2の段部48,49の境界部50の1箇所だけである。その結果、プレス機のパンチ位置の調整を行う回数が少なくて済み、パンチ位置の調整時間を低減できるとともに、ステータコア29の製造が容易である。
また、ティース32の主体部41のうち、軸方向Xの一対の端部45,46を凸湾曲させている結果、コイル30の巻線の占積率をより高くでき、その結果、トルク定数の低減を抑制できる。
本発明は、以上の実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。例えば、ヨーク31の延伸部42,43を廃止してもよい。
また、電磁鋼板56同士を溶接によって固定してもよい。具体的には、図8(A)および図8(B)に示すように、YAG(Yittrium Aluminium Garnet)レーザ等を用いたレーザビーム溶接を行うことにより、各電磁鋼板56の少なくとも1箇所を互いに固定することができる。この場合、例えば、各電磁鋼板56のヨーク形成部59の外周部同士を溶接金属64で互いに固定している。また、ティース形成部60を含む電磁鋼板56のティース形成部60の内径側端部同士が溶接金属65で互いに固定されている。
また、電磁鋼板56同士を接着剤を用いて積層固定してもよい。この場合の接着剤として、例えば、絶縁被膜としての粉体塗装膜を用いることができる。粉体塗装膜は、例えば、予熱された電磁鋼板56を粉体塗料中に浸漬させ、電磁鋼板56の予熱を利用して粉体塗料を電磁鋼板56に付着溶融させる流動浸漬法や、粉体塗料を電気的に電磁鋼板56に付着させ、付着した粉体塗料を加熱溶融させる静電塗着法により形成された膜である。
上記粉体塗料としては、例えば、絶縁性を有する熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の粉体を含むものが挙げられる。絶縁性を有する熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。絶縁性を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ナイロン、ポリエチレン、フッ素樹脂等が挙げられる。
また、電磁鋼板56のうち、ティース32の軸方向延設突部52,53を形成する電磁鋼板56同士のみをかしめ固定または溶接固定するとともに、残余の電磁鋼板56同士を接着等により固定してもよい。この場合、上記残余の電磁鋼板56同士は、かしめ固定および溶接固定を除く固定構造により互いに固定される。
さらに、図9に示すように、永久磁石27Aを用いたロータ24Aを設けてもよい。各永久磁石27Aにおいて、外周面の断面は半楕円形形状をなしており、周方向Cの中央部に進むに従い外周面が径方向Rの外方に突出している。
本発明の一実施の形態にかかる永久磁石型ブラシレスモータを備える電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。 モータの概略構成を示す断面図である。 図2のIII−III線に沿う断面図である。 ステータコアの要部の模式的な斜視図である。 図4のV−V線に沿う断面図である。 (A)は図5のVIA−VIA線に沿う断面図であり、(B)は図5のVIB−VIB線に沿う断面図であり、(C)は図5のVIC−VIC線に沿う断面図であり、(D)は図5のVID−VID線に沿う断面図であり、(E)は第2の領域のうちティース形成部よりも軸方向外方にある電磁鋼板の断面図である。 電磁鋼板の平面図である。 (A)は本発明の別の実施の形態の要部の断面図であり、(B)は図8(A)のVIIIA−VIIIA線に沿う断面図である。 本発明のさらに別の実施の形態の要部の断面図である。
符号の説明
20…ブラシレスモータ、24,24A…ロータ、25…ステータ、29…ステータコア、30…コイル、31…ヨーク、32…ティース、41…(ティースの)主体部、42,43…延伸部、47…内端部(内端)、52,53…軸方向延伸突部、56…電磁鋼板、57…第1の領域、58…第2の領域、C…周方向、R…径方向、X…軸方向。

Claims (3)

  1. 互いに対向するステータおよびロータを備え、
    上記ステータは、環状のヨークおよびヨークからステータの径方向内方に延び且つステータの周方向に間隔を隔てて配置された複数のティースを有する環状のステータコアと、上記ティースの主体部に巻回されたコイルとを含み、
    上記ステータコアは電磁鋼板を積層してなり、
    ステータコアの径方向に関するティースの内端に、ステータコアの軸方向外方に延びる軸方向延伸突部が設けられていることを特徴とするブラシレスモータ。
  2. 請求項1において、上記ヨークに、上記ティースの主体部よりもステータコアの軸方向外方に延びる延伸部が設けられているブラシレスモータ。
  3. 請求項1または2において、上記ステータコアの軸方向に関して、ステータコアは、ティースの主体部を有する第1の領域と、上記軸方向延伸突部を有する第2の領域とを含み、
    上記第1の領域において電磁鋼板が相対的に薄肉に形成され、上記第2の領域において電磁鋼板が相対的に厚肉に形成されているブラシレスモータ。
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