JP2000077267A - ニオブ酸系誘電体材料、容量可変素子及びその製造方法 - Google Patents

ニオブ酸系誘電体材料、容量可変素子及びその製造方法

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JP2000077267A
JP2000077267A JP24539598A JP24539598A JP2000077267A JP 2000077267 A JP2000077267 A JP 2000077267A JP 24539598 A JP24539598 A JP 24539598A JP 24539598 A JP24539598 A JP 24539598A JP 2000077267 A JP2000077267 A JP 2000077267A
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variable capacitance
dielectric
capacitance element
heat treatment
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Sakiko Sato
咲子 佐藤
Yoshiyuki Masuda
義行 増田
Noboru Otani
昇 大谷
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、セラミック基板上にも容易に形成
でき、小型で低電圧で容量変化が大きく、1GHz以上
の周波数でもキャパシタ特性が劣化せず、簡易な印刷法
でも製造可能な小型で優れた低コストの容量可変素子を
提供することを目的としている。 【解決手段】 式(Ax1-x)Nb26(式中、AはS
r、K、Na及びLi、BはBa、Ca及びMgの中か
ら選択される元素、0<x≦1である)で表され、タン
グステンブロンズ型構造の結晶構造を有し、かつ外部電
界により誘電率が変化するニオブ酸系誘電体材料、該誘
電体材料を用いた容量可変素子及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニオブ酸系誘電体
材料、容量可変素子及びその製造方法に関し、より詳細
には高周波素子用キャパシタ等に応用することができ、
電圧印加によりその容量を大きく変化させることが可能
なニオブ酸系誘電体材料、この誘電体材料を用いた容量
可変素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、容量可変素子として、(a)バリ
キャップダイオードやバラクタなどのSiやGaAs半
導体のpn接合を用いる構造のもの、(b)バルクの強
誘電体に電圧を印加し、誘電率が減少することを利用し
た可変コンデンサ(特開昭63−000423号に開
示)が挙げられる。
【0003】このうち、(a)のpn接合を用いる構造
のものは一般に利用されているが、(b)の可変コンデ
ンサはまだ実用化されていない。また最近、常誘電体で
あるチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)薄膜(A.W
alkenhorst et al.,Appl.Phys.Lett.60(1992)1744)
や、強誘電体であるチタン酸ストロンチウムバリウム
(Ba,Sr)TiO3薄膜(Cem Bascri et.al.,J.App
l.Phys 82(1997)2497)について、電圧印加による非線
形な誘電率変化が報告されるとともに、(c)これらチ
タン酸ストロンチウムやチタン酸ストロンチウムバリウ
ム等のペロブスカイト構造強誘電体酸化物薄膜を用いた
容量可変素子が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記容量可変素子のう
ち、(a)は一般にSiやGaAsの単結晶半導体材料
のpn接合を利用するため、セラミック基板上にモノリ
シックに形成できず、ディスクリート部品として利用さ
れている。(b)の可変コンデンサではバルクの強誘電
体セラミックシート材を積層して用いているため、薄膜
デバイスとして小型化することは困難であり、強誘電体
自体の膜厚が厚いため、印加する電圧も大きく、低電圧
化が困難である。また、この可変コンデンサでは、バル
ク強誘電体を用いるため、強誘電体のヒステリシス特性
によって、1GHz以上の周波数ではキャパシタとして
動作しない等の欠点を有している。
【0005】さらに、(c)のチタン酸ストロンチウム
バリウム(Ba,Sr)TiO3系薄膜の電圧印加によ
る誘電率変化を利用した容量可変素子では、1μm以下
の膜厚の薄膜を用いるため、ヒステリシス特性が抑制さ
れ、低損失とすることができ、10GHz帯以上でも容
量可変素子として動作させることができるとともに、数
Vでの低電圧動作も可能であるという利点を有してい
る。しかし、その誘電率は誘電体の組成、プロセス条件
に依存するものの、一般に200〜300と高く、非線
形誘電率特性を保持したまま、低誘電率化(例えば誘電
率100以下)を図ることは材料特性上困難である。
【0006】一方、プロセスの低コスト化のためには印
刷法等の安価な電極形成方法の採用が不可欠であり、上
記容量可変素子においても、誘電体材料の低誘電率化が
強く望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、式(A
x1-x)Nb26(式中、AはSr、K、Na及びL
i、BはBa、Ca及びMgの中から選択される元素で
あり、0<x≦1である)で表され、タングステンブロ
ンズ型構造の結晶構造を有し、かつ外部電界により誘電
率が変化する誘電体材料が提供される。
【0008】また、本発明によれば、下部電極、上記誘
電体材料からなる誘電体薄膜及び上部電極が順次積層さ
れて構成され、かつヒステリシス特性を持たない容量可
変素子が提供される。さらに、本発明によれば、下部電
極上に塗布熱分解法により誘電体薄膜を形成し、該誘電
体薄膜上に上部電極を形成することからなる上記容量可
変素子の製造方法が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における誘電体材料は、式
(Ax1-x)Nb26 (I)(式中、AはSr、K、
Na及びLi、BはBa、Ca及びMgの中から選択さ
れる元素であり、0<x≦1である)で表される。ま
た、この誘電体材料は、タングステンブロンズ型構造の
結晶構造を有し、かつ外部電界により誘電率が変化す
る。
【0010】本発明の誘電体材料としては、例えば、
(Sry Ba1-y )Nb26(0.5≦y≦1)、(S
x Ca1-x )Nb26、(Srx Mg1-x )Nb
26、(K 2xBa1-x )Nb26、(Li2xBa1-x
Nb26(0<x≦1)等が挙げられる。また、本発明
において外部電界により誘電率が変化するとは、例え
ば、上記誘電体材料が下部電極と上部電極との間に挟持
され、上下部電極間に電圧を印加した場合等に、誘電体
材料の容量を変化させることができるものである。具体
的には、上下部電極の少なくとも一方にバイアス電圧を
印加することにより容量を変化させることができるもの
であり、さらにはこのバイアス電圧の印加により、誘電
体材料の誘電率を電圧の変化に応じて変化させることが
できるものである。上下部電極に印加する電圧は、誘電
体材料の種類、膜厚又は用途等により適宜調整すること
ができるが、例えば、誘電体のリーク電流、電源の実用
性等の観点から、±20V程度以下、好ましくは±5V
程度が挙げられる。また、印加電圧に対応して変化する
容量の変化率(〔電圧印加後の容量−0Vでの容量〕/
0Vでの容量×100)は、大きければ大きいほど好ま
しく、例えば−50%程度以上、より好ましくは−90
%程度が挙げられる。さらに、上記印加電圧に応じて変
化する誘電体の誘電率は、誘電体材料の種類、誘電体膜
厚、上部電極の電極面積及びその形成方法、上部電極の
加工精度等により異なるが、例えば、50〜1000程
度が挙げられる。なお、後述するように、誘電体材料が
印刷法により形成される場合には、誘電率は400以下
が好ましい。
【0011】本発明における容量可変素子は、下部電
極、上記誘電体材料からなる誘電体薄膜及び上部電極が
順次積層されて構成される。また、この容量可変素子
は、ヒステリシス特性をもたない。本発明において、ヒ
ステリシス特性をもたないとは、残留分極(Pr)をも
たないことを意味する。
【0012】また、本発明の容量可変素子は、基板上に
形成されることが好ましい。使用することができる基板
としては、特に限定されるものではなく、高周波での誘
電損が小さいもの、例えば、アルミナ等のセラミック基
板、ガラス基板、樹脂基板等の絶縁性基板、シリコン、
ゲルマニウム等の半導体基板及びGaAs、InGaA
s等の化合物半導体基板等を用いることができる。なか
でも、強度、耐熱性、コスト等の点でセラミック基板が
好ましい。また、本発明に使用することができる基板
は、その表面にSiNx、SiO2 等の絶縁膜、所望の
回路を構成する素子やこれらを被覆する層間絶縁膜、基
板上に形成する電極層との密着性を良好にするための接
着層(例えば、タンタル、チタン、窒化チタン等)又は
これらが組み合わされて形成されていてもよい。
【0013】本発明の容量可変素子における下部電極及
び上部電極を構成する材料は、通常電極材料として使用
することができ、後工程における熱処理に耐えることが
できるものであれば、その材料は特に限定されるもので
はない。例えば、金、白金、銀、パラジウム等の単独又
は合金等の種々の金属を挙げることができる。なかで
も、高周波領域での使用可能な容量可変素子を形成する
場合、導体損が少ない金が好ましい。なお、上部電極材
料が下部電極材料と同じである必要はない。
【0014】上下部電極の形成方法としては、上記電極
材料を、公知の方法、例えば、電子ビーム蒸着法、スパ
ッタ法等の真空プロセス;印刷法、MOD法、ゾルゲル
法等の塗布熱分解法等種々の方法で所望の膜厚に形成す
ることができる。なかでも、低コスト化及び後工程で形
成する誘電体薄膜のプロセスにおける耐熱性の観点か
ら、塗布熱分解法、なかでも電極材料のペーストを用い
たスクリーン印刷法等の簡易プロセスが特に好ましい。
また、上記電極材料は、上記電極材料を形成した後、フ
ォトリソグラフィ及びエッチング法、リフトオフ等によ
り所望の形状にパターニングすることができる。
【0015】下部電極及び上部電極の膜厚は、容量可変
素子を搭載するデバイスの種類により異なるが、例えば
1GHz以上の高周波で使用する場合には、導体損を低
減するため膜厚は0.5μm以上、さらに、0.5〜5
μm程度が好ましい。また、上述したように、下部電極
及び上部電極の接着性等を改善するために、下部電極と
下層との間、上部電極直下に、後工程での熱処理に耐え
得る接着層等を形成してもよい。
【0016】さらに、下部電極及び上部電極の形状とし
ては、得ようとする容量、用途、印加電圧等により適宜
調整することができる。例えば、下部電極としては、プ
レート状の形状が挙げられ、上部電極としては、上部電
極の全面が誘電体薄膜と接触している形状、誘電体全面
を被覆する形状、誘電体との間の一部にエアーブリッジ
を有する形状等の種々の形状及び構造のものが挙げられ
る。
【0017】本発明の容量可変素子における誘電体薄膜
は、上記誘電体材料を薄膜状に形成することにより使用
することができる。この誘電体薄膜は、上記の下部電極
上に、公知の方法、例えばスパッタ法、印刷法、蒸着
法、ゾルゲル法、MOCVD法、MOD法等の種々の方
法で所望の膜厚に形成することができるが、なかでも、
低コスト化及び組成制御の容易性の観点から、塗布熱分
解法、ことにゾルゲル法及び印刷法等により形成するこ
とが好ましい。
【0018】誘電体薄膜の膜厚は、容量可変素子の大き
さ、印加電圧、用途、形成方法等に応じて適宜調整する
ことができ、例えば50nm〜3μm程度が挙げられ
る。なお、この誘電体薄膜は、1層で形成されていても
よいし、2層以上で形成されていてもよい。また、2層
以上で形成する場合には、誘電体薄膜の組成割合は、同
じでもよいし、段階的又は連続的に変化させてもよく、
さらに、上記誘電体材料以外の誘電体材料、例えば、
(Baz Sr1-z )TiO3(0<z≦1)、Ba(Z
x Ti1-x )O3(0.05≦x≦0.3)、Ba
(Hfx Ti1-x )O3(0.05≦x≦0.3)、
(Bay Sr1-y )(Hfx Ti1-x )O3(0.6≦
y<1、0.05≦x≦0.2)、(Bay Sr1-y
(Zrx Ti1-x )O3(0.6≦y<1、0.05≦
x≦0.2)、(Ba1-x Mgx )TiO3(0.05
≦x≦0.3)、(Ba1-x Cax )TiO3(0.0
5≦x≦0.3)、(Bay Mgx Sr1-x-y )TiO
3(0.6≦y<1、0.01≦x≦0.2)、(Ba
y Cax Sr1-x-y )TiO3(0.6≦y<1、0.
05≦x≦0.2)等と組み合わせて使用してもよい。
【0019】誘電体薄膜を形成する際、例えば、まず、
ゾルゲル法により誘電体薄膜を構成する元素の前駆体溶
液を、誘電体薄膜形成用溶液として調製する。前駆体溶
液は、例えば、Ba、Sr、Nbのカルボン酸塩又はア
ルコキシドを、適当な濃度、適当な温度、適当な配合割
合で、適当な水性媒体又は有機溶媒に溶解させて調製す
ることができる。この際、使用することができる有機溶
媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール等の低級アルコール、キシレン、酢酸エステル等
が挙げられる。前駆体溶液の調製は、例えば、強誘電体
を構成する金属元素の各溶液を、最終的に得ようとする
強誘電体の組成により異なるが、0.1〜5mol/リ
ットル程度、好ましくは0.1〜2mol/リットル程
度で別々に調製し、例えば200℃程度以下、好ましく
は150℃程度以下で十分加熱するとともに、5時間程
度、好ましくは1〜3時間程度攪拌しながら適宜混合
し、さらに混合液を1時間〜1昼夜程度攪拌する方法等
が挙げられる。なお、前駆体溶液は、任意に濾過、溶媒
の蒸留、濃度の調整等を行うことが好ましい。
【0020】次に、得られた前駆体溶液は、下部電極上
に、例えばスピンコート法、印刷法、ロールコート法等
の種々の方法により一層あたり20〜200nm程度の
膜厚で塗布することができる。ただし、一層あたりの膜
厚が厚いと乾燥工程でクラックを発生しやすいため、一
層あたりの塗布する膜厚は100nm程度以下がより好
ましい。なお、特に印刷法の場合には、前駆体溶液は、
アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エチ
ルセルロース、ポリビニルアルコール等の有機バインダ
樹脂及びアルコール系、エーテル系、エステル系等の有
機溶剤を適宜混合することにより、その粘度を調整する
ことができる。
【0021】さらに、塗布した前駆体溶液を乾燥する。
乾燥の方法は、前駆体溶液として用いた有機溶媒の種
類、前駆体溶液の組成等により適宜選択することができ
るが、例えば、80℃〜300℃、好ましくは100℃
〜200℃程度の温度範囲、大気中で10秒〜60分
間、好ましくは15分間程度以下、熱処理することによ
り行うことができる。熱処理は、公知の方法、例えば赤
外線加熱炉、抵抗加熱炉等を使用して、均一の温度で一
定時間行ってもよいし、温度を異ならせて行ってもよ
い。
【0022】続いて、任意に仮焼成として、熱処理によ
り薄膜中の有機物を分解除去してもよい。この際の熱処
理方法は、薄膜中に存在する有機物が充分に分解する温
度で、かつ結晶化が始まらない温度範囲で行うことが好
ましく、具体的には、400℃〜550℃程度の温度範
囲、大気中、不活性ガス雰囲気、窒素と酸素との混合ガ
ス雰囲気(1:1〜10:1程度)中等の任意の雰囲気
中で10〜60分間程度行うことができる。
【0023】上記の工程は、得ようとする誘電体薄膜の
膜厚に応じて2回以上繰り返して行うことが好ましい。
この際の上記の工程は、同じ種類及び組成比の誘電体薄
膜を得るために、全く同じ条件で繰り返してもよいし、
誘電体薄膜の種類及び組成比に応じてその条件等を適宜
変化させて繰り返してもよい。次いで、第1段熱処理と
して、誘電体薄膜の結晶化温度以上の温度で焼成して誘
電体薄膜の結晶化を行うことが好ましい。誘電体薄膜の
結晶化は、酸素雰囲気、アルゴンや窒素等の不活性雰囲
気、窒素と酸素との混合ガス雰囲気(1:1〜10:1
程度)中等の任意の雰囲気下、常圧又は減圧下、好まし
くは常圧下、550℃〜800℃以下の温度範囲で、3
0秒間〜60分間程度行うことができる。この際の熱処
理方法は、上述の方法の他、RTA法等を用いることが
できる。
【0024】なお、上記における薄膜中の有機物の分解
除去のための熱処理と結晶化のための熱処理とを、適当
な条件を適宜選択することにより兼ねて行ってもよい。
さらに、第1段熱処理を行った後、一旦誘電体薄膜を室
温に戻し、再度、第2段熱処理として、誘電体薄膜の結
晶化温度以上の温度で焼成することが好ましい。この第
2段熱処理は、酸素雰囲気、アルゴンや窒素等の不活性
雰囲気、窒素と酸素との混合ガス雰囲気(1:1〜1
0:1程度)中等の任意の雰囲気下、常圧又は減圧下、
好ましくは常圧下、550℃〜800℃以下の温度範囲
で、30秒間〜60分間程度行うことができる。また、
上述の方法の他、RTA法等を用いることができる。な
お、第2段熱処理は、第1段熱処理よりも高温で行うこ
とが好ましい。また、第1段熱処理と第2段熱処理との
間に、上部電極を形成する工程を行うことにより、第2
段熱処理を上部電極形成後に行ってもよい。この場合に
は、上部電極の形成工程により、一旦誘電体薄膜が室温
に戻ることになる。
【0025】本発明における容量可変素子は、GHz帯
までの容量可変素子として動作させることができる形状
及び構造であれば、それらは特に限定されるものではな
く、例えば、下部電極、誘電体薄膜及び上部電極が順次
積層されてなる一般的なキャパシタ構造、縦型キャパシ
タ構造、上部電極の少なくとも一端部にエアーブリッジ
が形成された構造等の種々の形状及び構造のものが含ま
れる。
【0026】また、本発明における容量可変素子は、上
述したように、下部電極と上部電極間に電圧を印加して
容量を変化させることができるものであるため、容量が
高周波回路の特性に影響して、フィルター透過特性、検
出周波数等を変化させることが可能となり、種々の高周
波デバイス、例えば、高周波フィルター、インピーダン
スアンテナ、遅延素子、アレイアンテナ、結合型ストリ
ップ線路等の高周波デバイスに広く応用が可能となる。
【0027】以下、本発明の誘電体材料、容量可変素子
及びその製造方法の実施例を図面に基づいて説明する。 〔実施の形態1〕この実施の形態における容量可変素子
を図1に示す。この容量可変素子は、セラミック基板1
上に、Au下部電極2、誘電体薄膜3、エアーブリッジ
4、Au上部電極5が、それぞれ順次形成されて構成さ
れている。
【0028】以下に、上記の容量可変素子の製造方法に
ついて説明する。まず、セラミック基板1上にスクリー
ン印刷法を用いてAuペーストを印刷し、60℃で30
分間乾燥した後、800℃で8分間焼成し、膜厚0.5
μmのAu膜を形成した。このAu膜をエッチングによ
り所定の形状に加工し、Au下部電極2を形成した。
【0029】次に、このようにして形成したAu下部電
極2上に、(SrxBa1-x)Nb26(0.75≦x≦
1)の金属アルコキシドからなるゾル状態の前駆体溶液
をスピンコート(プロセス1)し、これを120℃で1
0分間の熱処理により乾燥し、乾燥ゲル薄膜を作製した
(プロセス2)。次いで、得られた乾燥ゲル薄膜中の有
機熱分解を行うため、430℃で10分間、窒素と酸素
との比が4:1の割合で混合された雰囲気中で熱処理を
行った(プロセス3)。
【0030】プロセス1からプロセス3を3回繰り返し
た。その後、結晶化のため、窒素と酸素との比が4:1
の割合で混合された雰囲気中、700℃で30分間熱処
理を行った(第1段階熱処理)。この際、平均昇温速度
は5℃/分、平均降温速度は−5℃/分とした。これに
より、膜厚200nmの(SrxBa1-x)Nb26薄膜
を得た。この(SrxBa1-x)Nb26薄膜をエッチン
グにより所定の形状に加工し、誘電体薄膜3を形成し
た。
【0031】なお、上述のアルコキシドからなるゾル状
態の前駆体溶液をスクリーン印刷する場合は、有機バイ
ンダーを粘度調節のために加えてペーストとすることが
好ましい。次に、(SrxBa1-x)Nb26薄膜上にエ
アーブリッジ形成用レジストを用いてエアーブリッジレ
ジストパターンを形成し、Auペーストを用いてスクリ
ーン印刷によりAu膜を塗布する。このAu膜を60℃
で30分間、乾燥し、800℃で8分間焼成した。その
後、得られたAu膜をエッチングにより加工し、Au上
部電極5を形成した。
【0032】続いて、窒素と酸素との比が4:1の割合
で混合された雰囲気中、800℃で45分間熱処理を行
った(第2段階熱処理)。このようにして得られた容量
可変素子の上部電極5と下部電極2との間にバイアス電
圧を印加し、25℃で測定周波数100kHzでの誘電
率及び誘電率変化率、すなわち(Cv/Co−1)×1
00(%)(Cvは5V印加時の容量、Coは0Vでの
容量)を測定した。その結果を図2に示す。図2におい
ては、Sr量xを変化させたとき、つまりSr/Ba比
を変化させた時の誘電率と誘電率変化率とを示す。
【0033】図2から明らかなように、例えば、x=
0.75で誘電率変化率が−50%、誘電率75が得ら
れている。また、印加電圧による誘電率変化率の変化及
びリーク電流密度値変化を測定した。その結果をそれぞ
れ図3(a)及び図3(b)に示す。さらに、25℃で
測定周波数5GHzでの誘電率及び誘電率変化率を測定
したところ、測定周波数100kHzでの測定結果とほ
ぼ同様の結果が得られた。 〔実施の形態2〕この実施の形態では、第2段熱処理に
おいて、窒素酸素の比が4:1の割合で混合された雰囲
気中、800℃で30分熱処理(平均昇温速度は5℃/
分、平均降温速度は−5℃/分)で行う以外は、実施の
形態1の容量可変素子の製造方法と同様の方法を用い
た。
【0034】上記のような方法で作製した容量可変素子
の100kHzでの誘電率及び誘電率変化率を測定した
ところ、例えば、x=0.75で誘電率変化率−が43
%、誘電率77が得られている。また、印加電圧による
誘電率変化率の変化及びリーク電流密度値変化を測定し
た。その結果をそれぞれ図4(a)及び図4(b)に示
す。
【0035】図4(a)及び図4(b)から明らかなよ
うに、実施の形態1とほぼ同等の誘電率を維持しつつ、
さらにリーク電流値特性が改善されているのがわかる。
さらに、25℃で測定周波数5GHzでの誘電率及び誘
電率変化率を測定したところ、測定周波数100kHz
での測定結果とほぼ同様の結果が得られた。 〔実施の形態3〕この実施の形態では、誘電体薄膜を、
(BaxSrx-1)TiO3で表されるチタン酸バリウム
の金属アルコキシドからなるゾル状態の前駆体溶液をス
ピンコートし、次に(SrxBax-1)Nb26(0.5
≦x≦1)の金属アルコキシドからなるゾル状態の前駆
体溶液をスピンコートし、さらにその上に(BaxSr
x-1)TiO3のチタン酸バリウムの金属アルコキシドか
らなるゾル状態の前駆体溶液をスピンコートした積層構
造とする以外は、実施の形態1の容量可変素子の製造方
法と同様の方法を用いた。
【0036】上記のような方法で作製した容量可変素子
の100kHzでの誘電率及び誘電率変化率を測定した
ところ、誘電率変化率−が40%、誘電率100が得ら
れている。(BaxSrx-1)TiO3薄膜の比誘電率は
200〜300で(SrxBa x-1)Nb26(0.5≦
x≦1)より大きい。そのため、電圧印加の際には、誘
電率の低い(SrxBax-1)Nb26(0.5≦x≦
1)にほとんど電圧がかかる。よって、このような積層
構造にすることにより、ほぼ(SrxBax-1)Nb26
(0.5≦x≦1)薄膜の誘電率、誘電率変化特性を実
現できるだけでなく、リーク電流値特性を向上させるこ
とができる。 〔実施の形態4〕(従来技術との比較) この実施の形態では、前駆体溶液として、(Ba,S
r)TiO3(以下BSTと明記)、Ba(Zr,T
i)O3(以下BZTと明記)、Ba(Hf,Ti)O3
(以下BHTと明記)、(Ba,Sr)(Zr,Ti)
3(以下BSZTと明記)、(Ba,Sr)(Hf,
Ti)O3(以下BSHTと明記)の金属アルコキシド
からなるゾル状態の前駆体溶液をそれぞれ使用して誘電
体薄膜を形成する以外は実施の形態1と同様に容量可変
素子を製造した。
【0037】得られた種々の容量可変素子について、容
量可変素子の100kHzでの誘電率及び誘電率変化率
を測定した。その結果を図5に示す。なお、図5におい
ては、比較のために実施の形態1における(SrxBa
1-x)Nb26(0.75≦x≦1)(以下SBNと明
記)を用いた容量可変素子の誘電率及び誘電率変化率を
共に示す。
【0038】図5から明らかなように、材料ごとにその
程度が異なるものの、すべての誘電体材料において、誘
電率変化率が大きくなるとそれに比例して誘電率が大き
くなる傾向がある。つまり、BST材料は傾きが最も
大きい。はBSTのBサイト置換系材料であり、に
比較してその傾きは小さくなっていることから、大きな
誘電率変化特性を維持したまま、誘電率は小さくなって
いることがわかる。しかし、は同じペロブスカイト
結晶構造であり、他元素の置換効果はある程度期待でき
るものの、やはり限界があると思われる。
【0039】一方、のタングステンブロンズ型構造の
結晶構造を持つSBNでは、大きな誘電率変化と低誘電
率(100以下)とを実現できていることがわかる。
【0040】
【発明の効果】本発明の容量可変素子によれば、式(A
x1-x)Nb26(式中、AはSr、K、Na及びL
i、BはBa、Ca及びMgの中から選択される元素、
0<x≦1である)で表され、タングステンブロンズ型
構造の結晶構造を有し、かつ外部電界により誘電率が変
化するため、この誘電体材料を容量可変素子の誘電体薄
膜として用いた場合には、外部からの低電圧の印加によ
り容量を大きく変化させることができる。
【0041】また、本発明の誘電体材料を使用すること
により、SiやGaAs単結晶材料による基板を使用す
る必要がなく、セラミック基板上にも容易に形成でき
る。さらに、本発明の容量可変素子によれば、薄膜素子
を実現できるため、より小型・軽量化を図ることができ
るとともに、比誘電率が低い(100以下)誘電体薄膜
を用いることにより、電極面積を大きく設計でき、簡易
な印刷法での素子構造が可能であり、低コストの素子構
造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の容量可変素子を示す要部の概略断面図
である。
【図2】本発明の容量可変素子の誘電率と誘電率変化率
との関係を示す図である。
【図3】(a)は本発明の容量可変素子の印加電圧と誘
電率変化率との関係を示すグラフであり、(b)は印加
電圧とリーク電流値特性との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は本発明の別の容量可変素子の印加電圧
と誘電率変化率との関係を示すグラフであり、(b)は
印加電圧とリーク電流値特性との関係を示すグラフであ
る。
【図5】本発明のさらに別の容量可変素子の誘電率と誘
電率変化率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1.セラミック基板 2.Au下部電極 3.誘電体薄膜 4.エアーブリッジ 5.Au上部電極

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(Ax1-x)Nb26 (I) (式中、AはSr、K、Na及びLi、BはBa、Ca
    及びMgの中から選択される元素であり、0<x≦1で
    ある)で表され、タングステンブロンズ型構造の結晶構
    造を有し、かつ外部電界により誘電率が変化することを
    特徴とするニオブ酸系誘電体材料。
  2. 【請求項2】 式(I)の誘電体材料が、(Sry Ba
    1-y )Nb26(0<y≦1)で表されるニオブ酸スト
    ロンチウムバリウムである請求項1に記載のニオブ酸系
    誘電体材料。
  3. 【請求項3】 下部電極、請求項1における式(I)の
    誘電体材料からなる誘電体薄膜及び上部電極が順次積層
    されて構成され、かつヒステリシス特性を持たないこと
    を特徴とする容量可変素子。
  4. 【請求項4】 誘電体薄膜が、(Sry Ba1-y )Nb
    26(0<y≦1)で表されるニオブ酸ストロンチウム
    バリウムにより形成されてなる請求項3に記載の容量可
    変素子。
  5. 【請求項5】 ニオブ酸ストロンチウムバリウムのSr
    量が、0.5≦y≦1である請求項4に記載の容量可変
    素子。
  6. 【請求項6】 誘電体薄膜が、(Baz Sr1-z )Ti
    3(0<z≦1)で表されるチタン酸バリウム膜、
    (Sry Ba1-y )Nb26(0<y≦1)で表される
    ニオブ酸ストロンチウムバリウム膜及び前記チタン酸バ
    リウム膜の積層膜からなる請求項3に記載の容量可変素
    子。
  7. 【請求項7】 下部電極上に塗布熱分解法により誘電体
    薄膜を形成し、該誘電体薄膜上に上部電極を形成するこ
    とからなる請求項3〜6に記載の容量可変素子の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 下部電極上に誘電体薄膜形成用溶液を塗
    布して仮焼成した後、さらに前記誘電体薄膜の結晶化温
    度以上の温度で焼成する第1段熱処理と室温に戻してか
    ら再度前記結晶化温度以上の温度で焼成する第2段熱処
    理との2段階で本焼成することにより形成する請求項7
    に記載の容量可変素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 第1段熱処理と第2段熱処理との間に上
    部電極を形成し、その後第1段熱処理の焼成温度よりも
    高い焼成温度で第2段熱処理を行う請求項8に記載の容
    量可変素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 本焼成を、窒素ガスと酸素ガスとの容
    量比が4:1の割合で混合された雰囲気中で行う請求項
    8又は9に記載の容量可変素子の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4935674B2 (ja) * 2005-07-29 2012-05-23 Tdk株式会社 薄膜コンデンサの製造方法
JP2015008509A (ja) * 2011-02-25 2015-01-15 株式会社村田製作所 可変容量素子及びチューナブルフィルタ

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