JP2000044625A - 多官能性ポリマーの製造方法 - Google Patents

多官能性ポリマーの製造方法

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JP2000044625A
JP2000044625A JP10226544A JP22654498A JP2000044625A JP 2000044625 A JP2000044625 A JP 2000044625A JP 10226544 A JP10226544 A JP 10226544A JP 22654498 A JP22654498 A JP 22654498A JP 2000044625 A JP2000044625 A JP 2000044625A
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Fumiaki Suzuki
文章 鈴木
Kazunari Ishiura
一成 石浦
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多価のリビングポリマーを含有する非極性炭
化水素系溶媒溶液に官能化剤を添加して官能化し、多官
能性ポリマーを製造する。官能化における溶液粘度の著
しい上昇を抑制する。 【解決手段】 多価のリビングポリマーを含有する上記
溶液に、官能化剤、酸とアルカリ金属からなるアルカリ
金属塩および非プロトン性極性溶媒を添加する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多価のリビングポ
リマーを官能化剤と反応させることにより、末端多官能
性ポリマーを工業的に有利に製造する方法に関するもの
である。また、本発明は、多官能性アニオン重合開始剤
を用いたビニル系モノマーの重合と、それに続く、官能
化剤を用いた分子末端官能化の組み合わせにより、末端
多官能性ポリマーを工業的に有利に製造する方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】アニオン重合開始剤を用いた、有機溶媒
中におけるビニル系モノマーのアニオン重合は、芳香族
ビニル系モノマーと共役ジエンモノマーの共重合体から
なる熱可塑性の樹脂またはエラストマーを製造する方法
等に適用されて工業的に広く利用されている。また、こ
の種のアニオン重合においては、形成されたポリマーの
重合活性末端の反応性を利用して、重合後に各種の官能
化剤を反応させることにより分子末端に官能基を有する
末端官能性ポリマーを製造することも可能である。アニ
オン重合の中でも特にアニオンリビング重合と称される
ものは、分子量の揃ったポリマーが得られ、かつ、官能
基の導入率が高いことから、末端官能性ポリマーを製造
するにあたり極めて優れた方法となる。アニオン重合開
始剤を用いたビニル系モノマーの重合により得られたリ
ビングポリマーの重合活性末端を官能化する方法として
は、例えば米国特許第3,786,116号明細書に記
載されているような末端ヒドロキシル化および末端メル
カプト化や、欧州特許出願公開第211,395号明細
書および同第244,603号明細書に記載されている
ような末端アミノ化等が知られている。しかし、上記の
ような末端官能性ポリマーの製造手法を、アニオン重合
開始剤として多官能性のものを用いた末端多官能性ポリ
マーの製造に適用すると、官能化と同時にアニオン末端
同士の会合力が増して反応系の溶液の粘度が著しく増大
する現象に遭遇する。この種の現象は、重合用溶媒とし
て非極性炭化水素を使用しているときには特に顕著であ
る。例えば特開平4−246408号公報では、非極性
炭化水素溶媒中での官能化における粘度上昇に伴う撹拌
不良が官能化の反応収率低下を引起こすことから、官能
化での粘度上昇が過度なものとならないように、溶液中
のリビングポリマーの濃度を6〜10%に制御すること
が有利であると記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
多官能性のアニオン重合開始剤および非極性炭化水素系
の重合用溶媒を用いて多官能性ポリマーの製造を試み
た。その結果、上記特開平4−246408号公報の記
載に従ってポリマー濃度を6%程度に抑えた場合でも、
官能化剤の添加に伴う粘度増大は予想外に著しく、溶液
はゲル状に固化してしまうことが判明した。このように
固いゲル化物を撹拌するには極めて高い撹拌能力を有す
る撹拌装置が必要であり、工業的に通常使用される溶液
重合設備に備え付けられる撹拌装置では撹拌が不可能で
ある。さらに、本発明者らの検討によると、かかる官能
化の際に引き起こされる溶液粘度上昇は、溶媒として極
性溶媒を使用している場合には幾分低減されることが判
明した。しかし、極性溶媒中でアニオン重合を行う場合
には、非極性溶媒中でアニオン重合を行う場合に比べて
重合活性種の反応性が高く、重合活性種が溶媒と反応し
て失活する等の望ましくない副反応を引き起こしやす
い。また、共役ジエンモノマーを重合させる場合、極性
溶媒の使用は、形成されるポリジエン鎖のミクロ構造に
占めるビニル構造の割合を著しく高めるので、所望のミ
クロ構造を有するポリマーを得ることができなくなる場
合もある。
【0004】したがって、本発明の課題は、非極性炭化
水素系溶媒中において多官能性アニオン重合開始剤を用
いてビニル系モノマーのアニオン重合を行うことによっ
て得られるような多価のリビングポリマーを含有する溶
液に、官能化剤を添加して末端官能化を行うに際し、官
能化において生起する溶液粘度の著しい上昇を抑制する
ことができ、そのため、工業的に通常使用される程度の
撹拌能力の溶液重合設備を使用することが可能となる、
多官能性ポリマーの工業的に有利な製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる状況下において、
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ね
た結果、官能化の工程において、特定の塩と溶媒を組み
合わせて溶液に添加することにより、溶液粘度上昇を効
果的に減少しうることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0006】すなわち本発明は、第1には、分子中に複
数個のカルボアニオン末端を有する多価のリビングポリ
マーを含有する非極性炭化水素を主体とする有機溶媒の
溶液に、該リビングポリマーのカルボアニオン末端と反
応してヘテロ元素のアニオンを生じせしめる官能化剤、
酸とアルカリ金属からなるアルカリ金属塩および非プロ
トン性極性溶媒を添加することにより、該リビングポリ
マーと該官能化剤を反応させることを特徴とする多官能
性ポリマーの製造方法である。
【0007】また本発明は、第2には、(1)非極性炭
化水素を主体とする有機溶媒中で、ビニル系モノマーを
多官能性アニオン重合開始剤を用いて重合することによ
り、分子中に複数個のカルボアニオン末端を有する多価
のリビングポリマーを含有する溶液を得、次いで(2)
該溶液に、該リビングポリマーのカルボアニオン末端と
反応してヘテロ元素のアニオンを生じせしめる官能化
剤、酸とアルカリ金属からなるアルカリ金属塩および非
プロトン性極性溶媒を添加することにより、該リビング
ポリマーと該官能化剤を反応させることを特徴とする多
官能性ポリマーの製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のうち上記第1の態様にお
ける、分子中に複数個のカルボアニオン末端を有する多
価のリビングポリマーを含有する非極性炭化水素を主体
とする有機溶媒の溶液は、例えば、上記本発明の第2の
態様における非極性炭化水素を主体とする有機溶媒中
で、ビニル系モノマーを多官能性アニオン重合開始剤を
用いて重合することにより得ることができる。
【0009】本発明に従う非極性炭化水素系有機溶媒中
におけるビニル系モノマーのアニオン重合は、公知の手
法に準じて行うことができる。
【0010】本発明で用いられる多官能性アニオン重合
開始剤としては、例えば、通常この種の用途に使用でき
ることが知られているような、分子中に2個以上のアル
カリ金属原子を有する有機金属化合物から選択すること
ができ、主として非極性炭化水素からなる有機溶媒に対
する溶解性の観点から分子中に2個以上のリチウム原子
を有する有機リチウム化合物が好ましい。本発明で用い
られる該アニオン重合開始剤の好ましい例としては、
1,4−テトラメチレンジリチウム、1,5−ペンタメ
チレンジリチウム、1,6−ヘキサメチレンジリチウ
ム、1,10−デカメチレンジリチウム等に代表される
α,ω−アルキレンジリチウム化合物;ブタジエンやイ
ソプレンに代表される共役ジエンモノマーと金属リチウ
ムまたはナフタレンリチウムとの反応により生成するポ
リジエンジリチウム化合物;α−メチルスチレンに代表
されるα−アルキルスチレン類と金属リチウムまたはナ
フタレンリチウムとの反応により生成するポリ(α−ア
ルキルスチレン)ジリチウム化合物;1,1−ジフェニ
ルエチレンまたはその芳香環がアルキル化された誘導体
と金属リチウムまたはナフタレンリチウムとの反応によ
り生成する2量体ジリチウム化合物;ジイソプロペニル
ベンゼン、ジビニルナフタレンまたはビス(フェニルエ
テニル)ベンゼンに代表されるジアルケニル芳香族化合
物とsec−ブチルリチウムまたはt−ブチルリチウム
に代表されるアルキルリチウムとの反応により生成する
アラルキルジリチウム化合物;ジビニルベンゼンに代表
されるジビニル化合物、スチレンに代表される芳香族ビ
ニル系モノマーまたは共役ジエンモノマーとアルキルリ
チウムとの反応により生成する多官能性有機リチウム化
合物等を挙げることができる。これらの中でも、重合開
始活性の高さの観点からは1,3−ジイソプロペニルベ
ンゼンのジリチオ化物が好ましい。また、分子内に複数
個のビニル結合を有するポリマーのリチオ化物、例え
ば、ジャーナル・オブ・マクロモレキュラー・サイエン
ス・パートA:ピュア・アンド・アプライド・ケミスト
リー(Journal of Macromolecular Science Part A: Pu
re and Applied Chemistry)第7巻、第8号、第164
7〜1662頁(1973年)に記載されているような
sec−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミ
ンからなるリチオ化剤を共役ジエンモノマーの重合体に
反応させて得られるリチオ化ポリマーを多官能性アニオ
ン重合開始剤として用いることができる。さらに、強塩
基による水素原子引き抜きを受けてカルボアニオンを生
成しうる基を分子中に複数個有するポリマーのリチオ化
物、例えば、上記のsec−ブチルリチウムとテトラメ
チルエチレンジアミンからなるリチオ化剤をp−メチル
スチレンの共重合体に反応させて得られるリチオ化ポリ
マーを多官能性アニオン重合開始剤として用いることも
できる。
【0011】多官能性アニオン重合開始剤の使用量につ
いては、目的とするビニル系モノマーの重合度等に応じ
て適宜設定することができ、必ずしも限定されるもので
はないが、多くの場合、ビニル系モノマー1モルに対し
て、0.05〜0.001グラム当量の範囲内である。
【0012】本発明に従うアニオン重合反応は有機溶媒
中で行うが、該有機溶媒の主成分は非極性炭化水素であ
る。該非極性炭化水素としては、ベンゼン、トルエンま
たはエチルベンゼンに代表される芳香族炭化水素;シク
ロヘキサンまたはメチルシクロヘキサンに代表される脂
環式炭化水素などを、1種類単独で、または2種類以上
を組合わせて使用することができる。アニオン重合反応
で使用する有機溶媒には、少量であれば非極性炭化水素
以外の有機溶媒が含有されていてもよい。例えば、多官
能性アニオン重合開始剤の重合開始活性や有機溶媒中で
の溶解性の向上を図る観点から、ジエチルエーテル、t
−ブチルメチルエーテル等の脂肪族エーテル;テトラヒ
ドロフラン等の脂環式エーテル;アニソール等のアルキ
ル芳香族エーテル;ジフェニルエーテル等の全芳香族エ
ーテルなどに代表される非プロトン性極性有機溶媒を、
非極性炭化水素溶媒に対して1〜10容量%の範囲内の
割合で使用してもよい。
【0013】本発明に従うアニオン重合反応では、必ず
しも限られるものではないが、容積効率、撹拌の容易さ
等の観点から、有機溶媒を、ビニル系モノマーから形成
されるリビングポリマーの目的とする最終濃度が5〜2
0重量%の範囲内となるような割合で使用することが好
ましい。
【0014】本発明では、ビニル系モノマーとして、芳
香族ビニル系モノマー、共役ジエンモノマー等のビニル
系炭化水素化合物;メタクリレート系モノマー、アクリ
レート系モノマー等の極性ビニル系化合物などを使用す
ることができる。上記の芳香族ビニル系モノマーとして
は、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレ
ン、3−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−t
−ブチルスチレン、4−メトキシスチレン、ビニルナフ
タレン等を例示することができる。上記の共役ジエンモ
ノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペ
ンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、
1,3−オクタジエン等を例示することができる。上記
のメタクリレート系モノマーとしては、メチルメタクリ
レート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリ
レート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタ
クリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチ
ルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−
エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレー
ト、ラウリルメタクリレート等に代表されるアルキルメ
タクリレート;シクロヘキシルメタクリレート、4−t
−ブチルシクロヘキシルメタクリレート等に代表される
シクロアルキルメタクリレート;フェニルメタクリレー
ト等に代表されるアリールメタクリレート;ベンジルメ
タクリレート、4−メチルベンジルメタクリレート等に
代表されるアラルキルメタクリレートなどを例示するこ
とができる。また、上記のアクリレート系モノマーとし
ては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−
プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n
−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、
t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、
2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレー
ト、ラウリルアクリレート等に代表されるアルキルアク
リレート;シクロヘキシルアクリレート、4−t−ブチ
ルシクロヘキシルアクリレート等に代表されるシクロア
ルキルアクリレート;フェニルアクリレート等に代表さ
れるアリールアクリレート;ベンジルアクリレート等に
代表されるアラルキルアクリレートなどを例示すること
ができる。上記のビニル系モノマーは、1種類を単独
で、または2種類以上を組み合わせて使用することがで
きる。上記のビニル系モノマーの中でも、本発明の効果
の顕著さの観点において、ビニル系炭化水素化合物を主
体とするビニル系モノマーを使用することが好ましい。
この場合、該ビニル系炭化水素化合物は、1種類を単独
でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができ
る。該ビニル系炭化水素化合物の中でも、芳香族ビニル
系モノマーおよび/または共役ジエンモノマーを1種類
単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することが
より好ましく、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジ
エンおよびイソプレンからなる群の中から選択される化
合物を1種類単独でまたは2種類以上を組み合わせて使
用することが特に好ましい。
【0015】本発明に従うアニオン重合では、公知のア
ニオン重合と同様に、使用するビニル系モノマーの種
類、重合系への添加順序等の条件を選ぶことによって、
モノマーの結合様式について各種のものを採用すること
ができる。したがって、本発明に従うアニオン重合に
は、単独重合および共重合(例えば、ランダム共重合、
ブロック共重合、テーパード共重合)のいずれの態様も
包含される。
【0016】ビニル系モノマーのアニオン重合は公知の
アニオン重合と同様に、重合温度について、使用するビ
ニル系モノマーの種類等に応じて適宜好適な条件を選択
して採用することができる。例えば、芳香族ビニル系モ
ノマーおよび/または共役ジエンモノマーを主たるビニ
ル系モノマーとして使用する場合、重合温度は、一般に
−20℃〜80℃の範囲内が好ましく、0℃〜60℃の
範囲内がより好ましい。一方、メタクリル系モノマーお
よび/またはアクリル系モノマーを主たるビニル系モノ
マーとして使用する場合には、重合温度は、一般に−9
0℃〜30℃の範囲内が好ましく、−80℃〜−60℃
の範囲内がより好ましい。
【0017】アニオン重合においては、公知のアニオン
重合に準じて、重合反応系に各種添加剤を配合すること
もできる。例えば、共役ジエンモノマーを重合する場合
に生成ポリマーの1,2−構造と1,4−構造の比率を
変えてガラス転移温度、粘度等の諸物性を制御する目的
で、または芳香族ビニル系モノマーと共役ジエンモノマ
ーのランダム共重合を行う目的で、ジエチルエーテル等
の脂肪族エーテル、テトラヒドロフラン等の脂環式エー
テル、アニソール等のアルキル芳香族エーテル、ジフェ
ニルエーテル等の全芳香族エーテル、トリエチルアミン
やテトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン、ヘキ
サメチルホスホルアミド等のホスホルアミド、t−ブト
キシリチウムやt−ブトキシカリウム等のアルコキシド
を重合系に添加してもよい。
【0018】アニオン重合の反応系には、水分をできる
だけ混入させないことが好ましい。そのため、有機溶
媒、ビニル系モノマー、任意成分の添加剤等について
は、できるだけ脱水・乾燥処理を施したものを使用する
ことが好ましい。また、重合系の雰囲気としては、窒素
ガス、アルゴンガス等の、湿気を含まない不活性ガス雰
囲気を採用することが好ましい。
【0019】アニオン重合は、ビニル系モノマーの有機
溶媒溶液を十分に撹拌しながら行うことが好ましい。本
発明に従うアニオン重合では、多官能性アニオン重合開
始剤の官能数(価数)にほぼ相当する個数(複数個)の
カルボアニオン末端を一分子中に有する多価のリビング
ポリマーを生成させることができる。アニオン重合の進
捗状況は、重合系の溶液の一部をサンプリングして残存
する未反応モノマーを定量分析するなどの方法で把握す
ることができるので、重合が所定の程度まで進行したな
らば、後述するようなリビングポリマーの末端官能化の
操作に移行すればよい。したがって、重合時間は、使用
するビニル系モノマーの種類等の重合条件、目的とする
重合度などに応じて必ずしも一様ではないが、通常0.
5〜24時間の範囲内である。
【0020】本発明においては、分子中に複数個のカル
ボアニオン末端を有する多価のリビングポリマーを含有
する非極性炭化水素を主体とする有機溶媒の溶液を、官
能化反応に供する。官能化反応は、該溶液に、官能化
剤、酸とアルカリ金属からなるアルカリ金属塩および非
プロトン性極性溶媒を添加することにより行う。なお、
官能化反応に供する多価のリビングポリマーを含有する
溶液には、官能化反応に支障がない限りにおいて、ビニ
ル系モノマー等の他の成分が含まれていてもよい。
【0021】上記の官能化剤としては、公知のリビング
ポリマーのカルボアニオン末端の官能化の場合と同様
に、リビングポリマーのカルボアニオン末端と反応して
酸素、窒素、硫黄等のヘテロ元素のアニオンを生じせし
める化合物が使用される。かかる官能化剤には、酸素ア
ニオンを生じせしめる化合物、窒素アニオンを生じせし
める化合物、硫黄アニオンを生じせしめる化合物などが
包含される。酸素アニオンを生じせしめる化合物には、
アルコレートアニオンを生じせしめる化合物、カルボキ
シレートアニオンを生じせしめる化合物などが包含さ
れ、アルコレートアニオンを生じせしめる化合物として
は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオン
アルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデ
ヒド等のアルデヒド類;アセトン、メチルエチルケト
ン、ジエチルケトン等のケトン類;エチレンオキシド、
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロへキセ
ンオキシド、スチレンオキシド等のアルキレンオキシド
類;酸素(O2)などを例示することができ、カルボキ
シレートアニオンを生じせしめる化合物としては二酸化
炭素などが例示される。また、窒素アニオンを生じせし
める化合物としてはエチレンイミン、プロピレンイミ
ン、シクロヘキシレンイミン等のアルキレンイミン類が
例示され、硫黄アニオンを生じせしめる化合物としては
エチレンスルフィド、プロピレンスルフィド等のアルキ
レンスルフィド類;二硫化炭素;硫黄などが例示され
る。これらの中でも、酸素アニオンを生じせしめる化合
物が好ましく、アルコレートアニオンまたはカルボキシ
レートアニオンを生じせしめる化合物がより好ましく、
エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどが特に好ま
しい。
【0022】官能化剤の添加量は、必ずしも限られるも
のではないが、溶液中の多価のリビングポリマーのカル
ボアニオン末端の1モルに対して通常1〜20モルの範
囲内であり、好ましくは2〜5モルの範囲内である。該
リビングポリマーを多官能性アニオン重合開始剤を用い
たアニオンリビング重合によって製造した場合には、通
常、多価リビングポリマーに由来するカルボアニオン末
端の溶液中における総数はそれを製造するために使用し
た多官能性アニオン重合開始剤に由来する官能基の重合
開始時の溶液中の総数に近いものとなるので、使用した
多官能性アニオン重合開始剤を基準にとれば、官能化剤
の添加量は、該多官能性アニオン重合開始剤の1グラム
当量に対して通常1〜20モルの範囲内であり、好まし
くは2〜5モルの範囲内である。
【0023】本発明で使用するアルカリ金属塩は、酸と
アルカリ金属からなるものである。該アルカリ金属とし
ては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、
中でも溶媒への溶解性の観点からリチウムが好ましい。
もう一方の構成成分である酸は、25℃の水溶液中にお
けるpKa値が6以下である無機酸または有機酸が好ま
しい。pKa値が6以下の無機酸の例としては、塩化水
素、臭化水素等のハロゲン化水素;硫酸;炭酸;リン
酸;過塩素酸等が挙げられ、pKa値が6以下の有機酸
の例としては、酢酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉
草酸、ヘキサン酸等の炭素数10以下の低級アルカンカ
ルボン酸類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢
酸、フルオロ酢酸等のハロゲン化アルカンカルボン酸
類;安息香酸等の芳香族カルボン酸類、o−クロロ安息
香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−
フルオロ安息香酸等のハロゲン化芳香族カルボン酸類等
が挙げられる。アルカリ金属塩の好ましい例としては、
塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のハロ
ゲン化アルカリ金属;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム等
のアルカリ金属のアルカンカルボン酸塩などが挙げら
れ、特に好ましくは、塩化リチウムである。
【0024】アルカリ金属塩の添加量については、必ず
しも限られるものではないが、官能化時での粘度上昇抑
制効果の高さの観点から、使用した多官能性アニオン重
合開始剤または反応系中のリビングポリマーの1グラム
当量に対して少なくとも0.1グラム当量であることが
好ましい。アルカリ金属塩の添加量を多くすると、ある
程度までは、粘度上昇抑制効果が増大する傾向がある
が、添加量をそれ以上多くすると、効果が十分なレベル
を維持しながら頭打ちとなり、大半のアルカリ金属塩が
無駄となるうえ、アルカリ金属塩が目的の多官能性ポリ
マー中に混入しやすくなる。したがって、これらの不都
合と粘度上昇効果とのバランスの点からは、アルカリ金
属塩の添加量を、使用した多官能性アニオン重合開始剤
または反応系中のリビングポリマーの1グラム当量に対
して0.1〜10グラム当量の範囲内とすることが好ま
しく、1〜4グラム当量の範囲内とすることがより好ま
しい。
【0025】本発明において用いられる非プロトン性極
性溶媒は、リビングポリマーのカルボアニオン末端との
間で好ましくない副反応を生じないものであり、かつ上
記アルカリ金属塩を少なくとも部分的に溶解し得るもの
であればよい。非プロトン性極性溶媒としては、粘度上
昇抑制効果の点から、例えばテトラヒドロフラン、1,
2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン等に
代表される、25℃での比誘電率が5以上であるエーテ
ル類が好ましく、中でもテトラヒドロフランが特に好ま
しい。
【0026】非プロトン性極性溶媒の添加量は、粘度上
昇抑制効果の点から、リビングポリマーを含有する溶液
中の有機溶媒の容量に対して少なくとも0.1倍となる
容量が好ましい。非プロトン性極性溶媒の添加量を多く
すると粘度上昇抑制効果が増大する傾向があるが、多す
ぎると、リビングポリマーのカルボアニオンの失活によ
る官能化率(官能基導入率)の低下を招きやすくなる。
したがって、粘度上昇抑制効果と官能化率とのバランス
の点からは、非プロトン性極性溶媒の添加量を、リビン
グポリマーを含有する溶液中の有機溶媒の容量に対して
0.1〜1倍の範囲内の容量とすることが好ましく、
0.2〜0.5倍の範囲内の容量とすることがより好ま
しい。
【0027】リビングポリマーを含有する溶液中への官
能化剤、アルカリ金属塩および非プロトン性極性溶媒の
添加の順序は、必ずしも限られるものではないが、粘度
上昇抑制効果が特に良好となる観点において、アルカリ
金属塩および非プロトン性極性溶媒を官能化剤と同時
か、またはそれに先行して添加することが好ましい。ま
た、同じ観点において、アルカリ金属塩および非プロト
ン性極性溶媒を、少なくとも両者を含有する混合物の形
態で添加することが好ましい。したがって、粘度上昇抑
制効果が特に良好となる観点において、アルカリ金属塩
および非プロトン性極性溶媒からなる溶液を調製し、こ
れをリビングポリマーを含有する溶液に添加し、次いで
官能化剤を添加することからなる方法、官能化剤、アル
カリ金属塩および非プロトン性極性溶媒からなる溶液を
調製し、これをリビングポリマーを含有する溶液に添加
することからなる方法などが好ましい。なお、少なくと
もアルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒を含有する混
合物については、アルカリ金属塩の少なくとも一部が非
プロトン性極性溶媒に溶解していればよく、アルカリ金
属塩の一部が溶解せずに溶液中に分散して存在している
不均一混合物の形態であっても差支えない。ただし、非
プロトン性極性溶媒添加の後、官能化剤添加に至るまで
の時間間隔が長いと非プロトン性極性溶媒とリビングポ
リマーのカルボアニオン末端との間で好ましくない副反
応が起こる可能性があるので、官能化率を特に高めたい
場合には、非プロトン性極性溶媒の添加時期と官能化剤
の添加時期を同じにするか、または両者の時間間隔をで
きるだけ短くすることが好ましい。
【0028】官能化剤、アルカリ金属塩および非プロト
ン性極性溶媒の各成分の添加速度は必ずしも限られるも
のではなく、それぞれの成分について、全量を一度に添
加しても、連続的に添加しても、断続的に添加してもよ
い。なお、二酸化炭素、酸素等の気体状の官能化剤を用
いる場合には、常法に従って、溶液中への吹き込みなど
の方法で添加することができる。
【0029】官能化反応は、使用する官能化剤の種類、
リビングポリマーの化学構造(またはそれを製造するた
めに使用したビニル系モノマーの種類)等に応じて適宜
好適な温度条件を選ぶことができる。必ずしも限られる
ものではないが、リビングポリマーのカルボアニオン末
端の安定性の観点からは、通常、それを製造するために
採用されたビニル系モノマーの重合温度と同様の温度条
件を採用することが好ましい。例えば、芳香族ビニル系
モノマーおよび/または共役ジエンモノマーを主体とす
るビニル系モノマーの重合によって形成されたリビング
ポリマーの場合には−20℃〜40℃の範囲内の温度が
好ましく、メタクリル系モノマーおよび/またはアクリ
ル系モノマーを主体とするビニル系モノマーの重合によ
って形成されたリビングポリマーの場合には−80℃〜
−40℃の範囲内の温度が好ましい。
【0030】官能化は、リビングポリマーを含有する溶
液を十分に撹拌しながら行うことが好ましい。本発明に
よれば、官能化剤添加時の溶液粘度上昇が著しい程度に
はならず、一般的な撹拌能力の反応装置でも撹拌可能な
状態が持続されるため、通常、官能化反応は速やかに進
行する。ただし、反応を完全なものとする観点から、反
応時間としては、通常、0.5〜3時間の範囲内を採用
することが好ましい。もっとも、反応時間はこの範囲内
に限定されるものではない。
【0031】官能化の反応系には、水分をできるだけ混
入させないことが好ましい。そのため、官能化剤、アル
カリ金属塩および非プロトン性極性溶媒については、で
きるだけ脱水・乾燥処理を施したものを使用することが
好ましい。また、反応系の雰囲気としては、窒素ガス、
アルゴンガス等の、湿気を含まない不活性ガス雰囲気を
採用することが好ましい。
【0032】上記の官能化反応により、複数個の分子末
端にそれぞれヘテロ元素のアニオン部分を有するポリマ
ーが生成する。常法に従って官能化反応後の反応混合物
に、メタノール、エタノール、1−プロパノール等のア
ルコール;水;酢酸、クエン酸等の有機酸などのプロト
ン供与性化合物を添加することによって、ヘテロ元素の
アニオン部分が所定の官能基に変換され、目的とする多
官能性ポリマーが形成される。プロトン供与性化合物に
使用量は、当初使用した多官能性アニオン重合開始剤ま
たは反応系中に含まれていたリビングポリマーの1グラ
ム当量に対して、通常1〜10グラム当量の範囲内であ
る。
【0033】上記の処理後の反応混合物から溶媒等を除
去することによって、目的とする多官能性ポリマーを取
得することができる。なお、アルカリ金属塩として塩化
リチウムなどのハロゲン化アルカリ金属を使用した場合
などでは、上記のアルコール等の添加によってアルカリ
金属塩が析出するので、反応混合物からアルカリ金属塩
を濾過等の手段で容易に除去することができ、好都合で
ある。
【0034】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限
定されるものではない。なお、以下の実施例および比較
例においては、特に記載のない限り、反応は窒素雰囲気
下で行い、アルキルリチウムと塩化リチウムを除く試薬
は、モレキュラーシーブによる乾燥または蒸留精製を施
したものを使用した。また、反応容器としては、磁気誘
導式撹拌装置付きの耐圧容器を使用した。
【0035】実施例1 反応容器Aにシクロヘキサン430ミリリットル、トリ
エチルアミン4.86g(48mmol)および1,3
−ジイソプロペニルベンゼン3.80g(24mmo
l)を添加した。次いで、室温でsec−ブチルリチウ
ム48mmol(濃度1.3mol/リットルのsec
−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液36.9ミリリ
ットル)を添加すると速やかに暗赤色を呈した。さらに
室温で10時間反応を続け、暗赤色の重合開始剤溶液を
得た(以下、これを溶液Aと称する)。別の反応容器B
にシクロヘキサン135ミリリットルおよびジエチルエ
ーテル45ミリリットルを添加し、薄紅色を呈するまで
溶液Aを添加して不純物を除去した後、さらに溶液A4
20ミリリットルを添加した。次に、10℃にてブタジ
エン56.8g(1.05mol)を添加すると、溶液
の色は30分の間に暗赤色から橙色に変化した。さらに
室温で20時間、重合を継続し、α,ω−ジリチオポリ
ブタジエン溶液を得た(以下、これを溶液Bと称す
る)。また別の反応容器Cに塩化リチウム1.78g
(42mmol)を添加し、減圧下で加熱乾燥を行っ
た。次いで、室温でテトラヒドロフラン150ミリリッ
トルを添加して塩化リチウムを溶解させ、薄紅色を呈す
るまで溶液Aを添加して不純物を除去した。さらにエチ
レンオキシド7.5g(0.17mol)を添加して、
官能化剤の溶液を得た(以下、これを溶液Cと称す
る)。反応容器B内の溶液Bに室温で溶液Cを添加する
と、反応容器Bの内容物は速やかに透明なゲル状小片を
含む薄黄色濁液となり、さらに室温で2時間反応を続け
ると薄黄色粥状を呈したが、一般的な撹拌装置による撹
拌が常に可能であった。反応終了後、反応容器Bにメタ
ノール3ミリリットルを添加すると、容器Bの内容物は
速やかに粘度を減じて液状となった。沈殿物をグラスフ
ィルターにて除去した後、減圧下に35℃で溶媒等を除
去し、末端に水酸基を有する多官能性ポリブタジエンを
回収した。得られた多官能性ポリブタジエンを1H−N
MRおよびGPCにて分析した結果は以下のとおりであ
った。
【0036】・数平均分子量(Mn):3,000 ・分子量分布(Mw/Mn):1.20 ・functionality(1分子当りの官能基
数):1.80 ・ブタジエンの1,2−結合率:46%
【0037】実施例2 反応容器Dにシクロヘキサン460ミリリットル、トリ
エチルアミン5.06g(50mmol)および1,3
−ジイソプロペニルベンゼン3.96g(25mmo
l)を添加した。次いで、室温でt−ブチルリチウム5
0mmol(濃度1.62mol/リットルのt−ブチ
ルリチウムのヘキサン溶液30.9ミリリットル)を添
加すると速やかに暗赤色を呈した。さらに50℃で2時
間反応を続け、暗赤色の重合開始剤溶液を得た(以下、
これを溶液Dと称する)。別の反応容器Eにシクロヘキ
サン710ミリリットルおよびジエチルエーテル90ミ
リリットルを添加し、薄紅色を呈するまで溶液Dを添加
して不純物を除去した後、さらに溶液D400ミリリッ
トルを添加した。次に、15℃にてブタジエン114.
7g(2.12mol)を添加すると、溶液の色は20
分の間に暗赤色から橙色に変化した。さらに室温で20
時間、重合を継続し、α,ω−ジリチオポリブタジエン
溶液を得た(以下、これを溶液Eと称する)。また別の
反応容器Fに塩化リチウム2.12g(0.05mo
l)を添加し、減圧下で加熱乾燥を行った。次いで、室
温でテトラヒドロフラン360ミリリットルを添加して
塩化リチウムを溶解させ、薄紅色を呈するまで溶液Dを
添加して不純物を除去した。さらにエチレンオキシド
8.8g(0.20mol)を添加して、官能化剤の溶
液を得た(以下、これを溶液Fと称する)。反応容器E
内の溶液Eに室温で溶液Fを添加すると、反応容器Eの
内容物は速やかに透明なゲル状小片を含む薄黄色濁液と
なり、さらに室温で2時間反応を続けると薄黄色粥状を
呈したが、一般的な撹拌装置による撹拌が常に可能であ
った。反応終了後、反応容器Eにメタノール3ミリリッ
トルを添加すると、容器Eの内容物は速やかに粘度を減
じて液状となった。沈殿物をグラスフィルターにて除去
した後、減圧下に35℃で溶媒を除去し、末端に水酸基
を有する多官能性ポリブタジエンを回収した。得られた
多官能性ポリブタジエンを1H−NMRおよびGPCに
て分析した結果は以下のとおりであった。
【0038】・数平均分子量(Mn):6,100 ・分子量分布(Mw/Mn):1.23 ・functionality(1分子当りの官能基
数):1.82 ・ブタジエンの1,2−結合率:44%
【0039】実施例3 反応容器Gにシクロヘキサン430ミリリットル、トリ
エチルアミン4.86g(48mmol)および1,3
−ジイソプロペニルベンゼン3.80g(24mmo
l)を添加した。次いで、室温でsec−ブチルリチウ
ム48mmol(濃度1.3mol/リットルのsec
−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液36.9ミリリ
ットル)を添加すると速やかに暗赤色を呈した。さらに
50℃で2時間反応を続け、暗赤色の重合開始剤溶液を
得た(以下、これを溶液Gと称する)。別の反応容器H
にシクロヘキサン485ミリリットルおよびジエチルエ
ーテル75ミリリットルを添加し、薄紅色を呈するまで
溶液Gを添加して不純物を除去した後、さらに溶液G4
40ミリリットルを添加した。次に、15℃にてブタジ
エン103.9g(1.92mol)を添加すると、溶
液の色は20分の間に暗赤色から橙色に変化した。さら
に室温で20時間、重合を継続し、α,ω−ジリチオポ
リブタジエン溶液を得た(以下、これを溶液Hと称す
る)。また別の反応容器Iに塩化リチウム2.8g(6
6mmol)を添加し、減圧下で加熱乾燥を行った。次
いで、室温でテトラヒドロフラン250ミリリットルを
添加して塩化リチウムを溶解させ、薄紅色を呈するまで
溶液Gを添加して不純物を除去し、塩化リチウムのテト
ラヒドロフラン溶液を得た(以下、これを溶液Iと称す
る)。反応容器H内の溶液Hに0℃で溶液Iを添加した
後、溶液Hに二酸化炭素ガスを吹き込みながら5分間撹
拌すると、反応容器Hの内容物は透明なゲル状小片を含
む薄黄色濁液となり、二酸化炭素の吹き込みを停止して
さらに2時間反応を続けると薄黄色粥状を呈したが、一
般的な撹拌装置による撹拌が常に可能であった。反応終
了後、反応容器Hにメタノール3ミリリットルを添加す
ると、容器Hの内容物は速やかに粘度を減じて液状とな
った。沈殿物をグラスフィルターにて除去した後、減圧
下に35℃で溶媒を除去し、末端にカルボキシル基を有
する多官能性ポリブタジエンを回収した。得られた多官
能性ポリブタジエンを1H−NMRおよびGPCにて分
析した結果は以下のとおりであった。
【0040】・数平均分子量(Mn):5,000 ・分子量分布(Mw/Mn):1.21 ・functionality(1分子当りの官能基
数):1.81 ・ブタジエンの1,2−結合率:45%
【0041】比較例1 実施例1と同様にして、溶液Aと溶液Bを調製した。ま
た、塩化リチウムを使用せず、かつテトラヒドロフラン
の量を300ミリリットルに変更した以外は実施例1の
溶液Cの調製方法と同様にして、官能化剤の溶液C’を
調製した。実施例1と同様にして、反応容器B内の溶液
Bに室温で溶液C’を添加すると、反応容器Bの内容物
は速やかに粘度を増し、ゲル状を呈して撹拌が不可能と
なった。
【0042】比較例2 実施例2と同様にして、溶液Dと溶液Eを調製した。ま
た、塩化リチウムを使用せず、かつテトラヒドロフラン
の量を1.5リットルに変更した以外は実施例2の溶液
Fの調製方法と同様にして、官能化剤の溶液F’を調製
した。実施例2と同様にして、反応容器E内の溶液Eに
室温で溶液F’を添加すると、反応容器Eの内容物は速
やかに粘度を増し、ゲル状を呈した。撹拌はかろうじて
可能ではあったものの、撹拌は不安定であり、過負荷の
ため撹拌用モーターに異常な発熱が認められた。反応終
了後、反応容器Eにメタノール3ミリリットルを添加す
ると、容器Eの内容物は次第に粘度を減じて液状となっ
た。沈殿物をグラスフィルターにて除去した後、減圧下
に35℃で溶媒を除去し、末端に水酸基を有する多官能
性ポリブタジエンを回収した。得られた多官能性ポリブ
タジエンを1H−NMRおよびGPCにて分析した結果
は以下のとおりであった。
【0043】・数平均分子量(Mn):6,000 ・分子量分布(Mw/Mn):1.21 ・functionality(1分子当りの官能基
数):1.62 ・ブタジエンの1,2−結合率:45%
【0044】上記の実施例と比較例の対比から、官能化
反応時にアルカリ金属塩を用いずに非プロトン性極性溶
媒のみを使用した場合では、その非プロトン性極性溶媒
の使用量が少ないと著しい粘度上昇現象を抑制すること
ができず撹拌困難となり(比較例1)、また、非プロト
ン性極性溶媒の使用量を撹拌が辛うじて可能な程度まで
増加するとカルボアニオン末端の失活を招き官能基導入
率が低下することが分かる(比較例2)。これに対し、
官能化反応時にアルカリ金属塩と非プロトン性極性溶媒
を併用する本発明によれば、撹拌を継続することがで
き、官能基導入率を高めることができる(実施例1、2
および3)。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、多価のリビングポリマ
ーを含有する非極性炭化水素系溶媒溶液に官能化剤を添
加して官能化を行うに際し、溶液粘度の著しい上昇を抑
制することができる。そのため、本発明の製造方法で
は、工業的に通常使用される程度の撹拌能力の溶液重合
設備を使用することが可能となり、多官能性ポリマーを
工業的に有利に製造することができる。また、本発明に
よれば、官能化反応における官能基導入率を高めること
もできる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J100 AB00P AB02P AB03P AB04P AB07P AL03P AL04P AL05P AL08P AL11P AS01P AS02P AS03P AS04P BA05P BC04P BC43P CA01 FA03 HA35 HB09 HB24 HB50 HC16 HC25 HC27 HC38 HC63 HC69

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中に複数個のカルボアニオン末端を
    有する多価のリビングポリマーを含有する非極性炭化水
    素を主体とする有機溶媒の溶液に、該リビングポリマー
    のカルボアニオン末端と反応してヘテロ元素のアニオン
    を生じせしめる官能化剤、酸とアルカリ金属からなるア
    ルカリ金属塩および非プロトン性極性溶媒を添加するこ
    とにより、該リビングポリマーと該官能化剤を反応させ
    ることを特徴とする多官能性ポリマーの製造方法。
  2. 【請求項2】 (1)非極性炭化水素を主体とする有機
    溶媒中で、ビニル系モノマーを多官能性アニオン重合開
    始剤を用いて重合することにより、分子中に複数個のカ
    ルボアニオン末端を有する多価のリビングポリマーを含
    有する溶液を得、次いで(2)該溶液に、該リビングポ
    リマーのカルボアニオン末端と反応してヘテロ元素のア
    ニオンを生じせしめる官能化剤、酸とアルカリ金属から
    なるアルカリ金属塩および非プロトン性極性溶媒を添加
    することにより、該リビングポリマーと該官能化剤を反
    応させることを特徴とする多官能性ポリマーの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 アルカリ金属塩が、25℃の水溶液中に
    おけるpKa値が6以下である無機酸または有機酸とア
    ルカリ金属からなる塩である請求項1または2に記載の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 非プロトン性極性溶媒が、25℃での比
    誘電率が5以上であるエーテル類である請求項1〜3の
    いずれか1項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 アルカリ金属塩および非プロトン性極性
    溶媒を、少なくとも該アルカリ金属塩および該非プロト
    ン性極性溶媒を含有する混合物の形態で添加する請求項
    1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 アルカリ金属塩および非プロトン性極性
    溶媒の添加が、官能化剤の添加と同時であるか、または
    官能化剤の添加に先行する請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 非プロトン性極性溶媒の添加量が、リビ
    ングポリマーを含有する溶液中の有機溶媒に対して0.
    1〜1倍の範囲内の容量である請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 リビングポリマーがビニル系炭化水素化
    合物を主体とするビニル系モノマーの重合によって形成
    されたものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 ビニル系モノマーの主体がビニル系炭化
    水素化合物であり、重合を−20℃〜80℃の範囲内の
    温度で行う請求項2〜8のいずれか1項に記載の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2020230803A1 (ja) * 2019-05-13 2020-11-19 横浜ゴム株式会社 ゴム組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020230803A1 (ja) * 2019-05-13 2020-11-19 横浜ゴム株式会社 ゴム組成物
JP2020186364A (ja) * 2019-05-13 2020-11-19 横浜ゴム株式会社 ゴム組成物
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