JP2000072808A - ジリチウム開始剤の製造方法 - Google Patents

ジリチウム開始剤の製造方法

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JP2000072808A
JP2000072808A JP25911798A JP25911798A JP2000072808A JP 2000072808 A JP2000072808 A JP 2000072808A JP 25911798 A JP25911798 A JP 25911798A JP 25911798 A JP25911798 A JP 25911798A JP 2000072808 A JP2000072808 A JP 2000072808A
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ホフマンス ユルゲン
Van Behlen Marcel
ヴァン ベーレン マルセル
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 窒素あるいは酸素を含有する極性化合物を用
いずに非極性溶媒中でジリチウム開始剤を製造し、得ら
れた溶液をそのまま重合反応に用いて、重合体の分子量
分布が狭いポリマーを得、更に、モノマーに共役ジエン
を用いた場合には、共役ジエン重合体部分の1,2−結
合構造の少ないポリマーを得る。 【解決手段】 非極性炭化水素溶媒中で、モノ有機リチ
ウム化合物と1,3−ジイソプロペニルベンゼンとを2
/1のモル比で反応させてジリチウム開始剤を製造する
にあたって、ベンゼン環を有するπ錯化化合物を、π錯
化化合物のモノ有機リチウム化合物に対するモル比が1
/10〜1000/1の範囲で存在させて、−20〜6
0℃の温度で反応を行う製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は共役ジエンと芳香族
ビニル化合物とからなるブロックポリマーや両末端に官
能基を持つテレケリックポリマーの製造に有用なジリチ
ウム開始剤の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジリチウム化合物を重合開始剤に用いて
ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SB
S)構造、またはポリスチレン−ポリイソプレン−ポリ
スチレン(SIS)構造のブロックポリマーを重合する
試みは古くから行われてきた。しかし、実際の商業的な
生産には必ずしも結びついていない。その原因の一つ
は、開始剤として用いるジリチウム化合物が単一成分に
ならないことが挙げられる。即ち、多数成分からなる開
始剤によって重合されたポリマーは分子量分布が広がっ
たり、ジリチウム化合物の一方の重合開始点のみで重合
が進むためにAB型ジブロック構造のポリマー等が含ま
れたものになって、引張強度などの基本性能の劣る欠点
を有していた。
【0003】他の原因には、ジリチウム化合物の非極性
重合溶剤に対する溶解度を大きくし、しかもなるべく単
一成分の多い開始剤を得るためには、開始剤の製造工程
で窒素や酸素原子を有する極性化合物を適量用いること
が不可欠であって、このため次の重合工程である共役ジ
エンの重合においてポリマーの結合構造が制限され、結
果的に1,2−ビニルの結合の多いポリマーしか得られ
ないことも挙げられる。更に、重合で得られたポリマー
溶液をそのまま次の反応に応用する場合にも不都合な場
合があった。例えば、ポリマーに水素を付加する反応に
供する場合には、これらの極性化合物の内、窒素原子を
含有する化合物である第3級アミン化合物は共役ジエン
ポリマーに水素を付加する水添反応の触媒に対して被毒
作用があるため重合溶液をそのまま水添反応に供するこ
とができないという欠点も有していた。
【0004】例えば、特公昭63−5403号公報、特
公平1−53681号公報には、ジリチウム開始剤を用
いて分子量分布の狭いポリマーを得るための方法が開示
されている。いずれもモノリチウム化合物を第3級アミ
ンの存在下に1,3−ジイソプロペニルベンゼンと反応
させてジリチウム開始剤を得る技術である。
【0005】特開平8−48709号公報(EP690
075A1)には、上記特許に開示された技術を更に改
良したジリチウム開始剤を用いた重合方法が開示され、
開始剤として、モノリチウム化合物を第3級アミンの存
在下に1,3−ジイソプロペニルベンゼンと反応させ、
次いで少量の共役ジエンを反応させたオリゴマーである
α,ω−ジリチオポリ(共役ジエン)の製造方法が記載
されている。この発明の目的および手段は、分子量分布
の狭いポリマーを得るために生成したジリチウム化合物
と少量の共役ジエンとからα,ω−ジリチオポリ(共役
ジエン)を生成させ、この共役ジエンオリゴマーを開始
剤に用いてポリマーを重合することであり、複雑な工程
を必要としていた。また、同公報には先行技術として数
多くの特許公報や文献が紹介されている。
【0006】上記の先行技術では、第3級アミンを必須
成分としており、先に述べたように重合溶液をそのまま
水添反応に供することができない。また重合反応の開始
を制御するためにオリゴマー開始剤を用いたり、反応初
期の共役ジエン量を少なくしたり、開始剤濃度を特定す
るなど制約の多いものであった。また、Macromolecules
1994,27, 2219-2255 によれば、sec−BuLiを用
いて合成したジリチウム開始剤でトルエン、シクロヘキ
サン、n−ヘキサンに可溶なものが開示され、ブロック
コポリマーのできることが記載されている。しかし、極
性化合物を用いていないこれらの系では重合速度が遅
く、しかも得られたポリマーの分子量分布も十分には狭
くはない。
【0007】一方、アニオン重合においてπ電子供与体
であるデュレンを用いるとスチレンの重合速度が変化す
ることは既に知られている。J. of Polymer Science, P
artA,3, 1037-1044,(1965) によれば、活性末端Liに
対するデュレンのモル比が1/5において、デュレンを
含まない場合に比べてスチレンの重合速度が約2倍にな
ると報告されており、デュレンによるπ錯体の生成を示
唆する記載がある。しかしながらデュレンのようなπ錯
化化合物を使ってジリチウム開始剤を製造する試みはな
く、更にアニオン重合に積極的に用いて共役ジエン類を
重合する試みを示唆するものもなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、窒素
あるいは酸素を含有する極性化合物を用いずに非極性溶
媒中でジリチウム開始剤を製造することである。別の目
的は、得られた溶液をそのまま重合反応に用いて、重合
体の分子量分布が狭いポリマーを得ることであり、更
に、モノマーに共役ジエンを用いた場合には、共役ジエ
ン重合体部分の1,2−結合構造の少ないポリマーを得
ることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本願発明者らはジリチウ
ム開始剤の製造に関わる上記の欠点を克服するため鋭意
検討を行った結果、以下の発明を完成するに至った。即
ち本発明は、非極性炭化水素溶媒中で、モノ有機リチウ
ム化合物とベンゼン環に直接結合したビニル基を2個有
する化合物とを、置換基を有するベンゼン環化合物から
なるπ錯化化合物の存在下に反応させてジリチウム開始
剤を製造することを特徴とするジリチウム開始剤の製造
方法に関する。
【0010】本発明の実施様態の一つは、非極性炭化水
素溶媒中で、モノ有機リチウム化合物とベンゼン環に直
接結合したビニル基を2個有する化合物とを2/1のモ
ル比で反応させてジリチウム開始剤を製造するにあたっ
て、置換基を有するベンゼン環化合物からなるπ錯化化
合物を、π錯化化合物のモノ有機リチウム化合物に対す
るモル比が1/10〜1000/1の範囲で存在させ
て、−20〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度
で反応を行う製造方法である。
【0011】非極性炭化水素溶媒としては、炭素原子数
が4〜8個の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素あるいは
それらの混合物が使用できるが、シクロアルカン類、特
にシクロヘキサン、シクロペンタンが好ましい。モノ有
機リチウム化合物としては、n−ブチルリチウム、se
c−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、2−
メチル−プロピルリチウム、i−プロピルリチウムなど
が挙げられるが、sec−ブチルリチウム、tert−
ブチルリチウムが好ましく、最も好ましいのはtert
−ブチルリチウムである。
【0012】ベンゼン環に直接結合したビニル基を2個
有する化合物とは、下記の一般式(1)で表される化合
物である。
【化1】
【0013】式中、Rは水素、メチル基、エチル基、フ
ェニル基、アルキル置換フェニル基から選ばれた基を表
し、(Ar)は2価の脂肪族基、脂環族基、芳香族基を
表す。但し、(Ar)が脂肪族基、脂環族基で炭素2重
結合に結合している場合には、Rはフェニル基またはア
ルキル置換フェニル基である。(Ar)の具体例として
は、p−フェニレン基、m−フェニレン基、p,p’−
フェニレンエーテル基、p,p’−ジフェニレン基、
p,p’−ジフェニルプロパン基、1,8−オクチレン
基などが挙げられる。これらのベンゼン環に直接結合し
たビニル基を2個有する化合物の具体例としては、例え
ば,1,3−ジイソプロペニルベンゼン、ジビニルベン
ゼン、1,3−ジ(1−フェニルエチニル)ベンゼン、
1,3−ジ[1−(メチルフェニル)エチニル)]ベン
ゼン、2,11−ジフェニル−ドデカ−1,11−ジエ
ンなどが挙げられる。
【0014】置換基を有するベンゼン環化合物からなる
π錯化化合物とは、有機リチウム化合物や重合活性を示
すリチウムイオンの会合に関与して、その会合を部分的
に解離させる作用を持つ化合物であって、有機リチウム
化合物や重合活性を示すリチウムイオンとは反応をしな
いか、ジリチウム開始剤の生成速度あるいはモノマーの
重合速度に比べて、十分に遅い反応速度を持つ化合物の
ことである。それらにはベンゼン環を有する化合物で、
3個以上のアルキル基で置換されたベンゼン、デカハイ
ドロトリフェニレン、ジフェニル置換メチレン化合物、
1,1−ジフェニル置換エチレン化合物あるいは1,2
−シスジフェニル置換エチレン化合物が挙げられる。
【0015】具体的には、上記のデカハイドロトリフェ
ニレンの他に1,2,4,5−テトラメチルベンゼン
(デュレン)、ヘキサメチルベンゼン、2,2−ジフェ
ニルプロパン、テトラフェニルエチレンなどが挙げられ
る。これらのπ錯化化合物はモノ有機リチウム化合物に
対するモル比が1/10〜1000/1の範囲で用いら
れるが、その最適な範囲はそれぞれの化合物によって異
なり、例えばデュレンでは1/10〜1000/1であ
るが、用いる溶媒に対する溶解度によっても限定され
る。また、反応温度は−20〜60℃で行うことができ
るが、好ましくは20〜50℃の範囲である。
【0016】反応に用いる原料及び溶媒は十分精製して
用いることが必要である。また、重合反応に用いるモノ
マーも適宜精製したものを用いる。反応容器などから持
ち込まれる不純物についても考慮し、モノ有機リチウム
化合物とベンゼン環に直接結合したビニル基を2個有す
る化合物とのモル比を2/1に極力近づけることが重要
である。反応によって得られるジリチウム化合物の濃度
は適宜決められるが、0.0001〜0.1モル/リッ
トルが好ましい。これよりも薄い濃度では不純物による
変動が大きく、また濃い濃度では反応が不均一に進むた
めに好ましくない。この濃度範囲内で製造したジリチウ
ム開始剤を適宜非極性炭化水素溶媒で希釈して用いるこ
ともできる。
【0017】得られたπ錯化化合物を含有するジリチウ
ム開始剤は、そのまま共役ジエンモノマーや芳香族ビニ
ル化合物モノマーあるいはまたアニオン重合可能な他の
モノマーの重合に用いることができ、ホモポリマー、ブ
ロックコポリマー、ランダムコポリマーを得ることがで
きる。代表的なこれらのモノマーの例には、共役ジエン
として、ブタジエン、イソプレン、2−エチル−1,3
−ブタジエン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、
1,3−ペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエン
を、芳香族ビニル化合物として、スチレン、α−メチル
スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
o−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、
ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、ビニ
ルナフタレンを、他のモノマーとして、(メタ)アクリ
ル酸エステル類、ビニルピリジン、ε−カプロラクトン
などを挙げることができる。
【0018】ブロックあるいはランダム共重合に際して
は、必要に応じて少量の極性化合物の添加を添加するこ
とが有効である。極性化合物の例として、THF、ジエ
トキシプロパン、グライム、ジグライムなどのエーテル
化合物やトリエチルアミン、テトラメチレンジアミンな
どの第3級アミン等を挙げることができる。好ましい化
合物は溶媒に対して極少量のTHFである。ジリチウム
開始剤を用いたアニオン重合反応は、通常の重合条件で
ある0〜120℃で行われる。高温で重合すると共役ジ
エンからは1,2−ビニル構造の少ない重合体が得られ
るが、分岐構造によるゲルが発生し易くなる。一方、低
温では重合速度が遅くなる。
【0019】本発明のジリチウム開始剤を用いて重合し
て得られる重合体は、両末端に重合活性を持つリチウム
アニオン末端を有しており、その活性末端を使って極性
基の導入ができる。例えば、エチレンオキサイドと反応
させると両末端に水酸基を持つテレケリック重合体が得
られる。炭酸ガスと反応させて加水分解すると両末端が
カルボン酸基を持つ重合体が得られる。この方法によっ
て、1,2−ビニル構造の少ない両末端に官能基を持っ
た重合体の合成ができる。本発明によれば、アミンなど
の極性化合物を用いることなく、非極性溶媒を使ってジ
リチウム開始剤を製造することができる。また、得られ
たジリチウム開始剤をそのまま使うことにより、従来法
のようにオリゴマーを作成する必要がなく、分子量分布
の狭いポリマーが容易に得られる。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって具体的に本発明を説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。溶
媒、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、デュレン、モ
ノマーは不純物を取り除くために金属ナトリウムあるい
は金属カリウムやtert−ブチルリチウム、オリゴマ
ーリチウムによる脱水と高真空下での蒸留とを行って精
製した。ヘキサメチルベンゼンとテトラフェニルエチレ
ンは再結晶を繰り返して精製した。特にモノマーは、手
早く蒸留を実施することによって重合反応によるモノマ
ーの消費を抑えた。購入したtert−ブチルリチウム
のシクロヘキサン溶液は、スチレンを重合してそのGP
Cの分子量からtert−ブチルリチウムの濃度を求め
た。
【0021】(実施例1) デュレンを用いたジリチウム開始剤の合成 デュレンの存在下でジリチウム開始剤の生成を確認する
ために次の実験を行った。高真空ラインを用いて室温で
1,3−ジイソプロペニルベンゼン(以後「DIB」と
記載する)とtert−ブチルリチウム(以後「t−B
uLi」と記載する)との反応を行った。シクロヘキサ
ン溶媒における最終的な濃度は、デュレンが0.5モル
/リットル(濃度のモル/リットルは今後「M」と記載
する)、DIBが5×10-4Mであった。t−BuLi
はDIBの2倍モル用いた。
【0022】紫外吸収スペクトルを用いた反応の追跡に
よると、310ナノメーター(nm)の紫外部の吸収は
時間の経過とともに大きくなり、およそ140時間後に
ほぼ飽和に達した。この310nmの吸収がシクロヘキ
サン中のジイソプロぺニルベンゼン−ジリチウムの吸収
であることから、ジイソプロぺニルベンゼン−ジリチウ
ムの生成が確認された。この310nmの吸収がシクロ
ヘキサン中のジイソプロぺニルベンゼン−ジリチウムの
吸収であることはLutz等報告( Eur.Polymer J. 1
5, 1111-1117, 1979 )に記載されている。
【0023】(実施例2)同様に40℃でデュレンが
0.5M、DIBが1.3×10-3M、t−BuLiを
DIBの2倍モル用いる条件では約10時間後に310
nmの吸収は最高値に達した。この溶液は透明であっ
た。
【0024】(実施例3) ジリチウム開始剤によるスチレンの重合 実施例2と同様の方法で、40℃においてデュレンが
0.65M、DIBが7×10-4M、t−BuLiをD
IBの2倍モル用いる条件でジリチウム開始剤を30時
間反応させて合成した。この開始剤溶液を用いてシクロ
ヘキサン中で反応温度を40℃に保ってスチレンを添加
し、スチレン濃度が0.18Mの条件でスチレンを重合
した。用いたスチレン量とDIBが全てジリチウム化合
物になって、重合を開始したと想定して計算した数平均
分子量は、41600であるが、得られたポリマーのG
PCから求めた数平均分子量39800と非常によく一
致した。分子量分布(Mw/Mn)は1.06であり、
単分散であった。また、UVスペクトルから活性ポリス
チリルリチウムの濃度を計算した結果、1.3×10-3
Mであり、使用したt−BULiの濃度とほぼ一致し
た。
【0025】(比較例1) ジリチウム開始剤によるスチレンの重合 実施例3と同様の条件でデュレンを用いないでジリチウ
ム開始剤を合成し、スチレンの重合を行った。ジリチウ
ム開始剤は30時間反応させた。用いたスチレンの濃度
は0.2Mで、数平均分子量の計算値33500に対し
て、ポリマーのGPCから求めた数平均分子量は546
00であり、Mw/Mnが1.66となって分子量分布
が広いものとなった。活性ポリスチリルリチウムの濃度
はUVスペクトルから1.0×10-3Mと計算された。
生成したジリチウム開始剤が単一のものでは無いことが
推察された。
【0026】(実施例4) ジリチウム開始剤によるSBSの重合 高真空ラインを用いて45℃でDIBとt−BuLiと
の反応を行った。シクロヘキサン溶媒における最終的な
濃度は、テトラフェニルエチレン(TPhE)が2.1
×10-3M、DIBが5×10-4M、t−BuLiはD
IBの2倍モル用いた。310ナノメーター(nm)の
紫外部の吸収は時間の経過とともに大きくなり、およそ
30時間後にほぼ飽和に達した。この開始剤溶液を用い
て40℃で重合を行った。所定量のブタジエンをガラス
のリアクターに添加して重合を完結した。GPC分析に
必要な量をサンプリングした後、少量のTHF(約3w
t%)を添加し、更に所定量のスチレンを添加して重合
を完結した。
【0027】サンプリングしたポリマーはアルコールで
失活した後、溶媒を除去し、再度THFに溶解してGP
Cを測定した。また、最終ポリマーも同様にアルコール
で失活させた後溶媒を除去した。次にオスミウム酸分解
法でポリスチレン部分を分離し、GPCを測定した。G
PCから求めた数平均分子量の測定値を下表に示す。計
算値は添加したモノマー量を開始剤の濃度で割って求め
た。なお、ポリブタジエンの数平均分子量の実測値は標
準ポリスチレンから求めた分子量を0.6倍した。
【0028】 数平均分子量 計算値 GPC実測値 ポリブタジエン 39000 34100 ポリスチレン 11800 9150 ポリブタジエン、ポリスチレンとも計算値に近い数平均
分子量が得られており、均一なジリチウム開始剤が形成
され、重合が進行していることが判る。また、ポリブタ
ジエン部分のミクロ構造はプロトンNMRから、1,2
−ビニル結合が8%、1,4−シス構造が39%、1,
4−トランス構造が53%であり、この値は極性化合物
やπ錯化化合物を用いないで重合したポリブタジエンと
同じであった。
【0029】
【発明の効果】本発明のジリチウム開始剤には、共役ジ
エン重合体の結合構造を規制する窒素あるいは酸素を含
有する極性化合物を用いていないので、共役ジエン重合
体部分中の1,2−ビニル結合量を最小に抑えたのもか
ら、必要に応じて適当量の極性化合物を添加することに
より1,2−ビニル結合量を高めたものまで自由に制御
した重合体を得ることができる。更に、窒素原子を含有
する極性化合物を用いないので、該極性化合物によって
被毒される触媒を用いる水素添加反応に重合溶液をその
まま供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H048 AA02 AC90 VA51 VB10 4J015 DA02 4J026 HD02 HD03 HD06 HD12 HD15 HD16 HE06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非極性炭化水素溶媒中で、モノ有機リチ
    ウム化合物とベンゼン環に直接結合したビニル基を2個
    有する化合物とを、置換基を有するベンゼン環化合物か
    らなるπ錯化化合物の存在下に反応させてジリチウム開
    始剤を製造することを特徴とするジリチウム開始剤の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 置換基を有するベンゼン環化合物からな
    るπ錯化化合物が、3個以上のアルキル基で置換された
    ベンゼン、デカハイドロトリフェニレン、ジフェニル置
    換メチレン化合物、1,1−ジフェニル置換エチレン化
    合物あるいは1,2−シスジフェニル置換エチレン化合
    物から選ばれた1種以上の化合物である請求項1に記載
    のジリチウム開始剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 3個以上のアルキル基で置換されたベン
    ゼンが1,2,4,5−テトラメチルベンゼン(デュレ
    ン)、ヘキサメチルベンゼンであり、ジフェニル置換メ
    チレン化合物が2,2−ジフェニルプロパンであり、
    1,1−ジフェニル置換エチレン化合物がテトラフェニ
    ルエチレンである請求項2に記載のジリチウム開始剤の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 ベンゼン環に直接結合したビニル基を2
    個有する化合物が、1,3−ジイソプロペニルベンゼ
    ン、ジビニルベンゼン、1,3−ジ(1−フェニルエチ
    ニル)ベンゼンあるいは1,3−ジ[1−(メチルフェ
    ニル)エチニル)]ベンゼンから選ばれた1種以上の化
    合物である請求項1〜3のいずれかに記載のジリチウム
    開始剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 モノ有機リチウム化合物が、sec−ブ
    チルリチウムまたはtert−ブチルリチウムである請
    求項1〜4のいずれかに記載のジリチウム開始剤の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 π錯化化合物のモノ有機リチウム化合物
    に対するモル比が1/10〜1000/1の範囲である
    請求項1〜5のいずれかに記載のジリチウム開始剤の製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001064758A1 (fr) * 2000-02-28 2001-09-07 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Solution de dilithium, amorce de polymerisation
US6613858B1 (en) 1998-08-31 2003-09-02 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Solution of dilithium polymerization initiator

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