JP2000072419A - 希ガスの回収方法 - Google Patents

希ガスの回収方法

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JP2000072419A
JP2000072419A JP10234243A JP23424398A JP2000072419A JP 2000072419 A JP2000072419 A JP 2000072419A JP 10234243 A JP10234243 A JP 10234243A JP 23424398 A JP23424398 A JP 23424398A JP 2000072419 A JP2000072419 A JP 2000072419A
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hydrogen
gas
carbon dioxide
water
rare gas
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JP10234243A
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English (en)
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Yasusada Miyano
安定 宮野
Yoshinao Komiya
由直 小宮
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Japan Pionics Ltd
Original Assignee
Japan Pionics Ltd
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  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Separation Of Gases By Adsorption (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】希ガスと水素及び不純物を含む混合ガスから、
小規模の設備で、連続的に、しかも高収率で高純度の希
ガスを回収することのできる、簡便な希ガスの回収方法
を提供する。また、混合ガスが複数の希ガスを含むもの
であっても組成を変えることなく回収する方法を開発す
る。 【解決手段】混合ガスをパラジウム膜又はパラジウム合
金膜の水素選択透過性を利用した水素透過器に供給し、
該混合ガスから水素を除去した後、貴金属触媒、ニッケ
ル触媒、吸着剤、ゲッターにより不純物を除去し、高純
度の希ガスを回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希ガスの回収方法に
関し、更に詳細には水素及び希ガスとともに、不純物と
して酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、
水から選ばれる少なくとも1種を含む混合ガスからの希
ガスの回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】希ガスは、化学的に不活性なことから、
保護ガスあるいは雰囲気ガスとして多用されている。特
に近年、アルゴン、ヘリウムは半導体、光ファイバー、
超伝導MRIなどの先端産業に不可欠なガスとしてその
需要が急激に増大している。また、キセノン、クリプト
ン、ネオンについても電球、電光管といった従来からの
用途に加え、液晶バックライト用、エキシマレーザーと
しての用途も増加していること、プラズマディスプレイ
パネル(PDP)などへの採用が新たに検討されている
ことなどから、需要の増大が予測される。
【0003】しかし、希ガスは一般に高価であるため、
使用済みの排ガスから回収する方法が試みられている。
排ガスの量が多く、かつ希ガス濃度がかなり高い場合
は、排ガスをそのまま回収し、凝縮・凝固法、低温吸着
法、PSA法、膜分離法などにより不純物を除去した
後、再利用される。このような回収方法は、使用量の多
いヘリウム、アルゴンの回収に用いられる。
【0004】一方、ネオン、キセノンのように高価なガ
スの場合には、高い回収率が要求される。また、これら
のガスは使用量も少ないため、その回収設備としては、
小規模のものである必要がある。ネオン、キセノン等の
希ガスを回収する場合、回収率を上げる目的で、これら
のガスを使用した装置内を安価なガスで置換し、置換ガ
スとの混合ガスの状態で回収した後、置換ガスを除去す
る方法がとられる。このときの置換ガスは、その後に行
われる希ガスとの分離を容易に行えるように、希ガスと
分離しやすいガスが使用される。
【0005】上記の置換ガスとして、一般に窒素が用い
られるが、窒素は希ガスと同じように不活性であるた
め、窒素ガスと希ガスの混合ガスから希ガスを高純度で
回収することは困難であった。一方、水素も、装置構成
材料及び処理対象材料に対する不可逆的な吸着性が低い
こと、還元性ガスであることなどから、半導体、オプト
エレクトロニクス、その他先端産業の分野において、キ
ャリヤーガスとして使用されており、また、置換ガスと
しても用いられている。更に、水素は希ガスを用いるプ
ロセスにおいてもキャリヤーガスあるいは置換ガスとし
て用いられる。
【0006】従来から、不活性ガス、希ガス中に含まれ
る水素を除去する方法としては、例えば水素と希ガス
の混合ガスを貴金属触媒に酸素存在下で接触させること
により水に変換した後、脱湿剤で吸着除去する方法、
水素と希ガスの混合ガスをチタン合金等の水素吸蔵合金
に吸収させて除去する方法などが知られている。
【0007】しかしながら、水素を置換ガスとして用い
た場合、混合ガス中の水素濃度は、最初は低いが、徐々
に高くなるとともに多量となる。このような状態で、
の方法により水素と希ガスの混合ガスから希ガスを回収
する場合、酸素存在下のため、水素の濃度が高いと爆発
の危険性がある。またの方法は、水素を消費してしま
うため、水素の再利用ができないという欠点もある。一
方、の方法も水素吸蔵合金の水素吸蔵量が比較的小さ
いため、水素濃度が高い場合には多量の水素吸蔵合金が
必要となり、処理費用が高くなるという欠点がある。
【0008】更に、、の方法では、酸素、一酸化炭
素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水などの不純物のう
ち、一部の不純物の除去は可能であるが、すべての不純
物を一度に除去することができないという欠点がある。
以上のように、水素を大量に含むガスから希ガスを高純
度、高収率で、かつ小規模の設備で回収する方法は未だ
に見いだされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、希ガスと水素とともに酸素、一酸化炭素、
二酸化炭素、窒素、炭化水素、水などの不純物を含む混
合ガスから希ガスを小規模の設備で、連続的に、しかも
高収率、高純度で回収する方法及び希ガスが複数のガス
種であってもガスの組成を変えることなく回収すること
のできる、簡便な希ガスの回収方法を提供することであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、パラジウム膜又
はパラジウム合金膜を用いた水素透過器の1次側に、水
素及び希ガスとともに、不純物として酸素、一酸化炭
素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水から選ばれる少な
くとも1種を含む混合ガスを供給し、該水素透過器の2
次側を真空又は水素以外のガスで掃気して水素を除去し
た後、不純物の種類、量に応じて、ゲッター、又は貴金
属触媒とニッケル触媒と吸着剤、又は貴金属触媒とニッ
ケル触媒と吸着剤とゲッターに接触させることにより、
混合ガス中の水素及び不純物を除去し、希ガスを高純
度、高収率で回収し得ることを見い出した。更に、水素
透過器を直列に多段に設けることによってより効率よく
希ガスを回収し得ることを見い出し、本発明に到達し
た。
【0011】すなわち本発明は、水素及び希ガスととも
に、不純物として酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒
素、炭化水素、水から選ばれる少なくとも1種を含む混
合ガスを、加熱下でのパラジウム膜又はパラジウム合金
膜の水素選択透過性を利用した水素透過器の1次側に、
大気圧以上の圧力で供給し、該水素透過器の2次側を真
空に保持又は水素以外のガスで掃気することにより、該
混合ガス中の水素を除去した後、酸素を添加するととも
に加熱下で貴金属触媒に接触させて、一酸化炭素を二酸
化炭素に、水素を水に、炭化水素を二酸化炭素と水に変
成させた後、ニッケル触媒に接触させて酸素と二酸化炭
素を除去し、更に吸着剤に接触させて二酸化炭素と水を
除去し、最後に加熱下でゲッターに接触させて該不純物
を除去して希ガスを回収することを特徴とする希ガスの
回収方法である。
【0012】また本発明は、水素及び希ガスとともに、
不純物として酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭
化水素、水から選ばれる少なくとも1種を含む混合ガス
を、加熱下でのパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水
素選択透過性を利用した水素透過器の1次側に、大気圧
以上の圧力で供給し、該水素透過器の2次側を真空に保
持又は水素以外のガスで掃気することにより、該混合ガ
ス中の水素を除去した後、加熱下でゲッターに接触させ
て該不純物を除去し、希ガスを回収することを特徴とす
る希ガスの回収方法である。
【0013】また本発明は、水素及び希ガスとともに、
不純物として酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水
素、水から選ばれる少なくとも1種を含む混合ガスを、
加熱下でのパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選
択透過性を利用した水素透過器の1次側に、大気圧以上
の圧力で供給し、該水素透過器の2次側を真空に保持又
は水素以外のガスで掃気することにより、該混合ガス中
の水素を除去した後、酸素を添加するとともに加熱下で
貴金属触媒に接触させて、一酸化炭素を二酸化炭素に、
水素を水に、炭化水素を二酸化炭素と水に変成させた
後、ニッケル触媒に接触させて酸素と二酸化炭素を除去
し、更に吸着剤に接触させて二酸化炭素と水を除去して
希ガスを回収することを特徴とする希ガスの回収方法で
もある。
【0014】また本発明は、水素及び希ガスとともに、
不純物として酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭
化水素、水から選ばれる少なくとも1種を含む混合ガス
を、加熱下でのパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水
素選択透過性を利用した水素透過器が直列に多段に設け
られ、かつ該水素透過器の1次側がそれぞれ直列に接続
された水素透過器の一段目の1次側に供給し、該混合ガ
ス中の水素を段階的に除去した後、酸素を添加するとと
もに加熱下で貴金属触媒に接触させて、一酸化炭素を二
酸化炭素に、水素を水に、炭化水素を二酸化炭素と水に
変成させた後、ニッケル触媒に接触させて酸素と二酸化
炭素を除去し、更に吸着剤に接触させて二酸化炭素と水
を除去し、最後に加熱下でゲッターに接触させて該不純
物を除去して希ガスを回収することを特徴とする希ガス
の回収方法である。
【0015】また本発明は、水素及び希ガスとともに、
不純物として酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭
化水素、水から選ばれる少なくとも1種を含む混合ガス
を、加熱下でのパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水
素選択透過性を利用した水素透過器が直列に多段に設け
られ、かつ該水素透過器の1次側がそれぞれ直列に接続
された水素透過器の一段目の1次側に供給し、該混合ガ
ス中の水素を段階的に除去した後、加熱下でゲッターに
接触させて該不純物を除去し、希ガスを回収することを
特徴とする希ガスの回収方法でもある。
【0016】更に本発明は、不純物として酸素、一酸化
炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水から選ばれる少
なくとも1種を含む混合ガスを、加熱下でのパラジウム
膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過性を利用した水
素透過器が直列に多段に設けられ、かつ該水素透過器の
1次側がそれぞれ直列に接続された水素透過器の一段目
の1次側に供給し、該混合ガス中の水素を段階的に除去
した後、酸素を添加するとともに加熱下で貴金属触媒に
接触させて、一酸化炭素を二酸化炭素に、水素を水に、
炭化水素を二酸化炭素と水に変成させた後、ニッケル触
媒に接触させて酸素と二酸化炭素を除去し、更に吸着剤
に接触させて二酸化炭素と水を除去して希ガスを回収す
ることを特徴とする希ガスの回収方法でもある。
【0017】本発明は、パラジウム膜又はパラジウム合
金膜が水素のみを選択的に透過する性質と、貴金属触媒
が酸素存在下で一酸化炭素、炭化水素、水素を二酸化炭
素と水に変成する性質と、ニッケル触媒が酸素、二酸化
炭素、一酸化炭素を捕捉する性質と、合成ゼオライトな
どの吸着剤が二酸化炭素、水を吸着する性質と、ゲッタ
ーが窒素、水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒
素、炭化水素、水を捕捉する性質を利用したものであ
る。
【0018】本発明において、水素透過器の1次側と
は、パラジウム膜又はパラジウム合金膜で仕切られた水
素透過器の2室のうちの、混合ガスが供給される側をい
う。また2次側とは、膜を拡散透過した水素側をいう。
【0019】本発明に用いられる混合ガスとは、水素
と、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン及びキセ
ノンから選ばれる少なくとも1種の希ガス、及び不純物
として酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水
素、水から選ばれる少なくとも1種を含むガスを意味
し、それぞれの濃度は特に限定されない。また、回収し
た希ガスはその用途により、希ガスの使用の妨げになら
ない程度にその他の不純物を含むものであってもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一例を図面に基づ
き詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるも
のではない。図1にはパラジウム膜又はパラジウム合金
膜1が内蔵された水素透過器2、水素透過器の2次側に
接続された真空ポンプ3、貴金属触媒4が充填された貴
金属触媒筒5、ニッケル触媒6が充填されたニッケル触
媒筒7、吸着剤8が充填された吸着剤筒9、ゲッター1
0が充填されたゲッター筒11からなる装置構成を示し
た。なお、水素透過器、貴金属触媒筒、ゲッター筒には
ヒーター12が、水素透過器、貴金属触媒筒、ニッケル
触媒筒、ゲッター筒の後段には冷却器13がそれぞれ設
けられている。
【0021】図1に示す装置構成は、不純物として、酸
素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水の少
なくとも1種を比較的多量に含む場合、若しくは回収す
る希ガスが極めて高純度であることが要求されるような
場合に適用される。
【0022】図1において、まず、酸素、一酸化炭素、
二酸化炭素、窒素、炭化水素、水などの不純物を含む混
合ガスは、混合ガス供給口14から加熱された水素透過
器2の1次側15に供給される。該混合ガスは、1次側
15において、パラジウム膜又はパラジウム合金膜1と
接触し、水素のみが2次側16に透過する。パラジウム
膜又はパラジウム合金膜1を透過しない混合ガスは、水
素透過器出口17から抜き出され、水素透過器2の後段
に接続された冷却器13で冷却された後、貴金属触媒筒
5に供給される。一方、パラジウム膜又はパラジウム合
金膜1を透過した水素は水素抜き出し口18から抜き出
される。
【0023】混合ガスが貴金属触媒筒5に供給される
際、酸素供給口19から酸素が添加される。酸素が添加
された混合ガス中の一酸化炭素、炭化水素、水素は、貴
金属触媒4と加熱下で接触することにより、それぞれ二
酸化炭素、二酸化炭素と水、水に変成される。
【0024】混合ガスは貴金属触媒筒5の後段に接続さ
れた冷却器13で冷却された後、ニッケル触媒筒7に供
給される。ここで、混合ガス中の酸素、二酸化炭素はニ
ッケル触媒6と接触することにより除去される。更に混
合ガスは、ニッケル触媒筒後段に接続された冷却器13
で冷却された後、吸着剤筒9で水とニッケル触媒で除去
しきれなかった二酸化炭素が除去される。次いで混合ガ
スはゲッター筒11に供給され、加熱下でゲッター10
と接触することにより、窒素と、前段までの工程で除去
しきれなかった酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水
素、水が捕捉される。最後に、ゲッター筒の後段に接続
された冷却器13で所定の温度に冷却された後、精製さ
れた希ガスが回収される。
【0025】図2にはパラジウム膜又はパラジウム合金
膜1が内蔵された水素透過器2、水素透過器の2次側に
接続された真空ポンプ3、ゲッター筒11からなる装置
構成を示した。なお、それぞれにヒーター12が設けら
れており、更に水素透過器、ゲッター筒の後段には冷却
器13が設けられている。図2の装置構成は、混合ガス
中の不純物濃度が低い場合に適用される。
【0026】図2において、まず、酸素、一酸化炭素、
二酸化炭素、窒素、炭化水素、水などの不純物を含む混
合ガスは水素透過器2において図1の場合と同様にして
水素の大部分が除去される。次いで、水素透過膜を通過
しなかった水素以外の不純物を含む混合ガスは、水素透
過器2の後段に接続された冷却器13で冷却された後、
ゲッター筒11に供給される。ここで、混合ガス中の酸
素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水等の
不純物は、加熱下でゲッター10と接触することにより
捕捉される。最後に、精製された希ガスはゲッター筒の
後段に接続された冷却器13で所定の温度に冷却された
後、回収される。
【0027】図3にはパラジウム膜又はパラジウム合金
膜1が内蔵された水素透過器2、水素透過器の2次側に
接続された真空ポンプ3、貴金属触媒筒5、ニッケル触
媒筒7、吸着剤筒9からなる装置構成を示した。なお、
水素透過器、貴金属触媒筒にはヒーター12が、水素透
過器、貴金属触媒筒、ニッケル触媒筒の後段には冷却器
13がそれぞれ設けられている。図3の装置構成の回収
方法は、混合ガス中に含まれる窒素が極微量である場
合、若しくは回収した希ガス中に窒素が残っていても問
題ない場合に適用される。
【0028】図3において、まず、酸素、一酸化炭素、
二酸化炭素、炭化水素、水などの不純物を含む混合ガス
は水素透過器2において図1の場合と同様にして水素の
大部分が除去される。次いで、水素透過膜を通過しなか
った水素以外の不純物を含む混合ガスは、水素透過器2
の後段に接続された冷却器13で冷却され、酸素が添加
された後、貴金属触媒筒5において混合ガス中の一酸化
炭素、炭化水素、水素がそれぞれ二酸化炭素、二酸化炭
素と水、水に変成される。その後、冷却された混合ガス
はニッケル触媒筒7に供給され、ここで酸素、二酸化炭
素が除去される。更に、吸着剤筒9において、水とニッ
ケル触媒で除去しきれなかった二酸化炭素が除去され、
精製された希ガスが回収される。
【0029】本発明に用いられる水素透過器は、加熱下
でのパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過
性を利用したものである。水素透過器の構造は、内部が
パラジウム膜又はパラジウム合金膜で1次側と2次側の
2室に仕切られており、水素透過器中に導入された混合
ガスを水素透過器の1次側に供給することができ、パラ
ジウム膜又はパラジウム合金膜を2次側に透過した水素
と、水素を除去した希ガスをそれぞれ個別に水素透過器
外に導き出せるようになっていればよい。
【0030】パラジウム膜又はパラジウム合金膜の材質
としては、水素のみを選択的に透過することのできるも
のであり、パラジウム単独、又はパラジウムに金、銀等
を添加したパラジウム合金があげられるが、水素透過
量、水素透過速度、加工性、機械強度などの点からパラ
ジウム−銀の2元合金、パラジウム−銀−金の3元合金
が好ましく、その中でもパラジウム−銀−金の3元合金
が特に好ましい。このほか、高温での機械的強度を向上
させる目的でルテニウム、ロジウム、ジルコニウム、ト
リウム、セリウム、イットリウム、ランタン、ハフニウ
ム等を加えてもよい。
【0031】パラジウム膜又はパラジウム合金膜の形状
としては、機械的強度が高く、水素のみを効率よく透過
するものであればよく、例えば細管の一端を封じた管
状、平膜状、波形等の模様のついた膜状などである。図
4に細管の一端を封じた管状のパラジウム膜又はパラジ
ウム合金膜を内蔵した水素透過器の断面図を示す。パラ
ジウム膜又はパラジウム合金膜の透過面積の大きさにつ
いて特に制限はなく、混合ガス中に含まれる水素の濃度
及び混合ガスの量に応じて適宜選択される。パラジウム
膜又はパラジウム合金膜の膜厚は、膜の材質、形状、操
作時の圧力等の条件によって異なり一概に特定はできな
いが、膜厚が薄いほど単位面積当たりの水素透過量が大
きいが、機械的強度が弱くなることから、一般に0.0
05〜1mm、好ましくは0.02〜0.5mmとされ
る。
【0032】パラジウム膜又はパラジウム合金膜は、温
度が高いほど水素透過速度が大であるが、耐熱温度の点
から制約がある。また、温度が低い場合はパラジウム膜
又はパラジウム合金膜が水素を多量に吸収し、膨張変形
することによって、パラジウム膜又はパラジウム合金膜
の破損を生じる不都合がある。このため、混合ガス中の
水素を除去するときのパラジウム膜又はパラジウム合金
膜の温度としては、通常は250〜500℃、好ましく
は300〜450℃となるように操作される。
【0033】パラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素
透過速度は膜両側の水素分圧の差が大きいほど大とな
る。このため、本発明では混合ガスを大気圧以上の圧力
で供給し、パラジウム膜又はパラジウム合金膜の2次側
の水素分圧を1次側より低くすることにより、効率よく
水素を除去することができる。
【0034】2次側の水素分圧を1次側より低くする方
法としては、2次側を真空ポンプなどを用いて真空に保
持する方法、あるいは2次側に水素以外のガスを掃気さ
せることにより膜表面付近の水素を常に置換する方法な
どがある。前者の方法を実施する場合は、図4のような
構成の水素透過器が適し、後者の方法を実施する場合は
図6のような構成の水素透過器が適している。
【0035】なお、ここでいう真空とは、完全真空を意
味するものではなく、通常の真空ポンプの排気操作で容
易につくれる程度の減圧の状態を含むものである。ま
た、上記の水素以外のガスによる掃気はパラジウム膜又
は合金膜表面付近の水素分圧を下げるために行うもので
あり、掃気ガスとしては例えば窒素、アルゴン、ヘリウ
ム等が用いられる。
【0036】なお、図1〜3では水素透過器を1台用い
た例を示したが、混合ガス中に含まれる水素の濃度、混
合ガスの流量によっては図5に示すように水素透過器を
直列に多段に設け、該水素透過器の1次側をそれぞれ直
列に接続し、水素と希ガスの混合ガスをその1段目に供
給し、パラジウム膜又はパラジウム合金膜と複数回接触
させて、混合ガス中に含まれる水素を段階的に除去して
もよい。このとき、少なくとも最終段目の水素透過器の
1次側を大気圧以上とし、2次側を真空に保持するか、
又は水素ガス以外のガスで掃気することにより、回収ガ
ス中の水素濃度をより低下させることができる。図5の
場合には、1段目の水素透過器の2次側から、超高純度
の水素を常圧以上の圧力で回収することができる。超高
純度の水素を状圧以上の圧力で回収することができる。
【0037】本発明に用いられる貴金属触媒としては、
希ガス中に含まれる一酸化炭素、炭化水素、水素などの
不純物を酸素存在下で二酸化炭素及び/又は水に変成さ
せ得るものであればよく、パラジウム、白金、ルテニウ
ム、ロジウム、レニウム、イリジウムなどを有効成分と
して含むものがあげられる。これらの成分の中でも、パ
ラジウムは低温活性が高く、かつ比較的安価であること
などから特に好ましい。これらの成分は単独で用いても
よいが、ガスとの接触効率を高めるため、通常は珪藻
土、アルミナ、シリカアルミナなどの触媒担体に担持さ
せた形で使用される。
【0038】混合ガスと貴金属触媒を接触させる際に、
混合ガス中に含まれる酸素の量が一酸化炭素、炭化水
素、水素などの不純物の燃焼に必要な酸素の量に満たな
い場合には、外部から酸素が添加される。このときの酸
素の添加量としては、少なすぎる場合は不純物を燃焼し
きれず、また多すぎる場合には後の精製工程に負担をか
けることから、通常は燃焼に必要な理論酸素量の1.0
1〜1.5倍程度である。
【0039】混合ガスと貴金属触媒との接触温度、圧
力、接触時間は、触媒の種類、希ガスの流量、不純物の
種類及び量に応じて設計されるので一概に特定できない
が、通常は接触温度300〜500℃、圧力は0.1〜
1MPa・abs、接触時間は0.1〜4秒程度であ
る。
【0040】本発明において、ニッケル触媒とは有効成
分としてニッケルを含み、混合ガス中の酸素、一酸化炭
素、二酸化炭素を捕捉除去するものであり、酸素、一酸
化炭素、二酸化炭素の除去能力が大であるとともに極低
濃度まで除去するものである。ニッケル触媒は金属ニッ
ケル又はニッケルの酸化物など還元されやすいニッケル
化合物を含むものである。またニッケル以外の金属成分
としてクロム、コバルト、鉄などの金属を少量含むもの
でもよい。これらのニッケルは単独で用いてもよく、触
媒担体などに担持させた形態で用いてもよいが、ニッケ
ルの表面とガスの接触効率を上げる目的などから通常は
触媒担体などに担持させた形態で用いられる。
【0041】ニッケル触媒は、珪藻土、アルミナ、シリ
カアルミナなどの担体に硝酸ニッケル、蓚酸ニッケルな
どのニッケル塩の水溶液とアルカリ性物質を用いて含
浸、乾燥、焼成することなどにより調製することができ
る。また、ニッケルの無機塩、有機塩などを焼成した
後、押し出し成形、打錠成形などによって調製すること
もできる。このほか、ニッケル触媒として市販品がある
ことから、それらを用いることもできる。市販のニッケ
ル触媒としては、例えば、水素化触媒であるN−112
(Ni−珪藻土)、ガス変成触媒であるN−174(N
iO)、ガス化触媒であるN−185(NiO)[以上
日揮化学(株)製]、水蒸気変成触媒であるC11−2
−03(NiO−セメント)、水素化触媒であるC46
−7(Ni−珪藻土)[以上東洋CCI(株)製]など
がある。
【0042】本発明において、ニッケル触媒の比表面積
として通常は、BET法で10〜300m/gの範囲
のもの、好ましくは30〜250m/g範囲のもので
ある。また、ニッケル含有量は金属ニッケル換算で通常
は5〜95重量%、好ましくは20〜90重量%であ
る。
【0043】本発明において、ニッケル触媒の充填長は
実用上通常は50〜1500mmとされる。50mmよ
りも短いと酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の除去率が低
下する虞があり、1500mmよりも長くなると圧力損
失が大きくなり過ぎる虞がある。また、ニッケル触媒と
混合ガスとの接触における混合ガスの流速は、混合ガス
中の酸素、一酸化炭素、二酸化炭素の濃度によっても異
なり一概に特定はできないが、通常は空筒線速度(L
V)で100cm/sec以下、好ましくは30cm/
sec以下である。
【0044】本発明において、混合ガスとニッケル触媒
との接触温度は通常は100℃以下、好ましくは常温付
近の温度(0〜50℃)である。混合ガスとニッケル触
媒との接触圧力に特に限定はなく、常圧、加圧、減圧い
ずれも実施可能である。
【0045】本発明に用いられる吸着剤としては、特許
第2572616号公報や特許第2651603号公報
に記載されているような酸化亜鉛を有効成分とするも
の、活性アルミナ、合成ゼオライトなどの水及び二酸化
炭素の除去能力の高いもの、例えばモレキュラーシーブ
4A、モレキュラーシーブ5A(ユニオン昭和製、ドイ
ツ Linde製など)及びこれらの相当品などであ
り、これらを単独又は組み合わせて用いることができ
る。これらの中でも水分及び二酸化炭素の除去能力が高
く、しかも両者ともに低濃度域まで除去できる点でモレ
キュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5Aが好まし
い。
【0046】希ガスと吸着剤との接触温度は、一般に8
0℃以下とされるが、通常は常温付近の温度(0〜50
℃)で操作される。希ガスと吸着剤との接触圧力及び接
触時間は、装置形態、吸着剤の種類などによって異な
り、一概に特定できないが、通常は圧力0.1〜1MP
a・abs、接触時間は0.1〜100秒程度である。
【0047】ニッケル触媒は、加熱下に水素を含むガス
を通気させることによって再生することができる。ま
た、吸着剤は加熱下で乾燥ガスを流通させることにより
再生することができる。このため、ニッケル触媒や吸着
剤を充填した筒を2筒以上設け、不純物の除去とニッケ
ル触媒及び吸着剤の再生を交互に切り替えて行ってもよ
い。
【0048】本発明に用いられるゲッターとしては、窒
素を効率よく捕捉しうるものであり、ジルコニウム、チ
タン及びこれらを含有する二元又は多元合金等が用いら
れる。例えば単一組成ではスポンジジルコニウム、スポ
ンジチタン、二元合金ではジルコニウム−チタン、ジル
コニウム−バナジウム、ジルコニウム−ニッケル、ジル
コニウム−鉄、ジルコニウム−コバルト等であり、また
多元合金ではジルコニウム−バナジウム−ニッケル、ジ
ルコニウム−バナジウム−クロム、ジルコニウム−バナ
ジウム−コバルト、ジルコニウム−アルミニウム−バナ
ジウム、ジルコニウム−バナジウム−鉄、ジルコニウム
−バナジウム−コバルト−ニッケル等である。これらの
中でもジルコニウム−バナジウム、ジルコニウム−鉄、
ジルコニウム−バナジウム−ニッケル、ジルコニウム−
バナジウム−クロム等は比較的低い温度で捕捉し得るこ
とから好ましい。希ガスとゲッターとの接触温度は、ゲ
ッターの種類により異なり、一概に特定できないが、通
常は300℃〜1200℃、好ましくは400〜100
0℃である。
【0049】本発明によれば、希ガスを使用した製造装
置内や配管に水素を流通させて、製造装置内や配管中に
残存する希ガスを水素で置換する際の排ガスから、小規
模の設備で、連続的に、しかも高収率、高純度で希ガス
を回収することができる。
【0050】次に、本発明を実施例により更に詳細に説
明するが、本発明はこれにより限定されるものではな
い。
【0051】
【実施例】実施例1 水素透過器、貴金属触媒筒、ニッケル触媒筒、吸着剤
筒、ゲッター筒を以下のとおり製作した。 (水素透過器)図4に示した水素透過器と同様の装置構
成の金、銀を含有するパラジウム合金からなる外径1.
6mm、肉厚0.08mm、長さ245mmの一端を封
じた細管状パラジウム合金膜39本を内蔵し、外部に加
熱用のヒーターが取付けられた水素透過器を製作した。
更に水素抜き出し口18には真空ポンプを接続した。 (貴金属触媒筒)内径23.0mmのSUS316製の
筒に、直径約2.5mm、長さ5mmのαアルミナにパ
ラジウム0.2wt%担持させた触媒を600mm充填
し、更に筒の外側に加熱用の電気ヒーターを取付け、貴
金属触媒筒とした。 (ニッケル触媒筒)内径23.0mmのSUS316製
の筒に、市販のニッケル触媒(日揮(株)製、N−11
2)を600mm充填し、ニッケル触媒筒とした。 (吸着剤筒)内径23.0mmのSUS316製の筒
に、直径1.6mm、長さ5mmの合成ゼオライト(ユ
ニオン昭和(株)製、モレキュラーシーブ4A)を40
0mm充填し、吸着剤筒とした。 (ゲッター筒)内径23.0mmのSUS316製の筒
に、直径3mm、長さ3mmのチタン合金ゲッター(チ
タン20重量%、ジルコニウム80重量%)を300m
m充填し、更に筒の外側に加熱用の電気ヒーターを取付
け、ゲッター筒とした。
【0052】(希ガス回収装置構成)上記の水素透過
器、貴金属触媒筒、ニッケル触媒筒、吸着剤筒、ゲッタ
ー筒を図1に示した装置構成で接続し、更に水素透過
器、貴金属触媒筒、ニッケル触媒筒及びゲッター筒の後
段には空冷冷却器を取付け、希ガス回収装置とした。
【0053】(混合ガスからの希ガスの回収)上記の希
ガス回収装置を用いて、希ガスの回収を以下のとおり行
った。水素透過器をパラジウム合金膜が420℃となる
ように加熱保持し、その1次側に混合ガス(水素41.
9%、キセノン37.4%、ネオン20.7%、酸素8
ppm、一酸化炭素9ppm、二酸化炭素12ppm、
窒素15ppm、メタン8ppm、露点−62℃)を3
1NL/h、0.9MPa・absで供給するととも
に、2次側の水素抜き出し口に接続された真空ポンプで
2次側が1.33kPa・absとなるように排気し、
混合ガスから水素の大部分を除去した。次いで、水素透
過器により水素の大部分が除去された混合ガスを冷却し
た後、酸素を0.76%となるように加えた。この混合
ガスを300℃に加熱した貴金属触媒筒内に供給し、混
合ガスと貴金属触媒を接触させることにより、混合ガス
中に含まれる水素を水に、メタンを二酸化炭素と水に変
成させた。貴金属触媒筒からの出口ガスを空冷冷却器に
より冷却した後、ニッケル触媒筒に供給し、混合ガス中
の酸素と二酸化炭素の一部を除去した。次いで、ニッケ
ル触媒筒からの出口ガスを吸着剤筒に供給し、二酸化炭
素と水を捕捉除去した。更に二酸化炭素と水が除去され
た吸着剤筒からの出口ガスを700℃に加熱したゲッタ
ー筒に供給し、窒素を捕捉した。窒素が捕捉された希ガ
スを空冷冷却器によって冷却し、希ガスとして回収し
た。
【0054】(希ガス中の不純物分析)混合ガスの供給
開始から5時間後に、ゲッター筒出口から回収した希ガ
ス中のキセノン、ネオン、水素、酸素、一酸化炭素、二
酸化炭素、窒素、メタン、水の各濃度を分析した。その
結果、キセノン64.4%、ネオン35.6%であり、
水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、メタンは
いずれも5ppb以下、水は露点−93℃以下であっ
た。また、このときの回収した希ガス流量は18NL/
hであったことから、キセノン、ネオン回収率{(回収
ガス中のキセノン又はネオン量/混合ガス中のキセノン
又はネオン量)×100}(%)は共にほぼ100%で
あった。
【0055】実施例2 実施例1の水素透過器と同様の水素透過器4台を図5に
示したと同様に直列に配置し、更に2〜4段目の水素抜
き出し口には真空ポンプを接続し、水素透過器とした。
この水素透過器と、実施例1で製作した貴金属触媒筒、
ニッケル触媒筒、吸着剤筒、ゲッター筒と同様のものを
水素透過器、貴金属触媒筒、ニッケル触媒筒、吸着剤
筒、ゲッター筒の順に接続し、更に水素透過器、貴金属
触媒筒、ニッケル触媒筒、ゲッター筒の後段には空冷冷
却器を取付け、希ガス回収装置とした。
【0056】この希ガス回収装置を用いて、混合ガスと
して水素80%、キセノン15.5%、ネオン4.5
%、酸素4ppm、一酸化炭素7ppm、二酸化炭素8
ppm、窒素13ppm、メタン5ppm、露点−56
℃からなる組成のガスを0.6Nm/h、0.98M
Pa・absで供給するとともに、2〜4段目の水素透
過器の2次側がそれぞれ13kPa・abs、4kPa
・abs、0.3kPa・absとなるように真空ポン
プで排気した以外は、実施例1と同様にして混合ガスか
ら水素の大部分を除去した。次いで、水素透過器により
水素の大部分が除去された混合ガスを冷却した後、酸素
を0.25%となるように加えた。この混合ガスを35
0℃に加熱した貴金属触媒筒内に供給し、混合ガスと貴
金属触媒を接触させることにより、混合ガス中に含まれ
る水素を水に、メタンを二酸化炭素と水に変成させた。
以下、実施例1と同様にして混合ガスをニッケル触媒、
吸着剤、ゲッターに接触させ、混合ガス中の不純物を除
去した。不純物が除去された希ガスを空冷冷却器で冷却
した後、希ガスとして回収した。
【0057】(希ガス中の不純物分析)混合ガスの供給
開始から5時間後に、ゲッター筒出口から回収した希ガ
ス中のキセノン、ネオン、水素、酸素、一酸化炭素、二
酸化炭素、窒素、メタン、水の各濃度を分析した。その
結果、キセノン77.5%、ネオン22.5%であり、
水素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、メタンは
いずれも5ppb以下、水は露点−93℃以下であっ
た。また、このときの回収した希ガス流量は0.12N
/hであったことから、キセノン、ネオン回収率
{(回収ガス中のキセノン又はネオン量/混合ガス中の
キセノン又はネオン量)×100}(%)は共にほぼ1
00%であった。
【0058】実施例3 実施例1の水素透過器と同様の水素透過器4台を図5に
示したと同様に直列に配置し、更に2〜4段目の水素抜
き出し口には真空ポンプを接続し、水素透過器とした。
この水素透過器と、実施例1で製作したゲッター筒と同
様のものを図2に示した装置構成で接続し、更に水素透
過器、ゲッター筒の後段には空冷冷却器を取付け、希ガ
ス回収装置とした。
【0059】この希ガス回収装置を用いて、実施例2と
同様にして、混合ガスから水素透過器を用いて水素を除
去した。次いで、水素透過器により水素の大部分が除去
された混合ガスを冷却した後、700℃に加熱したゲッ
ター筒に供給した。ここで混合ガス中の窒素、酸素、二
酸化炭素、メタン、水を捕捉した後、希ガスを回収し
た。
【0060】(希ガス中の不純物分析)混合ガスの供給
開始から5時間後に、ゲッター筒出口から回収した希ガ
ス中のキセノン、ネオン、水素、酸素、一酸化炭素、二
酸化炭素、窒素、メタン、水の各濃度を分析した。その
結果、キセノン77.2%、ネオン22.45%、水素
0.35%であり、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒
素、メタンはいずれも5ppb以下、水は露点−93℃
以下であった。また、このときの回収した希ガス流量は
0.12Nm/hであったことから、キセノン、ネオ
ン回収率{(回収ガス中のキセノン又はネオン量/混合
ガス中のキセノン又はネオン量)×100}(%)はほ
ぼ100%であった。
【0061】実施例4 実施例1の水素透過器と同様の水素透過器4台を図5に
示したと同様に直列に配置し、更に2〜4段目の水素抜
き出し口には真空ポンプを接続し、水素透過器とした。
この水素透過器と、実施例1で製作した貴金属触媒筒、
ニッケル触媒筒、吸着剤筒と同様のものを図3に示した
装置構成で接続し、更に水素透過器、貴金属触媒筒、ニ
ッケル触媒筒の後段には空冷冷却器を取付け、希ガス回
収装置とした。
【0062】この希ガス回収装置を用いて、希ガスの回
収を以下のとおり行った。混合ガスとして水素80%、
キセノン15.5%、ネオン4.5%、酸素4ppm、
一酸化炭素7ppm、二酸化炭素8ppm、メタン5p
pm、露点−56℃からなる組成のガスを用いた以外は
実施例2と同様にして、水素透過器を用いて混合ガスか
ら水素を除去した。次いで、水素透過器により水素の大
部分が除去された混合ガスを冷却した後、酸素を0.2
5%となるように加えた。この混合ガスを350℃に加
熱した貴金属触媒筒内に供給し、混合ガスと貴金属触媒
を接触させることにより、混合ガス中に含まれる水素、
一酸化炭素、メタンをそれぞれ水、二酸化炭素、二酸化
炭素と水に変成させた。貴金属触媒筒からの出口ガスを
空冷冷却器により冷却した後、ニッケル触媒筒に供給
し、混合ガス中の酸素と二酸化炭素の一部を除去した。
次いで、ニッケル触媒筒からの出口ガスを吸着剤筒に供
給し、二酸化炭素と水を吸着除去した後、吸着筒出口か
ら希ガスを回収した。
【0063】(希ガス中の不純物分析)混合ガスの供給
開始から5時間後に、ゲッター筒出口から回収した希ガ
ス中のキセノン、ネオン、水素、酸素、一酸化炭素、二
酸化炭素、メタン、水の各濃度を分析した。その結果、
キセノン77.5%、ネオン22.5%であり、水素、
酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、メタンはいずれも5p
pb以下、水は露点−93℃以下であった。また、この
ときの回収した希ガス流量は0.12Nm/hであっ
たことから、キセノン、ネオン回収率{(回収ガス中の
キセノン又はネオン量/混合ガス中のキセノン又はネオ
ン量)×100}(%)はほぼ100%であった。
【0064】
【発明の効果】本発明によれば、希ガスと水素及び不純
物を含む混合ガスから小規模の設備で、連続的に、しか
も高収率、高純度で希ガスを回収することができる。ま
た、複数種の希ガスを含む混合ガスであっても希ガスの
組成を変えることなく回収することができる。更に、水
素も超高純度で回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水素透過器、貴金属触媒筒、ニッケル触媒
筒、吸着剤筒及びゲッター筒を組み合わせた装置構成図
の例
【図2】 水素透過器とゲッター筒を組み合わせた装置
構成図の例
【図3】 水素透過器、貴金属触媒筒、ニッケル触媒筒
及び吸着剤筒を組み合わせた装置構成図の例
【図4】 先端を封じた細管状のパラジウム膜又はパラ
ジウム合金膜を内蔵した水素透過器の断面図
【図5】 水素透過器を直列に4段設けた場合の装置構
成図
【図6】 平膜状のパラジウム膜又はパラジウム合金膜
を内蔵した水素透過器の断面図
【符号の説明】
1 パラジウム膜又はパラジウム合金膜 2 水素透過器 3 真空ポンプ 4 貴金属触媒 5 貴金属触媒筒 6 ニッケル触媒 7 ニッケル触媒筒 8 吸着剤 9 吸着剤筒 10 ゲッター 11 ゲッター筒 12 ヒーター 13 冷却器 14 混合ガス供給口 15 1次側 16 2次側 17 水素透過器出口 18 水素抜き出し口 19 酸素供給口 20 逆止弁 21 掃気ガス導入口

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素及び希ガスとともに、不純物として
    酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水か
    ら選ばれる少なくとも1種を含む混合ガスを、加熱下で
    のパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過性
    を利用した水素透過器の1次側に、大気圧以上の圧力で
    供給し、該水素透過器の2次側を真空に保持又は水素以
    外のガスで掃気することにより、該混合ガス中の水素を
    除去した後、酸素を添加するとともに加熱下で貴金属触
    媒に接触させて、一酸化炭素を二酸化炭素に、水素を水
    に、炭化水素を二酸化炭素と水に変成させた後、ニッケ
    ル触媒に接触させて酸素と二酸化炭素を除去し、更に吸
    着剤に接触させて二酸化炭素と水を除去し、最後に加熱
    下でゲッターに接触させて該不純物を除去して希ガスを
    回収することを特徴とする希ガスの回収方法。
  2. 【請求項2】 水素及び希ガスとともに、不純物として
    酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水か
    ら選ばれる少なくとも1種を含む混合ガスを、加熱下で
    のパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過性
    を利用した水素透過器の1次側に、大気圧以上の圧力で
    供給し、該水素透過器の2次側を真空に保持又は水素以
    外のガスで掃気することにより、該混合ガス中の水素を
    除去した後、加熱下でゲッターに接触させて該不純物を
    除去し、希ガスを回収することを特徴とする希ガスの回
    収方法。
  3. 【請求項3】 水素及び希ガスとともに、不純物として
    酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、炭化水素、水から選ば
    れる少なくとも1種を含む混合ガスを、加熱下でのパラ
    ジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過性を利用
    した水素透過器の1次側に、大気圧以上の圧力で供給
    し、該水素透過器の2次側を真空に保持又は水素以外の
    ガスで掃気することにより、該混合ガス中の水素を除去
    した後、酸素を添加するとともに加熱下で貴金属触媒に
    接触させて、一酸化炭素を二酸化炭素に、水素を水に、
    炭化水素を二酸化炭素と水に変成させた後、ニッケル触
    媒に接触させて酸素と二酸化炭素を除去し、更に吸着剤
    に接触させて二酸化炭素と水を除去して希ガスを回収す
    ることを特徴とする希ガスの回収方法。
  4. 【請求項4】 水素及び希ガスとともに、不純物として
    酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水か
    ら選ばれる少なくとも1種を含む混合ガスを、加熱下で
    のパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過性
    を利用した水素透過器が直列に多段に設けられ、かつ該
    水素透過器の1次側がそれぞれ直列に接続された水素透
    過器の一段目の1次側に供給し、該混合ガス中の水素を
    段階的に除去した後、酸素を添加するとともに加熱下で
    貴金属触媒に接触させて、一酸化炭素を二酸化炭素に、
    水素を水に、炭化水素を二酸化炭素と水に変成させた
    後、ニッケル触媒に接触させて酸素と二酸化炭素を除去
    し、更に吸着剤に接触させて二酸化炭素と水を除去し、
    最後に加熱下でゲッターに接触させて該不純物を除去し
    て希ガスを回収することを特徴とする希ガスの回収方
    法。
  5. 【請求項5】 水素及び希ガスとともに、不純物として
    酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水か
    ら選ばれる少なくとも1種を含む混合ガスを、加熱下で
    のパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過性
    を利用した水素透過器が直列に多段に設けられ、かつ該
    水素透過器の1次側がそれぞれ直列に接続された水素透
    過器の一段目の1次側に供給し、該混合ガス中の水素を
    段階的に除去した後、加熱下でゲッターに接触させて該
    不純物を除去し、希ガスを回収することを特徴とする希
    ガスの回収方法。
  6. 【請求項6】 水素及び希ガスとともに、不純物として
    酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、炭化水素、水か
    ら選ばれる少なくとも1種を含む混合ガスを、加熱下で
    のパラジウム膜又はパラジウム合金膜の水素選択透過性
    を利用した水素透過器が直列に多段に設けられ、かつ該
    水素透過器の1次側がそれぞれ直列に接続された水素透
    過器の一段目の1次側に供給し、該混合ガス中の水素を
    段階的に除去した後、酸素を添加するとともに加熱下で
    貴金属触媒に接触させて、一酸化炭素を二酸化炭素に、
    水素を水に、炭化水素を二酸化炭素と水に変成させた
    後、ニッケル触媒に接触させて酸素と二酸化炭素を除去
    し、更に吸着剤に接触させて二酸化炭素と水を除去して
    希ガスを回収することを特徴とする希ガスの回収方法。
  7. 【請求項7】 直列に多段に設けられた水素透過器の少
    なくとも最終段目の水素透過器の1次側を大気圧以上の
    圧力に保持し、2次側を真空に保持又は水素以外のガス
    で掃気する請求項4〜6のいずれかに記載の希ガスの回
    収方法。
  8. 【請求項8】 混合ガスが、希ガスを使用した製造装置
    内及び/又は配管中に水素を流通させて、製造装置内及
    び/又は配管中に残存する希ガスを水素で置換する際の
    排ガスである請求項1〜6のいずれかに記載の希ガスの
    回収方法。
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