JP4031238B2 - ヘリウム精製装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘリウムを含む混合ガスから不純物を除去し、ヘリウムを精製する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヘリウムガスは、冷却剤としての用途がある。ガス状ヘリウムは、光ファイバを製造する際の冷却剤としての用途が最も多い。液体のヘリウムは、超伝導マグネットの冷却用として使用されている。このような用途に使用されるヘリウムは、不具合なく冷却剤としての役割を果たせるように、高純度に精製しておく必要がある。
【0003】
ヘリウムガスは、天然ガス中に3〜5%含まれており、たとえば天然ガスを液化した際に得られるヘリウムガスを精製することにより得られる。しかしながら、全ての天然ガス中にヘリウムガスが高濃度で含まれているわけではない。そのため、高純度ヘリウムガスは高価であり、また天然資源を有効に活用するためには、冷却剤として使用したヘリウムをリサイクルする必要がある。たとえば、光ファイバの冷却剤として使用した場合には、高純度ヘリウムガスと空気とが混合し、ヘリウムの純度が5〜30容積%に希釈化されてしまう。したがって、使用後のヘリウムのリサイクルを考慮した場合、窒素や酸素を多く含む低純度ヘリウムガスを、窒素や酸素を有効に除去して、高純度に精製する技術が必要となる。
【0004】
ヘリウムを精製する技術としては、たとえば特開昭56−140016号公報に記載された発明のように、TSA法とPSA法を併用したものがある。この発明では、吸着剤としての合成ゼオライトを用いた吸着塔が使用され、ヘリウム混合ガス中の水分および炭酸ガスを吸着除去することを目的として構成されている。そのため、上記発明では、酸素を含む混合ガスからヘリウムを高純度に精製することはできない。したがって、ヘリウムと空気とが混合したガスの精製、つまり使用後のヘリウムガスの精製に適合する技術とはいえない。
【0005】
また、特公平5−80242号公報や特公平6−24604号公報には、圧力スイング吸着手段と分離膜精製手段を併用したヘリウム精製装置が開示されている。これらの精製装置では分離膜精製手段によりヘリウムを選択的に透過させることとしているが、上記分離膜精製手段に用いられている分離膜はヘリウムの次に水分、二酸化炭素、酸素を透過させやすい。そのため、高純度にヘリウムを精製するためには、圧力スイング吸着手段において、水分、二酸化炭素および酸素を十分に除去しておく必要がある。また、使用済みのヘリウムのリサイクルを考慮した場合には、空気中に最も多く含まれる窒素をも十分に除去する必要がある。しかしながら、上記精製装置は、例えば80%以上の高濃度のヘリウムを精製する技術としては十分に機能しうるものの、使用後のヘリウムガスを回収してリサイクルする場合のように、例えば70%以下の比較的低濃度のヘリウム混合ガスからヘリウムを高濃度に精製する技術としては十分であるとは言いがたい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとに考えだされたものであって、低濃度ヘリウム混合ガスから、高純度にヘリウムを精製する技術を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、本発明では次の技術的手段を講じている。すなわち、本発明により提供されるヘリウム精製装置は、不純物として少なくとも窒素、アルゴンおよび酸素を含む混合ガスからヘリウムを精製する装置であって、吸着により不純物を除去する吸着除去手段および分離膜により不純物を除去する膜分離手段を備えたヘリウム精製装置において、水素供給によって不純物酸素ガスから水分を生成する反応手段と、この反応手段によって生成した水分を除去するための脱湿手段と、をさらに備え、上記吸着除去手段に原料ガスが供給される一方、上記吸着除去手段から排出される非吸着ガスは上記膜分離手段に導入され、この膜分離手段において上記分離膜を透過して排出された透過ガスは上記反応手段に導入され、この反応手段から排出された水分含有ガスは上記脱湿手段に導 入され、上記脱湿手段から排出される脱湿ガスが製品ガスとして回収されるように構成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明の精製装置は、従来の吸着除去手段および膜分離手段に加えて、反応手段および脱湿手段をさらに備えている。したがって、従来に比べて多量の酸素および水分を除去できる。また、反応手段および脱湿手段により酸素および水分を除去できれば、吸着除去手段および膜分離手段において除去すべき酸素や水分の量を少なくすることができる。たとえば、吸着除去手段において主として窒素を除去する一方で膜分離手段において主としてアルゴンを除去するように構成することもできる。つまり、吸着剤として窒素の吸着能の高いものを保持した1または複数の吸着槽を備えたものとして吸着除去手段を構成するとともに、ヘリウムを選択的に透過させる一方で、酸素およびアルゴンが透過しにくい分離膜を備えたものとして膜分離手段を構成すればよい。そうすれば、窒素、アルゴンおよび酸素といった不純物を各手段によって順次除去できる結果、ヘリウム濃度が低い混合ガスであっても、ヘリウムを高純度に精製することができるようになる。
【0009】
本発明の精製装置においては、上記吸着除去手段に原料ガスが供給される一方、上記吸着除去手段から排出される非吸着ガスは上記膜分離手段に導入され、この膜分離手段において上記分離膜を透過して排出された透過ガスは上記反応手段に導入され、この反応手段から排出された水分含有ガスは上記脱湿手段に導入され、上記脱湿手段から排出される脱湿ガスが製品ガスとして回収されるように構成されている。つまり、本発明の精製装置では、吸着除去手段、膜分離手段、反応手段、および脱湿手段の順序で、各手段において主として窒素、主としてアルゴン、主として酸素、および主として水分を除去するのが好ましい。そうすれば、空気中に含まれる不純物を各手段において順次除去できる結果、使用済みの回収ガスのように、空気で希釈されたヘリウム濃度が小さい混合ガスであっても、それを高純度に精製することができるようになる。
【0010】
膜分離手段は、少なくとも一つの膜分離ユニットにより構成されるが、高純度にヘリウムを精製すべく、複数の膜分離ユニットにより構成するのが好ましい。たとえば、膜分離手段は、分離対象ガスを圧縮するための圧縮部と、圧縮された分離対象ガスをヘリウム濃縮ガスと除去ガスとに分離する膜分離モジュールと、を有する少なくとも一つの膜分離ユニットを備え、膜分離ユニットが複数の場合、複数の膜分離ユニットを直列に配置する構成とすることができる。この場合、2番目以降に配置された少なくとも1つの膜分離ユニットからの除去ガスを、当該膜分離ユニットよりも上流側に配置された膜分離ユニットに分離対象ガスの一部としてリサイクル供給するように構成するのが好ましい。そうすれば、膜分離手段に供給される分離対象ガスに含まれるヘリウムをより高い回収率で回収することができるようになる。
【0011】
反応手段は、少なくとも一つの反応槽を備えており、反応槽が複数の場合、それぞれに水素ガスが個別に供給されて、酸素ガスから水分含有ガスを生成可能なものとして構成するのが好ましい。この場合、複数の反応槽は、直列配置するのが好ましい。
【0012】
各反応槽には、たとえば酸素と水素との反応のための触媒が充填される。この場合、各反応槽に対する水素ガスの供給量は、各反応槽の温度が、触媒が劣化する温度よりも低く維持される量とすることが必要である。原料ガス中のヘリウム濃度が低くて酸素濃度が高い場合には、反応槽に供給される酸素量に応じた量論比で水素を供給して反応させれば、反応熱によって反応層内の温度が過剰に上昇してしまい、それによって触媒が劣化してしまいかねない。そのため、反応槽を複数準備して各反応槽における水素供給量を調整すれば、反応槽内の温度上昇ひいては触媒の劣化を抑制できる。
【0013】
脱湿手段は、たとえば水分の吸着能の高い脱湿剤を保持した脱湿槽を備えており、上記脱湿槽内の温度または圧力を変動させることにより、上記脱湿剤において水分を吸着する状態と上記脱湿剤において吸着した水分を脱着する状態とを選択するように構成される。脱湿槽から排出された脱着ガスは、原料ガスの一部としてリサイクルされるように構成するのが好ましい。そうすれば、ヘリウムを効率良く回収することができるようになる。
【0014】
吸着除去手段は、たとえばPSA法を採用することができる。つまり、1または複数の吸着槽の槽内の圧力を変動させることにより、吸着剤において不純物を吸着する状態と吸着剤において吸着した不純物を脱着する状態とを選択するように構成される。1または複数の吸着槽は、たとえばポンプを用いて塔内ガスを排出することにより槽内を減圧するように構成され、吸着槽から排出される初期脱着ガスを原料ガスとしてリサイクルするように構成するのが好ましい。そうすれば、ヘリウムの回収率を高めることができるようになる。もちろん、吸着除去手段は、TSA法を採用し、槽内の温度変動により、吸着状態と脱着状態とを選択するように構成することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。図1に示したヘリウム精製装置Xは、空気により希釈されたヘリウムガス(回収ガス)からヘリウムを精製することを目的として構成されたものであり、PSA装置1、膜分離装置2、反応装置3、および脱湿装置4を備えている。
【0016】
PSA装置1は、主として窒素を除去することを目的として構成されている。このPSA装置1では、窒素の他に炭酸ガス、水分、および酸素を除去することもできる。
【0017】
各吸着槽10〜12の内部には、たとえば2種類の吸着剤が積層充填されている。吸着剤としては、ゼオライトおよびアルミナが採用される。ゼオライトは、主として窒素の除去を目的として使用されるが、同時に炭酸ガスおよび酸素も除去される。一方、アルミナは、炭酸ガスと水分を除去することを目的として使用される。
【0018】
そして、各自動弁13a〜13c,14a〜14c,15a〜15c,16a〜16c,17a〜17c,18aの開閉状態を適宜切り替えることにより、各配管13A〜18Aでのガスの流れ状態が調整される。その結果、各吸着槽10〜12においては、吸着工程、均圧工程(減圧)、脱着工程、均圧工程(昇圧)、および蓄圧工程のそれぞれが繰り返し行われる。吸着工程は、吸着剤への不純物の吸着を目的として高圧下で行われる。均圧工程(減圧)は、他の吸着槽10〜12に対する槽内ガスの供給により行われる。脱着工程は、吸着剤からの不純物の脱着を目的として低圧下で行われる。均圧工程(昇圧)は、他の吸着槽10〜12からの槽内ガスを導入することにより行われる。蓄圧工程は、吸着工程への準備として行われ、この工程において吸着槽10〜12の内部圧力が上昇させられる。
【0019】
膜分離装置2は、主としてアルゴンを除去することを目的として構成されており、圧縮機20および膜分離モジュール21を有している。膜分離モジュール21は、たとえば中空糸状の分離膜(図示略)を有しており、圧縮機20により圧縮された分離対象ガスがモジュールの内部に供給される。分離膜は、たとえばポリイミド、ポリスルホン、酢酸セルロースなどの高分子材料により構成されており、ヘリウムが最も拡散透過しやすく、次いで酸素、アルゴンとなっている。
【0020】
膜分離装置2は、PSA装置1に供給される原料ガス中の窒素、酸素およびアルゴン濃度が大きい場合、たとえば原料ガス中の空気濃度が70容積%以上の場合には、その濃度に応じて、膜分離ユニットが複数設けられる。図2には、2つの膜分離ユニット2a,2bを設けた例を示した。各膜分離ユニット2a,2bは、圧縮機20a,20bおよび膜分離モジュール21a,21bを備えている。同図に示したように、膜分離ユニット2a,2bを複数設ける場合には、下流側に位置する膜分離モジュール21bにおける非透過ガスを、上流側の膜分離ユニット2aに対して分離対象ガスの一部としてリサイクルするように構成するのが好ましい。
【0021】
反応装置3は、酸素を除去することを目的として構成されており、触媒を充填した反応槽30を有している。反応槽30に対しては、水素供給用配管31を介して水素ガスが供給される。反応槽30内では、分離膜を透過した酸素含有ガスと反応槽30に供給された水素ガスとの反応により水が生成され、反応槽30から水分含有ガスが排出される。触媒としては、白金やパラジウムが用いられ、これらの触媒は、たとえばアルミナなどの無機物担体に担持された状態で反応槽30に保持される。
【0022】
反応槽30に導入される酸素濃度が大きい場合には、これに対して化学量論的濃度となるように水素を供給すれば、反応槽30内の温度が触媒の劣化温度よりも高くなってしまうことが懸念される。この場合には、複数の反応槽を準備して、各反応槽に対して、各反応槽内の温度を触媒が劣化する温度よりも低く維持できるように水素ガスを供給するのが好ましい。図2には、2つの反応槽30a,30bを準備した例を示した。そうすれば、触媒の劣化を抑制して酸素除去効率の低下を抑制し、また触媒の寿命を長く維持できるようになる。かかる観点からは、上流側の反応槽30aから下流側の反応槽30bに導入すべき酸素含有ガスは、反応槽30b内の温度上昇を抑制するために、導入前に冷却しておくのが好ましい。
【0023】
脱湿装置4は、主として水分を除去することを目的として構成されており、2つの脱湿槽40を有している。各脱湿槽40には、たとえばゼオライトのような脱湿剤が保持されており、槽内の温度変動により、水分を吸着する状態と水分を脱着する状態とを選択するように構成される(TSA法)。もちろん、槽内の圧力変動により、水分を吸着する状態と水分を脱着する状態とを選択するように構成してもよい(PSA法)。この脱湿装置4では、四方弁41および三方弁42を切り替えることにより、各脱湿槽40における吸着状態と脱着状態とがタイミングをずらして行われ、これにより脱湿装置4の全体としては連続的に脱湿できるように構成されている。脱着を行っている脱湿槽40においては、その脱着ガスが原料ガスの一部としてリサイクルされる。
【0024】
以上に説明したヘリウム精製装置Xでは、ブロアBの動力によって原料ガス供給部13からPSA装置1に対して原料ガスが供給される。このとき、脱湿装置4からのリサイクルガスも同時にPSA装置1に供給される。吸着槽10(11,12)に対する原料ガスの供給圧力は、たとえば約105kPaから150kPa(絶対圧)とされる。本実施の形態では、脱湿装置4からのリサイクルガスがPSA装置1に供給されるように構成されているため、ヘリウムの回収率を高めることができる。
【0025】
PSA装置1では、上述したように各吸着槽10〜12において吸着工程、均圧工程(減圧)、脱着工程、均圧工程(昇圧)、および蓄圧工程が繰り返し行われる結果、主として窒素が除去され、同時に酸素、二酸化炭素および水分も除去される。本実施の形態では、均圧工程が含まれており、吸着工程を終了した吸着槽10(11,12)から脱着工程を終了した吸着槽11(10,12)に対して槽内に滞留する高ヘリウム濃度のガスが供給される。したがって、ヘリウムの回収率を高めることができる。
【0026】
各吸着槽10〜12からの脱着ガスは、ヘリウム濃度の高い初期脱着ガス(たとえばヘリウム濃度が約5〜70容量%)がバッファタンクBTを通じて原料ガスの一部としてリサイクルされる一方、ヘリウム濃度の低い脱着ガスについては、大気に放出される。ヘリウム濃度の高い初期脱着ガスをリサイクルすることにより、ヘリウムの回収率を高めることができる。脱着ガスのリサイクルまたは大気放出の選択は、弁14e,14dを切り替えることにより行われる。
【0027】
膜分離装置2では、圧縮機20によって分離対象ガス(非吸着ガス)が約1100kPa(絶対圧)に加圧された状態で膜分離モジュール21に供給される。膜分離モジュールでは、ヘリウムが分離膜をよく透過し、アルゴンは透過しにくい。酸素は、アルゴンよりは透過しやすい。その結果、分離膜において酸素の一部とアルゴンが除去され、透過ガスとしてヘリウムとともに酸素が反応装置3に導入される。
【0028】
図2に示したように、膜分離ユニット2a,2bを複数設けた膜分離装置2では、下流側に位置する膜分離モジュール21bにおける非透過ガスを、上流側の膜分離ユニット2aに対して分離対象ガスの一部としてリサイクルするように構成するのが好ましいのは上述した通りである。この構成では、ヘリウムの回収率を高めることができる。また、膜分離ユニット2a,2bを複数設ければ、原料ガス中に含まれる不純物(とくにアルゴン)の濃度が高い場合に対しても適切に対応できるようになる。
【0029】
反応装置3では、透過ガスと水素ガスが混合される。水素ガスは、透過ガスに含まれる酸素ガス量に対して量論比となる量だけ供給される。この反応装置3において酸素ガスが水素ガスと反応して水が生成され、水分含有ガスが脱湿装置4に導入される。ただし、反応装置3に導入される透過ガス中の酸素濃度が大きい場合には、図2に示したように複数の反応槽30a,30bにおいて、酸素ガスと水素ガスとの反応を行うように構成するのが好ましい。そうすることにより、各反応槽30a,30b内での過度な温度上昇を抑制し(たとえばパラジウムや白金の劣化温度である500℃以下)、触媒の劣化ひいては反応効率の低下を抑制できるようになる。
【0030】
脱湿装置4では、反応装置3から導出された水分を多く含む水分含有ガスから、脱湿剤によって水分が吸着除去され、製品ガスが得られる。脱湿装置4では、各脱湿槽40において脱湿剤の吸着と再生が繰り返し行われているが、再生時の脱着ガスは原料ガスの一部としてリサイクルされる。これにより、ヘリウムの回収率を高めることができる。このリサイクルガスは、水分を多く含んでいるが、本実施の形態のPSA装置1は水分も除去できるように構成されているために、リサイクルガス中に含まれる水分は、原料ガス中の水分と一緒に、PSA装置1で除去される。
【0031】
本実施の形態のヘリウム精製装置Xは、不純物の濃度が高い場合(例えばヘリウムの濃度が70%以下、特に30%以下の低い場合)に対応し、またヘリウムの回収率を高めるべく種々の工夫がなされている。そのため、ヘリウム精製装置Xでは、低濃度のヘリウム混合ガス(たとえば冷却剤として使用し、空気が混合した回収ガス)から、高い回収率でヘリウムを回収精製できる。
【0032】
このような効果を確認すべく、本発明者らは、ヘリウム精製装置Xに対して表1に示した条件の原料ガスを供給してヘリウムの精製を試みた。その結果を表1に同時に示した。ただし、実施例1においては、図1に示したように膜分離装置2における膜分離モジュール21および反応装置3における反応槽30の数を1つとし、実施例2においては、図2に示したように膜分離装置2における膜分離モジュール21a,21bおよび反応装置3における反応槽30a,30bの数を2つとした。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、不純物として少なくとも窒素、アルゴンおよび酸素を含む混合ガスから高い回収率で高純度にヘリウムを精製することができる。ヘリウム濃度が低い混合ガス(たとえばヘリウム濃度が70容量%以下、とりわけ30容量%以下)であっても、高純度で高い回収率をもってヘリウムを精製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るヘリウム精製装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】 本発明に係るヘリウム精製装置の他の例を示す要部概略構成図である。
【符号の説明】
X ヘリウム精製装置
1 PSA装置(吸着除去手段)
10〜12 吸着槽
2 膜分離装置(膜分離手段)
2a,2b 膜分離ユニット
20,20a,20b 圧縮機(圧縮部)
21,21a,21b 膜分離モジュール
3 反応装置(反応手段)
30,30a,30b 反応槽
4 脱湿装置(脱湿手段)
Claims (7)
- 不純物として少なくとも窒素、アルゴンおよび酸素を含む混合ガスからヘリウムを精製する装置であって、吸着により不純物を除去する吸着除去手段および分離膜により不純物を除去する膜分離手段を備えたヘリウム精製装置において、
水素供給によって不純物酸素ガスから水分を生成する反応手段と、この反応手段によって生成した水分を除去するための脱湿手段と、をさらに備え、
上記吸着除去手段に原料ガスが供給される一方、上記吸着除去手段から排出される非吸着ガスは上記膜分離手段に導入され、この膜分離手段において上記分離膜を透過して排出された透過ガスは上記反応手段に導入され、この反応手段から排出された水分含有ガスは上記脱湿手段に導入され、上記脱湿手段から排出される脱湿ガスが製品ガスとして回収されるように構成されていることを特徴とする、ヘリウム精製装置。 - 上記吸着除去手段は、吸着剤を保持した1または複数の吸着槽を備えており、かつ上記吸着剤として窒素を優先的に吸着するものが使用され、
上記膜分離手段の分離膜は、酸素およびアルゴンの透過を制限しつつヘリウムを選択的に透過させる構成とされている、請求項1に記載のヘリウム精製装置。 - 上記膜分離手段は、分離対象ガスを圧縮するための圧縮部と、圧縮された分離対象ガスをヘリウム濃縮ガスと除去ガスとに分離する膜分離モジュールと、を有する少なくとも一つの膜分離ユニットを備え、膜分離ユニットが複数の場合、複数の膜分離ユニットは直列に配置されており、
2番目以降に配置された少なくとも1つの膜分離ユニットからの除去ガスを、当該膜分離ユニットよりも上流側に配置された膜分離ユニットに分離対象ガスの一部としてリサイクル供給するように構成されている、請求項1または2に記載のヘリウム精製装置。 - 上記反応手段は、少なくとも一つの反応槽を備えており、反応槽が複数の場合、それぞれに水素ガスが個別に供給されて、酸素ガスから水分含有ガスを生成可能とされており、
上記複数の反応槽は、直列配置されている、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のヘリウム精製装置。 - 上記各反応槽には、酸素と水素との反応のための触媒が充填されており、
上記各反応槽に対する上記水素ガスの供給量は、上記各反応槽の槽内温度が、上記触媒が劣化する温度より低く維持される量とされている、請求項4に記載のヘリウム精製装置。 - 上記脱湿手段は、水分を優先的に吸着する脱湿剤を充填した脱湿槽を備えており、かつ上記脱湿剤において水分を吸着する状態と上記脱湿剤において吸着した水分を脱着する状態とを選択するように構成されており、
上記脱湿槽から排出される脱着ガスは、原料ガスの一部としてリサイクルされるように構成されている、請求項1ないし5のいずれか1つに記載のヘリウム精製装置。 - 上記1または複数の吸着槽は、槽内の圧力を変動させることにより、上記吸着剤において不純物を吸着する状態と上記吸着剤において吸着した不純物を脱着する状態とを選択するように構成されており、
上記吸着槽から排出される初期脱着ガスを原料ガスの一部としてリサイクルするように構成されている、請求項2ないし6のいずれか1つに記載のヘリウム精製装置。
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