JP2000052150A - ワイヤ放電加工装置及びワイヤ放電加工方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置及びワイヤ放電加工方法

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JP2000052150A
JP2000052150A JP10222027A JP22202798A JP2000052150A JP 2000052150 A JP2000052150 A JP 2000052150A JP 10222027 A JP10222027 A JP 10222027A JP 22202798 A JP22202798 A JP 22202798A JP 2000052150 A JP2000052150 A JP 2000052150A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金型のコアピン等のように面精度及び寸法形
状精度に加えて微細形状が要求されるもののワイヤ放電
加工による製作には、加工速度問題も考慮して、太い標
準線径のワイヤ電極による荒加工と、細線ワイヤ電極に
よる仕上げ微細加工を必要とするが、ワイヤ電極交換に
関する種々問題があり、特にコアピンのように大量に加
工するには、従来型式の装置では対応が難しかった。 【解決手段】 標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極の各ワ
イヤガイド間加工部を加工槽内テーブル上に、水平一軸
方向に互に平行に形成し、予め両ワイヤ電極を切換選択
して張架走行させる得るようにセットしておく。上記水
平一軸に対向して直交する鉛直送り軸を有し、かつ、こ
の鉛直軸の廻りに制御旋回・割出し可能に設けた加工ヘ
ッドの保持手段に、被加工体を懸垂把持して設け、被加
工体マガジンとの間で順次に交換し、標準ワイヤ電極を
使用して所定高速荒加工後、細線ワイヤ電極を使用した
仕上げ加工で、面粗度及び寸法形状精度を仕上げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば角型コネク
タ等のプラスチックス成形体を射出成形により製作する
際の金型に用いられるコアピンの如き、微細な寸法形状
と高い加工精度が要求される多数の加工を、確実で高速
で行なうことができるワイヤ放電加工方法、及びそのよ
うな加工方法を効率よく実施するのに適合した構成を有
するワイヤ放電加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図8Aは、前述の金型のコアピンとして
最も典型的なコアピンの斜視図で、以下斯種のコアピン
について説明するが、コアピンとしては同図8B及びC
の如き形状物の場合もあり、以下の本発明は之等のコア
ピンをも対象に包含しているものである。図8Aのよう
なコアピンの場合、薄板状の胴部11Bの1端縁に長さ
L対幅Dの比(L/D)が大きいピン11−1,11−
2,…11−nが前記端縁に沿い、胴部11B板面と平
行に櫛歯状に列設された構成を有するが、該コアピン
は、表面が面粗度0.5μmRmaX、全長が5μm以
内、全幅が±3μm以内の寸法精度、そして5μm以内
の形状精度を有すると共に、1.5μm以内の厚さ精度
が要求され、かつピン11−1,11−2,…11−n
の胴部11B付根部の内角の半径R(インコーナR)は
0.05mm以下に仕上げることが要請される所から、
ワイヤ放電加工機により加工して仕上げるには、細線に
より微細加工を加えて仕上げるべき加工物である。即
ち、上述のような微細な寸法・形状精度が要求される所
から、その仕上げ加工、特に内角の半径R部の加工に
は、従来通常の仕上げ加工の場合のように、単に放電パ
ルスの微細化、微小エネルギ化などの電気的加工条件の
切換設定だけでなく、更に工具としてのワイヤ電極とし
て、ワイヤ径がφ0.2mm前後という標準サイズのワ
イヤ電極から、ワイヤ径がφ0.1mm乃至φ0.05
mm程度またはそれ以下の細線ワイヤ電極への切換が必
須となる。
【0003】そして、斯種コアピンは図9の斜視図に示
すように適宜直方体等の形状をしたチャック椢代11A
を有する被加工体の素材11から、ワイヤ放電加工によ
る先端面を含む各外周面加工の外形の成形仕上げ加工、
コアピン部11−1〜nに於ける溝11Cの切込み加工
による列状コア11Dの形成加工、前記コア部から胴部
11Bにかけての切込み11Eの加工を前記列方向に所
定の微細間隔で順次に行なうことによる多数のコアピン
の形成加工、そして通常別工程の形成された各コアピン
を椢代部や結合部11Aから分離する切離し加工11F
を順次に実行する加工を、多数個の被加工体素材に対し
繰り返し行なうことになるから、相当に長時間の加工で
ある。このため、上述仕上げ加工に於て使用するワイヤ
電極の線径、例えばφ0.05mm前後の細線ワイヤ電
極を加工開始から用い、放電加工の加工条件を中加工以
下の仕上げ加工条件とする加工を、上述コアピン加工の
全加工工程に適用することは、より長時間の加工を要
し、加工効率が悪いことから採用されることはなく、上
記仕上げ加工の際のワイヤ電極線径よりも太い、通常標
準線径(φ0.2mm)のワイヤ電極を用い、加工条件
を中加工以上の荒加工用の高速加工条件とする加工と、
上記細線ワイヤ電極によるセカンドカット以後の仕上げ
加工との少なくとも2段階またはそれ以上の加工工程に
分けた加工によって行なわれるのが普通である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ワイヤ放電加工の手順
をこのようにすると、標準線径(通常φ0.2mm)の
ワイヤ電極を用いて前述外形成形加工、溝11Cの切込
みによる列状コア11D形成加工、及び該コア部から胴
部11Bへかけての切込み11E加工を高速荒加工で行
なった後、ワイヤ電極を前述細線ワイヤ電極(φ0.1
〜φ0.05mmまたはそれ以下)と交換して再び溝1
1C及び切り込み11Eを加工するが、このワイヤ電極
の交換作業に多大の時間を要し、加工効率を低下させて
いた。ワイヤ放電加工機によっては、使用ワイヤ電極の
交換装置を備えているものもあるが、通常極めて高価で
あると共に、実用上信頼性に乏しく、通常は、作業者が
手作業で交換するシステムを採用することとなっている
からである。そして、いずれにしても折角細線ワイヤ電
極に交換しても、当該被加工体素材11の仕上げ加工が
終了した後は、パレットチェンジャやロボット等により
交換された次の新しい被加工体の加工のために工具ワイ
ヤ電極を元の標準線径のワイヤ電極に交換する必要があ
り、以下新しい被加工体の毎にこれを繰り返す必要があ
るからである。
【0005】また、通常型のワイヤ放電加工機は、鉛直
Z軸方向に間隔を置いて一対のワイヤガイドを配置して
ワイヤ電極をZ軸方向に更新走行移動せしめ、之に対し
前記ワイヤガイド間のワイヤ電極と直角に交差する水平
なXY2軸平面の載物台上に被加工体を配置し、前記ワ
イヤ電極と被加工体載物台とを前記水平面内の2軸方向
に相対的に加工送り移動させる構成となっているから、
前述図9で図示説明した素材11の加工をするには、素
材11のコアピン部11−1〜n側先端をワイヤ電極に
平面一軸方向から相対向するように載物台上縁部から突
出横設させて所定部位の加工をすることになるが、前記
外周各面や溝及び切断切込み等の各加工部位に対する加
工の順序によっては、前記横設した素材11を前記平面
一軸の廻りに通常90°順次に割出し回動させて加工を
進めて行く必要があり、この素材11の載物台上に於け
る把持配置及び順次加工に際しての所定角度の旋回によ
る割出し位置決め等を治具等を設けて行なわせる必要が
ある上、前述ワイヤ電極も標準線径のものから所望細線
線径のものへの交換も必要であるから、高度な技術と熟
練を要した。
【0006】ワイヤ電極を荒加工等の高速加工用の標準
ワイヤ電極と、微細仕上げ等の仕上げ加工用の細線ワイ
ヤ電極とに張替える手段を省くには、例えば、特開平6
−155168号公報に記載開示されているように、ワ
イヤ電極による放電加工ステージを、Z軸に互いに平行
で、かつ所定既知の間隔を置いて2組並設し、夫々に所
望異径のワイヤ電極を走行移動可能に張架させておき、
XYテーブルの載物台等に設けた被加工体を加工手順に
従って、所定の放電加工ステージのワイヤ電極に相対向
させて順次に加工を行なうようにすることが考えられる
が、各ワイヤ電極の加工部がZ軸に平行な鉛直方向に形
成されている所から、前述被加工体の旋回・割出し等の
設置及び位置決め加工治具等は依然必要で、該治具等を
高価なシール仕様構造とする必要があると共に、加工時
の、特に被加工体の交換には、特別な交換装置を必要と
し、また交換時に加工槽から加工液を排出する必要があ
ることから作業性等も高くし得ない等の問題があった。
【0007】そこで本発明は、上述の問題点を解消する
もので、微細ピンの胴部の付根部に微細な内角の半径R
部を有すると共に高い寸法・形状精度を有するコアピン
のような加工形状の被加工体を短時間で大量に、効率よ
く、そして取扱い操作性を含めて作業性良く運転して加
工できるワイヤ放電加工装置及びワイヤ放電加工方法を
提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のワイヤ放電加工装置(1)は、ベッド上の
加工槽内のテーブル上に、荒加工用の標準線径のワイヤ
電極と仕上げ加工用の前記標準線径よりも細い細線径の
ワイヤ電極とを、水平面内の一軸に対して平行に所定の
間隔で、かつ加工槽内の加工液に浸漬状態で軸方向に走
行させるように張架する走行経路形成手段と、該走行経
路形成手段に対する前記標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電
極の各供給手段と引取手段と、前記標準ワイヤ電極と細
線ワイヤ電極との2つの放電加工部位の軸線に対して直
交する水平軸方向に移動するラムと、該ラムに載置され
る、前記放電加工部位の軸線に対して直交する鉛直移動
軸を有する加工ヘッドと、該加工ヘッドの軸端に設置さ
れる、被加工体を着脱自在に懸垂把持する保持手段と、
前記加工ヘッドに内蔵され、該加工ヘッドを前記テーブ
ルに対して相対的に旋回・割出し制御する旋回・割り出
し装置と、前記被加工体を前記標準ワイヤ電極と細線ワ
イヤ電極とに順次に相対向させて所望の放電荒加工と仕
上げ加工とを行なわせる制御装置を備えたことを特徴と
する。
【0009】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(1)は、更に、前記加工槽が前記ベッドに固定して設
けられると共に、前記加工ヘッドが鉛直軸方向に加えて
水平面内の直交2軸方向に移動する構成を備えて成る
か、または、前記加工槽が前記標準ワイヤ電極と細線ワ
イヤ電極との放電加工部位の軸線に沿った水平面内の1
軸方向に沿って移動するとともに、前記ラムが水平面内
の他の直交1軸方向に移動する構成を備えて成ることを
特徴とする。
【0010】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(1)は、更に、前記細線ワイヤ電極の前記供給手段と
引取手段とを前記テーブルに連結して固定した構成に設
け、または、更に前記供給手段と引取手段とを一体とし
てワイヤ電極の走行径路上の一方の端部側に於てテーブ
ルに連結固定して設けられると共に、前記ワイヤ電極供
給手段から前記走行経路形成手段に送り出されたワイヤ
電極が走行系路上の他端側に於て折返して走行させら
れ、前記一端側の前記引取手段により引取り回収される
構成に設けられて成るものであることを特徴とする。
【0011】また、上記の目的を達成するため、本発明
のワイヤ放電加工装置(2)は、走行移動するワイヤ電
極と被加工体とが加工液の介在する微小間隙で間歇的な
放電を繰り返し発生させて加工するワイヤ放電加工装置
に於て、ベッド、コラム等から成る機械のフレームと、
前記フレームにX,Y,Zの直交3軸方向に相対的に移
動可能に設けられる、前記被加工体を懸垂把持する被加
工体保持手段と、前記ワイヤ電極による加工部を形成す
る各一対のワイヤ電極の位置決めガイドが標準ワイヤ電
極用と細線ワイヤ電極用との2組、前記加工部ワイヤ電
極が水平一軸方向に平行に位置するように取り付けられ
たテーブルと、該テーブルを収納する加工槽と、前記標
準ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で前記加工
部を走行移動させるワイヤ電極の供給手段と引取手段
と、該標準ワイヤ電極用の供給・引取手段の代わりに切
換選択されて加工に供される前記細線ワイヤ電極用の供
給手段と引取手段と、前記標準ワイヤ電極加工部と保持
手段の被加工体間に所望の荒加工の加工条件の加工放電
電力を加工電源から供給する給電手段と、該高速加工用
給電手段と切換選択可能に設けられる前記細線ワイヤ電
極と被加工体間に所定仕上げ加工条件の加工放電電力を
供給する給電手段と、前記加工槽に制御された加工液を
供給循環させる加工液供給手段と、前記被加工体保持手
段は、その軸線の方向が前記標準及び細線ワイヤ電極の
放電加工部位の軸線と直交する鉛直軸上に設けられ、ま
た前記被加工体保持手段が前記テーブルに対して、前記
鉛直軸の廻りに旋回及び割出し可能に設けられる旋回・
割出手段と、前記被加工体に所望形状の加工を施すよう
に加工の工程に於て選定された前記走行ワイヤ電極と前
記被加工体との間に相対送りを行なわせる制御送り手段
と、前記加工放電電力の切換選択給電手段、加工液供給
手段、及び前記被加工体保持手段と前記加工槽の選択さ
れたワイヤ電極の位置決めガイド加工部間の前記旋回・
割出しを含む相対送り手段、とを制御する数値制御装置
を含む制御手段とから成ることを特徴とする。
【0012】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(2)は、更に、前記標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極
の両方または何れか一方の前記供給手段と引取手段と
が、その加工部ワイヤ電極軸の一方の側に設けられ、該
一方の側の供給手段から加工槽内加工部へ供給されたワ
イヤ電極が前記軸の他方の側の加工槽端部側に於て折返
されて前記一方の側の引取手段により回収される走行経
路が構成されて成るものであることを特徴とする。
【0013】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(2)は、更に、前記標準ワイヤ電極の供給手段及び引
取手段と、前記細線電極の供給手段及び引取手段とが、
加工槽内加工部ワイヤ電極軸の両側端外に別れて設けら
れて成ることを特徴とする。
【0014】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(2)は、更に、前記標準ワイヤ電極の供給手段と引取
手段とが一体にユニット化されて機械フレームに連結し
て並置され、前記細線ワイヤ電極の供給手段と引取手段
とは一体にユニット化されて前記テーブルに連結固定し
て取付けられて成ることを特徴とする。
【0015】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(2)は、更に、前記標準ワイヤ電極用と細線ワイヤ電
極用の前記各一対のワイヤガイド中の各一方のワイヤガ
イドが、前記水平面と直交する鉛直軸方向と、該鉛直軸
及び加工部位ワイヤ電極軸と直交する水平軸方向とに、
夫々位置調整可能に前記テーブルに調整ステージを介し
て取付けられていることを特徴とする。
【0016】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(2)は、更に、前記標準ワイヤ電極用のワイヤガイド
がダイス状ガイドであって、前記細線ワイヤ電極用のワ
イヤガイドがV溝ガイドであって、所望により加工液噴
出ノズルが設けられる構成であることを特徴とする。
【0017】また、本発明の上記ワイヤ放電加工装置
(2)は、更に、前記被加工体を所望複数個格納する被
加工体マガジン及び該マガジンが格納する未加工被加工
体と加工ヘッドの保持手段に保持された加工済被加工体
とを交換する被加工体交換手段とが設けられ、被加工体
を順次に交換して加工を実行するものであることを特徴
とする。
【0018】また、上記の目的を達成するため、本発明
のワイヤ放電加工方法は、一対の間隔を置いて配置した
ワイヤガイド間を走行移動する加工部ワイヤ電極に、該
ワイヤ電極軸と略直角な平面方向から、該平面内の一軸
を旋回及び割出し可能な軸とし、該軸の軸端に保持され
た被加工体を相対向させ、該被加工体に所望形状の加工
を施すように前記対向方向及び旋回・割出しにつき所定
にプログラムされた加工送りを相対的に与えて所定の高
速加工と引き続いての仕上げ加工を行なうワイヤ放電加
工方法に於て、前記被加工体が懸垂把持された状態に保
持手段を加工ヘッドに設けると共に、前記高速加工用の
標準ワイヤ電極と仕上げ加工用の細線ワイヤ電極との各
加工部が、前記加工ヘッドの保持軸と相対向する加工槽
内テーブル面の所定高さ位置に、テーブル面の一軸と互
に平行で他の一軸方向に所定の間隔を置いて予め設けら
れ、前記被加工体を一方の前記標準ワイヤ電極と所望に
相対向させ、高速加工の放電加工条件を設定し、プログ
ラムされた加工送りを相対的に与えて所定のワイヤ放電
加工をした後、該被加工体を他方の前記細線ワイヤ電極
と所望に相対向させ、仕上げ加工の放電加工条件を設定
し、プログラムされた所定の加工送りを相対的に与えて
所定の仕上げワイヤ放電加工をするようにしたことを特
徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図
面にもとづいて説明する。図1は、本発明の一実施例ワ
イヤ放電加工装置の全体構成及びその配置を示す正面図
で、1は加工機本体、2はコンピュータ制御のワイヤ放
電加工用電源及び数値制御装置を含む電源及び制御手
段、3は所謂荒加工等の所望の高速加工条件で加工をす
る際に使用する標準線径(通常φ0.2mm)のワイヤ
電極の供給、引取り、及び回収手段が一体に構成された
標準ワイヤ電極の供給・引取手段で、之等は加工機本体
1を中心に水平一軸方向の両側に設けられ、また加工機
本体1のワイヤ電極加工部の加工槽へ加工液を供給及び
回収して浄化処理する加工液供給手段は、前記本体1か
ら供給・引取手段3の後方部等に設けられている。
【0020】而して、前記加工機本体1は、ベッド4と
水平一軸(左右X軸)方向の移動台6を支持するサドル
5と、べッド4後方上に立てられ前記水平一軸と水平面
内に於て直交する軸(前後Y軸)方向の移動ラム8を支
持するコラム7等から成る機械フレームから成る。前記
移動台6上にはテーブル9が設けられ、他方前記Y軸移
動ラム8の前方面には前記テーブル9上面と鉛直(Z
軸)に対向して加工ヘッド10が設けられ、該加工ヘッ
ド10は下方先端部に被加工体11を懸垂把持する保持
手段12、該加工ヘッド10を前記鉛直方向に加工送り
及び位置決めする送り手段13、及び前記保持手段12
を軸の廻りに制御旋回及び割出しする旋回・割出し手段
14を備え、ワイヤ電極加工部走行経路形成手段15が
その上面に設けられる前記テーブル9は、加工時に加工
部形成手段15が加工液浸漬状態となるように前記移動
台6と一体に設けられた昇降式加工槽16が上昇上位に
達した時に、前記テーブル9は上記加工槽16によって
囲まれる。17A,17Bは、前記テーブル9の前記水
平一軸方向の両端縁部に設けられたワイヤ電極加工部形
成手段15と標準ワイヤ電極及び後述細線ワイヤ電極の
各供給・引取手段3,18との間の、各複数の案内プー
リを有する夫々のワイヤ電極案内引廻し手段である。
【0021】また、上記加工機本体1には、前記標準ワ
イヤ電極使用による所定の荒加工条件での加工後の中仕
上げ以上の仕上げ加工の際に使用する細線径(通常φ
0.1〜φ0.05mmまたはそれ以下)のワイヤ電極
の供給手段18Aと引取り回収手段18Bを一体とした
供給・引取手段18が、加工槽16または之と一体のテ
ーブル9、従って該テーブル9上のワイヤ電極加工部形
成手段15及び案内手段17A,17Bと、加工送り等
によって位置関係が変化しないように前記テーブル9と
一体の枠台19に取付けてある。20は、加工ヘッド1
0に保持された被加工体11の加工済及び未加工被加工
体11Hの自動交換手段付貯蔵マガジンで、所定必要数
の被加工体11Hが交換可能に設けられるものであり、
前記ベッド4の側端または後方縁に設けられた台21に
取付け設けられ、その他の付加設置物、例えば加工済被
加工体11を浸漬または噴霧等により防錆処理する防錆
手段は上記台21に取り付ける等して設けられる。
【0022】前記標準ワイヤ電極の供給・引取手段3
は、この実施例の場合、供給手段3Aと引取手段3Bと
回収手段3Cとが一体となっていて、その一体物が加工
機本体1と相対的に移動することがないよう連結手段2
2によりベッド4等に結合してあり、前記ワイヤ電極案
内手段17A,17Bを含むワイヤ電極加工部形成手段
15との間は、加工ヘッド10の被加工体11との相対
位置決め時等以外、特に加工中はテーブル9が水平一軸
方向(X軸)に移動するとその間の距離が変化してワイ
ヤ電極の張力等が変化すると共に、該張力変化による各
種の加工障害、さらにはワイヤ電極断線を生ずることに
なるので、通常、特に加工中は動かさないで使用される
ものである。その点、加工槽16及びテーブル9が、ベ
ッド4に対して固定されるテーブル固定式で、ラム8が
X、Y、及びZの3軸に移動する機械フレームの構成の
場合には、各ワイヤ電極の供給・引取手段3、18が、
前記一体固定の機械フレームに連結固定されているか
ら、上述のような問題は生じない。
【0023】而して、加工槽16内テーブル9上のワイ
ヤ電極加工部形成手段15廻りの張架走行経路及び走行
状態等については後に詳述するが、その供給、引取り、
及び回収については次の如くである。標準ワイヤ電極の
供給・引取手段3の場合、その供給手段3Aは、標準ワ
イヤ電極の貯蔵リールと張架走行のためのブレーキ装置
を備えてワイヤ電極を所定に制動制御しながらまたは一
定速度で送り出し、加工部の案内手段17Aから加工部
形成手段15、そして後述する折返し手段から案内手段
17Aを経て帰って来たワイヤ電極は、引取手段3Bの
前記制動制御に対する一定速度引取りまたは一定速度送
り出しに対する制御引取りを行ない、回収手段3Cのバ
ケットに回収する構成となっているが、コアピン加工の
場合被加工体の寸法及びその個数によるが相当な長時間
加工になる場合には、前記供給手段3Aの貯蔵リールを
大径のリールを用いる専用の貯蔵供給手段として手段3
Aの送り出し手段に供給するようにするとか、前記貯蔵
リールの自動交換または補給手段を設けておくことが好
ましい。また標準ワイヤ電極については上述の如くであ
るから、加工槽16内で標準ワイヤ電極を折返し走行さ
せることにより加工部形成手段廻り、特にワイヤガイド
用ワイヤ電極加工部の前述Y軸方向の相対送り空間が狭
くなる場合等には、ワイヤ電極供給手段3Aに対する引
取手段3B及び回収手段3Cは加工機本体1の反対側等
適宜の位置に設けられるものである。之に対し、細線ワ
イヤ電極用の供給・引取手段18の場合、前記供給手段
18Aと引取手段18Bとを常に一体として加工機本体
1の水平一軸(加工部電極軸、X線)方向の一方の端部
に設ける必要はないが、供給手段18A及び巻取リール
でも良い回収手段を備える引取手段18Bとは、夫々加
工部形成手段15と位置決め送り等の位置移動によって
相対位置が変化しない同一物、図示の場合テーブル9に
固定保持されていることが、断線事故防止及び加工寸法
精度を出すためにも必要である。
【0024】また、29は、前記電源及び制御手段2
と、加工機本体1及び標準・細線ワイヤ電極の各供給・
引取手段3、18、或いは更に図示しない加工液供給手
段との間に設けられる前記制御手段2が制御する切換手
段で、荒加工から仕上げ加工等の順次の加工の切換に際
し、プログラム等により指定して設定されたワイヤ電極
の供給・引取手段の作動制御への切換や選定されたワイ
ヤ電極と被加工体11間へのプログラム等された加工条
件の電圧パルスの印加給電制御への切換、及びその他の
切換え設定を司るものである。
【0025】図2は加工機本体1の加工槽16内または
テーブル9上の前記標準及び細線ワイヤ電極用の各供給
・引取手段3,18との間の導入導出の案内手段17
A,17Bを含むワイヤ電極加工部形成手段15廻りの
説明用上面図で、加工槽16のテーブル9上には、標準
ワイヤ電極23用と細線ワイヤ電極24用の各一対のガ
イドブロック23A,23B、24A,24Bを水平一
軸(X軸)方向に所定の間隔を置いてかつ互に平行に取
付けるための一対のベース25A,25Bが設けられて
いる。前記標準ワイヤ電極23用と細線ワイヤ電極24
用の各一対のガイドブロック中の各1個のガイドブロッ
ク23A,24Aは、前記取付けベース中の一方のベー
ス25Aに位置決め固定して取付けられるが、他方のガ
イドブロック23B,24Bは、各ワイヤ電極23,2
4軸と直角な水平の鉛直方向と平行の水平Y軸方向の微
細位置の調整設定が可能なステージ23C,24Cを介
してベース25Bに取付けられており、ガイドブロック
23A,23B間、24A,24B間の加工部ワイヤ電
極23,24の前述高さの水平、左右または前後の平行
が調整設定される。前記各ガイドブロックは、図示実施
例の場合、ワイヤガイドとして標準ワイヤ電極23用に
ダイス状ガイド23Dを、また細線ワイヤ電極24用と
してV溝ガイド24Dが設けられ、さらに各ワイヤ電極
23,24と接触して給電する給電子23E,24Eが
設けられ、該各給電子23E,24Eには、加工電源か
ら所定高速加工用及び仕上げ加工用の電圧パルスが給電
線により加工槽電源ターミナル26A,26Bから図示
しないガイドブロック部各給電端子を介して給電され
る。
【0026】次に、各標準及び細線各ワイヤ電極23,
24の張架走行構成について説明すると、前記標準ワイ
ヤ電極23の場合、前述図1及び後述標準ワイヤ電極に
よる加工部廻りを説明する正面図の図3を同時に参照す
るに、標準ワイヤ電極の供給手段3Aから所定に制動を
制御しながら送り出された標準ワイヤ電極23は、適宜
必要に応じて設けられた案内経路の案内プーリを介して
加工槽16及び/またはテーブル9に固定して設けた案
内手段17Aに到り、該案内手段17Aに設けた導入及
び方向変更案内プーリ27Aにより下向に誘導し、もう
1つの方向変更案内プーリ27Bによって一方のガイド
ブロック23Aへ導入位置決めし、他方のガイドブロッ
ク23Bへと送り出し、挿通し、該ガイドブロック23
B後方の折返し案内プーリ27Cにより経路を返転させ
て前記案内手段17Aの方向変更プーリ27D,27E
により順次及び所望に経路を変更させた後、引取手段3
Bにより、前記供給手段3Aの制動制御に対する一定速
度引取りを行ない、回収手段3Cのバケットに回収し、
前記ガイドブロック23A,23B間で、所定の張力が
付与された状態で、所定の速度で走行更新される標準ワ
イヤ電極23による加工部が形成される。
【0027】また、細線ワイヤ電極24は上述標準ワイ
ヤ電極23の場合と、ワイヤ電極の供給・引取手段1
8、及び一対のガイドブロック24A,24B等の各具
体的な構成等が相違する他はほぼ同様で、前述図1及び
後述細線ワイヤ電極24による加工部廻りを説明する正
面図の図4を同時に参照することにより明らかなので重
複を避けるため説明は省略する。なお、24F,24G
は案内ローラであり、また案内手段17Bの方向変更案
内プーリの数、配置等に前述のものと微差があるが、実
質的には変わりがないものである。
【0028】図5の5A,5B、及び図6の6A,6B
は、標準ワイヤ電極用と細線ワイヤ電極用の各ガイドブ
ロック中、位置調整ステージ23C,24Cを介してベ
ース25Bに取付けた側の各ガイドブロック23B,2
4B廻りの拡大上面図と正面図で、前記各ステージ23
C,24Cの水平方向の調整手段23C−H,24C−
Hと、垂直方向の調整手段23C−V,24C−Vの設
置状況が示されている。
【0029】このように構成されたワイヤ放電加工装置
に於ては、加工ヘッド10の保持手段12に懸垂保持さ
れた直方体状等の適宜の形状の被加工体11を次のよう
にして加工成形して行きコアピンを得るものである。な
お、必要により更なる自動化等も不可能ではないが、ワ
イヤ放電加工の開始時点以後は、予めのプログラムによ
り加工は順次に自動的に進行するものとする。
【0030】先ず、各標準及び細線ワイヤ電極23,2
4の各ガイドブロック23Aと23B、及び24Aと2
4B間の加工部ワイヤ電極23,24間の間隔と各水平
度(鉛直軸に対する)、及び相互平行度をレーザ等所定
測定器及び各ステージ23C,24Cの垂直及び水平調
整手段23C−V,23C−H,24C−V,24C−
Hにて出す。次に、標準ワイヤ電極23と細線ワイヤ電
極24の各残量が、プログラムした加工をするのに充分
かどうかを確かめ、不足するワイヤ電極がある場合に
は、新しいワイヤ電極リールと交換する。各ワイヤ電極
23,24を夫々の張架走行経路中に挿通セットすると
共にプログラムされたワイヤ放電、加工の条件の張力及
び走行速度で走行するように各ワイヤ電極23,24の
走行条件をセットし、プログラムのスタート及び進行に
より、プログラム選定された側のワイヤ電極が選択され
ると共に所定張架状態で、走行をするようにプログラム
セットする。
【0031】適宜のシャンク等に取付けた被加工体11
を必要個数マガジン20に設置し、プログラムで選定し
た被加工体を図示しない交換手段で、保持手段12に懸
垂把持させ、取付及び送りに対する垂直度と、旋回・割
出し手段14に対するオリエンテーション調整、及び、
標準ワイヤ電極23、細線ワイヤ電極24に対する位置
出し、プログラム加工スタート位置への位置決め等を、
テーブル9、加工槽16等の基準位置、基準球等の治
具、または加工部ワイヤ電極23および細線ワイヤ電極
24との接触検知や、測定器具により測定して行なう。
【0032】特に2本のワイヤ電極の何れかによって被
加工体が放電加工される本発明では、各ワイヤ電極と被
加工体との位置が以下のように検出、記憶され、利用さ
れる。 (1)2つのワイヤ電極径を入力する。(2)被加工体
の加工面を1つのワイヤ電極に正対させるように調整す
る。(3)被加工体の両面を加工する場合、加工面に垂
直な断面方向の厚みと中心位置を算出する。1つのワイ
ヤ電極に対して両側から接触感知して、被加工体のその
位置を検出し、そのデータに基づいて演算して求める
(片面加工の場合の説明は省略する)。(4)他の加工
面があれば、この加工面をワイヤ電極に正対させるよう
に割り出してから、同様にして垂直な断面方向の厚みと
中心位置を算出する。(5)2つのワイヤ電極間の距離
およびワイヤ電極と被加工体との位置関係を接触感知に
よって検出し、これを表示する。こうしておけば、それ
ぞれのワイヤ電極に対して被加工体をアプローチして加
工する移動軌跡を補間制御するプログラムを作成すると
きに、それぞれのワイヤ電極についての座標系をワイヤ
電極間の距離を参照して設定し、それぞれの座標系の上
でそれぞれの加工プログラムを作成する。荒加工と仕上
げ加工との加工軌跡は、上述した微細なインコーナR等
の加工部位の加工軌跡が若干異なる他、ほとんど同一で
あるからプログラムが容易に作成することができる。も
ちろん、セカンド加工以降の加工は、細線の座標系で加
工され、加工条件も異なる。
【0033】前述予めの加工プログラムによって、ワイ
ヤ電極として標準ワイヤ電極23が選定されて所望の高
速荒加工が行なわれる場合には、加工電圧パルス条件が
標準ワイヤ電極23に供給されるように、また細線ワイ
ヤ電極24が切換.選定されて所定の仕上げ加工が行な
われる際には、その仕上げ加工条件の電圧パルスが細線
ワイヤ電極24に供給されるように電源及び制御手段2
は放電加工電力の供給を切り換える。
【0034】このように、本発明の放電加工は2種類の
ワイヤ電極23、24の何れかが使用される態様となる
ので、例えば該当する加工プログラムの先頭に識別コー
ド等を付加して、加工プログラム上でワイヤ電極が指定
されるようになっているのが好ましく、この指定に従っ
て指定されたワイヤ電極の供給・引取手段3または18
に制御手段2から指令信号が送られ、ワイヤ電極の送行
速度及び張力が設定制御され、指令に従う加工条件の放
電パルスを生じさせる電圧パルスが指定されたワイヤ電
極と被加工体11間の極間に供給印加される。
【0035】前述のように被加工体11を標準ワイヤ電
極23に対して、加工スタート位置にセットし、加工槽
16を所定位置迄上昇セットし、図示しない加工液供給
装置から水系または鉱物油系の加工液を、ガイドブロッ
ク23A,23B間標準ワイヤ電極23加工部、及び該
加工部ワイヤ電極23と相対向して加工される被加工体
11部分、特にその放電間隙部分が好ましくは常時加工
液中浸漬状態にあるように、加工液は循環供給される。
図示実施例の場合、標準ワイヤ電極用のガイドブロック
23A,23Bは、ワイヤ電極23に同軸な加工液噴出
ノズルとして使用され得る構成となっていて、高速加工
の効率を更に上げることができる。また、例えば、被加
工体11を懸垂軸と直角な水平(Y軸)方向に送って加
工をする場合には、水平に形成される加工溝からの加工
屑の排出が不良となって、加工の安定度が悪くなり、加
工が遅くなって加工精度等も悪化するから、かかる場合
には、例えば、ガイドブロック24A,24Bの側部等
に放電間隙に指向させた加工液噴出ノズルを設けるよう
にすることが推奨される。もちろん、前記ノズル24
A、24Bは、加工部ワイヤ電極24に同軸のノズルが
好ましくガイドブロック23A、23Bと同様なもので
あってもよい。
【0036】以上のように加工の段取りをした図7の被
加工体素材11に対するワイヤ放電加工の進行状況につ
いて図3を参照しつつ説明すると、加工プログラムのス
タートにより加工電極として標準ワイヤ電極23が選定
され、供給手段3Aと引取手段3B間で所定の張力付与
状態で、所定の速度の走行が開始され、該標準ワイヤ電
極23と被加工体11間には所定の高速度加工の加工電
源出力が接続供給され、また加工液が加工槽16内所定
液位置を維持するように供給充填、さらには循環及びノ
ズル噴流が行なわれる状態となり、この時被加工体11
は先の位置決め及び加工準備作業により、加工を開始す
る面Aが、ガイドブロック23A,23Bの走行する加
工部ワイヤ電極23と平行で、被加工体11先端下面E
よりも僅かに下方の、かつ前記面Aを加工成形するワイ
ヤ電極23軸と直角方向の所定寸法位置にある。
【0037】ここで、加工スタート釦を押す等して加工
を開始させると、プログラムに従い被加工体11は、Z
軸方向の下降送りが与えられ、ワイヤ電極23との接近
により間歇放電が始まって荒加工が開始される。加工が
進行して前記面Aの円弧面Rの形成位置に達すると、前
記被加工体11に対する下降送りに対する所定割合の面
Aに直角なY軸方向の送りがワイヤ電極23との間に与
えられ、円弧面Rが加工成形され加工はさらに面Aの所
定上部位置迄前記下降送りにより継続される。加工が所
定部位に達すると、A面加工プログラムは終了し、送り
を停止すると共に加工電圧印加を中断し、そしてこの時
必要に応じてワイヤ電極23の走行及び加工液の供給等
をも中断し、プログラムの実行により加工ヘッド10は
加工時の下降送りの経路を逆に辿って上昇し、前述加工
開始前の位置まで上昇位置して停止する。上述の場合、
被加工体11の面Aの表層部は、通常荒加工の段階で、
切り離し落下させる加工の態様とすると、中子処理手段
等の特別な手段及び操作を要しないので好ましいもので
ある。そして、この場合、面A及びCの加工の場合も同
様な場合があるが、面B、D、及びEの加工は、該各面
が所定の寸法となる或る厚さの薄板を切取る加工か、ま
たは表面からワイヤ電極の径より小さい或る厚さの表面
層を加工除去する加工となる場合があるが、上記切取り
加工の場合、前述のように、切り離し片として落下させ
ることにより中子処理を必要としない。そして、このこ
とは、ワイヤ電極を水平面に沿って張架走行させるのに
対し、軸の廻りに旋回・割出し可能な昇降鉛直軸に被加
工体を懸垂把持させて相対向させ、前記鉛直軸と対向方
向に直角な2軸方向との相対送りによる本発明に於ける
加工の態様が、前述段落[0005]〜[0006]で
説明した鉛直ワイヤ電極に対して水平軸回動の被加工体
治具を使用する構成の加工の態様に比較して優れた特徴
があることが判る。
【0038】次いでプログラムの実行により、旋回・割
出し手段14を駆動して90°割出し、面Bをワイヤ電
極23加工部と平行にすると共に該面Bに直角なY軸方
向の位置決めをし、ワイヤ電極23の走行、加工電圧の
給電及び加工液の供給を再開し、加工ヘッド10のZ軸
方向下降送りによる面Bの所定成形加工を開始する。こ
のようにして各面B,C,Dをプログラムに従って順次
に割出し及び位置決めして各面を標準ワイヤ電極23の
使用による所定の高速の放電加工条件で加工成形して行
き、そして通常は最後に先端下面Eの寸法及び平坦度出
し加工を行ない標準ワイヤ電極23による加工は終了す
る。
【0039】而して、次は細線ワイヤ電極24により前
述高速放電加工による加工面A,B,C,D,Eの寸法
精度、及び面粗度の仕上げ加工に移行する訳であるが、
前記面Eの荒加工等の高速加工による加工の終了後、プ
ログラムにより自動で、または一部以上を手動により、
加工電圧の給電を荒加工等の高速加工から所定仕上げ加
工条件と、しかも細線ワイヤ電極24と被加工体11間
の給電に切換えると共に、標準ワイヤ電極23の走行を
停止し、細線ワイヤ電極24の所定の張力付与及び速度
での走行を開始させる。そして、加工液は当該仕上げ加
工が、単なる浸漬加工であれば、ガイドブロック23
A,23Bからの加工液のノズル噴射を停止して、所定
量の循環供給を行なうようにすれば良いが、細線用ワイ
ヤ電極24による仕上げ加工に同軸またはその他の付設
ノズル等を用いる必要がある場合には、当然に架設して
用いられるものである。上記細線ワイヤ電極24の加工
部は、前加工工程の標準ワイヤ電極23の加工部と平行
で、また通常は同一水平面上に在って間隔等位置の寸法
関係がはっきりしている所から、前記標準ワイヤ電極2
3に対して位置決め加工された被加工体11の細線ワイ
ヤ電極24に対する位置決めをNCプログラム等により
行なうことは、放電加工条件の違いによる極間距離の違
いの補正等は必要なものの、比較的容易であって、上記
荒加工等の高速加工の終了後細線ワイヤ電極24による
仕上げ加工に、短時間の内に容易に切換え移行すること
ができ、前述標準ワイヤ電極23による荒加工による場
合とほぼ同様にして、各面A,B,C,D,及びEを順
次に割出し、及び位置決めを繰り返して、使用ワイヤ電
極の細線径の寸法に応じた角Rの形状を有すると共に、
当該ワイヤ放電加工の寸法精度、及び設定仕上げ放電加
工条件の微細面粗度に仕上げることができる。
【0040】以上は、図8のA図に示したコアピンを加
工、成形、切出しする素材の外周5面の加工、成形加工
であって、前記コアピンを作成するには、さらに図9に
より説明した溝11C切りによる列状コア11Dの形成
加工、該列状コア部から胴部11Bにかけての切込み1
1E加工を順次に、標準ワイヤ電極23による所定高速
加工と、細線ワイヤ電極24による仕上げ加工とに工程
を分けて前述した外周成形加工の場合と同様コアピンを
精密に加工成形して仕上げることができる。そして、通
常ここで、標準ワイヤ電極23により適宜の放電加工条
件で、または標準ワイヤ電極23と細線ワイヤ電極24
とを使用する荒加工と仕上げ加工との組合せ加工によ
り、切離し加工部11Fから切離されて落下回収される
ことになるが、所望により、微小切残し部を残した状態
として切離しを別の後工程により行なうようにすること
もできる。そして、何れにしてもここで、被加工体11
の加工残り掴み代部11A、または被加工体を図示しな
い交換手段により加工ヘッド10の保持手段12から取
り外してマガジン20の所定ホルダに保持させ、プログ
ラムにより指定したホルダから次に加工すべき被加工体
11Hを取出し、前記保持手段12に取付け、以後は前
述段落「0029」以後の作業及びワイヤ放電加工を、
マガジン20内の未加工被加工体が無くなる迄、標準ワ
イヤ電極23及び/または、細線ワイヤ電極24を適宜
補給しながら繰返すのである。
【0041】以上本発明を図示した実施例により説明を
加えたが、特許請求の範囲に記載する本発明の精神を逸
脱しない範囲で、各部へ各種の変更を加えての実施が可
能なものである。例えば、加工対象の被加工体として
は、プレス加工に用いる円弧状の座(カキアゲ部)の付
いたR座付きパンチ(通称カキアゲパンチ)の如きもの
に適用できるだけでなく、被加工体が軸の廻りに割出し
制御が可能な加工ヘッド10に保持されている所から、
標準及び細線ワイヤ電極の各一対のガイドブロックに所
謂U軸及びV軸移動及び制御手段を設けなくても、任意
の大角度でのテーパ加工が可能である。また標準ワイヤ
電極による所定高速のワイヤ放電加工と細線ワイヤ電極
による所定精度及び仕上げ面粗度の仕上げワイヤ放電加
工との両方または何れか一方を2工程またはそれ以上の
複数工程の加工、例えば、前者の場合荒加工と中加工、
また後者の場合中仕上げ加工と仕上げ加工、または仕上
げ加工を超仕上げ加工として加工目的の達成確度を高め
ることができる。また標準及び細線各ワイヤ電極の位置
決め用のワイヤガイドとしても開閉形式のダイス状ガイ
ドとかV−平ガイド等を選定使用することができるだけ
でなく、機械フレームのX,Y,Zの直交3軸方向の相
対移動、及び旋回・割出し手段の相対移動の構成も図示
説明のものに限定されるものでないことも明らかであ
る。そして、テーブル9をベッドに固定して、加工ヘッ
ド10をX、Y、Zの3軸に移動する機械構成と成し得
ること既に述べた通りである。
【0042】なお、前述実施例のワイヤ放電加工装置に
於けるX,Y、及びZの移動軸の制御の好ましい設定制
御の態様を示すと次の如くである。通常のワイヤ放電加
工機の加工プログラムに於ては、加工輪郭形状がX,Y
平面上において定義されている。然るに前述本発明実施
例のワイヤ放電加工機では、ワイヤ電極23、24の各
走行経路形成手段15によって形成される加工部ワイヤ
電極の軸が従来機のX軸と平行である所から、加工プロ
グラム上のXY水平面上での加工輪郭形状の補間が、従
来機のYZ平面上での補間として行われるように、各移
動制御軸を、元X→新Z、元Y→新X、及び元Z→新X
と入れ替えた工作機械の右手直交座標系に切換えて制御
に供するようにすることが好ましい(図7参照)。この
場合、座標系は、所望により切換え可能としてあっても
よい。
【0043】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の請
求項1または請求項4の発明によれば、走行移動するワ
イヤ電極と被加工体との加工液が介在する微小間隙で間
歇的な放電を繰り返し発生させて加工するワイヤ放電加
工装置に於て、ベッド、コラム等から成る機械のフレー
ムと、前記フレームにX,Y,Zの直交3軸方向に相対
的に移動可能に設けられる、前記被加工体を懸垂把持す
る被加工体保持手段と、前記ワイヤ電極による加工部を
形成する各一対のワイヤ電極の位置決めガイドを標準ワ
イヤ電極用と細線ワイヤ電極用との2組を前記加工部ワ
イヤ電極が水平一軸方向に平行に位置するように取り付
けられたテーブルと、該テーブルを収納する加工槽と、
前記標準ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で前
記加工部を走行移動させるワイヤ電極の供給手段と引取
手段と、該標準ワイヤ電極用の供給・引取手段と切換選
択作動可能に設けられる前記細線ワイヤ電極用の供給手
段と引取手段と、前記標準ワイヤ電極加工部と保持手段
の被加工体間に所定高速加工条件の加工放電電力を加工
電源から供給する給電手段と、該高速加工用給電手段と
切換選択可能に設けられる前記細線ワイヤ電極と被加工
体間に所定仕上げ加工条件の加工放電電力を供給する給
電手段と、前記加工槽に制御された加工液を供給循環さ
せる加工液供給手段と、前記被加工体保持手段は、その
軸線の方向が前記標準及び細線ワイヤ電極の加工部電極
軸と直交するように設けられ、また前記被加工体保持手
段と前記2組の位置決めガイドが設けられたテーブルと
を、前記直交軸の廻りに相対的に旋回及び割出し可能に
設ける旋回・割出手段と、前記被加工体に所望形状の加
工を施すように加工の工程に於て選定された前記走行ワ
イヤ電極と前記被加工体との間に相対送りを行なわせる
制御送り手段と、前記ワイヤ電極の切換選択及び選択さ
れたワイヤ電極の供給・引取手段、前記加工放電電力の
切換選択給電手段、加工液供給手段、及び前記被加工体
保持手段と前記加工槽の選択されたワイヤ電極の位置決
めガイド加工部間の前記旋回・割出しを含む相対送り手
段と、を制御する数値制御装置を含む制御手段とを設け
たから、加工成形のワイヤ放電加工は、先ず標準線径の
ワイヤ電極を使用して所望の高速加工で行なわれ、次い
で加工面粗度及び形状精度が要求される仕上げワイヤ放
電加工が細線ワイヤ電極を使用する所望仕上げ加工で行
なわれると共に、その高速と仕上げの切換えはワイヤ電
極を張架交換するのではなく、相互に位置関係を決めて
張架走行可能に設けた標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極
とに対する被加工体の移動によって行なわれるから、高
速、短時間で目的の加工をすることができ、しかも前記
標準及び細線の各ワイヤ電極は、加工槽内を水平で平行
に走行するように張架され、之等の両ワイヤ電極に対
し、被加工体が、前記水平に対し直角方向に相対的に加
工送りが与えられる加工ヘッドに軸の廻りの制御旋回及
び割出し可能に保持して設けられるので、複数個の被加
工物を予め貯蔵して置いて次々と新たな被加工体に変換
して加工することが可能容易となり、金型用コアピン等
大量品の高寸法、形状加工に有効である。
【0044】また、本発明の請求項3または請求項5の
発明によれば、細線ワイヤ電極の供給及び引取手段の配
置として実施すると、テーブル及び加工槽がX軸方向に
移動する機械構成の場合に、段取り作業等でテーブルを
移動させてもワイヤ電極の切断が生ずることがなく、ま
た、標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極の両方または一方
の供給と引取りを加工機本体の左または右側の一方の側
に於て操作調整ができるから作業性が良い。
【0045】また、本発明の請求項6の発明によれば、
前項同様細線ワイヤ電極の切断事故が生ぜず、また、標
準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極の各供給手段と引取手段
とが加工機本体の左右等に分かれて設けられるので夫々
のワイヤ電極についての作業性が改善される。
【0046】また、本発明の請求項7の発明によれば、
各ワイヤ電極の供給手段と引取手段が一体に構成される
のでコンパクトになると共に細線ワイヤ電極用の上記一
体構成体が、テーブルまたは加工槽に取付けられ、ワイ
ヤ電極加工部と一体となるから、X,Y,Z3軸等の相
対移動によって供給・引取手段とワイヤ電極加工部間の
相対位置の変化がなく、前記軸移動による張力変化や断
線は生じない。
【0047】また、本発明の請求項8の発明によれば、
標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極のワイヤガイド間加工
部、各所望に水平に、また相互に平行に所定の位置関係
に調整して形成させることができる。
【0048】また、本発明の請求項9の発明によれば、
標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極を夫々好適に位置決め
ガイドできると共に加工効率を上げさせることができ
る。
【0049】また、本発明の請求項10の発明によれ
ば、加工ヘッドの保持手段に被加工体を懸垂把持させ
て、被加工体マガジンとの間で自動交換するようにした
から、交換パレット等を使用するものに比較してコンパ
クトが交換時間も短くでき加工効率を上げることができ
る。
【0050】また、本発明の請求項11のワイヤ放電加
工方法によれば、本発明のワイヤ放電加工装置を用い
て、金型用のコアピン等を効率よく加工して行くことが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例ワイヤ放電加工装置の全体構
成及びその配置を示す正面図。
【図2】加工機本体の加工槽内の配置、構成物を説明す
るための上面図。
【図3】標準ワイヤ電極加工部廻りを説明するための正
面図。
【図4】細線ワイヤ電極加工部廻りを説明するための正
面図。
【図5】標準ワイヤ電極用ガイドブロックの案内、支持
構成を示す上面図と正面図。
【図6】細線ワイヤ電極用ガイドブロックの案内、支持
構成を示す上面図と正面図。
【図7】一例の被加工体の斜視図で、加工仕方の説明
図。
【図8】A:本発明の加工成形の対象となるコアピンの
部分斜視図。B:他のコアピン例の斜視図。C:また他
のコアピン例の斜視図。
【図9】直方体の被加工体を順次に加工をして行く態様
を説明する斜視図。
【符号の説明】
1 加工機本体 2 電源及び制御手段 3 標準ワイヤ電極の供給・引取手段 4 ベッド 5 サドル 6 移動台 7 コラム 8 移動ラム 9 テーブル 10 加工ヘッド 11 被加工体 12 保持手段 13 送り手段 14 旋回・割出し手段 15 加工部走行経路形成手段 16 加工槽 17A,17B 案内手段 18 細線ワイヤ電極の供給・引取手段 19 枠台 20 被加工体マガジン 21 台 22 連結手段 23 標準ワイヤ電極 24 細線ワイヤ電極 23A,23B 標準ワイヤ電極のガイドブロック 24A,24B 細線ワイヤ電極のガイドブロック 25A,25B 取付けベース 23C,24C ステージ 23D,24D ガイド 23E,24E 給電子 26A,26B 電源ターミナル 27A,27B,27C,27D,27E 案内、方
向変更プーリ 28A,28B,28C,28D,28E 案内、方
向変更プーリ 24F,24G 案内ローラ 23C−V,24C−V 垂直方向調整手段 23C−H,24C−H 水平方向調整手段 29 切換手段

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベッド上の加工槽内のテーブル上に、荒
    加工用の標準線径のワイヤ電極と仕上げ加工用の前記標
    準線径よりも細い細線径のワイヤ電極とを、水平面内の
    一軸に対して平行に所定の間隔で、かつ加工槽内の加工
    液に浸漬状態で軸方向に走行させるように張架する走行
    経路形成手段と、 該走行経路形成手段に対する前記標準ワイヤ電極と細線
    ワイヤ電極の各供給手段と引取手段と、 前記標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極との2つの放電加
    工部位の軸線に対して直交する水平軸方向に移動するラ
    ムと、 該ラムに載置される、前記放電加工部位の軸線に対して
    直交する鉛直移動軸を有する加工ヘッドと、 該加工ヘッドの軸端に設置される、被加工体を着脱自在
    に懸垂把持する保持手段と、 前記加工ヘッドに内蔵され、該加工ヘッドを前記テーブ
    ルに対して相対的に旋回・割出し制御する旋回・割り出
    し装置と、 前記被加工体を前記標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極と
    に順次に相対向させて所望の放電荒加工と仕上げ加工と
    を行なわせる制御装置を備えたことを特徴とするワイヤ
    放電加工装置。
  2. 【請求項2】 前記加工槽が前記ベッドに固定して設け
    られると共に、前記加工ヘッドが鉛直軸方向に加えて水
    平面内の直交2軸方向に移動する構成を備えて成るか、
    または、前記加工槽が前記標準ワイヤ電極と細線ワイヤ
    電極との放電加工部位の軸線に沿った水平面内の1軸方
    向に沿って移動するとともに、前記ラムが水平面内の他
    の直交1軸方向に移動する構成を備えて成ることを特徴
    とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  3. 【請求項3】 前記細線ワイヤ電極の前記供給手段と引
    取手段とを前記テーブルに連結して固定した構成に設
    け、または、更に前記供給手段と引取手段とを一体とし
    てワイヤ電極の走行径路上の一方の端部側に於てテーブ
    ルに連結固定して設けられると共に、前記ワイヤ電極供
    給手段から前記走行経路形成手段に送り出されたワイヤ
    電極が走行系路上の他端側に於て折返して走行させら
    れ、前記一端側の前記引取手段により引取り回収される
    構成に設けられて成るものであることを特徴とする請求
    項1、または2に記載のワイヤ放電加工装置。
  4. 【請求項4】 走行移動するワイヤ電極と被加工体とが
    加工液の介在する微小間隙で間歇的な放電を繰り返し発
    生させて加工するワイヤ放電加工装置に於て、ベッド、
    コラム等から成る機械のフレームと、 前記フレームにX,Y,Zの直交3軸方向に相対的に移
    動可能に設けられる、前記被加工体を懸垂把持する被加
    工体保持手段と、前記ワイヤ電極による加工部を形成す
    る各一対のワイヤ電極の位置決めガイドが標準ワイヤ電
    極用と細線ワイヤ電極用との2組、前記加工部ワイヤ電
    極が水平一軸方向に平行に位置するように取り付けられ
    たテーブルと、該テーブルを収納する加工槽と、 前記標準ワイヤ電極に所定の張力を付与させた状態で前
    記加工部を走行移動させるワイヤ電極の供給手段と引取
    手段と、該標準ワイヤ電極用の供給・引取手段の代わり
    に切換選択されて加工に供される前記細線ワイヤ電極用
    の供給手段と引取手段と、 前記標準ワイヤ電極加工部と保持手段の被加工体間に所
    望の荒加工の加工条件の加工放電電力を加工電源から供
    給する給電手段と、該高速加工用給電手段と切換選択可
    能に設けられる前記細線ワイヤ電極と被加工体間に所定
    仕上げ加工条件の加工放電電力を供給する給電手段と、 前記加工槽に制御された加工液を供給循環させる加工液
    供給手段と、 前記被加工体保持手段は、その軸線の方向が前記標準及
    び細線ワイヤ電極の放電加工部位の軸線と直交する鉛直
    軸上に設けられ、また前記被加工体保持手段が前記テー
    ブルに対して、前記鉛直軸の廻りに旋回及び割出し可能
    に設けられる旋回・割出手段と、 前記被加工体に所望形状の加工を施すように加工の工程
    に於て選定された前記走行ワイヤ電極と前記被加工体と
    の間に相対送りを行なわせる制御送り手段と、 前記加工放電電力の切換選択給電手段、加工液供給手
    段、及び前記被加工体保持手段と前記加工槽の選択され
    たワイヤ電極の位置決めガイド加工部間の前記旋回・割
    出しを含む相対送り手段、とを制御する数値制御装置を
    含む制御手段とから成ることを特徴とするワイヤ放電加
    工装置。
  5. 【請求項5】 前記標準ワイヤ電極と細線ワイヤ電極の
    両方または何れか一方の前記供給手段と引取手段とが、
    その加工部ワイヤ電極軸の一方の側に設けられ、該一方
    の側の供給手段から加工槽内加工部へ供給されたワイヤ
    電極が前記軸の他方の側の加工槽端部側に於て折返され
    て前記一方の側の引取手段により回収される走行経路が
    構成されて成るものであることを特徴とする請求項4に
    記載のワイヤ放電加工装置。
  6. 【請求項6】 前記標準ワイヤ電極の供給手段及び引取
    手段と、前記細線電極の供給手段及び引取手段とが、加
    工槽内加工部ワイヤ電極軸の両側端外に別れて設けられ
    て成ることを特徴とする請求項4、または5に記載のワ
    イヤ放電加工装置。
  7. 【請求項7】 前記標準ワイヤ電極の供給手段と引取手
    段とが一体にユニット化されて機械フレームに連結して
    並置され、前記細線ワイヤ電極の供給手段と引取手段と
    は一体にユニット化されて前記テーブルに連結固定して
    取付けられて成ることを特徴とする請求項4、5、また
    は6に記載のワイヤ放電加工装置。
  8. 【請求項8】 前記標準ワイヤ電極用と細線ワイヤ電極
    用の前記各一対のワイヤガイド中の各一方のワイヤガイ
    ドが、前記水平面と直交する鉛直軸方向と、該鉛直軸及
    び加工部位ワイヤ電極軸と直交する水平軸方向とに、夫
    々位置調整可能に前記テーブルに調整ステージを介して
    取付けられていることを特徴とする請求項4、5、6、
    または7に記載のワイヤ放電加工装置。
  9. 【請求項9】 前記標準ワイヤ電極用のワイヤガイドが
    ダイス状ガイドであって、前記細線ワイヤ電極用のワイ
    ヤガイドがV溝ガイドであって、所望により加工液噴出
    ノズルが設けられる構成であることを特徴とする請求項
    4、5、6、7、または8に記載のワイヤ放電加工装
    置。
  10. 【請求項10】 前記被加工体を所望複数個格納する被
    加工体マガジン及び該マガジンが格納する未加工被加工
    体と加工ヘッドの保持手段に保持された加工済被加工体
    とを交換する被加工体交換手段とが設けられ、被加工体
    を順次に交換して加工を実行するものであることを特徴
    とする請求項4、5、6、7、8、または9に記載のワ
    イヤ放電加工装置。
  11. 【請求項11】 一対の間隔を置いて配置したワイヤ電
    極の位置決めガイド間を走行移動する加工部ワイヤ電極
    に、該ワイヤ電極軸と略直角な平面方向から、該平面内
    の一軸を旋回及び割出し可能な軸とし、該軸の軸端に保
    持された被加工体を相対向させ、該被加工体に所望形状
    の加工を施すように前記対向方向及び旋回・割出しにつ
    き所定にプログラムされた加工送りを相対的に与えて所
    定の高速加工と引き続いての仕上げ加工を行なうワイヤ
    放電加工方法に於て、 前記被加工体が懸垂保持された状態に保持手段を加工ヘ
    ッドに設けると共に、前記高速加工用の標準ワイヤ電極
    と仕上げ加工用の細線ワイヤ電極との各加工部が、前記
    加工ヘッドの保持軸と相対向する加工槽内テーブル面の
    所定高さ位置に、テーブル面の一軸と互に平行で他の一
    軸方向に所定の間隔を置いて予め設けられ、 前記被加工体を一方の前記標準ワイヤ電極と所望に相対
    向させ、高速加工の放電加工条件を設定し、プログラム
    された加工送りを相対的に与えて所定のワイヤ放電加工
    をした後、 該被加工体を他方の前記細線ワイヤ電極と所望に相対向
    させ、仕上げ加工の放電加工条件を設定し、プログラム
    された所定の加工送りを相対的に与えて所定の仕上げワ
    イヤ放電加工をするようにしたことを特徴とするワイヤ
    放電加工方法。
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