JPH11322957A - ガラス強化プラスチック成形品の製造方法 - Google Patents

ガラス強化プラスチック成形品の製造方法

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JPH11322957A
JPH11322957A JP5837399A JP5837399A JPH11322957A JP H11322957 A JPH11322957 A JP H11322957A JP 5837399 A JP5837399 A JP 5837399A JP 5837399 A JP5837399 A JP 5837399A JP H11322957 A JPH11322957 A JP H11322957A
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JP
Japan
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carbon atoms
glass
alkyl
metathesis
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JP5837399A
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English (en)
Inventor
Tomoaki Aoki
知明 青木
Akio Aihara
章雄 相原
Masami Yusa
正己 湯佐
Hitoshi Yamazaki
仁 山崎
Kazuyuki Tanaka
一行 田中
Hiromasa Kawai
宏政 河合
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ジシクロペンタジエン等のノルボルネン型シク
ロオレフィン類を原料とし、オープンモールド成形法も
適用できるガラス強化プラスチック成形品の製造法を提
供する。 【解決手段】メタセシス重合触媒の存在下に、1種又は
2種以上のメタセシス重合性シクロオレフィン系化合物
を、シラン系カップリング剤で処理されたガラス補強材
とともに重合・成形し、ガラス強化プラスチック成形品
を得る。メタセシス重合触媒としては、Ruカルベン触
媒が好ましく使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ジシクロペンタジ
エンやトリシクロペンタジエン等のノルボルネン型シク
ロオレフィンるいを原料とするガラス強化プラスチック
(FRPとも略す。)成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シクロオレフィン類が複分解(メタセシ
ス)重合触媒系によって開環重合することは知られてい
る。例えば、J.Am.Chem.Soc.、196
0、Vol.82、 2337にはノルボルネンが複分解触
媒系によって開環重合することが記載されており、An
gew.Chem.Int.Edn.、1964、 Vo
l.3、723にはシクロペンテンが複分解触媒系[Mo
Cl5/Al(C253]によって開環重合することが
記載されている。また、シクロオレフィン類を開環重合
してポリマーを製造する方法も知られている。例えば、
特開昭50−130900号公報や特開昭52−330
00号公報にはタングステンやモリブデン等のハロゲン
化物と有機アルミニウム化合物とから成る複分解触媒系
を用いて、開環重合ポリマーを製造する方法が開示され
ている。
【0003】一方、ジシクロペンタジエンやトリシクロ
ペンタジエン等のノルボルネン型シクロオレフィン類を
反応射出成形(RIM)により塊状重合させて、架橋重
合体成形物を得る方法も知られている。例えば、特開昭
58−127728号公報や特開昭58−129013
号公報には、複分解触媒系の触媒成分及びノルボルネン
型シクロオレフィン類との混合物から成る溶液Aと、複
分解触媒系の活性化剤及びノルボルネン型シクロオレフ
ィン類との混合物から成る溶液Bとを反応射出成形(R
IM)して架橋重合体成形物を得る方法が開示されてい
る。
【0004】特開昭59−51911号公報には、タン
グステン及びモリブデンの有機アンモニウム塩から選ば
れた触媒成分とアルコキシアルキルアルミニウムハライ
ド及びアリールオキシアルミニウムハライドから選ばれ
た活性化剤とを組み合わせた複分解触媒系を用いて、ノ
ルボルネン型シクロオレフィン類を反応射出成形して架
橋重合体成形物を製造する方法が開示されている。
【0005】また、特開平3−205409号公報に
は、六塩化タングステン及びオキシ四塩化タングステン
から選ばれた触媒成分と塩化ジエチルアルミニウム及び
二塩化エチルアルミニウムから選ばれた活性化剤とを組
み合わせた複分解触媒系を用いて、反応射出成形法で架
橋したジシクロペンタジエン重合体を製造する方法が開
示されている。これらの複分解触媒系では、触媒成分は
活性化剤によって活性化され、ノルボルネン型シクロオ
レフィン類を開環重合させることが分かっている。ま
た、上記反応射出成形を行う場合には、溶液Aと溶液B
を衝突混合させ、その混合液は直ちに金型内に液状のま
ま注入され、塊状で開環重合される。更に、前記特開昭
58−129013号公報には、反応射出成形で得られ
る硬化物にガラス繊維等の補強材を充填すると機械的特
性が向上することも記述されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記メタセシ
ス重合触媒系を用いた場合、空気中の酸素や水分で触媒
が失活しやすい問題がある。そのため、金型を使用する
とともに成形時に触媒と空気とを接触させない、いわゆ
るクローズドモールディングしか適用できない問題があ
る。また、金型はその表面に水分や酸素を付着しやす
く、そのため、特に成形品の表面で開環重合反応が十分
に進行せずに、成形品の表面が次第に汚れて肌あれやピ
ンホールが発生したり、臭気(主として、未反応の原料
シクロオレフィン類に起因)を発生させる等の問題もあ
る。これらの問題を解決する方法として、金型内を不活
性ガスで置換する方法が提案されている(特開昭63−
112125号公報、特開平1−215519号公報)
が、装置が大がかりとなることや操作が煩雑になる問題
がある。特に大型の成形品の場合、この方法では反応液
の接する金型表面へ付着する水分や酸素量を低くするこ
とは困難である。
【0007】また、成形物を不飽和ポリエステル樹脂と
ガラス繊維とを用いてガラス繊維強化プラスチックとす
る場合、樹脂とガラス繊維の界面の密着性改良のため
に、ガラス繊維(補強材)はシランカップリング剤で表
面処理されたものが一般に使用される。しかし、ノルボ
ルネン型シクロオレフィン類を上記メタセシス重合触媒
系で開環重合させると、シランカップリング剤の影響で
触媒が失活しやすく、硬化阻害が起こる問題がある。
【0008】本発明は、ジシクロペンタジエンやトリシ
クロペンタジエン等のノルボルネン型シクロオレフィン
類を原料とするガラス強化プラスチック成形品の製造方
法であって、クローズドモールド成形法ばかりではな
く、種々のオープンモールド成形法を適用でき、ガラス
繊維の表面処理に使用されるシランカップリング剤の悪
影響(硬化阻害)も受けない方法を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、メタセシ
ス重合触媒の存在下に、ノルボルネン型シクロオレフィ
ン類を原料とするガラス強化プラスチック成形品を安定
に製造する方法を種々検討した結果、特定のメタセシス
重合触媒を、シラン系カップリング剤で処理されたガラ
ス繊維強化材とともに重合・成形させると、優れた特性
のガラス強化プラスチック成形品が安定して得られるこ
とを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明(第
1の発明)は、メタセシス重合触媒の存在下に、1種又
は2種以上のメタセシス重合性シクロオレフィン系化合
物を、シラン系カップリング剤で処理されたガラス補強
材とともに重合・成形することを特徴とする、ガラス強
化プラスチック成形品の製造方法である。
【0010】第2の発明は、次の一般式(A)
【化5】 (Mはルテニウム又はオスミウム、X及びX1は、アニ
オン性配位子、L及びL1は、中性の電子供与基、Q及
びQ1は、それぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニ
ル基又は芳香族基を示し、アルキル基、アルケニル基又
は芳香族基は置換基を有していてもよい。)で表される
メタセシス重合触媒の存在下に、1種又は2種以上のメ
タセシス重合性シクロオレフィン系化合物を、ガラス補
強材とともに重合・成形することを特徴とする、ガラス
強化プラスチック成形品の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】第1の発明において、用いること
ができるメタセシス重合触媒は、従来知られているよう
な触媒成分と活性化剤とを組み合わせた2液系の複分解
触媒系とは異なり、空気中の酸素や水分によって容易に
その触媒活性を失わずに、メタセシス重合性シクロオレ
フィン系化合物を複分解(メタセシス)反応で開環重合
させることができる触媒である。このようなメタセシス
重合触媒として好ましいものは、前記した一般式(A)
【化6】 一般式(A)中、Mはルテニウム又はオスミウムを示
す。X及びX1はそれぞれ独立にアニオン性配位子を示
す。アニオン性配位子は、中心金属への配位を外したと
きに陰性電荷をもつ基のことである。このような基とし
ては、例えば、水素、ハロゲン、CF3CO2、CH3
2、CFH2CO2、(CH33CO、(CF32(C
3)CO、(CF3)(CH32CO、炭素数1〜5の
アルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル
基、フェノキシ基、トシル基、メシル基、トリフルオロ
メタンスルホネート基等があり、特に好ましいものは両
方共にハロゲン(特に、塩素)である。
【0012】L及びL1はそれぞれ独立に中性の電子供
与基を示す。中性の電子供与基は、中心金属への配位を
外したときに中性電荷をもつ基のことである。このよう
な基としては、例えば、PR234(ここで、R2は2
級のアルキル基又はシクロアルキル基、R3及びR4はそ
れぞれ独立に、アリール基、炭素数1〜10の1級アル
キル基もしくは2級アルキル基、シクロアルキル基を示
す。)で表されるホスフィン系電子供与基や、ピリジ
ン、p−フルオロピリジン、イミダゾリリデン化合物等
があり、特に好ましいものは、L及びL1両方共に、−
P(シクロヘキシル)3、−P(シクロペンチル)3、又
は−P(イソプロピル)3であるものである。また、L
及びL1は互いに異なっいてもよい。Q及びQ1は、それ
ぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニル基又は芳香族
基を示す。アルキル基としては炭素数1〜20のアルキ
ル基、アルケニル基としては炭素数2〜20のアルケニ
ル基、芳香族基としてはアリール基等があり、前記アル
キル基、アルケニル基又は芳香族基は置換基を有してい
てもよい。
【0013】ここで更に好ましいメタセシス重合触媒
は、次の一般式(A’)で表される化合物である。
【化7】 ここで、M、X、X1、L及びL1は、一般式(A)におけ
る意味と同じである。R1及びR2はそれぞれ独立に炭素
数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル
基、炭素数2〜18のアルキニル基、アリール基、炭素
数1〜18のカルボキシレート基、炭素数1〜18のア
ルコキシ基、炭素数2〜18のアルケニルオキシ基、炭
素数2〜18のアルキニルオキシ基、炭素数2〜18の
アリルオキシ基、炭素数2〜18のアルコキシカルボニ
ル基、炭素数1〜18のアルキルチオ基、炭素数1〜1
8のアルキルスルホニル基又は炭素数1〜18のアルキ
ルスルフィニル基を示し、R3は水素、アリール基又は
炭素数1〜18のアルキル基を示す。
【0014】一般式(A)又は一般式(A’)で表され
る化合物(触媒)の具体的なものは、例えば、式(1)
〜(8)に挙げるようなRuカルベン触媒である。
【化8】
【0015】
【化9】 上記化合物(触媒)の合成法は、すでに知られている。
例えば、Journal of American Chemical Society 第1
18巻、100ページ(1996年)には、シクロプロ
ペン誘導体を用いる方法が示されている。<スキーム1
【化10】 また、上と同じ文献において次式で示されるジアゾ化合
物を用いる方法も示されている。<スキーム2>
【化11】
【0016】また、Organometallics 第16巻、18号、38
67ページ(1997年)には、次式で示されるプロパギルク
ロライドを使用する方法も示されている。<スキーム3
【化12】
【0017】更に、Organometallics 第16巻、18号、40
01ページ(1997年)によれば、次のような方法も示され
ている。<スキーム4>
【化13】
【0018】<スキーム5>
【化14】
【0019】以下に触媒の合成例を示す。 合成例1(スキーム2参照、R5:シクロヘキシル基) トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムジクロラ
イド(2.5mmol)のジクロロメタン(20ml)
溶液と−50℃に冷却したフェニルジアゾメタン(5.
0mmol)のジクロロメタン溶液とを−78℃で反応
させる。冷却浴を取り外し5分間反応させた後、反応溶
液を約3mlまで濃縮する。ペンタン20mlを加え、
沈殿してくる結晶を濾過し、再度ジクロロメタンに溶解
する。その後、ペンタンから再結晶して、ビス(トリフ
ェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロライ
ドを得る(収率:約90%)。次に、得られたビス(ト
リフェニルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロ
ライドの0.3mmolをとり、ジクロロメタン(10
ml)に溶かし、トリシクロヘキシルホスフィン(0.
66mmol)のジクロロメタン(3ml)溶液を加
え、室温で30分間撹拌しながら反応させる。不溶物を
濾過して除き、溶媒をエバポレートさせ、残った固体を
アセトン、メタノールで十分に洗浄する。これを減圧乾
燥機中で乾燥し、ビス(トリシクロヘキシルホスフィ
ン)ベンジリデンルテニウムジクロライドを得る(収
率:約90%)(参考文献: Journal of American Che
mical Society 第118巻、100ページ(1996年))。
【0020】合成例2(スキーム4参照、R8:フェニ
ル基) 500mlのFisher−Porter bottl
eにシクロオクタジエンルテニウムジクロライド(21
mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(42mm
ol)、水酸化ナトリウム(7.2g)、酸素を除去し
たsec−ブタノール250mlを入れ、水素2気圧下
で90℃で加熱する。水素の吸収が終了するまで数回加
圧を繰り返し、一晩撹拌を続ける。水素の圧力をかけた
ままで室温まで冷却し、淡黄色の沈殿物を得る。水30
mlを加え沈殿物を濾過し、水素気流中で乾燥して、R
u(H)2(H22(Pcy32を得る(収率約80
%)。次に、このRu(H)2(H22(Pcy3
2(1.5mmol)のペンタン溶液にシクロヘキセン
(15mmol)を加える。約2分後に黄色い溶液が得
られ、約15分後淡黄色結晶が沈殿してくる。更に1時
間撹拌し、溶媒他揮発分をエバポレートする。ペンタン
を加え、PhCHCl2(3mmol)を加えて45分
撹拌する。溶媒をエバポレート後、残った結晶を冷却し
たメタノールで洗浄し、紫色の結晶ビス(トリシクロヘ
キシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロライ
ドを得る(収率約60%)。(参考文献:Organometall
ics 第16巻、18号、4001ページ(1997年))。
【0021】合成例3(スキーム3参照、R6及びR7
メチル基) 500mlのFisher−Porter bottl
eにシクロオクタジエンルテニウムジクロライド(21
mmol)、トリシクロヘキシルホスフィン(42mm
ol)、水酸化ナトリウム(7.2g)、酸素を除去し
たsec−ブタノール250mlを入れ、水素2気圧下
で90℃で加熱する。水素の吸収が終了するまで数回加
圧を繰り返し、一晩撹拌を続ける。水素の圧力をかけた
ままで室温まで冷却し、淡黄色の沈殿物を得る。水30
mlを加え沈殿物を濾過し、水素気流中で乾燥して、R
u(H)2(H22(Pcy32を得る(収率約80
%)。次に、このRu(H)2(H22(Pcy3
2(1.5mmol)をジクロロエタン溶液30mlに
溶解し、−30℃に冷却する。3−クロロ−3−メチル
−1−ブチン(1.5mmol)を加える。溶液は即座
に赤紫に変わり、そのまま15分反応させる。冷却浴を
はずし、脱ガスしたメタノール(20ml)を加えると
紫色の結晶が沈殿する。メタノールで洗浄し、乾燥させ
て式(3)の触媒を得る(収率95%)。(参考文献:
Organometallics 第16巻、18号、3867ページ(1997
年))
【0022】本発明で用いられる原料のシクロオレフィ
ン類としては、メタセシス重合において有用なものであ
ればいずれでも良い。中でも置換又は非置換のノルボル
ネン、ジシクロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタ
ジエン等のノルボルネン型シクロオレフィン類が好適に
用いられる。ノルボルネン型シクロオレフィン類として
は、ノルボルネン、メチルノルボルネン、ジメチルノル
ボルネン、エチルノルボルネン、エチリデンノルボルネ
ン、ブチルノルボルネン、等の二環ノルボルネン、ジシ
クロペンタジエン(シクロペンタジエンの二量体)、ジ
ヒドロジシクロペンタジエン、メチルジシクロペンタジ
エン、ジメチルジシクロペンタジエン、等の三環ノルボ
ルネン、テトラシクロドデセン、メチルテトラシクロド
デセン、ジメチルシクロテトラドデセン等の四環ノルボ
ルネン、トリシクロペンタジエン(シクロペンタジエン
の三量体)、テトラシクロペンタジエン(シクロペンタ
ジエンの四量体)等の五環以上のノルボルネンが挙げら
れる。また、2個以上のノルボルネン基を有する化合
物、例えばノルボルナジエン、テトラシクロドデカジエ
ン、対称型トリシクロペンタジエン等を多官能架橋剤と
して用いることもできる。
【0023】これらの中で、入手の容易さ、経済性等か
らジシクロペンタジエン、メチルテトラシクロドデセ
ン、エチリデンノルボルネン、トリシクロペンタジエ
ン、テトラシクロペンタジエンが好ましく、ジシクロペ
ンタジエンが特に好ましい。これらのノルボルネン型シ
クロオレフィン類は単独で、また複数のシクロオレフィ
ン類の混合物として用いることもできるが、好ましく
は、50重量%以上のジシクロペンタジエンとその他に
トリシクロペンタジエン及び/又はテトラシクロペンタ
ジエンを含む混合物である。
【0024】なお、上記ノルボルネン型シクロオレフィ
ン類と開環共重合し得る(ノルボルネン型以外の)シク
ロブテン、シクロペンテン、シクロオクテン、シクロド
デセン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロイ
ンデン等のシクロオレフィン類を、本発明の目的を損な
わない範囲で混合使用することができる。なお、通常の
市販されているジシクロペンタジエンは、ビニルノルボ
ルネン、テトラヒドロインデン、メチルビニルノルボル
ネン、メチルテトラヒドロインデン、メチルジシクロペ
ンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、トリシク
ロペンタジエン等を不純物として含んでいることがあ
り、種々の純度のジシクロペンタジエンが市販されてい
る。本発明に使用するジシクロペンタジエンとしては、
得られるポリマーの使用目的によっても異なるが、通常
80重量%以上の純度のものであり、更に好ましくは9
0重量%以上の純度のものであり、特に好ましくは97
重量%以上の純度のものである。
【0025】ジシクロペンタジエンの使用にあたって
は、事前に加熱処理することにより、ジシクロペンタジ
エンの一部をトリシクロペンタジエンやテトラシクロペ
ンタジエン等のシクロペンタジエンオリゴマーにした
り、不純物であるビニルノルボルネンやメチルビニルノ
ルボルネンをテトラヒドロインデンやメチルテトラヒド
ロインデンに異性化したりすることができる。加熱処理
は通常120〜250℃で、0.5〜10時間程度であ
る。また、熱処理中の重合を防止するため、好ましくは
1.5〜10重量%程度の酸化防止剤を添加する。
【0026】また、本発明で用いるノルボルネン型シク
ロオレフィン類には必要に応じて酸化防止剤を加えるこ
とができる。なお、通常の市販されているジシクロペン
タジエンには既に2、6−ジ−t−ブチル−4−メチル
フェノール、4−t−ブチルカテコール等の酸化防止剤
が含有されている。使用にあたって、含有している酸化
防止剤を除去したり、新たに添加したりすることができ
る。
【0027】用いられる酸化防止剤としては、酸化防止
能があれば特に制限はなく、好ましいものとしてはヒン
ダードフェノール系の酸化防止剤があり、2,6−ジ−
t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−
ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、テトラキス−〔メチレン−3−
(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン、2,2’−メチレンビ
ス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,
2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェ
ノール)、4,4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−
ブチルフェノ−ル)、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−
S−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)ト
リオン等が挙げられる。酸化防止剤の添加量は、通常1
0〜10,000ppmである。酸化防止の目的に、鉱
油、精油、脂肪油等の油類の添加も好ましい。これらの
添加量は通常、0.1〜5重量%である。
【0028】触媒の使用量は、反応を進行させるのに必
要な量とする。触媒の種類により変わるが、原料モノマ
ー100重量部に対して通常は、0.001〜20重量
部、好ましくは、経済性及び硬化速度の理由から0.0
1〜5重量部である。また、重合反応を調整するため、
トリフェニルフォスフィン、トリシクロヘキシルフォス
フィン、トリシクロペンチルフォスフィン、トリブチル
フォスフィン、トリイソプロピルフォスフィン等の反応
調整剤の適量(通常、原料モノマー100重量部に対し
て0.001〜10重量部)を加えることができる。
【0029】本発明で用いられるガラス補強材として
は、ガラス繊維が好ましく用いられ、長繊維、短繊維及
び粉末等のいかなる形態のものでも良い。ストランドを
引きそろえて束状にしたロービング、ロービングを織っ
たロービングクロス、ガラス長繊維をバインダーでラン
ダムコイル状に接着しマット状に成形したコンティニュ
アスストランドマット、ガラス長繊維をカットしたチョ
ップドストランド、チョップドストランドをバインダー
で接着しマット状に成形したチョップドストランドマッ
ト、サーフェイシングマット、綾織り状のマット又はク
ロスとストランドを組み合わせた3次元ガラスマット
(蝶理(株)製、商品名パラビーム)、ガラス不織布、コ
ンティニュアスストランドやストランドを立体的にバイ
ンダーで接着し成形したガラスプリフォーム等を挙げる
ことができる。
【0030】繊維以外の形態のガラス補強材としては、
ミルドガラス、カットファイバー、マイクロファイバ
ー、マイクロバルーン、鱗片状ガラス粉等を使用するこ
ともできる。目的に応じ、適宜、アスペクト比、粒径、
形状を選ぶ。
【0031】本発明で用いられるガラス補強材処理用の
シランカップリング剤は、通常式YSiX(Yは官能基
を有し、Siに結合する1価の基、Xは加水分解性を有
しSiに結合する1価の基)で表される。上記Y中の官
能基としては、例えばビニル、アミノ、エポキシ、クロ
ロ、メルカプト、メタクリルオキシ、シアノ、カルバメ
ート、ピリジン、スルホニルアジド、尿素、スチリル、
クロロメチル、アンモニウム塩、アルコール等の基があ
る。Xとしては、例えばクロル、メトキシ、エトキシ、
メトキシエトキシ等がある。
【0032】上記シランカップリング剤の具体例として
は、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メ
トキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカ
プトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプ
ロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシ
クロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタク
リルオキシプロピルトリメトキシシラン、N,Nージメ
チルアミノフェニルトリエトキシシラン、トリメトキシ
シリル安息香酸、クロロメチルフェネチルトリメトキシ
シラン、2−スチリルエチルトリエトキシシラン、アミ
ノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、
γ−クロロフェニルトリメトキシシラン、N−フェニル
アミノプロピルトリメトキシシラン、アリルトリエトキ
シシラン、3−アミノプロ8ピルメチルジエトキシシラ
ン、3−アミノトリメトキシシラン、ビス(2−ヒドロ
キシエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス
{3−(トリエトキシシリル)プロピル}アミン、ビス
{3−(トリエトキシシリル)プロピル}エチレンジア
ミン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、クロロメ
チルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシ
シラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、N,
N−ジエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N,N−ジエチルアミノフェニルトリエトキシシラ
ン、1−(ジメチルクロロシリル)−2−(クロロメチ
ルフェニル)エタン、イソシアナートプロピルトリエト
キシシラン、メルカプトエチルトリエトキシシラン、メ
タクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリ
ルプロピル)アンモニウムクロライド、N−メチルアミ
ノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−スチリルメ
チル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシ
シラン塩酸塩、1−トリクロロシリル−2−(クロロメ
チルフェニル)エタン、β−トリクロロシリル−4−エ
チルピリジン、トリエトキシシリルプロピルエチルカル
バメート、N−(トリエトキシシリルプロピル)尿素、
1−トリメトキシシリル−2−(アミノメチル)フェニ
ルエタン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチ
ル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチ
ルフェニルスルホニルアジド、トリメトキシシリルプロ
ピルアリルアミン、トリメトキシシリルプロピルジエチ
レントリアミン、p−アミノフェニルトリメトキシシラ
ン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、アミノエ
チルメチルフェネチルトリメトキシシラン等が挙げら
れ、これらを混合して使用することも可能である。ま
た、ポリマ−タイプのアルコキシ変性シランカップリン
グ剤としては、MAC−2101、FZ−3778(い
ずれも、日本ユニカー製の商品名)等が挙げられ、これ
らを単独又は前記した種々のシランカップリング剤と併
用することができる。
【0033】前記シランカップリング剤には、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアナー
トエスエル樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ
スチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、シ
ロキサンポリイミド、ポリエーテルポリイミド、ポリエ
ステルポリイミド等の樹脂を含んでもよい。また、これ
らの樹脂を使用する場合、必要に応じて硬化剤、硬化促
進剤、触媒等を使用してもよい。
【0034】ガラス繊維の表面処理用液としては、前記
したシランカップリング剤自体が液状の場合は、これを
そのまま用いることもできるが、通常は水又は有機溶剤
の溶液として用いることが好ましい。
【0035】前記有機溶剤としてはシランカップリング
剤及びその他の成分を溶解できるものであれば特に制限
するものではない。メタノール、エタノール、プロピル
アルコール、イソプロピルアルコール等のアルコールの
ほか、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルー2ー
ピロリドン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジ
オキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジ
メチルエーテル等が使用され、水を含めこれらは2種類
以上を混合して使用してもよい。
【0036】処理液中のシランカップリング剤濃度とし
ては、0.001〜10重量%で、好ましくは0.01
〜5重量%である。0.001重量%よりも少ないと樹
脂とガラス繊維界面の接着力向上の効果が少なく、10
重量%より多いと経済的に好ましくない。処理の温度及
び時間は特に制限するものではないが、通常は0〜10
0℃、0.5〜10分で、好ましくは20〜50℃、5
秒〜3分である。
【0037】この触媒を用いたDCPD樹脂液の重合で
は、目的とする重合物の物性、外観、作業性を考慮し、
必要に応じ、補強材、充填材、改質剤、離型剤、着色
剤、光安定剤、難燃剤等をDCPD樹脂液に任意に添加
することができる。
【0038】充填材としては、例えば、結晶シリカ、溶
融シリカ、ヒュームドシリカ、珪砂、炭酸カルシウム、
水酸化アルミニウム、クレー等の無機系充填材、木粉、
ポリエステルやポリスチレンビーズ等の有機系充填材が
挙げられる。その使用量は、重合物の物性、樹脂液の粘
度揺変性等により、適宜決めることができるが、通常、
1〜400重量部である。
【0039】改質剤としては例えば、エラストマー、天
然ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレンーブタジエン共重
合体(SBR)、スチレンーブタジエンースチレンブロ
ック共重合体(SBS)、ポリメタクリル酸メチル、ポ
リ酢酸ビニル、ポリスチレンや、オレイン酸、リノール
酸等の高級脂肪酸、炭素数5以上のアルコール又はジオ
ール等が挙げられる。その使用量は目的とする樹脂硬化
物の物性にもよるが通常樹脂100重量部に対し1〜5
0重量部の範囲で用いることができる。
【0040】離型剤としては例えば、ステアリン酸亜
鉛、シリコンオイル、フッ素オイル等が挙げられ、通常
樹脂100重量部に対し0.01〜5重量部添加するこ
とができる。
【0041】着色剤としては、二酸化チタン、コバルト
ブルー、カドミウムイェロー等の無機顔料、カーボンブ
ラック、アニリンブラック、フタロシアニン、キナクド
リン等の有機系顔料が挙げられる。
【0042】耐候性付与剤としては、紫外線吸収剤と光
安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えばフ
ェニルサリシレート、パラ−t−ブチルフェニルサリシ
レート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒド
ロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジ
メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸
収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−
3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ
ール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−
アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリア
ゾール系紫外線吸収剤、2−エチルヘキシル−2−シア
ノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−
シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等のシアノ
アクリレート系紫外線吸収剤が挙げられる。これらは単
独又は2種類以上併用しても良い。
【0043】また耐候性をを高めるため、上記紫外線吸
収剤とともにビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6
−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、コハ
ク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒ
ドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重
縮合物等のヒンダードアミン系光安定剤を添加してもよ
い。
【0044】難燃剤としては、ヘキサブロムベンゼン、
テトラブロムビスフェノールA、デカブロムジフェニル
オキサイド、トリブロムフェノール、ジブロモフェニル
グリシジルエーテル、パークロロペンタシクロデカン、
ヘット酸誘導体等のハロゲン系化合物が単独又は2種以
上併用される。また、リン酸トリス(ジクロロプロピ
ル)、リン酸トリス(ジブロモプロピル)等のリン酸化
合物、ホウ酸化合物等も併用できる。さらに、助難燃剤
としては三酸化アンチモン、酸化鉄、水素化アルミ等が
挙げられ、これらを難燃剤と併用するとより難燃効果が
高められる。通常ハロゲン系難燃剤は樹脂100重量部
に対し1から50重量部で三酸化アンチモン等の助難燃
剤は1〜15重量部の範囲で用いられる。また、水酸化
アルミニウムや水酸化マグネシウム等の水和物も難燃を
目的とした充填剤として併用することができる。これら
の添加量は樹脂100重量部に対し10〜300重量部
の範囲で用いることが好ましい。
【0045】重合は、通常、シクロオレフィン類に触媒
を加え溶かしたのち、加熱して行うことができる。触媒
を加え溶かす際の温度は、通常は0〜70℃、好ましく
は室温〜50℃、更に好ましくは室温〜40℃である。
重合体を得るための加熱の操作は1段階加熱でも2段階
加熱でもよい。1段階加熱とする場合は、その温度は、
通常80〜250℃、好ましくは100〜200℃であ
り、2段階加熱とする場合は、1段階目の温度は、通常
は30〜130℃、好ましくは35〜100℃であり、
2段階目の温度は、通常は80〜250℃、好ましくは
100〜200℃である。また、重合の時間は触媒の量
及び重合温度により適宜決めることができる。
【0046】重合物を得るには、FRP成形で一般に用
いられている成形法が適用できる。例えばハンドレイア
ップやスプレイアップ等の積層成形法、プレス成形法、
フィラメントワインディング法、注入成形法、遠心成形
法、真空又は加圧バック法、連続成形法、引抜き成形
法、射出成形法等が挙げられる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。なお
実施例中、部とは特に限定しない限り重量部を意味す
る。
【0048】実施例1〜6 (DCPD樹脂液)純度約98重量%のジシクロペンタ
ジエン(DCPDとする)90重量部にトリシクロペン
タジエン(TCPDとする)10重量部を添加した樹脂
液にトリフェニルフォスフィン(和光純薬工業製 試薬
特級)0.1重量部を添加してDCPD樹脂液を作製し
た。
【0049】(ガラス補強材の作製)市販のチョップド
ストランドガラスマット(富士ファイバーグラス製、M
C−450A、目付450g/平方メートル)を30セ
ンチ角に切り出し、3プライ重ねて加熱炉で600℃で
2時間強熱し、有機付着分を除去した。その後、ガラス
板の上にマットを3プライ置き、表1に示すシランカッ
プリング剤水溶液(サイズとする、濃度0.5重量%)
にガラス板ごと浸漬し、引き上げて、マットの形態を損
ねないよう慎重にゴムローラーで溶液をしぼり出し、風
通しのよい室内で2日間放置乾燥した後、135℃で2時
間強熱し、供試ガラスマットを得た。強熱後の重量変化
率から測定したガラスマットへのサイズ付着量は約0.5
重量%であった。
【0050】(FRPの作製)離型剤を塗布したガラス
基板(300×300×10mm)の上に表2に示す配
合の樹脂液を用いて、表1に示す各サイズで処理したガ
ラスマットを用いてFRPを脱泡ロールを用いて積層し
た。常温で30分放置後、80℃で1h硬化し、続いて
130℃で2hのアフタキュアを行いFRPを得た。な
お、Ruカルベン触媒は、実施例2、5及び6と比較例
では式(1)の化合物、実施例1、3及び4では式
(3)の化合物を用いた。
【0051】<比較例1>撹拌機、コンデンサ、窒素ガ
ス導入管および温度計を取り付けた4つ口フラスコにプ
ロピレングリコール380部、ネオペンチルグリコール
624部、イソフタル酸747部を仕込み、窒素ガスを
ゆっくり流しながらマントルヒータを用いて1hで15
0℃に昇温し、さらに6hかけて220℃に昇温した。
その温度で5h保温し、酸価8の中間体を得た。冷却後
これに無水マレイン酸539部を仕込み、1hで150
℃に昇温し、さらに4hかけて210℃に昇温した。そ
の温度で保温しながら反応を進め、酸価25の不飽和ポ
リエステルを得た。これにハイドロキノン0.01重量
%を溶解したスチレンモノマーに不飽和ポリエステル分
が60重量%となるように溶解し、続いて促進剤として
6重量%ナフテン酸コバルト溶液を0.5重量添加し、
25℃の粘度が0.4Pasの促進剤入り不飽和ポリエ
ステル樹脂液とした。DCPD樹脂液の代わりにこの不
飽和ポリエステル樹脂液を用いて実施例と同様にFRP
を積層、脱泡し常温でゲル化させた後、50℃で16h
のアフタキュアを行ってFRPを得た。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】<比較例2>実施例と同様のDCPD樹脂
液に対し、ジエチルアルミニウムクロライドを40ミリ
モル濃度、nープロピルアルコールを52ミリモル濃度
および四塩化ケイ素を20ミリモル濃度を窒素パージし
たドライボックス内で添加しA液とした。また、A液と
同様にDCPD樹脂液に対しトリデシルアンモニウムモ
リブデネートを10ミリモル濃度添加しB液を作製し
た。これらのA液およびB液を窒素パージしたドライボ
ックス内で等量づつ混合し、20℃で20分のポットラ
イフの内にガラスマットに積層、脱泡しFRPを作製し
た。
【0055】<比較例3>比較例2と同様にDCPD−
A液およびB液を作製し、混合ならびに積層を空気中で
行った。
【0056】得られた硬化物の評価方法は、以下の通り
である。 (FRP硬化物の特性) <硬さ> バーコル硬さ:JIS K6911準拠。934型
【0057】<耐煮沸性>約95℃の熱水にFRPを3
00h浸漬し、煮沸試験した後のFRPの曲げ強さを上
記曲げ試験と同様に測定し、曲げ強さの保持率を算出し
比較した。 曲げ強さ保持率(%)=(煮沸試験後FRP曲げ強さ/
煮沸試験前FRP曲げ強さ)×100 <密着性>煮沸試験後に行った曲げ試験片の破断部位に
ついてガラス繊維表面への樹脂付着の様子を走査型電子
顕微鏡で観察し、密着性を評価した。
【0058】実施例および比較例の試験結果を表2に示
した。Ruカルベン触媒を用いると空気中で成形でき、
シランカップリング剤で処理された各種ガラス繊維補強
材と樹脂との界面は完全に硬化し、密着性は良好であっ
た。特に、アクリルシラン系カップリング剤で処理した
ものが優れていた。また、FRPの耐煮沸性は不飽和ポ
リエステル樹脂を用いて作製したFRPと同等以上の特
性を有していた。
【0059】
【発明の効果】請求項1〜4の製造方法、又は請求項5
〜6の製造方法によれば、ジシクロペンタジエンやトリ
シクロペンタジエン等のノルボルネン型シクロオレフィ
ン類を原料とし、クローズドモールド成形法ばかりでは
なく、種々のオープンモールド成形法を適用して、耐水
性、耐煮沸性、機械的特性等の特性に優れたガラス強化
プラスチック成形品を得ることができる。請求項1〜4
の製造方法、又は請求項5〜6の製造方法により得られ
たガラス強化プラスチック成形品は、耐水性、耐煮沸
性、機械的特性などが要求される用途、例えば、浄化
槽、浴槽、キッチン天板、タンク、ユニットバス、壁パ
ネル、プレジャーボート、配線板、波板などの用途に利
用可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山崎 仁 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内 (72)発明者 田中 一行 茨城県日立市東町4丁目13番1号 日立化 成工業株式会社山崎工場内 (72)発明者 河合 宏政 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社筑波開発研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】メタセシス重合触媒の存在下に、1種又は
    2種以上のメタセシス重合性シクロオレフィン系化合物
    を、シラン系カップリング剤で処理されたガラス補強材
    とともに重合・成形することを特徴とする、ガラス強化
    プラスチック成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】シラン系カップリング剤がアクリルシラン
    系カップリング剤であることを特徴とする、請求項1の
    製造方法。
  3. 【請求項3】メタセシス重合触媒が、次の一般式(A) 【化1】 (Mはルテニウム又はオスミウム、X及びX1は、アニ
    オン性配位子、L及びL1は、中性の電子供与基、Q及
    びQ1は、それぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニ
    ル基又は芳香族基を示し、アルキル基、アルケニル基又
    は芳香族基は置換基を有していてもよい。)で表される
    化合物であることを特徴とする、請求項1又は2の製造
    方法。
  4. 【請求項4】一般式(A)の化合物として、次式
    (A’) 【化2】 (Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びX1
    それぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びL1
    それぞれ独立に中性の電子供与基を示し、R1及びR2
    それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2
    〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル
    基、アリール基、炭素数1〜18のカルボキシレート
    基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜18の
    アルケニルオキシ基、炭素数2〜18のアルキニルオキ
    シ基、炭素数2〜18のアリルオキシ基、炭素数2〜1
    8のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜18のアルキ
    ルチオ基、炭素数1〜18のアルキルスルホニル基又は
    炭素数1〜18のアルキルスルフィニル基を示し、R3
    は水素、アリール基又は炭素数1〜18のアルキル基を
    示す。)で表される化合物を用いることを特徴とする、
    請求項3の製造方法。
  5. 【請求項5】次の一般式(A) 【化3】 (Mはルテニウム又はオスミウム、X及びX1は、アニ
    オン性配位子、L及びL1は、中性の電子供与基、Q及
    びQ1は、それぞれ独立に水素、アルキル基、アルケニ
    ル基又は芳香族基を示し、アルキル基、アルケニル基又
    は芳香族基は置換基を有していてもよい。)で表される
    化合物の存在下に、1種又は2種以上のメタセシス重合
    性シクロオレフィン系化合物を、ガラス補強材とともに
    重合・成形することを特徴とする、ガラス強化プラスチ
    ック成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】一般式(A)の化合物として、次式
    (A’) 【化4】 (Mはルテニウム又はオスミウムを示し、X及びX1
    それぞれ独立にアニオン性配位子を示し、L及びL1
    それぞれ独立に中性の電子供与基を示し、R1及びR2
    それぞれ独立に炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2
    〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル
    基、アリール基、炭素数1〜18のカルボキシレート
    基、炭素数1〜18のアルコキシ基、炭素数2〜18の
    アルケニルオキシ基、炭素数2〜18のアルキニルオキ
    シ基、炭素数2〜18のアリルオキシ基、炭素数2〜1
    8のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜18のアルキ
    ルチオ基、炭素数1〜18のアルキルスルホニル基又は
    炭素数1〜18のアルキルスルフィニル基を示し、R3
    は水素、アリール基又は炭素数1〜18のアルキル基を
    示す。)で表される化合物を用いることを特徴とする、
    請求項5の製造方法。
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