JP2000047014A - 光学素子、光学素子の製造方法及び光ヘッド - Google Patents

光学素子、光学素子の製造方法及び光ヘッド

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JP2000047014A JP10211514A JP21151498A JP2000047014A JP 2000047014 A JP2000047014 A JP 2000047014A JP 10211514 A JP10211514 A JP 10211514A JP 21151498 A JP21151498 A JP 21151498A JP 2000047014 A JP2000047014 A JP 2000047014A
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健二 大谷
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岡田誠治郎
Hiroshi Shiraiwa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反りが小さく透過波面精度が良好で、常光及
び異常光に対する回折効率が異なる光学素子を提供し、
この光学素子を用いることにより光ヘッドの小型化及び
低コスト化を実現する。 【解決手段】 ニオブ酸リチウム基板1と、ニオブ酸リ
チウム基板1の結晶のX面もしくはY面の所定の部分が
プロトン交換されたプロトン交換層2と、プロトン交換
層2によりニオブ酸リチウム基板1に生じる応力を補正
するプロトン交換層3とを備えることにより、光学素子
そのものには反りが生じないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば光情報処理
又は光通信等に用いられ、レーザービームを偏光分離す
る光学素子、光学素子の製造方法および前記光学素子を
用いた光ヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光記録媒体に情報を記録再生する
光ヘッドの小型化が盛んに行われている。特に光ヘッド
の小型化を実現する要素として、偏光分離素子を用いた
光ヘッドが提案されている(例えば特開平3−2912
9号公報参照)。
【0003】ここで図面を参照しながら、上述した従来
の光ヘッドの一例について説明する。
【0004】図25は従来の光ヘッド(光ピックアップ
ともいう)の構成図である。図25において、251は
光源、252は偏光分離素子、253はコリメータレン
ズ、254は1/4波長板、255は対物レンズ、25
6は光ディスク、257は第1の光検出器、258は第
2の光検出器である。本光ヘッドは、光源251、偏光
分離素子252、コリメータレンズ253、1/4波長
板254、対物レンズ255、第1の光検出器257、
第2の光検出器258を含んで構成されている。
【0005】光源251は、例えば半導体レーザー素子
で構成され、光ディスク256の記録層に対し、記録再
生用のコヒーレント光を出力する光源である。偏光分離
素子252は例えば特開昭63−314502号公報に
開示されているように、周期的なプロトン交換層が形成
されたニオブ酸リチウムの基板を含み、プロトン交換層
の上に誘電体膜が堆積された光学素子である。なおプロ
トン交換層とは、ニオブ酸リチウム中のLi原子がH
(プロトン)で置換された層を意味する。プロトン交換
層の常光及び異常光の屈折率がニオブ酸リチウム基板の
常光及び異常光の屈折率と異なることにより、常光線の
透過率を100%、異常光線に対しては回折格子として
作用して透過率を0%とすることができ、偏光分離の性
質を持つ素子が形成できる。また、上記した構成とは異
なるが、偏光分離の性質を持つ光学素子については例え
ば特開昭63−55501号公報や特開平4−2197
01号公報や特開平5−196813号公報にも記され
ている。
【0006】コリメータレンズ253は、光源251か
ら出射された光を平行光にするレンズである。1/4波
長板254は例えば水晶で構成され、光源251から出
力される直線偏光の光を円偏光に変換すると共に、光デ
ィスク256の記録層で反射された光を照射時とは異な
る方向の直線偏光に変換する非線形光学素子である。光
検出器257は光ディスク256で反射された光のう
ち、偏光分離素子252で回折された+1次光を受光す
る光検出器である。また光検出器258は光ディスク2
56で反射された光のうち、偏光分離素子252で回折
された−1次光を受光する光検出器である。
【0007】このように構成された光ヘッドの動作につ
いて説明する。光源251から出射された直線偏光の光
は偏光分離素子252を100%透過する。そしてこの
光はコリメータレンズ253で平行光にされ、1/4波
長板254で円偏光の光に変換され、対物レンズ255
により光ディスク256上に集光される。
【0008】次に光ディスク256から反射された円偏
光の光は、対物レンズ255を透過した後、1/4波長
板254により光源251から出射された光の偏光方向
とは直交する方向の直線偏光の光に変換される。この直
線偏光の光はコリメータレンズ253を透過した後、偏
光分離素子252により回折される。回折の+1次光は
光検出器257に入射され、回折の−1次光は光検出器
258に入射される。
【0009】光検出器257は、光ディスク256上に
おける光の合焦状態を示すフォーカス誤差信号を出力
し、また光の照射位置を示すトラッキング誤差信号を出
力する。これら一方の信号は図示しないフォーカス制御
手段に与えられ、フォーカス誤差信号に基づき、フォー
カス制御手段は常に光が合焦状態で光ディスク256上
に集光されるように対物レンズ255の位置をその光軸
方向に制御する。また図示していないトラッキング制御
手段は、トラッキング誤差信号に基づき、光が光ディス
ク256上の所望のトラックに集光されるように対物レ
ンズ255の位置を制御する。さらに光検出器258は
光ディスク256に記録された情報を再生する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな構成の光ヘッドでは、用いられている偏光分離素子
252に収差があると、光ディスク256上に集光され
る光スポットが回折限界より大きくなるためジッターが
悪くなり、光ディスク256に記録されている情報を再
生することができなくなる。
【0011】ここで、従来例に示した光ヘッドに用いら
れている偏光分離素子について述べる。特開昭63−5
5501号公報、特開平3−29129号公報、特開平
4−219701号公報、特開平5−196813号公
報で開示されている偏光分離素子はすべてニオブ酸リチ
ウム基板の所定の場所にプロトン交換を施してプロトン
交換層のパターンを形成した光学素子である。1例とし
て図26に特開平5−196813号公報で開示されて
いる偏光分離素子の構造を示す。ここで261はニオブ
酸リチウム基板、262はプロトン交換層である。ジャ
ーナル・オブ・ソリッド・ステート・ケミストリー41
巻(1982年)第308頁から第314頁(JOUR
NAL OF SOLID STATE CHEMIS
TRYVol41(1982)P.308−314)に
示されているように、プロトン交換層262の結晶構造
はニオブ酸リチウム261の結晶構造とは異なる上に、
プロトン交換層262の結晶格子はニオブ酸リチウム2
61の結晶格子よりも大きくなる。従って、周期的なプ
ロトン交換層262が存在する面が凸になるように偏光
分離素子252が反ってしまい、この偏光分離素子を透
過する光は収差(球面収差や非点収差など)を持つこと
になる。また、従来の光ヘッドでは、偏光分離素子25
2を動作させるために往路及び復路で光ビームの偏光方
向を互いに直交させるための1/4波長板254が必須
であり、更なる小型化を行うためには偏光分離素子25
2と1/4波長板254を貼り合わせることが必要とな
るが、貼り合わせる際、偏光分離素子252が反ってい
るため、1/4波長板254と平行度を保ちながら貼り
合わせるのが非常に困難で貼り合わされた素子の透過波
面に収差が生じるという課題を有している。
【0012】本発明は、このような従来の光学素子およ
び光ヘッドが有する上述した課題を考慮して、イオン交
換層によって回折を行う光学素子において、反りが小さ
く透過波面に収差を与えない光学素子およびその製造方
法を提供することを目的とするものである。さらに、本
発明は、上記光学素子を用いて小型で低コストの光ヘッ
ドを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の本発明(請求項1
に記載の本発明に対応)は、イオン交換が可能な結晶で
ある基板と、前記結晶のX面もしくはY面の所定の部分
がイオン交換されたイオン交換層と、前記イオン交換層
により前記基板に生じる応力を補正する応力補正層とを
備えることを特徴とする光学素子である。
【0014】第2の本発明(請求項2に記載の本発明に
対応)は、前記結晶が、LiTaXNb1-X3(0≦X
≦1)であることを特徴とする第1の本発明の光学素子
である。
【0015】第3の本発明(請求項3に記載の本発明に
対応)は、前記イオン交換層によって、偏光分離を行う
ことを特徴とする第1または第2の本発明の光学素子で
ある。
【0016】第4の本発明(請求項4に記載の本発明に
対応)は、前記応力補正層が、前記基板の前記イオン交
換層が形成されている面と反対側の面の全面または一部
に形成されていることを特徴とする第1〜第3のいずれ
かの本発明の光学素子である。
【0017】第5の本発明(請求項5に記載の本発明に
対応)は、前記応力補正層が、前記イオン交換層と同様
に、前記結晶がイオン交換されたものであることを特徴
とする第4の本発明の光学素子である。
【0018】第6の本発明(請求項6に記載の本発明に
対応)は、前記応力補正層が、アルミナ薄膜またはその
他の薄膜で形成されていることを特徴とする第4の本発
明の光学素子である。
【0019】第7の本発明(請求項7に記載の本発明に
対応)は、外部から前記イオン交換層への入射光の反射
を防止する交換層反射防止膜と、外部から前記応力補正
層への入射光の反射を防止する補正層反射防止膜とを備
えることを特徴とする第4〜第6のいずれかの本発明の
光学素子である。
【0020】第8の本発明(請求項8に記載の本発明に
対応)は、前記応力補正層上に配置された複屈折層を備
えることを特徴とする第4〜第6のいずれかの本発明の
光学素子である。
【0021】第9の本発明(請求項9に記載の本発明に
対応)は、前記複屈折層が、n/4波長板(ここでnは
奇数)であることを特徴とする第8の本発明の光学素子
である。
【0022】第10の本発明(請求項10に記載の本発
明に対応)は、外部から前記イオン交換層への入射光の
反射を防止する交換層反射防止膜と、前記応力補正層と
前記複屈折層との間の入射光の反射を防止する隣接層間
反射防止膜と、外部から前記複屈折層への入射光の反射
を防止する複屈折層反射防止膜とを備えることを特徴と
する第8または第9の本発明の光学素子である。
【0023】第11の本発明(請求項11に記載の本発
明に対応)は、前記複屈折層が、水晶であることを特徴
とする第8〜第10のいずれかの本発明の光学素子であ
る。
【0024】第12の本発明(請求項12に記載の本発
明に対応)は、前記複屈折層が、誘電体が斜めから蒸着
された斜め蒸着膜であることを特徴とする第8〜第10
のいずれかの光学素子である。
【0025】第13の本発明(請求項13に記載の本発
明に対応)は、イオン交換層形成用のマスクパターンを
LiTaXNb1-X3(0≦X≦1)結晶基板の面上に
形成するマスクパターン形成工程と、前記マスクパター
ン形成工程の後、前記マスクパターンで特定された領域
においてリチウムイオンを水素イオンにイオン交換する
ことによって、イオン交換層を形成するイオン交換層形
成工程と、前記イオン交換層形成工程の後、イオン交換
された前記特定された領域もしくはそれ以外の領域を選
択的にエッチングすることによって、または、前記特定
された領域上もしくは前記それ以外の領域上に誘電体膜
を形成することによって、前記特定された領域の表面と
前記それ以外の領域の表面との高低差を調整する高低差
調整工程と、前記イオン交換層により生じる応力を補正
する応力補正層を形成する応力補正層形成工程とを含
み、前記応力補正層形成工程は、前記イオン交換層形成
工程の前に、前記イオン交換層形成工程と同時に、また
は、前記イオン交換層形成工程の後に行われることを特
徴とする光学素子の製造方法である。
【0026】第14の本発明(請求項14に記載の本発
明に対応)は、前記高低差調整工程の後、前記応力補正
層上に誘電体材料を斜めに蒸着する蒸着膜形成工程を含
むことを特徴とする第13の本発明の光学素子の製造方
法である。
【0027】第15の本発明(請求項15に記載の本発
明に対応)は、第1〜第12のいずれかの本発明の光学
素子を備えることを特徴とする光ヘッドである。
【0028】第16の本発明(請求項16に記載の本発
明に対応)は、光記録媒体へ向けてコヒーレントな光を
出射する光源と、前記光源の前記光記録媒体側に配置さ
れたコリメータレンズと、前記コリメータレンズの前記
光記録媒体側に配置された第1〜第6のいずれかの本発
明の光学素子と、前記光学素子の前記光記録媒体側に配
置されたn/4波長板(ここでnは奇数)と、前記n/
4波長板の前記光記録媒体側に配置された対物レンズ
と、前記光学素子によって回折された回折光を受光する
1つまたは複数の受光部を有し、前記光記録媒体のフォ
ーカス誤差信号、トラッキング誤差信号および/または
前記光記録媒体に記録された情報信号を検出する光検出
手段とを備え、前記光源から出射された光が、前記コリ
メータレンズによって実質的に平行光にされ、前記光学
素子を透過して、前記n/4波長板によって円偏光もし
くは楕円偏光に変換された後、前記対物レンズによって
前記光記録媒体に集光され、前記光記録媒体で反射され
た光が、前記対物レンズによって集光され、前記n/4
波長板によって直線偏光もしくは楕円偏光に変換され、
前記光学素子によって回折された後、前記コリメータレ
ンズによって前記受光部に集光され、前記受光部が、前
記各信号に対応する前記回折光を受光できるように配置
されていることを特徴とする光ヘッドである。
【0029】第17の本発明(請求項17に記載の本発
明に対応)は、光記録媒体へ向けてコヒーレントな光を
出射する光源と、前記光源の前記光記録媒体側に配置さ
れたコリメータレンズと、前記コリメータレンズの前記
光記録媒体側に配置された第7〜第12のいずれかの本
発明の光学素子と、前記光学素子の前記光記録媒体側に
配置された対物レンズと、前記光学素子によって回折さ
れた回折光を受光する1つまたは複数の受光部を有し、
前記光記録媒体のフォーカス誤差信号、トラッキング誤
差信号および/または前記光記録媒体に記録された情報
信号を検出する光検出手段とを備え、前記光源から出射
された光が、前記コリメータレンズによって実質的に平
行光にされ、前記光学素子によって円偏光もしくは楕円
偏光に変換された後、前記対物レンズによって前記光記
録媒体に集光され、前記光記録媒体で反射された光が、
前記対物レンズによって集光され、前記光学素子によっ
て直線偏光もしくは楕円偏光に変換されて回折された
後、前記コリメータレンズによって前記受光部に集光さ
れ、前記受光部が、前記各信号に対応する前記回折光を
受光できるように配置されていることを特徴とする光ヘ
ッドである。
【0030】第18の本発明(請求項18に記載の本発
明に対応)は、光記録媒体へ向けてコヒーレントな光を
出射する光源と、前記光源の前記光記録媒体側に配置さ
れた第12の本発明の光学素子と、前記光学素子の前記
光記録媒体側に配置された対物レンズと、前記光学素子
によって回折された回折光を受光する1つまたは複数の
受光部を有し、前記光記録媒体のフォーカス誤差信号、
トラッキング誤差信号および/または前記光記録媒体に
記録された情報信号を検出する光検出手段とを備え、前
記光源から出射された光が、前記光学素子によって円偏
光もしくは楕円偏光に変換された後、前記対物レンズに
よって前記光記録媒体に集光され、前記光記録媒体で反
射された光が、前記対物レンズによって集光され、前記
光学素子によって直線偏光もしくは楕円偏光に変換され
て回折された後、前記受光部に入射され、前記受光部
が、前記各信号に対応する前記回折光を受光できるよう
に配置されていることを特徴とする光ヘッドである。
【0031】第19の本発明(請求項19に記載の本発
明に対応)は、前記光学素子が、前記コリメータレンズ
または前記対物レンズと一体化されていることを特徴と
する第17または第18の本発明の光ヘッドである。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面を参照して説明する。
【0033】(第1の実施の形態)まず、本発明の第1
の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0034】図1は、本発明の第1の実施の形態におけ
る光学素子の断面図である。図1において、1はX面の
ニオブ酸リチウム基板、2および3はニオブ酸リチウム
基板1をプロトン交換して形成されたプロトン交換層で
ある。なお、本実施の形態における光学素子は、偏光分
離素子として機能するものであり、ニオブ酸リチウム基
板1は本発明の基板に、プロトン交換層2は本発明のイ
オン交換層に、プロトン交換層3は本発明の応力補正層
に、それぞれ対応するものである。
【0035】ここで、偏光分離素子として機能する面
(図1のプロトン交換層2が形成されている側の面)を
A面とし、その裏面(図1のプロトン交換層3が形成さ
れている側の面)をB面とする。
【0036】ニオブ酸リチウム基板1のA面の所定の部
分に周期的なプロトン交換層2が所定の深さで形成され
ており、このプロトン交換層2の表面がニオブ酸リチウ
ム基板1の表面に比べて所定の深さだけ深くなっている
ので特開平5−196813号公報に開示されているよ
うに偏光分離素子としての性質を持つ。
【0037】前述したように、プロトン交換層2は元の
基板に比べて膨張しようとする力を内部に有しているた
め、プロトン交換層2が存在する面(A面)側が凸にな
るように反ってしまう(ここで凸に反らす力を正の応力
と呼ぶ)。そこで、偏光分離素子として働く面(A面)
の裏面(B面)上にプロトン交換層3を形成することに
より、A面で生じる正の応力をB面で生じる正の応力で
キャンセルすることで光学素子そのものは反らないよう
にすることができる。
【0038】ここで、A面側のプロトン交換層2の深さ
はその光学素子の特性を満足するような深さになるが、
B面のプロトン交換層3の深さはA面側のプロトン交換
層2の体積とほぼ等しくなるような深さにすればよい。
ここで、A面側のプロトン交換層の体積は次のようにし
て決まる。まず、プロトン交換の深さは特開平5−19
6813号公報に開示されているように偏光分離素子と
して働くための深さになる。また、面積は光ヘッドの光
学設計に応じて決まる。これらより、A面側のプロトン
交換層2の体積は決定される。また、B面側は偏光分離
素子として働かないようにするために全面をプロトン交
換するので、A面側に比べてB面側はプロトン交換層の
面積が広くなるためプロトン交換層の深さは浅くなる。
【0039】以上のように、本実施の形態によれば、偏
光分離素子として働く面の裏面全体にプロトン交換層を
形成する事により、偏光分離素子として働く面で生じる
反ろうとする力を裏面のプロトン交換層で生じる反ろう
とする力でキャンセルすることにより光学素子そのもの
には反りがないようにすることができる。
【0040】なお、本実施の形態では、ニオブ酸リチウ
ム基板の表面に対してプロトン交換層の表面が凹である
光学素子について述べたが、本実施の形態における光学
素子の変形例として、偏光分離機能を有する構造が周期
的なプロトン交換層の上に誘電体膜20が堆積されたも
の(図2)や、プロトン交換層の表面に対してニオブ酸
リチウムの表面が凹であるもの(図3)や、プロトン交
換がなされていないニオブ酸リチウム上に誘電体膜40
が堆積されたもの(図4)であっても(特開昭63−3
14502号公報や特開平4−219701号公報参
照)、図2〜図4のように、裏面に反りを防止するプロ
トン交換層3を全面に施せば同等の効果が得られる。
【0041】次に、本実施の形態における光学素子の製
造方法について、図5を用いて説明する。図5は、本発
明の第1の実施の形態における光学素子の製造方法の工
程を示す断面図である。
【0042】まず、X面のニオブ酸リチウム基板1の表
裏両面(表面(上面)が図1のA面に、裏面(下面)が
図1のB面に、それぞれ対応する)全面にタンタル5
0、51を蒸着し(図5(a))、タンタル50上にフ
ォトリソグラフィによりレジスト52のパターンを形成
し(図5(b))、このレジスト52をマスクとしてエ
ッチングによりタンタル50をパターニングする(図5
(c))。なお、図5(a)〜図5(c)で示した工程
は、本発明のマスクパターン形成工程に対応するもので
ある。
【0043】次に、パターニングされたタンタル50を
マスクとして230℃のピロ燐酸中で熱処理を行うこと
により偏光分離機能を有するために必要な深さだけプロ
トン交換層2を形成し(図5(d);本発明のイオン交
換層形成工程に対応)、マスク用及び保護用タンタルを
剥離して(図5(e))、プロトン交換層2が形成され
た面全面にタンタル53を蒸着し(図5(f))、23
0℃のピロ燐酸中で熱処理を行うことにより反り防止用
プロトン交換層3を形成する(図5(g);本発明の応
力補正層形成工程に対応)。
【0044】最後に、プロトン交換層2をフッ酸を含む
エッチング液によりエッチングすることによって、プロ
トン交換層2の表面とニオブ酸リチウム基板1の表面と
の高低差を調整する(図5(h);本発明の高低差調整
工程に対応)。
【0045】ここで、図5(f)に示された工程では成
膜を行っているため基板が加熱される可能性があり、ま
た、図5(g)で示された工程においては熱処理が存在
するため、図5(d)で示された工程で形成された偏光
分離用プロトン交換層2の深さが熱拡散により深くなる
ため、偏光分離のための最適なプロトン交換深さがずれ
る可能性がある。そこで、図5(f)及び(g)の工程
で生じる偏光分離用プロトン交換層2のプロトン交換深
さの最適条件からのずれを予め見積もって、図5(d)
に示される工程を行えば所望の性能を有する光学素子が
製造できる。
【0046】本実施の形態における光学素子の製造方法
では、ウェハー状のニオブ酸リチウム基板上に多数の素
子を形成した後にスクライブすることができるため、低
コストで大量生産に向いている。また、反り防止用プロ
トン交換層3と偏光分離用プロトン交換層2を別々に形
成するためそれぞれの深さの管理が行いやすい。
【0047】なお、本実施の形態における光学素子の製
造方法は、図1で示した本実施の形態における光学素子
を製造するものであるとして説明したが、図2〜図4で
示した本実施の形態における光学素子の変形例を製造す
る場合は、図5(h)で示した工程の替わりに、図2の
変形例を製造する場合はプロトン交換層2上に誘電体膜
20を形成する工程を、図3の変形例を製造する場合は
A面のプロトン交換層2以外の領域を選択的にエッチン
グする工程を、図4の変形例を製造する場合はA面のプ
ロトン交換層2以外の領域上に誘電体膜20を形成する
工程を、それぞれ実施する。
【0048】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第1の実施の形態と異なるのは、光学素子の
製造方法の工程が異なることに関する点のみであり、そ
れ以外は、第1の実施の形態と同様である。したがっ
て、本実施の形態において、特に説明のないものについ
ては、第1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態
と同一符号を付与している構成部材については、特に説
明のない限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つも
のとする。
【0049】本実施の形態における光学素子の構成は、
図1で示した第1の実施の形態における光学素子の構成
と同じである。また、図2〜図4で示した変形例につい
ても、本実施の形態における光学素子に適用できる。
【0050】次に、本実施の形態における光学素子の製
造方法について、図6を用いて説明する。図6は、本発
明の第2の実施の形態における光学素子の製造方法の工
程を示す断面図である。
【0051】まず、X面のニオブ酸リチウム基板1の表
面(表面(上面)が図1のA面に、裏面(下面)が図1
のB面に、それぞれ対応する)全面にタンタル60を蒸
着する(図6(a))。次に、230℃のピロ燐酸中で
熱処理を行うことにより反り防止用のプロトン交換層3
を所定の深さになるように形成する(図6(b);本発
明の応力補正層形成工程に対応)。
【0052】次に、プロトン交換層3上全面にタンタル
61を蒸着する(図6(c))。
【0053】次に、タンタル60の表面にフォトリソグ
ラフィによりレジスト62のパターンを形成し(図6
(d))、このレジスト62をマスクとしてエッチング
によりタンタル60をパターニングする(図6
(e))。なお、図6(a)、図6(d)、図6(e)
で示した工程は、本発明のマスクパターン形成工程に対
応するものである。
【0054】次に、パターニングされたタンタル60を
マスクとして230℃のピロ燐酸中で熱処理を行うこと
により偏光分離機能を有するために必要な深さだけプロ
トン交換層2を形成する(図6(f);本発明のイオン
交換層形成工程に対応)。
【0055】最後に、タンタル60、61を除去して、
プロトン交換層2をフッ酸を含むエッチング液によりエ
ッチングすることによって、プロトン交換層2の表面と
ニオブ酸リチウム基板1の表面との高低差を調整する
(図6(g);本発明の高低差調整工程に対応)。
【0056】ここで、図6(f)に示された工程におい
て熱処理が存在するため、図6(b)で示された工程で
形成された反り防止用プロトン交換層3の深さが熱拡散
により深くなるため、反り防止のための最適なプロトン
交換深さがずれる可能性がある。そこで、図6(f)の
工程で生じる反り防止用プロトン交換層3のプロトン交
換深さの最適条件からのずれを予め見積もって、図6
(b)に示されるプロトン交換層3を形成する工程を行
えば所望の性能を有する光学素子が製造できる。
【0057】本実施の形態における光学素子の製造方法
では、第1の実施の形態における光学素子の製造方法に
比べてタンタルを剥離する工程がないため、第1の実施
の形態における光学素子の製造方法よりも工程が簡略化
でき低コストなものとなる。
【0058】また、本実施の形態における光学素子の製
造方法では、第1の実施の形態における光学素子の製造
方法と同様に、ウェハー状のニオブ酸リチウム基板上に
多数の素子を形成した後にスクライブすることができる
ため、低コストで大量生産に向いている。また、反り防
止用プロトン交換層3と偏光分離用プロトン交換層2を
別々に形成するためそれぞれの深さの管理が行いやす
い。
【0059】なお、本実施の形態における光学素子の製
造方法は、図1で示した光学素子を製造するものである
として説明したが、第1の実施の形態における光学素子
の製造方法と同様に、図2〜図4で示した光学素子を製
造する場合は、図6(g)で示した工程の替わりに、図
2の変形例を製造する場合はプロトン交換層2上に誘電
体膜20を形成する工程を、図3の変形例を製造する場
合はA面のプロトン交換層2以外の領域を選択的にエッ
チングする工程を、図4の変形例を製造する場合はA面
のプロトン交換層2以外の領域上に誘電体膜20を形成
する工程を、それぞれ実施する。
【0060】(第3の実施の形態)次に、本発明の第3
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第1の実施の形態と異なるのは、光学素子の
製造方法の工程が異なることに関する点のみであり、そ
れ以外は、第1の実施の形態と同様である。したがっ
て、本実施の形態において、特に説明のないものについ
ては、第1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態
と同一符号を付与している構成部材については、特に説
明のない限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つも
のとする。
【0061】本実施の形態における光学素子の構成は、
図1で示した第1の実施の形態における光学素子の構成
と同じである。また、図2〜図4で示した変形例につい
ても、本実施の形態における光学素子に適用できる。
【0062】次に、本実施の形態における光学素子の製
造方法について、図7を用いて説明する。図7は、本発
明の第3の実施の形態における光学素子の製造方法の工
程を示す断面図である。
【0063】まず、X面のニオブ酸リチウム基板1の表
面(表面(上面)が図1のA面に、裏面(下面)が図1
のB面に、それぞれ対応する)全面にタンタルオキサイ
ド70を蒸着する(図7(a))。
【0064】次に、タンタルオキサイド70を蒸着した
面の裏面側全面にタンタル71を蒸着し(図7
(b))、タンタル71の表面にフォトリソグラフィに
よりレジスト72のパターンを形成し(図7(c))、
このレジスト72をマスクとしてエッチングによりタン
タル71をパターニングする(図7(d))。なお、図
7(b)〜図7(d)で示した工程は、本発明のマスク
パターン形成工程に対応するものである。
【0065】次に、パターニングしたタンタル71をマ
スクとして230℃のピロ燐酸中で熱処理を行うことに
より偏光分離機能を有するために必要な深さだけプロト
ン交換層2、3を形成する(図7(e);本発明のイオ
ン交換層形成工程および本発明の応力補正層形成工程に
対応)。
【0066】最後に、タンタル71を除去して、プロト
ン交換層2をフッ酸を含むエッチング液によりエッチン
グすることによって、プロトン交換層2の表面とニオブ
酸リチウム基板1の表面との高低差を調整する(図7
(f);本発明の高低差調整工程に対応)。
【0067】ここで、図7(e)においては、プロトン
交換層2と同時に、プロトン交換層3がタンタルオキサ
イドで保護した部分に形成される。このタンタルオキサ
イドで保護した面にプロトン交換層が形成される理由
は、ピロ燐酸がタンタルオキサイド膜中にしみ込んでい
くからである。ただし、このしみ込みによるプロトン交
換層の形成は、タンタルオキサイドの蒸着膜のボイドの
大きさ及びその数とピロ燐酸の分子の大きさに依存す
る。図8に、タンタルオキサイドの膜厚とタンタルオキ
サイドで保護した部分に形成されるプロトン交換層の深
さのグラフを示す。このグラフに示されるようにタンタ
ルオキサイドの膜厚に応じてプロトン交換層3の深さを
任意に変えることができる。したがって、反り防止用プ
ロトン交換層3を偏光分離機能用プロトン交換層2を形
成するのと同時に形成することができる。
【0068】本実施の形態の光学素子の製造方法では、
蒸着回数は、第2の実施の形態における光学素子の製造
方法と同じであるが、プロトン交換を行う工程の数が第
1および第2の実施の形態における光学素子の製造方法
に比較して少ないため、より低コストで同じ光学素子を
形成することができる。また、本実施の形態における光
学素子の製造方法では、第1および第2の実施の形態に
おける光学素子の製造方法と同様に、ウェハー状のニオ
ブ酸リチウム基板上に多数の素子を形成した後にスクラ
イブすることができるため、低コストで大量生産に向い
ている。ただし、反り防止用プロトン交換層3と偏光分
離用プロトン交換層2を同時に形成するため、双方の深
さを所定の値にするような管理が必要である。
【0069】なお、本実施の形態では、反り防止用プロ
トン交換層の形成をタンタルオキサイドを用いて拡散速
度を落として偏光分離用プロトン交換層の形成と同時に
行っているが、タンタルオキサイド以外であってもピロ
燐酸がしみこむような材料(たとえば二酸化ケイ素や非
常に薄いタンタル等)であれば何ら問題はない。
【0070】なお、本実施の形態における光学素子の製
造方法は、図1で示した光学素子を製造するものである
として説明したが、第1および第2の実施の形態におけ
る光学素子の製造方法と同様に、図2〜図4で示した光
学素子を製造する場合は、図7(F)で示した工程の替
わりに、図2の変形例を製造する場合はプロトン交換層
2上に誘電体膜20を形成する工程を、図3の変形例を
製造する場合はA面のプロトン交換層2以外の領域を選
択的にエッチングする工程を、図4の変形例を製造する
場合はA面のプロトン交換層2以外の領域上に誘電体膜
20を形成する工程を、それぞれ実施する。
【0071】(第4の実施の形態)次に、本発明の第4
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第2の実施の形態と異なるのは、本発明の応
力補正層の配置に関する点のみであり、それ以外は、第
2の実施の形態と同様である。したがって、本実施の形
態において、特に説明のないものについては、第2の実
施の形態と同じとし、第2の実施の形態と同一符号を付
与している構成部材については、特に説明のない限り、
第2の実施の形態と同様の機能を持つものとする。図9
は、本発明の第4の実施の形態における光学素子の断面
図である。本実施の形態における光学素子は、偏光分離
素子として機能するものであり、図9において、偏光分
離素子として機能する面(図9のプロトン交換層2が形
成されている側の面)をC面とし、その裏面(図9のプ
ロトン交換層3が形成されている側の面)をD面とす
る。図1で示した光学素子がB面全面にプロトン交換層
3が形成されているのに対し、本実施の形態における光
学素子は、図9に示すように、プロトン交換層3がD面
の一部のみに形成されている。
【0072】図10は、本発明の第4の実施の形態にお
ける光学素子のD面側の平面図である。図10に示すよ
うに、プロトン交換層3は、D面側において、C面側に
プロトン交換層2のパターンがある部分以外の部分に形
成されている。
【0073】前述したように、プロトン交換層2は元の
基板に比べて膨張しようとする力を内部に有しているた
めプロトン交換層2が存在する面(C面)側が凸になる
ように反ってしまう。そこで、偏光分離素子として働く
面(C面)の裏面(D面)上にプロトン交換層3を形成
することにより、C面で生じる正の応力をD面で生じる
正の応力でキャンセルすることで光学素子そのものは反
らないようにすることができる。
【0074】ここで、C面上のプロトン交換層2の深さ
はその光学素子の特性を満足するような深さになるが、
D面のプロトン交換層3の深さはC面側のプロトン交換
層2の体積とほぼ等しくなるような深さにすればよい。
ここで、C面側のプロトン交換層2の体積は次のように
して決まる。まず、プロトン交換の深さは特開平5−1
96813号公報に開示されているように偏光分離素子
として働くための深さになる。また、面積は光ヘッドの
光学設計に応じて決まる。これらより、C面側のプロト
ン交換層2の体積は決定する。また、D面側において
は、C面側のプロトン交換層2のパターンのある部分の
裏側に相当する部分が偏光分離素子として働かないよう
にするために、C面側のプロトン交換層2のパターンの
ある部分の裏側以外の所定の部分をプロトン交換するの
で、プロトン交換層3の面積に応じてD面側のプロトン
交換層3の深さは、C面側のプロトン交換層2の深さに
比べて深くなったり浅くなったりもしくは等しくなる。
例えば、図10はD面側のC面のプロトン交換層2のパ
ターンがある部分の裏面以外をすべてプロトン交換した
場合であるが、図11に示すように、D面側のC面のプ
ロトン交換層2のパターンがある部分以外の一部分をプ
ロトン交換するとしてもよいし、図12に示すように、
D面側のC面のプロトン交換層2のパターンがある部分
の裏面すべてをプロトン交換するとしてもよい(図10
〜図12はすべて周期的なプロトン交換がなされた面の
裏側(D面側)より見た図であり、点線の円内が周期的
なプロトン交換層が存在する面である)。ここで、図1
2の場合は必ずD面側のプロトン交換層3の深さが浅く
なる。また、図10や図11で示した場合は設計により
D面側のプロトン交換層2とC面側のプロトン交換層3
の深さを同じにすることができるので、こうすると、表
面と裏面のプロトン交換層を同時に形成しやすくなる。
【0075】以上のように、本実施の形態によれば、偏
光分離素子として働く面の裏面の一部分にプロトン交換
層を形成する事により、偏光分離素子として働く面で生
じる反りを裏面のプロトン交換層で生じる反りでキャン
セルすることにより光学素子そのものには反りがないよ
うにすることができる。さらに、図10及び図11に示
した光学素子では偏光分離機能を有する面のプロトン交
換層のパターンが無い部分の裏側のみをプロトン交換し
ているので偏光分離機能の特性を劣化させることはあり
得ない。
【0076】なお、本実施の形態では、D面上の光が透
過する部分以外の所定の部分やD面上の光が透過する部
分のみにプロトン交換を施したが、D面上の光が透過す
る部分全面と光が透過しない部分の所定の部分をプロト
ン交換しても何らかまわない。
【0077】また、本実施の形態における光学素子の変
形例として、本実施の形態における光学素子のC面側の
構成に替えて、図2〜図4で示した第1の実施の形態に
おける光学素子の変形例のA面側の構成を適用できる。
それぞれの場合の詳細説明は、第1の実施の形態におい
て行った説明に準じる。
【0078】次に、本実施の形態における光学素子の製
造方法について、図13を用いて説明する。図13は、
本発明の第4の実施の形態における光学素子の製造方法
の工程を示す断面図である。
【0079】まず、X面のニオブ酸リチウム基板1の表
裏両面(表面(上面)が図9のC面に、裏面(下面)が
図9のD面に、それぞれ対応する)全面にタンタル13
0、131を蒸着する(図13(a))。次に、タンタ
ル130を蒸着した面にフォトリソグラフィによりレジ
スト132のパターンを形成し(図13(b))、この
レジスト132をマスクとしてエッチングによりタンタ
ル130をパターニングし(図13(c))、このパタ
ーニングしたタンタル130をマスクとして230℃の
ピロ燐酸中で熱処理を行うことにより反り防止用プロト
ン交換層3を必要な深さだけ形成する(図13
(d))。なお、図13(a)で示した工程のうちのタ
ンタル130を蒸着する工程および図13(b)〜図1
3(d)で示した工程は、本発明の応力補正層形成工程
に対応するものである。また、上記パターンニングの形
状は、例えば、図12〜図14のいずれかの形状が選択
されるものとする。
【0080】次に、プロトン交換層3を形成した領域を
含めてD面上全面にタンタル133を蒸着し(プロトン
交換層3が形成されていない領域では、タンタル130
上にタンタル133が積層される)、C面のタンタル1
31の表面にフォトリソグラフィによりレジスト134
のパターンを形成し(図13(e))、このレジスト1
34をマスクとしてエッチングによりタンタル131を
パターニングする(図13(f))。なお、図13
(a)で示した工程のうちのタンタル131を蒸着する
工程、図13(e)で示した工程のうちのレジスト13
4のパターンを形成する工程および図13(f)で示し
た工程は、本発明のマスクパターン形成工程に対応する
ものである。
【0081】次に、パターニングしたタンタル131を
マスクとして230℃のピロ燐酸中で熱処理を行うこと
により偏光分離機能を有するために必要な深さだけプロ
トン交換層2を形成する(図13(g);本発明のイオ
ン交換層形成工程に対応)。
【0082】最後に、タンタル130、131、133
を除去して、プロトン交換層2をフッ酸を含むエッチン
グ液によりエッチングすることによって、プロトン交換
層2の表面とニオブ酸リチウム基板1の表面との高低差
を調整する(図13(h);本発明の高低差調整工程に
対応)。
【0083】本実施の形態における光学素子の製造方法
は、第2の実施の形態における光学素子の製造方法と同
様に、ウェハー状のニオブ酸リチウム基板上に多数の素
子を形成した後にスクライブすることができるため、低
コストで大量生産に向いている。
【0084】なお、本実施の形態では反り防止用プロト
ン交換層3を偏光分離機能用プロトン交換層2より先に
形成しているが、この順番が逆であってもよい、この場
合は、大量生産に向いた製造方法となる。更に、上述し
たように反り防止用プロトン交換層3と偏光分離機能用
プロトン交換層2の両プロトン交換層の深さが等しいと
きは、マスク金属をタンタルとして表裏両面を同時にプ
ロトン交換することができる。この場合、プロトン交換
の回数が、図13で示した本実施の形態における光学素
子の製造方法より少ないので、より低コストな製造方法
となる。
【0085】なお、本実施の形態における光学素子の製
造方法は、図9で示した光学素子(D面については、図
10〜図14のいずれか)を製造するものであるとして
説明したが、第1の実施の形態における光学素子の製造
方法と同様に、図2〜図4のA面側の構成をD面側に適
用した変形例を製造する場合は、図12(h)で示した
工程の替わりに、図2に対応する変形例を製造する場合
はプロトン交換層2上に誘電体膜20を形成する工程
を、図3に対応する変形例を製造する場合はA面のプロ
トン交換層2以外の領域を選択的にエッチングする工程
を、図4に対応する変形例を製造する場合はA面のプロ
トン交換層2以外の領域上に誘電体膜20を形成する工
程を、それぞれ実施する。
【0086】(第5の実施の形態)次に、本発明の第5
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第1の実施の形態と異なるのは、本発明の交
換層反射防止膜および補正層反射防止膜を備えることに
関する点のみであり、それ以外は、第1の実施の形態と
同様である。したがって、本実施の形態において、特に
説明のないものについては、第1の実施の形態と同じと
し、第1の実施の形態と同一符号を付与している構成部
材については、特に説明のない限り、第1の実施の形態
と同様の機能を持つものとする。
【0087】図14は、本発明の第5の実施の形態にお
ける光学素子の断面図である。本実施の形態における光
学素子は、偏光分離素子として機能するものであり、図
14に示すように、第1の実施の形態における光学素子
のA面上に二酸化ケイ素膜141(本発明の交換層反射
防止膜に対応)が、B面上に二酸化ケイ素膜140(本
発明の補正層反射防止膜に対応)がそれぞれ形成された
ものである。
【0088】まず、二酸化ケイ素膜140について述べ
る。この二酸化ケイ素膜140はプロトン交換が施され
ているニオブ酸リチウム基板1の表面での入射ビームの
反射を防止するためのものである。今、プロトン交換が
施されているニオブ酸リチウムの屈折率をnPLN、空気
の屈折率をnAIRとすると、反射防止膜の屈折率n1は数
1のようになる。
【0089】
【数1】n1=(nPLN×nAIR1/2 この数1に、nPLN=2.12、nAIR=1を代入する
と、反射防止膜の屈折率n1は1.46となる。ここ
で、二酸化ケイ素膜の屈折率は1.45であるので、プ
ロトン交換されたニオブ酸リチウム基板1の表面での反
射を防止する条件を満足し、この二酸化ケイ素膜140
の厚さを(2N+1)λ/4(λは入射する光ビームの
波長、Nは0以上の整数)とすると二酸化ケイ素膜14
0は反射防止膜となる。
【0090】次に、二酸化ケイ素膜141について述べ
る。この二酸化ケイ素膜141はプロトン交換が周期的
に施されているニオブ酸リチウム基板1の表面での入射
ビームの反射を防止するためのものである。今、プロト
ン交換が周期的に施されているニオブ酸リチウムの屈折
率をnLN’、空気の屈折率をnAIRとすると、反射防止
膜の屈折率n2は数2のようになる。
【0091】
【数2】n2=(nLN’×nAIR1/2 ここで、周期的なプロトン交換がなされているニオブ酸
リチウムの屈折率nLN’は、プロトン交換がなされてい
るニオブ酸リチウムの屈折率とプロトン交換がなされて
いないニオブ酸リチウムの屈折率の平均として計算で
き、nLN’=2.19となる。この値とnAIR=1を数
2に代入すると、反射防止膜の屈折率n2は1.48と
なる。ここで、二酸化ケイ素膜の屈折率は1.45であ
るので、プロトン交換が周期的に施されたニオブ酸リチ
ウム基板1の表面での反射を防止する条件を満足し、こ
の二酸化ケイ素膜141の厚さを(2N+1)λ/4
(λは入射する光ビームの波長、Nは0以上の整数)と
すると二酸化ケイ素膜141は反射防止膜となる。
【0092】以上のように二酸化ケイ素膜を周期的なプ
ロトン交換が施されたニオブ酸リチウム基板上(図14
のプロトン交換層2が形成されている側の面上)及びプ
ロトン交換が施されたニオブ酸リチウム基板上(図14
のプロトン交換層3が形成されている側の面上)に設け
ることにより、素子での反射を実質的に完全に防止する
ことができる。
【0093】また、図2〜図4で示した第1の実施の形
態における光学素子の変形例のA面上に、本発明の交換
層反射防止膜としての二酸化ケイ素膜が、B面上に本発
明の補正層反射防止膜として、例えば二酸化ケイ素膜が
それぞれ形成された変形例としても、同等の効果が得ら
れる。
【0094】また、本発明の交換層反射防止膜および補
正層反射防止膜の材料として、本実施の形態において
は、二酸化ケイ素を用いるとして説明したが、所望の屈
折率を有する材料であれば、これに限るものではない。
【0095】さらに、本発明の交換層反射防止膜および
補正層反射防止膜は、本実施の形態においては、単層の
反射防止膜であるとして説明したが、これに限るもので
はなく、多層の反射防止膜であってもよい。
【0096】(第6の実施の形態)次に、本発明の第6
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第1の実施の形態と異なるのは、本発明の複
屈折層を備えることに関する点のみであり、それ以外
は、第1の実施の形態と同様である。したがって、本実
施の形態において、特に説明のないものについては、第
1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態と同一符
号を付与している構成部材については、特に説明のない
限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つものとす
る。
【0097】図15は、本発明の第6の実施の形態にお
ける光学素子の断面図である。本実施の形態における光
学素子は、偏光分離素子として機能するものであり、図
15に示すように、第1の実施の形態における光学素子
のB面上に水晶150(本発明の複屈折層に対応)が形
成されたものである。
【0098】前述したように、偏光分離素子を動作させ
るために往路及び復路で光ビームの偏光方向を互いに直
交させるためのn/4波長板(ここでnは奇数)が必須
であり、光ヘッドの更なる小型化を行うためには偏光分
離素子とn/4波長板を貼り合わせることが必要とな
る。更に、光ヘッドに組み込む際の調整工程の削減によ
り光ヘッドの低コスト化をはかるためにも光学素子を一
体化することが必要である。
【0099】ここで、水晶150は1軸性の複屈折を有
し、所定の厚みによりn/4波長板になることは公知の
事実である。そこで、偏光分離素子と水晶で形成される
n/4波長板を貼り合わせる場合、従来の偏光分離素子
では周期的なプロトン交換層のため反りが発生し、偏光
分離素子を形成したウェハーと水晶で形成されているn
/4波長板のウェハーを貼り合わせるのが困難である。
しかし、本実施の形態における光学素子は、周期的なプ
ロトン交換層2で発生する正の応力が裏面に形成したプ
ロトン交換層3で発生する正の応力でキャンセルされて
いるのでウェハーそのものには反りが生じない。したが
って、水晶150で形成されるn/4波長板を貼り合わ
せる場合、ウェハー同士を貼ることが容易であるため大
量生産に向き、ウェハー全体にわたって透過波面精度が
良好となる。
【0100】以上のように、周期的なプロトン交換層を
有する面の裏面に、プロトン交換層を設け、その上にn
/4波長板を貼り合わせることにより透過波面精度が良
好な光学素子が形成でき、更に透過波面精度が良好とな
る。
【0101】なお、本発明の複屈折層の材料として、本
実施の形態においては、水晶を用いるとして説明した
が、雲母等の複屈折を有する材料であれば、これに限る
ものではない。
【0102】また、図2〜図4で示した第1の実施の形
態における光学素子の変形例のB面上に、本発明の複屈
折層として、例えば水晶が形成された変形例としても、
同等の効果が得られる。
【0103】(第7の実施の形態)次に、本発明の第7
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第1の実施の形態と異なるのは、本発明の複
屈折層を備えることに関する点のみであり、それ以外
は、第1の実施の形態と同様である。したがって、本実
施の形態において、特に説明のないものについては、第
1の実施の形態と同じとし、第1の実施の形態と同一符
号を付与している構成部材については、特に説明のない
限り、第1の実施の形態と同様の機能を持つものとす
る。
【0104】図16は、本発明の第7の実施の形態にお
ける光学素子の断面図である。本実施の形態における光
学素子は、偏光分離素子として機能するものであり、図
16に示すように、第1の実施の形態における光学素子
のB面上に、Ta25がニオブ酸リチウム基板1の法線
に対して70°の角度から蒸着された斜め蒸着膜160
(本発明の複屈折層に対応)が形成されたものである。
【0105】図16で示された本実施の形態における光
学素子は、周期的なプロトン交換層2があり、更にその
裏面にプロトン交換層3を形成しているので、上述した
ように、透過波面精度が良好で、偏光分離機能を有して
いる。また、特開昭63−312970号公報に開示さ
れているようにTa25膜が基板に対して斜めに蒸着さ
れて形成されているのでこの膜は複屈折膜となる。本実
施の形態では、基板の法線に対して70°の方向より蒸
着している(図17参照)ので、常光に対する屈折率と
異常光に対する屈折率の差である複屈折△nが0.07
となり1/4波長板として作用するために膜の厚さは
2.6μmになっている。
【0106】次に、第6の実施の形態における光学素子
と本実施の形態における光学素子の違いについて述べ
る。第6の実施の形態における光学素子は、1/4波長
板を水晶の結晶で形成しており、その厚みのコントロー
ルを研磨を用いて行っているため、機械的強度を保つた
めには、厚みを約0.5mm以下にする事が困難であ
る。これに対し、本実施の形態における光学素子は、蒸
着によって厚みを精度良くコントロールすることができ
るので、1/4波長板の性質を出すための最小の厚さで
ある2.6μmの蒸着膜を形成することが可能である。
したがって、本実施の形態における光学素子において
は、光学素子そのものを非常に薄くすることができる。
【0107】ここで、本実施の形態における光学素子の
光ビームの入射角依存性と、第6の実施の形態における
光学素子の光ビームの入射角依存性とを比較してみる。
水晶で形成した1/4波長板の複屈折を△n1、厚みを
1、入射する光ビームの波長をλ、入射する光ビーム
の入射角をθ1(図18参照)とすると常光と異常光の
この素子を透過するときの光路差x1は数3のようにな
る。
【0108】
【数3】x1=△n1・d1/cosθ1 ここで、△n1・d1はこの素子が1/4波長板としての
性質を持つので、△n 1・d1=(2N+1)λ/4(N
は0以上の整数)となり、これを数3に代入すると数4
が得られる。
【0109】
【数4】x1=(2N+1)λ/4cosθ1 よって、θ1=0のときからの光路差のずれ△x1は数5
のようになる。
【0110】
【数5】 △x1=(2N+1)λ(1/cosθ1−1)/4 また、本実施の形態における光学素子の斜め蒸着膜の複
屈折を△n2、厚みをd2、入射する光ビームの波長を
λ、入射する光ビームの入射角をθ2(図18のθ1と同
じ関係)とすると常光と異常光のこの素子を透過すると
きの光路差x2は数6のようになる。
【0111】
【数6】x2=△n2・d2/cosθ2 ここで、△n2・d2はこの斜め蒸着膜が1/4波長板と
しての性質を持つので、△n2・d2=λ/4となり、こ
れを数6に代入すると数7が得られる。
【0112】
【数7】x2=λ/4cosθ2 よって、θ2=0のときからの光路差のずれ△x2は数8
のようになる。
【0113】
【数8】△x2=λ(1/cosθ2−1)/4 ここで、水晶で作られた1/4波長板の厚みは0.5m
m程度、今0.499mmとするとN=11となり、こ
れを数5に代入すると数9が得られる。
【0114】
【数9】△x1=23λ(1/cosθ1−1)/4 △x1と△x2が等しくなるときのθ1とθ2との関係は数
8と数9より数10のような関係となる。
【0115】
【数10】 23(1/cosθ1−1)=(1/cosθ2−1) 数10より、θ1が1°ずれたときの光路差のずれと等
しくなるためのθ2は4.8°となり、本実施の形態に
おける光学素子は、第6の実施の形態における光学素子
と比較して、入射角依存性が小さいことがわかる。
【0116】また、斜め蒸着膜160の複屈折△n2
入射角によらず一定としたが、実際は入射角に依存して
いる。しかし、入射角が非常に小さいときはこの依存性
は小さいものと考えられる。また、特開昭63−132
203号公報に開示されているように、斜め蒸着膜16
0を2層構造にすれば、この複屈折の入射角依存性もほ
とんどないものにできるので、光ビームの入射角による
1/4波長板としての性質の劣化を更に防ぐことができ
る。
【0117】以上のように、本実施の形態によれば、偏
光分離素子に誘電体材料を斜めに蒸着することにより平
面精度の良い光学素子を形成することができ、水晶で作
られた1/4波長板とを貼り合わせた光学素子に比べて
非常に薄く、更に、入射角依存性の小さい素子が形成で
きる。
【0118】なお、図2〜図4で示した第1の実施の形
態における光学素子の変形例のB面上に、本発明の複屈
折層として、斜め蒸着膜が形成された変形例としても、
同等の効果が得られる。
【0119】次に、本実施の形態における光学素子の製
造方法について、図19を用いて説明する。図19は、
本発明の第7の実施の形態における光学素子の製造方法
の工程を示す断面図である。
【0120】まず、X面のニオブ酸リチウム基板1の表
裏両面(表面(上面)が図16の上面(図1のA面)
に、裏面(下面)が図16の下面(図1のB面)に、そ
れぞれ対応する)全面にタンタル190、191を蒸着
し(図19(a))、タンタル190上にフォトリソグ
ラフィによりレジスト192のパターンを形成し(図1
9(b))、このレジスト192をマスクとしてエッチ
ングによりタンタル190をパターニングする(図19
(c))。なお、図19(a)〜図19(c)で示した
工程は、本発明のマスクパターン形成工程に対応するも
のである。
【0121】次に、パターニングされたタンタル190
をマスクとして230℃のピロ燐酸中で熱処理を行うこ
とにより偏光分離機能を有するために必要な深さだけプ
ロトン交換層2を形成し(図19(d);本発明のイオ
ン交換層形成工程に対応)、マスク用及び保護用タンタ
ルを剥離して(図19(e))、プロトン交換層2が形
成された面全面にタンタル193を蒸着し(図19
(f))、230℃のピロ燐酸中で熱処理を行うことに
より反り防止用プロトン交換層3を形成する(図19
(g);本発明の応力補正層形成工程に対応)。
【0122】次に、プロトン交換層3をフッ酸を含むエ
ッチング液によりエッチングすることによって、プロト
ン交換層2の表面とニオブ酸リチウム基板1の表面との
高低差を調整する(図19(h);本発明の高低差調整
工程に対応)。
【0123】最後に、反り防止用プロトン交換層3の面
上にタンタルオキサイドを、図17に示されているよう
に基板の法線に対してθ=70度の方向から蒸着して、
斜め蒸着膜160を形成する(図19(i);本発明の
蒸着膜形成工程に対応)。
【0124】ここで、斜め蒸着膜160を形成するため
に、図19(h)の工程でできた素子を高温で加熱しな
ければならない。また、図19(f)に示された工程で
は成膜を行っているため基板が加熱される可能性があ
り、また、図19(g)で示された工程においては熱処
理が存在するため、図19(d)で示された工程で形成
された偏光分離用プロトン交換層の深さが熱拡散により
深くなるため、偏光分離のための最適なプロトン交換深
さがずれる可能性がある。そこで、図19(f)及び
(g)及び(h)の工程で生じる偏光分離用プロトン交
換層2のプロトン交換深さの最適条件からのずれを予め
見積もって、図19(d)に示される工程を行えば所望
の性能を有する光学素子が製造できる。
【0125】本実施の形態における光学素子の製造方法
は、斜め蒸着膜160の面積には限界がないので、ウェ
ハー状のニオブ酸リチウム基板に多数の素子を形成した
後にスクライブすることができ、低コストで大量生産に
向いている。また、反り防止用プロトン交換層と偏光分
離用プロトン交換層を別々に形成するためそれぞれの深
さの管理が行いやすい。
【0126】なお、本実施の形態では偏光分離機能プロ
トン交換層2を斜め蒸着膜160より先に形成している
が、斜め蒸着膜160を先に形成しても、大量生産に向
いた製造方法であることに変わりはない。
【0127】また、上述した第1〜第4の実施の形態に
おける光学素子の製造方法、および本実施の形態におけ
る光学素子の製造方法では、いずれもプロトン交換層2
のエッチングはフッ酸を用いたウェットエッチングで行
っているがフッ素ラジカルを用いたドライエッチングを
行っても何等問題はなく、更にこの方法であれば反り防
止用プロトン交換層がエッチングされることがないので
素子の特性の管理が行いやすい。更に、上記のそれぞれ
の実施の形態では、プロトン交換の方法としてタンタル
をマスクとしてピロリン酸で熱処理しているが、金属を
マスクとして酸で熱処理する方法ならばこの限りではな
く、例えば従来用いられているアルミをマスクとして安
息香酸中で処理を行ってもよい。
【0128】なお、本実施の形態における光学素子の製
造方法は、図16で示した光学素子を製造するものであ
るとして説明したが、第1の実施の形態における光学素
子の製造方法と同様に、図2〜図4で示した第1の実施
の形態における光学素子の変形例のB面上に斜め蒸着膜
が形成されたものを製造する場合は、図19(h)で示
した工程の替わりに、図2に対応する変形例を製造する
場合はプロトン交換層2上に誘電体膜20を形成する工
程を、図3に対応する変形例を製造する場合はA面のプ
ロトン交換層2以外の領域を選択的にエッチングする工
程を、図4に対応する変形例を製造する場合はA面のプ
ロトン交換層2以外の領域上に誘電体膜20を形成する
工程を、それぞれ実施する。
【0129】(第8の実施の形態)次に、本発明の第8
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第7の実施の形態と異なるのは、本発明の交
換層反射防止膜、隣接層間反射防止膜および複屈折層反
射防止膜を備えることに関する点のみであり、それ以外
は、第1の実施の形態と同様である。したがって、本実
施の形態において、特に説明のないものについては、第
7の実施の形態と同じとし、第7の実施の形態と同一符
号を付与している構成部材については、特に説明のない
限り、第7の実施の形態と同様の機能を持つものとす
る。
【0130】図20は、本発明の第8の実施の形態にお
ける光学素子の断面図である。本実施の形態における光
学素子は、偏光分離素子として機能するものであり、図
20に示すように、第7の実施の形態における光学素子
のプロトン交換層2が形成されている側の面上に二酸化
ケイ素膜200(本発明の交換層反射防止膜に対応)
が、プロトン交換層3と斜め蒸着膜160との間に二酸
化ケイ素とタンタルオキサイドからなる混合膜201
(本発明の隣接層間反射防止膜に対応)が、斜め蒸着膜
160上にフッ化マグネシウム膜202(本発明の複屈
折層反射防止膜に対応)がそれぞれ形成されたものであ
る。
【0131】まず、二酸化ケイ素膜200について述べ
る。この二酸化ケイ素膜200はプロトン交換が周期的
に施されているニオブ酸リチウム基板1の表面での入射
ビームの反射を防止するためのものである。今、プロト
ン交換が周期的に施されているニオブ酸リチウムの屈折
率をnLN’、空気の屈折率をnAIRとすると、反射防止
膜の屈折率n3は数11のようになる。
【0132】
【数11】n3=(nLN’×nAIR1/2 第5の実施の形態において説明したように、nLN’=
2.19、nAIR=1であるから、これらを数11に代
入すると、反射防止膜の屈折率n3は1.48となる。
ここで、二酸化ケイ素膜の屈折率は1.45であるの
で、プロトン交換が周期的に施されたニオブ酸リチウム
基板1の表面での反射を防止する条件を満足し、この二
酸化ケイ素膜141の厚さを(2N+1)λ/4(λは
入射する光ビームの波長、Nは0以上の整数)とすると
二酸化ケイ素膜200は反射防止膜となる。
【0133】次に、二酸化ケイ素とタンタルオキサイド
からなる混合膜201について述べる。この混合膜20
1は、プロトン交換層3プと斜め蒸着膜160との界面
での入射ビームの反射を防止するためのものである。
今、プロトン交換されたニオブ酸リチウム(プロトン交
換層3)の屈折率をnPLN、Ta25の斜め蒸着膜16
0の屈折率をndとすると、反射防止膜の屈折率n4は数
12のようになる。
【0134】
【数12】n4=(nPLN×nd1/2 この数12にnPLN=2.12、nd=1.5を代入する
と反射防止膜の屈折率n4は1.78となる。ここで、
二酸化ケイ素の屈折率は1.45、タンタルオキサイド
を基板に対して垂直に蒸着された膜の屈折率は2である
ので二酸化ケイ素とタンタルオキサイドからなる混合膜
201はその組成比を適当に変えれば屈折率が1.78
とすることが可能である。よって、混合膜201は組成
を適当に選ぶことにより、プロトン交換層3と斜め蒸着
膜160との界面での反射を防止する条件を満足し、こ
の混合膜201の厚さを(2N+1)λ/4(λは入射
する光ビームの波長、Nは0以上の整数)とすると、混
合膜201は反射防止膜となる。
【0135】次に、フッ化マグネシウム膜202につい
て述べる。このフッ化マグネシウム膜202は、斜め蒸
着膜160の表面での入射ビームの反射を防止するため
のものである。今、斜め蒸着膜160の屈折率をnd
空気の屈折率をnAIRとすると、反射防止膜の屈折率n5
は数13のようになる。
【0136】
【数13】n5=(nd×nAIR1/2 この数13に、nd =1.5、nAIR =1を代入する
と、反射防止膜の屈折率n3は、1.22となる。この
ように低屈折率で丈夫な薄膜層を蒸着できる理想的な物
質はほとんど存在しない。しかし、フッ化マグネシウム
は屈折率が1.38であり、この屈折率は十分に妥協で
きる数値である。よって、フッ化マグネシウム膜202
は、斜め蒸着膜160の表面での反射を防止する条件を
満足し、このフッ化マグネシウム膜202の厚さを(2
N+1)λ/4(λは入射する光ビームの波長、Nは0
以上の整数)とするとフッ化マグネシウム膜202は反
射防止膜となる。
【0137】以上のように、プロトン交換層2が形成さ
れている側の面上に二酸化ケイ素膜を、プロトン交換層
3と斜め蒸着膜160との間に二酸化ケイ素とタンタル
オキサイドからなる混合膜を、斜め蒸着膜160上にフ
ッ化マグネシウム膜202をそれぞれ形成することによ
り、素子での反射を実質的に完全に防止することができ
る。
【0138】なお、本発明の交換層反射防止膜、隣接層
間反射防止膜および複屈折層反射防止膜の材料として、
本実施の形態においては、それぞれ二酸化ケイ素、二酸
化ケイ素とタンタルオキサイドの混合及びフッ化マグネ
シウムを用いるとして説明したが、所望の屈折率を有す
る材料であれば、これに限るものではない。
【0139】さらに、本発明の交換層反射防止膜、隣接
層間反射防止膜および複屈折層反射防止膜は、本実施の
形態においては、単層の反射防止膜であるとして説明し
たが、これに限るものではなく、多層の反射防止膜であ
ってもよい。
【0140】また、斜め蒸着膜160は、蒸着の角度に
より複屈折及び屈折率が変化するので、適当な蒸着角度
を選ぶと屈折率がプロトン交換が施されたニオブ酸リチ
ウムと空気との界面での反射を防止するような値とな
り、かつ、厚みが(2N+1)λ/4(λは入射する光
ビームの波長、Nは0以上の整数)で1/4波長板の性
質を有するような複屈折を持たせることが可能である
(アプライド・オプティックス28巻(1989年)第
2466頁から第2482頁(APPLIED OPT
ICS Vol28(1989)P.2466−248
2)参照)。このようにすれば、プロトン交換層3と斜
め蒸着膜160との間もしくは斜め蒸着膜160上での
反射を斜め蒸着膜160のみによって、防止できるよう
になる。したがって、本発明の隣接層間反射防止膜およ
び複屈折層反射防止膜を設ける必要がなくなるので、光
学素子の製造が簡略化され、また光学素子がさらに薄く
なる。
【0141】なお、第7の実施の形態および本実施の形
態においては、いずれも斜め蒸着膜160の材料として
Ta25を用いたが、WO3やBi23等の誘電体材料
を用いても良く、更に、蒸着角度が30゜以上であれば
良い(特開昭59−49508号公報や特開昭63−3
12970号公報参照)。
【0142】また、図2〜図4で示した第1の実施の形
態における光学素子の変形例に対応する第7の実施の形
態における光学素子の変形例に、本実施の形態と同様
に、本発明の交換層反射防止膜、隣接層間反射防止膜お
よび複屈折層反射防止膜がそれぞれ形成された変形例と
しても、同等の効果が得られる。
【0143】(第9の実施の形態)次に、本発明の第9
の実施の形態を図面を参照して説明する。本実施の形態
が上述した第1の実施の形態と異なるのは、本発明の応
力補正層に関する点のみであり、それ以外は、第1の実
施の形態と同様である。したがって、本実施の形態にお
いて、特に説明のないものについては、第1の実施の形
態と同じとし、第1の実施の形態と同一符号を付与して
いる構成部材については、特に説明のない限り、第1の
実施の形態と同様の機能を持つものとする。
【0144】図21は、本発明の第9の実施の形態にお
ける光学素子の断面図である。本実施の形態における光
学素子は、偏光分離素子として機能するものであり、図
21において、210はアルミナ膜(本発明の応力補正
層に対応)である。ここで偏光分離素子として機能する
面(図21のプロトン交換層2が形成されている側の
面)をE面とし、その裏面(図21のアルミナ膜210
が形成されている側の面)をF面とする。
【0145】前述したように、プロトン交換層2は元の
基板に比べて膨張しようとする力を内部に有しているた
めプロトン交換層2が存在する面(E面)側が凸になる
ように反ってしまう。そこで、偏光分離素子として働く
面(E面)の裏面(F面)上に正の熱膨張係数(熱がか
かると体積が増える)をもつ膜であるアルミナ膜210
を形成するものである。
【0146】アルミナ膜210の成膜方法としては、例
えば、電子ビーム蒸着が挙げられる。これは、ターゲッ
トを電子ビームで溶かし、高温の分子を基板上にとばし
固化させるものである。したがって、成膜時の基板温度
が上がるため、熱膨張係数が正のものは成膜後で縮むこ
とになり、凸になろうとする力(正の応力)が発生す
る。そこで、E面で生じる凸になろうとする力(正の応
力)をF面で生じる凸になろうとする力(正の応力)で
キャンセルすることで光学素子そのものは反らないよう
にすることができる。ここで、E面上のプロトン交換層
の深さはその光学素子の特性を満足するような深さにな
るが、F面上のアルミナ膜の膜厚はE面側のプロトン交
換層により生じる凸になろうとする力とほぼ等しくなる
ような膜厚にすればよい。
【0147】以上のように本実施の形態によれば、偏光
分離素子として働く面の裏面にアルミナ膜210を形成
する事により、偏光分離素子として働く面で生じる反り
を裏面のアルミナ膜で生じる反りでキャンセルすること
により光学素子そのものには反りがないようにすること
ができる。
【0148】なお、本実施の形態では、本発明の応力補
正層としてアルミナ膜を用いたが、同じ方向に反ろうと
する力を持つ膜であれば何ら問題はない。また、本発明
の応力補正層として、逆の方向に反ろうとする力(正の
応力に対して負の応力と呼ぶ)を有する膜たとえば、負
の熱膨張係数(温度が上がると体積が小さくなる)を持
つ膜であるタンタルオキサイドをプロトン交換層がある
面に形成すれば同じような効果が得られる。
【0149】また、本実施の形態における光学素子の変
形例として、本実施の形態における光学素子のE面側の
構成に替えて、図2〜図4で示した第1の実施の形態に
おける光学素子の変形例のA面側の構成を適用できる。
それぞれの場合の詳細説明は、第1の実施の形態におい
て行った説明に準じる。
【0150】なお、本発明のイオン交換層は、上述した
第1〜第9の実施の形態において、ニオブ酸リチウムの
X面がイオン交換されたものであるとして説明したが、
これに限るものではなく、ニオブ酸リチウムのY面がイ
オン交換されたものであるとしてよいし、更にニオブ酸
リチウムの代わりにリチウムタンタレートやニオブ酸リ
チウムとリチウムタンタレートの混晶を用いるものでも
よい。
【0151】また、本発明の光学素子は、上述した第1
〜第9の実施の形態において、本発明のイオン交換層に
よって、偏光分離を行うものであるとして説明したが、
これに限るものではなく、例えば、本発明のイオン交換
層によって、単に回折を行うものであるとしてよい、要
するに、イオン交換が可能な結晶である基板と前記結晶
のX面もしくはY面の所定の部分がイオン交換されたイ
オン交換層と、前記イオン交換層により前記基板に生じ
る応力を補正する応力補正層とを備えておればよい。
【0152】また、本発明の応力補正層は、上述した第
1〜第9の実施の形態において、本発明の基板のイオン
交換層が形成されている面と反対側の面に形成されてい
るとして説明したが、これに限るものではなく、例え
ば、本発明のイオン交換層が経されている面と同じ面、
あるいは、その他の面に形成されているとしてもよい、
要するに、イオン交換層により基板に生じる応力を補正
するように形成されておればよい。
【0153】また、本発明のイオン交換層は、上述した
第1〜第9の実施の形態において、プロトン交換層であ
るとして説明したが、これに限るものではなく、プロト
ン交換層以外のイオン交換層であってもよい。
【0154】(第10の実施の形態)次に、本発明の第
10の実施の形態を図面を参照して説明する。図22
は、本発明の第10の実施の形態における光ヘッドの構
成図である。本実施の形態における光ヘッドは、本発明
の光学素子のうち、偏光分離素子として機能するもので
あり、かつ、本発明の複屈折層を有していない光学素
子、例えば、上述した第1〜第5、第9の実施の形態に
おける光学素子(それらの変形例も含む)のいずれかを
備える光ヘッドである。以下、第1の実施の形態におけ
る光学素子を備えるものとして説明する。
【0155】図22において、221は光源、222は
コリメータレンズ、223は第1の実施の形態における
光学素子、224は1/4波長板、225は対物レン
ズ、226は光記録媒体、227は第1の光検出器、2
28は第2の光検出器である。ここで集光光学系は、コ
リメータレンズ222と対物レンズ225より構成され
ている。なお、1/4波長板224は本発明のn/4波
長板に、第1の光検出器227および第2の光検出器2
28は本発明の光検出手段の複数の受光部に、それぞれ
対応するものである。
【0156】ここで、光源221は、例えば半導体レー
ザー素子で構成され、光記録媒体226の記録層に対
し、記録再生用のコヒーレント光を出力する光源であ
る。光学素子223は、常光線の透過率を100%、異
常光線に対しては回折格子として作用して透過率を0%
の特性を有し、透過波面精度が従来例の光学素子よりも
良好なものである。コリメータレンズ222は、光源2
21から出射された光を平行光にするレンズである。1
/4波長板224は、例えば水晶で構成され、光源22
1から出力される直線偏光の光を円偏光に変換すると共
に、光記録媒体226の記録層で反射された光を照射時
とは異なる方向の直線偏光に変換する非線形光学素子で
ある。光検出器227は光記録媒体226で反射された
光のうち、光学素子223で回折された+1次光を受光
する光検出器である。また光検出器228は光記録媒体
226で反射された光のうち、光学素子223で回折さ
れた−1次光を受光する光検出器である。なお、1/4
波長板224は、n/4波長板(nは奇数)であっても
よい。
【0157】このように構成された光ヘッドの動作につ
いて、図22を用いて説明する。光源221から出射さ
れた直線偏光の光はコリメータレンズ222で平行光に
され、光学素子223を100%透過する。そしてこの
光は1/4波長板224で円偏光の光に変換され、対物
レンズ225により光記録媒体226上に集光される。
【0158】次に、光記録媒体226から反射された円
偏光の光は、対物レンズ225を透過した後、1/4波
長板224により光源221から出射された光の偏光方
向とは直交する方向の直線偏光の光に変換される。この
直線偏光の光は光学素子223により回折され、コリメ
ータレンズ222を透過し、回折の+1次光は光検出器
227に入射され、回折の−1次光は光検出器228に
入射される。
【0159】ここで、光記録媒体226上における光ビ
ームの合焦状態を示すフォーカス誤差信号及び光ビーム
の照射位置を示すトラッキング誤差信号の検出は、光学
素子223の回折格子の格子ベクトルを場所により変化
させ回折光の波面操作を行うことにより、従来のホログ
ラム素子を用いた誤差信号の検出方法(例えば、特開昭
62−137736号公報や特開昭63−229640
号公報など)を適用できる。そして、図示していないフ
ォーカス制御手段は上記した方法で得られたフォーカス
誤差信号に基づき常に光ビームが合焦状態で光記録媒体
226上に集光されるように対物レンズ225の位置を
その光軸方向に制御し、図示していないトラッキング制
御手段は上記した方法により得られたトラッキング誤差
信号に基づき光ビームを光記録媒体226上の所望のト
ラックに集光されるように対物レンズ225の位置を制
御する。また、第2の光検出器227からは光記録媒体
226に記録された情報信号をも得ている。
【0160】ここで、特開昭62−137736号公報
や特開昭63−229640号公報などに述べられてい
る回折格子を用いた光ヘッドでは往路でも回折格子を透
過するので往路で回折光が生じ、これが迷光となり再生
信号や誤差信号のノイズの原因となる。これに対して本
実施の形態における光ヘッドでは、偏光方向により入射
する光ビームを100%透過するかもしくは100%回
折させることのできる光学素子223を用いているので
往路で迷光を生じる等の問題はない。また、光学素子2
23の透過波面精度が上記したように小さいので対物レ
ンズ225での集光状態が良好であり、従来例で述べた
光ヘッドを用いたときに比べて再生信号のジッターが小
さくなる。
【0161】なお、本実施の形態における光ヘッドにお
いて、光学素子223に替えて、本発明の光学素子のう
ち、偏光分離素子として機能するものであり、かつ、本
発明の複屈折層を有する光学素子、例えば、上述した第
6〜第8の実施の形態における光学素子(それらの変形
例も含む)のいずれかの光学素子を備えるとすると、1
/4波長板224が不要になると共に、1/4波長板の
機能を有する複屈折層の調整は不必要であるので、光ヘ
ッドの更なる低コスト化につながる。
【0162】(第11の実施の形態)次に、本発明の第
11の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本
実施の形態において、特に説明のないものについては、
第10の実施の形態と同じとし、第10の実施の形態と
同一符号を付与している構成部材については、特に説明
のない限り、第10の実施の形態と同様の機能を持つも
のとする。
【0163】図23は、本発明の第11の実施の形態に
おける光ヘッドの構成図である。本実施の形態における
光ヘッドは、本発明の光学素子のうち、偏光分離素子と
して機能するものであり、かつ、本発明の複屈折層とし
て斜め蒸着膜を有する光学素子、例えば、上述した第
7、第8の実施の形態における光学素子(それらの変形
例も含む)のいずれかを備える光ヘッドである。以下、
第7の実施の形態における光学素子を備えるものとして
説明する。
【0164】図23において、231は第7の実施の形
態における光学素子、232は光学素子231の斜め蒸
着膜部分、233は光学素子231の偏光分離を行う周
期的なプロトン交換層がある部分である。ここで、光学
素子231は、斜め蒸着膜部分232が対物レンズ22
5側に、偏光分離を行う周期的なプロトン交換層がある
部分233が光源221側になるように配置されてい
る。集光光学系は対物レンズ225より構成されてい
る。
【0165】次に、本実施の形態における光ヘッドの動
作について、図23を用いて説明する。光源221から
出射された直線偏光の光ビームは光学素子231をほぼ
100%透過し、透過後の光ビームは斜め蒸着膜部分2
32により直線偏光から円偏光の光ビームに変えられ
る。この円偏光の光ビームは対物レンズ225により光
記録媒体226上に集光される。次に、光記録媒体22
6から反射された円偏光の光ビームは対物レンズ225
を透過した後、光学素子231の斜め蒸着膜部分232
で円偏光から光源221から出射された光ビームの偏光
方向と直交する方向の直線偏光の光ビームにされ、偏光
分離を行う周期的なプロトン交換層がある部分233で
ほぼ100%回折され、この回折された光ビームのうち
+1次光は第1の光検出器227に、−1次光は第2の
光検出器228に入射される。また、フォーカス誤差信
号、トラッキング誤差信号及び光記録媒体226に記録
された情報の再生信号は、第10の実施の形態における
光ヘッドの場合と、同じ方法で得ている。
【0166】次に、第10の実施の形態における光ヘッ
ドと本実施の形態における光ヘッドとの違いを述べる。
第10の実施の形態における光ヘッドに用いている1/
4波長板は水晶で作られたものであり、この1/4波長
板は第7の実施の形態で述べたように光ビームの入射角
に大きく依存する。したがって、光源221から出射さ
れる発散光をコリメータレンズで平行光にして1/4波
長板に入射しないといけない。しかし、光学素子231
は、本発明の複屈折層として斜め蒸着膜を有しているた
め、光ビームの入射角にあまり影響しないので、コリメ
ータレンズを用いて光源221からの発散光を平行光に
する必要がなく、光源221からの発散光を光学素子2
31に直接入射することができる。従って、コリメータ
レンズを用いる必要がなくなるので、光ヘッドの更なる
小型化が可能となり、コリメータレンズの調整工程がい
らなくなるので低コストの光ヘッドが構成できる。ま
た、光学素子231の透過波面精度が上記したように小
さいので対物レンズ225での集光状態が良好であり、
従来例で述べた光ヘッドを用いたときに比べて再生信号
のジッターが小さくなる。
【0167】(第12の実施の形態)次に、本発明の第
12の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本
実施の形態において、特に説明のないものについては、
第10の実施の形態と同じとし、第10の実施の形態と
同一符号を付与している構成部材については、特に説明
のない限り、第10の実施の形態と同様の機能を持つも
のとする。
【0168】図24は、本発明の第12の実施の形態に
おける光ヘッドの構成図である。本実施の形態における
光ヘッドは、本発明の光学素子のうち、偏光分離素子と
して機能するものであり、かつ、本発明の複屈折層を有
する光学素子、例えば、上述した第6〜第8の実施の形
態における光学素子(それらの変形例も含む)のいずれ
かを備える光ヘッドである。以下、第7の実施の形態に
おける光学素子を備えるものとして説明する。
【0169】図24において、241は立ち上げミラ
ー、242は第7の実施の形態における光学素子、24
3は光学素子242の偏光分離を行う周期的なプロトン
交換層がある部分、244は光学素子242の1/4波
長板として機能する部分である。ここで、集光光学系は
コリメータレンズ222と対物レンズ225より構成さ
れている。また、光学素子242は、1/4波長板とし
て機能する部分244が対物レンズ225側に、偏光分
離を行う周期的なプロトン交換層2がある部分243が
光源221側になるように配置されている。ここで、対
物レンズ225と光学素子242は一体化されており、
図示していないフォーカス制御手段とトラッキング制御
手段により対物レンズ225と光学素子242は一体で
位置の制御がなされるものである。
【0170】次に、本実施の形態における光ヘッドの動
作について、図24を用いて説明する。光源221から
出射された直線偏光の光ビームはコリメータレンズ22
2で平行光にされ、立ち上げミラー241により光ビー
ムの方向を変え、光学素子242をほぼ100%透過
し、1/4波長板として機能する部分244により透過
後の光ビームは直線偏光から円偏光の光ビームに変えら
れ、対物レンズ225により光記録媒体226上に集光
される(往路は実線で示している)。次に、光記録媒体
226から反射された円偏光の光ビームは対物レンズ2
25を透過した後、光学素子242の1/4波長板とし
て機能する部分244で円偏光から光源221から出射
された光ビームの偏光方向と直交する方向の直線偏光の
光ビームにされ、偏光分離を行う周期的なプロトン交換
層がある部分243でほぼ100%回折され、この回折
された光ビームは立ち上げミラー241で方向を変えら
れ、コリメータレンズ222を透過して、+1次光は第
1の光検出器227に、−1次光は第2の光検出器22
8に入射される(復路は点線で示している)。また、フ
ォーカス誤差信号、トラッキング誤差信号及び光記録媒
体226に記録された情報の再生信号は、第10の実施
の形態における光ヘッドの場合と、同じ方法で得てい
る。
【0171】以上のように、光学素子と対物レンズとが
一体化されているので、光ヘッドの組立時の調整工程が
少なくなり、光ヘッドの低コスト化につながると共に、
レンズシフトによる再生信号の劣化が小さくなるので、
光ヘッドの特性の向上につながる。
【0172】また、立ち上げミラーを用いることにより
光ヘッドの高さを小さくしているので、ノート型パソコ
ンのような非常に薄いドライブに組み込むことが可能と
なる。更に、本発明の複屈折層を有する光学素子を用い
るため、と1/4波長板の厚みが非常に薄いので、光ヘ
ッドの高さを更に小さくすることができる。
【0173】更に、本実施の形態においては、コリメー
タレンズを用いて、光源から出射される発散ビームを平
行光にしているが、第11の実施の形態で述べたよう
に、コリメータレンズをなくしても何等問題はなく、ま
た、コリメータレンズがないと調整工程がいらないので
低コスト化が図れる。
【0174】なお、本発明の光ヘッドは、上述した第1
0〜第12の実施の形態において、本発明の光学素子の
うち、偏光分離素子として機能するものを備えるものと
して説明したが、これに限るものではなく、例えば、本
発明のイオン交換層によって、単に回折を行う光学素子
を備えるものであるとしてよい、要するに、本発明の光
学素子を備えるものであればよい。本発明の光学素子
は、イオン交換層によって回折を行う光学素子におい
て、反りが小さく透過波面に収差を与えない光学素子で
あるので、本発明の光学素子を備えることによって、小
型で低コストの光ヘッドを実現することができる。
【0175】また、本発明の光ヘッドは、上述した第1
0〜第12の実施の形態において、本発明の光学素子ま
たはn/4波長板によって、まず、直線偏光から円偏光
へ変換され、光記録媒体で反射された後、円偏光から直
線偏光へ変換されるとして説明したが、これに限るもの
ではなく、例えば、まず、直線偏光から円偏光もしくは
楕円偏光に変換され、光記録媒体で反射された後、円偏
光もしくは楕円偏光から直線偏光もしくは楕円偏光に変
換されるとしてよい、要するに、偏光方向が変換の前後
で互いに直交するように変換されればよい。
【0176】
【発明の効果】以上説明したところから明らかなよう
に、請求項1〜12の本発明は、イオン交換層によって
回折を行う光学素子において、反りが小さく透過波面に
収差を与えない光学素子を提供することができる。
【0177】また、請求項13、14の本発明は、イオ
ン交換層によって回折を行う光学素子の製造方法におい
て、反りが小さく透過波面に収差を与えない光学素子の
製造方法を提供することができる。
【0178】さらに、請求項15〜19の本発明は、本
発明の光学素子を用いて小型で低コストの光ヘッドを提
供することができる。
【0179】すなわち、本発明の光学素子は、プロトン
交換で生じる反ろうとする力を応力補正層で生じる逆の
反ろうとする力でキャンセルするので光学素子そのもの
には反りが生じず、透過波面精度が良好となる。
【0180】また、本発明の光学素子の製造方法は、す
べての工程がウェハーで行うことができるため、大量生
産が可能で低コストな方法である。
【0181】さらに、本発明の光学素子を備える本発明
の光ヘッドでは光記録媒体の再生時のジッターが小さく
なる。そのため、光ヘッドを構成する種々の部品の透過
波面精度のマージンが広がり、低コストで小型の光ヘッ
ドを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における光学素子の
断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における光学素子の
変形例の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における光学素子の
変形例の断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における光学素子の
変形例の断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における光学素子の
製造方法の工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における光学素子の
製造方法の工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態における光学素子の
製造方法の工程を示す断面図である。
【図8】タンタルオキサイド膜厚とプロトン交換深さの
関係を示した図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態における光学素子の
断面図である。本
【図10】本発明の第4の実施の形態における光学素子
のD面側の平面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態における光学素子
の変形例のD面側の平面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態における光学素子
の変形例のD面側の平面図である。
【図13】図13は、本発明の第4の実施の形態におけ
る光学素子の製造方法の工程を示す断面図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態における光学素子
の断面図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態における光学素子
の断面図である。
【図16】本発明の第7の実施の形態における光学素子
の断面図である。
【図17】光学素子への斜め蒸着を説明する図である。
【図18】光学素子への入射光の入射角を示す説明図で
ある。
【図19】本発明の第7の実施の形態における光学素子
の製造方法の工程を示す断面図である。
【図20】本発明の第8の実施の形態における光学素子
の断面図である。
【図21】本発明の第9の実施の形態における光学素子
の断面図である。
【図22】本発明の第10の実施の形態における光ヘッ
ドの構成図である。
【図23】本発明の第11の実施の形態における光ヘッ
ドの構成図である。
【図24】本発明の第12の実施の形態における光ヘッ
ドの構成図である。
【図25】従来の光ヘッドの構成図である。
【図26】従来の光学素子の断面図である。
【符号の説明】
1 ニオブ酸リチウム基板 2、3 プロトン交換層 221 光源 222 コリメータレンズ 224 1/4波長板 225 対物レンズ 226 光記録媒体 227 第1の光検出器 228 第2の光検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 博昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 大谷 健二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 岡田誠治郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 白岩 弘 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H049 AA03 AA33 AA37 AA44 AA51 AA57 BA05 BA06 BA42 BA45 BA47 BB03 BB41 5D119 AA02 AA05 AA38 AA43 BA01 CA09 EC32 JA12 JA14 JA25 JA32 JA64 JA65 JB03 LB07 NA05

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イオン交換が可能な結晶である基板と、 前記結晶のX面もしくはY面の所定の部分がイオン交換
    されたイオン交換層と、 前記イオン交換層により前記基板に生じる応力を補正す
    る応力補正層とを備えることを特徴とする光学素子。
  2. 【請求項2】 前記結晶は、LiTaXNb1-X3(0
    ≦X≦1)であることを特徴とする請求項1に記載の光
    学素子。
  3. 【請求項3】 前記イオン交換層によって、偏光分離を
    行うことを特徴とする請求項1または2に記載の光学素
    子。
  4. 【請求項4】 前記応力補正層は、前記基板の前記イオ
    ン交換層が形成されている面と反対側の面の全面または
    一部に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の光学素子。
  5. 【請求項5】 前記応力補正層は、前記イオン交換層と
    同様に、前記結晶がイオン交換されたものであることを
    特徴とする請求項4に記載の光学素子。
  6. 【請求項6】 前記応力補正層は、アルミナ薄膜または
    その他の薄膜で形成されていることを特徴とする請求項
    4に記載の光学素子。
  7. 【請求項7】 外部から前記イオン交換層への入射光の
    反射を防止する交換層反射防止膜と、 外部から前記応力補正層への入射光の反射を防止する補
    正層反射防止膜とを備えることを特徴とする請求項4〜
    6のいずれかに記載の光学素子。
  8. 【請求項8】 前記応力補正層上に配置された複屈折層
    を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記
    載の光学素子。
  9. 【請求項9】 前記複屈折層は、n/4波長板(ここで
    nは奇数)であることを特徴とする請求項8に記載の光
    学素子。
  10. 【請求項10】 外部から前記イオン交換層への入射光
    の反射を防止する交換層反射防止膜と、 前記応力補正層と前記複屈折層との間の入射光の反射を
    防止する隣接層間反射防止膜と、 外部から前記複屈折層への入射光の反射を防止する複屈
    折層反射防止膜とを備えることを特徴とする請求項8ま
    たは9に記載の光学素子。
  11. 【請求項11】 前記複屈折層は、水晶であることを特
    徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の光学素子。
  12. 【請求項12】 前記複屈折層は、誘電体が斜めから蒸
    着された斜め蒸着膜であることを特徴とする請求項8〜
    10のいずれかに記載の光学素子。
  13. 【請求項13】 イオン交換層形成用のマスクパターン
    をLiTaXNb1-X 3(0≦X≦1)結晶基板の面上
    に形成するマスクパターン形成工程と、 前記マスクパターン形成工程の後、前記マスクパターン
    で特定された領域においてリチウムイオンを水素イオン
    にイオン交換することによって、イオン交換層を形成す
    るイオン交換層形成工程と、 前記イオン交換層形成工程の後、イオン交換された前記
    特定された領域もしくはそれ以外の領域を選択的にエッ
    チングすることによって、または、前記特定された領域
    上もしくは前記それ以外の領域上に誘電体膜を形成する
    ことによって、前記特定された領域の表面と前記それ以
    外の領域の表面との高低差を調整する高低差調整工程
    と、 前記イオン交換層により生じる応力を補正する応力補正
    層を形成する応力補正層形成工程とを含み、 前記応力補正層形成工程は、前記イオン交換層形成工程
    の前に、前記イオン交換層形成工程と同時に、または、
    前記イオン交換層形成工程の後に行われることを特徴と
    する光学素子の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記高低差調整工程の後、前記応力補
    正層上に誘電体材料を斜めに蒸着する蒸着膜形成工程を
    含むことを特徴とする請求項13に記載の光学素子の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 請求項1〜12のいずれかに記載の光
    学素子を備えることを特徴とする光ヘッド。
  16. 【請求項16】 光記録媒体へ向けてコヒーレントな光
    を出射する光源と、 前記光源の前記光記録媒体側に配置されたコリメータレ
    ンズと、 前記コリメータレンズの前記光記録媒体側に配置された
    請求項1〜6のいずれかに記載の光学素子と、 前記光学素子の前記光記録媒体側に配置されたn/4波
    長板(ここでnは奇数)と、 前記n/4波長板の前記光記録媒体側に配置された対物
    レンズと、 前記光学素子によって回折された回折光を受光する1つ
    または複数の受光部を有し、前記光記録媒体のフォーカ
    ス誤差信号、トラッキング誤差信号および/または前記
    光記録媒体に記録された情報信号を検出する光検出手段
    とを備え、 前記光源から出射された光は、前記コリメータレンズに
    よって実質的に平行光にされ、前記光学素子を透過し
    て、前記n/4波長板によって円偏光もしくは楕円偏光
    に変換された後、前記対物レンズによって前記光記録媒
    体に集光され、 前記光記録媒体で反射された光は、前記対物レンズによ
    って集光され、前記n/4波長板によって直線偏光もし
    くは楕円偏光に変換され、前記光学素子によって回折さ
    れた後、前記コリメータレンズによって前記受光部に集
    光され、 前記受光部は、前記各信号に対応する前記回折光を受光
    できるように配置されていることを特徴とする光ヘッ
    ド。
  17. 【請求項17】 光記録媒体へ向けてコヒーレントな光
    を出射する光源と、 前記光源の前記光記録媒体側に配置されたコリメータレ
    ンズと、 前記コリメータレンズの前記光記録媒体側に配置された
    請求項7〜12のいずれかに記載の光学素子と、 前記光学素子の前記光記録媒体側に配置された対物レン
    ズと、 前記光学素子によって回折された回折光を受光する1つ
    または複数の受光部を有し、前記光記録媒体のフォーカ
    ス誤差信号、トラッキング誤差信号および/または前記
    光記録媒体に記録された情報信号を検出する光検出手段
    とを備え、 前記光源から出射された光は、前記コリメータレンズに
    よって実質的に平行光にされ、前記光学素子によって円
    偏光もしくは楕円偏光に変換された後、前記対物レンズ
    によって前記光記録媒体に集光され、 前記光記録媒体で反射された光は、前記対物レンズによ
    って集光され、前記光学素子によって直線偏光もしくは
    楕円偏光に変換されて回折された後、前記コリメータレ
    ンズによって前記受光部に集光され、 前記受光部は、前記各信号に対応する前記回折光を受光
    できるように配置されていることを特徴とする光ヘッ
    ド。
  18. 【請求項18】 光記録媒体へ向けてコヒーレントな光
    を出射する光源と、 前記光源の前記光記録媒体側に配置された請求項12に
    記載の光学素子と、 前記光学素子の前記光記録媒体側に配置された対物レン
    ズと、 前記光学素子によって回折された回折光を受光する1つ
    または複数の受光部を有し、前記光記録媒体のフォーカ
    ス誤差信号、トラッキング誤差信号および/または前記
    光記録媒体に記録された情報信号を検出する光検出手段
    とを備え、 前記光源から出射された光は、前記光学素子によって円
    偏光もしくは楕円偏光に変換された後、前記対物レンズ
    によって前記光記録媒体に集光され、 前記光記録媒体で反射された光は、前記対物レンズによ
    って集光され、前記光学素子によって直線偏光もしくは
    楕円偏光に変換されて回折された後、前記受光部に入射
    され、 前記受光部は、前記各信号に対応する前記回折光を受光
    できるように配置されていることを特徴とする光ヘッ
    ド。
  19. 【請求項19】 前記光学素子は、前記コリメータレン
    ズまたは前記対物レンズと一体化されていることを特徴
    とする請求項17または18に記載の光ヘッド。
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