JP2000053777A - ポリカーボネート粉粒体およびその製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート粉粒体およびその製造方法

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JP2000053777A
JP2000053777A JP22278398A JP22278398A JP2000053777A JP 2000053777 A JP2000053777 A JP 2000053777A JP 22278398 A JP22278398 A JP 22278398A JP 22278398 A JP22278398 A JP 22278398A JP 2000053777 A JP2000053777 A JP 2000053777A
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solvent
powder
granular material
good solvent
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JP22278398A
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English (en)
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Masahiro Kuragaki
雅弘 倉垣
Toshimasa Tokuda
俊正 徳田
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Teijin Ltd
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 残存する有機溶媒量が少なく、溶融成形加工
性、安全性の向上したポリカーボネート粉粒体及びその
製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリカーボネートの良溶媒溶液および固
形化溶媒を温水中に攪拌下供給しポリカーボネート粉粒
体の水スラリーを得て、この水スラリーから水を分離
し、次いで得られたポリカーボネート粉粒体を0〜12
0℃の温度で一次乾燥し溶媒を揮散させ、該ポリカーボ
ネート粉粒体中に含有される良溶媒および固形化溶媒の
量を該ポリカーボネート粉粒体に対してそれぞれ1〜1
0重量%および1〜10重量%とした後、続いてこのポ
リカーボネート粉粒体を120℃〜170℃の温度で二
次乾燥することを特徴とするポリカーボネート粉粒体の
製造方法および細孔径4nm〜1μmの気孔率が20〜
50体積%、嵩密度0.4〜0.6g/mlを有するポ
リカーボネート粉粒体であり、且つ該ポリカーボネート
粉粒体中に含有する良溶媒および固形化溶媒の量が、該
ポリカーボネート粉粒体に対してそれぞれ5ppm以下
および300ppm以下であるポリカーボネート粉粒
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
粉粒体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは残留
溶媒量が少なく、溶融成形加工性、安全性の向上したポ
リカーボネート粉粒体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリカーボネートの製造法におい
て、通常、溶媒としてハロゲン系有機溶媒が用いられて
いる。またこのハロゲン系有機溶媒溶液からポリカーボ
ネートを回収する方法は各種実用化されてきているが、
ポリカーボネートとハロゲン系有機溶媒との親和性が強
いため、回収されたポリカーボネートからハロゲン系有
機溶媒を完全に除去するのは極めて困難である。
【0003】一方、近年、環境および安全意識の高まり
から、残留有害物質に対する規制が益々厳しくなる傾向
にあり、特開昭60−54329号公報、特公昭46−
37424号公報では、ポリカーボネートの脱溶媒を容
易にするために、温水中で多孔質化することが提案され
ている。しかしながらこの方法では脱溶媒が充分でな
く、しかも得られる粉粒体は嵩比重が低下してしまい取
り扱い性が悪化する。
【0004】また、回収されたポリカーボネートからの
ハロゲン系有機溶媒の脱溶媒性を向上させるために固形
化溶媒を用いる方法もいくつか提案されている。ポリカ
ーボネートの有機溶媒溶液から有機溶媒の大部分を除去
して得られるポリカーボネート粉粒体の水スラリーに非
溶剤を添加する方法(特開平5−32793号公報、特
開平5−179003号公報)、ポリカーボネートの有
機溶媒溶液に、固形化溶媒を加えて造粒する方法(特公
昭46−31468号公報、特公昭55−21773号
公報、特開昭64−31690号公報、特公平4−71
412号公報、特公平5−12371号公報、特許第2
514304号公報等)が提案されている。しかしなが
ら、これらの方法ではハロゲン系有機溶媒は低減できる
ものの、固形化溶媒が多く残留するため、溶融成形時の
ガス発生が多くなり加工性が悪くなるので問題である。
【0005】一方、造粒したポリカーボネート粉粒体を
効率良く短時間で乾燥する為には、乾燥温度を出来るだ
け高くする事が考えられる。しかし、乾燥温度を過度に
高くするとポリカーボネート粉粒体が融解し、内部にあ
る細孔の閉塞や粉粒体同士の付着などが起こり好ましく
ない。これを防止する為に乾燥温度を低くすると今度は
乾燥時間が長くなるという問題がある。
【0006】このような観点から、特開平8−1276
67号公報では、ポリカーボネートの有機溶媒溶液に固
形化溶媒を混合し温水中で造粒後、次いで80℃〜10
0℃の温水中で処理することによって多孔質化すること
が提案されている。しかしながら、この方法では、ポリ
カーボネートの良溶媒溶液を多量に含有している状態で
高温水処理するため、粉粒体表面の微細孔が部分的に溶
解し得られた粉粒体の気孔率が小さくなるため、乾燥性
の良いポリカーボネート粉粒体を得る方法としては効率
が悪く好ましくない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
成形加工性、安全性の見地から残存する有機溶媒量を著
しく低減したポリカーボネート粉粒体を製造する方法を
提供することにある。本発明者はこの目的を達成せんと
して鋭意研究を重ねた結果、ポリカーボネート良溶媒溶
液及び固形化溶媒を温水中に攪拌下供給してポリカーボ
ネート粉粒体を生成させ、一次乾燥により良溶媒と固形
化溶媒の濃度を特定量まで減少させ、ついで二次乾燥す
ることにより有機溶媒量が著しく低減されたポリカーボ
ネート粉粒体が得られることを見出し、本発明に到達し
た。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、ポリカーボネートの良溶媒溶液および固形化溶媒を
温水中に攪拌下供給しポリカーボネート粉粒体の水スラ
リーを得て、この水スラリーから水を分離し、次いで得
られたポリカーボネート粉粒体を0〜120℃の温度で
一次乾燥し溶媒を揮散させ、該ポリカーボネート粉粒体
中に含有される良溶媒および固形化溶媒の量を該ポリカ
ーボネート粉粒体に対してそれぞれ1〜10重量%およ
び1〜10重量%とした後、続いてこのポリカーボネー
ト粉粒体を120℃〜170℃の温度で二次乾燥するこ
とを特徴とするポリカーボネート粉粒体の製造方法が提
供される。
【0009】本発明でいう良溶媒とは、少なくとも1種
の良溶媒を主たる対象とし、重合を阻害しない程度の量
であれば、貧溶媒や非溶媒が少量混合されていてもよ
い。ここでいう良溶媒、貧溶媒及び非溶媒とは、W.
F.CHRISTOPHER,D.W.FOX著「ポリ
カーボネート」1962年、32〜33頁の表3−1に
おける分類中の“Good Solvent”及び“F
air Solvent”に該当する溶媒が良溶媒、
“Poor Solvent”、“Very Poor
Solvent”及び“Weak Solvent”
に該当する溶媒が貧溶媒、“Nonsolvent”に
該当する溶媒が非溶媒である。良溶媒の代表例としては
塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられるが、特に塩
化メチレンが望ましい。
【0010】本発明でいう固形化溶媒とは、水以外の少
なくとも1種の貧溶媒又は非溶媒を主たる対象とし、単
独で用いても、二種以上併用してもよい。貧溶媒の代表
例としてはベンゼン、トルエン、アセトン、酢酸エチル
等が挙げられる。非溶媒の代表例としてはヘキサン、シ
クロヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。これらの中で
もヘプタンはポリカーボネート粉粒体乾燥時の良溶媒と
の置換性および乾燥性が良く、また回収された他溶媒
(良溶媒や水)との分離性も良いことから特に好まし
い。
【0011】本発明で使用されるポリカーボネートは、
2価フェノールとホスゲンまたはホスゲン誘導体を良溶
媒の存在下に反応して得られる芳香族ポリカーボネート
であり、これにジカルボン酸成分を共重合したポリエス
テルカーボネートであっても良い。ここで用いる二価フ
ェノールは、通常ポリカーボネートのジヒドロキシ成分
として用いられるものであればよく、例えばハイドロキ
ノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,
1―ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(略称ビスフ
ェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メ
チルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)―1―フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)―3,3,5―トリメチルシク
ロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリ
デン)ジフェノール、4,4′−(m−フェニレンジイ
ソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサ
ン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステ
ル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒ
ドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等
が挙げられる。これらは単独で用いても二種以上併用し
ても良い。また少量の三官能以上の化合物を分岐剤とし
て用いても、脂肪族二官能性化合物を少量共重合しても
良い。なかでも2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンが好ましい。
【0012】二価フェノールとホスゲンとの反応では、
通常酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応を行う。酸
結合剤としては例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウ
ム等のアルカリ金属水酸化物、ピリジン等が用いられ
る。有機溶媒としては前記の良溶媒が用いられる。また
反応促進のために例えば第三級アミンや第四級アンモニ
ウム塩等の触媒を用いることができ、分子量調節剤とし
て例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノール等の末端停止剤を用いるのが
好ましい。反応温度は通常0〜40℃、反応時間は数分
〜5時間、反応中のpHは通常10以上に保つのが好ま
しい。かくして得られるポリカーボネートはそのポリマ
ー0.7gを100mlの塩化メチレンに溶解し、20
℃で測定した比粘度が0.16〜1.3のものが好まし
い。かかる比粘度を有するポリカーボネートは機械的強
度が十分であり、また、溶融流動性も良好で、溶融成形
し易く好ましい。
【0013】本発明では、ポリカーボネートの良溶媒溶
液から良溶媒を除去してポリカーボネートを粉粒状化す
る工程において固形化溶媒を用いる。具体的には、例え
ばポリカーボネートの良溶媒溶液と固形化溶媒とを予め
混合したものあるいはポリカーボネートの良溶媒溶液と
固形化溶媒とをそれぞれ別々に、造粒槽中の温水に供給
して良溶媒を除去する粉粒化方法等が挙げられる。ポリ
カーボネートの良溶媒溶液と固形化溶媒とをそれぞれ別
々に、造粒槽中の温水に供給して良溶媒を除去する粉粒
化方法は、得られるポリカーボネート粉粒体の気孔率を
所定の範囲に制御し易く、また、ポリカーボネートの良
溶媒溶液と固形化溶媒との混合装置が不要であり、好ま
しく採用される。ポリカーボネートの良溶媒溶液を造粒
槽に供給するにあたって、かかる溶液は滴下あるいは噴
霧しても良い。
【0014】本発明で用いるポリカーボネートの良溶媒
溶液のポリマー濃度は、5〜35重量%の範囲が好まし
い。かかる範囲内では温水中攪拌し粉粒化する際、ポリ
カーボネートは粘着性がなく、攪拌翼などへの付着が起
こらず、粉粒化効率に優れ、また、溶液粘度が適当で配
管内での圧損が小さく好ましい。予めポリカーボネート
の良溶媒溶液と固形化溶媒とを混合する方法を採用した
場合には、白濁や結晶析出を防止するため5〜20重量
%の範囲が好ましい。
【0015】本発明で用いる固形化溶媒の使用量は、ポ
リカーボネートに対する重量比で0.5〜1.3の範囲
が好ましく、0.7〜1.2の範囲がより好ましい。か
かる範囲内では得られるポリカーボネート粉粒体の粘着
性が小さく、攪拌翼などへの付着が起こり難く、また、
得られるポリカーボネート粉粒体は微粉が少なく取り扱
い性が良好で、さらに、気孔率が大きく、脱溶媒性に優
れ好ましい。
【0016】造粒時の温水の温度は、良溶媒の沸点から
沸点より20℃高い温度までの範囲が望ましい。かかる
範囲の温度ではスムーズに良溶媒が除去され粉粒化の効
率が良く、また、得られた粉粒体の気孔率が大きく、乾
燥時の脱溶媒性が良好で好ましい。例えば良溶媒として
好適な塩化メチレンを用いた場合には、40〜60℃の
範囲が好ましく、44℃〜50℃の範囲が特に好まし
い。かかる範囲内では乾燥性の良い粉粒体を得ることが
できる。また、温水の量は、ポリカーボネートに対して
重量比で1〜20の範囲が好ましい。
【0017】造粒時の攪拌装置は上記温度を維持すべく
加熱雰囲気下、粒子径を小さくするために剪断力を持つ
ものが好ましい。このような作用を有する攪拌装置とし
てはパドル翼攪拌槽、ヘリカル翼攪拌槽、ニーダー等が
あるが、この中でも特にパドル翼攪拌槽の神鋼パンテッ
ク(株)製フルゾーン、ヘリカル翼攪拌槽の住友重機
(株)製マックスブレンド等の攪拌効率のよいものが好
ましい。
【0018】造粒において得られたポリカーボネート粉
粒体、良溶媒、固形化溶媒および水からなる水スラリー
において、水スラリー中の良溶媒および固形化溶媒の量
は、それぞれポリカーボネート粉粒体に対する重量比で
良溶媒が好ましくは0.2〜2.0、より好ましくは
0.2〜0.5であり、固形化溶媒が好ましくは0.0
5〜1.0、より好ましくは0.05〜0.2の範囲で
あることが望ましい。かかる範囲内の良溶媒および固形
化溶媒の量であると、ポリカーボネート粉粒体の固さが
適当で、好ましく採用される次の粉砕工程において粉砕
機に負荷がかかることがなく、また、粉砕する際の剪断
応力により内部の細孔が圧縮閉塞することがなく、気孔
率が大きいまま保たれ好ましい。
【0019】造粒において得られるポリカーボネート粉
粒体は、次いで粉砕することが好ましく採用される。粉
砕は湿式粉砕機が好ましく使用されエアーミキサー、ス
ーパークリーンミル、ハンマーミル、グローミル、ホモ
ミックラインミル等が用いられる。
【0020】次いで、かかる水スラリーから水を分離し
て得られるポリカーボネート粉粒体は、乾燥機で一次乾
燥される。乾燥には熱風乾燥機、スチーム乾燥機等が好
ましく用いられ、いずれも防爆タイプが望ましい。本発
明では一次乾燥の初期において、ポリカーボネート粉粒
体は多量の良溶媒を含んでいるので柔かく、物理的圧力
を受けると変形しやすい。特に変形により粉粒体表面に
ある細孔が閉塞すると、気孔率が小さくなり脱溶媒性が
悪くなるので好ましくない。このため一次乾燥機として
は粉粒体に物理的剪断応力のかかりにくい流動乾燥機や
振動乾燥機等が特に適している。
【0021】一次乾燥は、通常、常圧または減圧で行わ
れ、その温度は0〜120℃の範囲であり、好ましくは
50℃〜110℃の範囲である。0℃未満では、良溶媒
の揮散速度が遅く、水分が粉粒体内部で氷結するため乾
燥効率が極端に悪くなるため好ましくない。また、12
0℃より高温では、ポリカーボネート粉粒体が多量の良
溶媒を含んでおり、粉粒体が溶融し易く、部分的にゲル
状となり、粘着力を生じ、粉粒体同士の接着や乾燥機内
の壁面に粉粒体が付着し好ましくない。また、部分的に
ゲル状となると粉粒体表面の微細孔が溶融閉塞しやすく
なり、粉粒体の気孔率が小さくなり、次の二次乾燥効率
が悪く好ましくない。
【0022】本発明では、一次乾燥はポリカーボネート
粉粒体中の良溶媒および固形化溶媒の含有量がポリカー
ボネート粉粒体に対してそれぞれ1〜10重量%および
1〜10重量%の範囲となるように乾燥時間を調整す
る。通常、乾燥時間は0.1〜2.5時間である。良溶
媒または固形化溶媒の含有量が10重量%を超えると、
一次乾燥が不十分であり二次乾燥時にポリカーボネート
粉粒体が溶融し、乾燥性に劣り好ましくない。また、良
溶媒または固形化溶媒の含有量が1重量%より低くなる
まで一次乾燥を行なうと、一次乾燥時間が長時間となり
生産性が著しく低下し好ましくない。
【0023】本発明において、一次乾燥が終了した良溶
媒および固形化溶媒の含有量がポリカーボネート粉粒体
に対してそれぞれ1〜10重量%および1〜10重量%
の範囲を有するポリカーボネート粉粒体は、続いて二次
乾燥が行われる。二次乾燥は、通常、常圧または減圧で
行われ、その温度は120℃〜170℃の範囲であり、
130℃〜165℃の範囲が好ましい。二次乾燥時に
は、一次乾燥時よりも溶媒の含有量が低くなっているた
め、より高い温度で乾燥させる事が出来る。120℃未
満では、良溶媒の揮散速度が遅いため乾燥効率が悪く好
ましくない。また170℃より高温になるとポリカーボ
ネート粉粒体が部分的に融解し、ゲル状となり、粘着力
を生じるため、粉粒体同士の接着や乾燥機内の壁面に粉
粒体が付着し好ましくない。また、通常、二次乾燥の乾
燥時間は1〜6時間である。
【0024】上述したような本発明の製造方法で得られ
るポリカーボネート粉粒体は、細孔径4nm〜1μmの
範囲の気孔率が20〜50体積%と非常に大きい値を有
する。気孔率が高いほど、乾燥時において粉粒体内部に
存在する溶媒分子の拡散速度が大きく、極めて乾燥性が
良くなり、乾燥後のポリカーボネート粉粒体に残留する
溶媒量が著しく少なくなる。かかる気孔率は、ポリカー
ボネート粉粒体の体積(細孔径4nm〜1μmの範囲の
気孔部分の体積を含む)に対する細孔径4nm〜1μm
の範囲の気孔部分の体積を百分率で表したものを意味す
る。また、本発明の製造方法で得られるポリカーボネー
ト粉粒体は、その嵩密度が0.4〜0.6g/mlであ
り取り扱い性にも優れる。
【0025】本発明の方法で得られるポリカーボネート
粉粒体は、細孔径4nm〜1μmの範囲の気孔率が20
〜50体積%であり、好ましくは20〜40体積%であ
り、より好ましくは20〜30体積%であり、かかるポ
リカーボネート粉粒体は極めて優れた乾燥性を有してい
る。このポリカーボネート粉粒体中に含有する良溶媒の
量は5ppm以下、好ましくは3ppm以下であり、固
形化溶媒の量は300ppm以下、好ましくは100p
pm以下である。残留溶媒量が低くなると溶融成形時の
ガス発生量が極めて少なくなり、溶融押出時のベントア
ップも起こし難くなる。
【0026】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、実施例中の部は重量部であり、%は重量%で
ある。なお、評価は下記の方法によった。
【0027】(1)気孔率:Quantachrome
社製POREMASTER−60を用い水銀圧入法によ
って細孔径4nm〜1μmの範囲の気孔率を測定した。
測定には乾燥したポリカーボネート粉粒体を予め室温下
10分間真空排気処理したものを用いた。測定条件は、
連続スキャンモード、圧力レンジ2.5〜470MPa
で行なった。データの解析には、データ解析ソフトPO
ROWIN(ユアサアイオニクス(株)製)を用い、ポリ
カーボネート粉粒体の体積(細孔径4nm〜1μmの範
囲の気孔部分の体積を含む)に対する細孔径4nm〜1
μmの範囲の気孔部分の体積を算出した。
【0028】(2)嵩密度:100mlの容器にポリカ
ーボネート粉粒体を落下させ、容器を満たすまで投入
し、その粉粒体の重量を測定し、嵩密度を算出した。
【0029】(3)塩化メチレン量:三菱化学(株)製
の塩素イオウ分析装置TSX10型を用いて燃焼法によ
り測定し、塩化メチレン量を算出した。
【0030】(4)ヘプタン量:ヘッドスペース法(2
50℃、2時間)により、FID−GCにて測定した。
【0031】[実施例1]滴下ノズル、排出口、脱揮
口、板状バッフルを備えたジャケット付100L攪拌槽
に、フルゾーン攪拌翼(神鋼パンテック(株)製)を装
着し、イオン交換水80Lと平均粒径0.6mmのビス
フェノールAより得られたポリカーボネート粉粒体(比
粘度0.450)5kgを仕込み攪拌しながら45℃に
内温を調整した。均一に攪拌しながら45℃に内温を保
ちつつビスフェノールAより得られた比粘度0.450
のポリカーボネートの塩化メチレン溶液(ポリマー濃度
10%)を3.5kg/min、ヘプタンを350g/
min{ヘプタン/ポリカーボネート=1.0(重量
比)}、45℃の温水を2.5kg/min{温水/ポ
リカーボネート=7(重量比)}の速度で定量供給し造
粒した。得られたポリカーボネート粉粒体の水スラリー
は排出口よりオーバーフローにて定量的に取り出した。
2時間連続運転した後、安定して排出された水スラリー
をサンプリングしたところヘプタン含有量7.3%、塩
化メチレン含有量27.9%であった。
【0032】次いでこのものを防爆エアーミキサー(旭
硝工(株)製)にて湿式粉砕し、濾過により脱水した後、
常圧下70℃の温度で30分間乾燥してポリカーボネー
ト粉粒体を得た(一次乾燥)。一次乾燥後の粉粒体を分
析したところ塩化メチレン1.6%、ヘプタン2.2%
であった。さらに、この粉粒体を145℃の温度で24
0分間乾燥し(二次乾燥)、ポリカーボネート粉粒体を
得た。この二次乾燥後の粉粒体を分析したところ4nm
〜1μmの細孔の気孔率が22.6体積%、嵩密度が
0.51g/ml、塩化メチレン2ppm、ヘプタン9
0ppmであった。
【0033】このポリカーボネート粉粒体を30mmφ
の単軸押出し機に10kg/時で供給し、ベントの真空
度10Torrで減圧に引きながら押出しペレット化を
行なった。ベントから発生したガスを冷却し、成分を調
べたところ押出し時間1時間当り1.1gのヘプタンが
含まれていた。また、押出しの際ベントアップは見られ
なかった。これらの結果を表1に示した。
【0034】[実施例2]実施例1の二次乾燥温度を1
60℃とした以外は実施例1と同様にして粉粒体を得
た。一次乾燥後の粉粒体を分析したところ塩化メチレン
1.4%、ヘプタン2.3%であり、二次乾燥後の粉粒
体を分析したところ4nm〜1μmの細孔の気孔率が2
2.4体積%、嵩密度が0.50g/ml、塩化メチレ
ン1ppm、ヘプタン50ppmであった。また、この
粉粒体を溶融押出しした時のヘプタンガス発生量は押出
し時間1時間当り0.6gであり、ベントアップは見ら
れなかった。これらの結果を表1に示した。
【0035】[実施例3]実施例1の一次乾燥温度を1
00℃、二次乾燥温度を160℃とした以外は実施例1
と同様にして粉粒体を得た。一次乾燥後の粉粒体を分析
したところ塩化メチレン1.3%、ヘプタン1.9%で
あり、二次乾燥後の粉粒体を分析したところ4nm〜1
μmの細孔の気孔率が22.2体積%、嵩密度が0.5
0g/ml、塩化メチレン2ppm、ヘプタン80pp
mであった。また、この粉粒体を溶融押出しした時のヘ
プタンガス発生量は押出し時間1時間当り1.0gであ
り、ベントアップは見られなかった。これらの結果を表
1に示した。
【0036】[比較例1]実施例1の一次乾燥工程を省
略した以外は実施例1と同様にして粉粒体を得た。乾燥
前の粉粒体を分析したところ塩化メチレン25.7%、
ヘプタン6.6%であり、乾燥後の粉粒体を分析したと
ころ4nm〜1μmの細孔の気孔率が19.1体積%、
嵩密度が0.51g/ml、塩化メチレン10ppm、
ヘプタン530ppmであった。また、この粉粒体を溶
融押出しした時のヘプタンガス発生量は押出し時間1時
間当り6.1gであり、ベントアップが見られた。これ
らの結果を表1に示した。
【0037】[比較例2]実施例1の一次乾燥工程を省
略し、二次乾燥温度を160℃とした以外は実施例1と
同様にして粉粒体を得た。乾燥前の粉粒体を分析したと
ころ塩化メチレン25.5%、ヘプタン6.8%であ
り、乾燥後の粉粒体を分析したところ4nm〜1μmの
細孔の気孔率が16.5体積%、嵩密度が0.51g/
ml、塩化メチレン8ppm、ヘプタン330ppmで
あった。また、この粉粒体を溶融押出しした時のヘプタ
ンガス発生量は押出し時間1時間当り4.2gであり、
ベントアップが見られた。これらの結果を表1に示し
た。
【0038】[比較例3]実施例1の水スラリーを湿式
粉砕後、水スラリーを95℃に昇温し30分間溶媒を揮
散させた。濾過により脱水した後、この粉粒体を分析し
たところ塩化メチレン0.6%、ヘプタン1.0%であ
った。さらに、この粉粒体を145℃で240分二次乾
燥し、ポリカーボネート粉粒体を得た。この二次乾燥後
の粉粒体を分析したところ4nm〜1μmの細孔の気孔
率が14.7体積%、嵩密度が0.52g/ml、塩化
メチレン14ppm、ヘプタン660ppmであった。
また、この粉粒体を溶融押出しした時のヘプタンガス発
生量は押出し時間1時間当り7.9gであり、ベントア
ップが見られた。これらの結果を表1に示した。
【0039】[比較例4]比較例3の二次乾燥温度を1
60℃とした以外は比較例3と同様にして粉粒体を得
た。脱水した後の粉粒体を分析したところ塩化メチレン
0.7%、ヘプタン1.0%であり、二次乾燥後の粉粒
体を分析したところ4nm〜1μmの細孔の気孔率が1
5.6体積%、嵩密度が0.52g/ml、塩化メチレ
ン8ppm、ヘプタン350ppmであった。また、こ
の粉粒体を溶融押出しした時のヘプタンガス発生量は押
出し時間1時間当り4.1gであり、ベントアップが見
られた。これらの結果を表1に示した。
【0040】
【表1】
【0041】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば気孔率が大き
く且つ嵩密度の大きい乾燥性、溶融成形加工性に優れた
ポリカーボネート粉粒体を効率よく得ることができ、そ
の奏する工業的効果は格別である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA50 AC32 AC33 AC62 CA12 CA20 CB03 CB15 4J029 AA09 AB01 AC02 BB04A BB05A BB10A BB12A BB13A BB13B BB16A BC07A BC07B BD09A BD09B BE04 BH02 DB07 DB11 DB13 HC01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネートの良溶媒溶液および固
    形化溶媒を温水中に攪拌下供給しポリカーボネート粉粒
    体の水スラリーを得て、この水スラリーから水を分離
    し、次いで得られたポリカーボネート粉粒体を0〜12
    0℃の温度で一次乾燥し溶媒を揮散させ、該ポリカーボ
    ネート粉粒体中に含有される良溶媒および固形化溶媒の
    量を該ポリカーボネート粉粒体に対してそれぞれ1〜1
    0重量%および1〜10重量%とした後、続いてこのポ
    リカーボネート粉粒体を120℃〜170℃の温度で二
    次乾燥することを特徴とするポリカーボネート粉粒体の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 固形化溶媒をポリカーボネートに対して
    重量比で0.5〜1.3となる量用い、該固形化溶媒と
    ポリカーボネート良溶媒溶液とをそれぞれ別々に温水中
    に攪拌下供給する請求項1記載のポリカーボネート粉粒
    体の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリカーボネートの良溶媒溶液のポリマ
    ー濃度が、5〜35重量%である請求項1記載のポリカ
    ーボネート粉粒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 良溶媒が、塩化メチレンである請求項1
    記載のポリカーボネート粉粒体の製造方法。
  5. 【請求項5】 固形化溶媒が、ヘプタンである請求項1
    記載のポリカーボネート粉粒体の製造方法。
  6. 【請求項6】 細孔径4nm〜1μmの気孔率が20〜
    50体積%、嵩密度0.4〜0.6g/mlを有するポ
    リカーボネート粉粒体であり、且つ該ポリカーボネート
    粉粒体中に含有する良溶媒および固形化溶媒の量が、該
    ポリカーボネート粉粒体に対してそれぞれ5ppm以下
    および300ppm以下であるポリカーボネート粉粒
    体。
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