JP2001200592A - 建物の耐震補強金具 - Google Patents

建物の耐震補強金具

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地震、台風等により木造家屋が大きく振動し
ても崩壊することがないように、耐震性能の向上を図っ
た建物の耐震補強金具を提供する。 【解決手段】 耐震補強金具1は、建築構造材に固着す
る一対の金具本体1−1,1−2と該一対の金具本体1
−1,1−2相互間を弾発的に連結する締着具2とから
構成される。金具本体1−1,1−2は、その一端部を
折り曲げた対向片11,11を有し、該一対の金具本体
1−1,1−2の両対向片11,11を、一方の建築構
造材とこれに隣接する他方の建築構造材間で突合わせ配
設し、弾性材23を介在させた締着具2を用いて対向片
11,11同士を弾発的に締着することにより、建築構
造材同士の接合部を耐震補強する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地震、台風等によ
り木造家屋が大きく振動しても崩壊しないように、土
台、柱、梁、桁等の建築構造材の接合部に取付けて補強
することを目的とする建物の耐震補強金具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、木造建築物のトラス構造を有する
構造材の接合部を補強する方法として、筋かいや火打梁
を設けたり、かすがい、L型金具を取付けたりする等の
様々な方法が採用されている。しかし、上記のような補
強方法では、地震、台風等により強度の振動が付加され
た場合に、衝撃が集中する接合部で構造材が離反したり
破損してズレを生じ、復元しなくなるなど補強効果は十
分ではなく、そのために木造建築物が破壊したり倒壊し
たりしてしまう虞れもある。
【0003】例えば、図12に示すような補強金具61
が一般に使用されている。すなわち、この補強金具61
は、高張力鋼よりなる板材をL型アングル状に90゜折
曲してボルト孔を穿設した固定片61a,61bを形成
したものであって、一方の固定片61aをアンカーボル
ト62を用いて土台の角材Xに固定し、他方の固定片6
1bをボルトや釘等の固定手段63により柱Yに固定し
て、土台の角材Xと柱Yとの接合部を補強するものであ
る。
【0004】上記構成の補強金具61では、建築構造材
の接合部に急激な振動が付加された場合に、緩衝の余裕
なく固着されているので概ねこれを吸収して復元させる
機能に欠け、土台の角材Xと固定片61aとの接合部a
−1、或いは、柱Yと固定片61bとの接合部b−1が
離反したり破損してズレを生じたまま復元しなくなる等
の問題を起し易く、補強効果は十分とはいえないもので
あって、木造建築物が破壊したり倒壊したりしてしまう
虞れもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の補強
金具の有する問題点を解決すべくなされたものであっ
て、垂直方向や水平方向の振動、鉛直回りの揺動を吸収
すると共に復元機能を付与せしめて、地震、台風等によ
り木造家屋が大きく振動しても崩壊することがないよう
に、耐震性能の向上を図った建物の耐震補強金具を提供
せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明の耐震補強金具は、建築構造材相互の接合部を
補強する補強金具であって、建築構造材に固着する一対
の金具本体と該一対の金具本体相互間を弾発的に連結す
る締着具とからなり、前記金具本体はその一端部を折り
曲げた対向片を有し、該一対の金具本体の両対向片を、
一方の建築構造材とこれに隣接する他方の建築構造材間
で突合わせ配設し、弾性材を介在させた締着具を用いて
前記対向片同士を弾発的に締着することにより、建築構
造材同士の接合部を耐震補強するように構成されたもの
である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の建物の耐震補強金
具の好適な実施形態について、図面に基づき具体的に説
明する。
【0008】本発明は、建築構造材A−1、A−2相互
の接合部Bを補強する耐震補強金具1において、上記耐
震補強金具1は、建築構造材に固着する二個の金具本体
1−1、1−2と該二個の金具本体1−1、1−2相互
間を弾発的に連結する締着具2とからなり、上記金具本
体1−1、1−2にはその一端部を折り曲げて各々に対
向片11、11が形成され、該二個の金具本体1−1、
1−2の対向片11、11を、一方の建築構造材A−1
とこれに隣接する他方の建築構造材A−2間で突合わせ
配設し、弾性材23を介在させた締着具2を用いて前記
対向片11、11同士を弾発的に締着することにより、
建築構造材A−1、A−2同士の接合部Bを耐震補強す
るようにした構成であることを特徴とするものである。
【0009】そして、上記耐震補強金具1の金具本体1
−1、1−2の裏側に、鋲釘121、122が剣山状に
立設された構成とするか、金具本体1−1、1−2に固
定部材3を挿通する固定孔13が穿設された構成とする
のが好ましい。
【0010】本発明により、金具本体1−1を建築構造
材A−1に固着すると共に金具本体1−2を建築構造材
A−2に固着して、突合わせ配設される対向片11、1
1同士を、弾性材23を介在させた締着具2を用いて締
着しておくことにより、地震や台風等で強度の振動が付
加され、建築構造材A−1、A−2同士の接合部Bに垂
直方向や水平方向、或いは鉛直回りに揺動を生じてもこ
れを吸収し復元する緩衝機能が備わっているので、耐震
性能が向上して木造家屋等の倒壊を未然に防止すること
ができる。
【0011】[実施例1]本例の耐震補強金具1は、図
1に平面図で示す如く、二個の金具本体1−1、1−2
と、該二個の金具本体1−1、1−2の相互間を連結す
る締着具2とからなる。
【0012】金具本体1−1、1−2は、亜鉛メッキ鋼
板、ステンレス鋼板等を材料とし、各々の一端部を90
゜折り曲げて対向片11、11を形成し、該対向片1
1、11には締着具2のボルト21を遊嵌する連結孔1
11が穿設されている。金具本体1−2の対向片11に
は、連結孔111に同芯上に重ねてナット22を一体に
固着してある。また、金具本体1−1、1−2の対向片
11の折れ部には、図3に示されているように、プレス
加工によって裏側から表面側に突出させた凸部112、
112が設けてある。凸部112、112は折れ部を補
強するリブの作用をなすものである。
【0013】図2に示すように、金具本体1−1、1−
2の裏側には多数の鋲釘12を剣山状に立設してある。
この鋲釘12は、図4に示すように、金具本体にZ字形
の切り込み121を入れ、この切り込みで縁取られた部
分の板材を裏側に垂直に折り曲げてなるものである。
【0014】二個の金具本体1−1、1−2の対向片1
1、11相互間を連結する締着具2は、高張力鋼を材料
として、ボルト21、前記対向片11に固着されたナッ
ト22、弾性材23及び締結ナット24から構成されて
いる。弾性材23は、鋼製スプリング形態のもののほ
か、復元弾性機能を有する材料からなるものであれば何
れであってもよい。
【0015】図2及び図6に示す如く、金具本体1−1
と金具本体1−2の対向片11同士を、その連結孔11
1を符合させて突合わせ配置し、一方、締着具2のボル
ト頭部寄りに弾性材23を嵌着しておき、ボルト尾部を
金具本体1−1の対向片11側の連結孔111に通して
金具本体1−2の対向片11側の連結孔111へ挿入
し、金具本体1−2の対向片11に固着されたナット2
2にボルト21を螺合し、さらにボルト21にナット2
4を螺合して金具本体1−1と金具本体1−2間が連結
される。
【0016】そして、図5及び図6に示す如く、金具本
体1−1と金具本体1−2間を、T字状に交差接合して
いる一方の建築構造材A−1に金具本体1−1を当て、
その表側を衝打して建築構造材A−1に金具本体1−1
の鋲釘12をめり込ませ固着した後、或いは同時に、他
方の建築構造材A−2に金具本体1−2を当て、その表
側を衝打して建築構造材A−2に金具本体1−2の鋲釘
12をめり込ませ固着する。
【0017】さらに、建築構造材A−1、A−2間に跨
設した金具本体1−1、1−2間を、弾性材23が嵌着
された締着具2のボルト21とナット22及びナット2
4を締付けることにより、両金具本体が弾発的に締着す
る。ここで、ナット22及びナット24の締付け度合
は、完全に締付けるのではなく弾発付勢の余地を残して
締付けておくことが望ましい。
【0018】[実施例2]本例の耐震補強金具1も、図
7及び図8に示す如く、実施例1と同様に、二個の金具
本体1−1、1−2と、該二個の金具本体1−1、1−
2の相互間を連結する締着具2とからなるが、金具本体
1−1と金具本体1−2とで立設された鋲釘の形態が異
なる。すなわち、金具本体1−1に立設された鋲釘12
1の剣山状表面と金具本体1−2に立設された鋲釘12
2の剣山状表面とは略直交状となっている。
【0019】そして、本例の耐震補強金具1も、図9に
示す如く、実施例1と同様に、金具本体1−1と金具本
体1−2間を、T字状に交差接合している一方の建築構
造材A−1に金具本体1−1を当て、その表側を衝打し
て建築構造材A−1に金具本体1−1の鋲釘121をめ
り込ませ固着した後、或いは同時に、他方の建築構造材
A−2に金具本体1−2を当て、その表側を衝打して建
築構造材A−2に金具本体1−2の鋲釘122をめり込
ませ固着する。
【0020】本例の耐震補強金具1によれば、金具本体
1−1、1−2を建築構造材A−1、A−2の木目に対
応して固着することができるから、鋲釘121、122
を容易に建築構造材A−1、A−2にめり込ませること
ができるとともに、固着状態もより確実となる。
【0021】[実施例3]本例の耐震補強金具1は、金
具本体1−1、1−2の一端部を、図10の形態のもの
は90゜折り曲げて対向片11が各々形成され、また、
図11の形態のものは45゜折り曲げて対向片11が各
々形成されており、そして、各金具本体1−1、1−2
には、固定部材3を挿通する固定孔13が複数個所に穿
設されている。
【0022】そして、実施例1と同様に、二個の金具本
体1−1,1−2の対向片11,11の相互間を連結す
る締着具2は、ボルト21、ナット22及び弾性材であ
るスプリング23とから構成されている。金具本体1−
1と金具本体1−2の対向片11,11を突合わせ配置
した後、締着具2のボルト頭部側にスプリング23を嵌
着し、次いで、ボルト尾部を金具本体1−1の対向片1
1側から金具本体1−2の対向片11へ挿入し、該金具
本体1−2の対向片11側から突出したボルト尾部にナ
ット22を螺着して、金具本体1−1と金具本体1−2
間を連結しておく。
【0023】しかる後、金具本体1−1と金具本体1−
2間を、T字状に交差接合している一方の建築構造材A
−1に金具本体1−1を当て、複数個所に穿設されてい
る固定孔13に、釘等の固定部材3を打ち込んで建築構
造材A−1に金具本体1−1を固着した後、或いは同時
に、他方の建築構造材A−2に金具本体1−2を当て、
同様に固定孔13に釘等の固定部材3を打ち込んで建築
構造材A−2に金具本体1−2を固着する。
【0024】そして、実施例1と同様に、建築構造材A
−1、A−2間に跨設した金具本体1−1,1−2間
を、締着具2のボルト21、ナット22を締付けること
により両金具本体は弾発的に締着される。ナット22に
よる締付け度合は、完全に締付けるのではなく弾発付勢
の余地を残して締付けておく。
【0025】尚、実施例1,2では金具本体1−1,1
−2の裏側に多数の鋲釘12を剣山状に立設し、実施例
3では金具本体1−1,1−2に固定孔13を複数穿設
してあるが、金具本体1−1,1−2の裏側に鋲釘12
を剣山状に立設するとともに、固定孔13を複数穿設し
てもよい。
【0026】本発明により、金具本体1−1を建築構造
材A−1に固着すると共に、金具本体1−2を建築構造
材A−2に固着して、突合わせ配設される対向片11,
11同士間を弾性材23を介在させた締着具2により適
度に締付け締着しておけば、地震や台風等で木造家屋に
強度の振動が付加されて建築構造材A−1、A−2同士
の接合部Bに垂直方向や水平方向、或いは鉛直回りに揺
動を生じてもこれを吸収し復元する緩衝機能が備わって
いるので、耐震性能が向上して家屋の倒壊を未然に防止
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐震補強金具の一実施例の平面図であ
る。
【図2】図1の耐震補強金具の分解縦断面である。
【図3】図1の金具本体の縦断面図である。
【図4】図1の金具本体に形成された鋲釘の構造を示す
図である。
【図5】図1の耐震補強金具の取付状態を示す図であ
る。
【図6】図1の耐震補強金具の取付状態を示す要部側断
面図である。
【図7】本発明の耐震補強金具の他実施例の平面図であ
る。
【図8】図7の耐震補強金具の分解縦断面である。
【図9】図7の耐震補強金具の取付状態を示す図であ
る。
【図10】本発明の耐震補強金具の他実施例の斜視図で
ある。
【図11】本発明の耐震補強金具の他実施例を示す斜視
図である。
【図12】従来の耐震補強金具を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 補強金具 1−1 金具本体 1−2 金具本体 11 対向片 111 連結孔 112 凸部 121 鋲釘 122 鋲釘 13 固定孔 2 締着具 21 ボルト 22 ナット 23 弾性材(スプリング) 24 ナット 3 固定部材 A−1 一方の建築構造材 A−2 他方の建築構造材 B 接合部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 建築構造材相互の接合部を補強する耐震
    補強金具において、前記耐震補強金具は、建築構造材の
    表面に固着する一対の金具本体と該一対の金具本体相互
    間を弾発的に連結する締着具とからなり、前記金具本体
    はその一端部を折り曲げた対向片を有し、該一対の金具
    本体の両対向片を、一方の建築構造材とこれに隣接する
    他方の建築構造材間で突合わせ配設し、弾性材を介在さ
    せた締着具を用いて前記対向片同士を弾発的に締着する
    ことにより、建築構造材同士の接合部を耐震補強するよ
    うに構成された建物の耐震補強金具。
  2. 【請求項2】 耐震補強金具の金具本体の裏側に鋲釘が
    剣山状に立設された構成を有する請求項1記載の建物の
    耐震補強金具。
  3. 【請求項3】 耐震補強金具の金具本体に固定部材を挿
    通する固定孔が穿設されている構成を有する請求項1記
    載の建物の耐震補強金具。
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