JP2000071051A - 鋼の連続鋳造用パウダー - Google Patents

鋼の連続鋳造用パウダー

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JP2000071051A
JP2000071051A JP10260866A JP26086698A JP2000071051A JP 2000071051 A JP2000071051 A JP 2000071051A JP 10260866 A JP10260866 A JP 10260866A JP 26086698 A JP26086698 A JP 26086698A JP 2000071051 A JP2000071051 A JP 2000071051A
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cao
steel
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Keiji Watanabe
圭児 渡辺
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難巻き込みで、かつ潤滑性に優れており、パ
ウダー性欠陥の無い高品位の製品を得ることができる、
鋼の連続鋳造用パウダーを提供すること。 【解決手段】 CaO、SiO2およびAl23を合計
で50〜93重量%含み、さらにフラックス成分を含
み、かつCaO/SiO2が重量比で7以上であり、A
23/CaOが重量比で0.5〜1.4である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造にお
いて鋳型内に添加して使用される鋼の連続鋳造用パウダ
ーに関する。
【0002】
【従来の技術】溶鋼の連続鋳造に使用される従来の鋳造
用パウダーには、以下のような特性が要求される。
【0003】(1)溶鋼面をパウダーが溶融して形成さ
れたスラグとその上の未溶融層とで被覆することによ
り、空気による溶鋼酸化を防止し、保温効果を持つ。 (2)溶融スラグは鋳型と鋳片との間に入って潤滑剤に
なるため、常に適当量供給される必要がある。このた
め、消費速度に合いかつ適正スラグプール厚となる溶融
速度を有する。 (3)溶融したスラグ層が鋼中より浮上した非金属介在
物を吸収し、その物性(粘性、溶融温度)の変化が小さ
いこと。 (4)溶融スラグは鋳型と凝固シェル間に流れ込み均一
なスラグフィルムを形成し、その間で潤滑作用があるこ
と。 (5)溶融スラグが適度の粘度、表面張力を持ち、溶鋼
へ巻き込まれないこと。
【0004】これらの中で、特に鋼へのパウダーの巻き
込みは、鋳造速度が1.5m/minよりも大きくなる
ような高速鋳造や、中、低速鋳造でもブリキ材、自動車
用鋼板等の品質要求が厳格な鋼に対し問題となることが
多い。
【0005】このため、高粘性、高表面張力の難巻き込
みタイプのパウダーが開発されてきた(特公平4−40
103号公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年さらなる
高速鋳造化やさらなる品質の向上が要求されており、巻
き込みを防止するためにパウダーの組成を変更して高粘
性とすると、鋳型と凝固シェル間の十分な潤滑性が維持
できなくなってしまう。
【0007】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、難巻き込みで、かつ潤滑性に優れており、パ
ウダー性欠陥の無い高品位の製品を得ることができる、
鋼の連続鋳造用パウダーを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、各種実験
および検討を重ね、実鋳造でのパウダーの流れ込み条件
を推測した。その結果、高速鋳造においても鋳片への巻
き込みが極めて少なく、かつ潤滑性が優れるパウダー組
成が存在することを知見した。
【0009】すなわち、粘度は0.5〜10poiseと通
常のものと同程度であるが、溶鋼との間の界面張力を大
きく保つようにパウダー組成を制御することができ、こ
のような組成のパウダーを用いることにより、鋼に対す
るパウダーの巻き込みを減少させることができる。
【0010】本発明は、このような知見に基づいてなさ
れたものであり、CaO、SiO2およびAl23を合
計で50〜93重量%含み、さらにフラックス成分を含
み、かつCaO/SiO2が重量比で7以上であり、A
23/CaOが重量比で0.5〜1.4であることを
特徴とする鋼の連続鋳造用パウダーを提供するものであ
る。
【0011】また、上記パウダーにおいて、前記フラッ
クス成分は、Na2O、MgO、Fe23、Li2O、B
aO、SrO、Fの1種以上からなることを特徴とする
鋼の連続鋳造用パウダーを提供するものである。
【0012】さらに、上記いずれかのパウダーにおい
て、さらに、溶融速度調整剤として炭素質を含有するこ
とを特徴とする鋼の連続鋳造用パウダーを提供するもの
である。
【0013】さらにまた、上記いずれかのパウダーにお
いて、1300℃における粘度が0.5〜10poise、
結晶化温度が900〜1250℃であることを特徴とす
る鋼の連続鋳造用パウダーを提供するものである。
【0014】さらにまた、上記いずれかのパウダーにお
いて、1550℃における溶鋼との間の界面張力値が1
100dyn/cm以上であることを特徴とする鋼の連
続鋳造用パウダーを提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。前述のように、パウダーを用いた鋼の連続鋳造
法では、パウダーの巻き込みが大きな問題となる。その
ため、巻き込みを防止し、しかも潤滑性を確保するため
の種々検討を行った。
【0016】まず、一般的に用いられる連続鋳造用パウ
ダーについて説明する。一般的な連続鋳造用パウダー
は、SiO2、CaO、Al23、Fe23、MgO、
MnO、BaO、B23等の酸化物を母材とし、その他
に物性調製剤としてNa2O、K2O,LiO等の金属酸
化物、NaF、KF、LiF、CaF2、MgF2、Al
3、Na3AlF6等のフッ化物およびそれら金属の炭
酸化物、硝酸化物が添加されている。
【0017】熱処理基材としては、電気炉やキュポラで
溶解されたプリメルト基材、また既存の熱処理原料とし
て、高炉滓やガラス粉末、ポルトランドセメント、天然
のものとして玄武岩、ワラストナイト、シラス等があ
る。
【0018】副原料としては、フッ化ナトリウム、水晶
石、炭酸ソーダ、炭酸リチウム、蛍石のフラックス、お
よびSiO2源としてガラス粉、珪藻土等、CaO源と
して、炭酸カルシウム、蛍石等が添加される。
【0019】溶融速度調整剤としては、カーボンブラッ
ク、天然および人造黒鉛、コークス粉、石炭粉等の炭素
質、あるいは、窒化ホウ素等の窒化物を0.5〜15重
量%配合した粉状のもの、あるいはこれにバインダーを
添加し、顆粒状にしたものが一般的である。従来は炭素
質粉として、平均粒径30mmのカーボンブラック、4
0μmのコークス粉、100μmの木粉が使用されてい
る。
【0020】このような一般的なパウダーに対し、本発
明では、以下の観点から検討を行った。近年、高速鋳造
が指向されており、その条件下では溶鋼のスループット
量の増大によりパウダーはより巻き込みやすい環境にな
る。また、高速下では潤滑性が悪くなることが知られて
いる。
【0021】パウダーの巻き込みを制御するためには、
パウダーの粘性を大きくする必要があり、その一方で凝
固シェルと鋳型間の潤滑作用を良好にするためには、パ
ウダーの粘性を低くする必要がある。このような相反す
る課題の解決が望まれている。
【0022】そこで、図1に示す試験装置を使用して検
討した結果、パウダーの巻き込みに関しては、粘度は大
きい影響力を持つことがわかったが、それに加え、溶鋼
−パウダー間の界面張力も巻き込みに対して多大な影響
があることがわかった。一方、表面張力に関しては、そ
の影響を確認することはできなかった。
【0023】そこで、検討を重ね、パウダー粘度を従来
並みに維持することで潤滑性を確保しつつ、溶鋼−パウ
ダー間の界面張力を大きくすることでパウダーの巻き込
みを抑制することができることを見出した。
【0024】界面張力の測定は、静滴法により行った。
その結果、界面張力は、CaO/SiO2が高く、Al2
3含有量が高いほど、大きくなる傾向を持つことがわ
かった。
【0025】また、パウダーの溶鋼への巻き込みを評価
するために、図1に示すように、石英製のJ字管4を鋼
中に浸漬し、湯面近傍の溶鋼5を吸引した後、J字管4
中に吸い込まれた鋼に含有されるパウダーの量を定量化
することで巻き込みを評価した。なお、図1において、
1は真空トラップ、2は真空ポンプ、3は溶融パウダ
ー、6はるつぼ、7は鋼種はコイルである。図2に、1
550℃における巻き込み指数と界面張力との関係を示
す。この図に示すように、粘性が同程度でも界面張力値
が大きくなるとパウダーの巻き込みが減少する。このこ
とから、パウダーの組成を調整することによりパウダー
粘度を従来並みに維持しつつ、パウダーの巻き込みを減
少させることが可能であることが見出された。
【0026】以上のことから、本発明では、CaO、S
iO2およびAl23を合計で50〜93重量%含み、
さらにフラックス成分を含み、かつCaO/SiO2
重量比で7以上であり、Al23/CaOが重量比で
0.5〜1.4であることを要件とする。
【0027】パウダー中のCaOとSiO2とAl23
の合計が93重量%を超えると、粘度を低減させるフラ
ックス分の添加量が不十分になり、結果的に粘度が大き
い値をとることで、鋳型内の潤滑が不十分になる。ま
た、この合計が50重量%未満では粘度等の物性を調整
することが困難となる。したがって、これらの合計量を
50〜93重量%と規定した。
【0028】また、CaO/SiO2が重量比で7未満
では、巻き込みを抑制するための界面張力値が小さいた
め、巻き込みを抑制する効果が不十分である。特にアル
ミキルド鋼を製造する場合には、CaO/SiO2が重
量比で7未満となると、パウダー中のSiO2の活量が
大きいため、溶鋼中のAlとパウダー中のSiO2との
間で酸化反応が生じやすく、界面張力が大幅に減少する
傾向にある。したがって、CaO/SiO2を重量比で
7以上と規定した。
【0029】さらに、Al23/CaOが重量比で0.
5未満、または1.4を超える場合、パウダーの溶融す
る温度が高くなり、ベアの発生成長が起こり、鋳造に悪
影響を与える。したがって、Al23/CaOを重量比
で0.5〜1.4と規定した。
【0030】以上のような組成の鋼の連続鋳造用パウダ
ーを使用することで、高速鋳造においても潤滑性を十分
確保することができ、かつ、コイルの表面疵を大幅に減
少することが可能となる。
【0031】フラックス成分は、パウダーの結晶化温度
や軟化温度を制御するために添加される。フラックス成
分としては、Na2O、MgO、Fe23、Li2O、B
aO、SrO、およびFの1種以上からなるものが好ま
しい。また、溶融速度調整剤として炭素質を含有させる
ことが好ましい。
【0032】また、1300℃における粘度は0.5〜
10poiseであることが望ましい。粘度が10poiseを超
えると、鋳型とパウダーとの間の潤滑が不足する。一
方、0.5poise未満では、界面張力を制御してもパウ
ダーの巻き込みを抑制し難い。
【0033】結晶化温度は900〜1250℃であるこ
とが望ましい。結晶化温度が1250℃を超えるとベア
が発生および成長し、パウダー潤滑に悪影響を与える。
一方、900℃未満では、溶融する速度が大きすぎ、十
分な保温性を維持することができなくなる。
【0034】さらに、上述した図2から、1550℃に
おけるパウダーと溶鋼との間の界面張力値が1100d
yn/cm以上になると、急激にパウダーの巻き込みが
減少することが見出されることから、1550℃におけ
るパウダーと溶鋼との間の界面張力は1100dyn/
cm以上が好ましい。
【0035】
【実施例】(第1の実施例)表1に示すパウダーを使用
して、実機試験を行い、パウダーの潤滑性とコイルの疵
を評価した。表1の比較例1のパウダーを使用して鋳造
したコイルにおけるパウダー性欠陥の単位当たりの個数
の評価を行い、それを巻き込み指数100とした。実施
例1〜4におけるパウダーは、溶鋼との間の界面張力が
比較例のパウダーよりも高く、1300℃での粘度は比
較例1のパウダーとほぼ同程度であるにもかかわらず、
巻き込み指数は10〜20と著しく減少しており、コイ
ルの疵も少ないことが確認された。また、実施例1〜4
のパウダーは、いずれもその消費量が0.3kg/m2
と潤滑には問題ないレベルであった。
【0036】
【表1】
【0037】(第2の実施例)種々のパウダーを使用し
て、鋳造速度:3m/minの高速鋳造試験を行った。
その結果を表2に示す。表2の比較例2の巻き込み結果
でわかるように、鋳造速度が増加することで巻き込み欠
陥も倍増するが、実施例5〜8の巻き込み指数は、比較
例2に比べて著しく小さく、高速鋳造であっても巻き込
みを大幅に抑制できることが確認された。
【0038】
【表2】
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来と同様の粘性を維持しつつ、鋼との間の界面張力を
増加させることにより、難巻き込みで、かつ潤滑性に優
れており、パウダー性欠陥の無い高品位の製品を得るこ
とができる、鋼の連続鋳造用パウダーを提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パウダーの巻き込みを試験するための装置を示
す概略構成図。
【図2】1550℃におけるパウダーと溶鋼との間の界
面張力と、パウダーの巻き込み指数との関係を示す図。
【符号の説明】
1……真空トラップ 2……真空ポンプ 3……溶融パウダー 4……J字管 5……溶鋼 6……るつぼ 7……高周波コイル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CaO、SiO2およびAl23を合計
    で50〜93重量%含み、さらにフラックス成分を含
    み、かつCaO/SiO2が重量比で7以上であり、A
    23/CaOが重量比で0.5〜1.4であることを
    特徴とする鋼の連続鋳造用パウダー。
  2. 【請求項2】 前記フラックス成分は、Na2O、Mg
    O、Fe23、Li2O、BaO、SrO、Fの1種以
    上からなることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続
    鋳造用パウダー。
  3. 【請求項3】 さらに、溶融速度調整剤として炭素質を
    含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記
    載の鋼の連続鋳造用パウダー。
  4. 【請求項4】 1300℃における粘度が0.5〜10
    poise、結晶化温度が900〜1250℃であることを
    特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記
    載の鋼の連続鋳造用パウダー。
  5. 【請求項5】 1550℃における溶鋼との間の界面張
    力値が1100dyn/cm以上であることを特徴とす
    る請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の鋼の
    連続鋳造用パウダー。
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