JP2000052424A - 合成樹脂ライニング管の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】予熱後の塩化ビニル樹脂管の温度を一定温度に
調整でき、合成樹脂管を膨張させるための加熱の際、金
属管と合成樹脂管との間に空気が残存することのない合
成樹脂ライニング管の製造方法を提供する。 【解決手段】加熱拡径性合成樹脂管１を金属管２に挿入
し、その端から管軸方向に熱風４１を吹き付けて予熱し
た後、この合成樹脂管が挿入された金属管を加熱炉に入
れて管中央部から管端部または管端から他の管端へと順
次加熱して合成樹脂管を拡径させて金属管内面に密着さ
せて接着する。特に、内層１１を非発泡樹脂とし、外層
１２を発泡樹脂とした加熱拡径性合成樹脂管１に好適に
使用される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、金属管に挿入し
た合成樹脂管を加熱して拡径させて金属管内面に接着す
ることにより合成樹脂ライニング管を製造する方法に関
する。

【０００２】

【従来の技術】鋼管などの金属管の内面に、塩化ビニル
系樹脂などの合成樹脂の層を形成した合成樹脂ライニン
グ管を製造する方法の一つとして、金属管に加熱拡径性
合成樹脂管を接着剤を介して挿入し、これを加熱炉で加
熱して合成樹脂管を拡径させて金属管内面に接着させる
方法がある。

【０００３】この方法においては、合成樹脂管をその全
長にわたって同時に加熱して、合成樹脂管を加熱拡径さ
せると、金属管の内面と合成樹脂管の外面との間の空気
が完全に排除されずに残り、その部分が金属管内面に密
着されず接着されないという問題が生じ易い。そこで、
金属管に挿入された合成樹脂管を、管中央部から管端へ
と加熱して順次拡径させることによって、金属管と合成
樹脂管との間に空気が残らないようにするＶ形の加熱炉
等、加熱方法の工夫がされている。

【０００４】また、季節の違い、昼夜の別等により、鋼
管及び合成樹脂管の温度に大きく差が出てしまい、加熱
の際の温度条件が異なり、その設定が難しいため、均一
なライニング成形ができなくなる恐れがあった。そのた
め、特開平３−１２００２９号公報においては、塩化ビ
ニル樹脂管を挿入した鋼管を１４５℃程度で本加熱させ
て膨張させるに前に、予め定温雰囲気炉内で６０〜８０
℃の予熱熱風によって鋼管の外面加熱する方法が提案さ
れている。

【０００５】また、合成樹脂ライニング管に消音性や結
露防止性を付与する場合は、加熱拡径性合成樹脂管を、
内層を非発泡樹脂とし、外層を発泡樹脂とした二層の加
熱拡径性合成樹脂管を使用することが知られている（特
開平５−１６９５７４号公報）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】特開平３−１２００２
９号公報のように、鋼管の外面を予熱するため、塩化ビ
ニル樹脂管を直接に予熱していないため、予熱後の塩化
ビニル樹脂管の温度を一定温度に調整することが困難で
あり、均一なライニング成形が難しい。また、内層を非
発泡樹脂とし、外層を発泡樹脂とした二層の加熱拡径性
合成樹脂管を使用する場合は、外層の発泡樹脂が断熱層
として働くため、内層の非発泡樹脂を加熱することが困
難である。

【０００７】この発明は、上記の点に鑑み、合成樹脂管
の加熱が簡便に行え、合成樹脂管を膨張させるための加
熱の際、金属管と合成樹脂管との間に空気が残存するこ
とのない合成樹脂ライニング管の製造方法を提供するこ
とを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の合成樹脂
ライニング管の製造方法は、加熱拡径性合成樹脂管を金
属管に挿入し、その端から管軸方向に熱風を吹き付けて
予熱した後、この合成樹脂管が挿入された金属管を加熱
炉に入れて管中央部から管端部または管端から他の管端
へと順次加熱して合成樹脂管を拡径させて金属管内面に
密着させて接着することを特徴とする。請求項２記載の
合成樹脂ライニング管の製造方法は、請求項１記載の加
熱拡径性合成樹脂管として、内層を非発泡樹脂とし、外
層を発泡樹脂としたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】本発明の合成樹脂ライニング管の製造方法は、
加熱拡径性合成樹脂管を、その端から管軸方向に熱風を
吹き付けて予熱するため、塩化ビニル樹脂管を直接に予
熱でき、予熱後の塩化ビニル樹脂管の温度を一定に容易
に調整できる。また、内層を非発泡樹脂とし、外層を発
泡樹脂とした二層の加熱拡径性合成樹脂管を使用する場
合でも、加熱拡径性合成樹脂管の内面を予熱することが
できる。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は本発明の合成樹脂ライニン
グ管の製造方法の一例を示す説明図であり、図１を参照
してさらに詳細に説明する。図１において、１は合成樹
脂管、２は金属管、３は移送用ベルトコンベア、４は予
熱炉、５は本加熱炉である。

【００１１】合成樹脂管１は加熱拡径性であって、加熱
により拡径するものであり、金属管２よりやや長いもの
とされる。加熱拡径性管を製造する方法としては、押出
金型からと吐出させた管状の溶融樹脂をその吐出直後に
膨径用金型により一旦膨径し、樹脂押出速度に対し引取
速度を高速にして、この膨径管状樹脂を引張により縮径
し、この縮径管状樹脂を冷却水槽に導入して急冷し、冷
却固化する方法が知られている。加熱拡径性管の膨張回
復機構は、樹脂の分子鎖が強制的に伸ばされた状態で凍
結され、この凍結が再可熱により解除されることにあ
る。

【００１２】合成樹脂管１の外面に接着剤を塗布し、金
属管２に挿入する。なお、金属管２の内面にも接着剤を
塗布しておくのが一般的である。上記接着剤としては、
通常、溶剤系接着剤が用いられるが、ホットメルト系接
着剤、反応系接着剤を用いてもよい。

【００１３】上記金属管２としては、鋼管、水道用メッ
キ鋼管、銅管、アルミニウム管などが用いられる。ま
た、上記合成樹脂管１に用いられる合成樹脂としては、
塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、ポリブテン、
ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ナイロンなどが
あげられる。合成樹脂管１を、内層の非発泡樹脂層１１
と外層の発泡樹脂層１２とからなる二層にした場合に、
本発明の製造方法は好適に使用できる。発泡樹脂は、樹
脂に熱分解型発泡剤や溶剤型発泡剤等の発泡剤を加えた
ものが使用される。

【００１４】図２は本発明の合成樹脂ライニング管の製
造方法の一例を示す一部説明図である。合成樹脂管１を
挿入した金属管２を、コンベア３に載置し、その管軸方
向と直角方向に一定速度で連続的に移送して、予熱炉４
に送り込む。予熱炉４は、合成樹脂管１の端側に設置さ
れ、合成樹脂管１を挿入した金属管２の端から管軸方向
に熱風４１を吹き付けて予熱する。熱風４１の大部分は
合成樹脂管１内を流れて、合成樹脂管１を予熱し、熱風
４１の一部分は、金属管２を予熱する。合成樹脂管１を
直接に予熱でき、予熱後の合成樹脂管１を一定温度に調
整する容易にできる。

【００１５】予熱炉４に送り込む前に、合成樹脂管１の
温度を照射温度計で計測し、予熱炉４の熱風の温度を制
御する。予熱炉４によって、合成樹脂管１の温度を、雰
囲気温度よりも１０℃以上、合成樹脂管１が軟化し始め
る温度以下に予熱される。例えば合成樹脂が塩化ビニル
樹脂の場合、３０℃以上５０℃以下であり、好ましくは
３５℃以上４５℃以下である。３０℃以下、特に、３５
℃以下であると、夏季時の日中の場合の雰囲気温度以下
となり、合成樹脂管１の予熱後の温度を一定に調整する
という目的が達成できない。５０℃以上であると、合成
樹脂管１が膨張し始めるため、管中央部から管端、又
は、管端から他の管端、へと順次加熱する加熱炉による
本加熱が適切に膨張できず、金属管と合成樹脂管との間
に空気が残ってしまう。４５℃以上であっても、合成樹
脂管１が膨張し始めることがある。

【００１６】合成樹脂管１及び金属管２は、その温度が
一定温度になるに足る時間、予熱炉４内に滞留させるも
のであるが、その時間は、外気温度、炉内温度、合成樹
脂管の肉厚、外径等により相違するが、その時間は５〜
３０分程度とされるのが普通である。

【００１７】続いて、こうして均一温度にされた合成樹
脂管１及び金属管２を本加熱炉５内に移送する。本加熱
炉５は、熱風を加熱源としており、予熱炉４に連接され
いる。そして、合成樹脂管１及び金属管２の入口側から
出口側方向に向かってＶ字状に広がる熱風吹出口が炉内
上部に設置されている。熱風吹出口においては、ほぼ等
間隔に熱風吹出口が設けられ、下方に熱風を吹き出すよ
うにされている。合成樹脂管１及び金属管２は、本加熱
炉５内を通過するにつれ、Ｖ字状熱風吹出口から吹き出
される１８０℃程度の熱風により加熱される。このと
き、合成樹脂管１は、管中央部から両管端方向に加熱さ
れ、順次熱膨張温度に達して拡径してその外面が金属管
２の内面に密着して接着され、図３に示すような、内層
の非発泡樹脂層１１と中間層の発泡樹脂層１２と外層の
金属管２とからなる合成樹脂ライニング管６を得る。

【００１８】

【発明の効果】以上のとおり、本発明の合成樹脂ライニ
ング管の製造方法は、加熱拡径性合成樹脂管を、その端
から管軸方向に熱風を吹き付けて予熱するため、塩化ビ
ニル樹脂管を直接に予熱でき、予熱後の塩化ビニル樹脂
管を一定温度に容易に調整することができ、本加熱の加
熱温度を、口径毎に一定に設定することができる。ま
た、内層を非発泡樹脂とし外層を発泡樹脂とした二層の
加熱拡径性合成樹脂管を使用する場合でも、加熱拡径性
合成樹脂管の内面を予熱することができる。このため、
合成樹脂管と金属管との間の空気溜まり不良または管端
部の合成樹脂層の剥離不良等のない良品を効率良く製造
することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明方法の合成樹脂ライニング管の製造方法
の説明図である。

【図２】本発明方法の合成樹脂ライニング管の製造方法
の一部説明図である。

【図３】本発明方法により製造された合成樹脂ライニン
グ管の断面図である。

【符号の説明】

１ 合成樹脂管 ２ 金属管 ３ ベルトコンベアー ４ 予熱炉 ５ 本加熱炉 ６ 合成樹脂ライニング管

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 加熱拡径性合成樹脂管を金属管に挿入
   し、その端から管軸方向に熱風を吹き付けて予熱した
   後、この合成樹脂管が挿入された金属管を加熱炉に入れ
   て管中央部から管端部または管端から他の管端へと順次
   加熱して合成樹脂管を拡径させて金属管内面に密着させ
   て接着することを特徴とする合成樹脂ライニング管の製
   造方法。
2. 【請求項２】 加熱拡径性合成樹脂管として、内層を非
   発泡樹脂とし、外層を発泡樹脂としたことを特徴とする
   請求項１記載の合成樹脂ライニング管の製造方法。