JP2000064424A - 耐震補強金具 - Google Patents

耐震補強金具

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震、台風等により強い振動が負荷されても
木造建築物が崩壊しないよう、耐震性能をより向上させ
た耐震補強金具を提供する。 【解決手段】 板材を折曲してなり、両片部2a,2b
の中間部に内側に湾曲させた湾曲張出部5a,5bを形
成したL形基材2と、板材を折曲してなり、前記L形基
材2の折曲部に当接される補強部材3と、弾性特性、耐
水性が良好なゴム材料よりなり、前記L形基材2の複数
ヶ所に係止される緩衝部材4とから耐震補強金具1を構
成する。補強部材3をL形基材2に当接させた時、補強
部材3の折曲角部3cとL形基材2の折曲角部2cとの
間に空隙10が生じるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震、台風等によ
り強度の振動が負荷されても木造建築物が崩壊しないよ
うに、土台、柱、桁、梁等の構造材の接合部に取り付け
て補強する耐震補強金具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木造建築物の構造材の接合部を補
強する方法としては、筋違いや火打ち梁を設けたり、か
すがい、L形金具を取り付ける等、種々の方法が採用さ
れていた。しかし、このような従来方法では、地震、台
風等により強度の振動が負荷された場合の補強効果は十
分ではなく、接合部で構造材が簡単に離反したり、破損
したりして、木造建築物が接合部において破壊したり、
酷い場合には、倒壊してしまうこともあった。
【0003】そこで、地震、台風等による強度の振動に
も十分耐え得るものとして、図4に示すような耐震補強
金具51が考案され、使用されている。この耐震補強金
具51は、高張力鋼よりなる板材をL形に折曲するとと
もに、両片部52a,52bの中間部に内側に折曲した
折曲膨出部53a,53bを形成したL形基材52を設
け、このL形基材52の折曲角部52cに高張力鋼より
なる板材を折曲した補強部材54を溶接により固着し、
前記L形基材52の数カ所にゴム等よりなる緩衝部材5
5を係止したものである。これによれば、L形基材52
全体及びその折曲膨出部53a,53bにより垂直、水
平両方向の強い振動を吸収することができ、補強部材5
4によりL形基材52の変形を復元することができるか
ら、強い振動が負荷されても、容易に木造建築物が接合
部において破壊したり、倒壊することがない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記耐震補強
金具51では、両片部52a,52bの中間部を内側に
折曲して平坦な折曲膨出部53a,53bとしてあるの
で、垂直方向の振動、鉛直回りの揺動を吸収する効果は
不十分であった。又、L形基材52に補強部材54を溶
接により固着させ、L形基材52の折曲角部52cと補
強部材54の折曲角部54cとを密着させてあるので、
弾性変形量は小さく、L形基材52の変形を復元する効
果も不十分であった。さらに、補強部材54を固着して
あるので、補強部材54の各部に過大な負荷がかかった
り、応力集中が起生したりして、締結用のボルトが飛ん
だり、補強部材54自身が飛んだり、補強部材54に亀
裂が生じたりした。
【0005】本発明は、かかる問題点を解決すべく為さ
れたものであって、垂直方向の振動、鉛直回りの揺動を
吸収する効果をさらに向上させ、L形基材の変形を復元
する効果をさらに向上させ、しかも、締結用のボルト、
補強部材自身が飛んだり、補強部材に亀裂が生じるのを
極力防止して、地震、台風等により強い振動が負荷され
ても木造建築物が崩壊しないよう、耐震性能をより向上
させた耐震補強金具を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、板材を折曲してなり、両片部の中間部に
内側に湾曲させた湾曲張出部を形成したL形基材と、板
材を折曲してなり、前記L形基材の折曲部に当接される
補強部材と、弾性特性、耐水性が良好なゴム材料よりな
り、前記L形基材の複数ヶ所に係止される緩衝部材とか
ら耐震補強金具を構成したものである。
【0007】さらに、補強部材をL形基材に当接させた
時、補強部材の折曲角部とL形基材の折曲角部との間に
空隙が存在するのを好ましい。
【0008】補強部材の両片部を、補強部材をL形基材
に当接させた時、その両端線が前記湾曲張出部の折曲線
と略同位置に来る長さとすれば、この折曲線により補強
部材の移動が規制され、大きくガタつくことはない。
【0009】前記板材を高張力鋼とすれば、引張り強
さ、溶接性、切欠き靱性、加工性、耐食性に優れ、より
好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の耐震補強金具の好
適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】耐震補強金具1は、図1及び図2に示すよ
うに、L形基材2、補強部材3、緩衝部材4とからな
る。
【0012】L形基材2は、鉄鋼材料よりなる板材を折
曲してL形にしたものであり、両片部2a,2bの中間
部には内側に湾曲させた湾曲張出部5a,5bを形成し
てある。鉄鋼材料としては構造用鋼を採用するのが好ま
しく、特には高張力鋼を採用するのが好ましい。高張力
鋼は、低炭素鋼にマンガン、珪素、ニッケル、クロム、
モリブデン等の合金元素を適当に組み合わせて少量添加
したものであり、一般に引張り強さ50kg/mm2
上、降伏点30kg/mm2 以上で、溶接性、切欠き靱
性、加工性、耐食性に優れたものである。又、両片部2
a,2bの両端部及び折曲角部2cの近傍には挿通孔
6,6を穿設してある。
【0013】補強部材3は、鉄鋼材料よりなる板材を折
曲してL形にしたものであり、両片部3a,3bには長
孔7,7を穿設してある。鉄鋼材料としては、同様に構
造用鋼を採用するのが好ましく、特には高張力鋼を採用
するのが好ましい。両片部3a,3bは、補強部材3を
L形基材2に当接させた時、その両端線8a,8bが湾
曲張出部5a,5bの折曲線9a,9bと略同位置に来
る長さとしてある。又、補強部材3の折曲角部3cの外
面の曲率半径r2 はL形基材2の折曲角部2cの内面の
曲率半径r1 より大としてあり、よって、補強部材3を
L形基材2に当接させた時、補強部材3の折曲角部3c
とL形基材2の折曲角部2cとの間に空隙10が生じる
ようになっている。
【0014】緩衝部材4は、弾性特性、耐水性が良好な
イソプレンゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)等の
ゴム材料よりなり、L形基材2に係止できるように、両
側部を鍵状の係止部4aとしてある。又、中央部に長孔
11を形成してあり、外面には滑り防止のため数条の溝
部12,2,・・・を形成してある。
【0015】本発明の耐震補強金具1は、以上のような
構成であり、以下のように使用することにより、所期の
作用効果を奏する。
【0016】図3に示すように、L形基材2の両片部2
a,2bに係止させた緩衝部材4を土台13及び柱14
の側面に当接させ、挿通孔6,6,・・・、長孔7,
7、長孔11,11,・・・にボルトを挿通し、ナット
により締結して、耐震補強金具1を土台13と柱14の
接合部に取り付ける。
【0017】ここで、L形基材2には湾曲張出部5a,
5bを形成してあり、この湾曲張出部5a,5bは伸縮
変形し易いとともに、捩れ変形もし易いから、垂直方向
の振動、鉛直回りの揺動が負荷されても、この湾曲張出
部5a,5bが弾性変形することにより、これら振動、
揺動を十分に吸収することができる。
【0018】又、補強部材3はL形基材2に固着してお
らず、しかも、補強部材3の折曲角部3cとL形基材2
の折曲角部2cとの間に空隙10を形成したから、L形
基材2が変形する際に補強部材3は別体として大きく弾
性変形し、L形基材2の変形を復元する効果が格段に向
上する。さらに、補強部材3はL形基材2に固着してお
らず、しかも、補強部材3の折曲角部3cとL形基材2
の折曲角部2cとの間に空隙10を形成したから、従来
ほど補強部材3の各部に過大な負荷はかからず、応力集
中も起生し難く、ボルトが飛んだり、補強部材3自身が
飛んだり、補強部材3に亀裂が生じることも殆どない。
【0019】又、補強部材3の両片部3a,3bを、そ
の両端線8a,8bが湾曲張出部5a,5bの折曲線9
a,9bと略同位置に来る長さとしたから、補強部材3
が別体として弾性変形したとしても、この折曲線9a,
9bにより移動が規制され、大きくガタつくことはな
い。
【0020】又、L形基材2に補強部材3を溶接する作
業は不要であるから、耐震補強金具1の製造工程は簡略
化され、製造コストも安価となる。
【0021】上記実施例においては、L形基材2は、1
枚の板材を折曲させて形成したが、折曲させた2枚の板
材を重合、固着させて形成してもよい。かかる構成によ
れば、振動及び揺動を吸収する効果がさらに向上する。
【0022】尚、図3に示すように、梁15と梁16の
接合部にも、上記と同様にして、耐震補強金具1を取り
付けることができ、その他の接合部についても同様に取
り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐震補強金具の斜視図である。
【図2】同・(A)は正面図、(B)は平面図、(C)
は側面図である。
【図3】本発明の耐震補強金具の使用状態図である。
【図4】従来の耐震補強金具の斜視図である。
【符号の説明】
1 耐震補強金具 2 L形基材 2a,2b 片部 2c 折曲角部 3 補強部材 3a,3b 片部 3c 折曲角部 4 緩衝部材 5a,5b 湾曲張出部 8a,8b 端線 9a,9b 折曲線 10 空隙
【手続補正書】
【提出日】平成10年9月1日(1998.9.1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図4】
【図3】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板材を折曲してなり、両片部の中間部に
    内側に湾曲させた湾曲張出部を形成したL形基材と、板
    材を折曲してなり、前記L形基材の折曲部に当接される
    補強部材と、弾性特性、耐水性が良好なゴム材料よりな
    り、前記L形基材の複数ヶ所に係止される緩衝部材とか
    ら構成される耐震補強金具。
  2. 【請求項2】 補強部材をL形基材に当接させた時、補
    強部材の折曲角部とL形基材の折曲角部との間に空隙が
    存在することを特徴とする請求項1に記載の耐震補強金
    具。
  3. 【請求項3】 補強部材の両片部は、補強部材をL形基
    材に当接させた時、その両端線が前記湾曲張出部の折曲
    線と略同位置に来る長さとしたことを特徴とする請求項
    1又は2に記載の耐震補強金具。
  4. 【請求項4】 前記板材は高張力鋼であることを特徴と
    する請求項1乃至3に記載の耐震補強金具。
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