JP2000071973A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

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JP2000071973A JP10243036A JP24303698A JP2000071973A JP 2000071973 A JP2000071973 A JP 2000071973A JP 10243036 A JP10243036 A JP 10243036A JP 24303698 A JP24303698 A JP 24303698A JP 2000071973 A JP2000071973 A JP 2000071973A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ブレーキシリンダとリザーバとの間に設けら
れた常開の減圧制御弁における電気エネルギの消費量の
低減を図る。 【解決手段】 ブレーキシリンダの液圧を増圧する場合
には、減圧リニアバルブ62を閉状態に保つ必要があ
る。減圧リニアバルブ62においては、供給電流に応じ
た電磁駆動力と、ブレーキシリンダの液圧とリザーバの
液圧との差圧による差圧作用力とが作用するが、電磁駆
動力が差圧作用力より大きい場合に、閉状態に保たれ
る。この場合に、最大の電流が供給されるのではなく、
電磁駆動力が差圧作用力と余裕値との和以上になるよう
な、電流を供給する。その結果、閉状態を保つ場合の電
気エネルギの消費量を少なくすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ブレーキシリンダ
とリザーバとの間に設けられた電磁制御弁を含むブレー
キ液圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上述のブレーキ液圧制御装置の一例が、
本願出願人によって出願され、未だ公開されていない特
願平10─102476号の明細書に記載されている。
このブレーキ液圧制御装置において、ブレーキシリンダ
とリザーバとの間に設けられた電磁制御弁は、電気エネ
ルギが供給されない場合に連通状態に保たれ、電気エネ
ルギが供給された場合に遮断状態に切り換えられる常開
の電磁開閉弁である。従来、ブレーキシリンダとリザー
バとの間に設けられる電磁制御弁は、ブレーキの効き遅
れを防止するために、電気エネルギが供給されない場合
に遮断状態に保たれる常閉の電磁開閉弁とされていた。
常閉の電磁開閉弁は、ブレーキ操作部材の操作が解除さ
れた後等液圧制御が終了した後に、ホイールシリンダの
液圧を完全に消滅させ得ると推定される作動液戻り時間
だけ連通状態に保たれ、その後、電気エネルギの供給が
停止させられて遮断状態に戻される。しかし、作動液戻
り時間だけ連通状態に保っても、ホイールシリンダに液
圧が残る場合があり、この残圧によって引きずりが生じ
る場合がある。それに対して、常開弁とし、液圧制御が
終了した場合に電気エネルギの供給を停止して連通状態
に戻せば、ホイールシリンダに液圧が残ることを確実に
回避し、引きずりを防止することができる。しかし、常
開弁とした場合には、ブレーキシリンダの液圧を増圧す
る場合に速やかに遮断状態に切り換えなければならな
い。そのため、上記公報に記載のブレーキ液圧制御装置
に含まれる電磁開閉弁においては、最大の電気エネルギ
が供給され、その電気エネルギは当初から同じ大きさで
供給されるようにされており、電気エネルギの消費量が
多い、電磁開閉弁の作動音が大きい、電磁開閉弁の寿命
が短い等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,解決手段,作用および
効果】そこで、本発明の課題は、ブレーキシリンダとリ
ザーバとの間に設けられる常開の電磁制御弁における上
記問題の少なくとも1つを解消することである。上記課
題は、下記各態様のブレーキ液圧制御装置によって解決
される。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に
番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式
で記載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴およ
びそれらの組合わせを例示するためであり、本明細書に
記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下のもの
に限定されると解釈されるべきではない。 (1)作動液の液圧によりブレーキを作動させるブレー
キシリンダと、作動液を収容するリザーバとの間に設け
られた電磁制御弁と、その電磁制御弁に供給する電気エ
ネルギを制御する電気エネルギ制御装置とを含むブレー
キ液圧制御装置であって、前記電磁制御弁が、弁座と、
その弁座に対して着座・離間可能な弁子と、その弁子
に、その弁子を弁座に着座させる向きの前記供給電気エ
ネルギに応じた電磁駆動力を加える電磁駆動力発生装置
とを備えて、前記ブレーキシリンダの液圧と前記リザー
バの液圧との差圧による差圧作用力が、弁子を弁座から
離間させる向きに作用する状態で配設された電磁シーテ
ィング弁を含むものであり、前記電気エネルギ制御装置
が、弁子を弁座への着座状態に保つ場合に、前記電気エ
ネルギを、前記ブレーキシリンダの液圧に応じて制御す
る液圧対応電気エネルギ制御手段を含むことを特徴とす
るブレーキ液圧制御装置(請求項1)。本項に記載のブ
レーキ液圧制御装置に含まれる電磁制御弁は、電気エネ
ルギが供給されない場合に開状態に保たれる常開弁であ
る。そして、電気エネルギが供給され、その供給された
電気エネルギに応じて発生させられる電磁駆動力が差圧
作用力より大きい場合に、弁子が弁座に着座させられ、
閉状態とされる。上記差圧作用力は、ブレーキシリンダ
の液圧とリザーバの液圧との差圧による力であるが、リ
ザーバの液圧はほぼ大気圧であるとみなすことができる
ため、ブレーキシリンダの液圧に応じた大きさとなる。
この電磁制御弁を閉状態に保つためには、必ずしも最大
の電気エネルギを供給する必要はなく、電磁駆動力が差
圧作用力より大きくなるような電気エネルギを供給すれ
ばよいのであり、ブレーキシリンダの液圧に応じた電気
エネルギを供給すればよいのである。このように、電磁
制御弁を閉状態に保つ場合に、ブレーキシリンダの液圧
に応じた電気エネルギが供給されるようにすれば、最大
の電気エネルギが供給される場合より、電気エネルギの
消費量の低減を図ることができる。上述の電磁制御弁に
供給される電気エネルギは、ブレーキシリンダの液圧の
変化に伴って変化させられるようにしても、一定に保た
れるようにしてもよい。例えば、アンチロック制御開始
時におけるブレーキシリンダ液圧に保たれるようにする
のである。一定に保たれる場合においても、その電気エ
ネルギ量が、その回の制動のいずれかの時期におけるブ
レーキシリンダの液圧に応じて決められた量であれば、
常に最大の電気エネルギ量が供給される場合に比較し
て、電気エネルギの消費量の低減を図ることができる。
電気エネルギが、ブレーキシリンダの液圧の変化に伴っ
て変化させられるようにする場合に、連続的に変化させ
られるようにしても、段階的に変化させられるようにし
てもよい。なお、電磁制御弁は、弁子に、弁子を弁座か
ら離間させる向きの付勢力を付与する付勢装置を備えた
ものとすることができる。この場合に閉状態に保つため
には、上述の電磁駆動力を、差圧作用力と付勢力との和
より大きくする必要があるが、付勢力は電磁駆動力が作
用しない状態で弁子を弁座から離間した状態に保ち得る
大きさであればよく、小さいため無視することができ
る。 (2)前記液圧対応電気エネルギ制御手段が、前記電気
エネルギを、前記電磁駆動力が前記差圧作用力より大き
くなるように制御するものである(1) 項に記載のブレー
キ液圧制御装置。電磁駆動力が差圧作用力より大きけれ
ば、着座状態を保つことができる。 (3)前記液圧対応電気エネルギ制御手段が、前記電気
エネルギを、前記電磁駆動力が前記差圧作用力より、少
なくとも余裕値だけ大きくなるように制御するものであ
る(1) 項または(2) 項に記載のブレーキ液圧制御装置
(請求項2)。電磁駆動力Fs が差圧作用力Fp より少
なくとも余裕値Fr だけ大きくされれば(Fs >Fp +
Fr )、電気エネルギの消費量を特に効果的に低減させ
つつ、確実に着座状態を保つことができる。余裕値Fr
は、例えば、以下に説明するように、ブレーキシリンダ
の液圧の最大増圧速度,弁子の弁座への押付力等に基づ
いて設定することができ、一定値であっても、可変値で
あってもよい。例えば、余裕値が差圧作用力に比例する
大きさに決定されるようにすれば、可変値となる。差圧
作用力や電磁駆動力が大きくなるに従って、それらの検
出誤差や制御誤差の絶対値が大きくなるため、余裕値が
差圧作用力に比例する大きさに決定されるようにするこ
とは合理的である。 (4)前記余裕値が、少なくとも、前記電磁制御弁にお
ける液圧の最大増圧速度に基づいて設定されたものであ
る(3) 項に記載のブレーキ液圧制御装置(請求項3)。
現在の電磁制御弁における液圧(電磁制御弁液圧と称す
る)がPn である場合に、時間ΔT経過後の電磁制御弁
液圧Pn+1 は、現在の液圧Pn に最大増圧速度αで増圧
されたと仮定した場合の最大増圧値ΔP(=α・ΔT)
を加えた大きさの液圧(Pn +ΔP)より大きくなるこ
とはない(Pn+1 ≦Pn +α・ΔT)。そのため、電磁
制御弁液圧が(Pn +α・ΔT)の場合における差圧作
用力Fp(Pn +α・ΔT)以上の電磁駆動力Fs を付
与すれば{Fs ≧Fp (Pn +α・ΔT)}、電気エネ
ルギの制御が時間ΔT経過毎にのみ行われる場合(制御
サイクルタイムがΔTである場合)でも、電磁制御弁を
確実に着座状態に保つことができる。この場合、余裕値
Fr は、最大増圧値ΔPに対応する差圧作用力Fp(Δ
P)以上とされるべきであることになる。電磁制御弁液
圧の最大増圧速度αは、液圧源の最大液圧、液圧源とブ
レーキシリンダとを接続する液通路の流路抵抗、液通路
に増圧用の電磁制御弁が設けられている場合にはその電
磁制御弁の最大開口面積等によって決まる。流路抵抗,
最大開口面積等は、構造的に決まる大きさであり、液圧
源がポンプを含むものである場合には、ポンプの最大吐
出圧を液圧源の最大液圧とすることができる。そのた
め、これらに基づけば、電磁制御弁液圧の最大増圧速度
を演算により求めることができる。作動液の温度を考慮
することもできる。作動液の温度が高くなると粘性が低
くなり、増圧速度が大きくなるため、温度が高い場合を
想定すればよい。最大増圧速度は実験により求めること
もできる。それに対して、液圧源が、ブレーキ操作部材
の操作力に応じた液圧を発生させるマスタシリンダを含
む場合には、電磁制御弁液圧の最大増圧速度は、ブレー
キ操作部材が想定される最大操作速度で操作された場合
におけるマスタシリンダ液圧の増圧速度に比例した大き
さになる。このように、最大増圧速度は、本項に記載の
ブレーキ液圧制御装置を含むブレーキ装置において実現
し得る最大の増圧速度とすることができるが、その時点
における最大の増圧速度とすることもできる。例えば、
その時点における増圧用電磁制御弁の開口面積,液圧源
の液圧等に基づいて最大増圧速度を求めることもできる
のである。電磁制御弁における液圧の最大増圧速度に基
づいて設定されるΔPは、制御サイクルタイムによって
も変わるが、大き過ぎれば本発明の効果が小さくなり、
小さ過ぎれば電磁制御弁が閉状態に保たれることを保障
し得ないため、上限は液圧源の液圧Ps の2%,1%あ
るいは0.5%とされることが望ましく、下限は0.1
%,0.2%あるいは0.3%とされることが望まし
い。 (5)前記余裕値が、少なくとも前記弁子の前記弁座へ
の所要押付力に基づいて設定されたものである(3) 項ま
たは(4) 項に記載のブレーキ液圧制御装置(請求項
4)。差圧作用力と電磁駆動力とが丁度釣り合って弁子
が弁座に着座している状態を想定することができ、この
状態では、ブレーキシリンダの作動液が電磁制御弁を経
て流出することはないはずである。しかし、実際には、
弁子や弁座が理想的な形状に加工されないために、弁子
と弁座との間に部分的に微小な隙間が残るのが普通であ
り、この隙間から作動液が漏れる。この場合に、弁子を
弁座にさらに押し付けて両者を弾性変形させれば、隙間
を小さくすることができ、作動液の漏れ量を少なくする
ことができる。したがって、電磁駆動力Fs を、差圧作
用力Fpより、少なくとも漏れ量を許容漏れ量以下にす
るのに必要な押付力Fa だけ大きくすれば(Fs ≧Fp
+Fa )、作動液の漏れ量を実際上問題とならない許容
漏れ量以下にすることができ、ホイールシリンダ液圧の
制御精度を向上させることができる。漏れ量を許容漏れ
量以下にするのに必要な押付力Fa は、弁子および弁座
の真円度等の形状精度,面粗さ,材料の弾性係数等によ
って決まるのであるが、図7に示すように、弁子のスト
ロークと漏れ量との関係およびストロークと押付力との
関係は、計算により、あるいは実験により求めることが
でき、この図から、漏れ量を許容漏れ量ε* 以下にする
ために、弁子にさらに加えなければならない押付力(F
s * −Fso)を求めることができる。許容漏れ量ε
* は、予め決められた設定量としても、目標ブレーキシ
リンダ液圧等に応じて決まる量としてもよい。以上説明
した押付力が、本態様における所要押付力の一例であ
る。 (6)前記余裕値が、少なくとも前記弁子と前記弁座と
の間の隙間から漏れる作動液の漏れ量に基づいて設定さ
れたものである(3) 項ないし(5) 項のいずれか1つに記
載のブレーキ液圧制御装置。上記のように、弁子を弁座
に押し付ける押付力を大きくすれば、これらの隙間から
漏れる作動液の流量(漏れ量)が小さくなる。ブレーキ
シリンダの液圧を制御する際には、漏れ量は小さい方が
望ましいが、0にする必要は必ずしもなく、多少の漏れ
が生じてもよい。この許容漏れ量を大きめに設定すれ
ば、押付力を小さくすることができ、電気エネルギの消
費量を少なくすることができる。 (7)前記液圧対応電気エネルギ制御手段が、前記電磁
制御弁における液圧の最大増圧速度と、前記弁子の前記
弁座への所要押付力との少なくとも一方に基づいて決定
された余裕値だけ大きな値に前記電気エネルギを制御す
る余裕値加算型電気エネルギ制御手段を含む(1) 項また
は(2) 項に記載のブレーキ液圧制御装置。電磁駆動力
が、差圧作用力より余裕値だけ大きい値になるように、
電気エネルギが制御される。 (8)前記液圧対応電気エネルギ制御装置が、前記電気
エネルギを、さらに、前記電磁シーティング弁を流れる
作動液の温度に応じて変わる大きさに制御する(1) 項な
いし(7) 項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装
置(請求項5)。電磁シーティング弁を流れる作動液の
温度を考慮すれば、考慮しない場合に比較して、温度変
化の影響を受け難いブレーキ液圧制御装置が得られる。
例えば、〔発明の実施の形態〕において説明するよう
に、供給電気エネルギとしての供給電流iが、作動液の
密度ρ,体積変化率β,流量係数C,電磁制御弁の前後
液圧差ΔP,目標ブレーキシリンダ液圧の変化勾配(d
P/dt)から(8) 式によって決定されるようにするの
である。ここで、前後液圧差ΔPは、ブレーキシリンダ
の液圧とリザーバの液圧との差圧であるが、リザーバの
液圧はほぼ大気圧にあるとみなすことができるため、ブ
レーキシリンダの液圧と同じ大きさと見なすことができ
る。また、作動液の密度ρ,体積変化率βは、作動液の
温度によって決まる値である。そのため、(8) 式に従っ
て、供給電流が決定されれば、電気エネルギが、作動液
の温度を考慮して決められることになる。 (9)作動液の液圧によりブレーキを作動させるブレー
キシリンダと、作動液を収容するリザーバとの間に設け
られた電磁制御弁と、その電磁制御弁に供給する電気エ
ネルギを制御する電気エネルギ制御装置とを含むブレー
キ液圧制御装置であって、前記電磁制御弁が、弁座と、
その弁座に対して着座・離間可能な弁子と、その弁子
に、その弁子を弁座に着座させる向きの前記供給電気エ
ネルギに応じた電磁駆動力を加える電磁駆動力発生装置
とを備え、前記ブレーキシリンダの液圧とリザーバの液
圧との差圧による差圧作用力が、前記弁子を前記弁座か
ら離間する向きに作用する状態で配設された電磁シーテ
ィング弁を含むものであり、前記電気エネルギ制御装置
が、前記弁子を弁座へ着座させる場合に、前記電気エネ
ルギを、緩増させる着座時電気エネルギ緩増手段を含む
ことを特徴とするブレーキ液圧制御装置(請求項6)。
弁子を弁座に着座させる場合に、電気エネルギを急増さ
せ、瞬間的に、弁子に、弁子を弁座に確実に着座させる
のに十分な電磁駆動力を加えることも可能であるが、本
項に記載のブレーキ液圧制御装置においては、上述の場
合よりも、緩慢に電気エネルギが増加させられる。その
結果、弁子が弁座に着座する着座速度を小さくすること
ができる。弁子の弁座に対する衝撃を小さくし得るので
あり、着座音を小さくすることができ、また、電磁制御
弁の耐久性を向上させることができる。さらに、電気エ
ネルギを急増させる場合に比較して、電気エネルギ消費
量を少なくすることもできる。以上の意味において、着
座時電気エネルギ緩増手段は、着座速度低減手段,着座
音低減手段,衝撃低減手段,軟着陸手段等と称すること
ができる。本項に記載のブレーキ液圧制御装置に含まれ
る電磁制御弁においては、差圧作用力が弁子を弁座から
離間させる向きに作用し、電磁駆動力がその差圧作用力
と反対向きに作用する。そのため、弁子を弁座に着座さ
せるためには、差圧作用力より大きい電磁駆動力を加え
なければならない。しかし、加える電磁駆動力が大き過
ぎると、着座速度が過大になる等の問題が生じる。差圧
作用力より少量大きい電磁駆動力が加えられるようにす
れば、この問題を解決できるが、電磁駆動力を、差圧作
用力より少量大きい大きさに確実に制御することは困難
である。もし、電磁駆動力が差圧作用力より小さいと、
弁子を弁座に着座させることができない。それに対し、
電磁駆動力を緩増させれば、着座速度が過大になること
を回避しつつ、弁子を弁座に確実に着座させることがで
きる。差圧作用力が0の場合においても同様に、電磁駆
動力を緩増させれば、着座速度が過大になることを回避
し得る。本項に記載の着座時電気エネルギ緩増手段によ
る電気エネルギの緩増は、弁子が弁座から離間させられ
ている状態において、弁子を弁座に着座させる場合に行
われるのであり、例えば、非液圧制御状態(減圧用の電
磁制御弁が常開であるため、その電磁制御弁に対応する
ブレーキシリンダに液圧を作用させるためには、必ず電
磁制御弁の制御を行う必要があり、ブレーキ作用中はす
なわち液圧制御中である。したがって、非液圧制御中
は、ブレーキシリンダ非作用中と同義である)からブレ
ーキシリンダを増圧する場合、減圧制御が終了した後に
増圧制御を行う場合、減圧制御が終了した後に保持制御
を行う場合等に行われる。そのため、着座時電気エネル
ギ緩増手段には、制動開始時緩増手段,初回増圧開始時
緩増手段や減圧終了時緩増手段等が含まれると考えるこ
とができる。着座時電気エネルギ緩増手段による電気エ
ネルギの増加パターンは、予め定められた固定パターン
でも、ブレーキシリンダの液圧等に基づいて変形させら
れる可変パターンでもよい。例えば、(10)項, (11)項に
記載の増加パターンとすることができる。また、着座時
電気エネルギ緩増手段によって電気エネルギが緩増させ
られている間、その増加勾配は一定であっても、変化し
てもよい。さらに、制動開始時緩増手段による増加パタ
ーンと、減圧終了時緩増手段による増加パターンとは、
同じであっても、異なってもよい。異ならせる場合に
は、制動開始時緩増手段による増加勾配を大きくする方
がよい場合が多い。本項に記載の着座時電気エネルギ緩
増手段は、(1) 項ないし(8) 項のいずれか1つに記載の
ブレーキ液圧制御装置に設けることもできる。 (10)前記着座時電気エネルギ緩増手段が、前記電気
エネルギを、前記ブレーキシリンダの最大増圧速度に対
応した勾配で増加させるものである(9) 項に記載のブレ
ーキ液圧制御装置。ブレーキシリンダの最大増圧速度
は、厳密には電磁制御弁における最大増圧速度である
が、電気エネルギを最大増圧速度に対応した勾配で増加
させれば、ブレーキシリンダの増圧遅れを回避しつつ弁
子を弁座に緩慢に着座(軟着陸)させることができる。
また、最大増圧速度に対応した勾配に余裕勾配を加えた
勾配で増加させることもできる。 (11)前記着座時電気エネルギ緩増手段が、前記電気
エネルギを、ブレーキシリンダ液圧と減速係数とに基づ
いて増加させるものである(9) 項または(10)項に記載の
ブレーキ液圧制御装置。減速係数γは、弁子が弁座に着
座する際の着座速度を小さくするための係数であり、時
間tの経過に伴って0から1に近づく係数、例えば(1
−1/2t )と、することができる。〔発明の実施の形
態〕において説明するように、(1) 項ないし(8) 項のい
ずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置において加え
られる電磁駆動力Fs に、減速係数γあるいは減速係数
の逆数(1/γ)を乗じた大きさの電磁駆動力Fs ′
{=Fs ・(1−1/2t )},{Fs /(1−1/2
t )}が加えられるように電気エネルギを供給したり、
目標ブレーキシリンダ液圧Pref に対応する差圧作用力
Fp (Pref )に、減速係数γあるいはそれの逆数を乗
じた電磁駆動力Fs ′{=Fp (Pref )・(1−1/
t )},{Fp (Pref )/(1−1/2t )}が加
えられるように電気エネルギを供給したりするのであ
る。減速係数の逆数を乗じた場合には、電磁駆動力Fs
′は、制御開始時においては電磁駆動力Fs や差圧作
用力Fp (Pref )に対して大きいが、時間の経過に伴
って電磁駆動力Fs や差圧作用力Fp (Pref )に近づ
くことになり、供給される電気エネルギが緩増させられ
ることになる。なお、時間tは式、 t=T0 +ΔTn で表すこともできる。ここで、T0 は、開始時間であ
り、ΔTは、サイクルタイムであり、nは、サイクル数
とされる。 (12)当該ブレーキ液圧制御装置が、予め定められた
増圧条件が満たされた場合に前記ブレーキシリンダの液
圧を増加させる増圧手段を含み、かつ、前記着座時電磁
エネルキ緩増手段が、前記増圧条件が満たされる前兆に
基づいて、前記電気エネルギの供給を開始する電気エネ
ルギ事前供給開始手段を含む(9) 項ないし(11)項のいず
れか1つに記載のブレーキ液圧制御装置(請求項7)。
増圧条件が満たされた時点から電気エネルギを緩増させ
ることも可能であるが、その場合には、連通状態にある
電磁制御弁を経てブレーキシリンダの作動液がリザーバ
に流出し、増圧遅れが生じるおそれがある。それに対し
て、増圧条件が満たされるより前に電気エネルギの供給
を開始すれば、増圧遅れを小さくし、あるいは無くすこ
とができ、増圧応答性を向上させることができる。ま
た、増圧遅れを同じにした場合には、増圧条件が満たさ
れた時点から電気エネルギの供給を開始する場合に比較
して、電気エネルギの増加勾配を緩くすることができ
る。その結果、弁子の着座速度を小さくすることがで
き、電磁制御弁の作動音を小さくし、寿命を長くするこ
とができる。増圧条件が満たされる前兆は、増圧条件成
立前兆検出手段によって検出される。増圧条件が満たさ
れる前兆は、増圧条件が近い将来満たされる可能性が高
くなった場合に生じる。例えば、ブレーキ操作部材が操
作された場合に増圧条件が満たされたとする場合におい
て、アクセル操作部材の操作が解除された時点とした
り、トラクション制御開始条件やビークルスタビリティ
制御開始条件が満たされた場合に増圧条件が満たされる
とする場合において、そのトラクション制御開始条件や
ビークルスタビリティ制御開始条件より緩い制御開始予
測条件が満たされた時点としたりすることができる。ま
た、通常制動時ブレーキ液圧制御,アンチロック制御,
トラクション制御,ビークルスタビリティ制御等の液圧
制御途中の減圧制御中において、保持条件あるいは増圧
条件が満たされる前のそれら制御に切り換えられる可能
性が高くなった時点としたりすることができる。なお、
通常制動時ブレーキ液圧制御手段には、例えば、ブレー
キシリンダ液圧を、運転者が意図する減速度が得られる
ような大きさに制御する制動効果制御手段等が該当す
る。電気エネルギ事前供給開始手段の作動によって、前
記増圧条件が満たされる前に弁子が弁座に着座させられ
ることは不可欠ではなく、弁子が弁座に接近するだけで
もよい。接近した状態にあれば、増圧条件が満たされた
場合に、速やかにしかも小さい着座速度で弁子を弁座に
着座させることができ、増圧遅れを小さくすることがで
きる。非液圧制御中において増圧条件が満たされるより
前に電気エネルギの供給が開始された場合には、差圧作
用力は0であり、電磁制御弁が付勢装置を含むものであ
っても、その付勢力は小さい。そのため、弁子に付与さ
れる電磁駆動力が小さくても弁子は弁座に着座させられ
る。以上の説明から明らかなように、電気エネルギ事前
供給開始手段は増圧遅れ抑制手段でもある。 (13)前記電気エネルギ制御装置が、非液圧制御中に
おいて、前記電気エネルギ事前供給開始手段により電気
エネルギの供給が開始されてから予め設定された設定時
間が経過するまでに前記増圧条件が満たされなかった場
合には、前記電気エネルギの供給を停止させる電気エネ
ルギ供給停止手段を含む(12)項に記載のブレーキ液圧制
御装置。非液圧制御中に電気エネルギの供給が開始され
た場合において、電気エネルギの供給中に、増圧条件が
満たされなかった場合には、電気エネルギを0に戻すこ
とが望ましい。ブレーキシリンダの液圧は大気圧に保た
れるため、その状態において減圧用の電磁制御弁が閉じ
られ、その状態に保たれても支障はないのであるが、ブ
レーキの構成部品や作動液の温度が上昇してブレーキシ
リンダの液圧が増加する等の理由で、ブレーキの引きず
りが発生することを回避し、あるいは、無駄な電気エネ
ルギの消費を回避する観点から、電気エネルギの供給を
停止することが望ましいのである。本項の態様はそのた
めの具体策の一例である。上記設定時間を電気エネルギ
供給継続時間と称することができる。 (14)前記増圧手段が、液圧源と、その液圧源と前記
ブレーキシリンダとの間に設けられた増圧用の電磁制御
弁と、前記電気エネルギ制御装置の、増圧用の電磁制御
弁に供給する電気エネルギを制御することにより前記ブ
レーキシリンダの液圧を増加させる部分とを含む(12)項
または(13)項に記載の液圧ブレーキ装置。 (15)前記着座時電気エネルギ緩増手段が、減圧終了
条件が満たされた場合に、前記電気エネルギの供給を開
始する減圧終了時電気エネルギ供給開始手段を含む(9)
項ないし(11)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制
御装置。減圧終了条件が満たされた場合に、電気エネル
ギの供給が開始されれば、電気エネルギを緩増させて
も、次に増圧制御が行われる場合に増圧遅れを小さくす
ることができる。減圧終了条件は、通常制動時ブレーキ
液圧制御,アンチスキッド制御,トラクション制御,ビ
ークルスタビリティ制御等の液圧制御中において減圧終
了条件が満たされたことのみでなく、非液圧制御中にお
いてアクセル操作部材の操作が解除されたこと等も含む
ようにしてもよい。減圧用の電磁制御弁は常開弁である
ため、常には減圧状態にあると考えることができる。そ
のため、電磁制御弁を開状態に維持する必要がなくなっ
た場合(近い将来閉状態に切り換える必要が生じる可能
性が高い場合)に、減圧終了条件が満たされたとするこ
とができるのである。 (16)作動液の液圧によりブレーキを作動させるブレ
ーキシリンダと、作動液を収容するリザーバとの間に設
けられた電磁制御弁と、その電磁制御弁に供給する電気
エネルギを制御する電気エネルギ制御装置とを含むブレ
ーキ液圧制御装置であって、前記電磁制御弁が、電気エ
ネルギが供給されない場合は、前記リザーバとブレーキ
シリンダとの間を連通させる連通状態にあるが、電気エ
ネルギが供給された場合において、前記供給電気エネル
ギに応じた電磁駆動力を含む閉弁力が、前記ブレーキシ
リンダの液圧と前記リザーバの液圧との差圧に応じた差
圧作用力を含む開弁力より大きい間、これらブレーキシ
リンダとリザーバとを遮断する遮断状態に保たれるもの
であり、前記電気エネルギ制御装置が、前記電磁制御弁
を遮断状態に保つ場合に、前記電気エネルギを、前記ブ
レーキシリンダの液圧に応じた大きさに制御する液圧対
応電気エネルギ制御手段を含むブレーキ液圧制御装置。 (17)前記液圧対応電気エネルギ制御手段が、前記電
気エネルギを、前記閉弁力が前記開弁力より、少なくと
も余裕値だけ大きくなるように制御するものである(16)
項に記載のブレーキ液圧制御装置。 (18)当該ブレーキ液圧制御装置が、前記ブレーキシ
リンダに作動液を供給する1つ以上のポンプを含む液圧
源と、 弁座と、その弁座に対して着座・離間可能な弁子
と、その弁子に、弁子を弁座に着座させる向きの付勢
力を付与する付勢装置と、前記弁子に、前記付勢力と
反対向きの供給された電気エネルギに応じた電磁駆動力
を加える電磁駆動力発生装置とを備え、前記液圧源の液
圧と前記ブレーキシリンダの液圧との差圧による差圧作
用力が、前記弁子を前記弁座から離間させる向きに作用
する状態で配設された増圧用の電磁制御弁とを含み、か
つ、前記電気エネルギ制御装置が、前記増圧用の電磁制
御弁に供給される電気エネルギも制御する (1)項ないし
(17)項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。 (19)前記電気エネルギ制御装置が、前記増圧用の電
磁制御弁に供給される電気エネルギを、前記ブレーキシ
リンダの液圧が運転者のブレーキ操作力に応じた大きさ
となるように制御する制動効果制御手段を含む(18)項に
記載のブレーキ液圧制御装置。ポンプ装置の作動液がブ
レーキシリンダに供給され、ブレーキが作動させられ
る。液圧源は、運転者のブレーキ操作力に応じた液圧を
発生させるマスタシリンダではないため、ブレーキシリ
ンダの液圧を、運転者のブレーキ操作力に応じた大きさ
となるように制御することが望ましい。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、請求項1ないし7に記載の
発明に共通の一実施形態であるブレーキ液圧制御装置を
備えたブレーキ装置について図面に基づいて詳細に説明
する。図2において、10はブレーキ操作部材としての
ブレーキペダルであり、12はマスタシリンダである。
マスタシリンダ12は2つの加圧室を備えたタンデム式
のものであり、一方の加圧室には液通路14を介して左
前輪16のホイールシリンダ18が接続され、他方の加
圧室には液通路20を介して右前輪22のホイールシリ
ンダ24が接続されている。本実施形態においては、1
つの加圧室に1つのホイールシリンダがそれぞれ接続さ
れることになる。液通路14,20の途中には、それぞ
れマスタ遮断弁26,28が設けられている。マスタ遮
断弁26,28は、ソレノイドのON,OFFにより、
ホイールシリンダをマスタシリンダ12から遮断する遮
断状態と、マスタシリンダ12に連通させる連通状態と
に切り換え可能なものである。液圧制御中は電流が供給
されることにより遮断状態に保たれるが、非液圧制御中
は電流が供給されないことにより連通状態に保たれる常
開弁であり、電気系統の異常時には連通状態に戻され
る。
【0005】本ブレーキ装置にはポンプ装置30が設け
られている。ポンプ装置30は、マスタリザーバ31,
2つのポンプ32,34、逆止弁35,36等を含むも
のである。2つのポンプ32,34は、図に示すよう
に、互いに並列に配設されており、一方のポンプ32
は、最大吐出圧が大きく、単位時間当たりの最大吐出量
が小さい高圧小容量型のプランジャポンプ(以下、高圧
用ポンプ32と称する)であり、他方のポンプ34は、
最大吐出圧が小さく、最大吐出量が大きい低圧大容量型
のギヤポンプ(以下、低圧用ポンプ34と称する)であ
る。高圧用ポンプ32は高圧用モータ38の駆動によっ
て作動させられ、低圧用ポンプ34は低圧用モータ40
の駆動によって作動させられる。低圧用ポンプ34,高
圧用ポンプ32の回転速度を調整することによってポン
プ装置30による増圧速度を調整できる。また、逆止弁
35を電磁開閉弁とすれば、低圧用ポンプ34の逆回転
によりホイールシリンダ液圧を制御することが可能とな
る。液圧制御中においては、ポンプ装置30の出力圧力
が予め定められた設定範囲内の大きさに保たれるよう
に、高圧用モータ38と低圧用モータ40とが制御され
る。
【0006】上記ポンプ装置30には、前述の左右前輪
16,22のホイールシリンダ18,24が接続される
とともに、左右後輪42,44のホイールシリンダ4
6,48が接続されている。これらポンプ装置30とホ
イールシリンダとを接続するポンプ通路52の途中に
は、各々のホイールシリンダ18,24,46,48に
対応して増圧リニアバルブ54が設けられている。増圧
リニアバルブ54は、電流が供給されない場合に遮断状
態に保たれる常閉弁である。また、前輪16,22のホ
イールシリンダ18,24とマスタリザーバ31とを接
続する液通路56の途中には減圧リニアバルブ58が設
けられ、後輪42,44のホイールシリンダ46,48
とマスタリザーバ31とを接続する液通路60の途中に
は、減圧リニアバルブ62が設けられている。前輪1
6,22のホイールシリンダ18,24に対応して設け
られた減圧リニアバルブ58は、電流が供給されない場
合に遮断状態に保たれる常閉弁であり、後輪42,44
のホイールシリンダ46,48に対応して設けられた減
圧リニアバルブ62は、電流が供給されない場合に連通
状態に保たれる常開弁である。
【0007】このように、ホイールシリンダ18,24
には、マスタシリンダ12とポンプ装置30との両方が
接続されているが、ホイールシリンダ46,48には、
ポンプ装置30は接続されているが、マスタシリンダ1
2が接続されていない。換言すれば、マスタシリンダ1
2とポンプ装置30との両方に接続されたマスタ圧作動
ホイールシリンダ18,24に対する減圧リニアバルブ
58が常閉弁とされ、マスタシリンダ12に接続されな
いがポンプ装置30に接続された動力圧作動ホイールシ
リンダ46,48に対する減圧リニアバルブ62が常開
弁とされているのである。前輪側のホイールシリンダ1
8,24に対応して設けられた増圧リニアバルブ54と
減圧リニアバルブ58とによって前輪側リニアバルブ装
置66が構成され、後輪側のホイールシリンダ46,4
8に対応して設けられた増圧リニアバルブ54と減圧リ
ニアバルブ62とによって後輪側リニアバルブ装置68
が構成される。これらについては後述する。
【0008】動力圧作動ホイールシリンダに対する減圧
リニアバルブが常閉弁とされた場合には、液圧制御終了
時からホイールシリンダの作動液が確実にマスタリザー
バに戻されたと推定し得る流出完了時間の間、電流が供
給されることによって連通状態に保たれ、その後、遮断
状態に戻されることになる。しかし、ホイールシリンダ
に作動液が残っている場合があり、残圧により引きずり
が生じるおそれがある。それに対して、減圧リニアバル
ブを常開弁とした場合には、液圧制御終了後に、電流の
供給が停止されれば連通状態に保つことができるため、
動力圧作動ホイールシリンダの作動液をすべてマスタリ
ザーバに戻すことができ、引きずりを防止することがで
きる。
【0009】それに対して、マスタ圧作動ホイールシリ
ンダは、通常、フェールセーフ等のために、非通電時
(非液圧制御時あるいは電気系の異常時)にマスタシリ
ンダに連通させられるようにされている。本実施形態に
おいては、マスタ遮断弁26,28が、非液圧制御中に
連通状態に保たれる。そのため、液圧制御終了後には、
マスタ圧作動ホイールシリンダ18,24の作動液は、
減圧リニアバルブ58でなく、連通状態にあるマスタ遮
断弁26,28を経てマスタシリンダ12に戻される。
そのため、減圧リニアバルブ58を常開弁としなくても
引きずりが生じることはない。
【0010】マスタ遮断弁26,28は、前述のよう
に、電気系統の異常時(電流が供給されない)には連通
状態に戻され、増圧リニアバルブ54は遮断状態とされ
る。そのため、マスタ圧作動ホイールシリンダ18,2
4は、ポンプ装置30から遮断されてマスタシリンダ1
2に連通させられる。マスタ圧作動ホイールシリンダ1
8,24にマスタシリンダ12の作動液が供給され、マ
スタ圧によってブレーキが作動させられる。減圧リニア
バルブ58が常開弁とされた場合には、遮断状態に切り
換えることが不可能となり、ホイールシリンダの作動液
がマスタリザーバ31へ流出させられることになるが、
本実施形態においては、減圧リニアバルブ58が常閉弁
とされているため、電気系統の異常時にもブレーキを作
動させることが可能となるのである。このように、本実
施形態においては、マスタ圧作動ホイールシリンダ1
8,24に対応する減圧リニアバルブ58を常閉弁と
し、動力圧作動ホイールシリンダ46,48に対応する
減圧リニアバルブ62を常開弁とすることにより、引き
ずりを防止しつつ電気系統の異常時にもブレーキを作動
させることが可能とされているのである。
【0011】前記液通路20の途中には、ストロークシ
ミュレータ70が設けられ、ホイールシリンダ18,2
4,46,48がマスタシリンダ12から遮断されてポ
ンプ装置30に接続された場合に、ブレーキペダル10
のストロークが0になることが回避される。ストローク
シミュレータは、液通路14側に設けても、ブレーキペ
ダル10とマスタシリンダ12との間に設けても、これ
ら3か所のうちの2か所以上に設けてもよい。また、ブ
レーキペダル10のストロークを検出するストロークセ
ンサ71,マスタシリンダ12の液圧を検出するマスタ
圧センサ72,ポンプ装置30の出力液圧を検出するポ
ンプ圧センサ74,各ホイールシリンダ18,24,4
6,48の液圧を検出するホイールシリンダ圧センサ7
5〜78がそれぞれ設けられている。なお、後述する
が、ストロークセンサ71とマスタ圧センサ72との両
方を設けることは不可欠ではなく、いずれか一方を設け
るだけでもよい。
【0012】図3は、前輪側リニアバルブ装置66の構
成を概略的に示す系統図であり、図4は、後輪側リニア
バルブ装置68の構成を概略的に示す系統図である。図
3に示す前輪側リニアバルブ装置66において、増圧リ
ニアバルブ54は、シーティング弁82と、電磁駆動力
発生装置84とを含んでいる。シーティング弁82は、
弁子90と、弁座92と、弁子90と一体的に移動する
被電磁付勢体94と、弁子90が弁座92に着座する向
きに被電磁付勢体94を付勢する付勢装置としての弾性
部材としてのスプリング96とを含んでいる。また、電
磁駆動力発生装置84は、ソレノイド100と、そのソ
レノイド100を保持する樹脂製の保持部材102と、
第一磁路形成体104と、第二磁路形成体106とを含
んでいる。ソレノイド100が励磁されると磁界が形成
される。磁束は、その多くが、第一磁路形成体104,
被電磁付勢体94,被電磁付勢体94と第二磁路形成体
106との間のエアギャップおよび第二磁路形成体10
6を通る。ソレノイド100に供給される電流を変化さ
せれば、被電磁付勢体94と第二磁路形成体106との
間に作用する磁気力も変化する。この磁気力の大きさ
は、ソレノイド100に供給される電流の大きさと共に
増加し、それら電流と磁気力との関係は予め知ることが
できる。したがって、供給電流をその関係に従って連続
的に変化させることにより、被電磁付勢体94を付勢す
る力(上述の磁気力のうちの被電磁付勢体94を第二磁
路形成体106に接近させる向きの力のことであり、以
下、スプリング96の付勢力と区別するために電磁駆動
力と称する。電磁駆動力は、スプリング96の付勢力と
は反対向きの力であり、弁子90を弁座92から離間さ
せる向きの力である。)の大きさを任意に変更すること
ができる。
【0013】なお、被電磁付勢体94の第二磁路形成体
106に対向する面には、係合突部110が形成され、
それに対する第二磁路形成体106の被電磁付勢体94
に対向する部分には、係合凹部112が形成されてお
り、被電磁付勢体94と第二磁路形成体106との相対
位置の変化に応じて係合突部110と係合凹部112と
の間の対向部の面積が変化させられる。係合突部110
と係合凹部112とを設けることにより、被電磁付勢体
94と第二磁路形成体106との軸方向の距離の減少、
すなわち接近に伴って磁気抵抗が加速度的に減少し、両
者の間に作用する磁気力が加速度的に増大することが回
避される。
【0014】ソレノイド100に供給される電流が、そ
れほど大きくない範囲内において一定であれば、被電磁
付勢体94を第二磁路形成体106方向へ付勢する磁気
力(電磁駆動力)が、被電磁付勢体94と第二磁路形成
体106との軸方向の相対的な位置に関係なくほぼ一定
となる。一方、スプリング96による被電磁付勢体94
を第二磁路形成体106から離間する方向へ付勢する付
勢力は、被電磁付勢体94と第二磁路形成体106との
接近に伴って増大する。したがって、弁子90に液圧差
に基づく付勢力(以下、差圧作用力と称する)が作用し
ていない状態では、被電磁付勢体94の第二磁路形成体
106方向への移動が、上記スプリング96の付勢力と
電磁駆動力とが等しくなることにより停止されることと
なる。減圧リニアバルブ58は、基本的には増圧リニア
バルブ54と同じものであるため、同じ符号を付して示
して説明を省略する。
【0015】図5に示すように、増圧リニアバルブ54
には、スプリング96の付勢力Fk,それの前後の液圧
差に応じた差圧作用力Fp ,電磁駆動力Fs が作用す
る。増圧リニアバルブ54の前後の液圧差は、ポンプ装
置30の出力液圧と、ホイールシリンダの液圧との差圧
として検出することができる。差圧作用力Fp と電磁駆
動力Fs との和が、スプリング96の付勢力Fk より大
きくなると(Fp +Fs>Fk )、弁子90が弁座92
から離間させられる。電磁駆動力Fs が0の場合には、
差圧作用力Fp がスプリング96の付勢力Fk より大き
くなれば離間させられる。また、本実施形態において
は、増圧リニアバルブ54の開弁圧は、18MPa(≒
184kgf/cm2 。ポンプ装置30により供給され
る作動液の最大液圧)よりも大きくされている。そのた
め、ソレノイド210に電流が供給されない場合に開状
態に切り換えられることが回避される。
【0016】減圧リニアバルブ58についても同様に、
スプリング96の付勢力Fk ,それの前後の液圧差に応
じた差圧作用力Fp ,電磁駆動力Fs が作用する。減圧
リニアバルブ58の前後の液圧差は、ホイールシリンダ
の液圧とマスタリザーバ31の液圧との差圧として検出
できるが、マスタリザーバ31の液圧は大気圧に等しい
と考えることができるため、ホイールシリンダ18,2
4の液圧と同じ大きさになる。また、本実施形態におい
ては、減圧リニアバルブ58の開弁圧が、増圧リニアバ
ルブ54の開弁圧と同じ、18MPaとされているた
め、ホイールシリンダ18,24の液圧が過大になって
も、減圧リニアバルブ58の開弁圧を上回ることは事実
上なく、電磁駆動力が0の状態で、ホイールシリンダ1
8,24の作動液が減圧リニアバルブ58を経てマスタ
リザーバ31に戻されることはない。
【0017】図4に示す後輪側リニアバルブ装置68に
おいて、増圧リニアバルブ54については上述のそれと
構造が同じものであるため説明を省略する。減圧リニア
バルブ62は、減圧リニアバルブ58と同様に、シーテ
ィング弁130と電磁駆動力発生装置132とを含むも
のである。シーティング弁130は、弁座134と、弁
座134に着座・離間可能に設けられた弁子136と、
弁子136を弁座134から離間させる向き付勢する付
勢装置としての弾性部材としてのスプリング138と、
弁子136を駆動する駆動部材140と、被電磁付勢体
142とを含むものである。駆動部材140,弁子13
6および被電磁付勢体142は、一体的に移動可能とさ
れている。
【0018】電磁駆動力発生装置132は、ソレノイド
144と、ソレノイド144を保持する保持部材145
と、第一磁路形成体146と、減圧リニアバルブ62の
本体に固定の第二磁路形成部材148とを含むものであ
る。ソレノイド144が励磁されると、第一磁路形成体
146,被電磁付勢体142,被電磁付勢体142と第
二磁路形成体148との間のギャップ,第二磁路形成体
148を通る磁界が形成され、被電磁付勢体142を第
二磁路形成部材148に接近させる向きの電磁駆動力が
発生させられる。その電磁駆動力により、被電磁付勢体
142が第二磁路形成体148に接近させられれば、弁
子136が弁座134に接近させられる。電磁駆動力が
0にされれば、スプリング138の付勢力により、弁子
136が弁座134から離間させられ、開状態に保たれ
る。
【0019】図5(b)に示すように、減圧リニアバル
ブ62についても、同様に、スプリング138の付勢力
Fk ,それの前後の液圧差に応じた差圧作用力Fp ,電
磁駆動力Fs が作用させられるが、スプリング138の
付勢力Fk の向きと電磁駆動力Fs の向きが、上述の減
圧リニアバルブ58とは逆である。電磁駆動力Fs が付
勢力Fk と差圧作用力Fp との和より小さい場合(Fs
<Fk +Fp )は開状態に保たれるが、電磁駆動力Fs
が付勢力Fk と差圧作用力Fp との和より大きくなる
(Fs >Fk +Fp )と閉状態に切り換えられる。スプ
リング138は、付勢力Fk が非常に小さいものである
ため、無視することもできる。付勢力が小さくても、差
圧作用力が、弁子136を弁座134から離間させる向
きに作用するため、電磁駆動力が0の場合に、弁子13
6を弁座134から離間した状態に保つことができるの
である。
【0020】本液圧ブレーキ装置には、PU152,R
AM153,ROM154,入力部155,出力部15
6を含むコンピュータを主体とするブレーキ液圧制御装
置160が設けられている。ブレーキ液圧制御装置16
0の入力部155には、前述の、ストロークセンサ7
1,マスタ圧センサ72、ポンプ圧センサ74,ホイー
ルシリンダ圧センサ75〜78の他、各車輪の回転速度
を検出する車輪速センサ162〜165,ブレーキペダ
ル10が踏み込まれたことを検出するブレーキスイッチ
166,図示しないアクセルペダルが踏み込まれた状態
にあるか否かを検出するスロットルセンサ168,図示
しないステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角
センサ170,当該ブレーキ装置が搭載された車両のヨ
ーレイトを検出するヨーレイトセンサ172,作動液の
温度を検出する温度センサ174等が接続され、出力部
156には、前述の各電磁制御弁のソレノイドが図示し
ない駆動回路を介して接続されるとともに、低圧用モー
タ40,高圧用モータ38が駆動回路を介して接続され
ている。ROM154には、図10,11のフローチャ
ートで表されるリニアバルブ装置制御プログラム,フロ
ーチャートの図示は省略するが、通常制動時ブレーキ液
圧制御プログラム,アンチロック制御プログラム,トラ
クション制御プログラム,ビークルスタビリティ制御プ
ログラム,ポンプモータ制御プログラム等種々のプログ
ラムやマップ等が格納されている。
【0021】ブレーキペダル10の踏力は、ストローク
センサ71,マスタ圧センサ72の検出結果に基づいて
取得される。ファーストフィルの影響で、ブレーキペダ
ル10の踏み込み開始当初においては、マスタシリンダ
12の液圧の増圧遅れが生じる。そのため、低圧領域に
おいては、ストロークセンサ71の検出結果に基づいて
踏力が取得され、高圧領域においては、マスタ圧センサ
72の検出結果に基づいて取得されるのである。また、
車輪速センサ162〜165によって検出された車輪速
度、これら車輪速度に基づいて取得された推定車両速度
等に基づいて各車輪16,22,42,44の制動スリ
ップ状態や駆動スリップ状態が取得される。制動スリッ
プ状態に基づいてアンチロック制御が行われ、駆動輪の
駆動スリップ状態に基づいてトラクション制御が行われ
る。本実施形態においては、後輪42,44が駆動輪と
されている。さらに、操舵角センサ170,ヨーレイト
センサ172によって検出された検出結果に基づいてビ
ークルスタビリティ制御が行われる。
【0022】以上のように構成されたブレーキ装置にお
ける作動について説明する。ブレーキペダル10が踏み
込まれると、通常制動時ブレーキ液圧制御プログラムが
実行される。ポンプ装置30が作動させられ、マスタ遮
断弁26,28が遮断状態に切り換えられるとともに、
前輪側,後輪側の各リニアバルブ装置66,68が制御
される。ホイールシリンダ18,24,46,48に
は、ポンプ装置30の作動液がリニアバルブ装置66,
68によって制御されて供給される。通常制動時ブレー
キ液圧制御プログラムの実行によって目標ホイールシリ
ンダ液圧が求められ、その目標ホイールシリンダ液圧と
実際のホイールシリンダとの差が小さくなるように制御
されるのであり、目標ホイールシリンダ液圧が、ブレー
キペダル10の踏力に応じた大きさとされる。本実施形
態においては、制動効果制御が行われるのである。
【0023】リニアバルブ装置66,68は、後述する
リニアバルブ装置制御プログラムの実行に従って制御さ
れる。通常制動時ブレーキ液圧制御プログラムの実行に
よって求められた目標ホイールシリンダ液圧(以下、目
標液圧と略称する)と実ホイールシリンダ液圧(以下、
実液圧と略称する)との差圧である液圧偏差ferrが
設定値EPSより大きい場合は増圧モードが設定され、
液圧偏差ferrが負の設定値−EPSより小さい場合
(液圧偏差ferrの絶対値がEPSより大きい場合)
は減圧モードが設定され、それ以外の場合には、保持モ
ードが設定される。また、減圧モードから保持モードに
切り換えられる場合には、減圧終了時軟着陸モードが設
定され、増圧モードから保持モードに切り換えられる場
合には、増圧終了時軟着陸モードが設定される。これら
各モードにおける具体的な制御については後述する。
【0024】制動スリップが路面の摩擦係数に対して過
大となり、アンチロック制御開始条件が満たされると、
アンチロック制御が開始される。各車輪16,22,4
2,44の制動スリップ状態が適正状態に保たれるよう
に、各ホイールシリンダ18,24,46,48の液圧
が、マスタ遮断弁26,28が遮断状態に切り換えられ
た状態で、前輪側,後輪側リニアバルブ装置66,68
の制御により、独立に制御される。通常制動時ブレーキ
液圧制御における場合と同様に、アンチロック制御プロ
グラムの実行によって目標液圧が求められる。
【0025】後輪42,44の駆動スリップが路面の摩
擦係数に対して過大となり、トラクション制御開始条件
が満たされると、トラクション制御が開始される。駆動
輪速度が、トラクション開始駆動輪速度VTBを越えた場
合に開始条件が満たされるのであり、トラクション開始
駆動輪速度VTBは、非駆動輪の回転速度に基づいて取得
された推定車体速度に所定値を加えた値である。後輪4
2,44の駆動スリップ状態が適正状態に保たれるよう
に、各ホイールシリンダ46,48の液圧が、後輪側リ
ニアバルブ装置68の制御により、共通に制御される。
また、駆動輪が後輪であるため、前輪側に設けられたマ
スタ遮断弁26,28は連通状態に保たれる。その結
果、トラクション制御中にブレーキペダル10が踏み込
まれた場合には、ホイールシリンダ18,24に、マス
タシリンダ12に作動液が直ちに供給され、効き遅れが
生じることが良好に回避される。トラクション制御プロ
グラムの実行に従って目標液圧が求められる。本実施形
態においては、ポンプ装置30の出力液圧が、制動中と
非制動中とで同じ大きさとされていたが、非制動中にお
いては制動中より小さくしてもよい。
【0026】車両の旋回状態が設定状態を越えると、ス
ピン抑制制御,ドリフトアウト抑制制御が開始される。
操舵角センサ170,ヨーレイトセンサ172の検出結
果に基づいて取得されたスピンバリュー,ドリフトアウ
トバリューが予め定められた設定値SVS ,SVD を越
えると、スピン,ドリフトアウトを抑制する方向のヨー
イングモーメントが発生するように、制御対象輪のホイ
ールシリンダ液圧が、前輪側,後輪側リニアバルブ装置
66,68の制御により制御される。ホイールシリンダ
の目標液圧は、ビークルスタビリティ制御プログラムの
実行に従って求められる。
【0027】電気系統に異常が生じた場合には、マスタ
遮断弁26,28が連通状態に戻されるとともに、増圧
リニアバルブ54および減圧リニアバルブ58が遮断状
態に、減圧リニアバルブ62が連通状態に戻される。マ
スタ圧作動ホイールシリンダ18,24は、ポンプ装置
30から遮断されてマスタシリンダ12に連通させられ
る。減圧リニアバルブ58は遮断状態にあるため、ホイ
ールシリンダ18,24には、マスタシリンダ12の作
動液が供給されることによりブレーキが作動させられ
る。それに対して、動力圧作動ホイールシリンダ46,
48は、ポンプ装置30からもホイールシリンダ18,
24からも遮断され、マスタリサーバ31に連通させら
れる。しかし、ホイールシリンダ18,24と、ホイー
ルシリンダ46,48との間には増圧リニアバルブ54
が設けられているため、ホイールシリンダ18,24の
作動液がホイールシリンダ46,48に流れることが回
避される。増圧リニアバルブ54において、ホイールシ
リンダ側のポート180の液圧がポンプ装置ポート18
2の液圧より高くなっても、開状態に切り換えられるこ
とはないのである。
【0028】図6に示すように、増圧モードが設定され
た場合には、増圧リニアバルブ54については、ソレノ
イド100に供給される電流(電気エネルギの一態様で
ある)が、ホイールシリンダ液圧が目標液圧に近づくよ
うに制御される。後述するが、目標液圧と実液圧との液
圧偏差が0に近づくように行われるフィードバック制御
と、作動液の温度等を考慮したフィードフォワード制御
とを組み合わせた制御が行われるのである。減圧リニア
バルブ58については、電流が供給されないことにより
閉状態が保たれる。減圧リニアバルブ62については、
電磁駆動力が差圧作用力と余裕値とを加えた大きさとな
るように電流が供給される。従来のブレーキ液圧制御装
置におけるように、常に最大の電流が供給されるように
することも可能であるが、その場合には、電気エネルギ
の消費量が多くなる。それに対して、差圧作用力の大き
さ(ホイールシリンダの液圧に対応する)に応じた電気
エネルギが供給されれば、エネルギ消費量を低減するこ
とができる。電磁駆動力が差圧作用力より余裕値以上大
きくされるため、確実に着座状態を維持することができ
る。この場合においても、フィードバック制御とフィー
ドフォワード制御との組み合わせにより供給電流が決め
られる。
【0029】上記余裕値は、構造的に決まる増圧リニア
バルブ54の最大増圧速度αと、弁子136に加える押
付力Fa とに基づいて決定される。すなわち、最大増圧
速度αは、当該ブレーキ装置の構造によって決まる増圧
リニアバルブ54の単位時間当たりの最大増圧量であ
り、ポンプ装置30の最大液圧,液通路52の流路抵
抗,増圧リニアバルブ54のオリフィス等に基づいて決
まる。次の制御時(リニアバルブ装置制御プログラム
は、予め定められたサイクルタイムΔT毎に実行される
ため、そのプログラムが実行され、指令が発せられる時
を制御時とする)における増圧リニアバルブ54の液圧
n+1 は、現在の液圧Pn から最大増加速度αで増加さ
せられた(ΔP=α・ΔT)と仮定した液圧(Pn +Δ
P)より大きくなることはない。そのため、液圧(Pn
+α・ΔT)に応じた差圧作用力Fp (Pn +α・Δ
T)以上の電磁駆動力Fs が得られるように{Fs ≧F
p (Pn )+Fp (ΔP)}、電流を供給すれば、着座
状態を保つことが可能となる。
【0030】作動液漏れ量は、図7に概念的に示すよう
に、弁子136のストロークsによって決まるが、スト
ロークsは、弁子136の弁座134への押付力によっ
て決まる。弁子136が弁座134に着座させられた状
態におけるつりあい位置s0 においては、ホイールシリ
ンダからマスタリザーバへの作動液の流出は阻止される
はずである。しかし、加工上の限界等に起因して、弁子
136と弁座134との間に隙間がある場合があり、こ
の隙間から漏れ量ε0 の作動液が漏れるのである。それ
に対して、この状態から、弁子136をさらに弁座13
4に押し付け、弁子136と弁座134とを弾性変形さ
せれば、隙間が小さくなり、漏れ量が少なくなる。漏れ
量を許容値(許容漏れ量)ε* とするためには、図か
ら、ストロークをs* とし、電磁駆動力をFs * とする
必要がある。したがって、つりあい位置の電磁駆動力F
s と電磁駆動力Fs * との差(Fs * −Fs )が余分に
加える押付力Fa となり、(Fs +Fa )の大きさの電
磁駆動力が得られるように、電流が供給される。また、
漏れ量を許容漏れ量以下にすることにより、ホイールシ
リンダ液圧の制御精度を向上させることができる。さら
に、漏れ量を0にする場合に比較して、電気エネルギの
消費量を少なくすることができる。本実施形態において
は、{Fp (ΔP)+Fa }が余裕値Fr とされるので
ある。
【0031】減圧モードが選択された場合には、増圧リ
ニアバルブ54には電流が供給されないが、減圧リニア
バルブ58,62については、目標液圧と実液圧との差
が小さくなるように、電流が制御される。保持モードが
選択された場合には、増圧リニアバルブ54,減圧リニ
アバルブ58については、電流は供給されず、遮断状態
に保たれる。減圧リニアバルブ62については、増圧モ
ードの場合と同様に、保持モードが選択された時点のホ
イールシリンダ液圧に応じた差圧作用力と余裕値とを加
えた大きさの電磁駆動力が発生させられるように電流が
供給される。減圧モードの次に保持モードが選択された
場合には、電磁駆動力が着座力Fssだけ大きくされる。
減圧モード終了時には、減圧リニアバルブ62において
は、弁子136が弁座134から離間させられていると
推定されるため、弁子136を弁座134に着座させる
のに必要な着座力Fssだけ余分に電磁駆動力が必要にな
るのである。
【0032】増圧モードが終了した場合には、増圧終了
時軟着陸モードが選択される。保持モードに移行する前
に、増圧リニアバルブ54において、弁子90が弁座9
2に着座する際の着座速度を小さくする制御であり、ソ
レノイド100への供給電流が急激に0にされないで、
漸減させられる。供給電流は、増圧終了時に供給されて
いた電流を電流i0 とした場合の式(i=i0 βn )に
従って減少させられるようにすることができる。この式
においてβは1より小さい値であり、nは、軟着陸モー
ドにおける制御サイクル数である。それによって弁子9
0の弁座92への着座速度が低減させられ、着座音を小
さくすることができる。また、弁子90の弁座92に対
する衝撃を小さくすることができるため、増圧リニアバ
ルブ54の耐久性を向上させることができる。
【0033】減圧モードが終了した場合には、減圧終了
時軟着陸モードが選択される。保持モードに移行する前
に減圧リニアバルブ62において、弁子136が弁座1
34に着座する際の着座速度が過大になることを抑制す
る制御であり、ソレノイド144への供給電流が緩増さ
せられる。減圧リニアバルブ62においては、図5に示
すように、弁子136を弁座134から離間させる向き
に差圧作用力Fp が加えられるため、弁子136を弁座
134に着座させるためには、差圧作用力より大きい電
磁駆動力を発生させなければならない。しかし、電磁駆
動力を急激に大きくすると、弁子136の弁座134へ
の着座時の着座速度が大きくなり、着座音が大きくなっ
たり、衝撃が大きくなることに起因して耐久性が低下さ
せられる等の問題があった。それに対して、電磁駆動力
を緩増させれば、弁子136を弁座134に接近させる
のに必要な電磁駆動力が発生させられた時点において、
弁子136が弁座134に着座させられることになる。
その結果、着座速度が過大となることを回避し得、着座
音を低減させ、耐久性を向上させることができるのであ
る。
【0034】本実施形態においては、図8に示すよう
に、電磁駆動力Fs が、(余裕値Fr+着座力Fss)/
nの勾配で緩増させられるように、電流が供給される。
nは、サイクルタイムΔT毎の実行回数であり、例え
ば、4回とされる。減圧モードが終了させられた後は保
持モードが設定される場合が多いが、減圧モードから保
持モードに移行する場合には、そのホイールシリンダの
液圧は、その大きさに保たれる。そのため、その時点か
ら弁子136を弁座134に着座させるための着座力と
余裕値との和に対応する電磁駆動力を加えれば(ホイー
ルシリンダ液圧が増加しないから)着座状態を保つこと
ができるからである。このように、減圧モードが終了さ
せられた場合に、電流が急増させられるのではなく、緩
増させられれば、弁子136の弁座134への着座速度
を小さくし、衝撃を小さくすることができる。
【0035】また、非液圧制御中に事前電流供給条件が
満たされた場合には、減圧リニアバルブ62のソレノイ
ド144に電流が供給され、弁子136が弁座134に
着座させられる。図9に示すように、初回増圧開始に先
立って、電流が供給されるのである。事前電流供給条件
は、近い将来増圧する可能性が高い場合に満たされる。
非制動中において、スロットルセンサ168によってア
クセルペダルの踏み込みが解除されたことが検出された
場合、トラクション制御開始条件を満たさないが、駆動
輪速度が開始条件を満たす可能性が高い開始予測値VT
B′(VTB′<VTB)より大きくなった場合、スピンバ
リュー,ドリフトアウトバリューがスピン抑制制御やド
リフトアウト抑制制御が開始される設定値SVS ,SV
D より小さいが抑制制御が開始される可能性が高いとさ
れる抑制制御開始予測値SVS ′,SVD ′より大きく
なった場合に、満たされる。供給される電流が、予め定
められた勾配で緩増させられるが、非制動中であるた
め、差圧作用力は0であり、発生させられる電磁駆動力
が小さくても、弁子136が弁座134に着座させられ
る。事前電流供給制御を行うことによって、増圧遅れを
小さくし得る。
【0036】本実施形態においては、事前電流供給制御
は、予め定められた事前電流供給継続時間Tpre だけ行
われる。この間に増圧制御が開始されればよいが、開始
されない場合には、電流が0とされ、弁子136は弁座
134から離間させられる。ホイールシリンダ液圧は大
気圧にあるため、着座状態に保つ必要はないのであり、
無駄な電気エネルギの消費を防止するのである。事前電
流供給制御は、n回実行されるため、(サイクルタイム
×n)が事前電流供給継続時間Tpre に等しくなるよう
に、回数nが決められる。本実施形態においては4回実
行されることになる。事前電流供給制御における電流の
増加勾配は、図9に示すように、開始時に0以上とさ
れ、3回目以降は0(供給電流が一定)とされる。開始
時に大きな電流が供給されれば、弁子136を弁座13
4に早期に着座させることができ、事前電流供給制御の
開始当初に増圧モードが設定されても、増圧遅れを小さ
くすることが可能である。また、急増させられるわけで
はないため、弁子136が弁座134に着座させられる
際の着座速度を小さくし、衝撃を小さくすることができ
る。なお、事前電流供給制御中において増圧勾配を一定
してもよく、その場合には、減圧終了時軟着陸モードが
行われる場合と同様に制御することもできる。
【0037】次に、リニアバルブ装置66,68のソレ
ノイドに供給される電流の制御について説明する。前述
のように、フィードバック制御とフィードフォワード制
御とが組み合わされて行われるのであるが、フィードバ
ック制御については、目標液圧と実液圧との差である液
圧偏差が0に近づくように、供給電流が決定されるので
あり、よく知られたPID制御が行われる。なお、PI
D制御の代わりに、P制御,I制御,D制御,PI制
御,PD制御等が行われるようにしてもよい。フィード
フォワード制御においては、作動液の温度を考慮して、
供給電流が決定される。前述の図5(a),(b)に示
すように、増圧リニアバルブ54,減圧リニアバルブ5
8,62には、それぞれ、スプリングの付勢力Fk と、
電磁駆動力Fsと、差圧作用力Fp とが作用する。定常
状態における弁子と弁座との間の変位を変位x0 とし、
その定常状態からの弁子の変位をストロークxとし、供
給電流を電流i,リニアバルブ前後の差圧をΔpとすれ
ば、差圧作用力Fk ,電磁駆動力Fs ,差圧作用力Fp
は、それぞれ、 Fk =k0 (x0 +x) Fs =ks1・i−ks2・x+α1 Fp =kp1・Δp−kp2・x+α2 で表すことができる。ここで、k0 ,ks1,ks2,kp
1,kp2、α,βは、スプリングの弾性係数等リニアバ
ルブの構造等に起因して予め定まる定数である。上述の
式において、項(−ks2・x+α1 ),項(−kp2・x
+α2 )は、リニアバルブの制御が非線型である場合に
必要な項であるため、線型とみなす場合は0にすること
ができる。(a)に示す増圧リニアバルブ54,減圧リ
ニアバルブ58においては、つりあい状態において、 Fk =Fs +Fp ・・・(1) が成立し、(b)に示す減圧リニアバルブ62において
は、 Fk +Fp =Fs ・・・(2) が成立する。
【0038】また、これらリニアバルブにおいては、オ
リフィスの式 Q=C・A・√(Δp/ρ)・・・(3) および、流体に加わる圧力の変化と流体の体積の変化率
との関係を表す式 dV/V=β・dp・・・(4) が成立する。(3) 式において、Qは作動液の流量であ
り、Cは流量係数であり、Aはリニアバルブの開口面積
であり、ρは作動液の密度であり、開口面積Aはストロ
ークxに比例し、式(A=ka ・x)で表される。(4)
式において、βは圧縮率であり、体積弾性係数の逆数で
ある。この式において、Vは、作動液の体積の初期値で
あり、リニアバルブの容積で決まる値であり、dVは、
作動液の体積が減少した場合の減少量を正とする。上記
(4) 式は、 (1/Vβ)・dV/dt=dp/dt と変形することができるが、この式において、dV/d
tは作動液流量Qであるため、下式 (1/Vβ)・Q=dp/dt・・・(5) で表すことができる。また、前記(3) 式および(5) 式か
ら、式 (1/Vβ)・C・ka ・x・√(Δp/ρ)=dp/dt ・・・(6) が得られる。
【0039】それに対して、前記(1) 式, (2)式におい
て、それぞれストロークxを、前後液圧差ΔP,供給電
流iおよび係数a1 〜a3 を用いて表すことができる。 x=a1 ・Δp+a2 ・i+a3 ・・・(7) ここで、増圧リニアバルブ54,減圧リニアバルブ58
については、 a1 =kp1/(k0 +ks2+kp2) a2 =ks1/(k0 +ks2+kp2) a3 =−(k0 ・x0 +α1 +α2)/(k0 +ks2+k
p2) となり、減圧リニアバルブ62については、 a1 =kp1/(kp2−k0 −ks2) a2 =−ks1/(kp2−k0 −ks2) a3 =(k0 ・x0 +α2 −α1)/(kp2−k0 −ks
2) となる。(7) 式を、(6) 式に代入すれば、供給電流iを
式 i={1/(C・Vβ・ka )・(dP/dt)√(ρ/Δp)−a1 ・Δp −a3 }/a2 ・・・(8) で表すことができる。
【0040】この(8) 式に、目標ブレールシリンダ液圧
の目標変化勾配dP/dtと、目標液圧が目標値Pとな
ったと予測した場合の前後液圧差Δpとを代入すれば、
供給電流iを求めることができる。ここで、密度ρ,体
積変化率βは、作動液の温度によって変わるため、温度
に応じたρ,βを用いれば、供給電流iを作動液の温度
を考慮した大きさとすることができる。換言すれば、温
度変化の影響を受けないブレーキ液圧制御装置とするこ
とができる。作動液の温度は、温度センサ174によっ
て検出される。
【0041】リニアバルブ装置66,68は、図10の
フローチャートで表されるリニアバルブ装置制御プログ
ラムの実行に従って制御される。ステップ1(以下、S
1と略称する。他のステップについても同様とする。)
において、目標液圧が0より大きいか否かが判定され、
S2において、事前電流供給フラグがセットされている
か否かが判定される。通常制動時ブレーキ液圧制御,ア
ンチロック制御,トラクション制御,ビークルスタビリ
ティ制御のいずれか1つの制御が行われている場合に
は、目標液圧が0より大きくなる。また、事前電流供給
フラグは、事前電流供給開始条件が満たされるとセット
され、上述の液圧制御のいずれか1つが開始された場
合、事前電流供給継続時間Tpre が経過した場合にリセ
ットされるフラグである。
【0042】いずれのステップにおける判定もNOの場
合には、S3において、事前電流供給開始条件が満たさ
れるか否かが判定される。この条件は、前述のように、
増圧条件成立の前兆が検出された場合に満たされる。事
前電流供給開始条件が満たされた場合には、判定はYE
Sとなり、S4において、事前電流供給フラグがセット
され、S5において、事前電流供給カウンタのカウント
値が設定カウント値より大きいか否かが判定され、設定
カウント値以下の場合には、S6において、予め定めら
れた電流が供給され、カウント値が1増加させられる。
設定カウント値は、前記事前電流供給継続時間Tpre に
応じて設定された回数である。次に実行される場合に
は、S2における判定がYES、S5における判定がN
Oとなり、S6において電流が供給される。また、事前
電流供給条件が満たされない場合には、S3における判
定がNOとなり、S7において、各カウンタがクリアさ
れ、各電磁制御弁が初期状態にされる。液圧制御も事前
電流供給制御も行われないからである。S7のステップ
は、液圧制御が終了した場合にも実行される。それに対
して、事前電流供給カウンタのカウント値が設定カウン
ト値より大きくなれば、S8において、電流の供給が停
止され、事前電流供給開始フラグがリセットされる。設
定時間Tpre 内に液圧制御が開始されなかったため、電
流が0に戻されるのである。
【0043】目標液圧が0より大きい場合には、S1に
おける判定がYESとなり、S9において、事前電流供
給フラグがリセットされ、S10においてリニアバルブ
装置の制御が行われる。図11におけるS22におい
て、目標液圧の変化量が設定値より大きいか否かが判定
される。大きい場合には増圧が要求されているとされ、
S23において、目標液圧と実液圧との差である液圧偏
差ferrが設定偏差EPS以上か否かが判定される。
設定偏差以上である場合には、S24において、増圧モ
ードが設定される。設定偏差より小さくなれば、保持モ
ードに切り換えられるが、その前に、増圧終了時軟着陸
モードが設定される。増圧リニアバルブ54に供給され
る電流が減少させられるのである。S25において、増
圧バルブ軟着陸カウンタのカウント値が設定回数以下か
否かが判定される。カウント値が設定回数以下の場合に
は、S26において電流が減少させられ、カウント値が
1増加させられる。設定回数を越えれば、S27におい
て、保持モードが設定され、増圧バルブ軟着陸カウンタ
のカウント値がリセットされる。
【0044】それに対して、増圧要求状態でない場合に
は、S28において、目標液圧の変化量が設定値より小
さいか否かが判定される。設定値より小さく、減圧要求
である場合には、判定がYESとなり、S29において
偏差ferrが設定偏差−EPSより小さいか否かが判
定される。すなわち、偏差の絶対値がEPSより大きい
か否かが判定されるのである。−EPSより小さい場合
には、S30において減圧モードが設定され、増圧リニ
アバルブ54は、電流が供給されないことにより閉状態
に保たれ、減圧リニアバルブ58,62については、目
標液圧と実液圧との差が小さくなるように、電流が制御
される。フィードバック制御とフィードフォワード制御
とを組み合わせた制御が行われるのである。偏差fer
rが−EPS以上の場合には、S31〜33において、
減圧終了時軟着陸制御が設定回数行われた後、保持モー
ドが設定される。前述のように、電磁駆動力が(余裕値
Fr と着座力Fssとの和)だけ増加するように、電流が
緩増させられるのである。また、減圧要求でない場合に
は、S28における判定がNOとなり、S34において
保持モードが設定される。ブレーキペダル10が踏み込
まれている場合において、増圧モード,保持モード,減
圧モードが設定されるのは、通常制動時ブレーキ液圧制
御時のみでなく、アンチロック制御が行われている場合
もある。
【0045】以上のような制御が行われた場合の増圧リ
ニアバルブ54,減圧リニアバルブ62に供給される電
流を図1に概念的に示す。図に示すように、減圧リニア
バルブ62のソレノイド144に供給される電流は、従
来の制御が行われた場合の電流より、小さくすることが
でき、電気エネルギの消費量の低減を図ることができ
る。また、電磁駆動力が差圧作用力より余裕値Fr だけ
大きくされているため、弁子136の弁座134への着
座状態を確実に維持することができる。さらに、増圧が
行われる以前に電流が供給され、その電流が緩増させら
れるため、弁子136が弁座134に着座する場合の着
座速度を小さくし、衝撃を小さくすることができる。ま
た、弁子136の弁座134への衝撃を小さくすること
ができるため、減圧リニアバルブ62の耐久性を向上さ
せることができる。さらに、増圧制御前に電流の供給が
開始されるため、増圧遅れを小さくすることができると
いう利点もある。また、増圧リニアバルブ54について
も、増圧終了時に軟着陸制御が行われるため、弁子90
の弁座92に対する着座速度を小さくし、衝撃を小さく
することができため、増圧リニアバルブ54の耐久性を
向上させることができる。
【0046】以上のように、本実施形態においては、圧
力センサ72,74,75〜78、ストロークセンサ7
1、ブレーキスイッチ166、スロットルセンサ16
8、操舵角センサ170,ヨーレイトセンサ172およ
びブレーキ液圧制御装置160のリニアバルブ装置制御
プログラムを実行する部分等により、電気エネルギ制御
装置が構成される。そのうちの、ブレーキ液圧制御装置
160のS24,27,32,33において減圧リニア
バルブ62に供給する電流を制御する部分等により、液
圧対応電気エネルギ制御手段が構成される。また、S4
〜6,S32を実行する部分等により着座時電気エネル
ギ緩増手段が構成され、そのうちの、S4〜6を実行す
る部分等により電気エネルギ事前供給開始手段が構成さ
れる。それに対して、ポンプ装置30.増圧リニアバル
ブ54,電気エネルギ制御装置のうちのS24において
増圧リニアバルブ54に供給する電流を制御する部分等
により増圧手段が構成される。
【0047】なお、上記実施形態においては事前電流供
給制御と減圧終了時軟着陸制御とにおいて、別のパター
ンで電流が供給されるようにされていたが、同じパター
ンで供給されるようにしてもよい。また、事前電流供給
を行うことは不可欠ではなく、初回増圧開始時に、増圧
開始時軟着陸制御モードが設定されるようにしてもよ
い。この場合には、図12のフローチャートで表される
リニアバルブ装置制御プログラムが実行されることにな
る。
【0048】S51において、目標液圧が0より大きい
か否かが判定される。0より大きく液圧制御中である場
合には、S52以降が実行されるが、0の場合には非液
圧制御中(制御終了)であるため、S56において終了
処理(初期設定)が行われる。各カウンタ等がリセット
され、電磁制御弁が初期状態にされる。S52におい
て、目標液圧の変化量に基づいて増圧要求か否かが判定
され、増圧要求である場合には、初回増圧開始時軟着陸
カウンタのカウント値が設定カウント値より小さいか否
かが判定される。初回増圧開始時軟着陸カウンタのカウ
ント値が設定カウント値より小さい場合には、判定がY
ESとなり、S54において初回増圧開始時軟着陸制御
が行われる。設定カウント値を越えれば、S55以降に
おいて増圧制御が前述の場合と同様に制御される。
【0049】また、増圧開始時軟着陸制御は、上記実施
形態における減圧終了時軟着陸制御と同様の制御が行わ
れるようにしてもよいが、例えば、以下に説明するよう
に制御することができる。電磁駆動力が、図13の実線
に示すような大きさとなるように、電流を制御すること
ができる。この場合には、余裕値Fr が差圧作用力Fp
(ΔP)に対応する大きさとされる。ここで、ΔPは前
述のように、最大増圧速度αにサイクルタイムΔTを乗
じた大きさ(ΔP=α・ΔT)である。そして、電磁駆
動力が、余裕値Fp (ΔP)に応じた勾配で増加させら
れる〔ΔFs (Δi)=Fp (ΔP)・n〕ように電流
が供給される。本実施形態においては、増圧開始時軟着
陸制御が設定回数nだけ行われるが、軟着陸制御終了時
における電流ie が、通常の増圧モードが行われた場合
における電流in より大きい場合には、電流iが直ちに
減少させられるのではなく、その大きさ(ie )に保持
され、これらが等しくなった(ie)後に、通常の増圧
モードにおける制御が行われることになる。このように
制御すれば、初回電流供給時には、電磁駆動力が差圧作
用力と余裕値との和より小さくされ、後に、上述の和以
上になるように(通常の増圧モードにおける制御と同様
に)されるため、着座時に加えられる電磁駆動力が過大
になることを回避しつつ、確実に着座状態を維持するこ
とができる。この場合には、目標液圧Pref がαの勾配
で増加させられる場合と同様に考えることも可能であ
る。
【0050】さらに、電磁駆動力が、図14の実線Lに
従って制御されるように、電流を制御することができ
る。 Fs (i)=Fp (Pref )/γ+Fr ×γ・・・(9) ここで、γは、減速係数であり、(γ=1−1/2t
で表される大きさである。減速係数γは、時間tの経過
に伴って1に近づく値とされる。この式に従って決まる
電流を供給すれば、増圧開始時に比較的大きさ電流が供
給され、弁子136は弁座134に急速に近づき、着座
させられるが、その後、通常の増圧モードにおける制御
と同じ大きさになる。なお、第2項に使用されるγは、
減速係数に限らず他の係数であってもよい。また、式 Fs (i)=Fp (Pref )/γ に従って、電流を供給することもできる。いずれにして
も、電流が、制御開始時に比較的大きな値とされ、制御
時間の経過に伴って通常制御に近づくような値とされ
る。このような関数であれば、上述以外の関数であって
もよい。また、制御回数(制御時)と供給電流とを予め
マップ化して記憶させておくこともできる。
【0051】さらに、電磁駆動力が、一点鎖線Mに従っ
て変化するように、供給電流を制御することもできる。 Fs (i)=Fp (Pref )×γ・・・(10) この場合においても、弁子136を弁座134に軟着陸
させることができ、着座音を小さくし、減圧リニアバル
ブ62の耐久性を向上させることができる。
【0052】また、図15の実線L′で示すように、初
回電流供給時に、大きな電磁駆動力が発生させられるよ
うに制御し、その後、一定に保って、通常の増圧モード
における制御と同様の制御を行ったり、二点鎖線M′で
示すように、初回に供給される電流を小さくして、2回
目以降に大きな電流が供給されるようにしたりすること
ができる。2回目以降に電磁駆動力を大きくする場合に
は、増圧遅れが生じる場合もあるが、着座速度を小さく
でき、その後、確実に着座状態を保ち得るという利点が
ある。
【0053】さらに、余裕値を決定する際の許容漏れ量
は、予め定められた値ε* とするのではなく、目標液圧
の大きさに応じた値とすることもできる。さらに、前述
のように、余裕値を最大増圧速度と押付力との両方に基
づいて決定することは不可欠ではなく、これらのいずれ
か一方に基づいて決定されるようにしてもよい。最大増
圧速度も、その時点のポンプ装置30の出力液圧に基づ
いて決定する等可変値とすることもできる。また、電磁
駆動力が差圧作用力より余裕値だけ大きくすることは不
可欠ではなく、着座状態においては、差圧作用力と同じ
大きさであってもよい。この場合には、電気エネルギの
消費量を最小限にすることができる。さらに、弁子13
6と弁座134との間の隙間からの漏れ量は、経時的に
変化するため、定期的に、図7に示すようなグラフが自
動的に作成されるようにすることもできる。
【0054】また、作動液の温度が密度,体積変化率等
を考慮することによって考慮されるようにされていた
が、供給電流量と液圧とに基づいて決まる電流補正率を
図17に示すようにマップ化して記憶させておき、この
マップに基づいて制御することもできる。この場合には
温度センサ174は不要となる。例えば、制御開始時
に、前述の(8) に目標液圧等を代入することによって求
められた電流を供給した場合の実液圧を検出する。密
度,圧縮率等が作動液の温度に適正な値であれば、検出
された実液圧は目標液圧と同じ値になるはずである。換
言すれば、目標液圧に応じた電流を供給した場合の実液
圧が、目標液圧と同じ大きさであれば、供給電流を補正
する必要がないのであり、電流補正率は1とされる。異
なれば、それに応じた値とされるのである。マップか
ら、実液圧と供給電流との関係から電流補正率を求め、
この電流補正率を(8) 式に従って求められる電流に乗じ
た値に基づいて供給電流を決定すれば、温度変化に起因
する密度,圧縮率の変化を考慮したことになる。本実施
形態においては、漏れ量の経時的な変化を考慮する必要
がなくなり、上述のように、図7のグラフを経時的に作
成する必要がなくなるという利点もある。
【0055】さらに、増圧リニアバルブ54を制御する
必要は必ずしもない。例えば、ポンプ装置30の出力液
圧をブレーキペダル10の踏力に応じた大きさとし、出
力液圧が大きすぎる場合にのみ減圧リニアバルブ62に
よって制御すれば十分であり、実液圧を目標液圧に近づ
けることが可能である。この場合には、ポンプ圧センサ
74の出力液圧が、ブレーキペダル10の踏力に応じた
大きさとなるように、高圧用モータ38,低圧用モータ
40が制御されることになる。増圧リニアバルブ54が
不要になる場合もある。また、減圧リニアバルブ62
に、スプリング138を設けることは不可欠ではない。
その場合には、非作動時に閉状態にある場合もあり得る
が、積極的に閉状態を保っているのではない。
【0056】さらに、ブレーキ回路の構造は、上記実施
形態におけるそれに限らず、他の構造のものとすること
もできる。例えば、図16に示すように、ポンプ装置2
00をアキュムレータ202を含むものとしたり、ポン
プ204を1つ含むものとしたりすることができる。こ
のポンプ装置200においては、アキュムレータ202
に蓄えられる作動液の液圧が設定範囲内になるように、
ポンプ204を駆動するポンプモータ206の作動状態
が制御される。圧力スイッチ208は、アキュムレータ
202の液圧が下限値より低くなったこと、上限値より
高くなったことを検出する。
【0057】本実施形態においては、すべてのホイール
シリンダにマスタシリンダ12とポンプ装置200との
両方が接続されている。ポンプ装置200とホイールシ
リンダとを接続する液通路の途中に設けられた電磁開閉
弁220,222は、常閉弁であるのに対し、マスタシ
リンダとホイールシリンダとの間に設けられた電磁開閉
弁224,226は、常開弁であるため、電気系の故障
時には、すべてのホイールシリンダがポンプ装置200
から遮断されてマスタシリンダ12に連通させられるこ
とになる。しかも、後輪側のホイールシリンダとマスタ
シリンダ12との間には、増圧バルブ228が設けられ
ているため、後輪側のホイールシリンダには、マスタシ
リンダ12の液圧が増圧されて供給されることになる。
前輪側,後輪側の各々において、2つのホイールシリン
ダの間に電磁開閉弁230,232が設けられている。
電磁開閉弁230,232の制御により、2つのホイー
ルシリンダを互いに連通させたり、遮断したりすること
ができる。2つのホイールシリンダの液圧を独立に制御
する場合には、遮断し、共通に制御する場合には連通さ
せるのであり、共通に制御する場合には、いすれか一方
のリニアバルブ装置を制御すればよいことになる。
【0058】本実施形態においては、電磁開閉弁222
および増圧リニアバルブ54の漏れにより、ブレーキペ
ダル10の非作動時に、アキュムレータ202の作動液
がホイールシリンダ46,48に供給されて、引きずり
が生じるおそれがある。しかし、本実施形態において
は、減圧リニアバルブ62が常開弁とされているため、
ホイールシリダ46,48の作動液が減圧リニアバルブ
62を経てリザーバ31に戻されるため、後輪側におい
ては、引きずりが生じることを良好に回避することがで
きる。この意味においては、前輪側の減圧リニアバルブ
58についても減圧リニアバルブ62と同様に常開弁と
することが望ましい。
【0059】さらに、マスタシリンダ12とは別の液圧
源を設けることは不可欠ではなく、ブースタあるいは増
圧装置を備えたブレーキ装置にも本発明を適用すること
ができる。この場合においても、減圧リニアバルブ62
を制御することにより、ホイールシリンダから作動液が
流出することが防止される。また、トラクション制御,
ビークルスタビリティ制御等が行われるようにすること
も不可欠ではない。その他、いちいち例示することはし
ないが、種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ液圧制御装
置によるリニアバルブ装置の制御例を示す図である。
【図2】上記ブレーキ液圧制御装置を含むブレーキ装置
の回路図である。
【図3】上記ブレーキ装置に含まれる前輪側リニアバル
ブ装置66の構造を概念的に示す図である。
【図4】上記ブレーキ装置に含まれる後輪側リニアバル
ブ装置68の構造を概念的に示す図である。
【図5】(a)上記リニアバルブ装置に含まれる増圧リ
ニアバルブ54,減圧リニアバルブ58に作用する力を
模式的に示す図である。(b)上記リニアバルブ装置に
含まれる減圧リニアバルブ62に作用する力を模式的に
示す図である。
【図6】上記ブレーキ液圧制御装置によるリニアバルブ
装置の制御態様の一例を示す図である。
【図7】上記リニアバルブ装置に含まれるリニアバルブ
における漏れ量,電磁駆動力とストロークとの関係を概
念的に示す図である。
【図8】上記ブレーキ液圧制御装置による減圧終了時軟
着陸制御の一例を示す図である。
【図9】上記ブレーキ液圧制御装置による事前電流供給
制御の一例を示す図である。
【図10】上記ブレーキ液圧制御装置のROMに格納さ
れたリニアバルブ装置制御プログラムを表すフローチャ
ートである。
【図11】上記S11における実行内容を具体的に示す
フローチャートである。
【図12】本発明の別の一実施形態であるブレーキ液圧
制御装置のROMに格納されたリニアバルブ装置制御プ
ログラムを表すフローチャートである。
【図13】上記ブレーキ液圧制御装置による初回増圧開
始時軟着陸制御の一例を示す図である。
【図14】本発明のさらに別の一実施形態であるブレー
キ液圧制御装置による初回増圧開始時軟着陸制御の一例
を示す図である。
【図15】本発明のさらに別の一実施形態であるブレー
キ液圧制御装置による初回増圧開始時軟着陸制御の一例
を示す図である。
【図16】本発明のブレーキ液圧制御装置が含まれる別
のブレーキ装置を示す回路図である。
【図17】本発明のさらに別の一実施形態であるブレー
キ液圧制御装置のROMに格納された電流補正率のマッ
プを表す図である。
【符号の説明】
30 ポンプ装置 41 マスタリザーバ 54 増圧リニアバルブ 62 減圧リニアバルブ 68 後輪側リニアバルブ装置 74 ポンプ圧センサ 130 シーティング弁 132 電磁駆動力発生装置 134 弁座 136 弁子 138 スプリング 144 ソレノイド 160 ブレーキ液圧制御装置 174 温度センサ

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】作動液の液圧によりブレーキを作動させる
    ブレーキシリンダと、作動液を収容するリザーバとの間
    に設けられた電磁制御弁と、 その電磁制御弁に供給する電気エネルギを制御する電気
    エネルギ制御装置とを含むブレーキ液圧制御装置であっ
    て、 前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に対して着座・離
    間可能な弁子と、その弁子に、その弁子を弁座に着座さ
    せる向きの前記供給電気エネルギに応じた電磁駆動力を
    加える電磁駆動力発生装置とを備えて、前記ブレーキシ
    リンダの液圧と前記リザーバの液圧との差圧による差圧
    作用力が、前記弁子を前記弁座から離間させる向きに作
    用する状態で配設された電磁シーティング弁を含むもの
    であり、前記電気エネルギ制御装置が、前記弁子を前記
    弁座への着座状態に保つ場合に、前記電気エネルギを、
    前記ブレーキシリンダの液圧に応じて制御する液圧対応
    電気エネルギ制御手段を含むことを特徴とするブレーキ
    液圧制御装置。
  2. 【請求項2】前記液圧対応電気エネルギ制御手段が、前
    記電気エネルギを、前記電磁駆動力が前記差圧作用力よ
    り、少なくとも余裕値だけ大きくなるように制御するも
    のである請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
  3. 【請求項3】前記余裕値が、少なくとも、前記電磁制御
    弁における液圧の最大増圧速度に基づいて設定されたも
    のである請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。
  4. 【請求項4】前記余裕値が、少なくとも前記弁子の前記
    弁座への押付力に基づいて設定されたものである請求項
    2または3に記載のブレーキ液圧制御装置。
  5. 【請求項5】前記液圧対応電気エネルギ制御手段が、前
    記電気エネルギを、さらに、前記電磁シーティング弁を
    流れる作動液の温度に応じて変わる大きさに制御する請
    求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制
    御装置。
  6. 【請求項6】作動液の液圧によりブレーキを作動させる
    ブレーキシリンダと、作動液を収容するリザーバとの間
    に設けられた電磁制御弁と、 その電磁制御弁に供給する電気エネルギを制御する電気
    エネルギ制御装置とを含むブレーキ液圧制御装置であっ
    て、 前記電磁制御弁が、弁座と、その弁座に対して着座・離
    間可能な弁子と、その弁子に、その弁子を弁座に着座さ
    せる向きの前記供給電気エネルギに応じた電磁駆動力を
    加える電磁駆動力発生装置とを備え、前記ブレーキシリ
    ンダの液圧とリザーバの液圧との差圧による差圧作用力
    が、前記弁子を前記弁座から離間する向きに作用する状
    態で配設された電磁シーティング弁を含むものであり、
    前記電気エネルギ制御装置が、前記弁子を前記弁座へ着
    座させる場合に、前記電気エネルギを、緩増させる着座
    時電気エネルギ緩増手段を含むことを特徴とするブレー
    キ液圧制御装置。
  7. 【請求項7】当該ブレーキ液圧制御装置が、予め定めら
    れた増圧条件が満たされた場合に前記ブレーキシリンダ
    の液圧を増加させる増圧手段を含み、かつ、前記着座時
    電磁エネルキ緩増手段が、前記増圧条件が満たされる前
    兆に基づいて、前記電気エネルギの供給を開始する電気
    エネルギ事前供給開始手段を含む請求項6に記載のブレ
    ーキ液圧制御装置。
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