JP2000054252A - 炭素繊維フィルター - Google Patents

炭素繊維フィルター

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JP2000054252A
JP2000054252A JP22399698A JP22399698A JP2000054252A JP 2000054252 A JP2000054252 A JP 2000054252A JP 22399698 A JP22399698 A JP 22399698A JP 22399698 A JP22399698 A JP 22399698A JP 2000054252 A JP2000054252 A JP 2000054252A
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carbon fiber
fiber
filter
heat
fibers
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JP22399698A
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Kenji Okuda
健二 奥田
Shinichiro Okada
慎一郎 岡田
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Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高性能の炭素繊維フィルター、特にレンジフー
ド用の炭素繊維フィルターを提供する。 【解決手段】体積固有抵抗値が100〜1000Ω・c
mの炭素繊維約70重量%と芯鞘タイプの熱融着ポリエ
ステル繊維約30重量%とを結合させた炭素繊維フィル
ターとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維フィルタ
ーに関し、特に家庭用レンジに使用する使い捨て型の炭
素繊維フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、家庭では調理用ガスコン炉台
の上部等に、主に熱排気中の油分を除去するためにフィ
ルター装置が使用されている。
【0003】そしてこのフィルター装置用のフィルター
本体としては、耐熱性や耐火性が必要なこと、この一方
でガラス繊維や金属繊維では製造、価格、廃棄等に問題
が多いこと、から難燃処理等を施した化学繊維が多く使
用されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、難燃処
理等を施しているとはいえ、化学繊維であるため万が一
一旦吸着している油分等に火花がついたりすれば炎がひ
ろがったりはしないものの熱で収縮し、このため取付け
枠からはずれて落下したりしかねず、ひいては調理者の
安全上完全なものとは言い難い。
【0005】また、中華料理やフランス料理の場合特に
そうであるが、調理の途中で鍋やフライパンのアルコー
ルを燃やしたり、多量の高温の油滴を飛ばしたりする
が、このような場合はもとより、何等かの理由で急に炎
が舞い上がったりしたときでも、燃えたり、動圧で破れ
たりしないという面からもより安全なものとする必要が
ある。
【0006】また、廃棄物処理場で焼却する場合には、
難燃材(剤)としてハロゲン(特に、塩素)を含有して
いるため、ダイオキシンが発生したりしかねず、環境汚
染の面から決して好ましいものではない。
【0007】更に、製造の面からは、極力廃棄物の処理
が楽なことが望ましい。
【0008】このため、単に耐火性、耐熱性があるだけ
でなく、万が一付着している油分への飛火等が生じた場
合でも熱収縮したりせず、そして勿論発熱源のそば(下
方)にいる人にとり危険の生じ難いかつ廃棄処理や製造
の面からも問題のないフィルターの実現が望まれてい
た。
【0009】そして当然、空気抵抗やダストの除去等フ
ィルターの本来の性能の面からも優れており、また安
価、製造容易なフィルターの実現が望まれていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題に鑑
みなされたものであり、炭素繊維と特定の有機繊維を素
材として工夫をこらした構成のフィルターとしている。
具体的には、以下の構成としている。
【0011】請求項1記載の発明においては、炭素繊維
とこの炭素繊維に加熱により融着することにより炭素繊
維と混合したシートを形成し、そして繊維長が30〜7
5mmの熱融着性非ハロゲン系化学繊維とからなり、更
にシート状に形成された炭素繊維フィルターとしてい
る。
【0012】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0013】炭素繊維と繊維長が30〜75mmの熱融
着性非ハロゲン系化学繊維とがシート状に成形され、こ
れにより(いわゆる)炭素繊維フィルターを形成する。
【0014】この際、PET等の熱融着性非ハロゲン系
化学繊維は、炭素繊維相互及び自身とを熱融着により結
合する。
【0015】なおここで、現時点では乾式法で製造する
ため、湿式法と異なり一般に廃液処理の面から問題の多
いフェノール樹脂や耐熱性の低いエポキシ系樹脂等を使
用せずに済む。また、耐熱性の優れた樹脂を選択しえ
る。
【0016】更に、炭素繊維が存在するため、万が一、
付着した油分、それどころか熱融着性非ハロゲン系化学
繊維に飛火、着火したりしても、シート状の炭素繊維は
全体として収縮や着火消失したりせず、また炭素繊維相
互も一旦化学繊維で接着された以上、バラバラになった
りしない。
【0017】また、化学繊維は非ハロゲン系(特に、非
塩素、臭素)であるため、最終的に焼却炉で焼却する場
合にダイオキシン等の有害物の発生がない、あるいは少
ない。また、勿論オゾン層の破壊にもつながらない。
【0018】また、現時点では乾式法で製造するが、湿
式法と異なり、攪拌時に水の表面張力の影響等で毛玉が
生じたりすることがないため繊維長を30〜75mmの
範囲になしうる。ひいては、繊維長が短か過ぎることに
よる繊維落ちがない。逆に、長過ぎることによる両繊維
の混合の困難性もない。その結果、製品の使い勝手がよ
く製造は容易となる。
【0019】そして勿論、特に炭素繊維及び熱融着性非
ハロゲン系化学繊維は特に無極性の油分等のダストを物
理的に吸着するため優れたフィルター性能が発揮され
る。
【0020】そして当然化学的に安定であるため、耐久
性も優れたものとなる。
【0021】請求項2記載の発明においては、前記熱融
着性非ハロゲン系化学繊維は、熱融着性ポリエステル繊
維(含む、最大15%までの他の材料の混入。すなわ
ち、いわゆるポリエステル系繊維)としている。
【0022】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0023】熱融着性非ハロゲン系化学繊維は、PE
T、特に熱融着性ポリエステル繊維であるため、安価、
製造容易、環境への悪影響が少なくかつ無極性の油分の
除去、化学的安定性、耐火性等のフィルター性能も優れ
たものとなる。
【0024】請求項3記載の発明においては、前記熱融
着ポリエステル繊維は、芯鞘タイプであり、かつ鞘部だ
けを加熱融着させたものとしている。
【0025】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0026】熱融着性ポリエステル繊維は、鞘部の融点
が100〜110℃程度(メーカや製品により異なる。
あるいは、各種のものがある。)、芯部が200〜25
5℃程度(鞘部と同じ理由)であるため、繊維がその形
状を保持しつつ、炭素繊維相互及び自身を熱融着で接
合、固着する際の温度管理(通常220℃以下、好まし
くは130〜180℃)が楽なだけでなく、熱による変
形、炭素の酸化減量等がなく、ひいては製品の質がすぐ
れ、また製造も容易となる。
【0027】また、鞘部の融点は100℃程度以上であ
るため、ガス調理器台上のレンジフード(排気)用フィ
ルターとして、充分な耐熱性も有していることとなる。
【0028】請求項4記載の発明においては、前記炭素
繊維は、体積固有抵抗値が100〜1000Ω・cmの
ものとしている。
【0029】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0030】炭素繊維は、原料を比較的低い温度で炭化
させ、体積固有抵抗値が上記範囲内であるようにしてい
るため、近くに存在する排気ファン用モータ等何らかの
原因によるショート、スパーク等が発生し難い。
【0031】ひいては、排気中に可燃物の粉塵、特に油
滴等があっても発火の危険性が少ない。
【0032】更に、体積固有抵抗値がこの範囲内にある
炭素繊維は弾性率が比較的低く、ひいてはガラス繊維と
異なり、人の皮膚に繊維が突き刺さったりすることによ
る不快感、いわゆるチクチクが発生し難い。その結果、
家庭内での主婦等素人にとって取扱い易いのはもとよ
り、製造時にも作業者のために特別のチクチク対策を施
す必要がなく、それだけ使い易く、安価なものとなる。
【0033】請求項5記載の発明においては、前記炭素
繊維は、曲状炭素繊維としている。
【0034】ここに曲状炭素繊維とは、アスペクト比
(長さ/直径)が50以上であって、直状炭素繊維に比
べて比容積が大であるものをさす。具体的には、アスペ
クト比が500のものにおける比容積が9cm3 /g以
上となる曲状性をもつ炭素繊維であって、かつアスペク
ト比が50以上のものである。ここで、かかる数値範囲
としたのは、アスペクト比500での比容積が9cm3
/g未満のものは曲状性に劣り、またアスペクト比が5
0未満のものは曲状性の発現が小さくなることによる。
【0035】なお通常の直状炭素繊維でのアスペクト比
500での比容積は約7〜8cm3/gである。
【0036】また、ここでいう比容積は、500mlビ
ーカーの容積を満たすように試料を入れ、150g/ c
m2 の押圧(荷重)下でされたものである。
【0037】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0038】炭素繊維が曲状であるため、単に炭素繊維
フィルターの繊維相互のからみつきがよくなるだけでな
く網目が3次元構造となるため、強度、繊維落ち防止の
面からより一層優れたものとなる。また、比容積も大な
ため薄いシート状であるにも係わらずそれだけ吸着面積
も広く、更に直状でないため人の皮膚に突き刺さり難
く、いわゆるチクチク感も生じない。
【0039】請求項6記載の発明においては、前記炭素
繊維は、その径が19ミクロン以下12ミクロン以上、
好ましくは18ミクロン以下12.5ミクロン以上、よ
り好ましくは13ミクロン(含む、平均値で数%の誤
差。また、多少のばらつきの存在。)としている。
【0040】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0041】炭素繊維径が上記範囲内であるため、適度
の表面積と繊維強度及び少ない排気抵抗を確保しえ、更
に乾式法でシートを製造する場合に容易となる。また、
繊維の径があまり大であると、結果的に繊維が剛とな
り、いわゆるチクチク発生のもととなるが、そのような
こともない。
【0042】請求項7記載の発明においては、炭素繊維
は55重量%以上85重量%以下(従って、熱融着性非
ハロゲン系化学繊維は、原則として45重量%以下15
重量%以上。但し、少量の補強材、性能向上剤等を含有
させている場合には、更にその分少ない。)、そして好
ましくは60重量%以上80重量%以下、より好ましく
は65重量%以上70重量%以下としている。
【0043】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0044】炭素繊維が55重量%以上であるため、万
一下方の調理台からの火花の飛来等による付着した油滴
への着火等があっても、火炎が燃え拡がらない。すなわ
ち、自己消火性が発揮される。
【0045】一方、85重量%以下であるため、シート
状繊維の成形性、熱融着等の性質も優れたものとなる。
【0046】更に、上記範囲の中央部当たりでは、これ
らの性能がともに優れたものとなると共に、現(出願)
時点では、65重量%以上70重量%以下であると、熱
融着性非ハロゲン系化学繊維に比較して高価な炭素繊維
が比較的少ない分コスト的に有利となる。
【0047】請求項8記載の発明においては、シート状
に成形された炭素繊維フィルターは、その目付量が20
〜50g/m2 、厚みが5g/cm2 の押圧下で0.6
〜1.8mmとしている。
【0048】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0049】目付量が20〜50g/m2 、厚みが5g
/cm2 押圧(荷重)下の状態で0.6〜1.8mmで
ある(従って、非押圧時は多少厚くなる)ため、特に家
庭のレンジフード用フィルターとして使用した場合、過
度の流路抵抗とならず、しかもダスト、特に油滴の除去
の面から充分なフィルター性能を発揮しうるためコスト
的に有利となる。
【0050】また、強度の面からも充分なものとなる。
【0051】請求項9記載の発明においては、前記フィ
ルターをレンジフード用フィルター装置のフィルター本
体(そのもの)として使用している。
【0052】上記構成により、以下の作用がなされる。
【0053】ガス調理器の直上の排気炉等に設けられ
た、シート状のフィルター本体やその取り付け枠等から
なるフィルター装置のフィルターとして、良好な性能を
発揮し、しかも家庭用として使い勝手のよいフィルター
(装置)となる。
【0054】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態に
基づいて説明する。
【0055】(第1の実施の形態)先ず、公知の方法
(例えば特公昭58−057374号公報、強化プラス
チックス34巻3号89ページ「曲状の炭素繊維の特
性」等)である「渦流法(RGJ法)にて、曲状炭素繊
維を製造した。なお、ここでこの方法を採用したのは、
大量、連続生産に適しているからである。
【0056】具体的には、先ず縮合多環炭化水素を重合
した等方性ピッチを製造する。
【0057】次いで、このピッチを加熱融解し、紡糸ノ
ズルから吐出させ、同時に紡糸ノズルの周囲6箇所から
加熱空気を前記吐出方向と略同じ方向(全体として見た
場合には吐出方向と平行方向、但し6本では言わば竜巻
状すなわち渦流状)に噴出させて紡糸繊維を製造した。
【0058】なお加熱ガスは、吐出物が直ちに冷却する
のを防止し、かつ適当な長さ、径の繊維、そして結果的
に曲状を得る役割を担っている。但し、これらについて
は、上記文献に記載されているため、これ以上の説明は
省略する。
【0059】上記紡糸繊維は、例えばネットで補集し、
不融化処理(酸化処理)を施し、これにより炭素繊維前
駆体を製造した。
【0060】この炭素繊維前駆体を、不活性ガス中で7
00℃〜800℃の温度で炭化処理して、曲状炭素繊維
とした。
【0061】ここで、かかる処理温度としたのは、炭素
繊維の体積固有抵抗値を100〜1000Ω・cmとす
るためである。なお、炭化(処理)温度と体積固有抵抗
値のおおよその関係を図1に(厳密には、原料ピッチ、
処理時間、繊維径等により変化するため、あくまでも目
安である。)、同じく炭化温度と曲げ剛性(弾性率)の
おおよその関係を図2に(これも、あくまでも目安であ
る。)示す。
【0062】ただし、炭化温度を制御して炭素繊維の電
気抵抗等を所望の値にすることは、例えば本願出願人が
PCT/JP97/00598「吸音断熱材及びその製
造方法」にて開示している公知技術であり、またケース
バイケースで最適な条件が実験等で容易に得られるもの
であるため、これ以上の説明は省略する。
【0063】なおこの際、後工程での処理温度は通常2
20℃以下(好ましくは130〜180℃)、製品の使
用温度は通常100℃以下と比較的低いため、炭化温度
が低くても、炭素繊維内に含有されている物質が揮発す
ることもない。
【0064】また炭化温度が低いため、製造(炭化)設
備も比較的簡単ですみ、コスト的にも有利となる。
【0065】次いで、この炭素繊維を用いて、本発明に
係わる炭素繊維フィルターを製造する様子と設備を図3
に概念的に示す。
【0066】本図において、1は曲状炭素繊維(片)で
ある。2は、51cmの長さに切断した熱融着性芯鞘タ
イプのポリエステル樹脂繊維片である。3は、ノズルで
ある。4は、ノズルから吐出される圧縮空気である。5
は、曲状炭素繊維と熱融着性ポリエステル樹脂繊維片と
の混合堆積物である。6は、搬送ベルトである。7は、
カード機である。8は、一応シート状にされた曲状炭素
繊維と熱融着性ポリエステル樹脂繊維片との混合物であ
る。9は、搬送ベルトである。10は、仮ホットロール
である。11は、ホット床である。12は、仮炭素繊維
フィルターである。13と14は、ホットロールであ
る。15は、炭素繊維フィルターである。
【0067】以下、本図を参照しつつ炭素繊維フィルタ
ーそのもの(取付け枠等を除く)の製造方法について説
明する。
【0068】熱融着性芯鞘タイプのポリエステル樹脂繊
維は、繊維束にした状態で製造メーカーより購入し、こ
れを51mmの長さに切断した。この際、色彩は白色の
ものとした。これは、顔料を含有しないだけ黒色等のも
のより安価であること、炭素繊維と混合した場合には炭
素繊維フィルターの黒さが多少弱まり、これにより油滴
等がどの程度付着したかを素人の家庭の主婦が目で見て
判断する場合に少しでも容易になしえるようにするため
である。
【0069】曲状炭素繊維と熱融着性芯鞘タイプのポリ
エステル繊維片とを共にあらかじめ圧縮空気で開繊し、
これを上方より所定量づつ落下させる。この際、途中の
ノズルより圧縮空気を吹きつけ、これにより両者を混合
する。なおここで、空気で開繊したのは、炭素繊維同士
の衝突による折損が少ないことをも考慮したものであ
る。
【0070】両繊維片の混合物は、部屋の下部に設けら
れた搬送用ベルトに落下するが、この搬送用ベルトは、
カード機へ接続されている。このため両繊維片の混合物
はカード機へ運びこまれ、ここで二次元的に各繊維がラ
ンダムに配列された所定の目付量の、但し当然厚さは本
来よりも厚いシート状になる。
【0071】次いでこのシート状の混合繊維はカード機
の下流側に接続された搬送用ベルトにて仮ホットロール
のところへ搬送される。この際、仮ホットロールとその
対向するホット床は電熱で160℃程度に保持されてい
る。
【0072】ところでこの際、カード機下流側から仮ホ
ットロールまでは100℃近くの温度雰囲気とされてい
る。このもとで、160℃程度の仮ホットロールに接し
たシート状の混合繊維は、あらかじめ100℃近くに加
熱されていることもあり、すぐ160℃程度、すなわち
熱融着性ポリエステル樹脂の鞘の融点より40℃程度高
温となる。
【0073】このため、芯鞘タイプの熱融着ポリエステ
ル繊維(片)の鞘部はすぐ融解し、炭素繊維相互と炭素
繊維と熱融着ポリエステル、更には熱融着ポリエステル
繊維相互、特にその芯部相互を接合、接着してシート状
の一応ある程度の引張力に耐える仮炭素繊維フィルター
となる。
【0074】さて、仮ホットロールまでは100℃以下
であるため、シート状の混合繊維は搬送用ベルトから無
理なく離脱、はがれる一方で仮ホットロールの回転によ
りホット床上へこれまた無理もなく移送される。次にこ
のもとで、本来のホットロールにて所定の厚さとなるよ
う押圧されつつ加熱がなされ、その下流側で所望の炭素
繊維フィルターとなる。
【0075】なおここで、炭素繊維フィルターの製造、
特に炭素繊維と熱融着ポリエステル繊維の混合にいわゆ
る湿式法を採用しなかったのは、現時点の湿式法はどう
しても混合時に繊維、特に熱融着ポリエステル繊維が丸
まること、炭素繊維の衝突による折損が生じること、廃
液処理に難があることもある。
【0076】また、本実施の形態で採用した芯鞘タイプ
の熱融着ポリエステル繊維は、図4に示すように、融点
が255℃程度と比較的高いというよりも最高のポリエ
ステル樹脂製繊維を芯41とし、その外周を融点が11
0℃程度の比較的低いポリエステル樹脂の鞘42で囲っ
たいわば二重型の繊維であり、広く市販されているもの
である。そして、かかる材料温度特性のものとしたの
は、芯の融点は高く、鞘の融点は低く、熱融合性、耐熱
性、温度管理等の面から最も好ましいことによる。
【0077】次に、このシート状炭素繊維フィルターの
耐火性、耐熱性、難燃性であるが、第1に、マッチの火
に曝した場合、当該部の熱融着ポリエステル樹脂は燃え
たが、炭素繊維は燃えず、かつ結合した炭素繊維の形状
はそのままであった。形状がそのままであることの詳し
い機構は不明であるが、当該部の樹脂繊維の燃え残りや
燃えカスの固着作用及び発熱による炭素繊維自体の接着
によるものと思われる。
【0078】第2に、中華料理等で中華ナベやフライパ
ン中のアルコール等を燃やした場合等には大きく炎が燃
え上がったり、また高温の油滴が多量に飛び上がったり
するが、かかることを想定して実際にテストを行った
が、充分な耐熱性、強度を有していた。
【0079】なお、いずれのテストにおいても、当該部
のシートとしての熱による変形、収縮が生じなかったの
は勿論である。
【0080】また、フィルター性の試験でも、従来の難
燃処理を施した化学繊維製フィルターに比較して何等遜
色はなかった。炭素の、特に無極性物質に対する優れた
吸着性によるものと思われる。
【0081】また、熱融着性樹脂も元来が化学繊維であ
り、油滴等に対する吸着性が優れていることにもよるも
のと思われる。
【0082】更に、当然吸水性等の好ましくない現象は
見出されなかった。
【0083】(第2の実施の形態)図5に、本発明に係
わる炭素繊維フィルターの他の製造方法及び製造装置を
概念的に示す。
【0084】本図において、50は炭素繊維用予備開繊
機である。51は、熱融着性ポリエステル繊維用予備開
繊機である。52は、開繊混合機である。53は、計量
機である。54は、カード機である。55は、ニードリ
ング機である。56は、熱連続ホットプレス炉である。
57は、ホットプレスロールである。
【0085】以下、本実施の形態について説明する。
【0086】先ず、原料は先の第1の実施の形態と同じ
である。
【0087】以下、所定のシートの製造方法を中心に説
明する。
【0088】炭素繊維は、マット状にて炭素繊維用予備
開繊機に供給され、開繊される。
【0089】熱融着性ポリエステル繊維は、所定長さに
切断された束が熱融着性ポリエステル繊維用予備開繊機
に供給され、開繊される。
【0090】開繊された両繊維は、所定量ずつが開繊混
合機に供給され、2、3度開繊混合、特に混合される。
【0091】開繊混合された両繊維は、計量機にて所定
量ずつカード機に送られる。
【0092】計量機から一定量ずつ送られてくる開繊混
合された繊維は、カード機にて、各繊維の配列、並び等
が調製されてウェブ(目付け量から定まる薄い布状)と
される。
【0093】次いで、一層の厚みの調製、繊維落ち防止
そして強度の向上のため、針にて上方の繊維を下方の繊
維にからめるべく、ニードリング機にてニードリングが
なされる。
【0094】更に、熱連続ホットプレス炉にて広い面積
のシートのまま、一応の厚さで熱融着がなされる。
【0095】最後に、上下2個の回転する熱ロールから
なるホットプレスロールを通過するが、この際、上下の
熱ロールの隙間にて精密に厚さが調製され、併せて最終
的に熱融着がなされる。
【0096】次に、本実施の形態において製造した炭素
繊維フィルターを先の第1の形態におけるものと同じく
種々テストしたが、優れた性質をしめした。
【0097】なお、本実施の形態においても、種々変形
例がありうるのは勿論である。
【0098】例えば、図5に示すニードリング機は、あ
れば好ましいが、繊維の長さ、径、種類等によっては必
ずしも必要なものではない。
【0099】また、同じく製造者の使用する設備の都合
(制限)や逆に高価ではあるが精度のでる制御手段を有
している場合等においては、図5にて破線で示すよう
に、熱連続ホットプレス炉若しくはホットプレスロール
の何れか一方のみを使用して炭素繊維と熱融着性ポリエ
ステル繊維との熱融着とシートの厚さの調製を行っても
よい。
【0100】以上、本発明をその実施の形態に基づいて
説明してきたが、本発明は何もこれら実施の形態に限定
されないのは勿論である。すなわち、例えば以下のよう
にしてもよい。
【0101】(1)炭素繊維は、メソヒューズド、PA
N系等他の系統のものを使用している。
【0102】(2)炭素繊維は、多少太めにして高温水
蒸気に曝して活性炭化してその表面積を大にし、併せて
生じた細孔により太めの繊維の剛性の低下を図ってい
る。
【0103】(3)炭素繊維は、コスト、吸着力の面か
らピッチ系を主とし、強度向上のため高強度のメソヒュ
ーズド、PAN系等を含ませている。なおこの場合に
は、ニードリングを省略してもよいであろう。
【0104】(4)非ハロゲン(特に、塩素や臭素、ケ
ースによりフッ素やフロン)系の難燃材(剤)を含有さ
せている。
【0105】(5)活性炭粉末や各種化学物質を含有さ
せて、除臭等をも図っている。
【0106】(6)換気フィルター等他の用途に使用し
ている。
【0107】(7)業務用等に使用し、このため排気フ
ァンの吐出(排気)圧が大なこともあり、目付量、厚さ
とも多少厚くしている。
【0108】(8)将来、フィルターに付着した油分等
の簡単な除去方法が開発された場合には、少量の金属メ
ッシュ等をも併用する等して再使用可能な様に製造され
ている。
【0109】(9)熱融着性非ハロゲン系化学繊維とし
て、ポリエステル以外の物質を使用している。
【0110】(10)将来の技術の発達のもと適切な分散
剤を使用したりして、湿式法等他の方法でシートを製造
している。同じく、水中で丸まったりしない熱融着性非
ハロゲン系樹脂繊維を使用したりすることにより湿式法
等他の方法で製造している。
【0111】同じく、ボビン巻き法、ケンス取り法、エ
アーサッカー法等においても、大量生産やコスト低下が
可能となった場合には、かかる方法で製造した炭素繊維
を使用している。
【0112】(11)油滴等の付着の程度がわかるよう、
あらかじめ炭素繊維フィルターの一部に着色により印を
付しておき、当該印が見え難くなったなら交換する等他
のアイディアをも採用している。
【0113】またこの場合には、シートの目付けムラが
目立つのを防止する面から、黒色の熱融着性非ハロゲン
系化学繊維を採用している。
【0114】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、単に優れたフィルターを実用化しえるだけでなく、
調理の都合や何らかの事故で、急に立ち上がった炎に曝
されたり、多量の高温の油滴が飛来してきたときでも、
付着した油分に着火する等の事故が生じがたく、勿論熱
収縮や破損等も生ぜず、近くの人への危険性が少ないフ
ィルターを提供しうる。
【0115】また、いわゆるチクチクが生じないため、
製造及び使用に便利なフィルターを提供しうる。
【0116】また、繊維径も細すぎないため、何らかの
事故等で急に圧がかかったようなときでも、フィルター
が破れないのは勿論のこと、繊維が千切れて飛ぶ等のこ
とがない。
【0117】更に、万一繊維が千切れて飛ぶような事態
が生じても、その電気抵抗が大きく、原則として添加物
もないため、ガルバニック電流も発生せず、金属製排気
路、ダクトの腐飾も生じない。
【0118】更に、基本的には(出願時点の技術で
は)、湿式法を採用していないため、製造時の化学物質
を含んだ廃液の処理に伴う不都合も生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭化温度と体積固有抵抗値のおおよその傾向
(関係)を示す図である。
【図2】炭化温度と弾性率のおおよその傾向を示す図で
ある。
【図3】本発明の第1の実施の形態における製造の様子
と製造装置とを概念的に示した図である。
【図4】芯鞘タイプの熱融着ポリエステル繊維の構造を
概念的に示した図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における製造の様子
と製造装置とを概念的に示した図である。
【符号の説明】
1 曲状炭素繊維片 2 熱融着性芯鞘タイプのポリエステル樹脂繊維片 3 ノズル 4 圧縮空気 5 両繊維片の混合堆積物 6 搬送ベルト 7 カード機 8 両繊維片の混合堆積物(一応シート状) 9 搬送ベルト 10 仮ホットロール 11 ホット床 12 仮炭素繊維フィルター 13 ホットロール(上側ロール) 14 ホットロール(下側ロール) 15 炭素繊維フィルター 41 芯 42 鞘 50 炭素繊維用予備開繊機 51 熱融着性ポリエステル繊維用予備開繊機 52 開繊混合機 53 計量機 54 カード機 55 ニードリング機 55 熱連続ホットプレス炉 56 ホットプレスロール
フロントページの続き Fターム(参考) 4D019 AA01 AA02 BA03 BA13 BA17 BB03 BD01 CB04 CB06 CB08 DA06 4L047 AA03 AB02 BB06 BB09 CA19 CC12

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素繊維と、 前記炭素繊維に加熱により融着することにより炭素繊維
    と混合したシートを形成し、そして繊維長が30〜75
    mmの熱融着性非ハロゲン系化学繊維からなり、 シート状に成形されたことを特徴とする炭素繊維フィル
    ター。
  2. 【請求項2】 前記熱融着性非ハロゲン系化学繊維は、 熱融着性ポリエステル繊維であることを特徴とする請求
    項1記載の炭素繊維フィルター。
  3. 【請求項3】 前記熱融着性ポリエステル繊維は、 芯鞘タイプであり、 かつ鞘部だけを加熱融着させたものであることを特徴と
    する請求項1若しくは請求項2記載の炭素繊維フィルタ
    ー。
  4. 【請求項4】 前記炭素繊維は、体積固有抵抗値が10
    0〜1000Ω・cmのものであることを特徴とする請
    求項1、請求項2若しくは請求項3記載の炭素繊維フィ
    ルター。
  5. 【請求項5】 前記炭素繊維は、 曲状炭素繊維であることを特徴とする請求項1、請求項
    2、請求項3若しくは請求項4記載の炭素繊維フィルタ
    ー。
  6. 【請求項6】 前記炭素繊維は、 繊維径が19ミクロン以下12ミクロン以上の炭素繊維
    であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項
    3、請求項4若しくは請求項5記載の炭素繊維フィルタ
    ー。
  7. 【請求項7】 前記炭素繊維は、 55重量%以上85重量%以下であることを特徴とする
    請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5若
    しくは請求項6記載の炭素繊維フィルター。
  8. 【請求項8】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、請求項6若しくは請求項7記載のシート
    状に成形された炭素繊維フィルターは、目付量が20〜
    50g/m2 、厚みが5g/cm 2の押圧下で0.6〜
    1.8mmであることを特徴とする炭素繊維フィルタ
    ー。
  9. 【請求項9】請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5、請求項6、請求項7若しくは請求項8記
    載の炭素繊維フィルターをフィルター本体として使用し
    ていることを特徴とするレンジフード用フィルター装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012059539A1 (de) * 2010-11-03 2012-05-10 Sgl Carbon Se Florschicht mit gekrümmt verlaufenden bündeln

Cited By (3)

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