JP2000043079A - シクロオレフィン系重合体成形物の製造法 - Google Patents

シクロオレフィン系重合体成形物の製造法

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JP2000043079A
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Hiromasa Kawai
宏政 河合
Akio Aihara
章雄 相原
Akira Sasaki
昭 佐々木
Suchen Chu Robert
スウチェン チュウ ロバート
Tomoaki Aoki
知明 青木
Hitoshi Yamazaki
仁 山崎
Yoshiki Inoue
芳樹 井上
Masami Yusa
正己 湯佐
Noburu Kikuchi
宣 菊地
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  • Polyoxymethylene Polymers And Polymers With Carbon-To-Carbon Bonds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】シクロオレフィン系化合物から、成形物の表面
層の重合硬化が十分に高く、外観ムラが少なく、残存臭
気が少なく、成形品の接着加工の容易な重合体成形物の
製造法を提供する。 【解決手段】シクロオレフィン系化合物を2成分混合型
メタセシス重合触媒系の存在下に成形用型内で塊状重合
するにあたり、予め成形用型の表面に揮発性溶剤に溶か
した1成分型メタセシス重合触媒溶解液を噴霧してこの
メタセシス重合触媒の層を形成させ、前記成形用型を用
いて成形し、シクロオレフィン系重合体成形物を製造す
る。1成分型メタセシス重合触媒としては、Ruカルベ
ン触媒が好ましく用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シクロオレフィン
系重合体成形物の製造法に関し、更に詳しくは、メタセ
シス重合可能なシクロオレフィン系化合物を成形用型内
で塊状重合させるシクロオレフィン系重合体成形物の製
造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シクロオレフィン類がメタセシス(複分
解)重合触媒系によって開環重合することは知られてい
る。例えば、J.Am.Chem.Soc.,196
0,Vol.82, 2337にはノルボルネンがメタセシ
ス触媒系によって開環重合することが記載されており、
Angew.Chem.Int.Edn.,1964,
Vol.3,723にはシクロペンテンがメタセシス触媒
系[MoCl5/Al(C253]によって開環重合す
ることが記載されている。また、シクロオレフィン類を
開環重合してポリマーを製造する方法も知られている。
例えば、特開昭50−130900号公報や特開昭52
−33000号公報にはタングステンやモリブデン等の
ハロゲン化物と有機アルミニウム化合物とから成るメタ
セシス触媒系を用いて、開環重合ポリマーを製造する方
法が開示されている。
【0003】一方、ジシクロペンタジエン(以下、DC
PDとも略す)やトリシクロペンタジエン等のノルボル
ネン型シクロオレフィン類を塊状重合させて、架橋重合
体成形物を得る方法も知られている。例えば、特開昭5
8−127728号公報や特開昭58−129013号
公報には、メタセシス触媒系の触媒成分及びDCPDと
の混合物から成る溶液Aと、メタセシス触媒系の活性化
剤(共触媒)成分及びDCPDとの混合物から成る溶液
Bとを反応射出成形(RIM)法により架橋重合体成形
物を製造する方法が開示されている。
【0004】特開昭59−51911号公報には、タン
グステン及びモリブデンの有機アンモニウム塩から選ば
れた触媒成分とアルコキシアルキルアルミニウムハライ
ド及びアリールオキシアルミニウムハライドから選ばれ
た活性化剤成分とを組み合わせたメタセシス触媒系を用
いて、ノルボルネン型シクロオレフィンを反応射出成形
して架橋重合体成形物を製造する方法が開示されてい
る。また、特開平3−205409号公報には、六塩化
タングステン及びオキシ四塩化タングステンから選ばれ
た触媒成分と塩化ジエチルアルミニウム及び二塩化エチ
ルアルミニウムから選ばれた活性化剤とを組み合わせた
メタセシス触媒系を用いて、反応射出成形法で架橋した
ジシクロペンタジエン重合体を製造する方法が開示され
ている。
【0005】前記したメタセシス触媒系はいずれも2成
分混合型触媒系で、触媒成分は活性化剤成分によって活
性化され、ノルボルネン型シクロオレフィン類を開環重
合させることが分かっている。また、上記反応射出成形
を行う場合には、溶液Aと溶液Bを衝突混合させ、その
混合液は直ちに金型内に液状のまま注入され、塊状で開
環重合される。また、このようにして得られる硬化物の
機械的特性、電気的特性及び耐水性等が優れることは知
られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記活性化剤として使
用される有機アルミニウム化合物は反応性が高く、水や
酸素が存在すると直ちにこれらと反応して触媒活性化作
用が失われやすい。そこで、反応射出成形を行う場合、
大気中の水や酸素の混入をできる限り排除するために分
割型金型を閉じた状態で形成される空間中で塊状重合さ
せる方法(例えば、特開昭63−112125号公報,
特開平1−215519号公報等)が採られてきた。し
かし、これらの対策を施しても金型表面の吸着水分の影
響まで完全に取り除くことは困難で、成形物の表面層の
重合硬化が不十分となり易く、外観ムラが多い、残存臭
気が強い、成形品の接着加工が容易でない、等の問題を
抱えていた。特に、外観ムラは残存臭気と並び、成形品
の商品価値を著しく損なう問題であり、これを避けるた
めに、例えば、金型表面に重合遅延効果を有する有機液
状ルイス塩基性化合物を塗布する方法(特開昭63−2
64312号公報)等が提案されてきたが、この方法で
は外観ムラを解消できるものの、表面層全体の重合硬化
度は低く未重合モノマが残りやすいため、臭気や離型性
に問題を残す。本発明は、上記問題を解消することを目
的とし、シクロオレフィン系化合物から表面未硬化層の
ない高品質な成形物、すなわち、成形物の表面層の重合
硬化が十分に起こり、外観ムラ及び残存臭気が少なく、
成形品の接着加工の容易な重合体成形物の製造法を提供
するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、シクロオ
レフィン系化合物から2成分混合型メタセシス重合触媒
系を用いて重合・成形する製造法において、成形物の表
面層の硬化度を高める方法を種々検討した結果、通常の
反応射出(RIM)成形システムのもとで、予め成形用
型の表面に1成分型メタセシス重合触媒(水分に対して
安定な触媒)を溶解した揮発性溶剤を噴霧して、成形用
型の表面上に前記触媒層を形成させておくと、成形物の
表面未硬化不良が解消され、外観に優れ、残存臭気がほ
とんど無く、成形品の接着加工性が改善された成形物が
得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】すなわち、本発明は、シクロオレフィン系
化合物を2成分混合型メタセシス重合触媒系の存在下に
成形用型内で塊状重合するにあたり、予め成形用型の表
面に1成分型メタセシス重合触媒の層を形成させておく
ことを特徴とする、シクロオレフィン系重合体成形物の
製造法に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるシクロオレフ
ィン系化合物(モノマ成分)としては、メタセシス重合
において有用な重合性シクロオレフィンであればいずれ
でもよい。中でも、置換又は非置換のノルボルネン、ジ
シクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等
のノルボルネン系化合物が好適に用いられる。
【0010】ノルボルネン系化合物としては、ノルボル
ネン、メチルノルボルネン、ジメチルノルボルネン、エ
チルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブチルノ
ルボルネン、等の二環ノルボルネン、ジシクロペンタジ
エン(シクロペンタジエンの二量体)、ジヒドロジシク
ロペンタジエン、メチルジシクロペンタジエン、ジメチ
ルジシクロペンタジエン、等の三環ノルボルネン、テト
ラシクロドデセン、メチルテトラシクロドデセン、ジメ
チルシクロテトラドデセン等の四環ノルボルネン、トリ
シクロペンタジエン(シクロペンタジエンの三量体)、
テトラシクロペンタジエン(シクロペンタジエンの四量
体)等の五環以上のノルボルネンが挙げられる。また、
2個以上のノルボルネン基を有する化合物、例えばノル
ボルナジエン、テトラシクロドデカジエン、対称型トリ
シクロペンタジエン等を多官能架橋剤として用いること
もできる。
【0011】これらの中で、入手の容易さ、経済性等か
らジシクロペンタジエン、メチルテトラシクロドデセ
ン、エチリデンノルボルネン、トリシクロペンタジエ
ン、テトラシクロペンタジエンが好ましく、ジシクロペ
ンタジエンが特に好ましい。
【0012】これらのノルボルネン系化合物は単独で、
また複数の化合物の混合物として用いることもできる
が、好ましくは、50重量%以上のジシクロペンタジエ
ンとその他にトリシクロペンタジエン及び/又はテトラ
シクロペンタジエンを含む混合物である。
【0013】なお、上記ノルボルネン系化合物と開環共
重合し得る(ノルボルネン系以外の)シクロブテン、シ
クロペンテン、シクロオクテン、シクロドデセン、テト
ラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン等のシ
クロオレフィン類を、本発明の目的を損なわない範囲で
混合使用することができる。なお、通常の市販されてい
るジシクロペンタジエンは、ビニルノルボルネン、テト
ラヒドロインデン、メチルビニルノルボルネン、メチル
テトラヒドロインデン、メチルジシクロペンタジエン、
ジメチルジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエ
ン等を不純物として含んでいることがあり、種々の純度
のジシクロペンタジエンが市販されている。本発明に使
用するジシクロペンタジエンとしては、得られるポリマ
ーの使用目的によっても異なるが、通常80重量%以上
の純度、好ましくは90重量%以上の純度のものが使用
される。
【0014】ジシクロペンタジエンの使用にあたって
は、事前に加熱処理することにより、ジシクロペンタジ
エンの一部をトリシクロペンタジエンやテトラシクロペ
ンタジエン等のシクロペンタジエンオリゴマーにした
り、不純物であるビニルノルボルネンやメチルビニルノ
ルボルネンをテトラヒドロインデンやメチルテトラヒド
ロインデンに異性化したりすることができる。加熱処理
は通常120〜250℃で、0.5〜10時間程度であ
る。
【0015】また、本発明で用いるノルボルネン系化合
物には必要に応じて予め酸化防止剤を加えることができ
る。なお、通常の市販されているジシクロペンタジエン
には既に2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノー
ル、4−t−ブチルカテコール等の酸化防止剤が含有さ
れている。使用にあたって、含有している酸化防止剤を
除去したり、新たに添加したりすることができる。
【0016】本発明で用いる2成分混合型メタセシス重
合触媒系としては、シクロオレフィン系化合物の公知の
開環重合用触媒系(通常、触媒成分と活性化剤から成
る)がある。
【0017】ここで、触媒成分としては、チタン、バナ
ジウム、モリブデン、タングステン、レニウム、イリジ
ウム、ルテニウム及びオスミウム等の遷移金属類よりな
る錯体金属ハロゲン化物、金属カルベン又はチーグラー
ナッタ型の配位触媒等があり、更に具体的には、六塩化
タングステン、オキシ四塩化タングステン、酸化タング
ステン、トリデシルアンモニウムタングステート等のタ
ングステン化合物、五塩化モリブデン、オキシ三塩化モ
リブデン、酸化モリブデン、トリデシルアンモニウムモ
リブデート等のモリブデン化合物、五塩化タンタル等の
タンタル化合物、[(シクロヘキシル)3P]2RuCl
2、[(フェニル)3P]3RuCl2、(シクロヘキシ
ル)3P(p−シメン)RuCl2、[(フェニル)
3P]3(CO)RuH2等のルテニウム化合物等が挙げ
られる。
【0018】また、活性化剤(共触媒)としては、アル
キルアルミニウムハライド、アルコキシアルキルアルミ
ニウムハライド、アリールオキシアルキルアルミニウム
ハライド、有機スズ化合物等が用いられる。
【0019】本発明において2成分混合型メタセシス重
合触媒系の使用量は、通常、シクロオレフィン系化合物
1モルに対し、触媒成分は0.01〜50ミリモル、好
ましくは0.1〜10ミリモルの範囲である。また、活
性化剤成分の使用量は、触媒成分に対して活性化剤成分
が0.1〜200(モル比)、好ましくは2〜10(モ
ル比)の範囲である。これらの触媒成分及び活性化剤成
分は、いずれもシクロオレフィン化合物に溶解して用い
る方が好ましいが、生成物の性質を本質的に損なわない
範囲であれば少量の溶剤に懸濁又は溶解させて用いても
よい。
【0020】本発明の製造法においては、シクロオレフ
ィン系化合物を所定形状の成形用型内に導入し、型内で
2成分混合型メタセシス重合触媒系の存在下に塊状重合
せしめる方法によりシクロオレフィン系重合体成形物を
製造する。シクロオレフィン系化合物を2成分混合型メ
タセシス重合触媒系の存在下に塊状重合する場合、通
常、2種類又はそれ以上の反応原液を調製する。すなわ
ち、一方の容器には活性化剤成分を入れ、他方の容器に
は触媒成分を入れ、それぞれにシクロオレフィン系化合
物を含有させる。この2種類の反応原液を混合し、次い
で成形用型中に注入し、そこで塊状による開環重合を行
って成形品を得る(二液成形法)。この際、反応原液を
第三番目の容器に入れ、第三の流れとして使用すること
も可能である。また、反応原液の混合のために衝突混合
装置を利用することも可能である。しかし、混合後の反
応液のポットライフが1時間以上もあるような場合に
は、ミキサー中で二種類の反応原液を混合し、次いで成
形用型内に注入し、そこで塊状による開環重合を行って
成形品を得る(一液成形法)こともできる。
【0021】本発明で用いられる成形用型は、2成分混
合型メタセシス重合触媒系の存在下にシクロオレフィン
系化合物の塊状重合に伴う温度、圧力、反応液による浸
食に耐える材質であれば特に限定されない。例えば、ス
テンレス、銅、真鍮、FRP、ガラス、セラミック等が
挙げられる。型温度は、通常20℃〜160℃、好まし
くは40〜120℃であり、これ以上に高い温度では、
種々の成分の副反応や離型不良が起き易く、これより低
い温度では重合時間が長びくと同時に重合転化率も低下
し易い。
【0022】重合時間は適宜選択すればよいが、通常2
0分以下である。また、得られる成形物(硬化物)は、
機械的特性、電気的特性、耐煮沸性に優れ、ガラス転移
温度は、通常、90℃以上のものが得られる。
【0023】本発明において、予め成形用型の表面に層
として形成させる1成分型メタセシス重合触媒は、従来
知られているような触媒成分と活性化剤との2成分混合
型の触媒系とは異なり、空気中の水分や固体表面の吸着
水によって容易に触媒活性を失うことなくシクロオレフ
ィン系化合物をメタセシス反応で開環重合させることが
できる触媒であり、具体的には、ルテニウム又はオスミ
ウムの金属カルベン構造を中心骨格として立体障害の大
きい配位子が中心金属へ配位した構造をとることにより
水分に対して安定化された金属カルベン型配位触媒であ
る。
【0024】これらのルテニウム又はオスミウムの金属
カルベン型配位触媒の好ましい例としては、次の一般式
(A)又は(B)で表される化合物が挙げられる。
【化4】 Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びXはそ
れぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びL1はそ
れぞれ独立に中性の電子供与基を示し、Q及びQ1はそ
れぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基又は芳香
族基を示し、アルキル基、アルケニル基又は芳香族基は
置換基を有していてもよい。
【化5】 (ここで、M、X、X1、L、L1、Q及びQ1は一般式
(A)における意味と同じ。)
【0025】更に、触媒活性の高さ、合成収率の高さ及
び経済性等の点からより好ましい例としては、次の一般
式(C)で表される化合物が挙げられる。
【化6】 ここで、M、X、X1、L及びL1は一般式(A)におけ
る意味と同じであり、R1及びR2はそれぞれ独立に炭素
数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル
基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、炭素
数1〜18のカルボキシレート基、炭素数1〜18のア
ルコキシ基、炭素数2〜18のアルケニルオキシ基、炭
素数2〜18のアルキニルオキシ基、炭素数2〜18の
アリルオキシ基、炭素数2〜18のアルコキシカルボニ
ル基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数1〜1
8のアルキルスルホニル基又は炭素数1〜18のアルキ
ルスルフィニル基を示し、R3は水素、アリール基又は
炭素数1〜18のアルキル基を示す。
【0026】上記の一般式(A)、(B)及び(C)中
のX及びX1におけるアニオン性配位子とは、中心金属
への配位を外したときに陰性電荷をもつ基のことであ
る。このような基としては、例えば、水素、ハロゲン、
CF3CO2、CH3CO2、CFH2CO2、(CH33
O、(CF32(CH3)CO、(CF3)(CH32
O、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコ
キシ基、フェニル基、フェノキシ基、トシル基、メシル
基、トリフルオロメタンスルホネート基等があり、特に
好ましいものは両方共にハロゲン(特に、塩素)であ
る。また、一般式(A)、(B)及び(C)中のL及び
1における中性の電子供与基は、中心金属への配位を
外したときに中性電荷をもつ基のことである。このよう
な基としては、例えば、PR234(ここで、R2は2
級のアルキル基又はシクロアルキル基、R3及びR4はそ
れぞれ独立に、アリール基、炭素数1〜10の1級アル
キル基もしくは2級アルキル基、シクロアルキル基を示
す。)で表されるホスフィン系電子供与基や、ピリジ
ン、p−フルオロピリジン等があり、特に好ましいもの
は、両方共に−P(シクロヘキシル)3、−P(シクロ
ペンチル)3、又は−P(イソプロピル)3である。
【0027】上記の金属カルベン化合物は、公知の合成
法により得ることができる。例えば、Organometallics
第16巻、18号、3867ページ(1997年)に示されているプ
ロパギルクロライドを使用する方法が挙げられる。以下
に触媒の合成例を示す。 合成例 500mlのFisher−Porter bottl
eにシクロオクタジエンルテニウムジクロライド(21
mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(42mm
ol)、水酸化ナトリウム(7.2g)、酸素を除去し
たsec−ブタノール250mlを入れ、水素2気圧下
で90℃で加熱する。水素の吸収が終了するまで数回加
圧を繰り返し、一晩撹拌を続ける。水素の圧力をかけた
ままで室温まで冷却し、淡黄色の沈殿物を得る。水30
mlを加え沈殿物を濾過し、水素気流中で乾燥して、R
u(H)2(H22(Pcy32を得る(収率約80
%)。次に、このRu(H)2(H22(Pcy3
2(1.5mmol)をジクロロエタン溶液30mlに
溶解し、−30℃に冷却する。3−クロロ−3−メチル
−1−ブチン(1.5mmol)を加える。溶液は即座
に赤紫に変わり、そのまま15分反応させる。冷却浴を
はずし、脱ガスしたメタノール(20ml)を加えると
紫色の結晶が沈殿する。メタノールで洗浄し、乾燥させ
てRuカルベン触媒(Cl)2(Pcy32Ru=CH
−CH=C(CH32を得る(収率95%)。(参考文
献:Organometallics 第16巻、18号、3867ページ(1997
年))。
【0028】本発明で用いられる1成分型メタセシス重
合触媒は、成形用型の表面上に予めその薄層を形成させ
ておく。それを成形に用いることにより成形品の表面層
の硬化を促進し、型表面の吸着水分による成形品表面の
硬化阻害を防止することができる。型表面に形成させる
前記触媒の使用量は、通常、成形用型内部の表面積に対
し、0.001〜5ミリモル/平方メートル、好ましく
は0.01〜1ミリモル/平方メートルとする。0.0
01ミリモル/平方メートル未満では成形品表面層の硬
化促進効果が十分得られず、5ミリモル/平方メートル
を越える使用量では、型表面の触媒層が不均一となり易
く、また経済的にも好ましくない。
【0029】成形用型の表面に前記1成分型メタセシス
重合触媒の層を形成させる方法としては、触媒を液体媒
体に溶解又は分散させこれを塗布する方法、微粒子状の
触媒(結晶固体)を型表面に直接塗布する方法等の方
法、触媒を揮発性溶剤に溶解しこれを成形用型表面に噴
霧し、揮発性溶剤を揮散させつつ型表面に薄い均質な触
媒層を形成させる方法等が適用でき、特に制限するもの
ではないが、作業工程の簡便性、薄層の均質性等の点か
ら、好ましくは、触媒を溶媒に溶解させこれを塗布する
方法であり、特に好ましくは、触媒を揮発性溶剤に溶解
しこれを成形用型表面に噴霧する方法である。
【0030】ここで用いられる揮発性溶剤としては、触
媒を溶解し、揮発性の高い溶剤であれば、特に制限はな
いが、成形用型の設定温度+10℃より低い沸点を有す
ることが好ましい。揮発性溶剤の具体例としては、ペン
タン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロペンタ
ン、シクロヘキサン、シクロペンテン、シクロヘキセ
ン、シクロペンタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼン、スチレン、石油エーテル、石油ベ
ンジン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、アセト
ン、エチルエーテル、メチルエチルケトン、イソプロピ
ルエーテル、ジオキサン等のエーテル・ケトン類、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等
のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプ
ロピル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタク
リル酸メチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロホ
ルム、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、フロン
-113、フロン-112等のハロゲン化炭化水素類、アクリロ
ニトリル、水等が挙げられる。
【0031】前記触媒溶解液を成形用型表面に噴霧する
方法としては、エアー式噴霧、超音波式噴霧等公知の噴
霧方法をとることができる。触媒溶液の噴霧は、成形サ
イクル中の型開き離型工程で成形品の取出しに続いて行
うことが好ましい。噴霧の頻度は、成形1サイクル毎に
行うことが勧められるが、必要に応じて断続的に実施し
てもよい。噴霧する部分は、成形用型表面の全面でも、
一部(例えば未硬化不良の発生し易い表面部分のみ)に
限定してもよい。
【0032】本発明で製造されるシクロオレフィン系重
合体成形物は、必要に応じて、充填材、補強材、改質材
及び添加剤等を配合することができる。
【0033】充填材としては、粉体状もしくは粒体状の
無機充填材及び有機充填材がある。無機系充填材として
は、例えば、シリカ、珪砂、炭酸カルシウム、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー等があり、有
機系充填材としては、例えば、木粉、ポリエステルやポ
リスチレンビーズ等がある。その粒径、形状、品位等の
グレードは硬化物の用途、物性等により、適宜決めるこ
とができる。充填材は、硬化物の収縮率や弾性率等の機
械的特性の向上のために加えられるもので、その使用量
(含有量)は、硬化物の用途、物性等により適宜決めれ
ばよいが、通常、シクロオレフィン系化合物100重量
部に対して5〜400重量部、好ましくは10〜300
重量部である。
【0034】補強材としては、繊維補強材と繊維以外の
形態の補強材がある。繊維補強材としては、ガラス繊
維、炭素繊維、金属繊維等の無機系補強材やアラミド繊
維、ポリエステル繊維、ポリエチレンやポリプロピレン
等のオレフィン系繊維が挙げられるが、好ましくは、ガ
ラス繊維又は炭素繊維である。これらの補強材は長繊維
であっても、短繊維であってもよい。ストランドを引き
そろえて束状にしたロービング、ロービングを織ったロ
ービングクロス、ランダムコイル状の長繊維をマット状
に成形したコンティニュアスストランドマット、長繊維
をカットしたチョップドストランド、チョップドストラ
ンドをバインダーで接着しマット状に成形したチョップ
ドストランドマット、サーフェイシングマット、綾織り
状のマット又はクロスとストランドを組み合わせた3次
元ガラスマット(蝶理(株)製,商品名パラビーム)、
不織布、コンティニュアスストランドやストランドを立
体的に成形したプリフォーム等を挙げることができる。
繊維以外の形態の補強材としては、ミルドガラス、カッ
トファイバー、マイクロファイバー、マイクロバルー
ン、鱗片状ガラス粉等も使用することができ、繊維補強
材とこれらの併用もできる。目的に応じ、適宜、アスペ
クト比や形状を選ぶ。これら補強材は機械的強度の向上
のために添加されるもので、その使用量(含有量)は、
通常、シクロオレフィン系化合物100重量部に対して
5〜400重量部、好ましくは10〜300重量部であ
る。
【0035】改質材としては、例えば、エラストマー、
天然ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンーブタジエン共
重合体(SBR)、スチレンーブタジエンースチレンブ
ロック共重合体(SBS)、ポリメタクリル酸メチル、
ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、石油樹脂等の有機高分
子材料が挙げられる。その使用量(含有量)は目的とす
る樹脂硬化物の物性にもよるが、シクロオレフィン系化
合物100重量部に対し、通常、0.5〜50重量部で
ある。
【0036】添加剤としては、消泡剤、発泡剤、離型
剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、
接着性付与剤、難燃剤、湿潤剤及び分散剤があり、硬化
物の物性、外観、成形作業性の改善等の目的で、必要に
応じて種々の添加剤を含有させることができる。
【0037】消泡剤としては、例えば、シリコン系オイ
ル、フッ素オイル、ポリカルボン酸系ポリマー等の消泡
剤が挙げられ、これらの使用量(含有量)はシクロオレ
フィン系化合物100重量部に対し、通常、0.001
〜5重量部である。
【0038】発泡剤としては、例えば、ペンタン、プロ
パン、ヘキサン等の低沸点炭化水素系化合物、炭酸ガ
ス、水蒸気等の公知の物理発泡剤、アゾビスイソブチロ
ニトリルやN’N−ジニトロソペンタメチレンテトラミ
ン等のアゾ系化合物やニトロソ化合物等の分解により窒
素ガスを発生する化合物等の公知の化学発泡剤が挙げら
れる。これらの使用量(含有量)はシクロオレフィン系
化合物100重量部に対し、通常、1〜20重量部であ
る。
【0039】着色剤としては、二酸化チタン、コバルト
ブルー、カドミウムエロー等の無機顔料、カーボンブラ
ック、アニリンブラック、β−ナフトール、フタロシア
ニン、キナクリドン、アゾ系、キノフタロン、インダン
スレンブルー等の有機系顔料が挙げられ、所望する色調
に応じてそれぞれを配合する。これらは、2種以上組み
合わせて使用してもよい。通常、これら顔料の使用量
(含有量)はシクロオレフィン系化合物100重量部に
対し、通常、0.1〜50重量部である。
【0040】紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサ
リシレート、パラ−t−ブチルフェニルサリシレート等
のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフ
ェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4'ジメトキシベ
ンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−
(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリ
アゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−
ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール2−(2'−ヒド
ロキシ−3',5'−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾト
リアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2
−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルア
クリレート、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニル
アクリレート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤が
挙げられる。これらは単独又は2種類以上併用してもよ
い。これら紫外線吸収剤の使用量(含有量)は硬化物の
使用環境、要求特性により適宜決めればよいが、シクロ
オレフィン系化合物100重量部に対し、通常、0.0
5〜5重量部である。
【0041】光安定化剤としては、ビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス
(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニ
ル)セバケート、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロ
キシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テト
ラメチルピペリジン重縮合物等のヒンダードアミン系光
安定剤が挙げられる。この光安定剤の使用量(含有量)
は、シクロオレフィン系化合物100重量部に対し、通
常、0.05〜5重量部である。
【0042】酸化防止剤としては、パラベンゾキノン、
トルキノン、ナフトキノン等のキノン類、ハイドロキノ
ン、パラ−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブ
チルハイドロキノン等のハイドロキノン類、ジ−t−ブ
チル・パラクレゾールハイドロキノンモノメチルエーテ
ル、ピロガロール等のフェノール類、ナフテン酸銅やオ
クテン酸銅等の銅塩、トリメチルベンジルアンモニウム
クロライド、トリメチルベンジルアンモニウムマレエー
ト、フェニルトリメチルアンモニウムクロライド等の第
4級アンモニウム塩類、キノンジオキシムやメチルエチ
ルケトオキシム等のオキシム類、トリエチルアミン塩酸
塩やジブチルアミン塩酸塩等のアミン塩酸塩類が挙げら
れる。これら酸化防止剤は充填材との相性や目的とする
成形作業性及び樹脂保存安定性等の条件により適宜、種
類及び量を選ぶ。使用量(含有量)は、シクロオレフィ
ン系化合物100重量部に対し、通常、0.001〜5
重量部である。
【0043】接着性付与剤としては、シラン系カップリ
ング剤が挙げられる。ここで、シランカップリング剤
は、通常、式YSiX(Yは官能基を有し、Siに結合
する1価の基、Xは加水分解性を有しSiに結合する1
価の基)で表される。上記Y中の官能基としては、例え
ばビニル、アミノ、エポキシ、クロロ、メルカプト、メ
タクリルオキシ、シアノ、カルバメート、ピリジン、ス
ルホニルアジド、尿素、スチリル、クロロメチル、アン
モニウム塩、アルコール等の基がある。Xとしては、例
えばクロル、メトキシ、エトキシ、メトキシエトキシ等
がある。具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−
(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
クリルオキシプロピルトリメトキシシラン、N,N−ジ
メチルアミノフェニルトリエトキシシラン、メルカプト
エチルトリエトキシシラン、メタクリルオキシエチルジ
メチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウ
ムクロライド、3−(N−スチリルメチル−2−アミノ
エチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩等が
挙げられ,これらを混合して使用することも可能であ
る。シラン系カップリング剤の使用量(含有量)は、シ
クロオレフィン系化合物100重量部に対し、通常、
0.001〜5重量部である。
【0044】難燃剤としては、ヘキサブロムベンゼン、
テトラブロムビスフェノールA、デカブロムジフェニル
オキサイド、トリブロムフェノール、ジブロモフェニル
グリシジルエーテル、パークロロペンタシクロデカン、
ヘット酸誘導体等のハロゲン系化合物が単独又は2種以
上併用される。また、リン酸トリス(ジクロロプロピ
ル)、リン酸トリス(ジブロモプロピル)等のリン酸化
合物、ホウ酸化合物等も併用できる。更に、助難燃剤と
しては三酸化アンチモン、酸化鉄、水素化アルミ等が挙
げられ、これらを難燃剤と併用するとより難燃効果が高
められる。ハロゲン系難燃剤の使用量(含有量)は、成
分(a)100重量部に対し通常、1〜50重量部であ
り、三酸化アンチモン等の助難燃剤は通常、1〜15重
量部である。また、水酸化アルミニウムや水酸化マグネ
シウム等の水和物も難燃を目的として使用できる。これ
らの使用量(含有量)は、シクロオレフィン系化合物1
00重量部に対し、通常、10〜200重量部である。
【0045】このほかにも、シクロオレフィン系化合物
と充填材との濡れ性を改良するため、湿潤剤や分散剤
(例えば、ビックケミー社製BYKシリーズ等)を含有
させることができる。また、成形作業性を改良するため
にはシリコン系オイルやステアリン酸亜鉛等の離型剤、
滑剤等も含有させることができる。
【0046】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に具体的に説
明する。 実施例1〜3 40℃に加温した純度約99重量%のジシクロペンタジ
エン(DCPD)溶液を2つの容器に入れ、一方には、
DCPDに対しジエチルアルミニウムクロライドを4ミ
リモル濃度、n-プロピルアルコール4ミリモル濃度、四
塩化ケイ素を2ミリモル濃度となるようにそれぞれ添加
した(A液)。他方には、DCPDに対し、トリ(トリ
デシル)アンモニウムモリブデートを1ミリモル濃度と
なるように添加した(B液)。70℃に加熱された20
0mm×200mm×厚さ3mm平板状金型のキャビテ
ィ表面に表1に示したRuカルベン触媒溶液の所定量を
スプレー噴霧した。噴霧後、直ちに溶剤は揮散し、キャ
ビティ表面は触媒の付着による薄層が形成されてかすか
に薄紫色がかった。続いて、この平板状金型を閉じ、こ
のキャビティ内へ活性剤成分及び触媒成分をそれぞれ含
む上記A液及びB液をギヤーポンプとパワーミキサーを
用いてほぼ常圧で速やかに注入した。キャビティ内に充
填された反応液は急激に発熱した。その後、3分間反応
を継続し、DCPD樹脂成形品を得た。得られた成形品
の外観、臭気、表面硬度、表面層のTg及び内部のTg
を測定した。
【0047】
【表1】
【0048】<比較例1>平板状金型にRuカルベン触
媒溶解液をスプレー噴霧しなかった点以外は実施例1〜
3と同じ反応液、装置及び条件で成形した。得られた成
形品の外観、臭気、表面硬度、表面層のTg及び内部の
Tgを測定した。
【0049】実施例及び比較例で得られた成型品の評価
結果を表2に示した。
【表2】 表2 得られた成形品の評価結果 ──────────────────────────────────── No. 成形品の外観 臭気 表面硬度 表面層のTg 内部のTg ──────────────────────────────────── 実施例1 均質で良好 殆どなし 81.7 138℃ 140℃ 実施例2 均質で良好 殆どなし 82.2 139℃ 140℃ 実施例3 均質で良好 殆どなし 82.4 141℃ 141℃ 比較例1 光沢ムラ 強い臭い 74.6 110℃ 139℃ ────────────────────────────────────
【0050】本発明の製造法に従い、予め成形用型表面
に1成分型メタセシス重合触媒の薄層を形成させた後に
成形することにより得られた成形品の外観は均質で光沢
ムラがなく、臭気もほとんどなく、表面硬度も高く、成
形品の表面層と内部がほとんど同質な成形物が得られ
た。
【0051】得られた成形物の評価方法は、以下の通り
である。 <成形品の外観>目視にて成形品の表面の仕上がり状
態、光沢を観察した。 <臭気>成形品表面に鼻を近づけて臭いを嗅いだ。 <表面硬度>Teraoka製 Hardness Tester GS702N (Shor
e D type準拠)を用いて測定した。 <Tg>成形板の表面部と中心部より樹脂を削り採り、
それぞれパーキンエルマー社製DSC−7型でガラス転
移温度を測定した。
【0052】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、大気中の水分
や酸素の混入を排除することなく、通常の作業環境で、
シクロオレフィン系化合物から従来の反応成形法におけ
る材料や条件をそのまま生かして、表面層の硬化不足に
よる品質低下の無い高品質な成形品を安定に製造するこ
とができる。本発明の製造法により得られたシクロオレ
フィン系重合体成形物は、耐水性、強靭な機械的特性、
優れた電気的特性、外観特性等が要求される用途に、例
えば、コイル、配線板、半導体等の電子・電気用の絶縁
材料、浄化槽、浴槽、壁パネル、レジャーボート等の住
宅機器用成形材料、波板、パイプ等の工業用材料に利用
することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 昭 茨城県下館市大字下江連1250番地 日立化 成工業株式会社結城工場内 (72)発明者 ロバート スウチェン チュウ 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内 (72)発明者 青木 知明 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内 (72)発明者 山崎 仁 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内 (72)発明者 井上 芳樹 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内 (72)発明者 湯佐 正己 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内 (72)発明者 菊地 宣 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内 Fターム(参考) 4F206 AA12 AB10 AC05 JA01 JF06 JL02 JM04 JN01 JN11 JN16 JQ81 JQ90 4J032 CA34 CA35 CA38 CA43 CA68 CB01 CB03 CD02 CD03 CD04 CD05 CD09 CE05 CE06 CE16 CE17 CE18 CG07

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シクロオレフィン系化合物を2成分混合型
    メタセシス重合触媒系の存在下に成形用型内で塊状重合
    するにあたり、予め成形用型の表面に1成分型メタセシ
    ス重合触媒の層を形成させておく、シクロオレフィン系
    重合体成形物の製造法。
  2. 【請求項2】予め成形用型の表面に1成分型メタセシス
    重合触媒の層を形成させる手段が、揮発性溶剤に溶かし
    た前記1成分型メタセシス重合触媒溶解液を成形用型表
    面へ噴霧して行うものである、請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】1成分型メタセシス重合触媒として、次の
    一般式(A)で表される触媒を用いる、請求項1又は2
    に記載の製造法。 【化1】 (Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びX1
    それぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びL1
    それぞれ独立に中性の電子供与基を示し、Q及びQ1
    それぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基又は芳
    香族基を示し、アルキル基、アルケニル基又は芳香族基
    は置換基を有していてもよい。)
  4. 【請求項4】1成分型メタセシス重合触媒として、次の
    一般式(B)で表される触媒を用いる、請求項1又は2
    に記載の製造法。 【化2】 (Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びX1
    それぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びL1
    それぞれ独立に中性の電子供与基を示し、Q及びQ1
    それぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基又は芳
    香族基を示し、アルキル基、アルケニル基又は芳香族基
    は置換基を有していてもよい。)
  5. 【請求項5】1成分型メタセシス重合触媒として、次の
    一般式(C)で表される触媒を用いる、請求項1又は2
    に記載の製造法。 【化3】 (Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びX1
    それぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びL1
    それぞれ独立に中性の電子供与基を示し、R1及びR2
    それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2
    〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル
    基、アリール基、炭素数1〜18のカルボキシレート
    基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜18の
    アルケニルオキシ基、炭素数2〜18のアルキニルオキ
    シ基、炭素数2〜18のアリルオキシ基、炭素数2〜1
    8のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜18のアルキ
    ルチオ基、炭素数1〜18のアルキルスルホニル基又は
    炭素数1〜18のアルキルスルフィニル基を示し、R3
    は水素、アリール基又は炭素数1〜18のアルキル基を
    示す。)
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005247993A (ja) * 2004-03-03 2005-09-15 Nitto Boseki Co Ltd ガラス繊維強化ジシクロペンタジエン樹脂成形品の製造方法
JP4944765B2 (ja) * 2005-02-18 2012-06-06 Rimtec株式会社 ノルボルネン系樹脂成形体およびその製造方法

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