JP2000064327A - 構造物の免震構造 - Google Patents

構造物の免震構造

Info

Publication number
JP2000064327A
JP2000064327A JP10237114A JP23711498A JP2000064327A JP 2000064327 A JP2000064327 A JP 2000064327A JP 10237114 A JP10237114 A JP 10237114A JP 23711498 A JP23711498 A JP 23711498A JP 2000064327 A JP2000064327 A JP 2000064327A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
earth pressure
dynamic
dynamic earth
soil pressure
support
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10237114A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadao Koide
忠男 小出
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Obayashi Corp
Original Assignee
Obayashi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Obayashi Corp filed Critical Obayashi Corp
Priority to JP10237114A priority Critical patent/JP2000064327A/ja
Publication of JP2000064327A publication Critical patent/JP2000064327A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】周辺地盤の崩落や地盤沈下あるいは緩衝材の経
年劣化といった弊害を未然に防止しつつ、緩衝領域によ
る地震エネルギー吸収を長期間維持する。 【構成】本発明に係る構造物の免震構造は、構造物1の
地下埋設部分である地下外壁2及び杭7と周辺地盤3と
の間に動土圧緩衝領域4を設け、該動土圧緩衝領域を、
周辺地盤3からの土圧を支持する支持体5と、該支持体
の内側に配置された動土圧緩衝材6とで構成してある。
支持体5は、常時の静土圧や中小地震時の動土圧に対し
てはこれを支持するとともに、一定規模以上の地震に対
してはその動土圧によって破壊される程度の低強度とな
るよう構成する。動土圧緩衝材6は、空気8とともに非
伸縮性の袋体9内に充填された状態で支持体5の内側に
配置してあり、支持体5が破壊されて動土圧が直接作用
したとき、動土圧緩衝材6が袋体9内で流動する際の粘
性減衰でその動土圧を吸収できるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地下埋設部分を有
する構造物の免震構造に関する。
【0002】
【従来の技術】構造物は、その規模や支持地盤の強度に
応じて、直接基礎、杭基礎等からその基礎形式が適宜選
択され、杭基礎であれば杭が地下に埋設されることとな
るが、直接基礎であっても、一定規模以上の構造物であ
れば表層部分より下方にある良質な支持地盤に構築され
るため、やはり地下外壁を有することが多い。
【0003】このような地下外壁や杭といった構造物の
地下埋設部分には、地震時に周辺地盤との動的相互作用
に基づく動土圧が作用するため、これを設計するにあた
っては、動土圧に対する十分な耐震余裕を見込む必要が
あるが、予想に反する巨大地震に見舞われた場合、地震
時における動土圧が設計外力よりも過度に大きくなり、
構造物の地下埋設部分が不測の損傷を受けるおそれがあ
る。特に、下水処理場などは、河川に近いことが要求さ
れる関係上、どうしても軟弱地盤に立地せざるを得ない
が、かかる軟弱地盤では、地盤の地下構造が複雑である
ことが多く、地下埋設部分に作用する動土圧を設計段階
で的確に把握するには精度的に限度がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況下にお
いて、構造物と周辺地盤との間に緩衝領域を設けて地震
時の動土圧を吸収させようとする考え方がある。
【0005】しかしながら、埋め戻し土や軟弱土で構成
された立地では、地下埋設部分の周囲に単に緩衝領域を
設けるだけだと、常時の静土圧によってあるいは中小地
震の動土圧によって緩衝領域との境界である地盤側壁が
緩衝領域側に崩落して周辺地盤の沈下を招いたり、緩衝
領域に配置した緩衝材が常時の静土圧等で圧縮硬化して
変形吸収能力が経年的に劣化し、いざ巨大地震がきたと
きにその緩衝作用が発揮されないという問題を生じてい
た。
【0006】本発明は、上述した事情を考慮してなされ
たもので、周辺地盤の崩落や地盤沈下あるいは緩衝材の
経年劣化といった弊害を未然に防止しつつ、緩衝領域に
よる地震時エネルギーの吸収作用を長期間維持すること
が可能な構造物の免震構造を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明に係る構造物の免震構造は請求項1に記載し
たように、構造物の地下埋設部分と周辺地盤との間に動
土圧緩衝領域を設け、該動土圧緩衝領域を、前記周辺地
盤からの土圧を支持する支持体と、該支持体の内側に配
置された動土圧緩衝材とで構成したものである。
【0008】また、本発明に係る構造物の免震構造は、
前記動土圧緩衝材を所定の気体とともに袋体内に充填さ
れた状態で前記支持体の内側に配置したものである。
【0009】また、本発明に係る構造物の免震構造は、
前記動土圧緩衝材を伸縮性の袋体内に充填された状態で
前記支持体の内側に配置したものである。
【0010】本発明に係る構造物の免震構造において
は、構造物の地下埋設部分と周辺地盤との間に動土圧緩
衝領域を設けてあるが、かかる動土圧緩衝領域は、周辺
地盤からの土圧を支持する支持体と、該支持体の内側に
配置された動土圧緩衝材とから構成してあるので、常時
や中小地震の際には、その静土圧や比較的小さな動土圧
がほとんど支持体だけで支持され、動土圧緩衝材へは土
圧の作用が最小限にとどまるとともに、巨大地震の際に
は、大きな動土圧によって支持体が破壊され、内側に配
置された動土圧緩衝材にその動土圧が直接作用する。
【0011】したがって、常時や中小地震の際には、支
持体によって周辺地盤の崩落や地盤沈下が防止されると
ともに、静土圧等による動土圧緩衝材のエネルギー吸収
性能の経年劣化、例えばゴム系の動土圧緩衝材を採用し
たときの圧縮硬化や発泡系材料の動土圧緩衝材を採用し
たときの破砕が未然に防止される。また、巨大地震の際
には、大きな動土圧が支持体内側の動土圧緩衝材に直接
作用して地震エネルギーが吸収されるので、構造物への
地震入力が低減するとともに、構造物の振動がかかる動
土圧緩衝材によって減衰作用を受け、該振動は速やかに
収斂する。
【0012】動土圧緩衝領域は、構造物の地下埋設部
分、すなわち地下外壁や杭の周囲に点在する形であるい
は連続的に取り囲む形で設けることが考えられるが、そ
の配置の仕方は任意である。また、地下埋設部分に接す
るように設けてもよいし、該地下埋設部分から離隔させ
た状態で設けるようにしてもよい。なお、地下埋設部分
は、高層建築物のように一部が埋設される場合のみなら
ず、LNG地下タンクや貯水ピットのようにほとんどあ
るいは完全に埋設される場合をも含む。
【0013】支持体は、静土圧や中小地震時の動土圧に
対してはこれを支持する一方、一定規模以上の地震に対
してはその動土圧によって破壊される程度の低強度であ
る必要があるが、それを満たすのであれば構造や材質は
問わない。例えば、コンクリートやモルタルからなる数
cm厚程度の中空円筒体で構成することが考えられる。
なお、静土圧や中小地震時の動土圧を支持する際、支持
体に生ずる応力−ひずみ関係が必ずしも弾性範囲である
必要はなく、破壊に至らない限り、降伏点を越えてひび
割れが生じてもかまわない。
【0014】動土圧緩衝材は、支持体が破壊された状態
で動土圧が直接作用したときにその動土圧を吸収するこ
とで構造物への地震入力を低減できるものであれば材質
や吸収原理は任意である。例えば、動土圧を吸収する原
理で考えると、摩擦減衰、履歴減衰、粘性減衰等に大別
されるが、摩擦減衰によって動土圧を吸収可能な構成と
しては、例えば砂利や砂あるいは砕石などが考えられ
る。また、履歴減衰で動土圧を吸収可能な構成として
は、弾塑性ゴム、粘土、薄鋼板などが考えられる。さら
に、粘性減衰で動土圧を吸収可能な構成としては、粘性
ダンパで使用されるシリコン系材料のほか、高分子系材
料あるいは泥水等のコロイド溶液が考えられる。また、
上記以外の原理によるものとして、破砕によってエネル
ギー吸収を行うものも採用することが可能であり、具体
的には、発泡スチロール、発泡ウレタンといった発泡系
材料が挙げられる。なお、かかる動土圧緩衝材に静土圧
や中小地震時の動土圧を全く作用させないようにしても
かまわないが、長期にわたる変形吸収能が低下しない範
囲で、静土圧等の一部を動土圧緩衝材で一部負担させる
ようにすれば、支持体の断面が小さくて済む。なお、動
土圧緩衝材が溶液系のものであれば、その液圧で静土圧
の一部を負担することとなる。
【0015】ここで、かかる動土圧緩衝材を所定の気体
とともに袋体内に充填された状態で前記支持体の内側に
配置したならば、地盤への逸散による流出や空気との接
触による機能劣化が未然に防止されるとともに、交換等
のメンテナンスを容易に行うことができる。なお、動土
圧緩衝材の摩擦減衰、履歴減衰、粘性減衰、破砕による
減衰等が発揮されるためには、該動土圧緩衝材が袋体内
で自由に移動、変形、流動ないしは破砕することが必要
となるが、袋体には動土圧緩衝材とともに気体を入れて
あり、かかる気体が、動土圧緩衝材の移動等を可能にす
るための空間として機能する。なお、気体としては空気
が考えられるが、動土圧緩衝材の含有成分と酸素あるい
は二酸化炭素との反応による機能劣化が懸念されるので
あれば、例えば化学的に安定な窒素ガスを使用すればよ
い。
【0016】また、かかる動土圧緩衝材を伸縮性の袋体
内に充填された状態で前記支持体の内側に配置したなら
ば、地盤への逸散による流出や空気との接触による機能
劣化が未然に防止されるとともに、交換等のメンテナン
スを容易に行うことができる。また、袋体が伸縮性であ
るため、動土圧緩衝材が袋体内で自由に移動、変形、流
動ないしは破砕し、その摩擦減衰、履歴減衰、粘性減衰
等が妨げられるおそれはない。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る構造物の免震
構造の実施の形態について、添付図面を参照して説明す
る。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0018】(第1実施形態)
【0019】図1は、本実施形態に係る構造物の免震構
造を示した図である。同図でわかるように、本実施形態
に係る構造物の免震構造は、構造物1の地下埋設部分で
ある地下外壁2及び杭7と周辺地盤3との間に動土圧緩
衝領域4を設け、該動土圧緩衝領域を、周辺地盤3から
の土圧を支持する支持体5と、該支持体の内側に配置さ
れた動土圧緩衝材6とで構成してある。
【0020】支持体5は、図2の水平断面図でよくわか
るように、地下外壁2及び杭7を取り囲むように設けて
ある。かかる支持体5は、常時の静土圧や中小地震時の
動土圧に対してはこれを支持するとともに、一定規模以
上の地震に対してはその動土圧によって破壊される程度
の低強度となるよう、例えばモルタルやコンクリートか
らなる厚さ数cm程度の壁体で構成する。
【0021】一方、動土圧緩衝材6は、空気8とともに
ゴム、ビニール等で形成された袋体9内に充填された状
態で支持体5の内側に配置してあり、支持体5が破壊さ
れて動土圧が作用したとき、動土圧緩衝材6が袋体9内
で流動する際の粘性減衰でその動土圧を吸収できるよう
に構成する。
【0022】なお、袋体9内には空気8を残してあるの
で、動土圧緩衝材6は自由に流動するとともに、動土圧
による圧縮作用を受けても空気8がその収縮作用によっ
て袋体9内の容積減少を吸収するので、動土圧緩衝材6
の粘性減衰作用には何の支障もない。
【0023】また、動土圧緩衝材6の液圧が袋体9を介
して支持体5の側面に作用してその背面土圧を一部負担
するので、支持体5の断面は比較的小さくて済む。
【0024】動土圧緩衝材6としては、例えばベントナ
イト溶液を主体とし、分散剤が適宜添加された泥水を使
用することができる。かかる泥水は、孔壁安定として利
用される泥水とは異なり、粘性ができるだけ高くなるよ
うに所定の添加剤を入れておくのがよい。
【0025】本実施形態に係る構造物の免震構造を構築
するには、まず、構造物1の地下埋設部分2及び杭7を
取り囲むようにして支持体5を構築する。支持体5を構
築するにあたっては、例えば薄型止水壁の構築工法を利
用すればよい。
【0026】次に、支持体5を土留め壁として利用しな
がら、地下埋設部分2との間を溝状に掘り下げていく。
この際、必要に応じて安定液を溝内に注入し、支持体5
の背面に作用する土圧を安定液の液圧で一部負担させる
ようにすれば、施工途中における支持体5の損傷を未然
に防止することができる。
【0027】地下埋設部分2と支持体5との間を溝状に
掘削できたならば、その溝内に空気8及び動土圧緩衝材
6が内部に充填された袋体9を挿入する。ここで、安定
液を使用した場合においては、かかる段階で安定液がま
だ溝内に満たされているので、袋体9を吊り降ろしつつ
安定液を徐々に揚水すればよい。また、袋体9を吊り降
ろす段階では、安定液内にスムーズに沈み込む程度に動
土圧緩衝材6を充填しておけば足り、完全に吊り降ろし
た後で残りの動土圧緩衝材6を補充し、次いで、空気8
が残るようにして袋体9を溶着等によって完全に密閉す
ればよい。
【0028】支持体5と地下埋設部分2との間に袋体9
が挿入されたならば、最後に落下防止用蓋10を取り付
けて施工を完了する。
【0029】本実施形態に係る構造物の免震構造におい
ては、構造物1の地下埋設部分である地下外壁2及び杭
7と周辺地盤3との間に動土圧緩衝領域4を設けてある
が、かかる動土圧緩衝領域は、周辺地盤3からの土圧を
支持する支持体5と、該支持体の内側に配置された動土
圧緩衝材6とから構成してあるので、常時や中小地震の
際には、その静土圧や比較的小さな動土圧がほとんど支
持体5だけで支持され、動土圧緩衝材6へは土圧の作用
が最小限にとどまるとともに、巨大地震の際には、大き
な動土圧によって支持体5が破壊され、内側に配置され
た動土圧緩衝材6にその動土圧が袋体9を介して直接作
用する。
【0030】したがって、常時や中小地震の際には、支
持体5によって周辺地盤3の崩落や地盤沈下が防止され
る。また、巨大地震の際には、大きな動土圧が支持体5
内側の動土圧緩衝材6に直接作用するが、その際、動土
圧緩衝材6が袋体9内で自由に流動するとともに、それ
に伴って粘性減衰が発揮されるので、結局、周辺地盤3
からの地震エネルギーは、繰り返し作用する動土圧を動
土圧緩衝材6の粘性減衰に変化させる形で吸収されるこ
ととなり、構造物1への地震入力が低減するとともに、
構造物1の振動がかかる動土圧緩衝材6によって粘性減
衰の作用を受け、該振動は速やかに収斂する。
【0031】なお、動土圧緩衝材6は、袋体9に入れて
あるため、流出や空気接触による粘性劣化は長期間防止
されるが、何らかの理由で交換が必要になった場合に
は、地下外壁2と支持体5との間から袋体9を取り出
し、次いで、上述したと同様の手順で新しい動土圧緩衝
材6を吊り降ろせばよい。袋体9の取り出しにあたって
は、内部に動土圧緩衝材6が満たされた状態のまま吊り
上げるか、内部の動土圧緩衝材6を揚水して空にしてか
ら吊り上げるかのいずれかの方法を選択可能であり、吊
り上げ作業の際は、溝内に注水して背面土圧による支持
体5の損傷防止を図るようにするのがよい。
【0032】以上説明したように、本実施形態に係る構
造物の免震構造によれば、常時や中小地震の際には、支
持体5によって周辺地盤3の崩落や地盤沈下が防止され
るとともに、巨大地震の際には、大きな動土圧が支持体
5を破壊して内側に配置された動土圧緩衝材6に直接作
用し、地震エネルギーを吸収することができる。
【0033】したがって、構造物1への地震入力を低減
して該構造物の損傷を回避することが可能となるととも
に、構造物1の振動が動土圧緩衝材6によって減衰作用
を受けるので、該振動を速やかに収斂させることも可能
となる。また、支持体5によって周辺地盤3の崩落が防
止される結果、従来のように周辺地盤を法面形成してお
く必要もなくなり、構造物1の周囲にわずかなスペース
があれば構築が可能となる。
【0034】また、本実施形態に係る構造物の免震構造
によれば、動土圧緩衝材6を空気とともに袋体9内に充
填された状態で支持体5の内側に配置したので、地盤へ
の逸散による流出や空気との接触による機能劣化が未然
に防止されるとともに、交換等のメンテナンスを容易に
行うことが可能となる。
【0035】本実施形態では、構造物1の地下外壁2に
接するようにして動土圧緩衝領域4を設けたが、これに
代えて該地下外壁から離隔した状態で動土圧緩衝領域を
設けるようにしてもよいし、本実施形態のように必ずし
も動土圧緩衝領域4を溝状に形成する必要もない。
【0036】図3、図4は、かかる変形例を示したもの
である。同図に示した構造物の免震構造も上述の実施形
態と同様、構造物1の地下埋設部分である地下外壁2及
び杭7と周辺地盤3との間に動土圧緩衝領域4aを設
け、該動土圧緩衝領域を、周辺地盤3からの土圧を支持
する支持体5aと、該支持体の内側に配置された動土圧
緩衝材6とで構成してあるが、本変形例では、動土圧緩
衝領域4aを中空円筒状の支持体5aの内部に動土圧緩
衝材6を配置し、これを構造物1から離隔させた状態で
該構造物の周囲に多数柱状に点在させた点が上述の実施
形態と異なる。ここで、動土圧緩衝材6は、上述の実施
形態と同様、空気8とともに袋体9内に充填された状態
で支持体5aの内側に配置してある。
【0037】かかる構成においても、上述したと同様の
作用効果を得ることができる。なお、その他の構成や構
築方法並びに作用効果については、上述の実施形態とほ
ぼ同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0038】また、本実施形態では、袋体9の内部に空
気8を残すことによって動土圧緩衝材6の自由流動を確
保するとともに、動土圧の圧縮による袋体の容積減少を
吸収するようにしたが、かかる袋体9に代えて、図5に
示すような伸縮性の袋体9bを使用するようにしてもよ
い。
【0039】かかる構成においては、袋体9bが伸縮す
るので、空気8を入れておかなくとも、動土圧緩衝材6
が袋体9b内で自由に流動するとともに、動土圧の圧縮
作用があっても、袋体9bが伸びることで該圧縮を吸収
するので、動土圧緩衝材6の粘性減衰作用が妨げられる
おそれはない。なお、その他の構成や構築方法並びに作
用効果については、上述の実施形態とほぼ同様であるの
で、ここではその説明を省略する。
【0040】また、本実施形態では、構造物1として通
常の建物を想定したが、本発明は、免震が必要となるす
べての構造物に適用することが可能である。例えば、図
6に示すような井筒基礎11に適用してもよい。
【0041】すなわち、同図に示す変形例では、構造物
としての井筒基礎11と周辺地盤3との間に動土圧緩衝
領域4bを設けてあり、該動土圧緩衝領域は、井筒基礎
11を取り囲むように地中に構築された中空円筒状の支
持体5bと、該支持体の内側に配置された動土圧緩衝材
6で構成してある。そして、動土圧緩衝材6は、上述の
実施形態と同様、空気8とともに袋体9に充填した状態
で支持体5bの内側に配置してある。
【0042】本変形例においても、上述したと同様の作
用効果を得ることができるが、その説明については、前
述の記載と重複するのでここでは省略する。
【0043】(第2実施形態)
【0044】次に、第2実施形態について説明する。な
お、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については
同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】図7は、本実施形態に係る構造物の免震構
造を示した鉛直断面図である。同図でわかるように、本
実施形態に係る構造物の免震構造も上述の実施形態と同
様、構造物1の地下埋設部分である地下外壁2及び杭7
と周辺地盤3との間に動土圧緩衝領域22を設け、該動
土圧緩衝領域を、周辺地盤3からの土圧を支持する支持
体5と、該支持体の内側に配置された動土圧緩衝材21
とで構成してあるが、本実施形態では、動土圧緩衝材2
1を発泡スチロール板で構成してあり、これを地下外壁
2と支持体5との間に積層した点が上述の実施形態とは
異なる。
【0046】ここで、動土圧緩衝材21は、支持体5が
破壊されて動土圧が直接作用したとき、それが破砕する
ことによってその動土圧を吸収できるように構成してあ
る。なお、対象とする動土圧の大きさによって動土圧緩
衝材21の厚みを適宜調整するとともに、場合によって
は、同図のようにそのまま積み上げるのではなく、スペ
ーサ等を適宜使用することによって、動土圧緩衝材21
同士を上下方向に離隔配置することも考えられる。
【0047】支持体5については、上述の実施形態とほ
ぼ同様であるので、ここではその説明を省略するが、本
実施形態においては、静土圧や中小地震時の動土圧をで
きるだけ支持体5だけで支持するようにし、動土圧緩衝
材21に作用する力は最小限にとどめるのが望ましい。
ただし、この場合にも、破砕によるエネルギー吸収能が
経年劣化しない範囲で、静土圧等の一部を動土圧緩衝材
21で一部負担させるようにすれば、支持体の断面を少
しでも小さくできることは言うまでもない。
【0048】本実施形態に係る構造物の免震構造を構築
するには、第1実施形態と同様、まず、構造物1の地下
埋設部分2及び杭7を取り囲むようにして支持体5を構
築し、次いで、支持体5を土留め壁として利用しなが
ら、地下埋設部分2との間を溝状に掘り下げる。
【0049】地下埋設部分2と支持体5との間を溝状に
掘削できたならば、その溝内に動土圧緩衝材21を順次
積み上げていく。
【0050】本実施形態に係る構造物の免震構造におい
ては、構造物1の地下埋設部分である地下外壁2及び杭
7と周辺地盤3との間に動土圧緩衝領域22を設けてあ
るが、かかる動土圧緩衝領域は、周辺地盤3からの土圧
を支持する支持体5と、該支持体の内側に配置された動
土圧緩衝材21とから構成してあるので、常時や中小地
震の際には、その静土圧や比較的小さな動土圧がほとん
ど支持体5だけで支持され、動土圧緩衝材21へは土圧
の作用が最小限にとどまるとともに、巨大地震の際に
は、大きな動土圧によって支持体5が破壊され、内側に
配置された動土圧緩衝材21にその動土圧が直接作用す
る。
【0051】したがって、常時や中小地震の際には、支
持体5によって周辺地盤3の崩落や地盤沈下が防止され
る。また、巨大地震の際には、大きな動土圧が支持体5
内側の動土圧緩衝材21に直接作用するが、その際、動
土圧緩衝材21がバラバラに破砕するので、結局、周辺
地盤3からの地震エネルギーは、繰り返し作用する動土
圧を動土圧緩衝材21の破砕エネルギーに変化させる形
で吸収されることとなり、構造物1への地震入力が低減
するとともに、構造物1の振動エネルギーが動土圧緩衝
材21の破砕によって吸収され、その揺れは速やかに収
斂する。
【0052】以上説明したように、本実施形態に係る構
造物の免震構造によれば、常時や中小地震の際には、支
持体5によって周辺地盤3の崩落や地盤沈下を防止する
とともに動土圧緩衝材21のエネルギー吸収性能の経年
劣化、例えば巨大地震がくる前に中小地震で破砕してし
まうといった事態を未然に防止する一方、巨大地震の際
には、大きな動土圧が動土圧緩衝材21に直接作用して
地震エネルギーを吸収することができる。
【0053】したがって、構造物1への地震入力を低減
して該構造物の損傷を回避することが可能となるととも
に、構造物1の振動が動土圧緩衝材21によって減衰作
用を受けるので、該振動を速やかに収斂させることも可
能となる。また、支持体5によって周辺地盤3の崩落が
防止される結果、従来のように周辺地盤を法面形成して
おく必要もなくなり、構造物1周囲にわずかなスペース
があれば構築が可能となる。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る本発
明の構造物の免震構造によれば、常時や中小地震の際に
は、支持体によって周辺地盤の崩落や地盤沈下が防止さ
れるとともに、巨大地震の際には、大きな動土圧が支持
体を破壊して内側に配置された動土圧緩衝材に直接作用
し、地震エネルギーが吸収される。したがって、構造物
への地震入力を低減して該構造物の損傷を回避すること
ができるとともに、構造物の振動が動土圧緩衝材によっ
て減衰作用を受けるので、該振動を速やかに収斂させる
ことも可能となる。
【0055】また、請求項2、請求項3に係る本発明の
構造物の免震構造によれば、地盤への逸散による流出や
空気との接触による機能劣化が未然に防止されるととも
に、交換等のメンテナンスを容易に行うことが可能とな
るという効果も奏する。
【0056】
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る構造物の免震構造の図であ
り、(a)は鉛直断面図、(b)はA−A線に沿う水平詳細断
面図。
【図2】第1実施形態に係る構造物の免震構造の水平断
面図。
【図3】変形例に係る構造物の免震構造の図であり、
(a)は鉛直断面図、(b)はB−B線に沿う水平詳細断面
図。
【図4】変形例に係る構造物の免震構造の水平断面図。
【図5】変形例に係る構造物の免震構造の鉛直断面図。
【図6】変形例に係る構造物の免震構造の図であり、
(a)は鉛直断面図、(b)はC−C線に沿う水平断面図。
【図7】第2実施形態に係る構造物の免震構造の鉛直断
面図。
【符号の説明】
1 構造物 2 地下外壁(地下埋設部
分) 3 周辺地盤 4、4a、4b 動土圧緩衝領域 5、5a、5b 支持体 6 動土圧緩衝材 7 杭(地下埋設部分) 8 空気(気体) 9 袋体 9b 伸縮性の袋体 11 井筒基礎(構造物) 21 動土圧緩衝材 22 動土圧緩衝領域

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造物の地下埋設部分と周辺地盤との間
    に動土圧緩衝領域を設け、該動土圧緩衝領域を、前記周
    辺地盤からの土圧を支持する支持体と、該支持体の内側
    に配置された動土圧緩衝材とで構成したことを特徴とす
    る構造物の免震構造。
  2. 【請求項2】 前記動土圧緩衝材を所定の気体とともに
    袋体内に充填された状態で前記支持体の内側に配置した
    請求項1記載の構造物の免震構造。
  3. 【請求項3】 前記動土圧緩衝材を伸縮性の袋体内に充
    填された状態で前記支持体の内側に配置した請求項1記
    載の構造物の免震構造。
JP10237114A 1998-08-24 1998-08-24 構造物の免震構造 Pending JP2000064327A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10237114A JP2000064327A (ja) 1998-08-24 1998-08-24 構造物の免震構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10237114A JP2000064327A (ja) 1998-08-24 1998-08-24 構造物の免震構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000064327A true JP2000064327A (ja) 2000-02-29

Family

ID=17010628

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10237114A Pending JP2000064327A (ja) 1998-08-24 1998-08-24 構造物の免震構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000064327A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104179200A (zh) * 2014-08-22 2014-12-03 金陵科技学院 一种地下结构减震体系及其施工方法
CN106382049A (zh) * 2016-11-24 2017-02-08 国网河南省电力公司平顶山供电公司 抗震电杆
CN106978780A (zh) * 2017-05-08 2017-07-25 四川恒晟捷科技有限责任公司 一种桥墩防护装置
CN111851472A (zh) * 2020-07-31 2020-10-30 金华市诚真膜结构工程有限公司 一种预见式混凝土预制方桩
CN112343082A (zh) * 2019-08-09 2021-02-09 张继红 一种地下工程穿越过程中被保护对象位移实时控制方法
CN112523268A (zh) * 2020-11-04 2021-03-19 上海建工二建集团有限公司 沥青囊袋隔震桩及其施工方法
CN115897675A (zh) * 2022-05-05 2023-04-04 青岛理工大学 一种气囊预加载模拟足尺静压桩沉桩过程装置及其试验方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104179200A (zh) * 2014-08-22 2014-12-03 金陵科技学院 一种地下结构减震体系及其施工方法
CN104179200B (zh) * 2014-08-22 2016-05-25 金陵科技学院 一种地下结构减震体系及其施工方法
CN106382049A (zh) * 2016-11-24 2017-02-08 国网河南省电力公司平顶山供电公司 抗震电杆
CN106978780A (zh) * 2017-05-08 2017-07-25 四川恒晟捷科技有限责任公司 一种桥墩防护装置
CN106978780B (zh) * 2017-05-08 2019-04-16 四川恒晟捷科技有限责任公司 一种桥墩防护装置
CN112343082A (zh) * 2019-08-09 2021-02-09 张继红 一种地下工程穿越过程中被保护对象位移实时控制方法
CN111851472A (zh) * 2020-07-31 2020-10-30 金华市诚真膜结构工程有限公司 一种预见式混凝土预制方桩
CN112523268A (zh) * 2020-11-04 2021-03-19 上海建工二建集团有限公司 沥青囊袋隔震桩及其施工方法
CN115897675A (zh) * 2022-05-05 2023-04-04 青岛理工大学 一种气囊预加载模拟足尺静压桩沉桩过程装置及其试验方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4098777B2 (ja) 基礎土壌の液状化の可能性を低減する方法
JP2000064790A (ja) シールドトンネルの免震構造及びその構築方法並びにそれに用いるシールドトンネル用セグメント
JP2000064327A (ja) 構造物の免震構造
JP2013221310A (ja) 基礎構造及び基礎の構築方法
JPH01501806A (ja) 地震から建物を保護するための流体緩衝装置
JP2006342666A (ja) 構造物の耐震補強方法
JPH09177094A (ja) 免震基礎構造
JP2007170099A (ja) 既存建物基礎の液状化を低減し不同沈下を防止する工法
JP4544476B2 (ja) 免震構造体及び免震基礎杭
JP2010101013A (ja) 免震構造
JPH08184064A (ja) 建築物の基礎構造
JP2015055147A (ja) 地中免震壁構造およびその構築方法
JP4283085B2 (ja) レベル自動調整式浮体装置
JP3451934B2 (ja) 構造物の耐震地下構造
JP2004339894A (ja) 杭基礎構造物の耐震補強構造
JP7309147B2 (ja) ケーソン、ニューマチックケーソン工法及び構造物
JP2001020558A (ja) 建築物の基礎免震構造
JP2000170194A (ja) 構造物の免震構造
JPH11148143A (ja) 構造物の耐震補強構造
JP3451948B2 (ja) 耐震補強構造の構築方法
JPH0988089A (ja) 減震基礎構造
JP3613442B2 (ja) 構造物の免震構造
JPH08113959A (ja) 構造物の支持地盤の補強構造
KR102242353B1 (ko) 액체 배출식 부마찰력 저감장치가 구비된 부마찰력 저감 말뚝 및 부마찰력 저감 방법
JP3685380B2 (ja) 構造物の免震構造及び免震化方法並びに土留め材

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040408

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040514