JP2008078267A - 圧電セラミックス、その製造方法、及び圧電/電歪素子 - Google Patents

圧電セラミックス、その製造方法、及び圧電/電歪素子 Download PDF

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Abstract

【課題】試料の湾曲、試料両面の電界誘起歪の差を改善する、非鉛圧電多結晶体によって構成された圧電セラミックス、その製造方法、その圧電セラミックスを含む圧電/電歪素子を提供する。
【解決手段】非鉛系圧電結晶体の圧電セラミックスを、相転移点よりも低温の温度領域において、駆動波、特に三角波の電界を印加することによって分極処理し、圧電セラミックスの両面の電界誘起歪の差を15%に低減する。
【選択図】図4

Description

本発明は、圧電セラミックス、その製造方法、その圧電セラミックスを含む圧電/電歪素子に関する。
従来、サブミクロンのオーダーで微小変位を制御できる素子として、圧電/電歪素子が知られている。特に、セラミックスからなる基体上に、圧電/電歪磁器組成物(以下、単に「圧電セラミックス」という)からなる圧電/電歪部と、電圧が印加される電極部とを積層した圧電/電歪素子は、微小変位の制御に好適であることの他、高電気機械変換効率、高速応答性、高耐久性、及び省消費電力等の優れた特性を有するものである。これらの圧電/電歪素子は圧電型圧力センサ、走査型トンネル顕微鏡のプローブ移動機構、超精密加工装置における直進案内機構、油圧制御用サーボ弁、VTR装置のヘッド、フラットパネル型の画像表示装置を構成する画素、又はインクジェットプリンタのヘッド等、様々な用途に用いられている。
また、圧電/電歪部を構成する圧電セラミックスについても、種々検討がなされている。例えば、近年、酸性雨による鉛(Pb)の溶出等、地球環境に及ぼす影響が問題視される傾向にあるため、環境に対する影響を考慮した圧電/電歪材料として、鉛(Pb)を含有しなくとも良好な圧電/電歪特性を示す圧電体や圧電素子を提供可能な(LiNaK)(NbTa)O系の圧電セラミックスの開発がなされている。
圧電セラミックスは強誘電体であるため、電子機器等に組み込んでその性質(圧電特性)を利用するには、分極処理を実施する必要がある。分極処理とは、高電圧を印加して自発分極の向きを特定方向に揃える処理をいい、圧電セラミックスに適当な温度条件下で電圧印加すること等により実施される(例えば、特許文献1参照)。すなわち、強誘電体は、自発分極による電荷の偏りによって複数の分域(ドメイン)が存在し、圧電セラミックスは、強誘電体のドメインの方向を一定の方向に揃える分極処理を施したものである。
特開2005−228865号公報
環境に対する影響を考慮した圧電/電歪材料として期待されている鉛を含有しないLiNaK)(NbTa)O系の圧電セラミックスは、通常の分極処理では、分極構造に不均一さを生じる。そして、分極構造の不均一さは、結晶の配向度の差を生じ、試料が湾曲した形状となることが問題となっている。湾曲した形状を有する材料は、凸面と凹面で電界誘起歪に差が生じ、これにより高電界を繰り返し印加した場合には分極により生じた電界誘起歪が劣化することとなり、その結果、圧電素子等の耐久性が低下することとなる。
特許文献1では、異なる温度領域で分極処理を二回実施する方法が開示されているが、異なる温度領域で分極処理を行うため、製造コストが増大しやすく、この方法によって分極処理等された圧電セラミックスであっても、分極構造に不均一さを生じる。
本発明の課題は、試料の湾曲、試料両面の電界誘起歪の差を改善する、非鉛圧電多結晶体によって構成された圧電セラミックス、その製造方法、その圧電セラミックスを含む圧電/電歪素子を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明によれば、相転移点よりも高温において立方晶の結晶構造を有し、相転移点よりも低温において正方晶又は斜方晶の少なくともいずれかの結晶構造を有して自発分極を生じる圧電セラミックスを、相転移点よりも低温の温度領域において、直流電界を印加した後に駆動波の電界を印加することによって分極処理する圧電セラミックスの製造方法が提供される。
本発明の圧電セラミックスの製造方法において、より具体的には、圧電セラミックスは、非鉛系圧電結晶体によって構成されたものを採用することができる。
より具体的には、圧電セラミックスは、
一般式:Li(Na1−x1−y(Nb1−zTa)O
(但し、a=0.90〜1.2、x=0.2〜0.8、y=0.02〜0.2、及びz=0.05〜0.5である)
で表される結晶体からなるものを採用することができる。
分極処理における駆動波は、三角波を採用することができる。また、駆動波による分極処理は、0kV/mm以上10kV/mm以下の電界を0.5Hz以上100kHz以下の周波数にて印加するものであるようにすることができる。なお、駆動波の印加回数に特に定めはなく、曲率半径が所定の値となるように印加すればよいが、例えば、数千回で行えばよい。
そして直流電界は、具体的には、0kV/mm以上7.5kV/mm以下の範囲で印加するとよい。また、分極処理は、0℃以上120℃以下の温度領域において行うとよい。なお、直流電界の印加時間は、例えば、数十分から数時間程度で行えばよい。
さらに、上記課題を解決するために、本発明によれば、上記圧電セラミックスの製造方法によって製造された圧電セラミックスが提供される。また、その圧電セラミックスと、その圧電セラミックスに配設された電極部とを含む圧電/電歪素子が提供される。
本発明の圧電セラミックスの製造方法によれば、圧電セラミックス両面の電界誘起歪の差を少なくし、試料の湾曲を改善することができる。特に、直流電界を印加した後に、三角波の電界を印加する分極処理を行うことにより、圧電セラミックスの湾曲度を低下させることができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本明細書にいう「圧電セラミックス」とは、圧電/電歪部を形成するために用いられる圧電/電歪材料であって、分極処理されることによって圧電特性を発現するものをいう。
この圧電セラミックスは、その結晶構造が、相転移点を境に立方晶、正方晶、斜方晶と可逆的に相転移し得るセラミックス材料である。より具体的には、圧電セラミックスは、高温条件下では立方晶であり、温度下降に伴って第一の相転移点において立方晶から正方晶へと変化する。なおも温度下降させると、第二の相転移点を境に正方晶から斜方晶へと相転移する。
後述する圧電/電歪素子を構成する圧電/電歪部は、この圧電セラミックスを、立方晶から正方晶と結晶構造が変化する第一の相転移点よりも低温の温度領域で、駆動波の電界(電圧)を印加する分極処理によって形成される。なお、圧電セラミックスの第一の相転移点は、その組成にもよるが、通常、250℃〜500℃であり、正方晶から斜方晶へと結晶構造が変化する第二の相転移点は、−30〜150℃である。本発明の圧電セラミックス、圧電/電歪素子の圧電/電歪部は、第一の相転移点よりも低い所定の温度範囲内で、駆動波により分極処理されたものであるために、優れた圧電特性を発揮する。
本発明の製造方法が適用される圧電セラミックスは、相転移点よりも高温において立方晶の結晶構造を有し、相転移点よりも低温において正方晶又は斜方晶の少なくともいずれかの結晶構造を有して自発分極を生じる圧電セラミックスであれば、その組成は特に限定されないが、具体的には下記一般式(1)で表されるものを挙げることができる。
{Li(Na1−x1−y(Nb1−zTa)O (1)
(但し、前記一般式(1)中、a=0.95〜1.025、x=0.3〜0.55、y=0.05〜0.08、及びz=0.082である)
なお、圧電セラミックスの組成が、前記一般式(1)で表される場合において、この一般式(1)中のBサイト(構成金属元素として、Nb及びTaが含まれるサイト)には、NbとTa以外の遷移金属元素が更に含まれていてもよい。NbとTa以外の遷移金属元素としては、例えばV、W、Cu、Ni、Co、Fe、Mn、Cr、Ti、Zr、Mo、Zn等を挙げることができる。また、圧電セラミックスの組成が、前記一般式(1)で表される場合において、この一般式(1)中のAサイト(構成金属元素として、Li、Na、及びKが含まれるサイト)には、Li、Na、及びK以外の元素が更に含まれていてもよい。Li、Na、及びK以外の元素としては、例えばAg、La、Ba、Ca、Sr等を挙げることができる。
更に、圧電セラミックスの組成が、前記一般式(1)で表される場合において、この一般式(1)中、更にSbが含まれることが、発生する歪量がより大きく、更に優れた圧電特性を示す圧電/電歪素子を製造可能となるために好ましい。
圧電/電歪素子の圧電/電歪部を形成するために用いられる圧電セラミックスを製造するには、先ず、圧電セラミックスの組成中の各金属元素の割合(モル比)を満たすように、それぞれの金属元素を含有する化合物を秤量し、ボールミル等の混合方法により混合して混合スラリーを得る。なお、それぞれの金属元素を含有する化合物の種類は特に限定されないが、各金属元素の酸化物、又は炭酸塩等が好適に用いられる。
得られた混合スラリーを、乾燥器を使用するか、又は濾過等の操作によって乾燥することにより、混合原料を得ることができる。得られた混合原料を仮焼、及び必要に応じて粉砕することにより、圧電セラミックスを得ることができる。なお、仮焼は750〜1300℃の温度で行えばよい。また、粉砕はボールミル等の方法により行えばよい。次いで、得られた圧電セラミックスを、必要に応じて適当な形状に成形した後、後述する特定条件下で分極処理すれば、圧電/電歪部とすることができる。
圧電/電歪部を構成する結晶粒子の平均粒子径は、0.1〜10μmであることが好ましく、0.2〜8.5μmであることが更に好ましく、0.3〜7μmであることが特に好ましい。平均粒径が0.1μm未満であると、圧電/電歪部中で分域が十分に発達しない場合があるため、圧電特性の低下を生ずる場合がある。一方、平均粒径が10μm超であると、圧電/電歪部中の分域は十分に発達する反面、分域が動き難くなり、圧電特性が小さくなる場合がある。なお、本実施形態の圧電/電歪素子を構成する圧電/電歪部及び電極は、その形状を種々の形状とすることができる。具体的にはブロック状のもの(いわゆるバルク体)や、シート状(膜状)のもの等を好適例として挙げることができる。
次に圧電/電歪部を形成するために用いられる圧電セラミックスの分極処理について説明する。図1に示すように、適当な形状(例えば、角板状)に成形された圧電セラミックス2に、直流電界を厚さ方向に印加した後、温度:室温〜120℃、電界:3kV/mm〜10kV/mm、時間:10分〜5時間、周波数:〜1MHz、回数:3〜100000回の条件下において、駆動波電界を印加する。
駆動波電界の一例として図2に三角波を示す。図2に示すように、所定の周波数(0.5Hz以上100kHz以下が望ましい)にて、0kV/mm以上10kV/mm以下の電界(3kV/mm以上10kV/mm以下が望ましい)を三角波にて印加する。直流電界を印加した後、このような駆動波電界を印加する分極処理を行うことにより、湾曲せず、試料(圧電セラミックス2)の両面(分極プラス面2a、分極グランド面2b)の結晶配向度及び電界誘起歪の差が小さい圧電セラミックスを作製することができる。これは、直流電界では分極の方向を揃えることができないドメインが存在し、駆動波を印加することにより、結晶の配向度を改善しつつ、ドメインが電界の方向により揃った状態になり、試料の湾曲形状が改善されるのではないかと推測される。なお、駆動波電界としては三角波が望ましいが、三角波以外にノコギリ波、パルス波等であってもよい。
次に前述の分極処理を施す製造方法を適用して製造される圧電/電歪素子の一実施例を示す。図3に示すように、本実施形態の圧電/電歪素子51は、セラミックスからなる基板1と、膜状の圧電/電歪部2と、この圧電/電歪部2に電気的に接続される膜状の電極4,5とを備え、圧電/電歪部2が、電極4を介在させた状態で基板1上に固着されているものである。なお、圧電/電歪部は、電極を介在させることなく、直接、基板上に固着されていてもよい。なお、本明細書にいう「固着」とは、有機系、無機系の一切の接着剤を用いることなく、第一の圧電部2と、基板1又は電極4との固相反応により、両者が緊密一体化した状態のことをいう。
本実施形態の圧電/電歪素子51の圧電/電歪部2は、上述してきた本発明の実施形態である圧電セラミックスからなる結晶粒子により構成されたものである。即ち、本実施形態の圧電/電歪素子51の圧電/電歪部2は、前記一般式(1)で表される二元系固溶体を主成分とする圧電セラミックスからなる結晶粒子により構成されたものである。
上述してきたように、本発明の実施形態である圧電セラミックスは、鉛(Pb)を含有することなく優れた圧電/電歪特性を示し、特に大きな変位量を得ることが可能な圧電/電歪素子を製造し得るものであるため、これを用いて形成された圧電/電歪部2を備えた本実施形態の圧電/電歪素子は、環境に対する配慮がなされているとともに、優れた圧電/電歪特性を示し、特に大きな変位量を得ることが可能なものである。
本実施形態の圧電/電歪素子51(図3参照)は、圧電/電歪部2の厚みが0.5〜50μmであることが好ましく、0.8〜40μmであることが更に好ましく、1.0〜30μmであることが特に好ましい。圧電/電歪部2の厚みが0.5μm未満であると、圧電/電歪部の緻密化が不十分となる場合がある。一方、圧電/電歪部2の厚みが50μm超であると、焼成時の圧電/電歪磁器組成物の収縮応力が大きくなり、基板1が破壊されるのを防止するために基板1を厚くする必要があり、素子の小型化への対応が困難になる場合がある。なお、圧電/電歪素子51は、いわゆる多層型として構成することもできる。
本発明の実施形態である圧電/電歪素子を構成する基板はセラミックスからなるものであるが、このセラミックスの種類に特に制限はない。もっとも、耐熱性、化学的安定性、及び絶縁性の点から、安定化された酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、ムライト、窒化アルミニウム、窒化珪素、及びガラスからなる群より選択される少なくとも一種を含むセラミックスが好ましい。中でも、機械的強度が大きく、靭性に優れる点から安定化された酸化ジルコニウムが更に好ましい。なお、本発明にいう「安定化された酸化ジルコニウム」とは、安定化剤の添加により結晶の相転移を抑制した酸化ジルコニウムをいい、安定化酸化ジルコニウムの他、部分安定化酸化ジルコニウムを包含する。
なお、基板の厚みは、1μm〜1mmが好ましく、1.5〜500μmが更に好ましく、2〜200μmが特に好ましい。基板の厚みが1μm未満であると、圧電/電歪素子の機械的強度が低下する場合がある。一方、1mmを超えると圧電/電歪部に電界を印加した場合に、発生する収縮応力に対する基板の剛性が大きくなり、圧電/電歪部の屈曲変位が小さくなってしまう場合がある。
本実施形態の圧電/電歪素子において、電極は圧電/電歪部に電気的に接続されるものであり、各圧電/電歪部の間に配設される。本実施形態の圧電/電歪素子においては、電極の材質として、Pt、Pd、Rh、Au、Ag、及びこれらの合金からなる群より選択される少なくとも一種の金属を挙げることができる。中でも、圧電/電歪部を焼成する際の耐熱性が高い点で、白金、又は白金を主成分とする合金が好ましい。また、より低い焼成温度で圧電/電歪部が形成され得ることからみれば、Ag−Pd等の合金も好適に用いることができる。
次に、本発明の実施形態である圧電/電歪素子の製造方法について説明する。まず、セラミックスからなる基板上に、又は基板表面に形成された電極上に、圧電セラミックスからなる層を形成する。電極を形成する方法としては、例えば、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD、イオンプレーティング、CVD、メッキ、エアロゾルデポジション、スクリーン印刷、スプレー、又はディッピング等の方法を挙げることができる。形成された電極は、熱処理により、基板及び/又は圧電/電歪部と一体化することができる。この熱処理は電極を形成する毎に行ってもよいが、圧電セラミックスからなる層についてする焼成と一括して行ってもよい。ただし、圧電/電歪磁器組成物からなる層が形成された後では、圧電/電歪磁器組成物からなる層の焼成温度を超える温度での熱処理は行わない。
圧電セラミックスからなる層を基板上に形成する方法としては、例えば、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD、イオンプレーティング、CVD、メッキ、ゾルゲル、エアロゾルデポジション、スクリーン印刷、スプレー、又はディッピング等の方法を挙げることができる。
その後、圧電セラミックスからなる層、及び電極を基板上に積層することにより得られた積層体を一体的に焼成する。この焼成により、圧電セラミックスからなる結晶粒子により構成された圧電/電歪部を、基板に直接又は電極を介して固着させることができる。なお、この焼成は必ずしも一体的に実施する必要はなく、圧電セラミックスからなる層を一層形成する毎に順次実施してもよいが、生産効率の観点からは電極も含めた状態で一体的に焼成することが好ましい。焼成温度は950〜1350℃が好ましく、1000〜1300℃が更に好ましい。また、焼成時の最高温度保持時間は10分以上10時間以下が好ましく、20分以上5時間以下が更に好ましい。焼成は大気中で行ってもよく、酸素雰囲気中で行ってもよい。
その後、前述の条件下で分極処理を実施する。その際には公知の手法通り、加熱することにより分極処理を実施することが好ましい。なお、加熱温度は、圧電/電歪磁器組成物のキュリー点にもよるが、25〜120℃とすることが好適である。
以上の工程により、本発明の圧電/電歪素子が製造され、この圧電/電歪素子は、湾曲度が低下し、優れた素子として利用することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[電界誘起歪]:電極上に歪ゲージを貼付し、4kV/mmの電界を印加した場合における、電界と垂直な方向の歪量を電界誘起歪(ppm)として測定した。
(実施例1〜4)
所定量のLiCO、CNa・HO、CK、Nb、及びTaを、アルコール中で16時間混合して混合物を調製した。得られた混合物を、800℃、5時間仮焼した後、ボールミルで粉砕することにより、その組成が「(Li0.055(Na0.5430.4570.9451.003(Nb0.918Ta0.082)O」で表される圧電セラミックスを調製した。得られた圧電セラミックスを使用し、2t/cmの圧力で直径20mm×厚み6mmの大きさに圧粉成形して圧粉成形体を得た。得られた圧粉成形体をアルミナ容器内に収納し、1000℃で3時間焼成して焼成体を得た。得られた焼成体を、12mm×3mm×1mmの大きさに加工し、その両面に銀ペーストを塗布して電極を焼き付け、これを25〜120℃のシリコンオイル中に浸漬するとともに、電極間に5〜6kV/mmの直流電界を15分間〜3時間印加することにより分極処理して圧電/電歪素子を得た。
さらに、直流電界印加後に、電界4kV/mm、周波数1.25Hz、駆動回数100〜10000回の駆動波電界を印加することにより分極処理を行って圧電/電歪素子(実施例1〜4)を得た。得られた圧電/電歪素子に4kV/mmまでの電界を印加した実施例1の電界誘起歪を図4に示す。
(比較例1〜5)
25〜120℃のシリコンオイル中に浸漬して駆動波電界により分極処理したこと以外は、前述の実施例1〜4の場合と同様の操作により圧電/電歪素子(比較例1〜4)を得た。また、直流電界を印加せずに駆動波電界の印加のみを施した圧電/電歪素子(比較例5)を得た。得られた圧電/電歪素子に4kV/mmまでの電界を印加した比較例1の電界誘起歪を図5に示す。
そして、表1に実施例1〜4及び比較例1〜5の分極処理の条件及び測定結果をまとめて示す。分極電界は、直流電界の大きさ、分極温度は、直流電界により分極処理を施した温度(RTは、室温、HTは、75℃を示す)、分極時間は、直流電界により分極処理を施した時間である。また、駆動波電界による分極処理の条件は、駆動波電界、駆動周波数、駆動回数に示す。駆動温度は、駆動波による分極処理を施した温度である。さらに、電界誘起歪差は、分極のプラス面とグランド面の差を規格化したものであり、
電界誘起歪差=|Sp−Sg|/Sg×100(%)
(Sp:分極プラス面の電界誘起歪、Sg:分極グランド面の電界誘起歪)で求めた。湾曲度は、試料の形状(湾曲して窪んだ面の窪みの最大深さ)を直接測定した値で、曲率半径は、試料の湾曲度、試料形状より計算した。
Figure 2008078267
図4、図5、及び表1に示すように、従来の分極処理を施した比較例1では、電界誘起歪差が分極プラス面と分極グランド面で85%あり、曲率が4.2mである。また他の比較例2〜5においても、電界誘起歪差が63%〜88%と大きな値を示している。一方、従来の分極処理を施した後に、三角波により分極を行うことで、実施例1においては、電界誘起歪差を15%、曲率を22.5mとすることができ、他の実施例2〜4においても、電界誘起歪差を3%〜12%とすることができた。
(実施例5〜6)
さらに、表1と同様の組成の試料にて、駆動波の周波数、電界を変えた結果を表2に示す(比較例1は、表1の比較例1と同じである)。
Figure 2008078267
実施例5、及び実施例6のいずれも、比較例1に比べて曲率半径が大きくなり、電界誘起歪差が小さくすることができた。
さらに、実施例1及び比較例1の結晶配向度をX線回折によって調べた。X線回折は、X線回折装置(理学電機製RINT2500)を用いて、Cu−Kαを線源とするX線回折を行い、分極プラス面と分極グランド面の両面において、得られたX線回折パターンの(002)面と(200)面に相当する2θ(回折角)のピーク位置における強度比を求めた。強度比は、c軸方向の配向度を示し、この配向度の差が小さいほど、試料両面の結晶配向度の差が小さいことになる。
Figure 2008078267
表3に示すように、実施例1は、比較例1に比べ、分極プラス面の強度比と分極グランド面の強度比との差が小さく、結晶配向度の差が小さくなっていることが分かる。
以上の実施例1〜6に示すように、直流電界を印加した後に駆動波電界を印加する分極処理を行うことで、分極プラス面と分極グランド面の結晶配向度の差が小さく、湾曲せず、電界誘起歪差の小さい圧電セラミックス、圧電/電歪素子を製造することが可能である。
本発明の圧電セラミックス、及び圧電/電歪素子は、優れた圧電/電歪特性を示すものであり、アクチュエータ、センサ等に好適である。
分極処理を説明する説明図である。 駆動波の一例としての三角波を示す図である。 本発明の圧電/電歪素子の一実施形態を模式的に示す断面図である。 実施例における分極処理を施した試料の電界誘起歪を示す図である。 比較例における分極処理を施した試料の電界誘起歪を示す図である。
符号の説明
1:基板、2:圧電セラミックス(圧電/電歪部)、2a:分極プラス面、2b:分極グランド面、4,5:電極、51:圧電/電歪素子。

Claims (9)

  1. 相転移点よりも高温において立方晶の結晶構造を有し、相転移点よりも低温において正方晶又は斜方晶の少なくともいずれかの結晶構造を有して自発分極を生じる圧電セラミックスを、前記相転移点よりも低温の温度領域において、直流電界を印加した後に駆動波の電界を印加することによって分極処理する圧電セラミックスの製造方法。
  2. 前記圧電セラミックスは、非鉛系圧電結晶体によって構成された請求項1に記載の圧電セラミックスの製造方法。
  3. 前記圧電セラミックスは、
    {Li(Na1−x1−y(Nb1−zTa)O
    (但しa=0.90〜1.2、x=0.2〜0.8、y=0.02〜0.2、及びz=0.05〜0.5である)
    で表される結晶体からなる請求項1又は2に記載の圧電セラミックスの製造方法。
  4. 前記分極処理における前記駆動波は、三角波である請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電セラミックスの製造方法。
  5. 前記駆動波による前記分極処理は、0kV/mm以上10kV/mm以下の電界を0.5Hz以上100kHz以下の周波数にて印加するものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の圧電セラミックスの製造方法。
  6. 前記直流電界は、0kV/mm以上7.5kV/mm以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の圧電セラミックスの製造方法。
  7. 前記分極処理は、25℃以上120℃以下の温度領域において行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の圧電セラミックスの製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の圧電セラミックスの製造方法によって製造された圧電セラミックス。
  9. 請求項8に記載の圧電セラミックスと、
    その圧電セラミックスに配設された電極部と、
    を含む圧電/電歪素子。
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