JP2000061596A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents
鋼の連続鋳造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 連続鋳造用タンディッシュ内において安価で
且つ効率良く介在物を除去し、清浄性の優れた鋼を鋳造
する。 【解決手段】 取鍋2から受鋼点6に注入された溶鋼1
2を、流出孔7から鋳型3に中継供給するタンディッシ
ュ1を用いた鋼の連続鋳造方法において、前記受鋼点と
前記流出孔との中間位置よりも受鋼点側で、タンディッ
シュの厚み方向に貫通する静磁場8を溶鋼に印加すると
共に、静磁場が印加される位置近傍のタンディッシュ底
面若しくはタンディッシュ側壁面に設けたガス吹き込み
部材10から不活性ガスを溶鋼中に吹き込む。
且つ効率良く介在物を除去し、清浄性の優れた鋼を鋳造
する。 【解決手段】 取鍋2から受鋼点6に注入された溶鋼1
2を、流出孔7から鋳型3に中継供給するタンディッシ
ュ1を用いた鋼の連続鋳造方法において、前記受鋼点と
前記流出孔との中間位置よりも受鋼点側で、タンディッ
シュの厚み方向に貫通する静磁場8を溶鋼に印加すると
共に、静磁場が印加される位置近傍のタンディッシュ底
面若しくはタンディッシュ側壁面に設けたガス吹き込み
部材10から不活性ガスを溶鋼中に吹き込む。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンディッシュ内
で溶鋼中の非金属介在物を効率良く除去し、清浄性の優
れた鋼を鋳造することができる鋼の連続鋳造方法に関す
るものである。
で溶鋼中の非金属介在物を効率良く除去し、清浄性の優
れた鋼を鋳造することができる鋼の連続鋳造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】鋼中の非金属介在物(以下、「介在物」
と記す)は、最終製品における表面疵等欠陥の発生原因
となるので、極力除去する必要があり、そのため、最終
製品の品質に直接関与する連続鋳造工程では、清浄性の
優れた鋳片を得る手段として種々の介在物低減対策が実
施されてきた。そして、生産性向上のために鋳片引抜き
速度を高速度化させた最近の操業形態では、鋳型内での
介在物の分離・除去に限界があり、更に、近年の要求さ
れる品質の厳格化も加味され、溶鋼を鋳型に供給する以
前のタンディッシュにおける清浄性向上対策が特に重要
となっている。
と記す)は、最終製品における表面疵等欠陥の発生原因
となるので、極力除去する必要があり、そのため、最終
製品の品質に直接関与する連続鋳造工程では、清浄性の
優れた鋳片を得る手段として種々の介在物低減対策が実
施されてきた。そして、生産性向上のために鋳片引抜き
速度を高速度化させた最近の操業形態では、鋳型内での
介在物の分離・除去に限界があり、更に、近年の要求さ
れる品質の厳格化も加味され、溶鋼を鋳型に供給する以
前のタンディッシュにおける清浄性向上対策が特に重要
となっている。
【0003】タンディッシュ内で介在物を除去する方法
としては、不活性ガスを溶鋼中に吹き込み、介在物を不
活性ガス気泡で捕捉させ、介在物を気泡と共に浮上・分
離させる方法が有効であるが、気泡が大きいと介在物捕
捉の効果が少ないだけでなく、気泡が溶鋼表面から離脱
する際に溶滓を巻込んだり、空気による溶鋼の酸化の原
因となるため、微細化した気泡を吹き込む方法が数多く
提案されている。
としては、不活性ガスを溶鋼中に吹き込み、介在物を不
活性ガス気泡で捕捉させ、介在物を気泡と共に浮上・分
離させる方法が有効であるが、気泡が大きいと介在物捕
捉の効果が少ないだけでなく、気泡が溶鋼表面から離脱
する際に溶滓を巻込んだり、空気による溶鋼の酸化の原
因となるため、微細化した気泡を吹き込む方法が数多く
提案されている。
【0004】例えば、特開平8−117939号公報
(以下、「先行技術1」と記す)には、タンディッシュ
内の溶鋼の流れの方向に凹凸を有する通路を設けて溶鋼
を通過させ、凸部分よりガスを吹き込む方法が開示され
ている。先行技術1によれば、凸部分では溶鋼流速が速
くなり、この溶鋼流により剪断力が働いて気泡の離脱が
促進され、直径が2mm以下の微細な気泡を安定して吹
き込むことが可能としている。しかし、先行技術1で
は、凹凸の通路を有する堰をタンディッシュ内に設ける
必要があり、タンディッシュ耐火物の施工を複雑化して
製造コストの上昇を招くと共に、タンディッシュを熱間
で再使用する場合には、鋳造後に残った溶鋼や溶滓をタ
ンディッシュ外に排出する際、堰の存在により十分な排
出ができず、次鋳造の品質劣化を招く。
(以下、「先行技術1」と記す)には、タンディッシュ
内の溶鋼の流れの方向に凹凸を有する通路を設けて溶鋼
を通過させ、凸部分よりガスを吹き込む方法が開示され
ている。先行技術1によれば、凸部分では溶鋼流速が速
くなり、この溶鋼流により剪断力が働いて気泡の離脱が
促進され、直径が2mm以下の微細な気泡を安定して吹
き込むことが可能としている。しかし、先行技術1で
は、凹凸の通路を有する堰をタンディッシュ内に設ける
必要があり、タンディッシュ耐火物の施工を複雑化して
製造コストの上昇を招くと共に、タンディッシュを熱間
で再使用する場合には、鋳造後に残った溶鋼や溶滓をタ
ンディッシュ外に排出する際、堰の存在により十分な排
出ができず、次鋳造の品質劣化を招く。
【0005】又、特開昭58−58965号公報(以
下、「先行技術2」と記す)には、タンディッシュの下
部に設けた電磁攪拌装置によりポーラス煉瓦の表面近傍
の溶鋼を20〜80cm/secの流速で攪拌しつつ、
ポーラス煉瓦から不活性ガスを吹き込む方法が開示され
ている。先行技術2によれば、溶鋼流により気泡の離脱
が促進され、直径10mm以下の気泡を吹き込むことが
できるとしている。しかし、先行技術2では、電磁攪拌
装置でタンディッシュ底部の溶鋼を攪拌するので、例え
ば上流側から下流側に攪拌する場合には、取鍋からの受
鋼点から、鋳型への流出孔へと向かう短絡流を形成し、
介在物の浮上・分離にとって必ずしも適切な流動状態に
はならず、介在物の除去は十分とはいえない。
下、「先行技術2」と記す)には、タンディッシュの下
部に設けた電磁攪拌装置によりポーラス煉瓦の表面近傍
の溶鋼を20〜80cm/secの流速で攪拌しつつ、
ポーラス煉瓦から不活性ガスを吹き込む方法が開示され
ている。先行技術2によれば、溶鋼流により気泡の離脱
が促進され、直径10mm以下の気泡を吹き込むことが
できるとしている。しかし、先行技術2では、電磁攪拌
装置でタンディッシュ底部の溶鋼を攪拌するので、例え
ば上流側から下流側に攪拌する場合には、取鍋からの受
鋼点から、鋳型への流出孔へと向かう短絡流を形成し、
介在物の浮上・分離にとって必ずしも適切な流動状態に
はならず、介在物の除去は十分とはいえない。
【0006】一方、タンディッシュ内の溶鋼に静磁場を
印加し、溶鋼流速を制御して介在物を低減する方法も幾
つか提案されている。例えば、特開昭63−14074
5号公報(以下、「先行技術3」と記す)には、取鍋か
らの受鋼点と鋳型への流出孔との間に静磁場を印加し、
静磁場により溶鋼の流れを制動しつつ鋳造する方法が開
示されている。先行技術3によれば、取鍋からの落下流
に伴って生じた乱流は静磁場により鎮静されて層流とな
り、溶鋼中の介在物の浮上・分離が促進するとしている
が、溶鋼を制動するのみでは介在物は十分には除去され
ない。
印加し、溶鋼流速を制御して介在物を低減する方法も幾
つか提案されている。例えば、特開昭63−14074
5号公報(以下、「先行技術3」と記す)には、取鍋か
らの受鋼点と鋳型への流出孔との間に静磁場を印加し、
静磁場により溶鋼の流れを制動しつつ鋳造する方法が開
示されている。先行技術3によれば、取鍋からの落下流
に伴って生じた乱流は静磁場により鎮静されて層流とな
り、溶鋼中の介在物の浮上・分離が促進するとしている
が、溶鋼を制動するのみでは介在物は十分には除去され
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
タンディッシュにおけるガス吹き込みや静磁場印加によ
る介在物の除去方法は、安価で且つ十分に介在物を除去
する点において、未だ十分とはいえず改善する余地があ
る。
タンディッシュにおけるガス吹き込みや静磁場印加によ
る介在物の除去方法は、安価で且つ十分に介在物を除去
する点において、未だ十分とはいえず改善する余地があ
る。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みなされたも
ので、その目的とするところは、タンディッシュ内にお
いて安価で且つ効率良く介在物を除去し、清浄性の優れ
た鋼を鋳造することのできる連続鋳造方法を提供するこ
とである。
ので、その目的とするところは、タンディッシュ内にお
いて安価で且つ効率良く介在物を除去し、清浄性の優れ
た鋼を鋳造することのできる連続鋳造方法を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明による鋼の連
続鋳造方法は、取鍋から受鋼点に注入された溶鋼を、流
出孔から鋳型に中継供給するタンディッシュを用いた鋼
の連続鋳造方法において、前記受鋼点と前記流出孔との
中間位置よりも受鋼点側で、タンディッシュの厚み方向
に貫通する静磁場を溶鋼に印加すると共に、静磁場が印
加される位置近傍のタンディッシュ底面若しくはタンデ
ィッシュ側壁面から不活性ガスを溶鋼中に吹き込むこと
を特徴とするものである。
続鋳造方法は、取鍋から受鋼点に注入された溶鋼を、流
出孔から鋳型に中継供給するタンディッシュを用いた鋼
の連続鋳造方法において、前記受鋼点と前記流出孔との
中間位置よりも受鋼点側で、タンディッシュの厚み方向
に貫通する静磁場を溶鋼に印加すると共に、静磁場が印
加される位置近傍のタンディッシュ底面若しくはタンデ
ィッシュ側壁面から不活性ガスを溶鋼中に吹き込むこと
を特徴とするものである。
【0010】第2の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
1の発明において、受鋼点から静磁場印加位置までの水
平方向距離を、受鋼点から流出孔までの水平方向距離の
2/5以下とすることを特徴とするものである。
1の発明において、受鋼点から静磁場印加位置までの水
平方向距離を、受鋼点から流出孔までの水平方向距離の
2/5以下とすることを特徴とするものである。
【0011】第3の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
1の発明又は第2の発明において、静磁場の鉛直方向の
磁束密度分布を、溶鋼深さの1/2よりも浅い位置が最
大値となるようにすることを特徴とするものである。
1の発明又は第2の発明において、静磁場の鉛直方向の
磁束密度分布を、溶鋼深さの1/2よりも浅い位置が最
大値となるようにすることを特徴とするものである。
【0012】第4の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
1の発明乃至第3の発明の何れかの発明において、タン
ディッシュの側壁下部に、静磁場に対する遮蔽材を設け
て静磁場を印加することを特徴とするものである。
1の発明乃至第3の発明の何れかの発明において、タン
ディッシュの側壁下部に、静磁場に対する遮蔽材を設け
て静磁場を印加することを特徴とするものである。
【0013】第5の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
1の発明乃至第4の発明の何れかの発明において、静磁
場印加位置と不活性ガス吹き込み位置との水平方向距離
を、1.0m以下とすることを特徴とするものである。
1の発明乃至第4の発明の何れかの発明において、静磁
場印加位置と不活性ガス吹き込み位置との水平方向距離
を、1.0m以下とすることを特徴とするものである。
【0014】第6の発明による鋼の連続鋳造方法は、第
1の発明乃至第5の発明の何れかの発明において、その
内径が取鍋の排出孔内径以下である注入管を用いて取鍋
から注入することを特徴とするものである。
1の発明乃至第5の発明の何れかの発明において、その
内径が取鍋の排出孔内径以下である注入管を用いて取鍋
から注入することを特徴とするものである。
【0015】本発明者等はタンディッシュにおける介在
物の挙動を検討した結果、タンディッシュ内で介在物を
効率良く除去するためには、溶鋼中の介在物同士を凝集
合体させて大型化することと、吹き込む不活性ガス気泡
を微細化することの2点が重要であることを見出した。
即ち、介在物を大型化することと気泡を微細化すること
とで、介在物の浮上速度が速くなると共に、介在物が気
泡に捕捉される確率が高くなり、介在物が効率良く除去
されるからである。この介在物同士の凝集合体は、溶鋼
の攪拌強度に比例して発生することが知られている。
物の挙動を検討した結果、タンディッシュ内で介在物を
効率良く除去するためには、溶鋼中の介在物同士を凝集
合体させて大型化することと、吹き込む不活性ガス気泡
を微細化することの2点が重要であることを見出した。
即ち、介在物を大型化することと気泡を微細化すること
とで、介在物の浮上速度が速くなると共に、介在物が気
泡に捕捉される確率が高くなり、介在物が効率良く除去
されるからである。この介在物同士の凝集合体は、溶鋼
の攪拌強度に比例して発生することが知られている。
【0016】本発明では、取鍋からタンディッシュへ注
入される溶鋼の落下エネルギーを利用して溶鋼を強攪拌
し、介在物同士を凝集合体させる。落下エネルギーを利
用して溶鋼を攪拌する場合、攪拌される溶鋼量が少ない
ほど攪拌強度が増加するので、本発明では、取鍋からの
受鋼点と鋳型への流出孔との中間位置よりも受鋼点側で
溶鋼にタンディッシュの厚み方向に貫通する静磁場を印
加し、落下エネルギーにより攪拌される領域を静磁場が
印加される位置の上流側の狭い範囲に封じ込める。静磁
場を印加することで、静磁場を通過する溶鋼の流速が減
速されると同時に、あたかも静磁場が遮蔽物のように作
用して、溶鋼が静磁場に沿うように流れるため、溶鋼の
攪拌される範囲が静磁場の上流側に限定されるからであ
る。
入される溶鋼の落下エネルギーを利用して溶鋼を強攪拌
し、介在物同士を凝集合体させる。落下エネルギーを利
用して溶鋼を攪拌する場合、攪拌される溶鋼量が少ない
ほど攪拌強度が増加するので、本発明では、取鍋からの
受鋼点と鋳型への流出孔との中間位置よりも受鋼点側で
溶鋼にタンディッシュの厚み方向に貫通する静磁場を印
加し、落下エネルギーにより攪拌される領域を静磁場が
印加される位置の上流側の狭い範囲に封じ込める。静磁
場を印加することで、静磁場を通過する溶鋼の流速が減
速されると同時に、あたかも静磁場が遮蔽物のように作
用して、溶鋼が静磁場に沿うように流れるため、溶鋼の
攪拌される範囲が静磁場の上流側に限定されるからであ
る。
【0017】そして、静磁場が印加される位置は受鋼点
に近いので、静磁場印加位置の近傍では、タンディッシ
ュ底面に衝突した取鍋からの注入流がタンディッシュ底
面及び側壁面に沿って速い速度で流れている。そのた
め、静磁場印加位置近傍のタンディッシュ底面若しくは
側壁面から不活性ガスを溶鋼中に吹き込むと、底面及び
側壁面に沿って流れる溶鋼により不活性ガス気泡の離脱
が促進され、気泡は微細化する。
に近いので、静磁場印加位置の近傍では、タンディッシ
ュ底面に衝突した取鍋からの注入流がタンディッシュ底
面及び側壁面に沿って速い速度で流れている。そのた
め、静磁場印加位置近傍のタンディッシュ底面若しくは
側壁面から不活性ガスを溶鋼中に吹き込むと、底面及び
側壁面に沿って流れる溶鋼により不活性ガス気泡の離脱
が促進され、気泡は微細化する。
【0018】このようにして、溶鋼の落下エネルギーに
より凝集合体した介在物は、微細な気泡に捕捉され、気
泡と共に迅速に浮上して除去され、溶鋼の清浄性が向上
する。更に、静磁場を通過する溶鋼は、所謂電磁ブレー
キ効果により減速され、静磁場の下流側では溶鋼流速が
均一化された層流となるので、介在物の浮上が一層促進
する。尚、層流となる理由は、静磁場印加では溶鋼流速
が速ければ速いほど減速されるので、溶鋼流速分布が均
一化されるからである。
より凝集合体した介在物は、微細な気泡に捕捉され、気
泡と共に迅速に浮上して除去され、溶鋼の清浄性が向上
する。更に、静磁場を通過する溶鋼は、所謂電磁ブレー
キ効果により減速され、静磁場の下流側では溶鋼流速が
均一化された層流となるので、介在物の浮上が一層促進
する。尚、層流となる理由は、静磁場印加では溶鋼流速
が速ければ速いほど減速されるので、溶鋼流速分布が均
一化されるからである。
【0019】その際に、受鋼点から静磁場印加位置まで
の水平方向距離を、受鋼点から流出孔までの水平方向距
離の2/5以下とすることで、溶鋼の攪拌域が狭くなる
と共に、ガス吹き込み位置の溶鋼流速が確保され、図7
に示すように、介在物が安定して低減する。尚、図7は
後述の実施例で詳細に説明する。
の水平方向距離を、受鋼点から流出孔までの水平方向距
離の2/5以下とすることで、溶鋼の攪拌域が狭くなる
と共に、ガス吹き込み位置の溶鋼流速が確保され、図7
に示すように、介在物が安定して低減する。尚、図7は
後述の実施例で詳細に説明する。
【0020】そして、静磁場の鉛直方向の磁束密度分布
を、図1に示すように、静磁場が印加される位置の溶鋼
深さの1/2よりも浅い位置で最大値となるようにする
と、タンディッシュ底面側の磁束密度は相対的に弱くな
る。又、タンディッシュ側壁下部に磁場に対する遮蔽材
を設けることで、図2に示すように、タンディッシュ底
面側の磁束密度は相対的に弱くなる。このようにして静
磁場の相対的に弱い領域をタンディッシュ底部に形成す
ると、この領域を溶鋼が集中的に流れ、その領域での溶
鋼流速は増加する。即ち、不活性ガスを吹き込むタンデ
ィッシュ底面の溶鋼流速が速くなり、気泡の微細化が促
進される。尚、図1は、磁束密度の最大値の位置を溶鋼
深さの1/2よりも浅くした場合の鉛直方向磁束密度の
例を示す概念図であり、又、図2は、タンディッシュ側
壁下部に磁場に対する遮蔽材を設置した場合の鉛直方向
磁束密度の例を示す概念図である。
を、図1に示すように、静磁場が印加される位置の溶鋼
深さの1/2よりも浅い位置で最大値となるようにする
と、タンディッシュ底面側の磁束密度は相対的に弱くな
る。又、タンディッシュ側壁下部に磁場に対する遮蔽材
を設けることで、図2に示すように、タンディッシュ底
面側の磁束密度は相対的に弱くなる。このようにして静
磁場の相対的に弱い領域をタンディッシュ底部に形成す
ると、この領域を溶鋼が集中的に流れ、その領域での溶
鋼流速は増加する。即ち、不活性ガスを吹き込むタンデ
ィッシュ底面の溶鋼流速が速くなり、気泡の微細化が促
進される。尚、図1は、磁束密度の最大値の位置を溶鋼
深さの1/2よりも浅くした場合の鉛直方向磁束密度の
例を示す概念図であり、又、図2は、タンディッシュ側
壁下部に磁場に対する遮蔽材を設置した場合の鉛直方向
磁束密度の例を示す概念図である。
【0021】静磁場印加位置と不活性ガス吹き込み位置
との水平方向距離を1.0m以下とすることで、ガス吹
き込み位置における注入流による溶鋼流速の減衰を抑
え、気泡を微細化することができる。又、タンディッシ
ュ底面側の磁束密度を相対的に弱くした場合には、静磁
場印加位置と不活性ガス吹き込み位置との水平方向距離
を1.0m以下とすることで、図3に示すように、不活
性ガス吹き込み位置での溶鋼流速が上昇して気泡の微細
化が促進される。尚、図3は、後述の実施例1に示すタ
ンディッシュを用い、ガス吹き込み位置を静磁場印加位
置から0m、0.5m、1.0m、1.5m、及び2.
0mの5水準として浮上してくる気泡の大きさを観察
し、気泡の平均直径を求めた結果を示す図であり、静磁
場印加位置とガス吹き込み位置との距離を1.0m以下
とすることで、2.0mm以下の気泡が安定して得られ
ることが分かる。
との水平方向距離を1.0m以下とすることで、ガス吹
き込み位置における注入流による溶鋼流速の減衰を抑
え、気泡を微細化することができる。又、タンディッシ
ュ底面側の磁束密度を相対的に弱くした場合には、静磁
場印加位置と不活性ガス吹き込み位置との水平方向距離
を1.0m以下とすることで、図3に示すように、不活
性ガス吹き込み位置での溶鋼流速が上昇して気泡の微細
化が促進される。尚、図3は、後述の実施例1に示すタ
ンディッシュを用い、ガス吹き込み位置を静磁場印加位
置から0m、0.5m、1.0m、1.5m、及び2.
0mの5水準として浮上してくる気泡の大きさを観察
し、気泡の平均直径を求めた結果を示す図であり、静磁
場印加位置とガス吹き込み位置との距離を1.0m以下
とすることで、2.0mm以下の気泡が安定して得られ
ることが分かる。
【0022】一方、本発明では、介在物同士を凝集合体
させるために、タンディッシュへ注入される溶鋼の落下
エネルギーを利用する。取鍋からタンディッシュへ注入
管を用いて注入する際、注入管内での溶鋼流の乱れ等に
より落下エネルギーを損失するが、注入管内径を取鍋の
排出孔内径以下とすることで、注入管内は充満流に近い
状態になり、落下エネルギーの損失を減少させることが
できる。
させるために、タンディッシュへ注入される溶鋼の落下
エネルギーを利用する。取鍋からタンディッシュへ注入
管を用いて注入する際、注入管内での溶鋼流の乱れ等に
より落下エネルギーを損失するが、注入管内径を取鍋の
排出孔内径以下とすることで、注入管内は充満流に近い
状態になり、落下エネルギーの損失を減少させることが
できる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき説明
する。図4は、本発明の実施の形態の1例を示す連続鋳
造設備の概要図であり、図5は、図4における注入管の
取り付け構造の詳細図である。
する。図4は、本発明の実施の形態の1例を示す連続鋳
造設備の概要図であり、図5は、図4における注入管の
取り付け構造の詳細図である。
【0024】図4において、内面を耐火物で構築された
タンディッシュ1が、タンディッシュカー(図示せず)
に搭載されて鋳型3の上方所定位置に配置され、又、タ
ンディッシュ1の上方所定位置には溶鋼12を収容した
取鍋2が配置されている。取鍋2の底部には、スライデ
ィングノズル11とスライディングノズル11の下面側
に接続する注入管4とが設けられており、取鍋2内の溶
鋼12は、スライディングノズル11及び注入管4を通
り、タンディッシュ1の短辺側底面の受鋼点6に向けて
注入される。又、受鋼点6の反対側の短辺側底部には、
鋳型3への流出孔7を形成する浸漬ノズル5が、タンデ
ィッシュ1の耐火物に嵌合して設けられており、タンデ
ィッシュ1に注入された溶鋼12は、浸漬ノズル5を通
り、鋳型3内に鋳造される。
タンディッシュ1が、タンディッシュカー(図示せず)
に搭載されて鋳型3の上方所定位置に配置され、又、タ
ンディッシュ1の上方所定位置には溶鋼12を収容した
取鍋2が配置されている。取鍋2の底部には、スライデ
ィングノズル11とスライディングノズル11の下面側
に接続する注入管4とが設けられており、取鍋2内の溶
鋼12は、スライディングノズル11及び注入管4を通
り、タンディッシュ1の短辺側底面の受鋼点6に向けて
注入される。又、受鋼点6の反対側の短辺側底部には、
鋳型3への流出孔7を形成する浸漬ノズル5が、タンデ
ィッシュ1の耐火物に嵌合して設けられており、タンデ
ィッシュ1に注入された溶鋼12は、浸漬ノズル5を通
り、鋳型3内に鋳造される。
【0025】そして、受鋼点6と流出孔7との中間位置
よりも受鋼点6側のタンディッシュ1の側壁背面に、異
極がタンディッシュ1を挟んで対向するように静磁場発
生装置8を設置する。静磁場発生装置8は、異極間でタ
ンディッシュ1の側壁を貫通する静磁場、即ち、タンデ
ィッシュ1の厚み方向に貫通する静磁場を発生する。
尚、受鋼点6から静磁場発生装置8までの水平方向距離
を、受鋼点6から流出孔7までの水平方向距離の2/5
以下とすることが好ましい。又、静磁場発生装置8は永
久磁石型でも良いが、磁束密度を調整することが可能な
直流電源に連結された直流電磁石型が望ましい。静磁場
発生装置8の磁束密度は最大0.4テスラ程度の工業的
に通常使用されているもので良い。
よりも受鋼点6側のタンディッシュ1の側壁背面に、異
極がタンディッシュ1を挟んで対向するように静磁場発
生装置8を設置する。静磁場発生装置8は、異極間でタ
ンディッシュ1の側壁を貫通する静磁場、即ち、タンデ
ィッシュ1の厚み方向に貫通する静磁場を発生する。
尚、受鋼点6から静磁場発生装置8までの水平方向距離
を、受鋼点6から流出孔7までの水平方向距離の2/5
以下とすることが好ましい。又、静磁場発生装置8は永
久磁石型でも良いが、磁束密度を調整することが可能な
直流電源に連結された直流電磁石型が望ましい。静磁場
発生装置8の磁束密度は最大0.4テスラ程度の工業的
に通常使用されているもので良い。
【0026】その際、印加する静磁場の鉛直方向の磁束
密度分布を、タンディッシュ1の底部側が相対的に弱く
なるようにすることが好ましい。この磁束密度分布は、
以下に記す手段で得ることができる。1つの手段は、静
磁場発生装置8の鉛直方向中心位置を、静磁場発生装置
8を設置する位置の溶鋼深さHの1/2以上の位置と
し、鉛直方向の磁束密度の最大値を溶鋼深さHの1/2
よりも浅い位置とすることである。鉛直方向の磁束密度
分布は、通常正規分布となるので、このように配置する
ことで、前述の図1に示すように、タンディッシュ1の
底部側の磁束密度を相対的に弱くすることができる。他
の手段は、静磁場発生装置8とタンディッシュ1の側壁
との間のタンディッシュ1の下部側に、静磁場に対する
遮蔽材9を設けて静磁場を遮蔽することで、前述の図2
に示すように、タンディッシュ1の底部側の磁束密度を
相対的に弱くすることができる。静磁場は遮蔽材9によ
り遮断され、タンディッシュ1の底部側の磁束密度は相
対的に弱くなる。遮蔽材9は、磁気遮蔽効果に優れた、
例えば純鉄、磁性鋼、珪素鋼等の軟質磁性材料で構成す
れば良い。尚、当然ながら、上記2つの手段を組み合わ
せても良い。
密度分布を、タンディッシュ1の底部側が相対的に弱く
なるようにすることが好ましい。この磁束密度分布は、
以下に記す手段で得ることができる。1つの手段は、静
磁場発生装置8の鉛直方向中心位置を、静磁場発生装置
8を設置する位置の溶鋼深さHの1/2以上の位置と
し、鉛直方向の磁束密度の最大値を溶鋼深さHの1/2
よりも浅い位置とすることである。鉛直方向の磁束密度
分布は、通常正規分布となるので、このように配置する
ことで、前述の図1に示すように、タンディッシュ1の
底部側の磁束密度を相対的に弱くすることができる。他
の手段は、静磁場発生装置8とタンディッシュ1の側壁
との間のタンディッシュ1の下部側に、静磁場に対する
遮蔽材9を設けて静磁場を遮蔽することで、前述の図2
に示すように、タンディッシュ1の底部側の磁束密度を
相対的に弱くすることができる。静磁場は遮蔽材9によ
り遮断され、タンディッシュ1の底部側の磁束密度は相
対的に弱くなる。遮蔽材9は、磁気遮蔽効果に優れた、
例えば純鉄、磁性鋼、珪素鋼等の軟質磁性材料で構成す
れば良い。尚、当然ながら、上記2つの手段を組み合わ
せても良い。
【0027】そして、静磁場発生装置8の近傍のタンデ
ィッシュ1の底面若しくは側壁面に、Arガス等の不活
性ガスを溶鋼12中に吹き込むことのできるガス吹き込
み部材10を設ける。但し、側壁面に設置する場合に
は、溶鋼12の攪拌領域を広げるために、溶鋼深さの1
/2以上深い位置に設置することが好ましい。ガス吹き
込み部材10は慣用のポーラス煉瓦等とする。尚、静磁
場発生装置8とガス吹き込み部材10との水平方向距離
を1.0m以下とすることが好ましい。
ィッシュ1の底面若しくは側壁面に、Arガス等の不活
性ガスを溶鋼12中に吹き込むことのできるガス吹き込
み部材10を設ける。但し、側壁面に設置する場合に
は、溶鋼12の攪拌領域を広げるために、溶鋼深さの1
/2以上深い位置に設置することが好ましい。ガス吹き
込み部材10は慣用のポーラス煉瓦等とする。尚、静磁
場発生装置8とガス吹き込み部材10との水平方向距離
を1.0m以下とすることが好ましい。
【0028】図5において、取鍋2の底部には、取鍋2
の排出孔を形成する上ノズル14が、鉄皮18を貫通
し、内張り煉瓦19に嵌合して設置されている。そし
て、固定板15、摺動板16、及び整流ノズル17から
成るスライディングノズル11が上ノズル14の下面側
と接続されており、整流ノズル17の下面側に注入管4
が接続されている。注入管4の内径は、図5に示すよう
に、上端が上ノズル14の内径D0 に等しく、下端が上
ノズル14の内径D0 よりも小さい内径Dであり、上端
から下端に向けてテーパー状になっている。注入管4の
内径は上ノズル14の内径D0 よりも大きくても良い
が、注入管4の内径を、例えば図5に示すように、上ノ
ズル14の内径D0 以下とすることが好ましい。但し、
必ずしもテーパー状とする必要はない。
の排出孔を形成する上ノズル14が、鉄皮18を貫通
し、内張り煉瓦19に嵌合して設置されている。そし
て、固定板15、摺動板16、及び整流ノズル17から
成るスライディングノズル11が上ノズル14の下面側
と接続されており、整流ノズル17の下面側に注入管4
が接続されている。注入管4の内径は、図5に示すよう
に、上端が上ノズル14の内径D0 に等しく、下端が上
ノズル14の内径D0 よりも小さい内径Dであり、上端
から下端に向けてテーパー状になっている。注入管4の
内径は上ノズル14の内径D0 よりも大きくても良い
が、注入管4の内径を、例えば図5に示すように、上ノ
ズル14の内径D0 以下とすることが好ましい。但し、
必ずしもテーパー状とする必要はない。
【0029】このような構成の連続鋳造設備を用いて、
取鍋2内の溶鋼12を受鋼点6に注入すると、タンディ
ッシュ1内の溶鋼12は、静磁場発生装置8の設置位置
を境として、受鋼点6側では強攪拌されて介在物の凝集
合体が促進して大型化し、そして、静磁場発生装置8を
通過すると減速して縦断面方向の溶鋼流速が均一化す
る。又、ガス吹き込み部材10から吹き込まれた不活性
ガスは、微細化された気泡となって溶鋼12中の介在物
を捕捉し、タンディッシュ1内の溶鋼湯面に浮上する。
そのため、介在物は効率良く溶鋼12から除去され、鋳
型3へは介在物の少ない清浄な溶鋼12が鋳造される。
鋳型3内に鋳造された溶鋼12は鋳型3内で冷却されて
凝固し、清浄性の優れた鋳片13が鋳造される。
取鍋2内の溶鋼12を受鋼点6に注入すると、タンディ
ッシュ1内の溶鋼12は、静磁場発生装置8の設置位置
を境として、受鋼点6側では強攪拌されて介在物の凝集
合体が促進して大型化し、そして、静磁場発生装置8を
通過すると減速して縦断面方向の溶鋼流速が均一化す
る。又、ガス吹き込み部材10から吹き込まれた不活性
ガスは、微細化された気泡となって溶鋼12中の介在物
を捕捉し、タンディッシュ1内の溶鋼湯面に浮上する。
そのため、介在物は効率良く溶鋼12から除去され、鋳
型3へは介在物の少ない清浄な溶鋼12が鋳造される。
鋳型3内に鋳造された溶鋼12は鋳型3内で冷却されて
凝固し、清浄性の優れた鋳片13が鋳造される。
【0030】尚、上記説明は単ストランド鋳造のタンデ
ィッシュ1における説明であるが、本発明は単ストラン
ド鋳造に限るものではなく、中央に受鋼点6が設置さ
れ、受鋼点6の左右に鋳型3が配置された多ストランド
鋳造であっても、受鋼点6の左右に静磁場発生装置8を
設置することで、本発明を適用することができる。又、
本発明における2点間の距離は中心点同士を結ぶ距離で
ある。
ィッシュ1における説明であるが、本発明は単ストラン
ド鋳造に限るものではなく、中央に受鋼点6が設置さ
れ、受鋼点6の左右に鋳型3が配置された多ストランド
鋳造であっても、受鋼点6の左右に静磁場発生装置8を
設置することで、本発明を適用することができる。又、
本発明における2点間の距離は中心点同士を結ぶ距離で
ある。
【0031】
【実施例】[実施例1]図4に示す連続鋳造設備を用い
て静磁場印加位置を5水準に変更した試験(試験1〜
5)を実施し、鋼中介在物量に及ぼす静磁場印加位置の
影響を調査した。用いたタンディッシュは、定常鋳造時
のタンディッシュ内溶鋼の深さが、最も浅い受鋼点位置
で1.0m、最も深い流出孔位置で2.0mであり、タ
ンディッシュの水平方向長さが約6.0m、受鋼点から
流出孔までの水平方向距離が5.0m、タンディッシュ
容量が60トンである。又、用いた注入管は、上端内径
が上ノズルの内径と等しい65mmφで、下端内径が5
5mmφである。
て静磁場印加位置を5水準に変更した試験(試験1〜
5)を実施し、鋼中介在物量に及ぼす静磁場印加位置の
影響を調査した。用いたタンディッシュは、定常鋳造時
のタンディッシュ内溶鋼の深さが、最も浅い受鋼点位置
で1.0m、最も深い流出孔位置で2.0mであり、タ
ンディッシュの水平方向長さが約6.0m、受鋼点から
流出孔までの水平方向距離が5.0m、タンディッシュ
容量が60トンである。又、用いた注入管は、上端内径
が上ノズルの内径と等しい65mmφで、下端内径が5
5mmφである。
【0032】静磁場発生装置として直流電磁石を用い、
試験1では受鋼点から水平方向に1.5m離れた位置に
設置した。同様に、試験2では2.0m、試験3では
2.5m、試験4では3.0m、試験5では3.5mと
した。各々の試験で、直流電磁石とタンディッシュ側壁
との間のタンディッシュ側壁下部に珪素鋼板を遮蔽材と
して設置し、又、直流電磁石から水平方向に0.5m離
れた下流側のタンディッシュ底部に、ガス吹き込み部材
として幅が100mm、長さが60mmのポーラス煉瓦
をタンディッシュの長さ方向と直角に設置した。そし
て、ポーラス煉瓦から高純度Arガスを5リットル/m
inで吹き込んだ。図6に直流電磁石の中心位置の鉛直
方向磁束密度を示すが、図6に示すように、磁束密度の
最大値は0.2テスラであった。
試験1では受鋼点から水平方向に1.5m離れた位置に
設置した。同様に、試験2では2.0m、試験3では
2.5m、試験4では3.0m、試験5では3.5mと
した。各々の試験で、直流電磁石とタンディッシュ側壁
との間のタンディッシュ側壁下部に珪素鋼板を遮蔽材と
して設置し、又、直流電磁石から水平方向に0.5m離
れた下流側のタンディッシュ底部に、ガス吹き込み部材
として幅が100mm、長さが60mmのポーラス煉瓦
をタンディッシュの長さ方向と直角に設置した。そし
て、ポーラス煉瓦から高純度Arガスを5リットル/m
inで吹き込んだ。図6に直流電磁石の中心位置の鉛直
方向磁束密度を示すが、図6に示すように、磁束密度の
最大値は0.2テスラであった。
【0033】そして、鋳片厚みが250mm、鋳片幅が
2000mmの鋳片を、鋳片引抜き速度1.8m/mi
nで連続鋳造した。鋳造後、鋳片から試験片を切り出
し、溶解抽出法により介在物を抽出して鋼中の介在物量
を調査した。図7は、このようにして抽出した介在物量
を指数化して比較した図であるが、図7に示すように、
静磁場印加位置の違いにより鋼中の介在物量が変化して
おり、静磁場印加位置をタンディッシュの上流側とした
試験1から試験3では、介在物低減効果が発揮され、特
に、静磁場印加位置を受鋼点と流出孔との水平方向距離
の2/5以下とした試験1及び試験2では、顕著な低減
効果が見られた。試験3及び試験4では顕著な介在物低
減効果を期待できないことが分かった。尚、介在物量指
数は、値が小さいほど鋼中介在物量が少ないことを示し
ている。
2000mmの鋳片を、鋳片引抜き速度1.8m/mi
nで連続鋳造した。鋳造後、鋳片から試験片を切り出
し、溶解抽出法により介在物を抽出して鋼中の介在物量
を調査した。図7は、このようにして抽出した介在物量
を指数化して比較した図であるが、図7に示すように、
静磁場印加位置の違いにより鋼中の介在物量が変化して
おり、静磁場印加位置をタンディッシュの上流側とした
試験1から試験3では、介在物低減効果が発揮され、特
に、静磁場印加位置を受鋼点と流出孔との水平方向距離
の2/5以下とした試験1及び試験2では、顕著な低減
効果が見られた。試験3及び試験4では顕著な介在物低
減効果を期待できないことが分かった。尚、介在物量指
数は、値が小さいほど鋼中介在物量が少ないことを示し
ている。
【0034】このように、受鋼点と流出孔との中間位置
よりも受鋼点側で静磁場を印加すると共に、静磁場印加
位置の近傍で不活性ガス吹き込みを行なうことで、清浄
性に優れた鋳片を製造できることが確認された。
よりも受鋼点側で静磁場を印加すると共に、静磁場印加
位置の近傍で不活性ガス吹き込みを行なうことで、清浄
性に優れた鋳片を製造できることが確認された。
【0035】[実施例2]図4に示す連続鋳造設備を用
い、受鋼点から電磁石までの水平方向距離を1.5mの
1水準とし、その他の条件を実施例1と同一として鋳片
厚みが250mm、鋳片幅が2000mmの鋳片を、鋳
片引抜き速度1.8m/minで連続鋳造した(実施例
2)。その際、一連の鋳造途中で、試験的に静磁場印加
を停止した鋳造(比較例1)、Arガス吹き込みを停止
した鋳造(比較例2)、及び、静磁場印加とArガス吹
き込みとを共に停止した鋳造(比較例3)も実施した。
い、受鋼点から電磁石までの水平方向距離を1.5mの
1水準とし、その他の条件を実施例1と同一として鋳片
厚みが250mm、鋳片幅が2000mmの鋳片を、鋳
片引抜き速度1.8m/minで連続鋳造した(実施例
2)。その際、一連の鋳造途中で、試験的に静磁場印加
を停止した鋳造(比較例1)、Arガス吹き込みを停止
した鋳造(比較例2)、及び、静磁場印加とArガス吹
き込みとを共に停止した鋳造(比較例3)も実施した。
【0036】鋳造後、鋳片から試験片を切り出し、溶解
抽出法により介在物を抽出して鋼中の介在物量を調査し
た。図8は、このようにして抽出した介在物量を指数化
して比較した図であるが、図8に示すように、実施例2
では比較例3の約1/3に介在物量を低減することがで
き、清浄性の高い鋳片を得ることができた。ガス吹き込
み若しくは静磁場の印加を停止した比較例1及び比較例
2では、顕著な介在物低減効果が確認されなかった。
抽出法により介在物を抽出して鋼中の介在物量を調査し
た。図8は、このようにして抽出した介在物量を指数化
して比較した図であるが、図8に示すように、実施例2
では比較例3の約1/3に介在物量を低減することがで
き、清浄性の高い鋳片を得ることができた。ガス吹き込
み若しくは静磁場の印加を停止した比較例1及び比較例
2では、顕著な介在物低減効果が確認されなかった。
【0037】[実施例3]図4に示す連続鋳造設備を用
いて注入管の内径を2水準に変更し、鋼中介在物量に及
ぼす注入管の影響を調査した。実施例3では、上端内径
が上ノズルの内径と等しい65mmφで、下端内径が5
5mmφの注入管を用い、又、実施例4では、上端から
下端までの内径が120mmφ一定の注入管を用いた。
そして、静磁場設置位置を受鋼点から1.0mの位置と
した以外は実施例1と同一のタンディッシュを用いて、
静磁場を印加しつつArガス吹き込みを行いながら、鋳
片厚みが250mm、鋳片幅が2000mmの鋳片を、
鋳片引抜き速度1.8m/minで連続鋳造した。又、
実施例3の鋳造途中で静磁場の印加を停止した鋳造(比
較例4)、及び実施例4の鋳造途中で静磁場の印加を停
止した鋳造(比較例5)も実施した。
いて注入管の内径を2水準に変更し、鋼中介在物量に及
ぼす注入管の影響を調査した。実施例3では、上端内径
が上ノズルの内径と等しい65mmφで、下端内径が5
5mmφの注入管を用い、又、実施例4では、上端から
下端までの内径が120mmφ一定の注入管を用いた。
そして、静磁場設置位置を受鋼点から1.0mの位置と
した以外は実施例1と同一のタンディッシュを用いて、
静磁場を印加しつつArガス吹き込みを行いながら、鋳
片厚みが250mm、鋳片幅が2000mmの鋳片を、
鋳片引抜き速度1.8m/minで連続鋳造した。又、
実施例3の鋳造途中で静磁場の印加を停止した鋳造(比
較例4)、及び実施例4の鋳造途中で静磁場の印加を停
止した鋳造(比較例5)も実施した。
【0038】鋳造後、鋳片から試験片を切り出し、溶解
抽出法により介在物を抽出して鋼中の介在物量を調査し
た。図9は、このようにして抽出した介在物量を指数化
して比較した図であるが、図9に示すように、注入管の
内径を上ノズルの内径以下とした実施例3では顕著な介
在物低減効果が確認された。実施例4は、実施例3に比
べれば介在物低減効果が少ないが、介在物量指数が40
以下の鋳片を得ることができた。比較例4及び比較例5
では、顕著な介在物低減効果が確認されなかった。
抽出法により介在物を抽出して鋼中の介在物量を調査し
た。図9は、このようにして抽出した介在物量を指数化
して比較した図であるが、図9に示すように、注入管の
内径を上ノズルの内径以下とした実施例3では顕著な介
在物低減効果が確認された。実施例4は、実施例3に比
べれば介在物低減効果が少ないが、介在物量指数が40
以下の鋳片を得ることができた。比較例4及び比較例5
では、顕著な介在物低減効果が確認されなかった。
【0039】
【発明の効果】本発明では、静磁場印加により溶鋼中介
在物を大型化し、大型化した介在物を微細化された気泡
により浮上・分離するので、安価で且つ効率良く清浄性
の優れた鋳片を製造することができる。又、堰を必要と
しないので熱間で再使用するタンディッシュにも適用可
能であり、工業的メリットは多大である。
在物を大型化し、大型化した介在物を微細化された気泡
により浮上・分離するので、安価で且つ効率良く清浄性
の優れた鋳片を製造することができる。又、堰を必要と
しないので熱間で再使用するタンディッシュにも適用可
能であり、工業的メリットは多大である。
【図1】磁束密度の最大値の位置を溶鋼深さの1/2よ
りも浅くした場合の鉛直方向磁束密度の例を示す概念図
である。
りも浅くした場合の鉛直方向磁束密度の例を示す概念図
である。
【図2】タンディッシュ側壁下部に磁場に対する遮蔽材
を設置した場合の鉛直方向磁束密度の例を示す概念図で
ある。
を設置した場合の鉛直方向磁束密度の例を示す概念図で
ある。
【図3】生成されるガス気泡の大きさに及ぼす静磁場印
加位置とガス吹き込み位置との距離の影響を示す図であ
る。
加位置とガス吹き込み位置との距離の影響を示す図であ
る。
【図4】本発明の実施の形態の1例を示す連続鋳造設備
の概要図である。
の概要図である。
【図5】図4における注入管の取り付け構造の詳細図で
ある。
ある。
【図6】本発明の実施例で印加した静磁場の鉛直方向磁
束密度を示す図である。
束密度を示す図である。
【図7】鋼中介在物量に及ぼす静磁場印加位置の影響を
調査した結果を示す図である。
調査した結果を示す図である。
【図8】本発明の実施例と比較例とで、鋼中介在物量を
比較して示す図である。
比較して示す図である。
【図9】本発明の実施例と比較例とで、鋼中介在物量を
比較して示す図である。
比較して示す図である。
1 タンディッシュ
2 取鍋
3 鋳型
4 注入管
5 浸漬ノズル
6 受鋼点
7 流出孔
8 静磁場発生装置
9 遮蔽材
10 ガス吹き込み部材
11 スライディングノズル
12 溶鋼
13 鋳片
Claims (6)
- 【請求項1】 取鍋から受鋼点に注入された溶鋼を、流
出孔から鋳型に中継供給するタンディッシュを用いた鋼
の連続鋳造方法において、前記受鋼点と前記流出孔との
中間位置よりも受鋼点側で、タンディッシュの厚み方向
に貫通する静磁場を溶鋼に印加すると共に、静磁場が印
加される位置近傍のタンディッシュ底面若しくはタンデ
ィッシュ側壁面から不活性ガスを溶鋼中に吹き込むこと
を特徴とする鋼の連続鋳造方法。 - 【請求項2】 受鋼点から静磁場印加位置までの水平方
向距離を、受鋼点から流出孔までの水平方向距離の2/
5以下とすることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連
続鋳造方法。 - 【請求項3】 静磁場の鉛直方向の磁束密度分布を、溶
鋼深さの1/2よりも浅い位置が最大値となるようにす
ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鋼の
連続鋳造方法。 - 【請求項4】 タンディッシュの側壁下部に、静磁場に
対する遮蔽材を設けて静磁場を印加することを特徴とす
る請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の鋼の連続
鋳造方法。 - 【請求項5】 静磁場印加位置と不活性ガス吹き込み位
置との水平方向距離を、1.0m以下とすることを特徴
とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の鋼の
連続鋳造方法。 - 【請求項6】 その内径が取鍋の排出孔内径以下である
注入管を用いて取鍋から注入することを特徴とする請求
項1乃至請求項5の何れか1つに記載の鋼の連続鋳造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10237538A JP2000061596A (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | 鋼の連続鋳造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10237538A JP2000061596A (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | 鋼の連続鋳造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000061596A true JP2000061596A (ja) | 2000-02-29 |
Family
ID=17016827
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10237538A Pending JP2000061596A (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | 鋼の連続鋳造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000061596A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008126928A1 (ja) * | 2007-04-10 | 2008-10-23 | Nippon Steel Corporation | スラブの連続鋳造装置およびその連続鋳造方法 |
-
1998
- 1998-08-24 JP JP10237538A patent/JP2000061596A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008126928A1 (ja) * | 2007-04-10 | 2008-10-23 | Nippon Steel Corporation | スラブの連続鋳造装置およびその連続鋳造方法 |
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