JP2000040418A - 異方導電性接着フィルム - Google Patents

異方導電性接着フィルム

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JP2000040418A JP10206000A JP20600098A JP2000040418A JP 2000040418 A JP2000040418 A JP 2000040418A JP 10206000 A JP10206000 A JP 10206000A JP 20600098 A JP20600098 A JP 20600098A JP 2000040418 A JP2000040418 A JP 2000040418A
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元秀 武市
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雅男 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱圧着時における内部応力を低減しうる異方導
電性接着フィルムを提供する。 【解決手段】本発明の異方導電性接着フィルム1は、絶
縁性接着剤樹脂6中に導電粒子7を分散してなる異方導
電性接着フィルムであって、上記絶縁性接着剤樹脂6の
線膨張係数と被着体のうちの小さい方の線膨張係数との
差が、35×10-6・K-1以内であることを特徴とす
る。絶縁性接着剤樹脂6中には、無機粒子9が20〜7
0重量%混入されている。また、絶縁性接着剤樹脂6中
には、ゴム系の弾性粒子8が1〜20 重量%分散され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、液晶表示
装置(LCD)と回路基板との間の電気的な接続に用い
られる異方導電性接着フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、液晶表示装置と集積
回路基板等を接続する手段として、異方導電性接着フィ
ルムが用いられている。この異方導電性接着フィルム
は、例えば、TCP(Tape Carrieer Package)やICチ
ップの接続電極と、LCDパネルのガラス基板上に形成
されたITO(Indium Tin Oxide)電極とを接続する場
合を始めとして、種々の端子間を接着するとともに電気
的に接続する場合に用いられている。
【0003】従来、異方導電性接着フィルムの絶縁性接
着剤(バインダー)としては、例えば、エポキシ樹脂、
フェノキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を所定の割合で配合し
たものが広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
異方導電性接着フィルムにあっては、熱圧着時におい
て、異方導電性接着フィルムと被着体との物性の相違に
よって熱的及び機械的負荷が加わり、これによって異方
導電性接着フィルムに熱応力及び残留応力が発生すると
いう問題があった。
【0005】従来、このような異方導電性接着フィルム
の内部応力を低減するためには、エポキシ樹脂やフェノ
キシ樹脂の配合量を変えることにより行っていたが、こ
の方法では熱圧着時の内部応力を十分に低減させること
ができず、導通信頼性を向上させることが困難であっ
た。
【0006】他方、近年、ICチップを直接ガラス基板
上に実装するCOG(Chip On Glass)が進展している
が、このCOG方式においては、ICチップが大型化す
る一方で、ICチップを実装するガラス基板の厚さが薄
くなりつつある。
【0007】その結果、従来の異方導電性接着フィルム
にあっては、ICチップをガラス基板上に実装する際に
上述した内部応力によってガラス基板に反りが発生する
ことがあり、このためガラス基板において表示部と実装
部との間隔を十分に確保しなければならず、また、ガラ
ス基板に反りが生じない程度の十分な剛性を確保しうる
厚さにしなければならないという問題があった。
【0008】本発明は、このような従来の技術の課題を
解決するためになされたもので、熱圧着の際の内部応力
を低減しうる異方導電性接着フィルムを提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、異方導電性接
着フィルムのバインダーの線膨張係数をICチップ等の
被着体の線膨張係数に対して近づけることによって当該
バインダーに生ずる内部応力を低減しうることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
【0010】かかる知見に基づいてなされた請求項1記
載の発明は、絶縁性接着剤中に導電粒子を分散してなる
異方導電性接着フィルムであって、上記絶縁性接着剤に
よって接着される複数の被着体のうち、その線膨張係数
の小さい方と当該異方導電性接着フィルムとの線膨張係
数の差が、35×10-6・K-1以内であることを特徴と
する。
【0011】請求項1記載の発明によれば、熱圧着の際
において、被着体の伸びと絶縁性接着剤の伸びとがほぼ
等しくなり、その結果、絶縁性接着剤に生ずる内部応力
を従来技術の場合に比べて小さくすることが可能にな
る。
【0012】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の発明において、絶縁性接着剤中に無機粒子を混入し
てなることを特徴とする。
【0013】さらに、請求項3記載の発明は、請求項2
記載の発明において、無機粒子の添加量が、20〜70
重量%であることを特徴とする。
【0014】請求項2又は3記載の発明によれば、絶縁
性接着剤の線膨張係数を容易に低下させることができ、
これにより絶縁性接着剤の線膨張係数と被着体の線膨張
係数との差を容易に35×10-6・K-1以内とすること
が可能になる。
【0015】さらにまた、請求項4記載の発明は、請求
項2又は3のいずれか1項記載の発明において、無機粒
子の平均粒径が、導電粒子の平均粒径の1/2以下であ
ることを特徴とする。
【0016】請求項4記載の発明によれば、導電粒子と
接続電極間の確実な電気的な接続を確保することが可能
になる。
【0017】一方、請求項5記載の発明は、請求項1乃
至4のいずれか1項記載の発明において、絶縁性接着剤
中に、ゴム系の弾性粒子が分散されていることを特徴と
する。
【0018】また、請求項6記載の発明は、請求項5記
載の発明において、絶縁性接着剤中へのゴム系の弾性粒
子の添加量が、1〜20重量%であることを特徴とす
る。
【0019】請求項5又は6記載の発明によれば、熱圧
着時に絶縁性接着剤に外力が加わった場合に、この応力
吸収粒子が大きく弾性変形することによって絶縁性接着
剤の被着体との界面部分に生ずる熱応力及び残留応力が
吸収されるため、絶縁性接着剤樹脂の弾性率の上昇を防
ぐことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る異方導電性接
着フィルムの実施の形態を図面を参照して詳細に説明す
る。図1(a)〜(c)は、本発明に係る異方導電性接
着フィルムの好ましい実施の形態を示すもので、図1
(a)は、熱圧着前の状態を示す構成図、図1(b)
は、熱圧着後の状態を示す構成図、図1(c)は、図1
(b)の一点鎖線Aで示す部分の作用を示す説明図であ
る。
【0021】図1に示すように、本発明の異方導電性接
着フィルム1は、例えばLCDパネル2のITO電極3
とLSIチップ(被着体)4のバンプ5とを接続する際
に用いられるもので、フィルム状の絶縁性接着剤樹脂
(絶縁性接着剤)6中に導電粒子7が分散されて構成さ
れる。
【0022】この場合、絶縁性接着剤樹脂6としては、
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン型
エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ
樹脂を主成分として、カップリング剤、硬化剤等を含む
ものなどを用いることができる。
【0023】ここで、絶縁性接着剤樹脂6の厚さは、接
続後の導通信頼性の確保及び製造工程における作業性の
観点から、10〜100μmとすることが好ましい。
【0024】また、絶縁性接着剤樹脂6は、硬化後の弾
性率が、後述するゴム粒子8の弾性率より大きいものを
用いるとよい。好ましい絶縁性接着剤樹脂6の弾性率
は、5×108〜1×109Paである。
【0025】絶縁性接着剤樹脂6の弾性率が5×108
Paより小さいと、信頼性を確保するための耐熱性が劣
るという不都合があり、1×109Paより大きいと、絶
縁性接着剤樹脂6の内部応力を十分に小さくすることが
できないという不都合がある。
【0026】また、絶縁性接着剤樹脂6のガラス転移温
度(Tg)は、100〜200℃であることが好まし
く、さらに好ましくは120〜190℃である。
【0027】絶縁性接着剤樹脂6のガラス転移温度が1
00℃より小さいと、異方導電性接着フィルム1の耐熱
性が低下するという不都合があり、200℃より大きい
と、絶縁性接着剤樹脂6に生ずる内部応力を十分に小さ
くすることが困難になるという不都合がある。
【0028】一方、導電粒子7としては、例えば、ニッ
ケル、金、銅等の金属粒子や、樹脂粒子に金めっき等を
施したものを用いることができる。
【0029】ここで、導電粒子7の平均粒径は、導通信
頼性の確保の観点から、1〜10μmとすることが好ま
しい。
【0030】また、絶縁性接着剤樹脂6中への導電粒子
7の分散量は、導通信頼性の確保の観点から、3〜25
重量%とすることが好ましい。
【0031】さらに、図示はしないが、この異方導電性
接着フィルム1は、剥離用の例えばポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルム上に形成され、また、異方
導電性接着フィルム1の表面はカバーフィルムによって
覆われている。
【0032】一方、本発明においては、絶縁性接着剤樹
脂6と、被着体のうち線膨張係数が小さい方であるLS
Iチップ4との間の線膨張係数の差が、35×10-6
-1以内となるように構成されている。
【0033】この場合、LSIチップ4との間の線膨張
係数の差を35×10-6・K-1以内とするためには、例
えば絶縁性接着剤樹脂6中に所定量の無機粒子9を混入
するとよい。
【0034】ここで、好ましい無機粒子9としては、例
えば、酸化アルミニウム(Al23)、二酸化ケイ素
(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ケイ素
(Si34)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム
(AlN)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等か
らなるものがあげられる。
【0035】また、絶縁性接着剤中への無機粒子9の添
加量は、20〜70重量%であることが好ましく、さら
に好ましくは30〜60重量%である。
【0036】絶縁性接着剤中への無機粒子9の添加量が
20重量%より小さいと、被着体であるLSIチップ4
との間の線膨張係数の差を35×10-6・K-1以内とす
ることが困難になり、70重量%より大きいと、フィル
ムになりにくくなるという不都合がある。
【0037】さらに、導電粒子7と接続電極間の電気的
な接続の確保の観点からは、無機粒子9の平均粒径は、
導電粒子7の平均粒径の1/2以下であることが好まし
い。
【0038】好ましい無機粒子9の平均粒径は、0.2
〜2.0μmであり、さらに好ましくは0.5〜1.0
μmである。
【0039】無機粒子9の平均粒径が0.2μmより小
さいと、絶縁性接着剤樹脂6への分散性が低下するとい
う不都合があり、2.0μmより大きいと、導電粒子7
と接続電極間の電気的な接続が低下するおそれがあると
いう不都合がある。
【0040】また、本発明においてさらに絶縁性接着剤
樹脂6の内部応力を低下させるためには、絶縁性接着剤
樹脂6中にゴム系の弾性粒子(以下「ゴム粒子」とい
う。)8を所定量添加するとよい。
【0041】ここで、絶縁性接着剤樹脂6中へのゴム粒
子8の添加量は、1〜20重量%であることが好まし
く、さらに好ましくは2〜15重量%である。
【0042】絶縁性接着剤中へのゴム粒子8の添加量が
1重量%より小さいと、絶縁性接着剤樹脂6に生ずる内
部応力を十分に小さくすることができず、20重量%よ
り大きいと、粘度が上昇してフィルムになりにくくなる
という不都合がある。
【0043】ここで、ゴム粒子8としては、その弾性率
が硬化後の絶縁性接着剤樹脂6の弾性率より小さいもの
を用いるとよい。
【0044】好ましいゴム粒子8の弾性率は、1×10
7〜5×108Paであり、さらに好ましくは、5×10
7〜1×108Paである。
【0045】ゴム粒子8の弾性率が1×107より小さ
いと、接続信頼性が低下するという不都合があり、5×
108Paより大きいと、絶縁性接着剤樹脂6の内部応力
を十分に小さくすることができないという不都合があ
る。
【0046】また、ゴム粒子8のガラス転移温度は、−
100〜50℃であることが好ましく、さらに好ましく
は−80〜25℃である。
【0047】ゴム粒子8のガラス転移温度が−100℃
より低いと、異方導電性接着フィルム1の耐熱性が低下
するという不都合があり、50℃より高いと、絶縁性接
着剤樹脂6に生ずる内部応力を十分に小さくすることが
困難になるという不都合がある。
【0048】このようなゴム粒子8としては、例えば、
架橋ポリブタジエンゴム、カルボン酸変性アクリロニト
リル−ブタジエンゴム、アクリルポリマーゴム、シリコ
ーンゴムからなるものがあげられる。
【0049】さらに、ゴム粒子8としては、核材に架橋
ポリブタジエンゴムやアクリルゴムを用い、この核材の
表面をアクリレート樹脂によって被覆したものを使用す
ることもできる。
【0050】また、導電粒子7と接続電極間の電気的な
接続を十分に確保するためには、ゴム粒子8の平均粒径
は、導電粒子7の平均粒径より小さいことが好ましい。
【0051】好ましいゴム粒子8の平均粒径は、30〜
500nmであり、さらに好ましくは50〜300nm
である。
【0052】絶縁性接着剤樹脂6の内部応力を小さくす
るためには添加するゴム粒子8の粒径が小さくその表面
積が大きい方が望ましいが、ゴム粒子8の平均粒径が3
0nmより小さいと、絶縁性接着剤樹脂6中において均
一に分散しにくくなるという不都合がある。
【0053】他方、ゴム粒子8の平均粒径が500nm
より大きいと、導電粒子7と接続電極間の電気的な接続
が低下するおそれがある。
【0054】本発明の異方導電性接着フィルム1を作成
するには、まず、所定のエポキシ樹脂等を溶解させた溶
液に、無機粒子9、ゴム粒子8、硬化剤等を所定量加え
て混合し、溶剤に分散させた導電粒子7をこの溶液に加
えて混合してバインダーペーストを調製する。
【0055】このバインダーペーストを例えばポリエス
テルフィルム等の剥離フィルム上にコーティングし、乾
燥後、カバーフィルムをラミネートして異方導電性接着
フィルム1を得る。
【0056】本発明の異方導電性接着フィルム1を用い
て電極間の接続を行う場合には、図1(a)(b)に示
すように、例えばLCDパネル2側に異方導電性接着フ
ィルム1を貼付し、LSIチップ4の位置合わせ(仮接
続)を行った後に、所定の温度及び圧力で熱圧着を行
い、LSIチップ4のバンプ5とLCDパネル2の電極
3とを電気的に接続させた状態で絶縁性接着剤樹脂6を
硬化させる。
【0057】ところで、一般に、異方導電性接着フィル
ムの接着界面に発生する内部応力σは、次の式(1)によ
って算出しうることが知られている。
【0058】
【数1】
【0059】上述したように、本発明の異方導電性接着
フィルム1においては、例えば絶縁性接着剤樹脂6中に
無機粒子9を混入することによって絶縁性接着剤樹脂6
全体の線膨張係数を低下させたことから、図1(c)及
び式(1)から明らかなように、熱圧着の際において、L
SIチップ4のひずみε1と絶縁性接着剤樹脂6のひず
みε2とがほぼ等しくなり、その結果、絶縁性接着剤樹
脂6に生ずる内部応力σを従来技術の場合に比べて小さ
くすることが可能になる。
【0060】さらに、絶縁性接着剤樹脂6中に絶縁性接
着剤樹脂6より弾性率の小さいゴム粒子8を分散すれ
ば、熱圧着の際にゴム粒子8が大きく弾性変形すること
によって絶縁性接着剤樹脂6の被着体との界面部分に生
ずる熱応力及び残留応力が吸収されるため、絶縁性接着
剤樹脂6の弾性率Eの上昇を防ぐことができる。
【0061】このように本発明によれば、熱圧着の際の
内部応力を小さくすることができることから、異方導電
性接着フィルム1の導通信頼性を向上させることができ
るとともに、被着体として薄いガラス基板を用いた場合
であっても、反りの発生を回避することができる。
【0062】なお、上述の実施の形態においては、接続
用のバンプを有する被着体を接続する場合を例にとって
説明したが、本発明はこれに限られず、接続用のバンプ
を有しない被着体を接続する場合にも適用しうるもので
ある。
【0063】
【実施例】以下、本発明に係る異方導電性接着フィルム
の実施例を比較例とともに詳細に説明する。 〔実施例1〕まず、フェノキシ樹脂(東都化成社製 Y
P50)50重量部、エポキシ樹脂(油化シェル社製
828)60重量部、イミダゾール系硬化剤(旭化成社
製HX3941HP)70重量部、シランカップリング
剤(日本ユニカー社製 A187)3.2重量部、無機
粒子として平均粒径1μmのSiO2粒子(龍森社製二酸
化ケイ素)123.2重量部(40重量%)を、溶剤ト
ルエンに溶解して固形分50%の絶縁性接着剤樹脂、す
なわち、バインダー溶液を調製する。
【0064】そして、このバインダー溶液100重量部
に、導電粒子として、平均粒径5.0μmのジビニルベ
ンゼン粒子にニッケル−金めっきを施したものを7重量
部(12.3重量%)加えてバインダーペーストとす
る。
【0065】さらに、このバインダーペーストを剥離用
のPETフィルム上に乾燥後の厚みが40μmになるよ
うにコーティングし、異方導電性接着フィルムを得る。
この異方導電性接着フィルムを幅7.0mmのスリット
状に切断し、実施例1のサンプルとした。
【0066】〔実施例2〕SiO2粒子として平均粒径が
0.2μmのものを用い、ゴム粒子として平均粒径18
0nmの架橋ポリブタジエン粒子(レジプス化成社製
RKB1003)3重量%を加えた以外は実施例1と同
様の方法によって異方導電性接着フィルムのサンプルを
作成した。
【0067】〔実施例3〕架橋ポリブタジエン粒子とし
て平均粒径が500nmのものを用い、その添加量を3
重量%とした以外は実施例2と同様の方法によって異方
導電性接着フィルムのサンプルを作成した。
【0068】〔実施例4〕架橋ポリブタジエン粒子とし
て平均粒径が180nmのものを用い、その添加量を1
0重量%とした以外は実施例2と同様の方法によって異
方導電性接着フィルムのサンプルを作成した。
【0069】〔比較例1〕SiO2粒子及びゴム粒子を添
加せずにバインダー溶液を調製した以外は実施例1と同
様の方法によって異方導電性接着フィルムのサンプルを
作成した。
【0070】〔比較例2〕粒径5μmのSiO2粒子の添
加量を50重量%とし、ゴム粒子を添加せずにバインダ
ー溶液を調製した以外は実施例1と同様の方法によって
異方導電性接着フィルムのサンプルを作成した。
【0071】〔比較例3〕SiO2粒子として平均粒径が
0.2μmのものを10重量%添加し、ゴム粒子を添加
せずにバインダー溶液を調製した以外は実施例2と同様
の方法によって異方導電性接着フィルムのサンプルを作
成した。
【0072】〔比較例4〕SiO2粒子を添加せず、平均
粒径が180nmのゴム粒子を2重量%添加した以外は
実施例1と同様の方法によって異方導電性接着フィルム
のサンプルを作成した。
【0073】〔比較例5〕SiO2粒子を添加せず、平均
粒径が180nmのゴム粒子を12重量%添加した以外
は実施例1と同様の方法によって異方導電性接着フィル
ムのサンプルを作成した。
【0074】<線膨張係数の測定>JIS K 719
7に規定された方法により、上記実施例及び比較例の異
方導電性接着フィルム並びに後述するシリコンチップの
線膨張係数を測定した。これにより得られた実施例及び
比較例の異方導電性接着フィルムとシリコンチップとの
線膨張係数の差を表1に示す。
【0075】<評価結果>次に、上記実施例及び比較例
を用い、以下の条件でピール強度の測定及び温度サイク
ル試験並びに導通抵抗の評価を行った。
【0076】〔ピール強度〕ITO(Indium Tin Oxid
e)膜を蒸着によって形成したガラス基板(厚さ1m
m)と、幅12μm、ピッチ100μmの銅(Cu)パ
ターンを形成しパターン表面にニッケル−金(Ni−A
u)めっきを施したポリイミド基板(厚さ25μm)と
を、温度180℃、時間20秒、圧力30kgf/cm2
条件で熱圧着によって接続した。
【0077】そして、上記熱圧着したサンプルに対し、
引張速度50mm/minで上記パターンと水平方向に
引っ張り、その時の強度を引張試験機(オリエンテック
社製)で測定した。その結果を表1に示す。
【0078】〔温度サイクル試験〕幅18μm、ピッチ
150μmの銅(Cu)パターンを形成しパターン表面
にニッケル−金(Ni−Au)めっきを施したガラス−
エポキシ基板(厚さ0.6mm)と、縦横の長さ110
μm□、高さ20のめっきバンプを形成したサイズ6.
3mm□のシリコンチップ(線膨張係数=3×10-6
-1)とを、温度180℃、時間20秒、圧力250kg
f/cm2の条件で熱圧着し、得られたサンプルについて
温度サイクル試験を行った。
【0079】この場合、温度サイクルは、−25℃/3
0分、125℃/30分を1サイクルとして、デイジー
テェーンでつないだ評価パターンの抵抗をリアルタイム
で記録し、50%の抵抗上昇が確認された回数を測定し
た。その結果を表1に示す。
【0080】〔導通抵抗〕ピール強度測定の際に、隣接
する2つの端子間の抵抗を4端子法で測定し、抵抗測定
が問題なく行えるか否かで端子間の接続が良好に行われ
ているか否かを判断した。また、温度サイクル試験の際
に、デイジーテェーンでつないだ評価パターンにおいて
抵抗測定を問題なく行えるか否かで端部間の接続が良好
に行われているか否かを判断した。これらの結果を表1
に示す。
【0081】
【表1】
【0082】表1に示すように、SiO2粒子を40重量
%添加した実施例1は、シリコンチップとの線膨張係数
の差が35より小さく、ピール強度、耐温度サイクル性
ともに良好であり、また導通抵抗も問題なかった。
【0083】さらに、SiO2粒子に加えてゴム粒子を添
加した実施例2、実施例3及び実施例4についても、シ
リコンチップとの線膨張係数の差が35より小さく、ピ
ール強度、耐温度サイクル性ともに良好であり、また導
通抵抗も問題なかった。
【0084】一方、SiO2粒子及びゴム粒子を添加しな
い比較例1は、シリコンチップとの線膨張係数の差が3
5より大きくなり、耐温度サイクル性が良くなかった。
【0085】また、粒径の大きな(5μm)SiO2粒子
を添加した比較例2は、シリコンチップとの線膨張係数
の差が35より小さかったが、ピール強度測定の際に電
極間の導通不良が発生した。
【0086】さらに、SiO2粒子を添加したがその添加
量が少ない(10重量%)比較例3は、シリコンチップ
との線膨張係数の差が35より大きくなり、耐温度サイ
クル性が良くなかった。
【0087】一方、SiO2粒子を添加せずゴム粒子のみ
を添加した比較例4及び比較例5についても、シリコン
チップとの線膨張係数の差が35以内にならなかった。
【0088】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、熱圧
着の際の絶縁性接着剤の内部応力を小さくすることがで
き、これにより異方導電性接着フィルムの導通信頼性を
向上させることができる。また、本発明によれば、薄い
ガラス基板等の被着体に対して反りの生じない異方導電
性接着フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明に係る異方導電
性接着フィルムの好ましい実施の形態を示すもので、図
1(a)は、熱圧着前の状態を示す構成図、図1(b)
は、熱圧着後の状態を示す構成図、図1(c)は、図1
(b)の一点鎖線Aで示す部分の作用を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 異方導電性接着フィルム 2 LCDパネル 3 ITO電極 4 LSIチップ(被着体) 5 バンプ 6 絶縁性接着剤樹脂(絶縁性接着剤) 7 導電粒子 8 ゴム系の弾性粒子 9 無機粒子
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月28日(1998.7.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】また、絶縁性接着剤樹脂6は、硬化後の弾
性率が、後述するゴム粒子8の弾性率より大きいものを
用いるとよい。好ましい絶縁性接着剤樹脂6の弾性率
は、5×108〜1×10 10 Paである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】絶縁性接着剤樹脂6の弾性率が5×108
Paより小さいと、信頼性を確保するための耐熱性が劣
るという不都合があり、1×10 10 Paより大きいと、
絶縁性接着剤樹脂6の内部応力を十分に小さくすること
ができないという不都合がある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正内容】
【0066】〔実施例2〕SiO2粒子として平均粒径が
0.2μmのものを用い、ゴム粒子として平均粒径18
0nmの架橋ポリブタジエン粒子(レジス化成社製
RKB1003)3重量%を加えた以外は実施例1と同
様の方法によって異方導電性接着フィルムのサンプルを
作成した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿久津 恭志 栃木県鹿沼市さつき町12−3 ソニーケミ カル株式会社第2工場内 Fターム(参考) 4J004 AA05 AA07 AA10 AA11 AA13 AA19 AB05 CA06 CC02 FA05 5G301 DA05 DA10 DA29 DA32 DA42 DA57 DD03 DD08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁性接着剤中に導電粒子を分散してなる
    異方導電性接着フィルムであって、 上記絶縁性接着剤によって接着される複数の被着体のう
    ち、その線膨張係数の小さい方と当該異方導電性接着フ
    ィルムとの線膨張係数の差が、35×10-6・K-1以内
    であることを特徴とする異方導電性接着フィルム。
  2. 【請求項2】絶縁性接着剤中に無機粒子を混入してなる
    ことを特徴とする請求項1記載の異方導電性接着フィル
    ム。
  3. 【請求項3】無機粒子の添加量が、20〜70重量%で
    あることを特徴とする請求項2記載の異方導電性接着フ
    ィルム。
  4. 【請求項4】無機粒子の平均粒径が、導電粒子の平均粒
    径の1/2以下であることを特徴とする請求項2又は3
    のいずれか1項記載の異方導電性接着フィルム。
  5. 【請求項5】絶縁性接着剤中に、ゴム系の弾性粒子が分
    散されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれ
    か1項記載の異方導電性接着フィルム。
  6. 【請求項6】絶縁性接着剤中へのゴム系の弾性粒子の添
    加量が、1〜20重量%であることを特徴とする請求項
    5記載の異方導電性接着フィルム。
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