JP2000067867A - 薄形電池 - Google Patents

薄形電池

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JP2000067867A
JP2000067867A JP10236868A JP23686898A JP2000067867A JP 2000067867 A JP2000067867 A JP 2000067867A JP 10236868 A JP10236868 A JP 10236868A JP 23686898 A JP23686898 A JP 23686898A JP 2000067867 A JP2000067867 A JP 2000067867A
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negative electrode
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JP10236868A
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Hideki Kaido
英樹 海藤
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Toshiba Battery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活物質を含有するペーストと集電体との密着
性を維持しつつ、耐電解液特性に優れ、レート特性、容
量及び寿命特性を同時に満足する薄形電池を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 正極5及び負極4のうち少なくともいず
れか一方の電極は、特定のモノマーとフッ素系モノマー
との共重合体、活物質及び非水電解液を含む電極層が集
電体に担持された構造を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極及び負極のう
ち少なくともいずれか一方の電極を改良した薄形電池に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の発達にともない、小型
で軽量、かつエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放
電が可能な非水電解液二次電池の開発が要望されてい
る。このような二次電池としては、リチウムまたはリチ
ウム合金を活物質とする負極と、モリブデン、バナジウ
ム、チタンあるいはニオブなどの酸化物、硫化物もしく
はセレン化物を活物質として含む正極と、非水電解液と
を具備したリチウム二次電池が知られている。
【0003】また、最近では負極に例えばコークス、黒
鉛、炭素繊維、樹脂焼成体、熱分解気相炭素のようなリ
チウムイオンを吸蔵放出する炭素質材料を含むものを用
い、正極としてリチウムコバルト酸化物やリチウムマン
ガン酸化物を含むものを用いるリチウムイオン二次電池
の開発、商品化が活発に行われている。
【0004】ところで、二次電池のさらなる軽量化及び
小型化を目的として、例えば米国特許公報第5,29
6,318号に開示されているように、薄形二次電池が
開発されている。この薄形二次電池は、シート状の正極
と、シート状の負極と、前記正極及び前記負極の間に介
在された電解質層とを備える。前記正極は、リチウムイ
オンを吸蔵・放出する活物質、非水電解液及びこの電解
液を保持するバインダを含む正極層が集電体に積層され
た構造を有する。前記負極は、リチウムイオンを吸蔵・
放出する活物質、非水電解液及びこの電解液を保持する
バインダを含む負極層が集電体に積層された構造を有す
る。また、前記電解質層は、非水電解液及びこの電解液
を保持するバインダを含むシートから構成される。
【0005】前記バインダとしては、ビニリデンフロラ
イド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)
の共重合体が用いられている。前記共重合体において、
VdFは共重合体の骨格部でシートの機械的強度の向上
に寄与し、HFPは非晶質構造を有し、リチウムイオン
の透過部として機能する。
【0006】しかしながら、前述したバインダの粘着性
は低く、正負極層と集電体との密着性を高めることが困
難であった。このため、前述したような構成の薄形二次
電池において充放電を繰り返すと、放電容量が著しく低
下するという問題点がある。
【0007】すなわち、薄形二次電池は、充放電時に正
極層、負極層及び電解質層が膨張・収縮を繰り返すた
め、正極層が集電体から剥離したり、あるいは負極層が
集電体から剥離したりしてインピーダンスが上昇する。
その結果、充放電の繰り返しに伴って放電容量が著しく
低下する。特に、正極の集電体はアルミニウムから形成
されるため、表面に酸化被膜が形成されやすく、正極層
との密着性が低下しやすい。また、正負極層と集電体と
の密着性が低いと、レート特性(高率放電特性)が低く
なる。
【0008】一方、特開平9−199130号公報、特
開平9−199132号公報及び特開平9−19913
3号公報には、電極活性物質と結着剤からなる電極構成
物質層に(a)カルボン酸基あるいはカルボン酸無水物
基を有する単量体及び(b)アクリル酸エステルとメタ
クリル酸エステルから選ばれる少なくとも1種類の単量
体からなるアクリル系共重合体が添加された電極を備え
た二次電池が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ア
クリル系共重合体は金属との密着性は高いものの、非水
電解液に対する安定性が悪いという問題点がある。すな
わち、薄形二次電池の正極及び負極は、所定の組成を有
するペーストを集電体に塗布することにより得られる
か、あるいは前記ペーストをPETフィルムのような製
膜用シートに塗布し、製膜し、これを集電体に接着する
ことにより作製される。いずれの方法においても最終工
程で非水電解液を含浸させることによって薄形二次電池
は製造される。このため、耐溶剤性の劣る前記アクリル
系共重合体が含まれていると充放電サイクルの増加に伴
い前記アクリル系共重合体が膨潤、溶解を起こすため、
寿命特性が著しく劣化するという問題点を生じる。
【0010】本発明は、活物質を含有するペーストと集
電体との密着性を維持しつつ、耐電解液特性に優れ、レ
ート特性、容量及び寿命特性を同時に満足する薄形電池
を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る薄形電池
は、正極及び負極のうち少なくともいずれか一方の電極
は、下記化2に示すモノマーとフッ素系モノマーとの共
重合体、活物質及び非水電解液を含む電極層が集電体に
担持された構造を有することを特徴とするものである。
【0012】
【化2】
【0013】但し、R,Xは、Hか、あるいは炭化水素
系化合物からなる置換基であり、前記フッ素系モノマー
数をmとした際にn/mは0.2以下である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る薄形電池の一
例を図1を参照して説明する。
【0015】発電要素1は、負極層2が多孔質集電体3
の両面に担持された構造の負極4を備える。2枚の正極
5は、前記負極4の両面に電解質層6を介して積層され
ている。各正極5は、正極層7が多孔質集電体8の両面
に担持された構造を有する。前記負極4の集電体3は、
図1の手前側に位置する部分に帯状の負極端子9を有す
る。また、前記各正極5の集電体8は、前記負極端子9
と重ならないような位置(例えば、図1の奥側に位置す
る部分)に帯状の正極端子10を有する。前記負極端子
9は、帯状の負極リード11に接続されている。一方、
前記2枚の正極端子10は、帯状の正極リード(図示し
ない)に接続されている。このような発電要素1は、水
分や空気等に対してバリア機能を有する外装フィルム1
2により前記正極リード及び前記負極リード11が前記
フィルム12から延出するように被覆されている。前記
フィルム12の開口部は、その内面に配された熱融着性
樹脂を熱融着させることにより封止されている。
【0016】前記薄形電池の正極、負極及び電解質層と
しては、例えば、以下に説明するものを用いることがで
きる。
【0017】(正極)この正極は、正極活物質、非水電
解液、この電解液を保持するバインダ及び下記化3に示
すモノマーとフッ素系モノマーとの共重合体を含む正極
層を多孔質集電体に保持させたものから形成される。
【0018】
【化3】
【0019】但し、下記化3に示すモノマーにおいて、
R,Xは、Hか、あるいは炭化水素系化合物からなる置
換基であり、前記フッ素系モノマー数をmとした際にn
/mは0.2以下である。
【0020】前記正極は、例えば、以下の(1)、
(2)に説明する方法により作製される。
【0021】(1)正極活物質、バインダ、可塑剤、前
述した共重合体及び必要に応じて導電性材料を溶媒の存
在下で混練してペーストを調製し、前記ペーストを製膜
用シートに塗布し、これをスリットに通過させてペース
ト厚さを調節した後、乾燥させ、非水電解液未含浸の正
極層を作製する。得られた非水電解液未含浸の正極層を
集電体に接着することにより正極用素材を作製する。こ
の正極用素材から前記可塑剤を除去した後、非水電解液
を含浸させることにより前記正極を得る。
【0022】(2)正極活物質、バインダ、可塑剤、前
述した共重合体及び導電性材料を溶媒の存在下で混練し
てペーストを調製し、前記ペーストを集電体に塗布し、
これをスリットに通過させてペースト厚さを調節した
後、乾燥させ、必要に応じて加圧成形を施すことにより
正極用素材を作製する。この正極用素材から前記可塑剤
を除去した後、非水電解液を含浸させることにより前記
正極を得る。
【0023】前記共重合体のフッ素系モノマーとして
は、例えば、ビニリデンフロライド、テトラフルオロエ
チレン、ヘキサフルオロプロピレンを挙げることができ
る。下記化4にフッ素系モノマーがビニリデンフロライ
ドである共重合体を、化5にフッ素系モノマーがテトラ
フルオロエチレンである共重合体を、化6にフッ素系モ
ノマーがヘキサフルオロプロピレンである共重合体をそ
れぞれ示す。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】前記共重合体のRは、Hか、あるいは炭化
水素系化合物からなる置換基である。Rの体積が小さい
ほど前記共重合体を含むペーストと集電体との密着性が
高くなる。前記Rとしては、H、CH3 、C2 5 が好
ましい。
【0028】前記共重合体のCOOXにおけるXは、H
か、あるいは炭化水素系化合物からなる置換基である。
前記炭化水素系化合物からなる置換基としては、例え
ば、アルキル基を挙げることができる。アルキル基の炭
素数は1〜5が好ましい。アルキル基の炭素数が5を越
えると、前記共重合体を含むペーストと集電体との密着
性が低下するため、レート特性、放電容量及びサイクル
寿命が低下する恐れがある。ペーストと集電体との密着
性をより向上させる観点から、Xとしては、Hを用いる
のが好ましい。
【0029】フッ素系モノマーと前述した化3に示すモ
ノマーとの共重合比n/mを前記範囲に規定するのは次
のような理由によるものである。共重合比n/mが0.
2を越えると、非水電解液に対する安定性が悪くなるこ
とがある。その結果、充放電サイクルの増加に伴い前記
共重合体の膨潤、溶解が起こりやすくなり、電池寿命が
低下する問題を招く恐れがある。n/mのより好ましい
範囲は、0.05以上、0.2以下である。
【0030】前記正極層の前記共重合体の含有量は、1
〜20重量%の範囲にすることが好ましい。これは次の
ような理由によるものである。前記含有量を1重量%未
満にすると、正極層と集電体との密着性を向上させるこ
とが困難になるため、充放電サイクル特性及び高率放電
特性が低くなる恐れがある。一方、前記含有量が20重
量%を越えると、前記正極層中の活物質量が不足し、放
電容量が低下する恐れがある。また、前記共重合体は絶
縁性を有するため、前記含有量が20重量%を越える
と、前記正極層における導電性が低下し、充放電サイク
ル特性及び高率放電特性を改善することが困難になる恐
れがある。前記含有量のより好ましい範囲は、5〜18
重量%である。
【0031】前記正極活物質としては、種々の酸化物
(例えばLiMn2 4 などのリチウムマンガン複合酸
化物、二酸化マンガン、例えばLiNiO2 などのリチ
ウム含有ニッケル酸化物、例えばLiCoO2 などのリ
チウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバ
ルト酸化物、リチウムを含む非晶質五酸化バナジウムな
ど)や、カルコゲン化合物(例えば、二硫化チタン、二
硫化モリブテンなど)等を挙げることができる。中で
も、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有コバル
ト酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物を用いるのが好
ましい。
【0032】前記非水電解液は、非水溶媒に電解質を溶
解することにより調製される。
【0033】前記非水溶媒としては、エチレンカーボネ
ート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチ
レンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(D
MC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチ
ルカーボネート(EMC)、γ−ブチロラクトン(γ−
BL)、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメト
キシエタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジメチルエ
ーテル、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテ
トラヒドロフラン等を挙げることができる。前記非水溶
媒は、単独で使用しても、2種以上混合して使用しても
良い。
【0034】前記電解質としては、例えば、過塩素酸リ
チウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(L
iPF6 )、ホウ四フッ化リチウム(LiBF4 )、六
フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメ
タンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )等のリチ
ウム塩を挙げることができる。
【0035】前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量
は、0.2mol/l〜2mol/lとすることが望ま
しい。
【0036】前記バインダは、非水電解液を保持する性
質を有する。かかるバインダとしては、例えば、ポリエ
チレンオキサイド誘導体、ポリプロピレンオキサイド誘
導体、前記誘導体を含むポリマー、ポリテトラフルオロ
プロピレン、ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサ
フルオロプロピレン(HFP)との共重合体、ポリビニ
リデンフロライド(PVdF)等を用いることができ
る。中でも、VdF―HFP共重合体が好ましい。
【0037】前記可塑剤としては、バインダとの相溶性
に優れ、電解液未含浸の正極、負極及び電解質層に柔軟
性を付与することができ、成形性向上のためにこれらの
融点を低下させることができ、かつ容易に除去されると
いう4つの性質を有しているものが良い。前記可塑剤と
しては、例えば、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル
酸ジメチル(DMP)、フタル酸ジオクチル(DO
P)、エチルフタリルエチルグリコレート(EPEG)
等を挙げることができる。
【0038】前記正極は、導電性を向上する観点から導
電性材料を含んでいてもよい。前記導電性材料として
は、例えば、人造黒鉛、カーボンブラック(例えばアセ
チレンブラックなど)、ニッケル粉末等を挙げることが
できる。
【0039】前記多孔質集電体及び前記正極端子は、例
えば、アルミニウム製エキスパンドメタル、アルミニウ
ム製メッシュ、アルミニウム製パンチドメタル等から形
成することができる。
【0040】前記正極リードは、例えばアルミニウム箔
から形成することができる。
【0041】なお、本発明の薄形電池は、負極に前述し
た化3に示すモノマーとフッ素系モノマーとの共重合体
を含有させた場合、前記共重合体が無添加の正極を用い
ることを許容する。
【0042】(負極)この負極は、負極活物質、非水電
解液、この電解液を保持するバインダ及び前述した化3
に示すモノマーとフッ素系モノマーとの共重合体を含む
負極層が多孔質集電体に担持されたものから形成され
る。
【0043】前記負極は、例えば、以下の(1)、
(2)に説明する方法により作製される。
【0044】(1)負極活物質、バインダ、可塑剤、前
述した共重合体及び必要に応じて導電性材料を溶媒の存
在下で混練してペーストを調製し、前記ペーストを製膜
用シートに塗布し、これをスリットに通過させてペース
ト厚さを調節した後、乾燥させ、非水電解液未含浸の負
極層を作製する。得られた非水電解液未含浸の負極層を
集電体に接着することにより負極用素材を作製する。こ
の負極用素材から前記可塑剤を除去した後、非水電解液
を含浸させることにより前記負極を得る。
【0045】(2)負極活物質、バインダ、可塑剤、前
述した共重合体及び必要に応じて導電性材料を溶媒の存
在下で混練してペーストを調製し、前記ペーストを集電
体に塗布し、これをスリットに通過させてペースト厚さ
を調節した後、乾燥させ、必要に応じて加圧成形を施す
ことにより負極用素材を作製する。この負極用素材から
前記可塑剤を除去した後、非水電解液を含浸させること
により前記負極を得る。
【0046】前記共重合体としては、前述した正極で説
明したのと同様なものを挙げることができる。
【0047】前記負極層の前記共重合体の含有量は、1
〜20重量%の範囲にすることが好ましい。これは次の
ような理由によるものである。前記含有量を1重量%未
満にすると、負極層と集電体との密着性を向上させるこ
とが困難になるため、充放電サイクル特性及び高率放電
特性が低くなる恐れがある。一方、前記含有量が20重
量%を越えると、前記負極層中の活物質量が不足し、放
電容量が低下する恐れがある。また、前記共重合体は絶
縁性を有するため、前記含有量が20重量%を越える
と、前記負極層における導電性が低下し、充放電サイク
ル特性及び高率放電特性を改善することが困難になる恐
れがある。前記含有量のより好ましい範囲は、5〜18
重量%である。
【0048】前記負極活物質としては、リチウムイオン
を吸蔵・放出する炭素質材料を挙げることができる。か
かる炭素質材料としては、例えば、有機高分子化合物
(例えば、フェノール樹脂、ポリアクリロニトリル、セ
ルロース等)を焼成することにより得られるもの、コー
クスや、メソフェーズピッチを焼成することにより得ら
れるもの、人造グラファイト、天然グラファイト等に代
表される炭素質材料を挙げることができる。中でも、5
00℃〜3000℃の温度で、常圧または減圧下にて前
記メソフェーズピッチを焼成して得られる炭素質材料を
用いるのが好ましい。
【0049】前記非水電解液、バインダ及び可塑剤とし
ては、前述した正極で説明したものと同様なものが用い
られる。
【0050】前記多孔質集電体及び前記端子は、例え
ば、銅製エキスパンドメタル、銅製メッシュ、銅製パン
チドメタル等から形成することができる。
【0051】前記負極リードは、例えば銅箔から形成す
ることができる。
【0052】前記負極は、前記正極で説明したような導
電助剤を含むことができる。
【0053】なお、本発明の薄形電池は、正極に前述し
た化3に示すモノマーとフッ素系モノマーとの共重合体
を含有させた場合、前記共重合体が無添加の負極を用い
ることを許容する。
【0054】(電解質層)この電解質層は、非水電解液
及びこの電解液を保持するバインダを含む。
【0055】前記電解質層は、例えば、以下に説明する
方法で作製される。まず、バインダ及び可塑剤(更に必
要に応じて有機物粒子か、あるいは無機物粒子)を溶媒
の存在下で混練してペーストを調製し、製膜することに
より電解質用素材を作製する。この電解質用素材から前
記可塑剤を除去した後、非水電解液を含浸させることに
より前記電解質層を得る。
【0056】前記非水電解液、バインダ及び可塑剤とし
ては、前述した正極で説明したものと同様なものが用い
られる。
【0057】前記電解質層は、強度を更に向上させる観
点から、有機物粒子、あるいは酸化硅素粉末のような無
機粒子を添加しても良い。
【0058】前述した図1では、正極及び負極の集電体
として多孔質構造のものを用いたが、これに限定され
ず、例えば金属箔を用いることができる。具体的には、
正極集電体にはアルミニウム箔を用いることができ、負
極集電体には銅箔を用いることができる。但し、集電体
として金属箔を用いる場合、集電体の片面に正極層もし
くは負極層を積層し、正極ないし負極を構成する。
【0059】以上詳述したように本発明に係わる薄形電
池によれば、正極及び負極のうち少なくともいずれか一
方の電極は、前述した化3に示すモノマーとフッ素系モ
ノマーとの共重合体、活物質及び非水電解液を含む電極
層が集電体に担持された構造を有する。この共重合体
は、非水電解液に対する安定性が高い。このため、充放
電サイクルの増加に伴う共重合体の膨潤、溶解を防止す
ることができ、優れた電池寿命を確保することができ
る。また、このようにして得られた正極及び負極は、電
極層と集電体との密着性が高く、電極層が集電体から剥
離するのを長期間に亘って抑制することができる。従っ
て、前記正極及び前記負極のうち少なくとも一方の電極
を備えた薄形電池は、レート特性及び寿命特性を維持し
つつ、放電容量を向上することができる。
【0060】また、前記電極層中の前述した化3に示す
モノマーとフッ素系モノマーとの共重合体の含有量を1
〜20重量%にすることによって、レート特性、放電容
量及び寿命特性が更に向上された薄形電池を実現するこ
とができる。
【0061】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を前述した図
面を参照して詳細に説明する。
【0062】<正極用素材Aの作製>活物質として組成
式がLiMn2 4 で表されるリチウムマンガン複合酸
化物を56重量%と、カーボンブラックを5重量%と、
バインダとしてビニリデンフロライド−ヘキサフルオロ
プロピレン(VdF−HFP)の共重合体粉末を17重
量%と、フタル酸ジブチル(DBP)22重量%をアセ
トン中で混合し、ペーストを調製した。調製後のペース
トに前述した化4に示すビニリデンフロライド(VD
F)−アクリル酸(PAA)共重合体(但し、R及びX
はそれぞれHであり、n/mは0.1である)を前述し
た複合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共
重合体及びDBPの配合比を100%として5重量%添
加し、混合して正極ペーストを調製した。
【0063】得られたペーストをポリエチレンテレフタ
レートフィルム(PETフィルム)上に塗布し、これを
スリットに通過させることにより塗布厚さを調節し、乾
燥させ、非水電解液未含浸の正極シートを作製した。得
られた正極シートをアルミニウム製エキスパンドメタル
からなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧着することに
より正極用素材Aを作製した。
【0064】<正極用素材Bの作製>前述したVDF−
PAA共重合体のn/mを0.2にすること以外は、前
述した正極用素材Aと同様にして正極用素材Bを作製し
た。
【0065】<正極用素材Cの作製>前述したVDF−
PAA共重合体のn/mを0.5にすること以外は、前
述した正極用素材Aと同様にして正極用素材Cを作製し
た。
【0066】<負極用素材Aの作製>活物質としてメソ
フェーズピッチ炭素繊維を58重量%と、バインダとし
てVdF−HFPの共重合体粉末を17重量%と、DB
P25重量%をアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。調製後のペーストに前述した正極用素材Aで説明し
たのと同様な種類のVDF−PAA共重合体を前述した
炭素繊維、VdF−HFPの共重合体及びDBPの配合
比を100%として5重量%添加し、混合して負極ペー
ストを調製した。
【0067】得られたペーストをPETフィルム上に塗
布し、これをスリットに通過させることにより塗布厚さ
を調節し、乾燥させ、非水電解液未含浸の負極シートを
作製した。得られた負極シートを銅製エキスパンドメタ
ルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧着すること
により負極用素材Aを作製した。
【0068】<負極用素材Bの作製>前述したVDF−
PAA共重合体のn/mを0.2にすること以外は、前
述した負極用素材Aと同様にして負極用素材Bを作製し
た。
【0069】<負極用素材Cの作製>前述したVDF−
PAA共重合体のn/mを0.5にすること以外は、前
述した負極用素材Aと同様にして負極用素材Cを作製し
た。
【0070】<電解質層用素材の作製>酸化硅素粉末を
33.3重量部と、バインダとしてVdF−HFPの共
重合体粉末を22.2重量部と、DBP44.5重量部
をアセトン中で混合し、ペースト状にした。得られたペ
ーストをTFEフィルム上に塗布し、シート化し、電解
質層用素材を作製した。
【0071】<非水電解液の調製>エチレンカーボネー
ト(EC)とジメチルカーボネート(DMC)が体積比
で2:1の割合で混合された非水溶媒に電解質としての
LiPF6 をその濃度が1mol/lになるように溶解
させて非水電解液を調製した。
【0072】(実施例1)前記正極用素材Bを2枚と前
記負極用素材Cを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意
し、前記正極用素材Bと前記負極用素材Cをその間に前
記電解質層用素材を介在させながら交互に積層し、これ
らを加熱した剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む
積層物を作製した。
【0073】このような積層物をメタノール中に浸漬
し、マグネチックスターラーで攪拌しながら放置した。
この操作をガスクロマトグラフィーによるDBPの濃度
が20ppm以下になるまで繰り返し行うことにより前
記積層物中の可塑剤を除去した。前記積層物を乾燥させ
た後、前記組成の非水電解液を含浸させ、外装フィルム
によって密封することにより、前述した図1に示す構造
を有し、理論容量が110mAhのポリマー電解質二次
電池を製造した。
【0074】(実施例2)前記正極用素材Cを2枚と前
記負極用素材Bを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意
し、前記正極用素材Cと前記負極用素材Bをその間に前
記電解質層用素材を介在させながら交互に積層し、これ
らを加熱した剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む
積層物を作製した。
【0075】このような積層物から前述した実施例1と
同様にして可塑剤を除去し、乾燥させた後、実施例1で
説明したのと同様な組成の非水電解液を含浸させ、外装
フィルムによって密封することにより、前述した図1に
示す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマー電
解質二次電池を製造した。
【0076】(実施例3)前記正極用素材Bを2枚と前
記負極用素材Bを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意
し、前記正極用素材Bと前記負極用素材Bをその間に前
記電解質層用素材を介在させながら交互に積層し、これ
らを加熱した剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む
積層物を作製した。
【0077】このような積層物から前述した実施例1と
同様にして可塑剤を除去し、乾燥させた後、実施例1で
説明したのと同様な組成の非水電解液を含浸させ、外装
フィルムによって密封することにより、前述した図1に
示す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマー電
解質二次電池を製造した。
【0078】(実施例4)前記正極用素材Aを2枚と前
記負極用素材Aを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意
し、前記正極用素材Aと前記負極用素材Aをその間に前
記電解質層用素材を介在させながら交互に積層し、これ
らを加熱した剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む
積層物を作製した。
【0079】このような積層物から前述した実施例1と
同様にして可塑剤を除去し、乾燥させた後、実施例1で
説明したのと同様な組成の非水電解液を含浸させ、外装
フィルムによって密封することにより、前述した図1に
示す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマー電
解質二次電池を製造した。
【0080】(比較例1)前記正極用素材Cを2枚と前
記負極用素材Cを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意
し、前記正極用素材Cと前記負極用素材Cをその間に前
記電解質層用素材を介在させながら交互に積層し、これ
らを加熱した剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む
積層物を作製した。
【0081】このような積層物から前述した実施例1と
同様にして可塑剤を除去し、乾燥させた後、実施例1で
説明したのと同様な組成の非水電解液を含浸させ、外装
フィルムによって密封することにより、前述した図1に
示す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマー電
解質二次電池を製造した。
【0082】(比較例2) <正極用素材Dの作製>活物質として組成式がLiMn
2 4 で表されるリチウムマンガン複合酸化物を56重
量%と、カーボンブラックを5重量%と、バインダとし
てVdF−HFPの共重合体粉末を17重量%と、DB
P22重量%をアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。調製後のペーストにアクリル酸モノマー10重量部
とアクリル酸エステルであるアクリル酸メチル100重
量部からなるアクリル系共重合体を前述した複合酸化
物、カーボンブラック、VdF−HFPの共重合体及び
DBPの配合比を100%として5重量%添加し、混合
して正極ペーストを調製した。
【0083】得られたペーストをPETフィルム上に塗
布し、これをスリットに通過させることにより塗布厚さ
を調節し、乾燥させ、非水電解液未含浸の正極シートを
作製した。得られた正極シートをアルミニウム製エキス
パンドメタルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧
着することにより正極用素材Dを作製した。
【0084】<負極用素材Dの作製>活物質としてメソ
フェーズピッチ炭素繊維を58重量%と、バインダとし
てVdF−HFPの共重合体粉末を17重量%と、DB
P25重量%をアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。調製後のペーストに前述した正極用素材Dで説明し
たのと同様なアクリル系共重合体を前述した炭素繊維、
VdF−HFPの共重合体及びDBPの配合比を100
%として5重量%添加し、混合して負極ペーストを調製
した。
【0085】得られたペーストをPETフィルム上に塗
布し、これをスリットに通過させることにより塗布厚さ
を調節し、乾燥させ、非水電解液未含浸の負極シートを
作製した。得られた負極シートを銅製エキスパンドメタ
ルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧着すること
により負極用素材Dを作製した。
【0086】前記正極用素材Dを2枚と前記負極用素材
Dを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意し、前記正極
用素材Dと前記負極用素材Dをその間に前記電解質層用
素材を介在させながら交互に積層し、これらを加熱した
剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む積層物を作製
した。
【0087】このような積層物から前述した実施例1と
同様にして可塑剤を除去し、乾燥させた後、実施例1で
説明したのと同様な組成の非水電解液を含浸させ、外装
フィルムによって密封することにより、前述した図1に
示す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマー電
解質二次電池を製造した。
【0088】得られた実施例1〜4及び比較例1〜2の
二次電池について、1C(110mAh)の定電流、
4.2Vの定電圧充電、1C(110mAh)の定電流
放電を行う充放電サイクル試験を行い、1サイクル目の
放電容量(初期容量)及び100,200サイクル後の
容量維持率(初期容量に対する)を測定し、その結果を
下記表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】表1から明らかなように、正極及び負極の
うち少なくとも一方の電極がn/mが0.2以下のVD
F−PAA共重合体を含む実施例1〜4の二次電池は、
前記共重合体のn/mが0.2を越える比較例1の二次
電池、及び前記共重合体の代わりにアクリル酸−アクリ
ル酸エステル共重合体を含む比較例2の二次電池に比べ
て放電容量が高く、かつサイクル寿命が長いことがわか
る。
【0091】(実施例5)前記正極用素材AにおけるV
DF−PAA共重合体の添加量を0.5重量%(前述し
た複合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共
重合体及びDBPの配合比を100%とする)にし、か
つ前記負極用素材AにおけるVDF−PAA共重合体の
添加量を0.5重量%(前述した炭素繊維、VdF−H
FPの共重合体及びDBPの配合比を100%とする)
にすること以外は、実施例4と同様なポリマー電解質二
次電池を製造した。
【0092】(実施例6)前記正極用素材AにおけるV
DF−PAA共重合体の添加量を1重量%(前述した複
合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共重合
体及びDBPの配合比を100%とする)にし、かつ前
記負極用素材AにおけるVDF−PAA共重合体の添加
量を1重量%(前述した炭素繊維、VdF−HFPの共
重合体及びDBPの配合比を100%とする)にするこ
と以外は、実施例4と同様なポリマー電解質二次電池を
製造した。
【0093】(実施例7)前記正極用素材AにおけるV
DF−PAA共重合体の添加量を10重量%(前述した
複合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共重
合体及びDBPの配合比を100%とする)にし、かつ
前記負極用素材AにおけるVDF−PAA共重合体の添
加量を10重量%(前述した炭素繊維、VdF−HFP
の共重合体及びDBPの配合比を100%とする)にす
ること以外は、実施例4と同様なポリマー電解質二次電
池を製造した。
【0094】(実施例8)前記正極用素材AにおけるV
DF−PAA共重合体の添加量を20重量%(前述した
複合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共重
合体及びDBPの配合比を100%とする)にし、かつ
前記負極用素材AにおけるVDF−PAA共重合体の添
加量を20重量%(前述した炭素繊維、VdF−HFP
の共重合体及びDBPの配合比を100%とする)にす
ること以外は、実施例4と同様なポリマー電解質二次電
池を製造した。
【0095】(実施例9)前記正極用素材AにおけるV
DF−PAA共重合体の添加量を30重量%(前述した
複合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共重
合体及びDBPの配合比を100%とする)にし、かつ
前記負極用素材AにおけるVDF−PAA共重合体の添
加量を30重量%(前述した炭素繊維、VdF−HFP
の共重合体及びDBPの配合比を100%とする)にす
ること以外は、実施例4と同様なポリマー電解質二次電
池を製造した。
【0096】得られた実施例5〜9の二次電池につい
て、前述したのと同様な条件で充放電サイクル試験を行
い、1サイクル目の放電容量(初期容量)及び100,
200サイクル後の容量維持率(初期容量に対する)を
測定し、その結果を下記表2に示す。なお、表2には実
施例4の結果を併記する。
【0097】
【表2】
【0098】表2から明らかなように、VdF−PAA
共重合体の含有量が1〜20重量%の正負極を備えた実
施例4、6〜8の二次電池は、前記共重合体の含有量が
前記範囲を外れる正負極を備えた実施例5,9の二次電
池に比べて、放電容量及び維持率が高いことがわかる。
【0099】(実施例10) <正極用素材Eの作製>活物質として組成式がLiMn
2 4 で表されるリチウムマンガン複合酸化物を56重
量%と、カーボンブラックを5重量%と、バインダとし
てVdF−HFPの共重合体粉末を17重量%と、DB
P22重量%をアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。調製後のペーストに前述した化5に示すテトラフル
オロエチレン(TFE)−アクリル酸(PAA)共重合
体(但し、R及びXはそれぞれHであり、n/mは0.
1である)を前述した複合酸化物、カーボンブラック、
VdF−HFPの共重合体及びDBPの配合比を100
%として5重量%添加し、混合して正極ペーストを調製
した。
【0100】得られたペーストをPETフィルム上に塗
布し、これをスリットに通過させることにより塗布厚さ
を調節し、乾燥させ、非水電解液未含浸の正極シートを
作製した。得られた正極シートをアルミニウム製エキス
パンドメタルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧
着することにより正極用素材Eを作製した。
【0101】<負極用素材Eの作製>活物質としてメソ
フェーズピッチ炭素繊維を58重量%と、バインダとし
てVdF−HFPの共重合体粉末を17重量%と、DB
P25重量%をアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。調製後のペーストに前述した正極用素材Eで説明し
たのと同様な種類のTFE−PAA共重合体を前述した
炭素繊維、VdF−HFPの共重合体及びDBPの配合
比を100%として5重量%添加し、混合して負極ペー
ストを調製した。
【0102】得られたペーストをPETフィルム上に塗
布し、これをスリットに通過させることにより塗布厚さ
を調節し、乾燥させ、非水電解液未含浸の負極シートを
作製した。得られた負極シートを銅製エキスパンドメタ
ルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧着すること
により負極用素材Eを作製した。
【0103】前記正極用素材Eを2枚と前記負極用素材
Eを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意し、前記正極
用素材Eと前記負極用素材Eをその間に前記電解質層用
素材を介在させながら交互に積層し、これらを加熱した
剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む積層物を作製
した。
【0104】このような積層物から前述した実施例1と
同様にして可塑剤を除去し、乾燥させた後、実施例1で
説明したのと同様な組成の非水電解液を含浸させ、外装
フィルムによって密封することにより、前述した図1に
示す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマー電
解質二次電池を製造した。
【0105】(実施例11)前記正極用素材Eにおける
TFE−PAA共重合体の添加量を10重量%(前述し
た複合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共
重合体及びDBPの配合比を100%とする)にし、か
つ前記負極用素材EにおけるTFE−PAA共重合体の
添加量を10重量%(前述した炭素繊維、VdF−HF
Pの共重合体及びDBPの配合比を100%とする)に
すること以外は、実施例10と同様なポリマー電解質二
次電池を製造した。
【0106】(比較例3)前記正極用素材E及び前記負
極用素材EのTFE−PAA共重合体の共重合比n/m
を0.3にすること以外は、実施例10と同様なポリマ
ー電解質二次電池を製造した。
【0107】得られた実施例10〜11及び比較例3の
二次電池について、前述したのと同様な条件で充放電サ
イクル試験を行い、1サイクル目の放電容量(初期容
量)及び100,200サイクル後の容量維持率(初期
容量に対する)を測定し、その結果を下記表3に示す。
なお、表3には前述した比較例2の結果を併記する。
【0108】
【表3】
【0109】表3から明らかなように、n/mが0.2
以下のTFE−PAA共重合体を含む正極及び負極を備
えた実施例10〜11の二次電池は、比較例2の二次電
池及び前記共重合体のn/mが0.2を越える比較例3
の二次電池に比べて放電容量が高く、かつサイクル寿命
が長いことがわかる。
【0110】(実施例12) <正極用素材Fの作製>活物質として組成式がLiMn
2 4 で表されるリチウムマンガン複合酸化物を56重
量%と、カーボンブラックを5重量%と、バインダとし
てVdF−HFPの共重合体粉末を17重量%と、DB
P22重量%をアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。調製後のペーストに前述した化6に示すヘキサフル
オロプロピレン(HFP)−アクリル酸(PAA)共重
合体(但し、R及びXはそれぞれHであり、n/mは
0.1である)を前述した複合酸化物、カーボンブラッ
ク、VdF−HFPの共重合体及びDBPの配合比を1
00%として5重量%添加し、混合して正極ペーストを
調製した。
【0111】得られたペーストをPETフィルム上に塗
布し、これをスリットに通過させることにより塗布厚さ
を調節し、乾燥させ、非水電解液未含浸の正極シートを
作製した。得られた正極シートをアルミニウム製エキス
パンドメタルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧
着することにより正極用素材Eを作製した。
【0112】<負極用素材Fの作製>活物質としてメソ
フェーズピッチ炭素繊維を58重量%と、バインダとし
てVdF−HFPの共重合体粉末を17重量%と、DB
P25重量%をアセトン中で混合し、ペーストを調製し
た。調製後のペーストに前述した正極用素材Eで説明し
たのと同様な種類のHFP−PAA共重合体を前述した
炭素繊維、VdF−HFPの共重合体及びDBPの配合
比を100%として5重量%添加し、混合して負極ペー
ストを調製した。
【0113】得られたペーストをPETフィルム上に塗
布し、これをスリットに通過させることにより塗布厚さ
を調節し、乾燥させ、非水電解液未含浸の負極シートを
作製した。得られた負極シートを銅製エキスパンドメタ
ルからなる集電体の両面に熱ロールで加熱圧着すること
により負極用素材Fを作製した。
【0114】前記正極用素材Fを2枚と前記負極用素材
Fを1枚と前記電解質層用素材を2枚用意し、前記正極
用素材Fと前記負極用素材Fをその間に前記電解質層用
素材を介在させながら交互に積層し、これらを加熱した
剛性ロールにて加熱圧着し、可塑剤を含む積層物を作製
した。
【0115】このような積層物から前述した実施例1と
同様にして可塑剤を除去し、乾燥させた後、実施例1で
説明したのと同様な組成の非水電解液を含浸させ、外装
フィルムによって密封することにより、前述した図1に
示す構造を有し、理論容量が110mAhのポリマー電
解質二次電池を製造した。
【0116】(実施例13)前記正極用素材Fにおける
HFP−PAA共重合体の添加量を10重量%(前述し
た複合酸化物、カーボンブラック、VdF−HFPの共
重合体及びDBPの配合比を100%とする)にし、か
つ前記負極用素材FにおけるHFP−PAA共重合体の
添加量を10重量%(前述した炭素繊維、VdF−HF
Pの共重合体及びDBPの配合比を100%とする)に
すること以外は、実施例12と同様なポリマー電解質二
次電池を製造した。
【0117】(比較例4)前記正極用素材F及び前記負
極用素材FのHFP−PAA共重合体の共重合比n/m
を0.3にすること以外は、実施例12と同様なポリマ
ー電解質二次電池を製造した。
【0118】得られた実施例12〜13及び比較例4の
二次電池について、前述したのと同様な条件で充放電サ
イクル試験を行い、1サイクル目の放電容量(初期容
量)及び100,200サイクル後の容量維持率(初期
容量に対する)を測定し、その結果を下記表4に示す。
なお、表4には前述した比較例2の結果を併記する。
【0119】
【表4】
【0120】表4から明らかなように、n/mが0.2
以下のHFP−PAA共重合体を含む正極及び負極を備
えた実施例12〜13の二次電池は、比較例2の二次電
池及び前記共重合体のn/mが0.2を越える比較例4
の二次電池に比べて放電容量が高く、かつサイクル寿命
が長いことがわかる。
【0121】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、活
物質を含むペーストと集電体との密着性を確保しつつ、
レート特性及び寿命特性に優れ、かつ放電容量が向上さ
れた薄形電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るポリマー電解質二次電池を示す断
面図。
【符号の説明】
1…発電要素、 4…負極、 5…正極、 6…電解質層、 12…外装フィルム。
フロントページの続き Fターム(参考) 5H003 AA00 AA01 AA02 AA04 AA06 BB11 BB38 BB48 BD03 BD04 5H014 AA02 AA04 EE02 HH01 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AJ11 AK02 AK03 AK05 AL06 AL07 AM01 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ04 DJ07 HJ01 HJ02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極及び負極のうち少なくともいずれか
    一方の電極は、下記化1に示すモノマーとフッ素系モノ
    マーとの共重合体、活物質及び非水電解液を含む電極層
    が集電体に担持された構造を有することを特徴とする薄
    形電池。 【化1】 但し、R,Xは、Hか、あるいは炭化水素系化合物から
    なる置換基であり、前記フッ素系モノマー数をmとした
    際にn/mは0.2以下である。
  2. 【請求項2】 前記電極の前記共重合体の含有量は、1
    〜20重量%であることを特徴とする請求項1記載の薄
    形電池。
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