JP2000049398A - 圧電/電歪膜型アクチュエータ - Google Patents

圧電/電歪膜型アクチュエータ

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JP2000049398A
JP2000049398A JP10216787A JP21678798A JP2000049398A JP 2000049398 A JP2000049398 A JP 2000049398A JP 10216787 A JP10216787 A JP 10216787A JP 21678798 A JP21678798 A JP 21678798A JP 2000049398 A JP2000049398 A JP 2000049398A
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Japan
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piezoelectric
electrostrictive
zirconia
ceramic substrate
insulating ceramic
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JP10216787A
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English (en)
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Takuya Gendoshi
拓哉 源通
Hiroaki Shigetome
宏章 重留
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低電圧で大きな屈曲変位が得られ、信頼性が高
く、応答速度が早く、且つ高集積化が可能な圧電/電歪
膜型アクチュエータを提供する。 【解決手段】薄肉の絶縁性セラミック基板を、酸化ディ
スプロシウム及び酸化セリウムを安定化剤として含有し
てなり、ジルコニアの結晶相が主として正方晶からなる
部分安定化ジルコニアセラミックスにより形成し、その
一方の主面を中心線平均粗さ(Ra)で0.03〜0.
9μmとした上記基板表面上に下部電極膜、圧電/電歪
層膜、及び上部電極膜をを順次焼結一体化して形成した
駆動部を設けることにより圧電/電歪膜型アクチュエー
タを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低電圧駆動で、し
かも大きな屈曲変位が得られ、応答速度の早い信頼性に
優れた圧電/電歪膜型アクチュエータに関するものであ
り、特に、インクジェットプリンタヘッド、マイクロホ
ン、発音体(スピーカーなど)等の各種振動子や発振子
として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェットプリンタヘッドや
マイクロホンあるいは発音体(スピーカーなど)などの
分野では、サブミクロンオーダーでの変位調整や微小変
位を電気信号として検知することが要求されており、こ
のような変位素子として強誘電体等の圧電/電歪材料に
電界を加えた時に起こる逆圧電効果や電歪効果を利用し
た圧電/電歪膜型アクチュエータの開発が進められてい
る。
【0003】例えば、インクジェットプリンタヘッドに
おいては、薄肉の絶縁性セラミック基板上に下部電極
膜、圧電/電歪膜、及び上部電極膜を順次積層し、熱処
理によって焼結一体化して構成した駆動部を有する圧電
/電歪膜型アクチュエータが使用されており、上記絶縁
性セラミック基板として、酸化イットリウム、酸化イッ
テルビウム、酸化セリウム、酸化カルシウム、酸化マグ
ネシウムのうち1種以上の安定化剤によって安定化ある
いは部分安定化されたジルコニアセラミックスにより形
成したものがあった(特開平5−29675号公報、特
開平6−260694号公報参照)。
【0004】このような圧電/電歪膜型アクチュエータ
は、駆動部を薄くできるとともに、接着剤等を用いずに
一体化でき、さらには絶縁性セラミック基板が高強度、
高靱性のジルコニアセラミックスからなるため基板の厚
みを薄くできるといった特徴があり、それ故、相対的に
低電圧駆動にて大きな屈曲変位が得られるとともに、応
答速度を早めることができ、さらには同一基板上におい
て駆動部の高集積化が可能となるなどの優れた利点を有
していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記安
定化剤でもって安定化あるいは部分安定化されたジルコ
ニアセラミックスからなる絶縁性セラミック基板は、耐
熱性がそれほど良くないため、駆動部を構成する下部電
極膜、圧電/電歪膜、上部電極膜をそれぞれ形成する際
の熱処理時において、ジルコニアの結晶相が立方晶や正
方晶から急激に単斜晶へ相変態するため、絶縁性セラミ
ック基板の強度が大きく低下し、屈曲時に作用する応力
によって破損したり、相変態に伴うジルコニア粒子の体
積膨張によって表面粗度が悪くなるために、駆動部を構
成する各膜を破壊したり歪みを発生させ、所望の変位量
や応答性が得られないといった課題があった。
【0006】なお、これまでインクジェットプリンタヘ
ッドを例にとって説明したが、これらの課題はマイクロ
ホンや発音体(スピーカー等)など他の振動子や発振子
においても同様にあった。
【0007】
【発明の目的】本発明はかかる事情を背景にしてなされ
たものであり、その目的は、駆動部を構成する各膜を形
成する際の熱処理時に、強度劣化及び表面粗度の劣化の
ない部分安定化されたジルコニアセラミックスにより絶
縁性セラミック基板を形成し、以て、低電圧駆動であり
ながら大きな屈曲変位が得られ、応答速度の早い信頼性
に優れた圧電/電歪膜型アクチュエータを提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は上記課
題に鑑み、薄肉の絶縁性セラミック基板上に下部電極
膜、圧電/電歪膜、及び上部電極膜を順次焼結一体化し
た駆動部を有する圧電/電歪膜型アクチュエータにおい
て、上記絶縁性セラミック基板を、酸化ディスプロシウ
ム及び酸化セリウムを安定化剤として含有してなり、ジ
ルコニアの結晶相が主として正方晶からなる部分安定化
ジルコニアセラミックスにより形成するとともに、上記
絶縁性セラミック基板の少なくとも駆動部側の表面粗さ
を中心線平均粗さ(Ra)で0.03〜0.9μmとし
たことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。
【0010】図1は本発明の圧電/電歪膜型アクチュエ
ータ1の一例を示す一部を破断した斜視図で、酸化ディ
スプロシウム及び酸化セリウムの安定化剤を含有してな
り、ジルコニアの結晶相が主として正方晶からなる部分
安定化ジルコニアセラミックスにより形成した薄肉の絶
縁性セラミック基板2の一主面上に、下部電極膜4、圧
電/電歪膜5、及び上部電極膜8を順次積層し、熱処理
を加えて焼結一体化して駆動部9を構成したものであ
り、図1のアクチュエータにおいて、下部電極膜4は圧
電/電歪膜5より延設してあり、この延設部をリード取
出部4aとするとともに、上部電極膜8はコーナーの一
部をリード取出部8aとしてある。
【0011】また、図2は本発明の圧電/電歪膜型アク
チュエータ11の他の例を示す一部を破断した斜視図
で、酸化ディスプロシウム及び酸化セリウムの安定化剤
を含有してなり、ジルコニアの結晶相が主として正方晶
からなる部分安定化ジルコニアセラミックスにより形成
した絶縁性セラミック基板2の一主面に、複数の帯状電
極12とそれらを接続する帯状の電極接続部13とから
なる櫛型の下部電極膜14と、該下部電極膜14と同形
の櫛型状をした板状の圧電/電歪膜15、及び複数の帯
状電極16とそれらを接続する帯状の電極接続部17と
からなる櫛型の上部電極膜18を順次積層し、熱処理を
加えて焼結一体化して駆動部19を構成したものであ
り、各電極膜14,18はそれぞれ延設する電極接続部
13,17の端部をそれぞれリード取出部14a,18
aとしてある。
【0012】かくして、これらの圧電/電歪膜型アクチ
ュエータ1,11のリード取出部4a,8a,14a,
18aに通電して圧電/電歪膜5,15に電界を発生さ
せると、電界誘起歪により、絶縁性セラミック基板2を
板厚方向に屈曲変位させることがきる。
【0013】また、絶縁性セラミック基板2上には、各
電極膜4,8,14,18及圧電/電歪膜5,15が直
接一体的に形成され、接着剤等が介在しないため、圧電
/電歪膜5,15の電界誘起歪をほぼ直にセラミック基
板2へ伝達することができ、以て、低電圧駆動にて大き
な屈曲変位が得られるとともに、応答速度を早くするこ
とができる。しかも、同一セラミック基板2上には駆動
部9,19を同時に形成することができるため、駆動部
9,19の高集積化も可能となる。
【0014】なお、駆動部9,19の形成にあたって、
下部電極膜4,14、圧電/電歪膜5,15、及び上部
電極膜8,18を順次積層し、熱処理を加えて焼結一体
化するとは、下部電極膜4,14、圧電/電歪膜5,1
5、及び上部電極膜8,18を構成する各々のペースト
やスラリーを塗布するごとに熱処理を加えて焼結させ、
絶縁性セラミック基板2上に順次一体的に形成するか、
あるいは下部電極膜4,14、圧電/電歪膜5,15、
及び上部電極膜8,18を構成する各々のペーストやス
ラリーを全て積層したあと、熱処理を加えて一体的に焼
結させることを言い、上記ペーストやスラリーを塗布す
る方法としては、スクリーン印刷法、スプレー法、ディ
ッピング法、塗布等の公知の厚膜形成手法を用いること
ができる。
【0015】また、図2のように電極膜14,18を櫛
型など複雑なパターン形状に形成する方法としては、ス
クリーン印刷法以外に、レーザー加工法、スライシン
グ、超音波加工等の機械加工法やフォトリソグラフィー
法を用いれば良い。
【0016】さらに、絶縁性セラミック基板2の形状と
しては上下面が平坦な板状体だけでなく、一方の面にキ
ャビティ部を設けた板状体であっても良く、また、その
平面形状は長方形をしたものだけに限らず、正方形や三
角形など他の多角形をしたもの、さらには円形、楕円
形、リング状、櫛型状など使用目的に応じて適宜設計す
れば良い。また、駆動部9,19の平面形状においても
三角形や四角形等の多角形、円形、楕円形、リング状、
あるいは格子状とすることができ、さらにはこれらを組
み合わせた特殊形状であっても何等差し支えない。
【0017】ところで、本発明によれば、振動板として
機能する絶縁性セラミック基板2を、酸化ディスプロシ
ウム及び酸化セリウムの2種類の安定化剤を含有させ、
ジルコニアの結晶相が主として正方晶からなる部分安定
化されたジルコニアセラミックスにより形成してあるこ
とから、数μm乃至数十μmといった薄い板厚としても
十分な曲げ強度と高靱性を兼ね備えたものとすることが
でき、さらには駆動部9,19を形成する際の熱処理時
における熱応力が小さく、かつ下部電極膜4,14、圧
電/電歪膜5,15、上部電極膜8,18との化学的な
反応が少ないといった利点がある。
【0018】即ち、ジルコニアは安定化剤等の添加物を
含まない純粋な状態では、1000℃付近で正方晶から
単斜晶への相変態が頻繁に起こり、薄肉の絶縁性セラミ
ック基板2を製作することが難しいのであるが、上記の
如き安定化剤を加えることによって相変態が部分的に起
こるようにしたことから、この部分的に起こる応力誘起
相変態強化メカニズムにより高い曲げ強度と高靭性を実
現することができる。なお、本発明において部分安定化
されているとは、ジルコニアの主結晶相が正方晶からな
り、ジルコニアの一部が部分的に相変態を起こし得るよ
うに材料調整されていることであり、また、ジルコニア
の結晶相が主として正方晶からなるとは、実質的に正方
晶のみからなる場合は勿論のこと、正方晶量が50重量
%以上であって、他に立方晶及び/又は単斜晶を含む混
晶からなるものを含むものを言う。
【0019】また、酸化ディスプロシウム及び酸化セリ
ウムの含有によって部分安定化されたジルコニアは、従
来のような酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸
化セリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等の安
定化剤によって安定化あるいは部分安定化されたジルコ
ニアと比較して熱的安定性に優れることから、駆動部
9,19の形成における熱処理時に頻繁に発生していた
立方晶や正方晶から単斜晶への急激な相変態を抑えるこ
とができるために大幅な強度劣化がなく、数μm乃至数
十μmといった薄い板厚でありながら大きく屈曲変位さ
せても破損することのない絶縁性セラミック基板2とす
ることができる。
【0020】さらに、ジルコニア粒子は正方晶から単斜
晶へ相変態する際、体積膨張が起こるため、相変態の起
こる割合が多いと、絶縁性セラミック基板2の表面粗度
が大幅に低下し、駆動部9,19の形成時に歪みが発生
したり、あるいは相変態によってジルコニア粒子が突起
状に体積膨張する結果、下部電極膜4,14を突き破
り、その上の圧電/電歪膜5,15を破壊する恐れがあ
る。しかも、この相変態が不規則な頻度で発生すると、
同一基板2上に複数の駆動部9,19を形成する場合、
各駆動部9,19が形成される表面状態によって駆動部
9,19の特性バラツキが発生することになる。
【0021】これに対し、本発明の部分安定化されたジ
ルコニアセラミックスは、熱的安定性に優れ、駆動部
9,19の形成時における正方晶から単斜晶への相変態
が少なく基板2の表面荒れを抑えることができるため、
駆動部9,19の破壊や歪みを防いで、所望の変位量や
高速応答性を実現することができる。
【0022】このような特性を得るために、ジルコニア
の結晶相が主として正方晶からなるように構成するに
は、酸化ディスプロシウムの含有量を0.5〜4.5モ
ル%とするとともに、酸化セリウムの含有量を2〜8モ
ル%とし、かつこれらの安定化剤の合計含有量を6〜1
2.5モル%とすることが重要である。
【0023】即ち、酸化ディスプロシウムの含有量が
0.5モル%未満であると、駆動部9,19を形成する
前のジルコニアの単斜晶量が50重量%以上となり、表
面粗度が劣化するとともに、焼結に伴ってクラックが発
生しやすいからであり、4.5モル%を越えると、ジル
コニアの主結晶相が立方晶となり、ジルコニアセラミッ
クスの強度が大幅に低下するからである。また、酸化セ
リウムの含有量が2モル%未満であると、駆動部9,1
9の形成における熱処理によってジルコニアの単斜晶量
が50重量%以上となって強度が低下し、8モル%を越
えると、ジルコニアセラミックスの強度が大幅に低下す
るからである。
【0024】さらに、これら安定化剤の合計含有量が6
モル%未満となると、駆動部9,19の形成における熱
処理によってジルコニアの単斜晶量が50重量%以上と
なり、表面粗度が劣化するからであり、12.5モル%
より多くなると、ジルコニアの立方晶量が50重量%以
上となって部分安定化というよりはむしろ安定化される
ため、体積膨張によって表面状態が悪くなり、その結
果、その表面上に形成する駆動部9,19の各電極膜
4,8,14,18や圧電/電歪膜5,15が不均一と
なるために、所望の屈曲特性が得られないからである。
【0025】より好ましくは、酸化ディスプロシウムの
含有量を0.5〜2.5モル%とするとともに、酸化セ
リウムの含有量を5.5〜7.5モル%とすることが良
い。また、絶縁性セラミック基板2の強度及びジルコニ
ア結晶相を安定化させるためには、ジルコニアの平均結
晶粒子径も重要な要件であり、3μm以下、好ましく2
μm以下、さらに好ましくは1μm以下が良く、この範
囲内にあれば単斜晶量を抑え、強度及び靱性を向上させ
ることができる。
【0026】さらに、本発明の部分安定化ジルコニアセ
ラミックスには、前述したジルコニアと安定化剤を必須
成分として含む以外に、例えばアルミナを含有していて
も良く、この場合3重量%まで許容される。
【0027】なお、ジルコニアの結晶相の同定にあたっ
ては、ジルコニアセラミックスを鏡面研磨し、X線回折
測定法により確認することができる。
【0028】即ち、正方晶量の算出にあたっては、X線
回折における単斜晶ジルコニアのX線回折ピーク強度を
Im(111),Im(−111)、立方晶ジルコニア
のX線回折ピーク強度をIc(111)、及び正方晶ジ
ルコニアのX線回折ピーク強度をIt(111)とする
と、数1により算出することができる。
【0029】
【数1】
【0030】また、ジルコニアセラミックスの組成につ
いてはICP発光分光分析により確認することができ
る。
【0031】かくして、このような部分安定化ジルコニ
アセラミックスにより絶縁性セラミック基板2を形成す
れば、板厚を50μm以下、30μm以下、さらには1
0μm以下としても使用可能となるため、圧電/電歪膜
型アクチュエータ1,11のさらなる応答性の向上と大
きな屈曲変位の実現が可能となる。
【0032】ところで、このような部分安定化されたジ
ルコニアセラミックスからなる絶縁性セラミック基板2
を製作するには、出発原料としてジルコニア(Zr
2 )の粉末に対し、酸化ディスプロシウム(Dy2
3 )の粉末と酸化セリウム(CeO2 )の粉末とを混
合、仮焼、粉砕する乾式合成法、あるいはジルコニウム
化合物と、ディスプロシウム化合物と、セリウム化合物
との混合溶液から共沈させて得た混合粉末を乾燥、仮
焼、粉砕する湿式合成法によりそれぞれ酸化ディスプロ
シウムと酸化セリウムの含有量が前述した範囲となるよ
うに調製した平均粒子径が1μm以下の部分安定化され
たジルコニア粉体を製作する。
【0033】そして、このジルコニア粉体にバインダー
及び溶媒を添加混合して泥漿を作製し、ドクターブレー
ド法などのテープ成形法にてグリーンシートを成形する
か、あのいは上記泥漿をスプレードライヤにて乾燥造粒
して顆粒を製作し、この顆粒を所定の型内に充填して板
状体とする。この時、必要に応じて切削加工を施しても
良い。なお、原料調合の手段として前述では予め安定化
剤によって部分安定化されたジルコニア粉末を用意した
が、ジルコニア(ZrO2 )の粉末に対し、酸化ディス
プロシウム(Dy2 3 )の粉末と酸化セリウム(Ce
2 )の粉末、さらにバインダー及び溶媒を添加混合し
た泥漿を用いても良い。
【0034】次に、得られた成形体を大気雰囲気中、酸
素雰囲気中、真空雰囲気中にて1300℃〜1600℃
の温度にて焼成することで、酸化ディスプロシウム及び
酸化セリウムを含有してなり、ジルコニアの結晶相が主
として正方晶からなる部分安定化されたジルコニアセラ
ミック製の絶縁性セラミック基板2を得ることができ
る。
【0035】一方、駆動部9,19との密着性を高め、
圧電/電歪膜5,15が発生する電界誘起歪に伴う応力
を絶縁性セラミック基板2に有効に伝えるためには、駆
動部9,19の形成後における絶縁性セラミック基板2
の少なくとも駆動部9,19側の表面粗さを中心線平均
粗さ(Ra)で0.03〜0.9μmとすることが重要
であり、さらに、このような表面粗さの制御は板厚の薄
い絶縁性セラミック基板2の強度を確保するうえにおい
ても有効であるため、好ましくは中心線平均粗さ(R
a)で0.1〜0.7μmとすることが良い。この表面
粗さが中心線平均粗さ(Ra)で0.9μmより大きく
なると、下部電極膜4,14との密着強度を高めること
ができるものの、その上に形成する圧電/電歪膜5,1
5の平坦度が低下するため、圧電/電歪膜5,15に発
生する電界が不均一なものとなり、所望の変位量が得ら
れないからであり、逆に中心線平均粗さ(Ra)が0.
03μmより小さくなると下部電極膜4,14とのアン
カー効果が小さくなり、密着強度が低下するため、圧電
/電歪膜5,15に通電して電界誘起歪を発生させると
剥離する恐れがあり信頼性に問題があるからである。な
お、熱処理後における表面粗さを上記範囲とするために
は、熱処理前の表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で
0.01〜0.9μm、好ましくは0.01〜0.5μ
mとすることが良い。
【0036】また、駆動部9,19を構成する圧電/電
歪膜5,15の材質としては、電界誘起歪みを発生する
ものであれば良く、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(P
ZT系)を主成分とする材料、マグネシウムニオブ酸鉛
(PMN系)を主成分とする材料、ニッケルニオブ酸鉛
(PMN系)を主成分とする材料、マンガンニオブ酸鉛
を主成分とする材料、アンチモンスズ酸鉛を主成分とす
る材料、亜鉛ニオブ酸鉛を主成分とする材料、チタン酸
鉛を主成分とする材料、さらにはこれらの複合材料等を
用いることができる。また、前記主成分に対し、ランタ
ン、バリウム、ニオブ、亜鉛、セリウム、カドミウム、
クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タ
ンタル、タングステン、ニッケル、マンガン、リチウ
ム、ストロンチウム、カルシウム、ビスマス等の酸化物
やその他の化合物を添加物として含有せしめた材料でも
構わない。
【0037】これらの圧電/電歪材料の中でも特にマグ
ネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛の3成
分を主成分とする材料あるいはニッケルニオブ酸鉛とマ
グネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛の4
成分を主成分とする材料は、焼結させるための熱処理時
において前記絶縁性セラミック基板2との反応が少ない
ことから成分の偏析が起きにくく組成を保つための処理
が行い易いため、目的とする組成及び結晶構造が得やす
いなど、高い圧電定数を有することと併せて好適であ
る。
【0038】なお、多成分系の圧電/電歪材料の場合、
成分の組成によって圧電特性が変化するが、本発明で好
適に採用されるマグネシウムニオブ酸鉛ージルコン酸鉛
ーチタン酸鉛の3成分系材料では擬立方晶ー正方晶ー菱
面体晶の相境界付近の組成が好ましく、特にマグネシウ
ムニオブ酸鉛が15モル%〜50モル%、ジルコン酸鉛
が10モル%〜45モル%、チタン酸鉛が30モル%〜
45モル%の組成が、高い圧電定数と電気機械結合係数
を有することから有利である。
【0039】さらに、上記圧電/電歪膜5,15の上下
面に形成される各電極膜4,8,14,18の材質とし
ては、前記圧電/電歪膜5,15の熱処理温度ならびに
焼成温度付近の高温酸化雰囲気に耐える導体であれば特
に制限されるものではなく、例えば金属や合金、あるい
は上記金属や合金に絶縁性セラミックスを加えた混合
物、さらには導電性セラミックスを用いることができ、
好ましくは、白金、パラジウム、ロジウム等の高融点貴
金属類や銀−パラジウム、銀−白金、白金−パラジウム
等の合金が良い。
【0040】また、各電極膜4,8,14,18の膜厚
としては、圧電/電歪膜5,15による電界誘起歪みの
方向に応じて設定すれば良く、例えば、電界誘起歪の横
効果を用いるものにあっては20μm以下、好ましくは
5μm以下の膜厚に形成すれば良く、また電界誘起歪の
縦効果を用いるものにあっては3μm以上、好ましくは
10μm以上、さらに好ましくは20μm以上の厚さに
設定すれば良い。
【0041】さらに、駆動部9,19全体の厚さとして
は100μm以下が良く、また圧電/電歪膜5,15の
厚さとしては低作動電圧で大きな変位等を得るために3
〜50μm、好ましくは3〜4μmの範囲が良い。
【0042】
【実施例1】酸化ディスプロシウムと酸化セリウムの含
有量を異ならせたジルコニアセラミックスからなる絶縁
性セラミック基板2と、酸化イットリウムを3モル%含
有させた部分安定化ジルコニアセラミックスからなる絶
縁性セラミック基板2、及び酸化マグネシウムを9モル
%含有させた部分安定化ジルコニアセラミックスからな
る絶縁性セラミック基板2をそれぞれ用意し、これらの
絶縁性セラミック基板2上に白金ペーストをスクリーン
印刷にて塗布したあと熱処理にて焼結一体化して白金か
らなる下部電極膜4を形成し、次いで下部電極膜4上に
マグネシウムニオブ酸鉛−ジルコン酸鉛−チタン酸鉛系
の圧電/電歪材料を含むペーストをスクリーン印刷にて
塗布したあと、約1200℃の温度にて熱処理を加えて
焼結一体化することにより圧電/電歪膜5を形成すると
ともに、最後に圧電/電歪膜5上に下部電極膜4と同様
にして白金からなる上部電極膜8を形成することで駆動
部9を構成し、図1に示す圧電/電歪膜型アクチュエー
タ1を製作した。
【0043】なお、駆動部9形成前の絶縁性セラミック
基板2の表面粗さを測定したところ、酸化ディスプロシ
ウムと酸化セリウムを含有するジルコニアセラミックス
及び酸化イットリウムを含有するジルコニアセラミック
スはいずれも中心線平均粗さ(Ra)で0.3μm程度
であったが、酸化マグネシウムを含有するジルコニアセ
ラミックスは結晶粒径が大きく、中心線平均粗さ(R
a)で1.2μmであった。
【0044】そして、上記駆動部9にDC30Vの電圧
を印加してアクチュエータ1を駆動させた時の変位量を
レーザ変位計にて測定するとともに、駆動部9の形成後
におけるジルコニアの結晶相をX線回折測定法にて測定
した。また、酸化ディスプロシウムと酸化セリウムの含
有量についてICP発光分光分析にて測定した。
【0045】なお、絶縁性セラミック基板2の寸法は、
1.5mm×1.5mm×t10μmの板状体とし、圧
電/電歪膜5の膜厚は30μm、各電極膜4,8の膜厚
は3μm、駆動部9全体の平面形状は0.8mm×3m
mの長方形とした。
【0046】それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0047】
【表1】
【0048】表1より判るように、絶縁性セラミック基
板2が酸化イットリウムを含有するジルコニアセラミッ
クスからなる試料No.8は、駆動部9の形成時、特に
圧電/電歪膜5の形成における熱処理時に正方晶が単斜
晶へ急激に相変態して単斜晶量が多くなり、強度及び表
面粗さの劣化によって駆動部9に歪みが発生し、0.0
6μm程度しか変位させることができなかった。
【0049】また、絶縁性セラミック基板2が酸化マグ
ネシウムを含有するジルコニアセラミックスからなる試
料No.9では、相変態は少ないものの表面状態が悪
く、駆動部9を構成する下部電極膜4,圧電/電歪膜
5、上部電極膜8を平坦に成膜できなかったため、0.
08μm程度しか変位させることができなかった。
【0050】一方、酸化ディスプロシウムと酸化セリウ
ムを含有したジルコニアセラミックスにおいて、酸化デ
ィスプロシウムの含有量が2モル%、酸化セリウムの含
有量が2モル%である試料No.1は、安定化剤の合計
含有量が6モル%未満であるため、駆動部9の形成にお
ける熱処理時に正方晶が単斜晶へ急激に相変態して単斜
晶量が多くなり、表面粗さの劣化によって駆動部9に歪
みが発生し、その変位量は0.09μmであった。
【0051】また、試料No.6,7は、酸化ディスプ
ロシウムの含有量が4.5モル%以上であるため、主と
して立方晶が存在し、ジルコニアセラミックスの強度が
小さくかつ表面粗さが悪いために、均一な駆動部9の形
成ができず、0.06μm程度しか変位させることがで
きなかった。
【0052】これに対し、試料No.2〜5は、酸化デ
ィスプロシウムの含有量が0.5〜4.5モル%、酸化
セリウムの含有量が2〜8モル%の範囲にあり、かつこ
れらの合計含有量が6〜12.5モル%の範囲あるた
め、駆動部9の形成前後においても正方晶を主として存
在させることができ、強度劣化や表面粗度の劣化もない
ため、駆動部9に歪みがほとんどなく、その結果、0.
1μm以上変位させることが可能であった。
【0053】
【実施例2】そこで、表1における試料No.2のジル
コニアセラミックスを用い、駆動部9形成前の絶縁性セ
ラミック基板2の表面粗さを変化させ、駆動部9を形成
したあとの表面粗さと変位量との関係を調べる実験を行
った。
【0054】それぞれの結果は表2に示す通りである。
【0055】この結果、表面粗さ(Ra)が0.03μ
m未満の試料No.10は駆動部9が剥離し、表面粗さ
(Ra)が0.09μmより大きい試料No.14では
駆動部9を構成する下部電極膜4,圧電/電歪膜5、上
部電極膜8を均一に成膜できないために所望の屈曲力が
得られず、0.08μm程度しか変位させることができ
なかった。
【0056】これに対し、表面粗さ(Ra)が0.03
〜0.09μmの範囲にある試料11〜13は、均一な
膜4,5,8の形成ができ、剥離を生じることなく所望
の屈曲力が得られ、0.1μm以上の変位量が得られ
た。
【0057】この結果、駆動部9形成後における絶縁性
セラミック基板2の表面粗さ(Ra)は0.03〜0.
09μmの範囲が良いことが判る。
【0058】
【表2】
【0059】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、薄肉の
絶縁性セラミック基板上に下部電極膜、圧電/電歪膜、
及び上部電極膜を順次焼結一体化した駆動部を有する圧
電/電歪膜型アクチュエータにおいて、上記絶縁性セラ
ミック基板を、酸化ディスプロシウム及び酸化セリウム
を安定化剤として含有してなり、ジルコニアの結晶相が
主として正方晶からなる部分安定化ジルコニアセラミッ
クスにより形成するとともに、少なくとも上記駆動部を
形成する表面を中心線平均粗さ(Ra)で0.03〜
0.9μmとしたことから、絶縁性セラミック基板上に
は各電極膜及び圧電/電歪膜が直接一体的に形成でき、
接着剤等が介在しないため、圧電/電歪膜の電界誘起歪
をほぼ直にセラミック基板へ伝達することができるた
め、低電圧駆動にて大きな屈曲変位が得られるととも
に、応答速度を速くすることができる。しかも、同一セ
ラミック基板上には駆動部を同時に形成することができ
るため、駆動部の高集積化も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の圧電/電歪膜型アクチュエータの一例
を示す一部を破断した斜視図である。
【図2】本発明の圧電/電歪膜型アクチュエータの他の
例を示す一部を破断した斜視図である。
【符号の説明】
1,11 ・・・圧電/電歪膜型アクチュエータ 2 ・・・絶縁性セラミック基板 4,14 ・・・下部電極膜 4a,14a・・・リード取出部 5,15 ・・・圧電/電歪膜 8,18 ・・・上部電極膜 8a,18a・・・リード取出部 12,16 ・・・帯状電極 13,17 ・・・電極接続部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄肉の絶縁性セラミック基板上に下部電極
    膜、圧電/電歪膜、及び上部電極膜を順次焼結一体化し
    て構成した駆動部を有する圧電/電歪膜型アクチュエー
    タにおいて、上記絶縁性セラミック基板を、酸化ディス
    プロシウム及び酸化セリウムを安定化剤として含有して
    なり、ジルコニアの結晶相が主として正方晶からなる部
    分安定化ジルコニアセラミックスにより形成するととも
    に、上記絶縁性セラミック基板の少なくとも駆動部側の
    表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)で0.03〜0.9
    μmであることを特徴とする圧電/電歪膜型アクチュエ
    ータ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003012368A (ja) * 2001-06-27 2003-01-15 Kyocera Corp 半導電性ジルコニア焼結体
JP2004096070A (ja) * 2002-03-18 2004-03-25 Seiko Epson Corp 圧電アクチュエータ及びその製造方法、並びに、液体噴射ヘッド及びその製造方法
JP2007214411A (ja) * 2006-02-10 2007-08-23 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 圧電素子及びmemsデバイスの製造方法
JP2014198398A (ja) * 2013-03-29 2014-10-23 セイコーエプソン株式会社 流路ユニット、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、流路ユニットの製造方法

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