JP2014198398A - 流路ユニット、液体吐出ヘッド、液体吐出装置、流路ユニットの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、前記液体吐出ヘッドを搭載した、インクジェットプリンター等の液体吐出装置の態様を有する。
そこで、振動板の少なくとも1層を構成するジルコニアの結晶構造を立方晶としている。ここで、ジルコニアの結晶構造は単斜晶、正方結晶、立方晶のいずれかの構造を取るが、立方晶は単斜晶への相転移が生じにくく、このような結晶構造を取るジルコニアにより振動板を構成することで上述した劣化現象を生じにくくすることができる。
一方で、立方晶を主とするジルコニアは、強度が強くなる一方で、微細な加工には適していないことが知られている。そのため、圧力室等の微細な加工を必要とする振動板以外の部位では、正方晶のジルコニアを主とし、加工を行い易くしている。なお、振動板ほど薄くない振動板以外の部位では、ジルコニアの結晶構造が正方晶から単斜晶に相変位しても液が染み出しにくい。
また、結晶に含まれる希土類又は第2族元素の含有量の解析方法としては、例えば、ICP発光分光(ICP-OES Optical Emission Spectrometry)、(ICP-MS(ICP - Mass Spectrometry;ICP-MS)、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry,EDX)、X線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用いることができる。
まず、流路ユニット及び液体噴射ヘッドの例を説明する。図1は、圧電素子3を設けた流路ユニットU0を模式的に例示する図である。図2は、流路ユニットU0を含む液体噴射ヘッド1の構成の概略を例示している。図3(a)は、液体噴射ヘッド1を図2のA1−A1の位置での断面図を示している。図3(b)は、液体噴射ヘッド1を図2のA2−A2の位置での断面図を示している。
このような振動板11の劣化により隙間が生じた場合、この隙間による「液漏れ」は振動板が厚い場合には、途中で液が止まり、顕在化していなかったので、液漏れは振動板の厚みについて薄く極限を追求するようになって顕在化した問題と言える。
さらに、染み出た液体は溶液の一部であり、原液と濃度が大きく異なる。これは、粒子がフィルタリングされた為である。故に染み出しが生じる隙間は微小であり制御が難しく、一部制御できてもばらつきによる歩留まりの低下を招く。
一方で、正方晶を主とするジルコニアは、強度が強くなる反面、反り等を起こしやすく微細な加工には適していない。そのため、圧力室等の微細な加工を必要とする振動板以外の部位では、正方晶のジルコニアを主とし、微細な流路を精度良く加工できるようにしている。
なお、液体噴射ヘッド1は、封止プレート40やリザーバープレート50を必ずしも備える必要は無い。例えば、封止プレートが無い場合にはリザーバープレートを接合基板にすることができ、リザーバープレートも無い場合にはノズルプレートを接合基板にすることができる。また、液体噴射ヘッドはいわゆるコンプライアンスプレート等の他のプレートを備えていてもよく、例えば、コンプライアンスプレートがリザーバープレートとノズルプレートとの間に配置されてもよい。更に、これらのプレートが複数のプレートで構成されてもよいし、複数のプレートの機能を一枚のプレートが備えていてもよい。
振動板11は、スペーサー部20の一方の面(表面20a)を封止し、該スペーサー部20と接する裏面11bとは反対側の表面11aに圧電素子3(少なくとも一対の電極と、一対の電極に挟まれた圧電体とで構成される)、リード電極84、等が設けられている。振動板の裏面11bは、圧力室21の壁面の一部を構成する。すなわち、圧力室21の壁の一部である振動板11は、圧電素子3により駆動信号SG1に応じた変形をする。振動板11は、矩形板状でもよいし、矩形板状でなくてもよい。
また、結晶に含まれる希土類又は第2族元素の含有量の解析方法としては、ICP発光分光(ICP-OES Optical Emission Spectrometry)、(ICP-MS(ICP - Mass Spectrometry;ICP-MS)、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry,EDX)、X線光電子分光分析法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)を用いることができる。
各圧力室21は、長手方向を流路基板の短手方向D4に向けた長尺状に形成され、流路基板の長手方向D3へ複数並べられている。圧力室21同士の間は、隔壁22とされる。圧力室21内の液体には、壁の一部である振動板11の変形により圧力が加わる。圧力室21の形状は、この形状に限定されるものではなく任意な形状とすることができる。例えば、圧力室21の幅や長さは、裏面20b側の長さが表面20a側の長さよりも短くされてもよい。流路基板の長手方向D3へ並んだ圧力室21の列は、流路基板の短手方向D4へ複数並べられてもよい。
リザーバープレート50には、厚み方向D1へ貫通したリザーバー51及びノズル連通孔52が形成されている。リザーバー51は、共通供給孔41と液体導入孔43とに連通した共通インク室である。各ノズル連通孔52は、封止プレートの各ノズル連通孔42に連通する位置に設けられている。
なお、上記プレート40,50,60を含む種々のプレートの材料には、例えば、ステンレスやニッケルといった金属、合成樹脂、セラミックス、等の一種以上を用いることができる。
例えば、ジルコニア(ZrOx)に酸化イットリウム(YOx)を異なるモル比でそれぞれ添加した粉体をバインダー等に分散したペーストをシート状に成形して2種類のグリーンシートを形成する。振動板11のもととなる前駆体110用のグリーンシートは、ジルコニア(ZrOx)に酸化イットリウム(YOx)をモル比で8%以上、及び二酸化ケイ素(SiO2)をモル比で2%〜3%添加して作成する。
一方、スペーサー部20を含む前駆体120,130用のグリーンシートは、ジルコニア(ZrOx)に酸化イットリウム(YOx)をモル比で2%〜3%、及び二酸化ケイ素(SiO2)をモル比で2%〜3%添加して作成する。
また、二酸化ケイ素(SiO2)を添加したのは、バインダー等に含まれる炭素を除去することを目的としたものであり、必ずしも添加しなくとも良い。
なお、流路ユニット本体は、セラミック粉体とバインダーと溶媒を含むスラリーを用いるゲルキャスト法等により形成してもよい。
一方で、スペーサー部20は、希土類元素を2モル%〜3モル%含んだグリーンシートを焼成して形成されるため、図5(b)に示すように、ジルコニアの結晶構造が主に正方晶となる。
以上により、図3(a),(b)で示したような液体噴射ヘッド1が製造される。
図6は、上述した液体噴射ヘッド1を有するインクジェット式の記録装置である液体吐出装置200の外観を示している。液体噴射ヘッド1を記録ヘッドユニット211,212に組み込むと、液体吐出装置200を製造することができる。図6に示す液体吐出装置200は、記録ヘッドユニット211,212のそれぞれに、液体噴射ヘッド1が設けられ、外部インク供給手段であるインクカートリッジ221,222が着脱可能に設けられている。記録ヘッドユニット211,212を搭載したキャリッジ203は、装置本体204に取り付けられたキャリッジ軸205に沿って往復移動可能に設けられている。駆動モーター206の駆動力が図示しない複数の歯車及びタイミングベルト207を介してキャリッジ203に伝達されると、キャリッジ203がキャリッジ軸205に沿って走査方向D5に移動する。また、図示しない給紙ローラー等により給紙される記録シート290は、プラテン208上に紙送り方向D6に搬送され、インクカートリッジ221,222から供給され液体噴射ヘッド1から噴射されるインク滴により印刷がなされる。
無論、ノズル数を1インチ当たり300とすることは一例に過ぎず、圧力室21を含めた流路の精度とを考慮すると、ノズル密度は、200npi個以上、800npi以下であってもよい。
本発明は、種々の変形例が考えられる。例えば、上述の実施形態に以下の変形例を適宜組み合わせてもよい。例えば、スペーサー部にもスペーサー部に行う微細加工の程度に応じて希土類元素や、第2族元素等を混ぜ、立方晶である安定化ジルコニアを混ぜることで、スペーサー部の安定性を高めても良い。この場合でも、振動板11よりもスペーサー部20の方が希土類元素や、第2族元素等、ひいては立方晶である安定化ジルコニアの割合が少なければ多少なりとも上述の効果を奏する。
流体噴射ヘッドから吐出される液体は、液体噴射ヘッドから吐出可能な材料であればよく、染料等が溶媒に溶解した溶液、顔料や金属粒子といった固形粒子が分散媒に分散したゾル、等の流体が含まれる。このような流体には、インク、液晶、等が含まれる。液体噴射ヘッドは、プリンターといった画像記録装置の他、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造装置、有機ELディスプレーやFED(電解放出ディスプレー)等の電極の製造装置、バイオチップ製造装置、等に搭載可能である。
また、上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態及び変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
Claims (8)
- 壁となる振動板を変形させて圧力室内の液体を吐出させる流路ユニットであって、
前記振動板の少なくとも1層は立方晶のジルコニアを主とし、
前記振動板と異なる前記圧力室の壁は、正方晶のジルコニアを主とする、流路ユニット。 - 壁となる振動板を変形させて圧力室内の液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
前記振動板の少なくとも1層は前記振動板と異なる圧力室の壁と比べて、立方晶のジルコニアの割合が多い、流路ユニット。 - 壁となる振動板を変形させて圧力室内の液体を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
前記振動板の少なくとも1層は前記振動板と異なる圧力室の壁と比べて、希土類元素及び第2族元素の少なくともいずれかの割合が多く、
前記振動板の少なくとも1層と前記振動板と異なる前記圧力室の壁はジルコニアを主成分とする、流路ユニット。 - 前記振動板の厚みは、1マイクロメートルから3マイクロメートルである、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の流路ユニット。
- 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の流路ユニットと、ノズルと、を有する液体吐出ヘッド。
- 請求項5に記載の液体吐出ヘッドを搭載した、液体吐出装置。
- 前記液体吐出装置は、被記録媒体を搬送方向に搬送しつつ、前記液体吐出ヘッドが前記被記録媒体に対して液体を吐出させる構成であって、
前記液体吐出ヘッドの前記搬送方向の同じ位置に併設される前記圧力室に応じたノズルは、ノズル密度が200npiから800npiである、請求項6に記載の液体吐出装置。 - 壁となる振動板を変形させて圧力室内の液体を吐出させる流路ユニットの製造方法であって、
前記振動板のセラミックス製の基材と、前記振動板以外の圧力室の壁の基材とを含む前駆体を構成する第1の工程と、
前記前駆体を焼成して前記圧力室を含んだ流路部材を形成する第2の工程と、を有し、
前記振動板の基材と、前記振動板以外の圧力室の壁の基材とは、含まれる希土類元素及び第2族元素の少なくともいずれかの割合が異なる、流路ユニットの製造方法。
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