JP2000057636A - ディスク基板の製造用原盤及びディスク基板の製造方法 - Google Patents

ディスク基板の製造用原盤及びディスク基板の製造方法

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JP2000057636A
JP2000057636A JP10229108A JP22910898A JP2000057636A JP 2000057636 A JP2000057636 A JP 2000057636A JP 10229108 A JP10229108 A JP 10229108A JP 22910898 A JP22910898 A JP 22910898A JP 2000057636 A JP2000057636 A JP 2000057636A
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stamper
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surface tension
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Etsuro Ikeda
悦郎 池田
Masaki Takenouchi
正樹 竹之内
Yuichiro Doi
祐一郎 土居
Hiroshi Otsuki
洋 大槻
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Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂材料に内添される少ない離型材を効率的
に利用して離型性の改善を図ることにより、「捨て打
ち」の回数を大幅に削減するとともに、メンテナンスの
周期を長くすることが可能なディスク基板の製造用原盤
及びこれを用いたディスク基板の製造方法を提供する。 【解決手段】 パターン転写面となる表面の臨界表面張
力を40dyn/cm以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂材料よりなる
ディスク基板を射出成形する際に用いられるディスク基
板の製造用原盤及びこれを用いたディスク基板の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】光を用いて情報信号の記録及び/又は再
生が行われる光ディスクは、大容量の記録が可能な記録
媒体として益々普及してきている。
【0003】このような光ディスクを製造する場合、例
えば、ポリカーボネート(PC)やポリメチルメタクリ
レート(PMMA)、アモルファスポリオレフィン樹脂
(APO)等の樹脂材料を射出成形して透明なディスク
基板を得た後に、このディスク基板上に反射膜や記録層
を形成するというのが一般的である。
【0004】このような光ディスクの中で、情報信号を
示すピットや案内溝であるグルーブ等の凹凸パターンが
予め形成された光ディスクを製造する場合は、射出成形
機の金型に所望の凹凸パターンに応じたパターンが形成
されたスタンパを取り付け、或いは金型自体に所望の凹
凸パターンに応じたパターンを形成して、上記樹脂材料
を熱溶融して金型のキャビティ内に充填し、加圧、冷却
工程を経て成型されたディスク基板を上記スタンパ或い
は金型から離型することで、所望の凹凸パターンが転写
形成されたディスク基板を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年の光デ
ィスクの高密度化、高容量化に伴い、スタンパや金型の
転写面に描かれるパターンは益々緻密になってきてお
り、このような緻密なパターンを精度良く転写するため
に、射出成形時の樹脂温度は高温に設定される傾向にあ
る。また、同時に、生産効率の向上を図るために、サイ
クルタイム(射出成形に要する時間)は、短くなってき
ている。
【0006】これらの相乗的な要因により、特に高密度
ディスク基板の離型時に、ディスク基板がスタンパ又は
金型からスムーズに離れずに、ディスク基板の表面(信
号面)に傷(離型跡)を生じさせてしまう場合があっ
た。
【0007】また、離型跡として認められる傷以外に
も、目に見えない離型不良が生じる場合もあり、このよ
うな離型不良がサーボ信号やデータ信号に対して外乱と
なって、光ディスクの再生特性を劣化させてしまう場合
があった。
【0008】以上のような離型不良を抑制する対策とし
て、樹脂材料中に離型材を内添させておき、成形の際に
この離型材がスタンパ又は金型の表面を覆うようにして
スムーズな離型が行われるようにする工夫がなされてい
るが、樹脂材料に内添させた離型材をスタンパ又は金型
の表面に完全に行き渡らせるには、「捨て打ち」と称さ
れる試し成形を何度も行う必要がある。
【0009】このような「捨て打ち」を繰り返し行う
と、製造時間や樹脂材料に多大な無駄が生じ、生産効率
を低下させるばかりか、製造コストの上昇を招く要因と
なる。
【0010】また、樹脂材料に内添させた離型材を速や
かにスタンパ又は金型の表面に行き渡らせるために、樹
脂材料に内添させる離型材の量を増やすことも考えられ
るが、離型材の量をあまり増やすと、スタンパ又は金型
の汚れが目立ち、メンテナンスを行う周期を短くしなけ
ればならないといった不都合が生じてくる。
【0011】そこで、本発明は、樹脂材料に内添される
少ない離型材を効率的に利用して離型性の改善を図るこ
とにより、「捨て打ち」の回数を大幅に削減するととも
に、メンテナンスの周期を長くすることが可能なディス
ク基板の製造用原盤及びこれを用いたディスク基板の製
造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成すべく鋭意検討を重ねた結果、ディスク基板の製造用
原盤のパターン転写面となる表面の臨界表面張力が、デ
ィスク基板製造時における離型性に大きく関与している
ことを見出すに至った。
【0013】一般にディスク基板の製造用原盤のパター
ン転写面となる表面には、Ni等の金属メッキが施さ
れ、このように金属メッキが施された状態で、2P法等
によりパターン確認のための基板成形が行われる。ま
た、ディスク基板の製造用原盤のパターン転写面となる
表面には、トリミングのために保護膜が形成される場合
もある。このため、ディスク基板の製造用原盤のパター
ン転写面となる表面には、何らかの有機物等が付着して
いる場合が多い。さらに、ディスク基板の製造用原盤
は、その製造工程において、何らかの原因でパターン転
写面となる表面の洗浄度や表面粗さ等にばらつきが生じ
る場合がある。
【0014】このため、同一の工程で製造されたディス
ク基板の製造用原盤であっても、パターン転写面となる
表面の臨界表面張力には、ばらつきが生じている。
【0015】このようなディスク基板の製造用原盤の中
で、パターン転写面となる表面の臨界表面張力が小さい
ディスク基板の製造用原盤は、良好な離型性を確保する
までに、多いときには数千回の「捨て打ち」を行う必要
があった。これは、パターン転写面となる表面の臨界表
面張力が小さいために、離型材が表面を完全に覆うまで
に時間がかかるためであると考えられる。
【0016】本発明に係るディスク基板の製造用原盤
は、このような知見に基づいて創案されたものであり、
樹脂材料よりなるディスク基板を射出成形する射出成形
機に設けられ、ディスク基板に所定のパターンを転写す
るディスク基板の製造用原盤であって、パターン転写面
となる表面の臨界表面張力が40dyn/cm以上とさ
れていることを特徴としている。
【0017】このディスク基板の製造用原盤は、パター
ン転写面となる表面の臨界表面張力が40dyn/cm
以上とされていることにより、この表面の濡れ性が良好
となっている。これにより、本発明に係るディスク基板
の製造用原盤においては、樹脂材料に内添された離型材
がパターン転写面となる表面に速やかに行き渡り、離型
性が向上される。
【0018】なお、ディスク基板の製造用原盤におい
て、パターン転写面となる表面の臨界表面張力を40d
yn/cm以上とするには、例えば、ディスク基板の製
造用原盤に対して、大気中で150℃以上の温度で15
分以上の加熱処理を施すことが有効である。
【0019】また、本発明に係るディスク基板の製造方
法は、上述した知見に基づいて創案されたものであり、
樹脂材料よりなるディスク基板を射出成形するに際し、
ディスク基板に所定のパターンを転写するディスク基板
の製造用原盤として、パターン転写面となる表面の臨界
表面張力が40dyn/cm以上とされているディスク
基板の製造用原盤を用いることを特徴としている。
【0020】このディスク基板の製造方法によれば、デ
ィスク基板に所定のパターンを転写するディスク基板の
製造用原盤として、パターン転写面となる表面の臨界表
面張力が40dyn/cm以上とされているディスク基
板の製造用原盤が用いられるので、樹脂材料に内添され
た離型材をディスク基板の製造用原盤のパターン転写面
となる表面に速やかに行き渡らせることができ、離型性
の向上を図ることが可能となる。
【0021】なお、ここで、ディスク基板の製造用原盤
とは、射出成型の際に樹脂材料と接触してディスク基板
に所定のパターンを転写するものをいい、例えば、金型
に取り付けられるスタンパや、スタンパを用いない場合
における金型自身を含む概念である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0023】本発明は、例えば、いわゆるコンパクト・
ディスク(CD)や光磁気ディスク(MO)、ミニディ
スク(MD)、デジタル・バーサタイル・ディスク(D
VD)等の光ディスク用のディスク基板を射出成形する
際に用いられるディスク基板の製造用原盤及びこれを用
いたディスク基板の製造方法に関するものであり、成形
されたディスク基板と原盤との良好な離型性を実現する
ものである。
【0024】以下、本発明を、射出成形の際に、射出成
形機の金型に取り付けられるスタンパに適用した例につ
いて説明する。
【0025】射出成形の際に、射出成形機の金型に取り
付けられて、樹脂材料に所定のパターンを転写するスタ
ンパは、マスタリング工程と呼ばれる工程により作製さ
れる。先ず、このマスタリング工程について説明する。
【0026】マスタリング工程では、先ず、図1Aに示
すように、ガラス基板1が用意され、その一主面が高精
度に研磨された後に、図1Bに示すように、ガラス基板
1の研磨された主面上に、フォトレジストが塗布され、
フォトレジスト層2が形成される。
【0027】次いで、図1Cに示すように、光学系3を
用いて、フォトレジスト層2を情報信号に応じて選択的
に露光することにより、レジスト層2に所定のパターン
の潜像が形成される。
【0028】その後、選択露光が行われたレジスト層2
に対して現像処理を施すことにより、図1Dに示すよう
に、例えば、露光された部分のフォトレジスト層が選択
的に除去され、フォトレジスト層2に所定の凹凸パター
ンが形成される。
【0029】フォトレジスト層2に所定の凹凸パターン
を形成した後に、このフォトレジスト層2の表面に対し
て、無電解メッキ等の方法により表面導電化処理を施す
ことにより、図1Eに示すように、フォトレジスト層2
上に厚さの薄い無電解メッキ層4が形成される。
【0030】更に、この無電解メッキ層4を利用して電
鋳(電気メッキ)を施すことにより、図1Fに示すよう
に、所定の厚さの電気メッキ層5が形成される。
【0031】以上のようにしてフォトレジスト層2上に
形成された無電解メッキ層4及び電気メッキ層5を、ガ
ラス基板1及びフォトレジスト層2から剥離(ピール)
することにより、図1Gに示すように、フォトレジスト
層2に形成された凹凸パターンとは逆の凹凸パターンを
有するスタンパ10が作製される。
【0032】以上のようなマスタリング工程により作製
されたスタンパ10は、洗浄により表面に付着したフォ
トレジスト等の付着物が除去され、必要に応じて、パタ
ーン確認のための基板を成形する2P工程、欠陥検査工
程等の検査工程を経た後に、パターン転写面となる表面
に、トリミング等の作業による傷付きや汚れ等を防止す
るための保護膜が、塗布等の手段により形成される。
【0033】そして、プレス加工又は旋盤加工等によ
り、所定の寸法の内径及び外形を有するように成形され
た後に、保護膜が剥離される。
【0034】以上のようにして作製されたスタンパ10
は、図2に示すように、射出成形機20に設けられた一
対の金型21,22のうちの一方に取り付けられ、樹脂
材料に対して所定のパターンを転写する。
【0035】樹脂製のディスク基板を製造する際は、以
上のように一方にスタンパ10が取り付けられた一対の
金型21,22を突き合わせ、これら金型21,22間
に形成される空間(キャビティ)内に、例えば、ポリカ
ーボネート(PC)やポリメチルメタクリレート(PM
MA)、アモルファスポリオレフィン樹脂(APO)等
の樹脂材料を熱溶融した状態で射出し、充填する。
【0036】そして、一対の金型21,22間のキャビ
ティ内に充填された溶融樹脂材料を加圧し、冷却固化さ
せた後に、金型21,22から取り外すことにより、図
3に示すように、スタンパ10に形成されたパターンが
転写されたディスク基板30が製造される。
【0037】ところで、上述した射出成形によりディス
ク基板30を製造する場合、成形されたディスク基板3
0を金型21,22から取り外す際に、ディスク基板3
0がスタンパ10からスムーズに離れずに、ディスク基
板30に離型跡が形成されてしまう場合がある。
【0038】このような離型跡が形成されたディスク基
板30を用いて光ディスクを製造すると、製造された光
ディスクは、ディスク基板30の離型跡に起因してサー
ボの乱れやノイズ等が発生して、再生特性が劣化してし
まう場合がある。
【0039】そこで、射出成形によりディスク基板30
を製造する場合には、スタンパ10とディスク基板30
との離型性を良好に保つことが望まれる。
【0040】スタンパ10とディスク基板30との離型
性を良好なものにするには、ディスク基板30の原料と
なる樹脂材料に離型材を内添させ、これを用いて射出成
形を行うことが効果的である。このように、離型材を内
添した樹脂材料を用いた場合、スタンパの表面は離型材
に覆われて、成形されたディスク基板30に対する離型
性が向上する。ただし、この樹脂材料に内添させる離型
材の量をあまり多くすると、スタンパ10や金型21,
22がすぐに汚れてしまい、これらのメンテナンスを行
う周期を短くしなければならないといった不都合が生じ
るので、樹脂材料に内添させる離型材の量は、あまり多
くすることができない。
【0041】上述した工程により作製されたスタンパ1
0をそのまま射出成形に用いた場合、樹脂材料に内添さ
れた少ない離型材をスタンパ10の表面に完全に行き渡
らせるためには、「捨て打ち」と称される試し成形を何
度も行う必要がある。このような「捨て打ち」を繰り返
し行うと、製造時間や樹脂材料に多大な無駄が生じ、生
産効率を低下させるばかりか、製造コストの上昇を招く
要因となり好ましくない。
【0042】そこで、本発明においては、スタンパ10
のパターン転写面となる表面の臨界表面張力を40dy
n/cm以上とすることにより、樹脂材料に内添された
少ない離型材をスタンパ10の表面に速やかに行き渡ら
せ、「捨て打ち」を何度も行うことなく、スタンパ10
と成形されたディスク基板30との良好な離型性を確保
するようにしている。
【0043】ここで、臨界表面張力について図4及び図
5を参照して説明する。
【0044】臨界表面張力とは、スタンパ10のパター
ン転写面となる表面を完全に濡らすことができる表面張
力の臨界値である。すなわち、表面張力がこの値よりも
小さな液体は、スタンパ10のパターン転写面となる表
面を完全に濡らすことができる。したがって、スタンパ
10は、この臨界表面張力の値が大きいほど濡れ性が良
いこととなり、この臨界表面張力の値が小さいほど濡れ
性が悪いこととなる。
【0045】この臨界表面張力を測定する際には、測定
温度における表面張力が予め分かっている少なくとも2
種類以上の表面張力試験液を、図4に示すように、スタ
ンパ10のパターン転写面となる表面に落とし、それぞ
れの接触角θ1,θ2を求め、cosθ1,cosθ2
をそれぞれ算出する。
【0046】ある固体表面に表面張力試験液を落とした
場合の接触角θから導かれるcosθと、その表面張力
試験液の表面張力の値σとは、線形の関係を有してい
る。したがって、図5に示すように、縦軸にcosθの
値をとり、横軸に表面張力の値をとったときに、スタン
パ10のパターン転写面となる表面に落とした表面張力
試験液の測定値を結ぶ直線がcosθ=1と交わる点の
表面張力を求めることにより、スタンパ10のパターン
転写面となる表面の臨界表面張力を求めることができ
る。
【0047】本発明においては、以上のようにして求め
られるスタンパ10のパターン転写面となる表面の臨界
表面張力を40dyn/cm以上とするようにしてい
る。
【0048】スタンパ10のパターン転写面となる表面
の臨界表面張力を40dyn/cm以上とするには、例
えば、上述した工程を経て作製されたスタンパ10に対
して、大気中で150℃以上の温度で15分以上の加熱
処理を施すことが有効である。
【0049】このようにして、スタンパ10のパターン
転写面となる表面の臨界表面張力を40dyn/cm以
上とすることにより、射出成形によりディスク基板を製
造する際に、樹脂材料に内添された離型材を速やかにス
タンパ10の表面に行き渡らせることができ、製造コス
トを増加させる要因となる「捨て打ち」を繰り返し行う
ことなく、スタンパ10と成形されたディスク基板との
良好な離型性を確保することが可能となる。
【0050】また、このようにスタンパ10のパターン
転写面となる表面の臨界表面張力を40dyn/cm以
上とし、樹脂材料に内添された少ない離型材を効率的に
利用するようにすれば、樹脂材料に多量の離型剤を内添
させた場合に問題となるスタンパ10の汚れを極力抑制
することができ、スタンパ10に対するメンテナンスの
周期を長くすることが可能となる。
【0051】なお、スタンパ10の表面に対しては、薬
品や溶剤、カップリング剤、界面活性剤等を用いた化学
処理、或いはスパッタエッチング法やコロナ処理等の物
理的処理、CVD、スパッタリング、真空蒸着等による
表面被覆処理等を適宜選択的に行うことにより、濡れ性
等を更に向上させ、更に良好な離型性を確保することが
可能となる。
【0052】以上は、スタンパ10のパターン転写面と
なる表面の臨界表面張力を40dyn/cm以上とする
例について説明したが、例えば、射出成形の際にスタン
パを用いずに、パターンが形成された金型を用いてこの
金型に形成されたパターンをディスク基板に転写するよ
うにした場合には、金型のパターン転写面となる表面の
臨界表面張力を40dyn/cm以上とすることによ
り、上述した例と同様の効果が得られる。
【0053】
【実施例】本発明の効果を確認すべく、以下のような実
験を行った。
【0054】先ず、直径2.5インチ、厚さ1.2mm
の光磁気ディスク用のディスク基板製造用のスタンパを
9枚作製した。これらのスタンパには、表面に光磁気デ
ィスクのエンボスピットやグルーブパターンに対応した
凹凸パターンが形成されている。
【0055】これら9枚のスタンパのうちの6枚(実施
例1〜6)に対しては、作製後に、大気中にて加熱処理
を施した後、それぞれの臨界表面張力を測定した。ま
た、これら9枚のスタンパのうちの3枚(比較例1〜
3)に対しては、加熱処理を施すことなくそれぞれの臨
界表面張力を測定した。加熱処理の条件及び測定された
臨界表面張力の値を図6に示す。なお、各スタンパの臨
界表面張力は、凹凸パターンが形成されていない、いわ
ゆるミラー部に表面張力試験液を落とし、上述した方法
により測定した。
【0056】次に、これらスタンパを射出成形機の金型
に取り付け、樹脂材料としてポリカーボネートを用い
て、実際にディスク基板を成形した。そして、成形され
たディスク基板とスタンパとの離型性を評価した。結果
を図6に併せて示す。
【0057】図6に示すように、大気中で150℃以
上、15分以上の加熱処理が施されたスタンパ(実施例
1〜6)は、パターン転写面となる表面の臨界表面張力
が40dyn/cm以上となっており、成形されたディ
スク基板に対する離型性が向上していることが分かる。
すなわち、実施例3〜6のスタンパを用いた場合、「捨
て打ち」を行うことなく直ちに離型跡のない良好なディ
スク基板を製造することができた。また、実施例1のス
タンパを用いた場合は、数10回の「捨て打ち」を行っ
た後に、また、実施例2のスタンパを用いた場合は、数
回の「捨て打ち」を行った後に、それぞれ離型跡のない
良好なディスク基板を製造することができた。数回乃至
数10回程度の「捨て打ち」であれば、生産効率や製造
コストの点でそれほど問題とならない。
【0058】これに対して、加熱処理を行わないスタン
パ(比較例1〜3)は、パターン転写面となる表面の臨
界表面張力が40dyn/cm未満となっており、成形
されたディスク基板に対する離型性が悪いことが分か
る。具体的には、比較例1のスタンパは、離型跡のない
良好なディスク基板を得るまでに約300回もの「捨て
打ち」を必要とし、比較例2のスタンパは、離型跡のな
い良好なディスク基板を得るまでに約200回もの「捨
て打ち」を必要とし、比較例3のスタンパは、離型跡の
ない良好なディスク基板を得るまでに約600回もの
「捨て打ち」を必要とした。
【0059】以上の結果から、スタンパを用いて射出成
形を行ってディスク基板を製造する場合、スタンパのパ
ターン転写面となる表面の臨界表面張力を40dyn/
cm以上とすることにより、「捨て打ち」を何度も繰り
返し行うことなく、離型跡のない良好なディスク基板を
製造することができることが分かった。
【0060】また、スタンパ表面のパターン転写面とな
る表面の臨界表面張力を40dyn/cm以上とするに
は、スタンパに対して大気中で150℃以上、15分以
上の熱処理を行うことが有効であることが分かった。
【0061】
【発明の効果】本発明に係るディスク基板の製造用原盤
は、パターン転写面となる表面の臨界表面張力が40d
yn/cm以上とされているので、成形されたディスク
基板に対する離型性が良好なものとなっている。したが
って、このディスク基板の製造用原盤を用いてディスク
基板を製造するようにすれば、「捨て打ち」を繰り返し
行うことによる生産効率の低下や製造コストの上昇を招
くことなく、離型跡のない良好なディスク基板を製造す
ることができる。
【0062】また、本発明に係るディスク基板の製造方
法は、パターン転写面となる表面の臨界表面張力が40
dyn/cm以上とされたディスク基板の製造用原盤を
用いてディスク基板を製造するようにしているので、捨
て打ち」を繰り返し行うことによる生産効率の低下や製
造コストの上昇を招くことなく、離型跡のない良好なデ
ィスク基板を製造することができる。
【0063】また、このディスク基板の製造方法によれ
ば、樹脂材料に内添された少ない離型剤が効率的に利用
されるので、ディスク基板の製造用原盤の汚れを極力抑
えることができ、これらのメンテナンスを行う周期を長
くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スタンパを作製するマスタリング工程を説明す
る図である。
【図2】射出成形機の金型にスタンパを取り付けた状態
を示す模式図である。
【図3】成形されたディスク基板を金型から取り外した
状態を示す模式図である。
【図4】臨界表面張力を測定する方法を説明する図であ
る。
【図5】臨界表面張力を算出する方法を説明する図であ
る。
【図6】スタンパのパターン転写面となる表面の臨界表
面張力と離型性との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 スタンパ、20 射出成形機、21,22 金
型、30 ディスク基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土居 祐一郎 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 (72)発明者 大槻 洋 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5D121 DD13 HH17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂材料よりなるディスク基板を射出成
    形する射出成形機に設けられ、ディスク基板に所定のパ
    ターンを転写するディスク基板の製造用原盤において、 パターン転写面となる表面の臨界表面張力が40dyn
    /cm以上とされていることを特徴とするディスク基板
    の製造用原盤。
  2. 【請求項2】 大気中で150℃以上の温度で15分以
    上の加熱処理が施されることにより、上記表面の臨界表
    面張力が40dyn/cm以上とされていることを特徴
    とする請求項1記載のディスク基板の製造用原盤。
  3. 【請求項3】 樹脂材料よりなるディスク基板を射出成
    形するに際し、ディスク基板に所定のパターンを転写す
    るディスク基板の製造用原盤として、パターン転写面と
    なる表面の臨界表面張力が40dyn/cm以上とされ
    ているディスク基板の製造用原盤を用いることを特徴と
    するディスク基板の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記ディスク基板の製造用原盤は、大気
    中で150℃以上の温度で15分以上の加熱処理が施さ
    れることにより、上記表面の臨界表面張力が40dyn
    /cm以上とされていることを特徴とする請求項3記載
    のディスク基板の製造方法。
JP10229108A 1998-08-13 1998-08-13 ディスク基板の製造用原盤及びディスク基板の製造方法 Withdrawn JP2000057636A (ja)

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