JP2000063177A - 窒化アルミニウム質焼結体、金属埋設品および半導体保持装置 - Google Patents

窒化アルミニウム質焼結体、金属埋設品および半導体保持装置

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JP2000063177A
JP2000063177A JP10227091A JP22709198A JP2000063177A JP 2000063177 A JP2000063177 A JP 2000063177A JP 10227091 A JP10227091 A JP 10227091A JP 22709198 A JP22709198 A JP 22709198A JP 2000063177 A JP2000063177 A JP 2000063177A
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Kiyoshi Araki
清 新木
Yuji Katsuta
祐司 勝田
Sadanori Shimura
禎徳 志村
Haruaki Ohashi
玄章 大橋
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】緻密質の窒化アルミニウム質焼結体において、
高温領域においても高い体積抵抗率を示す焼結体を提供
する。 【解決手段】窒化アルミニウム質焼結体は、窒化アルミ
ニウムを主成分とし、窒化アルミニウム結晶の多結晶構
造を有しており、焼結体中に酸化物に換算して100p
pm以上、500ppm以下のリチウムを含有してい
る。好ましくは、焼結体の700℃における体積抵抗率
が1.0×10 7Ω・cm以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、室温から高温にお
いて高い体積抵抗率を有する、新規な緻密質窒化アルミ
ニウム焼結体に関するものであり、また、この窒化アル
ミニウム焼結体を利用した金属埋設品、特にヒーターに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、静電チャックの基体として、緻密
質セラミックスが注目されている。特に半導体製造装置
においては、エッチングガスやクリーニングガスとし
て、ClF3 等のハロゲン系腐食性ガスを多用する。ま
た、半導体ウエハーを保持しつつ、急速に加熱し、冷却
させるためには、静電チャックの基体が高い熱伝導性を
備えていることが望まれる。また、急激な温度変化によ
って破壊しないような耐熱衝撃性を備えていることが望
まれる。緻密な窒化アルミニウムは、前記のようなハロ
ゲン系腐食性ガスに対して高い耐食性を備えている。ま
た、こうした窒化アルミニウムは、高熱伝導性材料とし
て知られており、その体積抵抗率が室温で101 4 Ω・
cm以上であり、耐熱衝撃性も高い。従って、半導体製
造装置用の静電チャックの基体を窒化アルミニウム焼結
体によって形成することが好適である。
【0003】本出願人は、特公平7−50736号公報
において、窒化アルミニウムからなる基体中に抵抗発熱
体と静電チャック電極とを埋設したり、あるいは抵抗発
熱体と高周波発生用電極とを埋設したりすることを開示
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】静電チャック等におい
て、窒化アルミニウム質焼結体からなる基材中に電極や
抵抗発熱体を埋設する際には、リーク電流を防止するた
めに、この焼結体が使用温度範囲において、ある程度以
上の体積抵抗率を示す必要がある。しかし、サセプター
の使用温度が600℃以上、更には700℃以上、12
00℃以下の領域になると、基材の体積抵抗率が低下し
てくる。このため、従来よりも体積抵抗率が高く、特に
高温領域においても高い体積抵抗率を示す窒化アルミニ
ウム質焼結体が求められている。また、こうした窒化ア
ルミニウム質焼結体は、緻密質であって、かつ高純度で
あることが求められている。
【0005】本発明の課題は、窒化アルミニウム質焼結
体において、高温領域においても高い体積抵抗率を示す
焼結体を提供することである。
【0006】また、本発明の課題は、この窒化アルミニ
ウム質焼結体を利用して、金属部材からのリーク電流が
生じにくい金属埋設品を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、窒化アルミニ
ウムを主成分とし、窒化アルミニウム結晶の多結晶構造
を有している窒化アルミニウム質焼結体であって、焼結
体中に100ppm以上、500ppm以下のリチウム
を含有していることを特徴とする。
【0008】また、本発明は、セラミックス部材と、こ
のセラミックス部材中に埋設されている金属部材とを備
えている金属埋設品であって、セラミックス部材の少な
くとも一部が、前記焼結体によって構成されていること
を特徴とする。
【0009】また、本発明は、半導体を保持する保持装
置であって、ハロゲンガスプラズマに曝される耐食面と
背面とを備えるサセプターを備えており、前記サセプタ
ーの少なくとも一部が、前記窒化アルミニウム質焼結体
からなる。
【0010】また、本発明は、半導体を保持する保持装
置であって、ハロゲンガスプラズマに曝される耐食面と
背面とを備えるサセプターを備えており、サセプター
が、前記金属埋設品からなることを特徴とする。
【0011】本発明者は、窒化アルミニウム質焼結体中
に、500ppm以下の微量のリチウムを添加すること
によって、焼結体の体積抵抗率が顕著に上昇し、特に6
00℃以上の高温領域における体積抵抗率が著しく向上
することを発見し、本発明に到達した。このような焼結
体を、金属埋設品ないし半導体保持装置に適用すること
によって、高温用途においても、適切な電気絶縁性を有
する装置を提供できる。
【0012】しかも、リチウムの添加量が500ppm
以下と微量であることから、特に金属汚染を嫌う半導体
製造装置用として好適である。
【0013】本発明の焼結体におけるアルミニウムの含
有量は、窒化アルミニウム粒子が主相として存在し得る
だけの量である必要があり、好ましくは35重量%以上
である。また、窒化アルミニウム結晶の多結晶構造中に
は、窒化アルミニウム結晶以外に、微量の他の結晶相、
例えば酸化リチウム相を含んでいてよい。
【0014】また、後述する実施例では、リチウムを添
加したときにも、X線回折法では窒化アルミニウム相以
外の相は確認できなかった。一方、リチウムを過剰に添
加すると、X線回折法では、リチウムアルミネートや酸
化リチウムのピークが見られた。これらのことから、本
発明の焼結体中では、リチウムは、少なくとも一部が窒
化アルミニウム格子中には固溶している可能性があり、
また、リチウムアルミネートや酸化リチウムなどの、X
線回折法では確認には至らない程度の微結晶として析出
している可能性がある。
【0015】リチウムの添加により、高温での体積抵抗
率が高くなる理由は不明であるが、リチウムの少なくと
も一部が窒化アルミニウム中に固溶し、窒化アルミニウ
ムの格子欠陥を補償していることが考えられる。
【0016】半導体製造用途において、本発明の焼結体
を、リチウムを含有しない窒化アルミニウムと一体化し
た場合には、この窒化アルミニウム中の金属不純物量
(アルミニウム以外の金属量)は、1000ppm以下
であることが好ましい。
【0017】窒化アルミニウムの原料は、直接窒化法ま
たは還元窒化法によって得られた粉末であることが好ま
しい。リチウムは、窒化アルミニウムの原料粉末に対し
て、硝酸リチウム、炭酸リチウム、フッ化リチウム、窒
化リチウムなど、種々の形態で添加できる。リチウム化
合物は、粉末の状態で添加できる。また、硝酸塩、アル
コキシドなどは、これらの化合物が可溶である適当な溶
剤に溶解させて溶液を得て、溶液を添加することもでき
る。
【0018】焼結体の成形は、乾式プレス、ドクターブ
レード法、押し出し、鋳込み等公知の方法を適用でき
る。
【0019】本発明の焼結体は、ホットプレス焼成によ
ることが好ましく、被焼成体を50kgf/cm2以上
の圧力下でホットプレス焼結させることが好ましい。
【0020】特に、基体と表面層とを備えている金属埋
設品を製造する際には、基体の被焼成体を成形し、その
内部に抵抗発熱体等の金属部材を埋設し、基体の被焼成
体の表面の少なくとも一部に、表面層の被焼成体を形成
して被焼成体の一体物を作成し、この一体物を50kg
f/cm2以上の圧力下でホットプレス焼結させること
が好ましい。また、外殻層と内包層とを備えている金属
埋設品を製造する際には、内包層の被焼成体を成形し、
その内部に抵抗発熱体等の金属部材を埋設し、内包層の
被焼成体の周りに外殻層の被焼成体を形成して被焼成体
の一体物を作成し、この一体物を50kgf/cm2以
上の圧力下でホットプレス焼結させることが好ましい。
【0021】以下、具体的な実験結果について述べる。
窒化アルミニウム原料粉末(還元窒化粉または直接窒化
粉)とリチウム化合物をそれぞれ所定量秤量した。実験
番号1−4ではリチウムを添加せず、番号5−20、3
3−44、57−60では硝酸リチウムを添加し、番号
21−32、45−56では炭酸リチウムを添加した。
次いで、イソプロピルアルコールを溶媒として、ポット
ミル混合し、乾燥し、各表に示す組成の混合粉を得た。
このとき、硝酸リチウムは、イソプロピルアルコールに
溶解し、液体となる。炭酸リチウムは、粉体のまま窒化
アルミニウム粉末と混合される。
【0022】この混合粉を、200kgm/cm2の圧
力で一軸加圧成形することにより、直径φ100mmの
円盤状成形体を作製した。この成形体を黒鉛モールドに
収納して、ホットプレス焼成を行った。最高温度は17
00℃−2000℃とし、最高温度での保持時間はいず
れも4時間とした。得られた各焼結体について、以下の
特性を評価した。
【0023】(高温体積抵抗率) 真空中において、JI
S2141 に基づいた絶縁物の体積抵抗率測定法による。た
だし、例えば1.5E+07は、1.5×10 7を示す
符号である。 (分析されたリチウム量) 湿式化学分析による。 (熱伝導率) レーザーフラッシュ法による。 (曲げ強度) JIS R 1601に基づいた室温4点曲げ強度
試験法による。 (嵩密度) 純水を媒体としたアルキメデス法による。 (CTE ) 窒素中、室温から800 ℃までの熱膨張率の平
均値である。5℃/分で昇温した。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【表3】
【0027】
【表4】
【0028】
【表5】
【0029】比較例1−4ではリチウムを添加していな
い。番号5−20では、還元窒化粉を使用し、焼成温度
を変化させ、かつリチウムの含有量を変化させた。この
結果、比較例1−4に比べて、各実施例5、6、9、1
0、13、14、17、18では、いずれも600℃、
700℃における体積抵抗率が向上した。また、熱膨張
係数には大きな変化は見られなかった。番号21−32
では、炭酸リチウム、還元窒化粉を使用しているが、や
はり本発明の範囲内の焼結体は、600℃、700℃に
おける体積抵抗率が向上した。番号33−44では、硝
酸リチウム、直接窒化粉を使用しているが、やはり本発
明の範囲内の焼結体は、600℃、700℃における体
積抵抗率が向上し、他の特性には大きな変化は見られな
い。番号45−56では、炭酸リチウム、直接窒化粉を
使用しているが、同様であった。
【0030】これらの実験結果から分かるように、リチ
ウムの添加量は100ppm以上、500ppm以下と
する必要があり、特に150ppm以上が好ましく、ま
たは400ppm以下が好ましい。
【0031】番号57−60は、リチウムに加えて、マ
グネシウムを添加したものである。なお、マグネシウム
の量についての各数値は、焼結体中におけるマグネシウ
ムの分析量(酸化物に換算)を示す。このように、マグ
ネシウムを添加することによって、600℃、700℃
における体積抵抗率が一層向上する。ただし、焼結体中
のマグネシウムの量は、0.1−10重量%(酸化物換
算)とすることが好ましく、0.3−1重量%とするこ
とが一層好ましい。
【0032】本発明の窒化アルミニウム質焼結体は、特
に半導体製造装置用のサセプター等のセラミックス部材
に適しており、また、セラミックス部材中に金属部材を
埋設してなる金属埋設品に対して好適である。
【0033】以下、図面を参照しつつ、本発明の好適な
態様について述べる。例えば図1(a)においては、サ
セプター1Aの全体が、本発明の焼結体からなってい
る。2は加熱面である。図1(b)においては、サセプ
ター1Bが、基体3と、基体3の表面の少なくとも一部
を覆う表面層4とを備えている。基体3および/または
表面層4が、本発明の焼結体からなる。サセプターの表
面に高い体積抵抗率が求められる場合には、表面層4が
本発明の焼結体からなる。
【0034】サセプターの全周ないし全表面にわたっ
て、高い体積抵抗率が要求される場合には、図1(c)
に示すサセプター1Cのように、内包層5の全表面が外
殻層6によって被覆されており、外殻層6が本発明の焼
結体からなる。
【0035】以下、特に金属埋設品に対して本発明を適
用した実施形態について更に述べる。
【0036】金属埋設品は、少なくともセラミックス部
材と、この中に埋設された金属部材を備えている。金属
部材、特に導電性機能部品は、印刷によって形成された
導電性膜であってもよいが、面状の金属バルク材である
ことが特に好ましい。ここで、「面状の金属バルク材」
とは、金属線や金属板を、一体の二次元的に延びるバル
ク体として形成したものを言う。
【0037】金属部材は、高融点金属で形成することが
好ましく、こうした高融点金属としては、タンタル,タ
ングステン,モリブデン,白金,レニウム、ハフニウム
及びこれらの合金を例示できる。被処理物としては、半
導体ウエハーの他、アルミニウムウエハー等を例示でき
る。
【0038】本発明の焼結体を金属埋設品に適用するこ
とで、そのセラミックス部材の高温における体積抵抗率
を適切に維持できる。特に、後述するように、セラミッ
クス部材の表面層を本発明の焼結体によって形成する
か、あるいは金属部材のうちの少なくとも一個(特に電
極)を、本発明の焼結体からなる内包層に埋設するか、
あるいは抵抗発熱体と電極との間に内包層を設けるか、
あるいは本発明の焼結体中に何らかの形で金属部材を埋
設することによって、電極が関与するリーク電流に伴
う、動作不安定を防止できる。この新規な作用について
更に説明する。
【0039】即ち、窒化アルミニウム基体中に抵抗発熱
体と高周波電極とを埋設して高周波発生用の電極装置を
作製し、これを例えば600℃以上、更には700℃以
上、1200℃以下の高温領域で稼働させて見ると、高
周波の状態、あるいは高周波プラズマの状態が不安定に
なることがあった。また、窒化アルミニウム基体中に抵
抗発熱体と静電チャック電極とを埋設して静電チャック
装置を作製し、これを例えば600℃以上の高温領域で
稼働させて見た場合にも、静電吸着力に局所的にあるい
は経時的に不安定が生ずることがあった。本発明者は、
サセプター内の発熱体と高周波電極の間で電流が流れ、
このリーク電流が高周波の状態に擾乱をもたらすことを
見いだした。
【0040】窒化アルミニウムの体積抵抗率は、半導体
的な挙動を示し、温度の上昇と共に低下することが知ら
れている。本発明の焼結体を利用して従来の窒化アルミ
ニウムと組み合わせるか、あるいは本発明の焼結体によ
ってセラミックス部材の全体を形成することによって、
例えば600℃−1200℃の領域においても、高周波
の状態や静電吸着力を安定化させることができる。
【0041】本発明の一実施形態においては、セラミッ
クス部材の全体が、本発明の焼結体からなる。図2は、
この実施形態に係るサセプターを概略的に示す断面図で
あり、図3は抵抗発熱体の埋設パターンを示す模式図で
ある。
【0042】金属埋設品10Aのセラミックス部材17
中には、コイル状の抵抗発熱体7および電極9が埋設さ
れている。抵抗発熱体7は背面8側に埋設されており、
電極9は加熱面2側に埋設されている。抵抗発熱体7の
平面的な埋設形状は、図3に模式的に示すようにした
(図3では巻回体のパターンのみを示している)。即
ち、モリブデン線を巻回して巻回体を得、巻回体の両端
に端子18A、18Bを接合した(図2では端子を図示
しない)。
【0043】抵抗発熱体7の全体は、図3において紙面
に垂直な線に対して、ほぼ線対称に配置されている。互
いに直径の異なる複数の同心円状部分7aが、線対称を
なすように配置されており、同心円の直径方向に隣り合
う各同心円状部分7aが、それぞれ連結部分7dによっ
て連絡している。最外周の同心円状部分7aが、連結部
分7bを介して、ほぼ一周する円形部分7cに連結され
ている。
【0044】(サセプターの実施例A)図2、図3に示
した形態のサセプターを作製した。具体的には、イソプ
ロピルアルコール中に、所定量の還元窒化法により得ら
れた窒化アルミニウム粉末と、炭酸リチウム粉末(酸化
物換算で0.1重量%)と、適量のアクリル系樹脂バイ
ンダーとを、ポットミルで混合し、噴霧造粒装置によっ
て乾燥、造粒し、造粒顆粒を得た。この造粒顆粒中に、
モリブデン製のコイル状の抵抗発熱体7および電極9を
埋設した。電極9としては、直径φ0.4mmのモリブ
デン線を、1インチ当たり24本の密度で編んだ金網を
使用した。モリブデン線を巻回して巻回体を得、巻回体
の両端に端子を接合した。端子18A、18Bは、一つ
の保護管(図示しない)内に収容した。造粒顆粒を一軸
加圧成形し、図2に示す形態の円盤状成形体を得た。
【0045】この成形体をホットプレス型中に収容し、
密封した。昇温速度300℃/時間で温度を上昇させ
た。この際、室温〜1000℃の温度範囲で減圧を行っ
た。この温度の上昇と同時に、圧力を上昇させた。最高
温度を1800℃とし、1800℃で4時間保持し、ホ
ットプレス圧力を200kgf/cm2とし、窒素雰囲
気下で焼成し、焼結体を得た。この焼結体を機械加工
し、さらに仕上加工し、サセプター10Aを得た。サセ
プターの直径をφ240mmとし、厚さを18mmと
し、抵抗発熱体と加熱面との間隔を6mmとした。
【0046】図2に概略的に示す回路を作製した。即
ち、電力供給用の高周波電源11を、電線12、14を
介して抵抗発熱体7に接続し、かつアース15に接続し
た。電極9も電線13を介してアース15に接続した。
【0047】抵抗発熱体7から電極9へのリーク電流
を、真空中、500、600、700℃の各温度で、電
線をクランプメータに通すことにより、測定した。ま
た、導電性機能部品の動作の指標として、稼働温度700
℃で、加熱面における最高温度と最低温度との差を測定
した。この結果、各温度においてリーク電流は観測され
ず、加熱面の温度差は10℃であった。
【0048】(サセプターの比較例B)実施例Aと同様
にしてサセプターを作製し、上記と同様の実験を行っ
た。ただし、原料は窒化アルミニウムのみであり、リチ
ウムやマグネシウムは添加しなかった。この結果、リー
ク電流は、500℃では、2mAであり、600℃で
は、9mAであり、700℃では45mAであった。加
熱面における温度差は50℃であった。このように加熱
面に大きな温度差が生ずるのは、部分的にリーク電流が
生じ、一旦リーク電流が生じると、その近傍に電流が集
中し、ホットスポットが生ずるためであることが判明し
た。
【0049】他の実施形態に係る金属埋設品では、セラ
ミックス部材が、基体と、基体の表面の少なくとも一部
を覆う表面層とを備えている。この場合、表面層を、本
発明の焼結体によって形成でき、これによって表面層の
抵抗値を高温においても高く維持できる。この場合に
は、好ましくは、基体が窒化アルミニウムからなり、更
には窒化アルミニウム中に含有されているアルミニウム
以外の金属の含有量が1000ppm以下である。
【0050】この場合、他の実施形態においては、基体
が、本発明の焼結体からなる。この場合には、高温使用
時に、基体内でのリーク電流を防止できる。この場合に
は、好ましくは、表面層が窒化アルミニウムからなり、
更には窒化アルミニウム中に含有されているアルミニウ
ム以外の金属の含有量が1000ppm以下である。ま
た、いずれの場合においても、基体と表面層とが一体焼
結されていることが好ましい。
【0051】図4、図5は、それぞれ、本実施形態に係
る各金属埋設品10B、10Cを概略的に示す断面図で
ある。図2に示した部分と同じ部分には同じ符号を付
け、その説明を省略する。図4においては、セラミック
ス部材40Aの基体21中に、抵抗発熱体7および電極
9が埋設されており、電極9と加熱面2との間に表面層
22が形成されている。図5においては、セラミックス
部材40Bの基体23中に抵抗発熱体7が埋設されてお
り、表面層24中に電極9が埋設されている。
【0052】(サセプターの実施例C、D)図4に示す
サセプター(実施例C)、および図5に示すサセプター
(実施例D)を作製した。具体的には、イソプロピルア
ルコール中に、所定量の還元窒化法により得られた窒化
アルミニウム粉末と、炭酸リチウム粉末(酸化物換算で
0.1重量%)と、適量のアクリル系樹脂バインダーと
を、ポットミルで混合し、噴霧造粒装置によって乾燥造
粒し、造粒顆粒を得た。この造粒顆粒中に、図4におい
ては、実施例Aにおける抵抗発熱体7および電極9を埋
設し、図5においては、抵抗発熱体7のみを埋設した。
造粒顆粒を一軸加圧成形し、基体21、23の各成形体
を得た。
【0053】次に、イソプロピルアルコール中に、所定
量の還元窒化法により得られた窒化アルミニウム粉末
と、炭素換算で0.05重量%のフェノール樹脂と、適
量のアクリル系樹脂バインダーとを、ポットミルで混合
し、噴霧造粒装置によって乾燥造粒し、造粒顆粒を得
た。この造粒顆粒を、図4、5に示すように基体の成形
体に積層し、一軸加圧成形し、各表面層22、24を成
形した。ただし、図5においては、表面層24の成形体
内に電極9を埋設した。
【0054】各積層成形体を、実施例Aと同様に焼成し
た。抵抗発熱体と加熱面との間隔を6mmとした。そし
て、実施例Aと同様に試験した。この結果、いずれの実
施例においても、各温度においてリーク電流は観測され
ず、加熱面の温度差は10℃であった。
【0055】各基体21、23から各試料(本発明内の
焼結体)を切り出し、湿式化学分析によりリチウム量を
測定したところ、実施例Cでは300ppmであり、実
施例Dでは310ppmであった。各表面層22、24
から各試料(本発明外の焼結体)を切り出し、湿式化学
分析により金属不純物量を測定したところ、実施例Cで
は63ppmであり、実施例Dでは59ppmであっ
た。
【0056】本発明の他の実施形態では、セラミックス
部材が、外殻層と内包層とを備えている。一例では、内
包層が、電極と抵抗発熱体との間に介在している。図6
は、この実施形態に係る金属埋設品10Dを概略的に示
す断面図である。セラミックス部材40Cは、外殻層4
1と、外殻層の内部の内包層20とを備えている。内包
層20は、本例では平面状の高抵抗層を形成しており、
電極9と抵抗発熱体7との間に介在している。
【0057】図7は、他の実施形態に係る金属埋設品1
0Eを概略的に示す断面図である。セラミックス部材4
0Dは、外殻層25と、外殻層25の内部の内包層26
とからなる。外殻層25に抵抗発熱体7が埋設されてお
り、抵抗発熱体7と加熱面2との間に内包層26が設け
られている。内包層26中には電極9が埋設されてい
る。なお、本例では、内包層26の全体が外殻層25中
に埋設されているが、内包層26の端部が外殻層25の
表面に露出していてよい。
【0058】(実施例G)図7に示す形態のサセプター
を作製した。具体的には、イソプロピルアルコール中
に、還元窒化法により得られた所定量の窒化アルミニウ
ム粉末と、炭素換算で0.05重量%のフェノール樹脂
と、アクリル系樹脂バインダーとを、ポットミルで混合
し、噴霧造粒装置によって乾燥造粒した。造粒顆粒を一
軸加圧成形し、基体25の成形体を得た。この成形体の
中には、実施例Aと同様の抵抗発熱体7を埋設した。
【0059】更に、イソプロピルアルコール中に、還元
窒化法により得られた所定量の窒化アルミニウム粉末
と、炭酸リチウム粉末(酸化物換算で0.1重量%)
と、アクリル系樹脂バインダーとを、ポットミルで混合
し、噴霧造粒装置によって乾燥造粒した。この造粒顆粒
を一軸加圧成形し、外殻層25の成形体に埋設し、内包
層26を成形し、積層成形体を得た。内包層26の成形
体内には、実施例Aと同様の電極9を埋設した。
【0060】積層成形体を、実施例Aと同様に焼成し、
試験した。この結果、500℃、600℃、700℃の
各温度において、リーク電流は観測されず、加熱面内の
温度差は10℃であった。
【0061】また、外殻層25から試料(本発明外の焼
結体)を切り出し、湿式化学分析により金属不純物量を
測定したところ、68ppmであった。内包層26から
試料(本発明内の焼結体)を切り出し、リチウム量を測
定したところ、1ppm以下であった。
【0062】また、図8に示す金属埋設品10Fのよう
に、セラミックス部材40Eの基体28中に内包層27
を埋設すると共に、内包層27中に抵抗発熱体7と電極
9とを埋設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)、(b)、(c)は、それぞれ、サセプ
ター1A、1B、1Cを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る金属埋設品10Aを
概略的に示す断面図である。
【図3】図2の金属埋設品10Aにおける抵抗発熱体7
の埋設パターンを示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る金属埋設品10B
を概略的に示す断面図である。
【図5】本発明の更に他の実施形態に係る金属埋設品1
0Cを概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係る金属埋設品1
0Dを概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に係る金属埋設品1
0Eを概略的に示す断面図である。
【図8】本発明の更に他の実施形態に係る金属埋設品1
0Fを概略的に示す断面図である。
【符号の説明】
1A、1B、1C サセプター 2 加熱面
3、21、23 基体 4、22、24 表面層
5、20、26、27 内包層 6、25、2
8、41 外殻層 7 抵抗発熱体 8 背面 9 電極 10A、10B、10C、10D、10
E、10F 金属埋設品(サセプター) 11 高
周波電源 17、40A、40B、40C、40
D、40E セラミックス部材
フロントページの続き (72)発明者 志村 禎徳 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 (72)発明者 大橋 玄章 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 3K092 PP20 QA05 QB02 QB26 QB45 QB74 QB80 RF03 RF11 RF30 SS12 VV06 VV34 4G001 BA06 BA31 BA36 BA67 BA71 BA81 BA82 BB01 BB06 BB36 BB67 BB71 BC42 BD01 BD02 BD14 BD23 BD37 BD38 BE11 5F031 HA16 HA37 MA28 MA29

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウムを主成分とし、窒化アル
    ミニウム結晶の多結晶構造を有している窒化アルミニウ
    ム質焼結体であって、前記窒化アルミニウム焼結体中に
    100ppm以上、500ppm以下のリチウムを含有
    していることを特徴とする、窒化アルミニウム質焼結
    体。
  2. 【請求項2】700℃における体積抵抗率が1.0×1
    7Ω・cm以上であることを特徴とする、請求項1記
    載の窒化アルミニウム焼結体。
  3. 【請求項3】セラミックス部材と、このセラミックス部
    材中に埋設されている金属部材とを備えている金属埋設
    品であって、前記セラミックス部材の少なくとも一部
    が、請求項1または2記載の窒化アルミニウム質焼結体
    によって構成されていることを特徴とする、金属埋設
    品。
  4. 【請求項4】前記セラミックス部材中に、前記金属部材
    として少なくとも抵抗発熱体が埋設されており、前記セ
    ラミックス部材に加熱面が設けられていることを特徴と
    する、請求項3記載の金属埋設品。
  5. 【請求項5】前記金属部材として前記抵抗発熱体に加え
    て電極が埋設されており、前記抵抗発熱体と前記加熱面
    との間に前記電極が設けられていることを特徴とする、
    請求項4記載の金属埋設品。
  6. 【請求項6】前記セラミックス部材が前記窒化アルミニ
    ウム質焼結体からなることを特徴とする、請求項3−5
    のいずれか一つの請求項に記載の金属埋設品。
  7. 【請求項7】前記セラミックス部材が、基体と、この基
    体の表面の少なくとも一部を覆う表面層とを備えてお
    り、前記表面層が前記窒化アルミニウム質焼結体からな
    ることを特徴とする、請求項3−5のいずれか一つの請
    求項に記載の金属埋設品。
  8. 【請求項8】前記基体が窒化アルミニウムからなること
    を特徴とする、請求項7記載の金属埋設品。
  9. 【請求項9】前記セラミックス部材が、基体と、この基
    体の表面の少なくとも一部を覆う表面層とを備えてお
    り、前記基体が前記窒化アルミニウム質焼結体からなる
    ことを特徴とする、請求項3−5のいずれか一つの請求
    項に記載の金属埋設品。
  10. 【請求項10】前記表面層が窒化アルミニウムからなる
    ことを特徴とする、請求項9記載の金属埋設品。
  11. 【請求項11】前記基体と前記表面層が一体焼結されて
    いることを特徴とする、請求項7−10のいずれか一つ
    の請求項に記載の金属埋設品。
  12. 【請求項12】前記抵抗発熱体および前記電極が前記基
    体中に埋設されていることを特徴とする、請求項7−1
    1のいずれか一つの請求項に記載の金属埋設品。
  13. 【請求項13】前記抵抗発熱体が前記基体中に埋設され
    ており、前記電極が前記表面層中に埋設されていること
    を特徴とする、請求項7−11のいずれか一つの請求項
    に記載の金属埋設品。
  14. 【請求項14】前記セラミックス部材が、外殻層と、こ
    の外殻層の中に埋設されている内包層とを備えており、
    前記内包層が前記窒化アルミニウム質焼結体からなるこ
    とを特徴とする、請求項3−5のいずれか一つの請求項
    に記載の金属埋設品。
  15. 【請求項15】前記抵抗発熱体と前記電極との間に前記
    内包層が介在していることを特徴とする、請求項14記
    載の金属埋設品。
  16. 【請求項16】前記内包層中に前記電極が埋設されてい
    ることを特徴とする、請求項14記載の金属埋設品。
  17. 【請求項17】前記外殻層が窒化アルミニウムからなる
    ことを特徴とする、請求項14−16のいずれか一つの
    請求項に記載の金属埋設品。
  18. 【請求項18】前記表面層または前記外殻層を構成する
    前記窒化アルミニウム中のアルミニウム以外の金属不純
    物量が1000ppm以下であることを特徴とする、請
    求項10または17記載の金属埋設品。
  19. 【請求項19】半導体を保持する保持装置であって、ハ
    ロゲンガスプラズマに曝される耐食面と背面とを備える
    サセプターを備えており、前記サセプターの少なくとも
    一部が、請求項1または2記載の窒化アルミニウム質焼
    結体からなることを特徴とする、半導体保持装置。
  20. 【請求項20】半導体を保持する保持装置であって、ハ
    ロゲンガスプラズマに曝される耐食面と背面とを備える
    サセプターを備えており、前記サセプターが、請求項3
    −18のいずれか一つの請求項に記載の金属埋設品から
    なることを特徴とする、半導体保持装置。
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