JP2000045244A - 水質浄化堤及びその内水域からの取水方法 - Google Patents
水質浄化堤及びその内水域からの取水方法Info
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Abstract
する。 【構成】本発明に係る水質浄化堤11は、全体として円
弧状に形成してあり、その両端を陸地12につなげるこ
とで、陸地12近傍に拡がる海域を外水域5と内水域6
とに分離するように構築してある。ここで、水質浄化堤
11は、任意の目的、例えば工業用水として利用すべ
く、内水域6の水を取水することを前提としているが、
そのときの時間あたりの取水量をQ、満潮から干潮まで
の時間をT、潮差をHとしたとき、内水域6の面積Aが
A>Q・T/Hとなるように水質浄化堤11を構築して
ある。
Description
取り囲むようにして構築される水質浄化堤及びその内水
域からの取水方法に関する。
に富んだ親水空間を確保するためには、水質を浄化して
良好な水環境を形成することが不可欠であるが、その目
的達成手段として水質浄化堤が注目されている。
石からなる堤体材2を海底3からほぼ台形状に積み上
げ、これを所定の被覆石4で被覆したものであり、所定
の水域を取り囲むようにして構築しておけば、自然生態
系の水質浄化機能によって清浄な水質の内水域6を創出
することができる。
外水域5の海水が水質浄化堤1の堤体材2の間隙を通っ
て内水域6に移動するが、そのときに海水中に含まれる
プランクトン等の汚濁成分は、堤体材2の表面に付着形
成された微生物群からなる生物膜によって付着あるいは
捕捉され、さらに礫間に棲息する貝類や甲殻類によって
摂取され除去される。
って、人工的なメンテナンスを必要とすることなく、堤
体材2の目詰まりが防止されるとともに、かかる往復流
によって内水域6の水交換も可能となる。
1が本来持っている自然の浄化機能を維持するために
は、潮の干満を利用した往復流が不可欠となるが、浄化
された海水を例えば工業用水として内水域6から取水す
る場合には、満潮から干潮に移行する際に、本来であれ
ば図5(a)に示すように内水域6から外水域5へ流れる
はずの海水が、取水量(取水速度)が大きすぎると、同
図(b)に示すように外水域5には流れ出さず、内水域6
に逆流するという問題を生じていた。
なって堤体材2が目詰まりを起こし、水交換機能や自然
の浄化機能が低下する原因となる。
たもので、内水域から取水する際にも海水の往復流を確
保することが可能な水質浄化堤及びその内水域からの取
水方法を提供することを目的とする。
め、本発明に係る水質浄化堤は請求項1に記載したよう
に、堤体材を積み上げて構成した水質浄化堤において、
内水域からの時間あたりの取水量をQ、満潮から干潮ま
での時間をT、潮差をHとしたとき、内水域の面積A
が、A>Q・T/Hとなるように構築したものである。
に記載したように、堤体材を積み上げて構成した水質浄
化堤において、内水域から取水可能な取水設備を備えて
なり、該取水設備を、前記内水域の面積をA、満潮から
干潮までの時間をT、潮差をHとしたとき、その時間あ
たりの取水量Qが、Q<A・H/Tとなるように構成し
たものである。
らの取水方法は請求項3に記載したように、堤体材を積
み上げて構成した水質浄化堤の内水域の面積をA、満潮
から干潮までの時間をT、潮差をHとしたとき、内水域
からの時間あたりの取水量Qを、Q<A・H/Tに取水
制限するものである。
らの取水方法においては、堤体材を積み上げて構成した
水質浄化堤の内水域からの時間あたりの取水量をQ、満
潮から干潮までの時間をT、潮差をH、内水域の面積を
Aとしたとき、これらが、A>Q・T/H、あるいはQ
<A・H/Tなる関係を満足するように内水域の面積A
を確保し、あるいは時間あたりの取水量Qを制限する。
水域における水位降下速度Q/Aは、外水域における水
位降下速度H/Tを常に下回ることとなり、かかる時間
帯において内水域から外水域へと向かう海水の流れが確
保される。
計上概ね6時間と定めることができるが、起潮力は複雑
に変動して完全な周期性を持たないので、かかる時間T
をどのように定めるかは任意である。
いても、これをどのように設定するかは任意であるが、
時期的変動及び地理的変動を考慮した上で最小値をとる
ようにすれば、年間を通して海水の往復流を確保するこ
とが可能となる。ちなみに、かかる最小値としては、月
の起潮力が太陽の起潮力と打ち消し合って小さくなる上
弦あるいは下弦のとき、すなわち小潮のときの潮差を用
いることが考えられる。
びその内水域からの取水方法の実施の形態について、添
付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に
同一の部品等については同一の符号を付してその説明を
省略する。
を示した全体平面図である。同図でわかるように、本実
施形態に係る水質浄化堤11は、全体として円弧状に形
成してあり、その両端を陸地12につなげることで、陸
地12近傍に拡がる海域を外水域5と内水域6とに分離
するように構築してある。
例えば工業用水として利用すべく、内水域6の水を取水
することを前提としているが、そのときの時間あたりの
取水量をQ、満潮から干潮までの時間をT、潮差をHと
したとき、内水域6の面積AがA>Q・T/Hとなるよ
うに水質浄化堤11を構築してある。
4で説明した従来の水質浄化堤1と同様、堤体材2を海
底3からほぼ台形状に積み上げ、これを所定の被覆石4
で被覆して構成してあり、堤体材2としては、生物膜が
付着するとともに貝等の生物が棲息できるもの、例えば
粒径が20cm〜30cm程度の礫や砕石あるいはコン
クリート廃材などを使用することができる。
ては、設計上概ね6時間と定めることができる。また、
潮差Hすなわち満潮と干潮の潮位の差としては、小潮の
ときの潮差を用いるのが望ましい。小潮のときの潮差を
用いれば、年間を通して海水の往復流を常時確保するこ
とが可能となる。
は、内水域6からの時間あたりの取水量をQ、満潮から
干潮までの時間をT、潮差をH、内水域の面積をAとし
たとき、これらが、A>Q・T/Hなる関係を満足する
ように内水域6の面積Aを確保してある。
水域における水位降下速度V2=Q/Aは、図2に示す
ように、外水域5における水位降下速度V1=H/Tを
常に下回ることとなり、かかる時間帯での取水時におい
ても、内水域6の海水は、外水域5へと流れ出す。
質浄化堤11によれば、満潮から干潮までの内水域にお
ける水位降下速度V2=Q/Aが、外水域5における水
位降下速度V1=H/Tを常に下回るので、満潮から干
潮までの時間帯に時間あたりQだけ取水したとしても、
内水域6の海水は、外水域5へと流れだす。一方、干潮
から満潮までの時間帯は、取水の有無に関わらず外水域
5から内水域6へと海水が流れ込む。
いて海水の往復流を確保することが可能となるととも
に、その結果として堤体材2の目詰まりが未然に防止さ
れ、水交換機能や自然の浄化機能をメンテナンスフリー
で維持することが可能となる。
その内水域からの取水方法について説明する。なお、上
述の実施形態と実質的に同一の部品等については同一の
符号を付してその説明を省略する。
を示した全体平面図である。同図でわかるように、本実
施形態に係る水質浄化堤21についても水質浄化堤11
と同様、全体として円弧状に形成してあり、その両端を
陸地12につなげることで、陸地12近傍に拡がる海域
を外水域5と内水域6とに分離するように構築してあ
る。
的、例えば工業用水として利用すべく、内水域6から水
を取水する取水設備22を設置してあり、該取水設備
は、内水域6の面積をA、満潮から干潮までの時間を
T、潮差をHとしたとき、その時間あたりの取水量Qが
Q<A・H/Tとなるように構成してある。
内水域からの取水方法においては、取水設備22を介し
て内水域6から取水する際、時間あたりの取水量QがQ
<A・H/Tとなるように取水制限を行う。
すると、満潮から干潮までの内水域における水位降下速
度V2=Q/Aは、図2と同様、外水域5における水位
降下速度V1=H/Tを常に下回ることとなり、かかる
時間帯での取水時においても、内水域6の海水は外水域
5へと流れ出す。
質浄化堤21及びその内水域からの取水方法によれば、
満潮から干潮までの内水域における水位降下速度V2=
Q/Aが、外水域5における水位降下速度V1=H/T
を常に下回るので、満潮から干潮までの時間帯に時間あ
たりQだけ取水したとしても、内水域6の海水は、外水
域5へと流れだす。一方、干潮から満潮までの時間帯
は、取水の有無に関わらず外水域5から内水域6へと海
水が流れ込む。
いて海水の往復流を確保することが可能となるととも
に、その結果として堤体材2の目詰まりが未然に防止さ
れ、水交換機能や自然の浄化機能をメンテナンスフリー
で維持することが可能となる。
水設備22で行うようにしたが、かかる恒久的な取水設
備22を設置せずとも、例えば給水車のような浄化水搬
送手段を介して内水域6から取水するようにしてもよ
い。かかる場合においても、上述したと同様に内水域6
からの取水量を制限するようにすれば、やはり水質浄化
堤21の断面内で海水の往復流を確保することが可能と
なる。
化堤及びその内水域からの取水方法によれば、満潮から
干潮までの時間帯に取水したとしても、内水域の海水
は、外水域へと流れだすので、水質浄化堤の断面内にお
いて海水の往復流を確保することが可能となり、その結
果として堤体材の目詰まりが未然に防止され、水交換機
能や自然の浄化機能をメンテナンスフリーで維持するこ
とが可能となる。
断面図。
従来の水質浄化堤の断面図。
Claims (3)
- 【請求項1】 堤体材を積み上げて構成した水質浄化堤
において、 内水域からの時間あたりの取水量をQ、満潮から干潮ま
での時間をT、潮差をHとしたとき、内水域の面積A
が、A>Q・T/Hとなるように構築したことを特徴と
する水質浄化堤。 - 【請求項2】 堤体材を積み上げて構成した水質浄化堤
において、 内水域から取水可能な取水設備を備えてなり、該取水設
備を、前記内水域の面積をA、満潮から干潮までの時間
をT、潮差をHとしたとき、その時間あたりの取水量Q
が、Q<A・H/Tとなるように構成したことを特徴と
する水質浄化堤。 - 【請求項3】 堤体材を積み上げて構成した水質浄化堤
の内水域の面積をA、満潮から干潮までの時間をT、潮
差をHとしたとき、内水域からの時間あたりの取水量Q
を、Q<A・H/Tに取水制限することを特徴とする水
質浄化堤の内水域からの取水方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21005598A JP3555128B2 (ja) | 1998-07-24 | 1998-07-24 | 水質浄化堤及びその内水域からの取水方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP21005598A JP3555128B2 (ja) | 1998-07-24 | 1998-07-24 | 水質浄化堤及びその内水域からの取水方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000045244A true JP2000045244A (ja) | 2000-02-15 |
JP3555128B2 JP3555128B2 (ja) | 2004-08-18 |
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ID=16583076
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP21005598A Expired - Fee Related JP3555128B2 (ja) | 1998-07-24 | 1998-07-24 | 水質浄化堤及びその内水域からの取水方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3555128B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006205000A (ja) * | 2005-01-26 | 2006-08-10 | Kazuaki Akai | 「海洋の空(utsuro)」による閉鎖性水域を利用した高度浄化システム |
JP2008142666A (ja) * | 2006-12-12 | 2008-06-26 | Ohbayashi Corp | 海水浄化システム及び海水浄化方法 |
JP2011088075A (ja) * | 2009-10-22 | 2011-05-06 | Ohbayashi Corp | 石積み浄化堤の機能維持方法及びシステム |
-
1998
- 1998-07-24 JP JP21005598A patent/JP3555128B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006205000A (ja) * | 2005-01-26 | 2006-08-10 | Kazuaki Akai | 「海洋の空(utsuro)」による閉鎖性水域を利用した高度浄化システム |
JP2008142666A (ja) * | 2006-12-12 | 2008-06-26 | Ohbayashi Corp | 海水浄化システム及び海水浄化方法 |
JP2011088075A (ja) * | 2009-10-22 | 2011-05-06 | Ohbayashi Corp | 石積み浄化堤の機能維持方法及びシステム |
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JP3555128B2 (ja) | 2004-08-18 |
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