JP3720523B2 - 共役ジエン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役ジエンの単独重合体、共役ジエンと他のモノマーとの共重合体(例えば、共役ジエンの重合体ブロックを含むブロック共重合体)などの共役ジエン系重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)を含む有機溶媒中で共役ジエンをアニオン重合すると、他の有機溶媒(例えばシクロヘキサンのような炭化水素単独の溶媒)中で共役ジエンをアニオン重合した場合に得られるものとは異なるミクロ構造を有する共役ジエン系重合体が得られることが知られている。例えば共役ジエンとしてブタジエンを使用した場合には、1,2−結合をより多く含んだポリブタジエンが得られ、イソプレンを使用した場合には、1,2−結合および3,4−結合をより多く含んだポリイソプレンが得られる。
【0003】
近年、高分子材料の高機能化、高性能化の要求に伴い、分子量、分子量分布等が自在に制御された重合体を再現性よく製造することが重要視されつつある。このように制御された共役ジエン系重合体を、上記のようなエーテルを含む溶媒中でのアニオン重合により製造するためには、重合リビング末端とエーテル分子内に含まれる酸素原子との反応等の望ましくない副反応を抑制するため、高温での重合を避ける必要があることが知られている。しかしながら、共役ジエンのアニオン重合の温度条件を高温としない場合には、重合速度が非常に小さくなるため長時間の重合が必要となってくる。
【0004】
以上のとおり、分子量、分子量分布等が制御された共役ジエン系重合体を、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合により、短時間で効率よく製造できる工業的に有利な方法は、まだ見いだされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合により、分子量、分子量分布等が制御された共役ジエン系重合体を製造するに際し、該重合体を短時間で効率よく製造できる、工業的に有利な方法を提供することにある。
【0006】
また本発明の第2の目的は、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合により、分子量、分子量分布等が制御された共役ジエン系重合体ブロックを形成させる工程を含むブロック共重合体の製造方法において、該ブロック共重合体を短時間で効率よく製造できる、工業的に有利な方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の第1の目的は、共役ジエンをエーテルを含む有機溶媒中でアニオン重合するに際し、重合反応系内に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることを特徴とする共役ジエン系重合体の製造方法を提供することによって達成される。
【0008】
また本発明によれば、上記の第2の目的は、共役ジエンをエーテルを含む有機溶媒中でアニオン重合する工程を含むブロック共重合体の製造方法において、少なくとも該共役ジエンのアニオン重合時において、重合反応系内に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることを特徴とするブロック共重合体の製造方法を提供することによって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法で使用できる共役ジエン(モノマー)はアニオン重合が可能なものであれば特に制限されるものではなく、その例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらのモノマーは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0010】
また、アニオン重合が可能な他のモノマーを共役ジエンの重合と同時または別の時点で用いて重合させることによって、共役ジエン単位と該他のモノマー単位とを含むランダム、テーパードまたはブロック共重合体を得ることも可能である。このような他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる(本明細書においては、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの総称を意味する)。但し、本発明の方法に従ってランダムまたはテーパード共重合体を製造する場合、重合速度の向上効果がより顕著となる点からは、共役ジエンの使用割合を全モノマーの60モル%以上にすることが望ましい。
【0011】
本発明では、共役ジエンの重合をエーテルを含む有機溶媒中で行う。かかる有機溶媒には、エーテル単独からなる溶媒およびエーテルと他の有機溶媒との混合溶媒が包含される。エーテルの例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;および1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の非環状エーテルが挙げられる。これらのエーテルは単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いられる。また、エーテルと混合して使用することのできる他の有機溶媒としては、通常のアニオン重合に用いられるような溶媒であればよく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン等の炭化水素溶媒などが挙げられる。エーテルを含む有機溶媒中におけるエーテルの割合は、所望する共役ジエンの結合様式(例えば、1,2−結合および3,4−結合の割合)、使用するモノマーの種類等に応じて適宜選択することができるが、共役ジエンの1,2−結合および3,4−結合の割合を高めたいのであれば、有機溶媒中、0.1〜100重量%の範囲内から選択するのが望ましい。
【0012】
また、エーテルを含む有機溶媒の使用量としては、添加されたモノマーの濃度が有機溶媒に対して30重量%以下となるような量が、重合速度の向上効果がより顕著となることから望ましい。
【0013】
本発明においては、共役ジエンを含むモノマー(共役ジエンの単独または他のモノマーとの混合物)のエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合反応系に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させる。該酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、鉱酸または有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましく、その例としては、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;硫酸カリウム等のアルカリ金属の硫酸塩;硝酸カリウム等のアルカリ金属の硝酸塩;ホウ酸ナトリウム等のアルカリ金属のホウ酸塩;スルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属のスルホン酸塩;塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物;硝酸バリウム等のアルカリ土類金属の硝酸塩などが挙げられる。これらの中でも、アニオン重合末端の対カチオンとなる金属と同種の金属のハロゲン化物を使用することが特に好ましい。なお、上記の塩は単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0014】
上記の酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の使用量は、特に限られるものではないが、エーテルを含む有機溶媒に対して0.001〜10重量%であることが好ましく、0.001〜5重量%であることがより好ましい。
【0015】
本発明に従う共役ジエンを含むモノマーのエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合反応は、重合反応系に酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させる点以外は、同様のモノマーおよび有機溶媒を用いた公知のアニオン重合に準じた条件、操作を採用することができる。
【0016】
本発明に従うアニオン重合反応では、重合開始剤を、通常のアニオン重合で使用可能な重合開始剤から適宜選択して使用することができる。単官能性のアニオン重合開始剤の例としては、金属ナトリウム、金属リチウム等のアルカリ金属;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム等の、有機基として1価の飽和脂肪族炭化水素基を有する有機モノアルカリ金属化合物などを挙げることができる。また、二官能性のアニオン重合開始剤の例としては、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジソジオブタン等の、有機基として2価の飽和脂肪族炭化水素基を有する有機ジアルカリ金属化合物;ジリチオナフタレン等の、有機基として2価の芳香族炭化水素基を有する有機ジアルカリ金属化合物などが挙げられる。重合開始剤の使用量は、所望の分子量等を考慮して適宜設定することができるが、通常、使用するモノマーの1グラム当たり0.000001〜0.002モルの範囲内となるように選択される。
【0017】
本発明に従う共役ジエンを含むモノマーのエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合反応における重合温度については、使用する重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類などに応じて適宜好適な条件を選択して採用すればよく、必ずしも限定されるものではないが、通常、−100℃〜100℃の範囲内から選択することができる。但し、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の添加に由来する重合反応促進効果がより顕著に発揮される点、得られる重合体における平均分子量および分子量分布を制御しやすい点などにおいては、−100℃〜25℃の範囲内から選択することが好ましい。
【0018】
アニオン重合反応は、例えば窒素ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合時間は特に制限されるものではなく、モノマーの転化率が所望の値となるまでの時間であればよいが、本発明に従う共役ジエンを含むモノマーのエーテルを含む有機溶媒中での重合についていえば、一般的には3〜72時間の範囲内である。
【0019】
なお、本発明の方法に従って分子量等が制御された共役ジエンを含むモノマーの重合体ブロックを有するブロック共重合体を製造する場合には、該制御された共役ジエンを含むモノマーの重合体ブロックを形成させるためのエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合の工程において、重合反応系に酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることが必要であるが、他の重合体ブロックを形成させるための重合工程においては該塩の存在は必要ではない。しかしながら、通常、該塩は共役ジエン以外のモノマーのアニオン重合に対して悪影響を及ぼすことがないので、ブロック共重合体の製造においても、全ての重合工程にわたって反応系中に該塩を存在させて差し支えない。但し、本発明に従うブロック共重合体の製造方法が、共役ジエン以外のモノマーの重合工程の後に該塩を添加し、共役ジエンを含むモノマーのアニオン重合工程に移行する態様、該塩の存在下における共役ジエンを含むモノマーのアニオン重合工程後に該塩を除去し、他のモノマーの重合工程に移行する態様などを包含することはいうまでもない。
【0020】
本発明の方法では、所定の重合反応を完了させた後は、アニオン重合を停止させるために採用される公知の方法に従って重合停止させることができる。重合停止方法としては、必ずしも限られるものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコールなどの、活性水素原子を含有する化合物を反応系に添加するのが一般的である。
【0021】
本発明の方法では、重合反応停止後、通常の方法に従って、共役ジエン系重合体を分離取得することができる。該重合体の分離取得方法に関しては、製造される重合体により必ずしも一様ではないが、例えば、共役ジエン系重合体を含む溶液から酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などを取り除いた後に、脱液乾燥を行い、二軸押出機でペレット化することによって、共役ジエン系重合体を取得することができる。なお、重合停止後における酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の除去は、例えば、重合反応完了後の溶液に対して、エーテルを含む有機溶媒を非水溶性有機溶媒に置換することによって重合体の該非水溶性有機溶媒中の溶液を得、次いで、該非水溶性有機溶媒溶液を水洗することによって行うことができる。また、目的とする重合体に対する貧溶媒であって、かつアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を溶解することのできる極性有機溶媒を用いて再沈処理を行うことにより、重合反応完了後の溶液から、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が除去された重合体を得ることもできる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0023】
実施例 1(ポリイソプレンの合成)
窒素雰囲気下で予め乾燥した反応容器中に、塩化リチウム0.25gを導入した。塩化リチウムの入った反応容器を180℃で3時間加熱し、さらに真空脱気することによって、完全に水分を取り除いた。その後、内部を再び窒素気流下に置きながら反応容器を室温に戻し、乾燥したテトラヒドロフラン50mlを反応容器に導入した。塩化リチウムがテトラヒドロフランに完全に溶解した後、−40℃まで冷却し、1.3モル/リットルの濃度でs−ブチルリチウムを含むシクロヘキサン溶液0.05ml(s−ブチルリチウム含有量:0.065ミリモル)を添加した。
得られたテトラヒドロフラン溶液にイソプレンモノマー6mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−40℃の条件で撹拌することによってイソプレンの重合反応を行った。重合反応開始から24時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたポリイソプレンを4g(収率:98%)得た。
【0024】
得られたポリイソプレンについて、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によって分析した結果、次の値を得た。
【0025】
Mn=87900
Mw=98000
Mw/Mn=1.1
【0026】
ただし、Mnは数平均分子量(ポリスチレンで検量線を作成)を意味し、Mwは重量平均分子量(ポリスチレンで検量線を作成)を意味し、Mw/Mnは分子量分布を意味する。
【0027】
また、得られたポリイソプレンをNMRによって分析した結果、イソプレンの結合様式については、1,2−結合が40モル%、3,4−結合が55モル%、1,4−結合が5モル%であることが判明した。
【0028】
比較例 1(塩化リチウムを添加しない場合のポリイソプレンの合成)
窒素雰囲気下で予め乾燥した反応容器中に、乾燥したテトラヒドロフラン50mlを導入した。−40℃まで冷却し、1.3モル/リットルの濃度でs−ブチルリチウムを含むシクロヘキサン溶液0.05ml(s−ブチルリチウム含有量:0.065ミリモル)を添加した。
得られたテトラヒドロフラン溶液にイソプレンモノマー6mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−40℃の条件で撹拌することによってイソプレンの重合反応を行った。重合反応開始から24時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を実施例1と同様にして再沈処理することにより、ポリイソプレンを1.6g(収率:39%)得た。
【0029】
得られたポリイソプレンについてGPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0030】
Mn=35100
Mw=39700
Mw/Mn=1.1
【0031】
また、得られたポリイソプレンをNMRによって分析した結果、イソプレンの結合様式については、1,2−結合が40モル%、3,4−結合が55モル%、1,4−結合が5モル%であることが判明した。
【0032】
実施例 2(スチレン−イソプレンブロック共重合体の合成)
窒素雰囲気下で予め乾燥した反応容器中に、塩化リチウム0.25gを導入した。塩化リチウムの入った反応容器を180℃で3時間加熱し、さらに真空脱気することによって、完全に水分を取り除いた。その後、内部を再び窒素気流下に置きながら反応容器を室温に戻し、乾燥したテトラヒドロフラン50mlを反応容器に導入した。塩化リチウムがテトラヒドロフランに完全に溶解した後、−78℃まで冷却し、1.3モル/リットルの濃度でs−ブチルリチウムを含むシクロヘキサン溶液0.05ml(s−ブチルリチウム含有量:0.065ミリモル)を添加した。
得られたテトラヒドロフラン溶液にスチレンモノマー0.7mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−78℃の条件で1時間撹拌することによってスチレンの重合反応を行った。次いで、得られた反応混合液にイソプレンモノマー6mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−40℃の条件で撹拌することによってイソプレンの重合反応を行った。イソプレンの重合反応開始から24時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたスチレン−イソプレンブロック共重合体を4.7g(収率:99%)得た。
【0033】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0034】
Mn=99500
Mw=113000
Mw/Mn=1.1
【0035】
実施例 3(イソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体の合成)
実施例1と同様にして、−40℃でイソプレンモノマー6mlの重合反応を24時間行った。次に、メタノールを添加する代わりに、1,1−ジフェニルエチレン0.018g(0.1ミリモル)を添加し、窒素気流下、−40℃で1時間反応させた。その後、反応容器を−78℃まで冷却し、メチルメタクリレートモノマー0.7mlを添加した後、その溶液を同温度で窒素気流下に撹拌することによってメチルメタクリレートの重合反応を行った。
メチルメタクリレートの重合反応開始から1時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたイソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体を4.7g(収率:99%)得た。
【0036】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0037】
Mn=99300
Mw=116000
Mw/Mn=1.2
【0038】
実施例 4(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の合成)
実施例2と同様にして、−78℃でスチレンモノマー0.7mlの重合反応を1時間行い、次いで−40℃でイソプレンモノマー6mlの重合反応を24時間行った。次に、メタノールを添加する代わりに、反応容器を−78℃まで冷却し、スチレンモノマー0.7mlを添加した後、その溶液を同温度で窒素気流下に撹拌することによってスチレンの重合反応を行った。
スチレンの重合反応開始から1時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を5.3g(収率:99%)得た。
【0039】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0040】
Mn=109200
Mw=114700
Mw/Mn=1.1
【0041】
実施例 5(スチレン−イソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体の合成)
実施例2と同様にして、−78℃でスチレンモノマー0.7mlの重合反応を1時間行い、次いで−40℃でイソプレンモノマー6mlの重合反応を24時間行った。次に、メタノールを添加する代わりに、1,1−ジフェニルエチレン0.018g(0.1ミリモル)を添加し、窒素気流下、−40℃で1時間反応させた。その後、反応容器を−78℃まで冷却し、メチルメタクリレートモノマー0.7mlを添加した後、その溶液を同温度で窒素気流下に撹拌することによってメチルメタクリレートの重合反応を行った。
メチルメタクリレートの重合反応開始から1時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたスチレン−イソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体を5.3g(収率:99%)得た。
【0042】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0043】
Mn=109000
Mw=128600
Mw/Mn=1.2
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合を、低い温度条件下であっても高い反応速度で行うことができるため、少なくとも一部の重合工程として該アニオン重合の工程を含む共役ジエン系重合体の製造を、短縮された時間で効率よく行うことができる。したがって、本発明により、平均分子量、分子量分布、共役ジエンの結合様式等が制御された共役ジエン系重合体の工業的に有利な製造方法が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、共役ジエンの単独重合体、共役ジエンと他のモノマーとの共重合体(例えば、共役ジエンの重合体ブロックを含むブロック共重合体)などの共役ジエン系重合体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)を含む有機溶媒中で共役ジエンをアニオン重合すると、他の有機溶媒(例えばシクロヘキサンのような炭化水素単独の溶媒)中で共役ジエンをアニオン重合した場合に得られるものとは異なるミクロ構造を有する共役ジエン系重合体が得られることが知られている。例えば共役ジエンとしてブタジエンを使用した場合には、1,2−結合をより多く含んだポリブタジエンが得られ、イソプレンを使用した場合には、1,2−結合および3,4−結合をより多く含んだポリイソプレンが得られる。
【0003】
近年、高分子材料の高機能化、高性能化の要求に伴い、分子量、分子量分布等が自在に制御された重合体を再現性よく製造することが重要視されつつある。このように制御された共役ジエン系重合体を、上記のようなエーテルを含む溶媒中でのアニオン重合により製造するためには、重合リビング末端とエーテル分子内に含まれる酸素原子との反応等の望ましくない副反応を抑制するため、高温での重合を避ける必要があることが知られている。しかしながら、共役ジエンのアニオン重合の温度条件を高温としない場合には、重合速度が非常に小さくなるため長時間の重合が必要となってくる。
【0004】
以上のとおり、分子量、分子量分布等が制御された共役ジエン系重合体を、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合により、短時間で効率よく製造できる工業的に有利な方法は、まだ見いだされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合により、分子量、分子量分布等が制御された共役ジエン系重合体を製造するに際し、該重合体を短時間で効率よく製造できる、工業的に有利な方法を提供することにある。
【0006】
また本発明の第2の目的は、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合により、分子量、分子量分布等が制御された共役ジエン系重合体ブロックを形成させる工程を含むブロック共重合体の製造方法において、該ブロック共重合体を短時間で効率よく製造できる、工業的に有利な方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の第1の目的は、共役ジエンをエーテルを含む有機溶媒中でアニオン重合するに際し、重合反応系内に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることを特徴とする共役ジエン系重合体の製造方法を提供することによって達成される。
【0008】
また本発明によれば、上記の第2の目的は、共役ジエンをエーテルを含む有機溶媒中でアニオン重合する工程を含むブロック共重合体の製造方法において、少なくとも該共役ジエンのアニオン重合時において、重合反応系内に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることを特徴とするブロック共重合体の製造方法を提供することによって達成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の方法で使用できる共役ジエン(モノマー)はアニオン重合が可能なものであれば特に制限されるものではなく、その例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。これらのモノマーは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0010】
また、アニオン重合が可能な他のモノマーを共役ジエンの重合と同時または別の時点で用いて重合させることによって、共役ジエン単位と該他のモノマー単位とを含むランダム、テーパードまたはブロック共重合体を得ることも可能である。このような他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる(本明細書においては、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの総称を意味する)。但し、本発明の方法に従ってランダムまたはテーパード共重合体を製造する場合、重合速度の向上効果がより顕著となる点からは、共役ジエンの使用割合を全モノマーの60モル%以上にすることが望ましい。
【0011】
本発明では、共役ジエンの重合をエーテルを含む有機溶媒中で行う。かかる有機溶媒には、エーテル単独からなる溶媒およびエーテルと他の有機溶媒との混合溶媒が包含される。エーテルの例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;および1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等の非環状エーテルが挙げられる。これらのエーテルは単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いられる。また、エーテルと混合して使用することのできる他の有機溶媒としては、通常のアニオン重合に用いられるような溶媒であればよく、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン等の炭化水素溶媒などが挙げられる。エーテルを含む有機溶媒中におけるエーテルの割合は、所望する共役ジエンの結合様式(例えば、1,2−結合および3,4−結合の割合)、使用するモノマーの種類等に応じて適宜選択することができるが、共役ジエンの1,2−結合および3,4−結合の割合を高めたいのであれば、有機溶媒中、0.1〜100重量%の範囲内から選択するのが望ましい。
【0012】
また、エーテルを含む有機溶媒の使用量としては、添加されたモノマーの濃度が有機溶媒に対して30重量%以下となるような量が、重合速度の向上効果がより顕著となることから望ましい。
【0013】
本発明においては、共役ジエンを含むモノマー(共役ジエンの単独または他のモノマーとの混合物)のエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合反応系に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させる。該酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、鉱酸または有機酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が好ましく、その例としては、フッ化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム等のアルカリ金属のハロゲン化物;硫酸カリウム等のアルカリ金属の硫酸塩;硝酸カリウム等のアルカリ金属の硝酸塩;ホウ酸ナトリウム等のアルカリ金属のホウ酸塩;スルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属のスルホン酸塩;塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物;硝酸バリウム等のアルカリ土類金属の硝酸塩などが挙げられる。これらの中でも、アニオン重合末端の対カチオンとなる金属と同種の金属のハロゲン化物を使用することが特に好ましい。なお、上記の塩は単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いられる。
【0014】
上記の酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の使用量は、特に限られるものではないが、エーテルを含む有機溶媒に対して0.001〜10重量%であることが好ましく、0.001〜5重量%であることがより好ましい。
【0015】
本発明に従う共役ジエンを含むモノマーのエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合反応は、重合反応系に酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させる点以外は、同様のモノマーおよび有機溶媒を用いた公知のアニオン重合に準じた条件、操作を採用することができる。
【0016】
本発明に従うアニオン重合反応では、重合開始剤を、通常のアニオン重合で使用可能な重合開始剤から適宜選択して使用することができる。単官能性のアニオン重合開始剤の例としては、金属ナトリウム、金属リチウム等のアルカリ金属;メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム等の、有機基として1価の飽和脂肪族炭化水素基を有する有機モノアルカリ金属化合物などを挙げることができる。また、二官能性のアニオン重合開始剤の例としては、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジソジオブタン等の、有機基として2価の飽和脂肪族炭化水素基を有する有機ジアルカリ金属化合物;ジリチオナフタレン等の、有機基として2価の芳香族炭化水素基を有する有機ジアルカリ金属化合物などが挙げられる。重合開始剤の使用量は、所望の分子量等を考慮して適宜設定することができるが、通常、使用するモノマーの1グラム当たり0.000001〜0.002モルの範囲内となるように選択される。
【0017】
本発明に従う共役ジエンを含むモノマーのエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合反応における重合温度については、使用する重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類などに応じて適宜好適な条件を選択して採用すればよく、必ずしも限定されるものではないが、通常、−100℃〜100℃の範囲内から選択することができる。但し、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の添加に由来する重合反応促進効果がより顕著に発揮される点、得られる重合体における平均分子量および分子量分布を制御しやすい点などにおいては、−100℃〜25℃の範囲内から選択することが好ましい。
【0018】
アニオン重合反応は、例えば窒素ガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合時間は特に制限されるものではなく、モノマーの転化率が所望の値となるまでの時間であればよいが、本発明に従う共役ジエンを含むモノマーのエーテルを含む有機溶媒中での重合についていえば、一般的には3〜72時間の範囲内である。
【0019】
なお、本発明の方法に従って分子量等が制御された共役ジエンを含むモノマーの重合体ブロックを有するブロック共重合体を製造する場合には、該制御された共役ジエンを含むモノマーの重合体ブロックを形成させるためのエーテルを含む有機溶媒中でのアニオン重合の工程において、重合反応系に酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることが必要であるが、他の重合体ブロックを形成させるための重合工程においては該塩の存在は必要ではない。しかしながら、通常、該塩は共役ジエン以外のモノマーのアニオン重合に対して悪影響を及ぼすことがないので、ブロック共重合体の製造においても、全ての重合工程にわたって反応系中に該塩を存在させて差し支えない。但し、本発明に従うブロック共重合体の製造方法が、共役ジエン以外のモノマーの重合工程の後に該塩を添加し、共役ジエンを含むモノマーのアニオン重合工程に移行する態様、該塩の存在下における共役ジエンを含むモノマーのアニオン重合工程後に該塩を除去し、他のモノマーの重合工程に移行する態様などを包含することはいうまでもない。
【0020】
本発明の方法では、所定の重合反応を完了させた後は、アニオン重合を停止させるために採用される公知の方法に従って重合停止させることができる。重合停止方法としては、必ずしも限られるものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコールなどの、活性水素原子を含有する化合物を反応系に添加するのが一般的である。
【0021】
本発明の方法では、重合反応停止後、通常の方法に従って、共役ジエン系重合体を分離取得することができる。該重合体の分離取得方法に関しては、製造される重合体により必ずしも一様ではないが、例えば、共役ジエン系重合体を含む溶液から酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩などを取り除いた後に、脱液乾燥を行い、二軸押出機でペレット化することによって、共役ジエン系重合体を取得することができる。なお、重合停止後における酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の除去は、例えば、重合反応完了後の溶液に対して、エーテルを含む有機溶媒を非水溶性有機溶媒に置換することによって重合体の該非水溶性有機溶媒中の溶液を得、次いで、該非水溶性有機溶媒溶液を水洗することによって行うことができる。また、目的とする重合体に対する貧溶媒であって、かつアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を溶解することのできる極性有機溶媒を用いて再沈処理を行うことにより、重合反応完了後の溶液から、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩が除去された重合体を得ることもできる。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0023】
実施例 1(ポリイソプレンの合成)
窒素雰囲気下で予め乾燥した反応容器中に、塩化リチウム0.25gを導入した。塩化リチウムの入った反応容器を180℃で3時間加熱し、さらに真空脱気することによって、完全に水分を取り除いた。その後、内部を再び窒素気流下に置きながら反応容器を室温に戻し、乾燥したテトラヒドロフラン50mlを反応容器に導入した。塩化リチウムがテトラヒドロフランに完全に溶解した後、−40℃まで冷却し、1.3モル/リットルの濃度でs−ブチルリチウムを含むシクロヘキサン溶液0.05ml(s−ブチルリチウム含有量:0.065ミリモル)を添加した。
得られたテトラヒドロフラン溶液にイソプレンモノマー6mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−40℃の条件で撹拌することによってイソプレンの重合反応を行った。重合反応開始から24時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたポリイソプレンを4g(収率:98%)得た。
【0024】
得られたポリイソプレンについて、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によって分析した結果、次の値を得た。
【0025】
Mn=87900
Mw=98000
Mw/Mn=1.1
【0026】
ただし、Mnは数平均分子量(ポリスチレンで検量線を作成)を意味し、Mwは重量平均分子量(ポリスチレンで検量線を作成)を意味し、Mw/Mnは分子量分布を意味する。
【0027】
また、得られたポリイソプレンをNMRによって分析した結果、イソプレンの結合様式については、1,2−結合が40モル%、3,4−結合が55モル%、1,4−結合が5モル%であることが判明した。
【0028】
比較例 1(塩化リチウムを添加しない場合のポリイソプレンの合成)
窒素雰囲気下で予め乾燥した反応容器中に、乾燥したテトラヒドロフラン50mlを導入した。−40℃まで冷却し、1.3モル/リットルの濃度でs−ブチルリチウムを含むシクロヘキサン溶液0.05ml(s−ブチルリチウム含有量:0.065ミリモル)を添加した。
得られたテトラヒドロフラン溶液にイソプレンモノマー6mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−40℃の条件で撹拌することによってイソプレンの重合反応を行った。重合反応開始から24時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を実施例1と同様にして再沈処理することにより、ポリイソプレンを1.6g(収率:39%)得た。
【0029】
得られたポリイソプレンについてGPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0030】
Mn=35100
Mw=39700
Mw/Mn=1.1
【0031】
また、得られたポリイソプレンをNMRによって分析した結果、イソプレンの結合様式については、1,2−結合が40モル%、3,4−結合が55モル%、1,4−結合が5モル%であることが判明した。
【0032】
実施例 2(スチレン−イソプレンブロック共重合体の合成)
窒素雰囲気下で予め乾燥した反応容器中に、塩化リチウム0.25gを導入した。塩化リチウムの入った反応容器を180℃で3時間加熱し、さらに真空脱気することによって、完全に水分を取り除いた。その後、内部を再び窒素気流下に置きながら反応容器を室温に戻し、乾燥したテトラヒドロフラン50mlを反応容器に導入した。塩化リチウムがテトラヒドロフランに完全に溶解した後、−78℃まで冷却し、1.3モル/リットルの濃度でs−ブチルリチウムを含むシクロヘキサン溶液0.05ml(s−ブチルリチウム含有量:0.065ミリモル)を添加した。
得られたテトラヒドロフラン溶液にスチレンモノマー0.7mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−78℃の条件で1時間撹拌することによってスチレンの重合反応を行った。次いで、得られた反応混合液にイソプレンモノマー6mlを添加し、その溶液を窒素気流下に−40℃の条件で撹拌することによってイソプレンの重合反応を行った。イソプレンの重合反応開始から24時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたスチレン−イソプレンブロック共重合体を4.7g(収率:99%)得た。
【0033】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0034】
Mn=99500
Mw=113000
Mw/Mn=1.1
【0035】
実施例 3(イソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体の合成)
実施例1と同様にして、−40℃でイソプレンモノマー6mlの重合反応を24時間行った。次に、メタノールを添加する代わりに、1,1−ジフェニルエチレン0.018g(0.1ミリモル)を添加し、窒素気流下、−40℃で1時間反応させた。その後、反応容器を−78℃まで冷却し、メチルメタクリレートモノマー0.7mlを添加した後、その溶液を同温度で窒素気流下に撹拌することによってメチルメタクリレートの重合反応を行った。
メチルメタクリレートの重合反応開始から1時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたイソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体を4.7g(収率:99%)得た。
【0036】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0037】
Mn=99300
Mw=116000
Mw/Mn=1.2
【0038】
実施例 4(スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の合成)
実施例2と同様にして、−78℃でスチレンモノマー0.7mlの重合反応を1時間行い、次いで−40℃でイソプレンモノマー6mlの重合反応を24時間行った。次に、メタノールを添加する代わりに、反応容器を−78℃まで冷却し、スチレンモノマー0.7mlを添加した後、その溶液を同温度で窒素気流下に撹拌することによってスチレンの重合反応を行った。
スチレンの重合反応開始から1時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を5.3g(収率:99%)得た。
【0039】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0040】
Mn=109200
Mw=114700
Mw/Mn=1.1
【0041】
実施例 5(スチレン−イソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体の合成)
実施例2と同様にして、−78℃でスチレンモノマー0.7mlの重合反応を1時間行い、次いで−40℃でイソプレンモノマー6mlの重合反応を24時間行った。次に、メタノールを添加する代わりに、1,1−ジフェニルエチレン0.018g(0.1ミリモル)を添加し、窒素気流下、−40℃で1時間反応させた。その後、反応容器を−78℃まで冷却し、メチルメタクリレートモノマー0.7mlを添加した後、その溶液を同温度で窒素気流下に撹拌することによってメチルメタクリレートの重合反応を行った。
メチルメタクリレートの重合反応開始から1時間後、反応混合液にメタノール0.1mlを添加することによって反応を停止した。得られた混合液を撹拌下のメタノール500ml中に添加することによって再沈操作を行い、沈殿物として、低沸点物(テトラヒドロフラン、シクロヘキサンおよびメタノール)および塩化リチウムが除去されたスチレン−イソプレン−メチルメタクリレートブロック共重合体を5.3g(収率:99%)得た。
【0042】
得られたブロック共重合体について、GPCによって分析した結果、次の値を得た。
【0043】
Mn=109000
Mw=128600
Mw/Mn=1.2
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、エーテルを含む溶媒中での共役ジエンのアニオン重合を、低い温度条件下であっても高い反応速度で行うことができるため、少なくとも一部の重合工程として該アニオン重合の工程を含む共役ジエン系重合体の製造を、短縮された時間で効率よく行うことができる。したがって、本発明により、平均分子量、分子量分布、共役ジエンの結合様式等が制御された共役ジエン系重合体の工業的に有利な製造方法が提供される。
Claims (4)
- 共役ジエンをエーテルを含む有機溶媒中でアニオン重合するに際し、重合反応系内に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることを特徴とする共役ジエン系重合体の製造方法。
- 共役ジエンを−100℃〜25℃の範囲内の温度でアニオン重合する請求項1記載の製造方法。
- 共役ジエンをエーテルを含む有機溶媒中でアニオン重合する工程を含むブロック共重合体の製造方法において、少なくとも該共役ジエンのアニオン重合時において、重合反応系内に、酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を存在させることを特徴とするブロック共重合体の製造方法。
- 共役ジエンを−100℃〜25℃の範囲内の温度でアニオン重合する請求項3記載の製造方法。
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