JP2003317329A - 光ディスクの製造方法及び光ディスク原盤の作製方法 - Google Patents
光ディスクの製造方法及び光ディスク原盤の作製方法Info
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- JP2003317329A JP2003317329A JP2002111799A JP2002111799A JP2003317329A JP 2003317329 A JP2003317329 A JP 2003317329A JP 2002111799 A JP2002111799 A JP 2002111799A JP 2002111799 A JP2002111799 A JP 2002111799A JP 2003317329 A JP2003317329 A JP 2003317329A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 射出成形の際の擦れ傷の発生を回避し、光デ
ィスクにおけるフォーカスエラーや低周波数領域のノイ
ズを低減する。 【解決手段】 微小凹凸が形成された光ディスク原盤が
装着された金型を用いて樹脂を射出成形し、光ディスク
基板とする。射出成形に際して、金型と光ディスク原盤
の間に緩衝材を介在させる。緩衝材は摩擦係数が0.2
以下である。光ディスク原盤は、例えばSiやガラスか
らなる。特に、光ディスク原盤の外径加工は、粉体を吹
き付けることにより行う。スタンパを装着した金型間に
紫外線硬化樹脂を充填した後、紫外線を照射し、紫外線
硬化樹脂を硬化して積層構造の光ディスクとすることも
可能である。
ィスクにおけるフォーカスエラーや低周波数領域のノイ
ズを低減する。 【解決手段】 微小凹凸が形成された光ディスク原盤が
装着された金型を用いて樹脂を射出成形し、光ディスク
基板とする。射出成形に際して、金型と光ディスク原盤
の間に緩衝材を介在させる。緩衝材は摩擦係数が0.2
以下である。光ディスク原盤は、例えばSiやガラスか
らなる。特に、光ディスク原盤の外径加工は、粉体を吹
き付けることにより行う。スタンパを装着した金型間に
紫外線硬化樹脂を充填した後、紫外線を照射し、紫外線
硬化樹脂を硬化して積層構造の光ディスクとすることも
可能である。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス原盤やSi
原盤等を用いた光ディスクの製造方法に関するものであ
り、さらには、光ディスク原盤の作製方法に関するもの
である。
原盤等を用いた光ディスクの製造方法に関するものであ
り、さらには、光ディスク原盤の作製方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】いわゆるCDやDVD等に代表される光
ディスクに用いられる光ディスク基板の製造には、スタ
ンパを用いた射出成形法が広く採用されている。例え
ば、光学研磨されたフラットな円盤状ガラスに感光性樹
脂(以下、レジストと称する。)を塗布・乾燥した後、
60〜70℃程度の低温熱処理(ポストベークとも言
う。)を行い、レーザ等により螺旋状あるいは同心円状
のピットや案内溝の情報信号を露光・現像し、レジスト
表面をスパッタや無電解メッキ等により導体化処理を行
う。しかる後、ニッケル電鋳メッキによってメタルマス
タを作製し、このメタルマスタ単体あるいは必要に応じ
て電鋳で複製したマザーから更に電鋳でスタンパを複製
し、これを射出成形金型に挿入してディスク基板を射出
成形する。
ディスクに用いられる光ディスク基板の製造には、スタ
ンパを用いた射出成形法が広く採用されている。例え
ば、光学研磨されたフラットな円盤状ガラスに感光性樹
脂(以下、レジストと称する。)を塗布・乾燥した後、
60〜70℃程度の低温熱処理(ポストベークとも言
う。)を行い、レーザ等により螺旋状あるいは同心円状
のピットや案内溝の情報信号を露光・現像し、レジスト
表面をスパッタや無電解メッキ等により導体化処理を行
う。しかる後、ニッケル電鋳メッキによってメタルマス
タを作製し、このメタルマスタ単体あるいは必要に応じ
て電鋳で複製したマザーから更に電鋳でスタンパを複製
し、これを射出成形金型に挿入してディスク基板を射出
成形する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電鋳に
より作製したスタンパを用いた場合、種々の不都合が生
じており、光ディスクの高密度化とともに、これらの不
都合が特性に大きく影響するようになってきている。
より作製したスタンパを用いた場合、種々の不都合が生
じており、光ディスクの高密度化とともに、これらの不
都合が特性に大きく影響するようになってきている。
【0004】例えば、メタルマスタやスタンパは電鋳で
高速厚付けメッキにより作成する関係から、内外周の厚
みムラが特に顕著に起こり易く、通常メッキ槽内にじゃ
ま板と称する遮蔽板を設置してメッキ後の内外周の厚み
ムラを制御しているものの、良くて3μm程度の厚さム
ラに抑えるのが限度である。加えて、メタルマスタを作
製するための表面処理やレジストが施された面の平滑性
は、ガラス単体の表面に比べ悪くなる。また、無電解メ
ッキやスパッタ、あるいは電鋳メッキにより導体化され
た表面には、析出した金属が粒状になった突起が形成さ
れ、この凹凸を除去するために裏面研磨が必須であり、
この時の研磨剤の砥粒や加工時の圧力による傷跡が射出
成形時の充填圧力によりディスク基板にも転写され、凹
凸が形成される虞れがある。これらの厚みムラや平滑性
の劣化、凹凸の形成は、フォーカスエラー残差として現
れ、特に開口数NAの大きな光学系を用いて記録・再生
を行う高密度ディスクでは大きな問題となる。
高速厚付けメッキにより作成する関係から、内外周の厚
みムラが特に顕著に起こり易く、通常メッキ槽内にじゃ
ま板と称する遮蔽板を設置してメッキ後の内外周の厚み
ムラを制御しているものの、良くて3μm程度の厚さム
ラに抑えるのが限度である。加えて、メタルマスタを作
製するための表面処理やレジストが施された面の平滑性
は、ガラス単体の表面に比べ悪くなる。また、無電解メ
ッキやスパッタ、あるいは電鋳メッキにより導体化され
た表面には、析出した金属が粒状になった突起が形成さ
れ、この凹凸を除去するために裏面研磨が必須であり、
この時の研磨剤の砥粒や加工時の圧力による傷跡が射出
成形時の充填圧力によりディスク基板にも転写され、凹
凸が形成される虞れがある。これらの厚みムラや平滑性
の劣化、凹凸の形成は、フォーカスエラー残差として現
れ、特に開口数NAの大きな光学系を用いて記録・再生
を行う高密度ディスクでは大きな問題となる。
【0005】光ディスクの高密度化に伴って、ドライブ
装置では光の波長を短波長化して光のスポット径を小さ
くする検討が行われており、波長400nm近くの半導
体レーザーが実用の領域に入っている。この光のスポッ
ト径に対応して対物レンズの高NA化や狭トラックピッ
チも行われているが、高NA化に伴ってディスクとレン
ズの焦点深度も浅くなり、光ディスク基板の厚さムラや
微少な表面荒れや凹凸信号の荒れ等が、フォーカスエラ
ーの増大をもたらし、さらには光ディスクを再生した際
に光のスポット径内に入り信号ノイズとして作用する。
装置では光の波長を短波長化して光のスポット径を小さ
くする検討が行われており、波長400nm近くの半導
体レーザーが実用の領域に入っている。この光のスポッ
ト径に対応して対物レンズの高NA化や狭トラックピッ
チも行われているが、高NA化に伴ってディスクとレン
ズの焦点深度も浅くなり、光ディスク基板の厚さムラや
微少な表面荒れや凹凸信号の荒れ等が、フォーカスエラ
ーの増大をもたらし、さらには光ディスクを再生した際
に光のスポット径内に入り信号ノイズとして作用する。
【0006】また、光ディスクでは、レジストにポジ型
タイプの感光性樹脂を使用するのが一般的であり、現像
工程では未露光部分のレジストが基板上に残る。現像後
のピットやグルーブに対応するレジスト(すなわち、未
露光部分のレジスト)の側壁面やエッジは、主にレーザ
ー露光時の回転ムラや現像等により表面が荒れた状態に
なる。この現像後のレジスト面の荒れは低周波数領域の
ノイズとして現れる。この荒れはそのままメタルマスタ
やスタンパに次々に転写され、このスタンパから射出成
形等により複製されたディスクにも転写される。ディス
クに転写されたこれらの面荒れは、光ディスクを光学的
に読みとり再生した時に低周波数域のノイズ成分として
現れ、S/Nが劣化するという悪影響をもたらす。
タイプの感光性樹脂を使用するのが一般的であり、現像
工程では未露光部分のレジストが基板上に残る。現像後
のピットやグルーブに対応するレジスト(すなわち、未
露光部分のレジスト)の側壁面やエッジは、主にレーザ
ー露光時の回転ムラや現像等により表面が荒れた状態に
なる。この現像後のレジスト面の荒れは低周波数領域の
ノイズとして現れる。この荒れはそのままメタルマスタ
やスタンパに次々に転写され、このスタンパから射出成
形等により複製されたディスクにも転写される。ディス
クに転写されたこれらの面荒れは、光ディスクを光学的
に読みとり再生した時に低周波数域のノイズ成分として
現れ、S/Nが劣化するという悪影響をもたらす。
【0007】この問題を解決する手段としては、例えば
特開平5−12722号公報等において、Siウエハを
原盤とし、その上にレジストを塗布し、レーザ露光・現
像工程後、RIE(リアクティブ・イオン・エッチン
グ)で微少凹凸信号を作成し、しかる後、従来と同様の
導体化処理と電鋳を施しスタンパを作成する方法が提案
されている。
特開平5−12722号公報等において、Siウエハを
原盤とし、その上にレジストを塗布し、レーザ露光・現
像工程後、RIE(リアクティブ・イオン・エッチン
グ)で微少凹凸信号を作成し、しかる後、従来と同様の
導体化処理と電鋳を施しスタンパを作成する方法が提案
されている。
【0008】しかしながら、これらの手法は、従来行わ
れてきたマスタリングプロセスに比べれば、Siウエハ
上に積層したSiO2薄膜上に導体化面が形成されるた
め未現像部や鏡面部の凹凸は少なくノイズレベルが通常
マスタリングよりも低下するという利点を有するもの
の、導体化処理として行われる金属スパッタや無電解メ
ッキにおいて原盤上に析出する金属粒子のグレンサイズ
の影響が避けられず、原盤そのものに比べ表面粗さが劣
化する。
れてきたマスタリングプロセスに比べれば、Siウエハ
上に積層したSiO2薄膜上に導体化面が形成されるた
め未現像部や鏡面部の凹凸は少なくノイズレベルが通常
マスタリングよりも低下するという利点を有するもの
の、導体化処理として行われる金属スパッタや無電解メ
ッキにおいて原盤上に析出する金属粒子のグレンサイズ
の影響が避けられず、原盤そのものに比べ表面粗さが劣
化する。
【0009】加えて、ディスク成形を行うには、Ni電
鋳メッキにより0.25mm以上の厚膜メッキを行う必
要があり、この電鋳の欠点として、電鋳された面は高速
厚付けメッキ故に表面に凸状の突起が無数にできるた
め、研磨布や砥石により裏面研磨行わなければならな
い。この裏面研磨の砥粒による傷は、ディスク成形の際
の射出圧によって成形されたディスクに裏面研磨跡とし
てマクロなうねりとして現れ、NAが高い高密度ディス
クではフォーカスエラー成分の残差として問題になる。
鋳メッキにより0.25mm以上の厚膜メッキを行う必
要があり、この電鋳の欠点として、電鋳された面は高速
厚付けメッキ故に表面に凸状の突起が無数にできるた
め、研磨布や砥石により裏面研磨行わなければならな
い。この裏面研磨の砥粒による傷は、ディスク成形の際
の射出圧によって成形されたディスクに裏面研磨跡とし
てマクロなうねりとして現れ、NAが高い高密度ディス
クではフォーカスエラー成分の残差として問題になる。
【0010】さらに、ディスク成形で一般的な通常マス
タリングにより得られるNiスタンパーは、金属の展性
故にプレス機や旋盤等内外径の加工がし易く、且つ金型
に挿入時の割れを心配すること無く射出成形時の溶融樹
脂によるスタンパの熱膨張及び冷却時の収縮などによる
多少のスタンパー変形や金型のクリアランスむらに対応
することができる等のメリットがあるものの、上記低周
波数域のノイズが増加するという問題がある。
タリングにより得られるNiスタンパーは、金属の展性
故にプレス機や旋盤等内外径の加工がし易く、且つ金型
に挿入時の割れを心配すること無く射出成形時の溶融樹
脂によるスタンパの熱膨張及び冷却時の収縮などによる
多少のスタンパー変形や金型のクリアランスむらに対応
することができる等のメリットがあるものの、上記低周
波数域のノイズが増加するという問題がある。
【0011】一方、光ディスク原盤であるスタンパの外
形加工は、通常、スタンパ打ち抜きプレス機や旋盤等に
より内外径を機械加工することにより行うが、加工後の
真円度は、打ち抜きプレス機で3〜5μm程度、旋盤加
工で1.5μm程度である。しかる後に射出成形等の金
型に装着して射出成形を行い、大量に複製された光ディ
スク基板を作成するが、このとき金型とのクリアランス
や金型と成形機等の平行度ずれ等が加算され、成形され
た光ディスク基板の中心穴と信号形成面との偏心は30
〜50μm近くにも達する。
形加工は、通常、スタンパ打ち抜きプレス機や旋盤等に
より内外径を機械加工することにより行うが、加工後の
真円度は、打ち抜きプレス機で3〜5μm程度、旋盤加
工で1.5μm程度である。しかる後に射出成形等の金
型に装着して射出成形を行い、大量に複製された光ディ
スク基板を作成するが、このとき金型とのクリアランス
や金型と成形機等の平行度ずれ等が加算され、成形され
た光ディスク基板の中心穴と信号形成面との偏心は30
〜50μm近くにも達する。
【0012】そこで、これらの不都合を解消することを
目的にして、Siウエハやガラス基板の表面に微小凹凸
を直接形成し、これをスタンパとして用いる試みがなさ
れている。Siやガラス等からなるスタンパを用いれ
ば、面荒れや厚みムラ、裏面研磨による傷跡等の問題を
解消し得るものと期待される。
目的にして、Siウエハやガラス基板の表面に微小凹凸
を直接形成し、これをスタンパとして用いる試みがなさ
れている。Siやガラス等からなるスタンパを用いれ
ば、面荒れや厚みムラ、裏面研磨による傷跡等の問題を
解消し得るものと期待される。
【0013】しかしながら、Siやガラス等からなるス
タンパを金型に装着して光ディスク基板を射出成形する
と、スタンパの裏面に成形時の熱や応力による擦れ傷が
発生し、このときの凹凸傷や削れた微粉末がスタンパと
金型の間に拡散し、これが成形された光ディスク基板に
凹凸として転写され、光ディスク基板の鏡面部の低周波
数領域ノイズやフォーカスエラー残差の原因となること
がわかってきた。また、Siウエハやガラス基板は、こ
れまでのスタンパのように切削等の手法により特に外径
加工を行うと、全体が割れやすく、且つ加工面の面欠け
も発生しやすいという問題もある。
タンパを金型に装着して光ディスク基板を射出成形する
と、スタンパの裏面に成形時の熱や応力による擦れ傷が
発生し、このときの凹凸傷や削れた微粉末がスタンパと
金型の間に拡散し、これが成形された光ディスク基板に
凹凸として転写され、光ディスク基板の鏡面部の低周波
数領域ノイズやフォーカスエラー残差の原因となること
がわかってきた。また、Siウエハやガラス基板は、こ
れまでのスタンパのように切削等の手法により特に外径
加工を行うと、全体が割れやすく、且つ加工面の面欠け
も発生しやすいという問題もある。
【0014】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
提案されたものである。すなわち、本発明は、Siやガ
ラス等からなるスタンパを金型に装着して光ディスク基
板を射出成形する際の擦れ傷の発生を回避し、成形され
る光ディスク基板における凹凸の形成を防止することが
可能で、フォーカスエラーや低周波数領域におけるノイ
ズの少ない光ディスクを作製し得る光ディスクの製造方
法を提供することを目的とする。また、本発明は、Si
やガラス等からなるスタンパを作製するに際して、割れ
や欠けを最小限に抑えることが可能な光ディスク原盤の
作製方法を提供することを目的とする。
提案されたものである。すなわち、本発明は、Siやガ
ラス等からなるスタンパを金型に装着して光ディスク基
板を射出成形する際の擦れ傷の発生を回避し、成形され
る光ディスク基板における凹凸の形成を防止することが
可能で、フォーカスエラーや低周波数領域におけるノイ
ズの少ない光ディスクを作製し得る光ディスクの製造方
法を提供することを目的とする。また、本発明は、Si
やガラス等からなるスタンパを作製するに際して、割れ
や欠けを最小限に抑えることが可能な光ディスク原盤の
作製方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の光ディスクの製造方法は、微小凹凸が形
成された光ディスク原盤が装着された金型を用いて樹脂
を成形し、光ディスク基板とする光ディスクの製造方法
において、上記金型と光ディスク原盤の間に緩衝材を介
在させることを特徴とするものである。
めに、本発明の光ディスクの製造方法は、微小凹凸が形
成された光ディスク原盤が装着された金型を用いて樹脂
を成形し、光ディスク基板とする光ディスクの製造方法
において、上記金型と光ディスク原盤の間に緩衝材を介
在させることを特徴とするものである。
【0016】例えばSiやガラス等からなるスタンパを
金型に装着して光ディスク基板を射出成形する場合、熱
膨張や樹脂の射出応力によって金型表面とスタンパとが
擦れ合い、スタンパの裏面に傷が発生し、成形される光
ディスク基板に傷跡が転写されて凹凸が形成される。本
発明においては、上記緩衝材を介在させており、これに
より光ディスク基板成形時の熱や応力変形による擦れ傷
や欠けが防止され、上記凹凸等の転写が解消される。
金型に装着して光ディスク基板を射出成形する場合、熱
膨張や樹脂の射出応力によって金型表面とスタンパとが
擦れ合い、スタンパの裏面に傷が発生し、成形される光
ディスク基板に傷跡が転写されて凹凸が形成される。本
発明においては、上記緩衝材を介在させており、これに
より光ディスク基板成形時の熱や応力変形による擦れ傷
や欠けが防止され、上記凹凸等の転写が解消される。
【0017】また、本発明の光ディスク原盤の作製方法
は、少なくとも1主面が鏡面加工された基板表面に感光
性樹脂を塗布する工程と、感光性樹脂を露光、現像して
感光性樹脂をパターニングする工程と、パターニングし
た感光性樹脂をマスクとして基板をエッチングする工程
とにより、上記微小凹凸が形成された原盤を作製した
後、感光性樹脂を再度塗布し、これをパターニングして
外径寸法に応じて原盤を露出させ、粉体を吹き付けるこ
とにより外径加工することを特徴とする。
は、少なくとも1主面が鏡面加工された基板表面に感光
性樹脂を塗布する工程と、感光性樹脂を露光、現像して
感光性樹脂をパターニングする工程と、パターニングし
た感光性樹脂をマスクとして基板をエッチングする工程
とにより、上記微小凹凸が形成された原盤を作製した
後、感光性樹脂を再度塗布し、これをパターニングして
外径寸法に応じて原盤を露出させ、粉体を吹き付けるこ
とにより外径加工することを特徴とする。
【0018】Siウエハやガラス基板等を加工してスタ
ンパとする場合、これまでのNi電鋳スタンパのように
プレス機による打ち抜きや旋盤による切削等の手法によ
り特に外径加工を行うと、全体が割れやすく、且つ加工
面の面欠けも発生しやすい。
ンパとする場合、これまでのNi電鋳スタンパのように
プレス機による打ち抜きや旋盤による切削等の手法によ
り特に外径加工を行うと、全体が割れやすく、且つ加工
面の面欠けも発生しやすい。
【0019】これに対して、本発明のように粉体を用
い、いわゆるブラスト処理により外径加工を行うと、加
工端面に欠けがほとんど発生せず、真円度に優れた偏心
の少ない光ディスク原盤が得られる。
い、いわゆるブラスト処理により外径加工を行うと、加
工端面に欠けがほとんど発生せず、真円度に優れた偏心
の少ない光ディスク原盤が得られる。
【0020】一方、光ディスクの製造方法に関する2番
目の発明は、分割可能な金型の一方に粉体を吹き付ける
ことにより少なくとも外径加工した光ディスク原盤を装
着するとともに、他方の金型には射出成形され記録層又
は反射層が成膜された光ディスク基板を装着し、これら
金型間に紫外線硬化樹脂を充填した後、紫外線を照射し
て当該紫外線硬化樹脂を硬化し積層構造の光ディスクと
することを特徴とするものである。
目の発明は、分割可能な金型の一方に粉体を吹き付ける
ことにより少なくとも外径加工した光ディスク原盤を装
着するとともに、他方の金型には射出成形され記録層又
は反射層が成膜された光ディスク基板を装着し、これら
金型間に紫外線硬化樹脂を充填した後、紫外線を照射し
て当該紫外線硬化樹脂を硬化し積層構造の光ディスクと
することを特徴とするものである。
【0021】先の光ディスク原盤の作製方法においても
述べたように、粉体を吹き付けることにより外径加工し
た光ディスク原盤は、加工端面に欠けがほとんど発生せ
ず、真円度に優れた偏心の少ない光ディスク原盤とな
る。この光ディスク原盤と既に一度成形された光ディス
ク基板とを金型に装着し、いわゆる2P法と同様の手法
によって間に充填した紫外線硬化樹脂を硬化すると、簡
単に精度良く積層構造を有する光ディスクが形成され
る。
述べたように、粉体を吹き付けることにより外径加工し
た光ディスク原盤は、加工端面に欠けがほとんど発生せ
ず、真円度に優れた偏心の少ない光ディスク原盤とな
る。この光ディスク原盤と既に一度成形された光ディス
ク基板とを金型に装着し、いわゆる2P法と同様の手法
によって間に充填した紫外線硬化樹脂を硬化すると、簡
単に精度良く積層構造を有する光ディスクが形成され
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した光ディス
クの製造方法及び光ディスク原盤の作製方法について、
図面を参照しながら詳細に説明する。
クの製造方法及び光ディスク原盤の作製方法について、
図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】光ディスクに用いられる光ディスク基板
は、通常、スタンパを用いた射出成形によって形成され
る。この射出成形においては、例えば、先ず、光ディス
ク基板の凹凸パターンの反転パターンとなる凹凸形状が
形成されたスタンパが、金型内に取り付けられ、そして
加熱溶融された成形材料、例えば樹脂材料が金型内に構
成された閉空間であるキャビティ内に射出される。この
キャビティ内に射出された樹脂材料は、キャビティ内に
おいて加圧された状態で次第に冷却される。これによ
り、加熱溶融された樹脂材料がキャビティ内で固化し、
スタンパを反映した、すなわちスタンパの凹凸形状が転
写された樹脂製の光ディスク基板が成形される。このよ
うに、射出成形でディスク基板を製造することにより、
多数の光ディスク基板を極めて容易且つ安価に製造する
ことができ、この光ディスク基板を用いた光ディスクの
低価格化を実現することができる。
は、通常、スタンパを用いた射出成形によって形成され
る。この射出成形においては、例えば、先ず、光ディス
ク基板の凹凸パターンの反転パターンとなる凹凸形状が
形成されたスタンパが、金型内に取り付けられ、そして
加熱溶融された成形材料、例えば樹脂材料が金型内に構
成された閉空間であるキャビティ内に射出される。この
キャビティ内に射出された樹脂材料は、キャビティ内に
おいて加圧された状態で次第に冷却される。これによ
り、加熱溶融された樹脂材料がキャビティ内で固化し、
スタンパを反映した、すなわちスタンパの凹凸形状が転
写された樹脂製の光ディスク基板が成形される。このよ
うに、射出成形でディスク基板を製造することにより、
多数の光ディスク基板を極めて容易且つ安価に製造する
ことができ、この光ディスク基板を用いた光ディスクの
低価格化を実現することができる。
【0024】以下、上述したディスク基板の作製に使用
される射出成形ユニット11について説明する。射出成
形ユニット11は、基本的には、図1(a)及び図1
(b)に示すように、成形材料を射出する射出装置12
と、成形材料が充填される金型装置13と、この金型装
置13を型開き及び型締めする型締シリンダ14とから
なる。
される射出成形ユニット11について説明する。射出成
形ユニット11は、基本的には、図1(a)及び図1
(b)に示すように、成形材料を射出する射出装置12
と、成形材料が充填される金型装置13と、この金型装
置13を型開き及び型締めする型締シリンダ14とから
なる。
【0025】射出装置12は、成形材料、具体的には樹
脂材料が充填される加熱シリンダ15と、この加熱シリ
ンダ15に充填された樹脂材料を混練溶融して金型装置
13に射出するスクリュー16と、このスクリュー16
を駆動する駆動機構17と、加熱シリンダ15の一端に
設けられ金型装置13への射出口となるノズル18と、
加熱シリンダ15に樹脂材料を投入するためのホッパー
19とを備えている。射出装置12においては、ホッパ
ー19から加熱シリンダ15内に供給された樹脂材料
が、加熱シリンダ15内にて加熱・溶融されるととも
に、駆動機構17を構成する油圧モータ17a及び油圧
シリンダ17bにて回転駆動されるスクリュー16によ
って混練され、ノズル18から溶融樹脂として金型装置
13内に充填される。
脂材料が充填される加熱シリンダ15と、この加熱シリ
ンダ15に充填された樹脂材料を混練溶融して金型装置
13に射出するスクリュー16と、このスクリュー16
を駆動する駆動機構17と、加熱シリンダ15の一端に
設けられ金型装置13への射出口となるノズル18と、
加熱シリンダ15に樹脂材料を投入するためのホッパー
19とを備えている。射出装置12においては、ホッパ
ー19から加熱シリンダ15内に供給された樹脂材料
が、加熱シリンダ15内にて加熱・溶融されるととも
に、駆動機構17を構成する油圧モータ17a及び油圧
シリンダ17bにて回転駆動されるスクリュー16によ
って混練され、ノズル18から溶融樹脂として金型装置
13内に充填される。
【0026】金型装置13は、図2に示すように、固定
側金型部20と、この固定側金型部20に対して接離動
作される可動側金型部21とを備えてなり、これら固定
側金型部20と可動側金型部21、及び固定側金型部2
0に取り付けられた外周リング22とによって構成され
る閉空間が上述した射出装置12から成形材料が充填さ
れるキャビティ23とされる。金型装置13において
は、外周リング22によってキャビティ23の外周部分
を閉鎖することで、成形されるディスク基板2の外周が
規定される。
側金型部20と、この固定側金型部20に対して接離動
作される可動側金型部21とを備えてなり、これら固定
側金型部20と可動側金型部21、及び固定側金型部2
0に取り付けられた外周リング22とによって構成され
る閉空間が上述した射出装置12から成形材料が充填さ
れるキャビティ23とされる。金型装置13において
は、外周リング22によってキャビティ23の外周部分
を閉鎖することで、成形されるディスク基板2の外周が
規定される。
【0027】固定側金型部20は、固定側取付板24
と、この固定側取付板24に設けられる固定側ミラー2
5と、この固定側ミラー25の一方面、具体的にはキャ
ビティ23側の面に取り付けられるスタンパ26とを備
えてなる。そして、この固体側取付板24の中央部に
は、キャビティ23内に成形材料を供給するスプルー2
7aを有するスプルーブッシュ27が配設されている。
と、この固定側取付板24に設けられる固定側ミラー2
5と、この固定側ミラー25の一方面、具体的にはキャ
ビティ23側の面に取り付けられるスタンパ26とを備
えてなる。そして、この固体側取付板24の中央部に
は、キャビティ23内に成形材料を供給するスプルー2
7aを有するスプルーブッシュ27が配設されている。
【0028】スタンパ26は、ディスク基板2形成の際
の原盤となるものであり、一方面、具体的にはキャビテ
ィ23側に配される面に、ディスク基板2に転写するた
めの凹凸パターンが形成されている。このスタンパ26
は、最外周近傍が上述した外周リング22の一部によっ
て保持されることにより固定側ミラー25上に取り付け
られている。また、スタンパ26は、図示を省略する内
径ガイドにより、その最内周側の位置が規制されてい
る。
の原盤となるものであり、一方面、具体的にはキャビテ
ィ23側に配される面に、ディスク基板2に転写するた
めの凹凸パターンが形成されている。このスタンパ26
は、最外周近傍が上述した外周リング22の一部によっ
て保持されることにより固定側ミラー25上に取り付け
られている。また、スタンパ26は、図示を省略する内
径ガイドにより、その最内周側の位置が規制されてい
る。
【0029】可動側金型部21は、可動側取付板28
と、この可動側取付板28に設けられる可動側ミラー2
9とを備えてなり、その中央部にはセンターピン30及
びゲートカットパンチ31が配設されている。
と、この可動側取付板28に設けられる可動側ミラー2
9とを備えてなり、その中央部にはセンターピン30及
びゲートカットパンチ31が配設されている。
【0030】このような金型装置13においては、固定
側ミラー25と可動側ミラー29とにそれぞれ設けられ
る温調回路32、33によって、ディスク基板2成形時
の金型温度が調節される。
側ミラー25と可動側ミラー29とにそれぞれ設けられ
る温調回路32、33によって、ディスク基板2成形時
の金型温度が調節される。
【0031】以上が射出成形ユニット11の基本構成で
あるが、本発明においては、図3に示すように、金型装
置13の固定側ミラー25とスタンパ26との間に緩衝
材34を介在させ、固定側ミラー25表面やスタンパ2
6の裏面に擦れ傷が発生しないようにしている。
あるが、本発明においては、図3に示すように、金型装
置13の固定側ミラー25とスタンパ26との間に緩衝
材34を介在させ、固定側ミラー25表面やスタンパ2
6の裏面に擦れ傷が発生しないようにしている。
【0032】用いる緩衝材34としては、潤滑性を有
し、射出成形の際の熱に耐え得る耐熱性を有していれば
任意のものを使用することが可能であるが、特に、摩擦
係数が0.2以下である金属被膜、有機被膜が好適であ
る。金属被膜に潤滑性を付与する目的で潤滑性粒子を分
散することも可能である。有機被膜は、上記耐熱性の観
点から、200℃以上の耐熱性を有することが好まし
い。
し、射出成形の際の熱に耐え得る耐熱性を有していれば
任意のものを使用することが可能であるが、特に、摩擦
係数が0.2以下である金属被膜、有機被膜が好適であ
る。金属被膜に潤滑性を付与する目的で潤滑性粒子を分
散することも可能である。有機被膜は、上記耐熱性の観
点から、200℃以上の耐熱性を有することが好まし
い。
【0033】具体的に、摩擦係数が0.2以下の潤滑性
被膜としては、日本カニゼン社製,商品名カニフロン
(無電解ニッケル中に四フッ化エチレンの微粒子を分散
したもの。摩擦係数0.07〜0.12)、日本アチソ
ン社製,商品名Molydag(二硫化モリブデンを樹
脂バインダー中に分散したもの。摩擦係数0.14前
後)、日本アチソン社製,商品名Dag(グラファイト
粒子を樹脂バインダー中に分散したもの。摩擦係数0.
12〜0.15)、日本パーカライジング社製,商品名
バルーブ4649C(二硫化モリブデンを樹脂バインダ
ー中に分散したもの。摩擦係数0.14前後)等を挙げ
ることができる。また、200℃以上の耐熱性を有する
有機被膜としては、四フッ化エチレン(商品名テフロ
ン。摩擦係数0.02〜0.10)、蒸着重合ポリイミ
ド(真空冶金社製。ガラス転移点Tg320℃、摩擦係
数0.1〜0.2)、ポリイミドフィルム(デュポン社
製,商品名カプトン。厚さ20μm、ガラス転移点Tg
320℃)等を挙げることができる。
被膜としては、日本カニゼン社製,商品名カニフロン
(無電解ニッケル中に四フッ化エチレンの微粒子を分散
したもの。摩擦係数0.07〜0.12)、日本アチソ
ン社製,商品名Molydag(二硫化モリブデンを樹
脂バインダー中に分散したもの。摩擦係数0.14前
後)、日本アチソン社製,商品名Dag(グラファイト
粒子を樹脂バインダー中に分散したもの。摩擦係数0.
12〜0.15)、日本パーカライジング社製,商品名
バルーブ4649C(二硫化モリブデンを樹脂バインダ
ー中に分散したもの。摩擦係数0.14前後)等を挙げ
ることができる。また、200℃以上の耐熱性を有する
有機被膜としては、四フッ化エチレン(商品名テフロ
ン。摩擦係数0.02〜0.10)、蒸着重合ポリイミ
ド(真空冶金社製。ガラス転移点Tg320℃、摩擦係
数0.1〜0.2)、ポリイミドフィルム(デュポン社
製,商品名カプトン。厚さ20μm、ガラス転移点Tg
320℃)等を挙げることができる。
【0034】上記緩衝材34の形態としては、例えばシ
ート状のものを固定側ミラー25とスタンパ26の間に
挟み込めばよい。あるいは、固定側ミラー25表面やス
タンパ26の裏面に保護被膜として形成することも可能
である。
ート状のものを固定側ミラー25とスタンパ26の間に
挟み込めばよい。あるいは、固定側ミラー25表面やス
タンパ26の裏面に保護被膜として形成することも可能
である。
【0035】上記のように、金型と接触する面にスタン
パと金型が成形時の熱や応力で摺動しても傷が付かない
様に緩衝作用を有する材質をコーティング、あるいは挟
み込むことにより、熱膨張や応力摺動による傷や微粉が
金型とスタンパ間で狭圧されて光ディスク基板表面に微
小凹凸が形成されることを防止することができ、フォー
カスエラーや低周波数域のノイズを低減させることが可
能である。
パと金型が成形時の熱や応力で摺動しても傷が付かない
様に緩衝作用を有する材質をコーティング、あるいは挟
み込むことにより、熱膨張や応力摺動による傷や微粉が
金型とスタンパ間で狭圧されて光ディスク基板表面に微
小凹凸が形成されることを防止することができ、フォー
カスエラーや低周波数域のノイズを低減させることが可
能である。
【0036】次に、上記射出成形に使用するスタンパに
ついて説明する。本発明では、例えば光学的に研磨され
たSiウエハ、ガラス基板、あるいはこれに準ずる材質
から得られたフラットな円板にリアクティブ・イオン・
エッチング(以下、RIEと言う。)等により微細凹凸
信号をエッチング形成し、これを加工したものをスタン
パとして使用してディスク基板を作製することにより、
フォーカスエラーや低周波数領域のノイズの少ない光デ
ィスク基板を提供する。
ついて説明する。本発明では、例えば光学的に研磨され
たSiウエハ、ガラス基板、あるいはこれに準ずる材質
から得られたフラットな円板にリアクティブ・イオン・
エッチング(以下、RIEと言う。)等により微細凹凸
信号をエッチング形成し、これを加工したものをスタン
パとして使用してディスク基板を作製することにより、
フォーカスエラーや低周波数領域のノイズの少ない光デ
ィスク基板を提供する。
【0037】より具体的には、例えば1主面上が光学的
研磨されたSiウエハにレジスト塗布、レーザー露光、
現像、エッチングを施すことによって得られる原盤の信
号面に200μm以下の保護膜やレジスト膜を塗布し、
3次元微細加工機やエアーブラスト等により内外径端面
に欠けを発生させること無く外形加工し(特に内径は1
μm以下の精度で加工するためにエアーブラストを使用
する際は、加工後、3次元微細加工機でテーパ形状から
端面仕上げ加工を行う。)、これをスタンパとして直接
金型に装着して射出成形やフォトポリマー法(以下、2
P法と略する。)等で光ディスク基板を成形することに
より、厚み精度や面精度に優れたフラットな光ディスク
基板を得る。
研磨されたSiウエハにレジスト塗布、レーザー露光、
現像、エッチングを施すことによって得られる原盤の信
号面に200μm以下の保護膜やレジスト膜を塗布し、
3次元微細加工機やエアーブラスト等により内外径端面
に欠けを発生させること無く外形加工し(特に内径は1
μm以下の精度で加工するためにエアーブラストを使用
する際は、加工後、3次元微細加工機でテーパ形状から
端面仕上げ加工を行う。)、これをスタンパとして直接
金型に装着して射出成形やフォトポリマー法(以下、2
P法と略する。)等で光ディスク基板を成形することに
より、厚み精度や面精度に優れたフラットな光ディスク
基板を得る。
【0038】上記微細凹凸信号は、図4に示したエッチ
ングによるマスター原盤作成法によって形成することが
できる。すなわち、光学的に研磨されたSiウエハやガ
ラス円板上にフォトレジストを塗布・乾燥後、情報信号
に同期したレーザ光によって露光し、現像後ピットやグ
ルーブに対応したレジストパターンを形成する。次い
で、例えば半導体プロセスなどで一般的に使用されてい
る緩衝フッ酸等によりRIEエッチングした後、レジス
トを除去し、Siウエハやガラス円板上に情報信号に同
期した微細凹凸信号が付与されたマスター原盤を作成す
る。この時得られる凹凸信号は、通常マスタリングで得
られるスタンパと逆パターンのマザースタンパと同じ形
状になる。
ングによるマスター原盤作成法によって形成することが
できる。すなわち、光学的に研磨されたSiウエハやガ
ラス円板上にフォトレジストを塗布・乾燥後、情報信号
に同期したレーザ光によって露光し、現像後ピットやグ
ルーブに対応したレジストパターンを形成する。次い
で、例えば半導体プロセスなどで一般的に使用されてい
る緩衝フッ酸等によりRIEエッチングした後、レジス
トを除去し、Siウエハやガラス円板上に情報信号に同
期した微細凹凸信号が付与されたマスター原盤を作成す
る。この時得られる凹凸信号は、通常マスタリングで得
られるスタンパと逆パターンのマザースタンパと同じ形
状になる。
【0039】上記微細凹凸信号の形成を図4を参照して
説明すると、先ず、図4(a)に示すように、ベースと
なる基板41、例えばSi基板やガラス基板、あるいは
これらに準ずる材質の基板を用意する。Si基板を使用
する場合には、例えば直径200mm、厚さ725μm
程度で、表面が鏡面研磨されたSiウエハを使用する。
Si基板の平坦度としては、例えば1μm程度のグレー
ドとする。Si基板の他方の表面状態は任意であるが、
例えば化学的あるいは物理的手法によって梨地状に荒ら
された面としてもよい。
説明すると、先ず、図4(a)に示すように、ベースと
なる基板41、例えばSi基板やガラス基板、あるいは
これらに準ずる材質の基板を用意する。Si基板を使用
する場合には、例えば直径200mm、厚さ725μm
程度で、表面が鏡面研磨されたSiウエハを使用する。
Si基板の平坦度としては、例えば1μm程度のグレー
ドとする。Si基板の他方の表面状態は任意であるが、
例えば化学的あるいは物理的手法によって梨地状に荒ら
された面としてもよい。
【0040】次に、図4(b)に示すように、このベー
スとなる基板41上にレジスト層42を形成するが、こ
のレジスト層42は、例えばポジ型の化学増幅タイプの
レジストや、電子線専用のアクリル樹脂系のレジスト等
を用い、スピンコート法等により100nm程度の膜厚
で均一に成膜する。
スとなる基板41上にレジスト層42を形成するが、こ
のレジスト層42は、例えばポジ型の化学増幅タイプの
レジストや、電子線専用のアクリル樹脂系のレジスト等
を用い、スピンコート法等により100nm程度の膜厚
で均一に成膜する。
【0041】次いで、例えば電子線描画装置を用い、図
4(c)に示すように、レジスト層42の電子線露光を
行う。この電子線露光は、光ディスク基板のランドやピ
ットに対応して行い、例えば上記ランドやピットに対応
した領域を感光させて露光領域42aとし、その他の領
域を未露光領域42bとする。
4(c)に示すように、レジスト層42の電子線露光を
行う。この電子線露光は、光ディスク基板のランドやピ
ットに対応して行い、例えば上記ランドやピットに対応
した領域を感光させて露光領域42aとし、その他の領
域を未露光領域42bとする。
【0042】この例では、レジスト層42のうち未露光
領域42bはレジストが未硬化状態、露光領域42aの
レジストが硬化状態となり、したがって、これを現像す
ることにより、図4(d)に示すようなレジストパター
ン43が形成される。当該レジストパターン43は、ラ
ンドまたはピットとなる領域が開口部となっている。電
子線描画装置を用いることにより、例えばピッチが20
0nm程度で、開口部の幅及び残存部の幅が100nm
前後(80〜120nm)のスパイラル状のパターン、
あるいは同程度のピットパターンを形成することが可能
である。
領域42bはレジストが未硬化状態、露光領域42aの
レジストが硬化状態となり、したがって、これを現像す
ることにより、図4(d)に示すようなレジストパター
ン43が形成される。当該レジストパターン43は、ラ
ンドまたはピットとなる領域が開口部となっている。電
子線描画装置を用いることにより、例えばピッチが20
0nm程度で、開口部の幅及び残存部の幅が100nm
前後(80〜120nm)のスパイラル状のパターン、
あるいは同程度のピットパターンを形成することが可能
である。
【0043】次に、図4(e)に示すように、上記レジ
ストパターン43をマスクとしてドライエッチング処理
等を施し、側壁がほぼ垂直になるように基板41上にレ
ジストのパターンを転写する。このとき、エッチング用
ガスとしては、ハロゲン系ガス、例えば塩素系ガス等を
用い、プラズマ中に生成されたエッチングガスのイオン
をエッチング面にほぼ垂直に入射させ、いわゆるRIE
(Reactive Ion Etching)モードでエッチングを行う。
ストパターン43をマスクとしてドライエッチング処理
等を施し、側壁がほぼ垂直になるように基板41上にレ
ジストのパターンを転写する。このとき、エッチング用
ガスとしては、ハロゲン系ガス、例えば塩素系ガス等を
用い、プラズマ中に生成されたエッチングガスのイオン
をエッチング面にほぼ垂直に入射させ、いわゆるRIE
(Reactive Ion Etching)モードでエッチングを行う。
【0044】最後に、図4(f)に示すように、残存す
るレジストパターン43を除去する。レジストパターン
43の除去は、例えば酸素プラズマアッシング等の手法
により行えばよい。
るレジストパターン43を除去する。レジストパターン
43の除去は、例えば酸素プラズマアッシング等の手法
により行えばよい。
【0045】上記微小凹凸信号を形成した後、外形の加
工を行うが、この外形加工を3次元微細加工機によって
行う場合には、原盤の微細凹凸信号面側に加工で傷や汚
れ等が付着しないように、20μm以下の薄い保護膜を
コートする。しかる後に、加工端面の欠損防止のため、
Siウエハやガラスと同じ材質か近似の硬さを有する異
なる材質で原盤をサンドイッチし、3次元微細加工機に
よって砥石の回転数を10000rpm以上として加工
する。このとき、前記回転数等を制御することによっ
て、加工端面の欠落がないようにすることができる。
工を行うが、この外形加工を3次元微細加工機によって
行う場合には、原盤の微細凹凸信号面側に加工で傷や汚
れ等が付着しないように、20μm以下の薄い保護膜を
コートする。しかる後に、加工端面の欠損防止のため、
Siウエハやガラスと同じ材質か近似の硬さを有する異
なる材質で原盤をサンドイッチし、3次元微細加工機に
よって砥石の回転数を10000rpm以上として加工
する。このとき、前記回転数等を制御することによっ
て、加工端面の欠落がないようにすることができる。
【0046】ただし、外径加工については、上記3次元
微細加工機によっても加工送り速度を400mm/分以
上で行うと、加工端面の欠落等が発生しやすいため、粒
子を吹き付けるブラスト処理によって行うことが好まし
い。エアーブラストの場合には、例えば粒径#400〜
#1000のシリコンカーバイト(SiC)微粉を0.
1〜0.3MPaの圧力で200リットル/分以上噴射
し、露光・現像で露出した下地(Si又はガラス)をパ
ウダーエッチングする。この際に露光・現像で露出した
信号面は、噴射パウダーでエッチングされないように、
弾性を有し且つ加工後剥離しやすいような保護膜で予め
コートしておく。
微細加工機によっても加工送り速度を400mm/分以
上で行うと、加工端面の欠落等が発生しやすいため、粒
子を吹き付けるブラスト処理によって行うことが好まし
い。エアーブラストの場合には、例えば粒径#400〜
#1000のシリコンカーバイト(SiC)微粉を0.
1〜0.3MPaの圧力で200リットル/分以上噴射
し、露光・現像で露出した下地(Si又はガラス)をパ
ウダーエッチングする。この際に露光・現像で露出した
信号面は、噴射パウダーでエッチングされないように、
弾性を有し且つ加工後剥離しやすいような保護膜で予め
コートしておく。
【0047】実際に上記の条件でスタンパの外径加工を
行ったところ、加工後のSiウエハやガラスの内径の真
円度ズレは、共に0.9μm以内とすることができた。
ちなみに、従来のニッケルスタンパーを打ち抜きプレス
機で加工した場合の真円度ズレは3.5μm〜4.5μ
m、ニッケルスタンパーを旋盤加工共削りにより加工し
た場合の真円度ズレは1.1〜1.7μmである。表1
に真円度の実測データを示す。
行ったところ、加工後のSiウエハやガラスの内径の真
円度ズレは、共に0.9μm以内とすることができた。
ちなみに、従来のニッケルスタンパーを打ち抜きプレス
機で加工した場合の真円度ズレは3.5μm〜4.5μ
m、ニッケルスタンパーを旋盤加工共削りにより加工し
た場合の真円度ズレは1.1〜1.7μmである。表1
に真円度の実測データを示す。
【0048】
【表1】
以上により得られたSiスタンパを、射出成形機内の二
分割された金型のうちの一方の金型面に緩衝材を介して
真空吸引、あるいはメカクランプを併用して固定し、光
ディスク基板において一般に使用されているポリカーボ
ネート樹脂やポリオレフィン樹脂を射出成形し、光ディ
スク基板を作製した。作製した光ディスク基板の透明基
板単体の鏡面部のノイズレベルを測定した結果を図5に
示す。なお、比較データとして、通常マスタリングプロ
セスで得られるメタルマスター、あるいはガラス原盤に
レジスト塗布後露光・現像しRIEエッチングで微小凹
凸信号を形成し、しかる後にレジストを除去して無電解
メッキを施し、さらにニッケル電鋳することにより得ら
れたガラスRIEメタルマスターから作製されたそれぞ
れのスタンパについての測定結果も、併せて図5に示
す。
分割された金型のうちの一方の金型面に緩衝材を介して
真空吸引、あるいはメカクランプを併用して固定し、光
ディスク基板において一般に使用されているポリカーボ
ネート樹脂やポリオレフィン樹脂を射出成形し、光ディ
スク基板を作製した。作製した光ディスク基板の透明基
板単体の鏡面部のノイズレベルを測定した結果を図5に
示す。なお、比較データとして、通常マスタリングプロ
セスで得られるメタルマスター、あるいはガラス原盤に
レジスト塗布後露光・現像しRIEエッチングで微小凹
凸信号を形成し、しかる後にレジストを除去して無電解
メッキを施し、さらにニッケル電鋳することにより得ら
れたガラスRIEメタルマスターから作製されたそれぞ
れのスタンパについての測定結果も、併せて図5に示
す。
【0049】測定は、同一成形条件で光ディスク基板を
作製し、成形ディスクの状態で同一光学系を用いて行っ
た。図5から明らかなように、Siスタンパを用いて成
形された光ディスク基板は、8MHz以下において、デ
ィスク表面状態に起因するノイズが最も低くなってい
る。
作製し、成形ディスクの状態で同一光学系を用いて行っ
た。図5から明らかなように、Siスタンパを用いて成
形された光ディスク基板は、8MHz以下において、デ
ィスク表面状態に起因するノイズが最も低くなってい
る。
【0050】また、50区間移動平均によるミラー部ノ
イズと表面粗さ(=Ra)は下記表2の通りである。5
0区間移動平均は、周波数1〜50ポイントの平均を取
って、それを50ポイント目のデータとし、順次2〜5
1の平均を51に当てはめるといった処理法である。表
2のデータは、アモルファスポリオレフィン樹脂(商品
名ゼオノア1600、日本ゼオン社製)を同一条件で射
出成形して得られた光ディスク基板のミラー部のノイズ
とAFM(原子間力顕微鏡)で測定した表面粗さのデー
タである。
イズと表面粗さ(=Ra)は下記表2の通りである。5
0区間移動平均は、周波数1〜50ポイントの平均を取
って、それを50ポイント目のデータとし、順次2〜5
1の平均を51に当てはめるといった処理法である。表
2のデータは、アモルファスポリオレフィン樹脂(商品
名ゼオノア1600、日本ゼオン社製)を同一条件で射
出成形して得られた光ディスク基板のミラー部のノイズ
とAFM(原子間力顕微鏡)で測定した表面粗さのデー
タである。
【0051】
【表2】
なお、表2において、RIE−Niスタンパとは、光学
研磨された石英ガラスに(シラン処理)→レジスト塗布
→ベーキング→露光→現像→エッチング→レジスト除去
→無電解メッキ→電鋳を経て得られたスタンパである。
また、通常マスタリングとは、光学研磨されたガラスに
レジストとの密着を増すためシラン処理→レジスト塗布
→ベーキング→露光→現像→無電解メッキ→電鋳を経て
得られたメタルマスタである。ここで、RIE−Niス
タンパと通常マスタリングNiスタンパのノイズと表面
粗度の違いは、RIE−Niスタンパは、鏡面部におい
てガラスの光学研磨面が転写されているのに対して、通
常マスタリングNiスタンパは、シラン処理及びレジス
ト面が鏡面部になっており表面が荒れていることによ
る。
研磨された石英ガラスに(シラン処理)→レジスト塗布
→ベーキング→露光→現像→エッチング→レジスト除去
→無電解メッキ→電鋳を経て得られたスタンパである。
また、通常マスタリングとは、光学研磨されたガラスに
レジストとの密着を増すためシラン処理→レジスト塗布
→ベーキング→露光→現像→無電解メッキ→電鋳を経て
得られたメタルマスタである。ここで、RIE−Niス
タンパと通常マスタリングNiスタンパのノイズと表面
粗度の違いは、RIE−Niスタンパは、鏡面部におい
てガラスの光学研磨面が転写されているのに対して、通
常マスタリングNiスタンパは、シラン処理及びレジス
ト面が鏡面部になっており表面が荒れていることによ
る。
【0052】以上の通り、シリコンやガラスは、剛性や
耐久性が高く、スタンパ材料として好適である。シリコ
ンス基板やガラス基板を基体とするスタンパは、鏡面研
磨された一主面に光ディスク基板に転写するための凹凸
パターンが形成されたものであり、面荒れ、厚みムラ、
内径の真円度のズレ等が抑制されている。かかるスタン
パを用い、緩衝材を介在させることによって射出成形し
た光ディスク基板は、光ディスクとしたときにディスク
信号の低周波数ノイズの低減、フォーカスエラー残差の
低減が可能である。また、加工端面の欠けがほとんどな
く、加工真円度に優れ偏心の少ないスタンパを用いての
光ディスク基板の製造となるため、製造される光ディス
クは、トラック偏心が少なく、クロストーク特性が向上
されたものとなる。加えて、上記シリコンス基板やガラ
ス基板を基体とするスタンパを用いた場合には、スタン
パ作製のために長時間処理が必要であった電解メッキ処
理が不要となり、さらにメッキ廃液の処理も不要となる
という利点も有する。
耐久性が高く、スタンパ材料として好適である。シリコ
ンス基板やガラス基板を基体とするスタンパは、鏡面研
磨された一主面に光ディスク基板に転写するための凹凸
パターンが形成されたものであり、面荒れ、厚みムラ、
内径の真円度のズレ等が抑制されている。かかるスタン
パを用い、緩衝材を介在させることによって射出成形し
た光ディスク基板は、光ディスクとしたときにディスク
信号の低周波数ノイズの低減、フォーカスエラー残差の
低減が可能である。また、加工端面の欠けがほとんどな
く、加工真円度に優れ偏心の少ないスタンパを用いての
光ディスク基板の製造となるため、製造される光ディス
クは、トラック偏心が少なく、クロストーク特性が向上
されたものとなる。加えて、上記シリコンス基板やガラ
ス基板を基体とするスタンパを用いた場合には、スタン
パ作製のために長時間処理が必要であった電解メッキ処
理が不要となり、さらにメッキ廃液の処理も不要となる
という利点も有する。
【0053】上記スタンパは、射出成形ばかりでなく、
いわゆる2P法にも使用可能であり、これによって積層
構造を有する光ディスク(多層光ディスク)を作製する
ことも可能である。
いわゆる2P法にも使用可能であり、これによって積層
構造を有する光ディスク(多層光ディスク)を作製する
ことも可能である。
【0054】図6は、2P法により多層光ディスクを作
製するためのプレス機の概略構成を示すものである。こ
のプレス機は、図6に示す通り、紫外線導光路50、プ
レス上盤51、上金型52、反射ミラー53、下金型5
4、プレス下盤55、油圧ラム56を備えており、上金
型52と下金型54の間の空間がキャビティとして構成
されている。
製するためのプレス機の概略構成を示すものである。こ
のプレス機は、図6に示す通り、紫外線導光路50、プ
レス上盤51、上金型52、反射ミラー53、下金型5
4、プレス下盤55、油圧ラム56を備えており、上金
型52と下金型54の間の空間がキャビティとして構成
されている。
【0055】このキャビティ内において、予め第1記録
層が形成された光ディスク基板57を信号面がキャビテ
ィ内側に望むように下金型54に装着する。このとき、
光ディスク基板57は、センター位置決めピン等によっ
て位置決めしながら、真空吸着等の手法によって下金型
54に固定する。光ディスク基板57は、例えば、先に
説明した射出成形(金型とスタンパの間に緩衝材を配し
て行う射出成形)によって作製したものを使用する。
層が形成された光ディスク基板57を信号面がキャビテ
ィ内側に望むように下金型54に装着する。このとき、
光ディスク基板57は、センター位置決めピン等によっ
て位置決めしながら、真空吸着等の手法によって下金型
54に固定する。光ディスク基板57は、例えば、先に
説明した射出成形(金型とスタンパの間に緩衝材を配し
て行う射出成形)によって作製したものを使用する。
【0056】一方、先に説明したようなブラスト処理に
より外径加工を行ったスタンパ(Siスタンパやガラス
スタンパ等)58を、やはり信号面がキャビティ内側に
臨むように上金型52に装着する。スタンパ58も、先
の光ディスク基板57と同様、センター位置決めピン等
によって位置決めしながら、真空吸着等の手法によって
上金型52に固定する。
より外径加工を行ったスタンパ(Siスタンパやガラス
スタンパ等)58を、やはり信号面がキャビティ内側に
臨むように上金型52に装着する。スタンパ58も、先
の光ディスク基板57と同様、センター位置決めピン等
によって位置決めしながら、真空吸着等の手法によって
上金型52に固定する。
【0057】光ディスク基板57とスタンパ58の間の
空間には、ディスペンサ等によって紫外線硬化樹脂59
が充填される。また、紫外線照射装置60から照射され
る紫外線が、光ファイバ等からなる紫外線導光路50に
よって上記キャビティ内へ導かれる。すなわち、上金型
52と下金型54に設けられたセンター位置決めピン
に、紫外線照射装置60から導かれた紫外線が、反射ミ
ラー53を経由してセンターホールからキャビティ内周
部に照射される構造を有している。外周部にも同様の構
造が設けられている。したがって、これらの構造によ
り、金型が閉じた状態で、紫外線照射装置60から導か
れた紫外線は、ディスク内周部及び外周部から紫外線硬
化樹脂59に照射可能である。
空間には、ディスペンサ等によって紫外線硬化樹脂59
が充填される。また、紫外線照射装置60から照射され
る紫外線が、光ファイバ等からなる紫外線導光路50に
よって上記キャビティ内へ導かれる。すなわち、上金型
52と下金型54に設けられたセンター位置決めピン
に、紫外線照射装置60から導かれた紫外線が、反射ミ
ラー53を経由してセンターホールからキャビティ内周
部に照射される構造を有している。外周部にも同様の構
造が設けられている。したがって、これらの構造によ
り、金型が閉じた状態で、紫外線照射装置60から導か
れた紫外線は、ディスク内周部及び外周部から紫外線硬
化樹脂59に照射可能である。
【0058】プレス下盤55は、リニアエンコーダによ
り位置制御可能とされた油圧ラム56、あるいはエアシ
リンダによって図中上下方向に駆動可能とされており、
加圧上昇過程の任意の設定位置で加圧速度が2段階以上
設定でき、特定の加圧位置で外部の紫外線照射装置60
の照射スイッチと連動する機能を有している。したがっ
て、紫外線硬化樹脂59が、例えば20〜40μm程度
の厚さになった時点で、すなわち上下金型52,54が
前記膜厚に相当する位置まで上下動したときに、紫外線
の照射を開始することが可能である。なお、紫外線の照
射時間は、タイマー等により時間設定が可能である。
り位置制御可能とされた油圧ラム56、あるいはエアシ
リンダによって図中上下方向に駆動可能とされており、
加圧上昇過程の任意の設定位置で加圧速度が2段階以上
設定でき、特定の加圧位置で外部の紫外線照射装置60
の照射スイッチと連動する機能を有している。したがっ
て、紫外線硬化樹脂59が、例えば20〜40μm程度
の厚さになった時点で、すなわち上下金型52,54が
前記膜厚に相当する位置まで上下動したときに、紫外線
の照射を開始することが可能である。なお、紫外線の照
射時間は、タイマー等により時間設定が可能である。
【0059】多層(2層)光ディスクを作製するには、
図7(a)に示すように、光ディスク基板57の第1記
録層57a上に紫外線硬化樹脂59を供給し、その上方
に第2記録層用の凹凸パターンを有するスタンパ58を
配置する。
図7(a)に示すように、光ディスク基板57の第1記
録層57a上に紫外線硬化樹脂59を供給し、その上方
に第2記録層用の凹凸パターンを有するスタンパ58を
配置する。
【0060】次に、図7(b)に示すように、上述のプ
レス機の上下金型内において、紫外線硬化樹脂59の層
が所望の厚さとなった時点で紫外線を照射し、これを硬
化させて光透過層とする。
レス機の上下金型内において、紫外線硬化樹脂59の層
が所望の厚さとなった時点で紫外線を照射し、これを硬
化させて光透過層とする。
【0061】次いで、図7(c)に示すように、光透過
層(紫外線硬化樹脂59)とスタンパ58の界面で剥離
し、スタンパ58から転写された光透過層の凹凸パター
ン上に第2記録層57bを形成する。さらに、第2記録
層57bを覆って紫外線硬化樹脂等からなる厚さ0.1
mm程度の保護膜を形成し、あるいは保護用フィルムを
接着剤等によって貼り合わせ、多層光ディスクを完成す
る。
層(紫外線硬化樹脂59)とスタンパ58の界面で剥離
し、スタンパ58から転写された光透過層の凹凸パター
ン上に第2記録層57bを形成する。さらに、第2記録
層57bを覆って紫外線硬化樹脂等からなる厚さ0.1
mm程度の保護膜を形成し、あるいは保護用フィルムを
接着剤等によって貼り合わせ、多層光ディスクを完成す
る。
【0062】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例について説明
する。
する。
【0063】スタンパ作製例
表面が光学研磨された直径200mm、厚さ0.74m
mのSiウエハを、図4に示したプロセスのように、レ
ジスト(東京応化社製、商品名TSMR−V50)を4
5nmの厚さでスピンコートした。これを塗布、乾燥し
た後、プリグルーブ及びピットのパターンに応じてレー
ザ露光し、無機アルカリ系の現像液(東京応化社製、商
品名DE−4)で15〜30秒現像し、未露光部分を除
去した。残存するレジストパターンをマスクとしてSi
ウエハ原盤をRIEエッチングして深さ40nmのグル
ーブを形成した。その後、レジストを除去し、Siウエ
ハを基板とするスタンパを得た。
mのSiウエハを、図4に示したプロセスのように、レ
ジスト(東京応化社製、商品名TSMR−V50)を4
5nmの厚さでスピンコートした。これを塗布、乾燥し
た後、プリグルーブ及びピットのパターンに応じてレー
ザ露光し、無機アルカリ系の現像液(東京応化社製、商
品名DE−4)で15〜30秒現像し、未露光部分を除
去した。残存するレジストパターンをマスクとしてSi
ウエハ原盤をRIEエッチングして深さ40nmのグル
ーブを形成した。その後、レジストを除去し、Siウエ
ハを基板とするスタンパを得た。
【0064】このときのRIEドライエッチング条件は
以下の通りである。 RFパワー:200W エッチングガス:CF4 圧力:1Pa ガス流量:50sccm 基板温度:20℃
以下の通りである。 RFパワー:200W エッチングガス:CF4 圧力:1Pa ガス流量:50sccm 基板温度:20℃
【0065】上記の条件でSiウエハのドライエッチン
グを行い、20nm/分のエッチングレートにて2分間
エッチングした。このエッチングにより得られたSiウ
エハスタンパの信号面には、市販されている保護膜(フ
ァインケミカルジャパン社製、商品名クリーンコート
S)を塗布し、乾燥した。
グを行い、20nm/分のエッチングレートにて2分間
エッチングした。このエッチングにより得られたSiウ
エハスタンパの信号面には、市販されている保護膜(フ
ァインケミカルジャパン社製、商品名クリーンコート
S)を塗布し、乾燥した。
【0066】しかる後、門形構造を有する3次元微細加
工機にダイヤモンド入りプラスチック砥石(例えばFS
K社製、商品名ダイヤモンドレジン単体。粗削り併用の
場合はFSK社製、商品名ビトダイヤSタイプ。)を装
着し、ヘリカル切削により金型寸法に合った形状に内外
径をドーナツ状に研削加工した。この時の加工条件は以
下の表3に示す通りである。
工機にダイヤモンド入りプラスチック砥石(例えばFS
K社製、商品名ダイヤモンドレジン単体。粗削り併用の
場合はFSK社製、商品名ビトダイヤSタイプ。)を装
着し、ヘリカル切削により金型寸法に合った形状に内外
径をドーナツ状に研削加工した。この時の加工条件は以
下の表3に示す通りである。
【0067】
【表3】
実施例1
図2に示す構造を有する金型の固定側ミラー金型表面
に、一般的な無電解ニッケル被膜を2μm厚で形成し
た。この無電解メッキ被膜は、次の緩衝材が単体では金
型材料であるステンレス(SUS420J)との密着が
悪いために、下地処理として施した。この無電解メッキ
被膜の硬度は500Hv(ビッカース硬度)であった。
に、一般的な無電解ニッケル被膜を2μm厚で形成し
た。この無電解メッキ被膜は、次の緩衝材が単体では金
型材料であるステンレス(SUS420J)との密着が
悪いために、下地処理として施した。この無電解メッキ
被膜の硬度は500Hv(ビッカース硬度)であった。
【0068】次に、無電解ニッケル被膜中にテトラフル
オロエチレン微粒子が分散共析された日本カニゼン社
製、商品名カニフロンA(テトラフルオロエチレン含有
量20〜25容量%)を用い、厚さ3μmの複合無電解
メッキ被膜を形成した。これを更に300℃で加熱処理
し、被膜硬度を高めて緩衝材コートとした。この時の被
膜硬度は300Hv(ビッカース硬度)、被膜の摩擦係
数は0.07〜0.12であった。
オロエチレン微粒子が分散共析された日本カニゼン社
製、商品名カニフロンA(テトラフルオロエチレン含有
量20〜25容量%)を用い、厚さ3μmの複合無電解
メッキ被膜を形成した。これを更に300℃で加熱処理
し、被膜硬度を高めて緩衝材コートとした。この時の被
膜硬度は300Hv(ビッカース硬度)、被膜の摩擦係
数は0.07〜0.12であった。
【0069】しかる後に、先に作製したSiウエハスタ
ンパを金型の固定側ミラー金型表面に組み込み、光ディ
スク基板を射出成形した。スタンパの組み込みは、内径
をメカクランプ、全体を真空吸着することにより行っ
た。また、射出成形は、アモルファスポリオレフィン樹
脂の一種である日本ゼオン社製、商品名ゼオノア160
0を用い、下記の成形条件で行った。なお、成形したデ
ィスク基板は、直径120mm、厚さ1.2mmであ
る。
ンパを金型の固定側ミラー金型表面に組み込み、光ディ
スク基板を射出成形した。スタンパの組み込みは、内径
をメカクランプ、全体を真空吸着することにより行っ
た。また、射出成形は、アモルファスポリオレフィン樹
脂の一種である日本ゼオン社製、商品名ゼオノア160
0を用い、下記の成形条件で行った。なお、成形したデ
ィスク基板は、直径120mm、厚さ1.2mmであ
る。
【0070】射出成形機:最大型締め圧30トン(日精
樹脂工業社製、商品名MO40H) 平均射出速度:150mm/秒 型締め圧:15トン 樹脂溶融温度:370℃ 金型温度:130℃ 冷却時間:14秒
樹脂工業社製、商品名MO40H) 平均射出速度:150mm/秒 型締め圧:15トン 樹脂溶融温度:370℃ 金型温度:130℃ 冷却時間:14秒
【0071】実施例2
図2に示す構造を有する金型の固定側ミラー金型表面
に、蒸着重合法によるポリイミド樹脂(真空冶金社製)
を6μmコーティングし、固定側金型に組み込んだ。こ
の時のコーティング被膜の硬さは鉛筆硬度で2H、摩擦
係数は0.1〜0.2であった。
に、蒸着重合法によるポリイミド樹脂(真空冶金社製)
を6μmコーティングし、固定側金型に組み込んだ。こ
の時のコーティング被膜の硬さは鉛筆硬度で2H、摩擦
係数は0.1〜0.2であった。
【0072】しかる後に、先に作製したSiウエハスタ
ンパを金型の固定側ミラー金型表面に組み込み、光ディ
スク基板を射出成形した。射出成形は、先の実施例1と
同様の条件で行った。
ンパを金型の固定側ミラー金型表面に組み込み、光ディ
スク基板を射出成形した。射出成形は、先の実施例1と
同様の条件で行った。
【0073】実施例3
Siウエハスタンパの裏面に市販されている紫外線硬化
樹脂(大日本インキ社製、商品名SD694)を7μm
厚でスピンコートし、紫外線を照射して硬化した。硬化
に際しては、メタルハライドランプを1000mj/c
m2照射した。
樹脂(大日本インキ社製、商品名SD694)を7μm
厚でスピンコートし、紫外線を照射して硬化した。硬化
に際しては、メタルハライドランプを1000mj/c
m2照射した。
【0074】この緩衝材を形成したSiウエハスタンパ
の内外径を金型に合うサイズに加工し、TiNをイオン
プレーティング処理した固定側ミラー金型に組み込み、
光ディスク基板を射出成形した。射出成形は、先の実施
例1と同様の条件で行った。
の内外径を金型に合うサイズに加工し、TiNをイオン
プレーティング処理した固定側ミラー金型に組み込み、
光ディスク基板を射出成形した。射出成形は、先の実施
例1と同様の条件で行った。
【0075】比較例1
金型の固定側ミラー金型表面に、通常のディスク金型に
使用されている表面硬化及び耐摩耗性を有するTIN処
理を施した。TIN処理被膜の厚さは2μmとした。
使用されている表面硬化及び耐摩耗性を有するTIN処
理を施した。TIN処理被膜の厚さは2μmとした。
【0076】しかる後に、先に作製したSiウエハスタ
ンパを金型の固定側ミラー金型表面に組み込み、光ディ
スク基板を射出成形した。射出成形は、先の実施例1と
同様の条件で行った。
ンパを金型の固定側ミラー金型表面に組み込み、光ディ
スク基板を射出成形した。射出成形は、先の実施例1と
同様の条件で行った。
【0077】比較例2
金型の固定側ミラー金型表面には、通常のディスク金型
に使用されている表面硬化及び耐摩耗性を有するTIN
処理を施した。TIN処理被膜の厚さは2μmとした。
に使用されている表面硬化及び耐摩耗性を有するTIN
処理を施した。TIN処理被膜の厚さは2μmとした。
【0078】次に、通常のマスタリング工程(光学研磨
されたガラス→シラン処理→レジスト塗布→ベーキング
→露光→現像→無電解メッキ→電鋳)を経て得られたN
iスタンパ(メタルマスター)を金型の固定側ミラー金
型表面に組み込み、光ディスク基板を射出成形した。射
出成形は、先の実施例1と同様の条件で行った。
されたガラス→シラン処理→レジスト塗布→ベーキング
→露光→現像→無電解メッキ→電鋳)を経て得られたN
iスタンパ(メタルマスター)を金型の固定側ミラー金
型表面に組み込み、光ディスク基板を射出成形した。射
出成形は、先の実施例1と同様の条件で行った。
【0079】評価
先ず、各実施例及び比較例における射出成形後のSiウ
エハスタンパと金型、及び成形ディスクの外観の様子を
表4に示す。
エハスタンパと金型、及び成形ディスクの外観の様子を
表4に示す。
【0080】
【表4】
また、得られたディスク基板の鏡面部のフォーカスエラ
ー取れ残り量を測定したデータを図8〜図10に示す。
図8は実施例1、図9は比較例1、図10は比較例2の
測定結果を示すものであるが、実施例1では緩衝材無し
の比較例1や通常マスタリングのNiスタンパを用いた
比較例2に比べ、得られたディスクのフォーカスエラー
残差が極端に少なくなっている。
ー取れ残り量を測定したデータを図8〜図10に示す。
図8は実施例1、図9は比較例1、図10は比較例2の
測定結果を示すものであるが、実施例1では緩衝材無し
の比較例1や通常マスタリングのNiスタンパを用いた
比較例2に比べ、得られたディスクのフォーカスエラー
残差が極端に少なくなっている。
【0081】比較例1の緩衝材無しの場合においてSi
ウエハスタンパと金型の擦れ傷跡をSiウエハスタンパ
面で観察した結果が図11であり、傷の凹凸を測定した
結果が図12及び図13である。図12は、ナノステッ
プ(触針式)データであり、傷の凹凸はP−P=543
nm、図13は、傷の凹凸はP−P=42.8nmであ
る。図12では、右側に傷による凹部が見られ、その左
にバリの発生が見られる。これらの傷の凹凸が射出成形
時の圧力により光ディスク基板の表面に凹凸として転写
され、フォーカスエラー残差として現れている。なお、
このSiウエハスタンパ裏面の傷は、成形ショットを重
ねる毎に増大する傾向にあった。
ウエハスタンパと金型の擦れ傷跡をSiウエハスタンパ
面で観察した結果が図11であり、傷の凹凸を測定した
結果が図12及び図13である。図12は、ナノステッ
プ(触針式)データであり、傷の凹凸はP−P=543
nm、図13は、傷の凹凸はP−P=42.8nmであ
る。図12では、右側に傷による凹部が見られ、その左
にバリの発生が見られる。これらの傷の凹凸が射出成形
時の圧力により光ディスク基板の表面に凹凸として転写
され、フォーカスエラー残差として現れている。なお、
このSiウエハスタンパ裏面の傷は、成形ショットを重
ねる毎に増大する傾向にあった。
【0082】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明のようにスタンパを緩衝材を介して金型に装着するこ
とにより、金型表面やスタンパ裏面に成形時の熱や応力
によって擦れ傷が発生するのを防止することができ、光
ディスク基板の鏡面部の低周波数領域ノイズやフォーカ
スエラー残差を非常に少ないものとすることが可能であ
る。
明のようにスタンパを緩衝材を介して金型に装着するこ
とにより、金型表面やスタンパ裏面に成形時の熱や応力
によって擦れ傷が発生するのを防止することができ、光
ディスク基板の鏡面部の低周波数領域ノイズやフォーカ
スエラー残差を非常に少ないものとすることが可能であ
る。
【0083】さらに、上記の通りスタンパと金型間に緩
衝材を設けることにより、熱膨張や樹脂の射出応力によ
る金型表面とスタンパ裏面が擦れ合うことによって発生
する傷が基で起こるディスク信号面の凹凸を解消するこ
とができることから、長時間の連続成形も可能である。
衝材を設けることにより、熱膨張や樹脂の射出応力によ
る金型表面とスタンパ裏面が擦れ合うことによって発生
する傷が基で起こるディスク信号面の凹凸を解消するこ
とができることから、長時間の連続成形も可能である。
【0084】また、例えばSiスタンパを用いた場合に
は、ガラスの研磨工程や洗浄工程も省略することがで
き、且つ裏面研磨工程も省略することができることか
ら、工程が短縮されるばかりでなく、裏面研磨跡(研磨
砥粒傷跡が射出成形時の圧力で光ディスク基板にマクロ
の凹凸として出現)が全く無いフラットな光ディスク基
板を得ることができ、これによりフォーカスエラー残差
を極端に少なくすることが可能である。
は、ガラスの研磨工程や洗浄工程も省略することがで
き、且つ裏面研磨工程も省略することができることか
ら、工程が短縮されるばかりでなく、裏面研磨跡(研磨
砥粒傷跡が射出成形時の圧力で光ディスク基板にマクロ
の凹凸として出現)が全く無いフラットな光ディスク基
板を得ることができ、これによりフォーカスエラー残差
を極端に少なくすることが可能である。
【0085】さらに、多層構造の光ディスクの多層部を
作成するには、従来のマスタリングプロセスでは信号の
凹凸を反転したマザースタンパを用いねばならなかった
が、Siスタンパやガラススタンパ等を用いることによ
り、信号反転に要する前処理や電鋳メッキを省略するこ
とものできる。すなわち、従来法ではメタルマスターの
凹凸信号を電鋳メッキで反転させたマザーを用いて作成
した多層部をディスク基板に積層しなければならなかっ
たが、RIEエッチングにより得られるSiスタンパは
信号が反転した状態で形成されるため、マザーを作成す
る工程を省略することができる。
作成するには、従来のマスタリングプロセスでは信号の
凹凸を反転したマザースタンパを用いねばならなかった
が、Siスタンパやガラススタンパ等を用いることによ
り、信号反転に要する前処理や電鋳メッキを省略するこ
とものできる。すなわち、従来法ではメタルマスターの
凹凸信号を電鋳メッキで反転させたマザーを用いて作成
した多層部をディスク基板に積層しなければならなかっ
たが、RIEエッチングにより得られるSiスタンパは
信号が反転した状態で形成されるため、マザーを作成す
る工程を省略することができる。
【0086】Siウエハやガラス基板から作製されるス
タンパでは、メッキ工程が不要であるため、メッキによ
る低周波数領域のノイズ増大が抑制されるばかりでな
く、数時間に及ぶ電鋳メッキが省略され、且つメッキ液
の廃水処理等も不要である。したがって、スタンパをS
iウエハやガラス基板から作製することで、重金属の規
制物質も必要とせず、環境規制物質から解放される。
タンパでは、メッキ工程が不要であるため、メッキによ
る低周波数領域のノイズ増大が抑制されるばかりでな
く、数時間に及ぶ電鋳メッキが省略され、且つメッキ液
の廃水処理等も不要である。したがって、スタンパをS
iウエハやガラス基板から作製することで、重金属の規
制物質も必要とせず、環境規制物質から解放される。
【0087】一方、本発明の光ディスク原盤の作製方法
によれば、Siウエハやガラス等、これまで機械加工で
は加工端面の欠けや割れ等によりスタンパとして使用で
きなかったものが使用可能であり、これによって、加工
真円度に優れた偏心の少ないスタンパを作製することが
できる。したがって、係るスタンパを用いて光ディスク
基板を成形することで、信号トラックの偏心性能に優れ
た光ディスク基板を得ることが可能である。
によれば、Siウエハやガラス等、これまで機械加工で
は加工端面の欠けや割れ等によりスタンパとして使用で
きなかったものが使用可能であり、これによって、加工
真円度に優れた偏心の少ないスタンパを作製することが
できる。したがって、係るスタンパを用いて光ディスク
基板を成形することで、信号トラックの偏心性能に優れ
た光ディスク基板を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】射出ユニットの基本構成を模式的に示すもので
あり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
あり、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】金型構造の一例を示す概略断面図である。
【図3】金型とスタンパ間に緩衝材を配した状態を示す
概略断面図である。
概略断面図である。
【図4】微細凹凸信号の形成プロセスの一例を示すもの
であり、(a)は基板の概略断面図、(b)はレジスト
形成工程を示す概略断面図、(c)は露光工程を示す概
略断面図、(d)は現像工程を示す概略断面図、(e)
はRIEエッチング工程を示す概略断面図、(f)はレ
ジスト除去工程を示す概略断面図である。
であり、(a)は基板の概略断面図、(b)はレジスト
形成工程を示す概略断面図、(c)は露光工程を示す概
略断面図、(d)は現像工程を示す概略断面図、(e)
はRIEエッチング工程を示す概略断面図、(f)はレ
ジスト除去工程を示す概略断面図である。
【図5】用いたスタンパの相違による光ディスク基板の
鏡面部のノイズレベルの相違を示す特性図である。
鏡面部のノイズレベルの相違を示す特性図である。
【図6】多層光ディスクを作製するためのプレス機の一
例を示す概略断面図である。
例を示す概略断面図である。
【図7】多層光ディスクの作製プロセスの一例を示すも
のであり、(a)は紫外線硬化樹脂供給工程を示す概略
断面図、(b)は紫外線硬化樹脂の硬化工程を示す概略
断面図、(c)は記録層及び保護膜の形成工程を示す概
略断面図である。
のであり、(a)は紫外線硬化樹脂供給工程を示す概略
断面図、(b)は紫外線硬化樹脂の硬化工程を示す概略
断面図、(c)は記録層及び保護膜の形成工程を示す概
略断面図である。
【図8】実施例1における光ディスク基板鏡面部のフォ
ーカスエラー取れ残り量の測定結果を示す特性図であ
る。
ーカスエラー取れ残り量の測定結果を示す特性図であ
る。
【図9】比較例1における光ディスク基板鏡面部のフォ
ーカスエラー取れ残り量の測定結果を示す特性図であ
る。
ーカスエラー取れ残り量の測定結果を示す特性図であ
る。
【図10】比較例2における光ディスク基板鏡面部のフ
ォーカスエラー取れ残り量の測定結果を示す特性図であ
る。
ォーカスエラー取れ残り量の測定結果を示す特性図であ
る。
【図11】Siウエハスタンパ面の擦れ傷跡を示す写真
である。
である。
【図12】Siウエハスタンパ面における傷の凹凸の測
定結果の一例である。
定結果の一例である。
【図13】Siウエハスタンパ面における傷の凹凸の測
定結果の他の例である。
定結果の他の例である。
11 射出成形ユニット、12 射出装置、13 金型
装置、20 固定側金型部、21 可動側金型部、25
固定側ミラー、26 スタンパ、34 緩衝材
装置、20 固定側金型部、21 可動側金型部、25
固定側ミラー、26 スタンパ、34 緩衝材
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 秋山 雄治
東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ
ー株式会社内
(72)発明者 峯村 憲
埼玉県久喜市清久町1番10 ソニーマニュ
ファクチュアリングシステムズ株式会社内
Fターム(参考) 4F202 AH38 AH79 AJ02 CA09 CA11
CB01 CD26 CK86 CK88 CR06
5D121 AA02 AA06 BB01 BB33 CA01
CA05 CA07 CB01 CB05 CB08
DD02 DD05 DD18 EE26 EE28
GG02 GG22 GG24
Claims (19)
- 【請求項1】 微小凹凸が形成された光ディスク原盤が
装着された金型を用いて樹脂を成形し、光ディスク基板
とする光ディスクの製造方法において、 上記金型と光ディスク原盤の間に緩衝材を介在させるこ
とを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 【請求項2】 上記緩衝材は、潤滑性を有する金属被膜
又は有機被膜からなることを特徴とする請求項1記載の
光ディスクの製造方法。 - 【請求項3】 上記緩衝材は、摩擦係数が0.2以下で
あることを特徴とする請求項2記載の光ディスクの製造
方法。 - 【請求項4】 上記有機被膜は、200℃以上の耐熱性
を有することを特徴とする請求項2記載の光ディスクの
製造方法。 - 【請求項5】 上記潤滑性を有する金属被膜は、潤滑性
を有する粒子が分散された金属被膜であることを特徴と
する請求項2記載の光ディスクの製造方法。 - 【請求項6】 上記緩衝材は、上記金型の光ディスク原
盤と接する面に形成されていることを特徴とする請求項
1記載の光ディスクの製造方法。 - 【請求項7】 上記緩衝材は、上記光ディスク原盤の微
小凹凸が形成された面とは反対側の面に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の光ディスクの製造方
法。 - 【請求項8】 上記光ディスク原盤は、Si又はガラス
からなることを特徴とする請求項1記載の光ディスクの
製造方法。 - 【請求項9】 上記光ディスク原盤の厚さが0.4mm
以上であり、上記緩衝材の厚さが20μm以下であるこ
とを特徴とする請求項8記載の光ディスクの製造方法。 - 【請求項10】 少なくとも1主面が鏡面加工された基
板表面に感光性樹脂を塗布する工程と、感光性樹脂を露
光、現像して感光性樹脂をパターニングする工程と、パ
ターニングした感光性樹脂をマスクとして基板をエッチ
ングする工程とにより、上記微小凹凸が形成された光デ
ィスク原盤を作製することを特徴とする請求項8記載の
光ディスクの製造方法。 - 【請求項11】 上記微小凹凸の形成後、感光性樹脂を
再度塗布し、これをパターニングして外径寸法に応じて
原盤を露出させ、粉体を吹き付けることにより光ディス
ク原盤の外径加工することを特徴とする請求項10記載
の光ディスクの製造方法。 - 【請求項12】 少なくとも1主面が鏡面加工された基
板表面に感光性樹脂を塗布する工程と、感光性樹脂を露
光、現像して感光性樹脂をパターニングする工程と、パ
ターニングした感光性樹脂をマスクとして基板をエッチ
ングする工程とにより、上記微小凹凸が形成された原盤
を作製した後、 感光性樹脂を再度塗布し、これをパターニングして外径
寸法に応じて原盤を露出させ、粉体を吹き付けることに
より外径加工することを特徴とする光ディスク原盤の作
製方法。 - 【請求項13】 上記粉体は、アルミナ粉又は炭化ケイ
素粉であることを特徴とする請求項12記載の光ディス
ク原盤の作製方法。 - 【請求項14】 機械加工により内径加工することを特
徴とする請求項12記載の光ディスク原盤の作製方法。 - 【請求項15】 上記機械加工による内径加工は、砥石
を回転数10000rpm以上に高速回転させて行うこ
とを特徴とする請求項14記載の光ディスク原盤の作製
方法。 - 【請求項16】 上記光ディスク原盤がSi又はガラス
からなる場合に、上記砥石としてダイヤモンド入りプラ
スチック砥石を用いることを特徴とする請求項15記載
の光ディスク原盤の作製方法。 - 【請求項17】 分割可能な金型の一方に粉体を吹き付
けることにより少なくとも外径加工した光ディスク原盤
を装着するとともに、他方の金型には射出成形され記録
層又は反射層が成膜された光ディスク基板を装着し、 これら金型間に紫外線硬化樹脂を充填した後、紫外線を
照射して当該紫外線硬化樹脂を硬化し積層構造の光ディ
スクとすることを特徴とする光ディスクの製造方法。 - 【請求項18】 上記光ディスク原盤は、Si又はガラ
スからなることを特徴とする請求項17記載の光ディス
クの製造方法。 - 【請求項19】 上記金型と光ディスク原盤の間に緩衝
材を介在させることを特徴とする請求項18記載の光デ
ィスクの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002111799A JP2003317329A (ja) | 2002-04-15 | 2002-04-15 | 光ディスクの製造方法及び光ディスク原盤の作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002111799A JP2003317329A (ja) | 2002-04-15 | 2002-04-15 | 光ディスクの製造方法及び光ディスク原盤の作製方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003317329A true JP2003317329A (ja) | 2003-11-07 |
Family
ID=29533411
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002111799A Pending JP2003317329A (ja) | 2002-04-15 | 2002-04-15 | 光ディスクの製造方法及び光ディスク原盤の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003317329A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007001181A (ja) * | 2005-06-24 | 2007-01-11 | Sony Corp | 成形装置および成形方法 |
JP2009149097A (ja) * | 2009-02-04 | 2009-07-09 | Toshiba Corp | インプリント加工用スタンパーおよびその製造方法 |
-
2002
- 2002-04-15 JP JP2002111799A patent/JP2003317329A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007001181A (ja) * | 2005-06-24 | 2007-01-11 | Sony Corp | 成形装置および成形方法 |
JP2009149097A (ja) * | 2009-02-04 | 2009-07-09 | Toshiba Corp | インプリント加工用スタンパーおよびその製造方法 |
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