JP2000063738A - 鋼線被覆用接着性組成物 - Google Patents
鋼線被覆用接着性組成物Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 溶融押出し性に優れ、ボイドのない優れた外
観の被覆を鋼線に付与すること。 【解決手段】 (A)エチレン性不飽和カルボン酸また
はその誘導体でグラフトされたポリエチレン骨格を有す
るグラフトコポリマーおよびポリエチレン系重合体を含
有してなり、(B)密度が0.950〜0.965g/c
m3の間にあり、(C)190℃におけるずり応力が2.
4×106dyne/cm2に達するときのずり速度で定
義される流動性インデックスγ2が400以上であり、
(D)ASTM D1238(190℃、2160g)
におけるメルトフローレートが0.4g/10分以上2.
0g/10分以下である、鋼線被覆用接着性樹脂組成
物。
観の被覆を鋼線に付与すること。 【解決手段】 (A)エチレン性不飽和カルボン酸また
はその誘導体でグラフトされたポリエチレン骨格を有す
るグラフトコポリマーおよびポリエチレン系重合体を含
有してなり、(B)密度が0.950〜0.965g/c
m3の間にあり、(C)190℃におけるずり応力が2.
4×106dyne/cm2に達するときのずり速度で定
義される流動性インデックスγ2が400以上であり、
(D)ASTM D1238(190℃、2160g)
におけるメルトフローレートが0.4g/10分以上2.
0g/10分以下である、鋼線被覆用接着性樹脂組成
物。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は鋼線被覆用接着性組
成物に関する。さらに詳しくは、優れた溶融押出し性を
示し、ボイドのない優れた外観を示す鋼線被覆用接着性
組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来高速度例えば10〜25m/min
の如き速度で鋼線を被覆する材料として、溶融押出し性
に優れ、ボイドのない優れた外観の被覆を与える材料は
知られていない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鋼線
被覆用接着性組成物を提供することにある。本発明の他
の目的は、溶融押出し性に優れ且つボイドのない優れた
外観の被覆を与える鋼線被覆用接着性組成物を提供する
ことにある。本発明のさらに他の目的および利点は、以
下の説明から明らかになろう。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、(A)エチレン性不飽和カル
ボン酸またはその誘導体でグラフトされたポリエチレン
骨格を有するグラフトコポリマーおよびポリエチレン系
重合体を含有してなり、(B)密度が0.950〜0.9
65g/cm3の間にあり、(C)190℃におけるず
り応力が2.4×106dyne/cm2に達するときの
ずり速度で定義される流動性インデックスγ2が400
以上であり、(D)ASTM D1238(190℃、
2160g)におけるメルトフローレートが0.4g/
10分以上2.0g/10分以下である、ことを特徴と
する鋼線被覆用接着性組成物によって達成される。 【0005】グラフトコポリマーのベース樹脂として用
いるポリエチレンは、例えばエチレンのホモポリマー、
特に高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチ
レン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDP
E)または非常に低密度ポリエチレン(VLDRE)、
好ましくはLLDPEまたはエチレンと、炭素数3〜1
0のオレフィン、例えばプロピレン、ブテンまたは他の
不飽和脂肪族炭化水素とのコポリマーであることができ
る。このようなホモポリマーおよびコポリマーは公知で
あり、且ついずれのこのようなポリマーも使用すること
ができる。2種以上のポリオレフィンの混合物を用いる
ことができる。グラフトコポリマーの背骨はポリエチレ
ンであることが好ましく、ポリエチレン背骨がコポリマ
ーである場合、それは少なくとも80モル%の重合した
エチレン単位を含むことが好ましい。ポリエチレン背骨
を形成するポリエチレンは、好ましくは0.965〜0.
910g/cm3の密度を有するのが好ましい。 【0006】重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸お
よびこれの誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メ
サコン酸、無水マレイン酸、4−メチルシクロヘキセ−
4−エン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ(2.
2.2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水
物、1,2,3,4,5,8,9,10−オクタヒドロナフタ
レン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オクサ−1,3
−ジケトスピロ(4.4)ノン−7−エン、ビシクロ
(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸
無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタル酸無水
物、x−メチル−ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エ
ン−2,3−ジカルボン酸無水物、x−メチル−ノルボ
ルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボ
ルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物を挙げる
ことができる。好ましくは、無水マレイン酸が使用され
る。 【0007】グラフトコポリマーにおいて、少なくとも
1つの重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体のポリエチレンへのグラフト率は、0.05〜
10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%が好ま
しい。該不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれ
るグラフトモノマーをポリエチレンにグラフト反応する
には、従来公知の種々の方法を採用することができる。
例えば、ポリエチレンを溶融し、そこへグラフトモノマ
ーを添加してグラフト反応させる方法、あるいは、ポリ
エチレンを溶媒に溶解して溶液となし、そこへグラフト
モノマーを添加してグラフト反応させる方法がある。い
ずれの場合にも、前記グラフトモノマーを効率よくグラ
フト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に
グラフト反応を実施することが好ましい。グラフト反応
は、通常60〜350℃の温度で行われる。ラジカル開
始剤の使用割合は、ポリオレフィン100重量部に対し
て、通常0.001〜1重量部の範囲である。 【0008】ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシ
ド、有機ポリエステル、例えばベンゾイルペルオキシ
ド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオ
キシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘ
キシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、
tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエー
ト、tert−ブチルペルフェニルアセテート、ter
t−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル
−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレ
ート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチルペ
ルジエチルアセテート、その他アゾ化合物、例えばアゾ
ビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート
が用いられる。 【0009】これらのうちでは、ジクミルペルオキシ
ド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキ
シン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブ
チルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキ
ルペルオキシドが好ましい。ここで、グラフト率とは、
グラフト前のポリエチレンの合計重量を基準にして、グ
ラフトされた不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の重
量割合(%)と定義される。 【0010】接着性組成物を調製するための方法は周知
であり、そしていかなる好適な方法でも、ポリエチレン
および重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸またはこ
れの誘導体を調製するために使用することができる。1
つのこのような好適な方法は、有機過酸化物または過酸
化水素のようなラジカル開始剤の存在において、ポリエ
チレンの融点を越え且つラジカル開始剤の好適な半減期
を与える温度において、ポリエチレンと重合可能なエチ
レン性不飽和カルボン酸またはこれの誘導体とを一緒に
混合することからなる。好適なラジカル開始剤は周知で
ある。このグラフト方法は、例えばブラベンダーミキサ
ー、バンバリーミキサーまたはロールミルのような公知
の混合装置を用いて実施することができる。好ましくは
グラフト方法は、密閉された容器中で実施する。 【0011】接着性組成物を調製する便利な方法は、単
一または複数のスクリュー押出機により、ポリマー背骨
を形成するポリエチレン系重合体、重合可能なエチレン
性不飽和カルボン酸またはこれの誘導体、および有機過
酸化物または過酸化水素の如きラジカル開始剤と一緒に
押し出すことである。グラフトコポリマーのメルトフロ
ーレート(荷重2.16kg、190℃)は、 0.01
g/10分以上であるのが好ましい。 【0012】また、ポリエチレン系重合体はポリエチレ
ンのホモポリマーまたはエチレンと炭素数3〜10のα
−オレフィン例えばプロピレンブテン−1,4−メチル
ペンテン−1、オクテン−1等との共重合体であること
ができる。炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合割
合はエチレンとα−オレフィンの合計モル数を基準にし
て20モル%以下であるのが好ましい。ポリエチエレン
系重合体のメルトフローレート(荷重2.16kg、1
90℃)は0.1g/10分以上であるのが好ましい。 【0013】本発明の樹脂組成物は、ポリエチレンまた
はポリエチレン系重合体100重量%当たり0.01〜
0.50重量%、好ましくは0.10〜0.40重量%の
マレイン酸をグラフト反応させるのが鋼線との接着力の
点から好ましい。本発明の接着性組成物は、密度が0.
950〜0.965g/cm3の範囲にあり、好ましくは
0.955〜0.960/cm3の範囲にある。密度がこ
の範囲にあると、鋼線の被覆にボイドが生じない点で好
ましい。また、本発明の接着性組成物は、190℃にお
けるずり応力が2.4×106dyne/cm2に到達す
るときのずり速度で定義される流動性インデックスγ2
は400以上であり、好ましくは600以上である。γ
2が400より大きいと、溶融押出しの際の吐出が良好
で、鋼線の被覆性に優れる。さらに、本発明の接着性組
成物はメルトフローレートが0.4g/10分(荷重2.
16kg、190℃)以上2.0g/10分以下であ
り、好ましくは0.6g/10分以上2.0g/10分以
下の範囲にある。メルトフローレートがこの範囲にある
と、溶融押出しの吐出が良好となり、また被覆の外観も
良好となる。 【0014】本発明の接着性組成物は、バッチ式または
連続式の混合用の公知の技術および装置を用いて調製す
ることができる。本発明の接着性組成物は、例えば酸化
防止剤のような、このような組成物に慣用的に使用され
る添加剤もまた含有することができる。本発明の接着性
組成物は、鋼線被覆用接着性組成物、特に鋼線、好まし
くは直径1〜8mmの鋼線を高密度ポリエチレンで被覆
する際に両者間の接着を行うために用いられる。被覆は
タンデム丸ダイ押出コート法により、実施される。本発
明の接着性組成物の被覆の厚みは好ましくは0.01〜
3mmである。 【0015】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。実施
例中、各物性値は以下のように測定され、定義される。 メルトフローレート(MFR、g/10分) ASTM
D1238 密度(g/cm3) ASTM D1505 流動性インデックス(γ2) ずり速度を変えながら樹脂をキャピラリーから押出し、
そのときの応力を測定することにより決定した。190
℃におけるずり応力が2.4×106dyne/cm2に
到達するときのずり速度で定義される流動性インデック
スγ2は樹脂温度190℃、ずり応力の範囲が5×104
〜3×106dyne/cm2程度で測定した。キャピラ
リーはMFRによって次のように変更する。MFR>2
0のとき0.5mm、20≧MFR>3のとき1.0m
m、3≧MFR>0.8のとき2.0mm、0.8≧MF
Rのとき3.0mm。 接着強度 被覆した鋼線を30mm長に切断し、15cmだけ被覆
を剥離する。残り15cmの被覆部を保持し、引き抜く
時の強度によって接着強度を決定する。接着強度15k
gf以上を、接着力良好とした。 【0016】実施例1〜3および比較例1〜5 数種の高密度ポリエチレン(密度0.960〜0.945
g/cm3)、線状低密度ポリエチレン(密度0.920
g/cm3、MFR1.5g/10min)、および酸グ
ラフト変性高密度ポリエチレン(グラフト率2.2重量
%、密度0.965g/cm3、MFR5g/10mi
n)を準備した。これらを高密度ポリエチレン(HD)
95〜90重量%、線状低密度ポリエチレン(LL)0
〜5重量%、酸グラフト変性高密度ポリエチレン5重量
%となるように溶融混合し接着性樹脂組成物を得た。得
られた接着性樹脂組成物の物性を表1に示した。予熱を
していない直径2mmの鋼線上に、上記接着性樹脂組成
物を0.5mm厚およびその上層に高密度ポリエチレン
(密度0.945g/cm3、MFR0.2g/10mi
n)を3mm厚でタンデム式丸ダイ押出コート法で被覆
を行った。 【0017】鋼線被覆の方法 金属鋼線に被覆を行なう方法としては、1つの丸ダイを
用いて複数の層を同時に被覆する共押出方式や、各層ず
つ丸ダイで順番に被覆するタンデム方式等を用いること
が出来る。鋼線は常温でも被覆することは出来るが、好
ましくは80℃以上、より好適には100℃以上に予熱
を行ってから被覆することによってより接着強度を向上
させることが出来る。 【0018】接着強度の測定 被覆した鋼線を30cm長に切断し、15cmだけ被覆
を剥離する。残り15cmの被覆部を保持し、引き抜く
時の強度によって接着強度を決定する。接着強度15k
gf以上を、接着力良好とした。 【0019】接着性組成物は、40mmφの押出機を用
い、バレル設定温度をC1/C2/C3/C4/A/D
1/D2/=180/200/230/230/230
/230/230℃とし、3.5φのダイスを用いて厚
みが0.5mmとなるように押出した。 【0020】また、HDPEは、90mmφの押出機を
用い、バレル設定温度をC1/C2/C3/C4/C5
/A/D1/D2=140/150/160/170/
170/170/170/170℃とし、10φのダイ
スを用いて厚みが3mmとなるように押出した。この
際、押出圧力は100〜170kgf/cm2、スクリ
ュー回転数15〜25rpmおよび成型速度は10〜2
5m/minとした。得られた結果を表2に示した。 【0021】 【表1】 表中、HDおよびLLはそれぞれHDPEおよびLLD
PEのことである。 【0022】 【表2】 【0023】 【発明の効果】本発明の接着性組成物は溶融押出し性に
優れ、ボイドのない優れた外観の被覆を鋼線に付与する
ことができる。
成物に関する。さらに詳しくは、優れた溶融押出し性を
示し、ボイドのない優れた外観を示す鋼線被覆用接着性
組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来高速度例えば10〜25m/min
の如き速度で鋼線を被覆する材料として、溶融押出し性
に優れ、ボイドのない優れた外観の被覆を与える材料は
知られていない。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、鋼線
被覆用接着性組成物を提供することにある。本発明の他
の目的は、溶融押出し性に優れ且つボイドのない優れた
外観の被覆を与える鋼線被覆用接着性組成物を提供する
ことにある。本発明のさらに他の目的および利点は、以
下の説明から明らかになろう。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、(A)エチレン性不飽和カル
ボン酸またはその誘導体でグラフトされたポリエチレン
骨格を有するグラフトコポリマーおよびポリエチレン系
重合体を含有してなり、(B)密度が0.950〜0.9
65g/cm3の間にあり、(C)190℃におけるず
り応力が2.4×106dyne/cm2に達するときの
ずり速度で定義される流動性インデックスγ2が400
以上であり、(D)ASTM D1238(190℃、
2160g)におけるメルトフローレートが0.4g/
10分以上2.0g/10分以下である、ことを特徴と
する鋼線被覆用接着性組成物によって達成される。 【0005】グラフトコポリマーのベース樹脂として用
いるポリエチレンは、例えばエチレンのホモポリマー、
特に高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチ
レン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDP
E)または非常に低密度ポリエチレン(VLDRE)、
好ましくはLLDPEまたはエチレンと、炭素数3〜1
0のオレフィン、例えばプロピレン、ブテンまたは他の
不飽和脂肪族炭化水素とのコポリマーであることができ
る。このようなホモポリマーおよびコポリマーは公知で
あり、且ついずれのこのようなポリマーも使用すること
ができる。2種以上のポリオレフィンの混合物を用いる
ことができる。グラフトコポリマーの背骨はポリエチレ
ンであることが好ましく、ポリエチレン背骨がコポリマ
ーである場合、それは少なくとも80モル%の重合した
エチレン単位を含むことが好ましい。ポリエチレン背骨
を形成するポリエチレンは、好ましくは0.965〜0.
910g/cm3の密度を有するのが好ましい。 【0006】重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸お
よびこれの誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタ
クリル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メ
サコン酸、無水マレイン酸、4−メチルシクロヘキセ−
4−エン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ(2.
2.2)オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水
物、1,2,3,4,5,8,9,10−オクタヒドロナフタ
レン−2,3−ジカルボン酸無水物、2−オクサ−1,3
−ジケトスピロ(4.4)ノン−7−エン、ビシクロ
(2.2.1)ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸
無水物、マレオピマル酸、テトラヒドロフタル酸無水
物、x−メチル−ビシクロ(2.2.1)ヘプト−5−エ
ン−2,3−ジカルボン酸無水物、x−メチル−ノルボ
ルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボ
ルン−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物を挙げる
ことができる。好ましくは、無水マレイン酸が使用され
る。 【0007】グラフトコポリマーにおいて、少なくとも
1つの重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸またはそ
の誘導体のポリエチレンへのグラフト率は、0.05〜
10重量%、特に好ましくは0.05〜5重量%が好ま
しい。該不飽和カルボン酸またはその誘導体から選ばれ
るグラフトモノマーをポリエチレンにグラフト反応する
には、従来公知の種々の方法を採用することができる。
例えば、ポリエチレンを溶融し、そこへグラフトモノマ
ーを添加してグラフト反応させる方法、あるいは、ポリ
エチレンを溶媒に溶解して溶液となし、そこへグラフト
モノマーを添加してグラフト反応させる方法がある。い
ずれの場合にも、前記グラフトモノマーを効率よくグラ
フト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下に
グラフト反応を実施することが好ましい。グラフト反応
は、通常60〜350℃の温度で行われる。ラジカル開
始剤の使用割合は、ポリオレフィン100重量部に対し
て、通常0.001〜1重量部の範囲である。 【0008】ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシ
ド、有機ポリエステル、例えばベンゾイルペルオキシ
ド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオ
キシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘ
キシン−3、1,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、
tert−ブチルペルアセテート、2,5−ジメチル−
2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−
3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペ
ルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルベンゾエー
ト、tert−ブチルペルフェニルアセテート、ter
t−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペル
−sec−オクトエート、tert−ブチルペルピバレ
ート、クミルペルピバレートおよびtert−ブチルペ
ルジエチルアセテート、その他アゾ化合物、例えばアゾ
ビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート
が用いられる。 【0009】これらのうちでは、ジクミルペルオキシ
ド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメ
チル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキ
シン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブ
チルペルオキシ)ヘキサン、1,4−ビス(tert−
ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等のジアルキ
ルペルオキシドが好ましい。ここで、グラフト率とは、
グラフト前のポリエチレンの合計重量を基準にして、グ
ラフトされた不飽和カルボン酸もしくはその誘導体の重
量割合(%)と定義される。 【0010】接着性組成物を調製するための方法は周知
であり、そしていかなる好適な方法でも、ポリエチレン
および重合可能なエチレン性不飽和カルボン酸またはこ
れの誘導体を調製するために使用することができる。1
つのこのような好適な方法は、有機過酸化物または過酸
化水素のようなラジカル開始剤の存在において、ポリエ
チレンの融点を越え且つラジカル開始剤の好適な半減期
を与える温度において、ポリエチレンと重合可能なエチ
レン性不飽和カルボン酸またはこれの誘導体とを一緒に
混合することからなる。好適なラジカル開始剤は周知で
ある。このグラフト方法は、例えばブラベンダーミキサ
ー、バンバリーミキサーまたはロールミルのような公知
の混合装置を用いて実施することができる。好ましくは
グラフト方法は、密閉された容器中で実施する。 【0011】接着性組成物を調製する便利な方法は、単
一または複数のスクリュー押出機により、ポリマー背骨
を形成するポリエチレン系重合体、重合可能なエチレン
性不飽和カルボン酸またはこれの誘導体、および有機過
酸化物または過酸化水素の如きラジカル開始剤と一緒に
押し出すことである。グラフトコポリマーのメルトフロ
ーレート(荷重2.16kg、190℃)は、 0.01
g/10分以上であるのが好ましい。 【0012】また、ポリエチレン系重合体はポリエチレ
ンのホモポリマーまたはエチレンと炭素数3〜10のα
−オレフィン例えばプロピレンブテン−1,4−メチル
ペンテン−1、オクテン−1等との共重合体であること
ができる。炭素数3〜10のα−オレフィンの共重合割
合はエチレンとα−オレフィンの合計モル数を基準にし
て20モル%以下であるのが好ましい。ポリエチエレン
系重合体のメルトフローレート(荷重2.16kg、1
90℃)は0.1g/10分以上であるのが好ましい。 【0013】本発明の樹脂組成物は、ポリエチレンまた
はポリエチレン系重合体100重量%当たり0.01〜
0.50重量%、好ましくは0.10〜0.40重量%の
マレイン酸をグラフト反応させるのが鋼線との接着力の
点から好ましい。本発明の接着性組成物は、密度が0.
950〜0.965g/cm3の範囲にあり、好ましくは
0.955〜0.960/cm3の範囲にある。密度がこ
の範囲にあると、鋼線の被覆にボイドが生じない点で好
ましい。また、本発明の接着性組成物は、190℃にお
けるずり応力が2.4×106dyne/cm2に到達す
るときのずり速度で定義される流動性インデックスγ2
は400以上であり、好ましくは600以上である。γ
2が400より大きいと、溶融押出しの際の吐出が良好
で、鋼線の被覆性に優れる。さらに、本発明の接着性組
成物はメルトフローレートが0.4g/10分(荷重2.
16kg、190℃)以上2.0g/10分以下であ
り、好ましくは0.6g/10分以上2.0g/10分以
下の範囲にある。メルトフローレートがこの範囲にある
と、溶融押出しの吐出が良好となり、また被覆の外観も
良好となる。 【0014】本発明の接着性組成物は、バッチ式または
連続式の混合用の公知の技術および装置を用いて調製す
ることができる。本発明の接着性組成物は、例えば酸化
防止剤のような、このような組成物に慣用的に使用され
る添加剤もまた含有することができる。本発明の接着性
組成物は、鋼線被覆用接着性組成物、特に鋼線、好まし
くは直径1〜8mmの鋼線を高密度ポリエチレンで被覆
する際に両者間の接着を行うために用いられる。被覆は
タンデム丸ダイ押出コート法により、実施される。本発
明の接着性組成物の被覆の厚みは好ましくは0.01〜
3mmである。 【0015】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。実施
例中、各物性値は以下のように測定され、定義される。 メルトフローレート(MFR、g/10分) ASTM
D1238 密度(g/cm3) ASTM D1505 流動性インデックス(γ2) ずり速度を変えながら樹脂をキャピラリーから押出し、
そのときの応力を測定することにより決定した。190
℃におけるずり応力が2.4×106dyne/cm2に
到達するときのずり速度で定義される流動性インデック
スγ2は樹脂温度190℃、ずり応力の範囲が5×104
〜3×106dyne/cm2程度で測定した。キャピラ
リーはMFRによって次のように変更する。MFR>2
0のとき0.5mm、20≧MFR>3のとき1.0m
m、3≧MFR>0.8のとき2.0mm、0.8≧MF
Rのとき3.0mm。 接着強度 被覆した鋼線を30mm長に切断し、15cmだけ被覆
を剥離する。残り15cmの被覆部を保持し、引き抜く
時の強度によって接着強度を決定する。接着強度15k
gf以上を、接着力良好とした。 【0016】実施例1〜3および比較例1〜5 数種の高密度ポリエチレン(密度0.960〜0.945
g/cm3)、線状低密度ポリエチレン(密度0.920
g/cm3、MFR1.5g/10min)、および酸グ
ラフト変性高密度ポリエチレン(グラフト率2.2重量
%、密度0.965g/cm3、MFR5g/10mi
n)を準備した。これらを高密度ポリエチレン(HD)
95〜90重量%、線状低密度ポリエチレン(LL)0
〜5重量%、酸グラフト変性高密度ポリエチレン5重量
%となるように溶融混合し接着性樹脂組成物を得た。得
られた接着性樹脂組成物の物性を表1に示した。予熱を
していない直径2mmの鋼線上に、上記接着性樹脂組成
物を0.5mm厚およびその上層に高密度ポリエチレン
(密度0.945g/cm3、MFR0.2g/10mi
n)を3mm厚でタンデム式丸ダイ押出コート法で被覆
を行った。 【0017】鋼線被覆の方法 金属鋼線に被覆を行なう方法としては、1つの丸ダイを
用いて複数の層を同時に被覆する共押出方式や、各層ず
つ丸ダイで順番に被覆するタンデム方式等を用いること
が出来る。鋼線は常温でも被覆することは出来るが、好
ましくは80℃以上、より好適には100℃以上に予熱
を行ってから被覆することによってより接着強度を向上
させることが出来る。 【0018】接着強度の測定 被覆した鋼線を30cm長に切断し、15cmだけ被覆
を剥離する。残り15cmの被覆部を保持し、引き抜く
時の強度によって接着強度を決定する。接着強度15k
gf以上を、接着力良好とした。 【0019】接着性組成物は、40mmφの押出機を用
い、バレル設定温度をC1/C2/C3/C4/A/D
1/D2/=180/200/230/230/230
/230/230℃とし、3.5φのダイスを用いて厚
みが0.5mmとなるように押出した。 【0020】また、HDPEは、90mmφの押出機を
用い、バレル設定温度をC1/C2/C3/C4/C5
/A/D1/D2=140/150/160/170/
170/170/170/170℃とし、10φのダイ
スを用いて厚みが3mmとなるように押出した。この
際、押出圧力は100〜170kgf/cm2、スクリ
ュー回転数15〜25rpmおよび成型速度は10〜2
5m/minとした。得られた結果を表2に示した。 【0021】 【表1】 表中、HDおよびLLはそれぞれHDPEおよびLLD
PEのことである。 【0022】 【表2】 【0023】 【発明の効果】本発明の接着性組成物は溶融押出し性に
優れ、ボイドのない優れた外観の被覆を鋼線に付与する
ことができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)エチレン性不飽和カルボン酸また
はその誘導体でグラフトされたポリエチレン系重合体で
あり、(B)密度が0.950〜0.965g/cm3の
間にあり、(C)190℃におけるずり応力が2.4×
106dyne/cm2に達するときのずり速度で定義さ
れる流動性インデックスγ2が400以上であり、
(D)ASTM D1238(190℃、2160g)
におけるメルトフローレートが0.4g/10分以上2.
0g/10分以下である、ことを特徴とする鋼線被覆用
接着性樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9144899A JP2000063738A (ja) | 1998-06-11 | 1999-03-31 | 鋼線被覆用接着性組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-163774 | 1998-06-11 | ||
JP16377498 | 1998-06-11 | ||
JP9144899A JP2000063738A (ja) | 1998-06-11 | 1999-03-31 | 鋼線被覆用接着性組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000063738A true JP2000063738A (ja) | 2000-02-29 |
Family
ID=26432889
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9144899A Pending JP2000063738A (ja) | 1998-06-11 | 1999-03-31 | 鋼線被覆用接着性組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000063738A (ja) |
-
1999
- 1999-03-31 JP JP9144899A patent/JP2000063738A/ja active Pending
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Legal Events
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060424 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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A521 | Written amendment |
Effective date: 20060619 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
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A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20060710 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |