JP3508558B2 - 異方導電性接着フィルム - Google Patents
異方導電性接着フィルムInfo
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装置(LCD)と回路基板との間の電気的な接続に用い
られる異方導電性接着フィルムに関する。
回路基板等を接続する手段として、異方導電性接着フィ
ルムが用いられている。この異方導電性接着フィルム
は、例えば、TCP(Tape Carrieer Package)やICチ
ップの接続電極と、LCDパネルのガラス基板上に形成
されたITO(Indium Tin Oxide)電極とを接続する場
合を始めとして、種々の端子間を接着するとともに電気
的に接続する場合に用いられている。
着剤(バインダー)としては、例えば、エポキシ樹脂、
フェノキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を所定の割合で配合し
たものが広く用いられている。
異方導電性接着フィルムにあっては、熱圧着時におい
て、異方導電性接着フィルムと被着体との物性の相違に
よって熱的及び機械的負荷が加わり、これによって異方
導電性接着フィルムに熱応力及び残留応力が発生すると
いう問題があった。
の内部応力を低減するためには、エポキシ樹脂やフェノ
キシ樹脂の配合量を変えることにより行っていたが、こ
の方法では熱圧着時の内部応力を十分に低減させること
ができず、導通信頼性を向上させることが困難であっ
た。
上に実装するCOG(Chip On Glass)が進展している
が、このCOG方式においては、ICチップが大型化す
る一方で、ICチップを実装するガラス基板の厚さが薄
くなりつつある。
にあっては、ICチップをガラス基板上に実装する際に
上述した内部応力によってガラス基板に反りが発生する
ことがあり、このためガラス基板において表示部と実装
部との間隔を十分に確保しなければならず、また、ガラ
ス基板に反りが生じない程度の十分な剛性を確保しうる
厚さにしなければならないという問題があった。
解決するためになされたもので、熱圧着の際の内部応力
を低減しうる異方導電性接着フィルムを提供することを
目的とする。
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、異方導電性接
着フィルムのバインダーの線膨張係数をICチップ等の
被着体の線膨張係数に対して近づけることによって当該
バインダーに生ずる内部応力を低減しうることを見い出
し、本発明を完成するに至った。
載の発明は、絶縁性接着剤中に導電粒子を分散してなる
異方導電性接着フィルムであって、上記絶縁性接着剤中
に、無機粒子が混入されるとともにゴム系の弾性粒子が
分散され、上記無機粒子の添加量が、20〜70重量%
であり、上記絶縁性接着剤によって接着される複数の被
着体のうち、その線膨張係数の小さい方と当該異方導電
性接着フィルムとの線膨張係数の差が、35×10-6・
K-1以内であることを特徴とする。請求項2記載の発明
は、請求項1記載の発明において、無機粒子の平均粒径
が、導電粒子の平均粒径の1/2以下であることを特徴
とする。請求項3記載の発明は、請求項1又は2のいず
れか1項記載の発明において、絶縁性接着剤中へのゴム
系の弾性粒子の添加量が、1〜20重量%であることを
特徴とする。
熱圧着の際において、被着体の伸びと絶縁性接着剤の伸
びとがほぼ等しくなり、その結果、絶縁性接着剤に生ず
る内部応力を従来技術の場合に比べて小さくすることが
可能になる。
膨張係数を容易に低下させることができ、これにより絶
縁性接着剤の線膨張係数と被着体の線膨張係数との差を
容易に35×10-6・K-1以内とすることが可能にな
る。
性接着剤に外力が加わった場合に、ゴム系の弾性粒子が
大きく弾性変形することによって絶縁性接着剤の被着体
との界面部分に生ずる熱応力及び残留応力が吸収される
ため、絶縁性接着剤樹脂の弾性率の上昇を防ぐことがで
きる。
導電粒子の平均粒径の1/2以下である場合には、導電
粒子と接続電極間の確実な電気的な接続を確保すること
が可能になる。
着フィルムの実施の形態を図面を参照して詳細に説明す
る。図1(a)〜(c)は、本発明に係る異方導電性接
着フィルムの好ましい実施の形態を示すもので、図1
(a)は、熱圧着前の状態を示す構成図、図1(b)
は、熱圧着後の状態を示す構成図、図1(c)は、図1
(b)の一点鎖線Aで示す部分の作用を示す説明図であ
る。
着フィルム1は、例えばLCDパネル2のITO電極3
とLSIチップ(被着体)4のバンプ5とを接続する際
に用いられるもので、フィルム状の絶縁性接着剤樹脂
(絶縁性接着剤)6中に導電粒子7が分散されて構成さ
れる。
例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン型
エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ
樹脂を主成分として、カップリング剤、硬化剤等を含む
ものなどを用いることができる。
続後の導通信頼性の確保及び製造工程における作業性の
観点から、10〜100μmとすることが好ましい。
性率が、後述するゴム粒子8の弾性率より大きいものを
用いるとよい。好ましい絶縁性接着剤樹脂6の弾性率
は、5×108〜1×109Paである。
Paより小さいと、信頼性を確保するための耐熱性が劣
るという不都合があり、1×109Paより大きいと、絶
縁性接着剤樹脂6の内部応力を十分に小さくすることが
できないという不都合がある。
度(Tg)は、100〜200℃であることが好まし
く、さらに好ましくは120〜190℃である。
00℃より小さいと、異方導電性接着フィルム1の耐熱
性が低下するという不都合があり、200℃より大きい
と、絶縁性接着剤樹脂6に生ずる内部応力を十分に小さ
くすることが困難になるという不都合がある。
ケル、金、銅等の金属粒子や、樹脂粒子に金めっき等を
施したものを用いることができる。
頼性の確保の観点から、1〜10μmとすることが好ま
しい。
7の分散量は、導通信頼性の確保の観点から、3〜25
重量%とすることが好ましい。
接着フィルム1は、剥離用の例えばポリエチレンテレフ
タレート(PET)フィルム上に形成され、また、異方
導電性接着フィルム1の表面はカバーフィルムによって
覆われている。
脂6と、被着体のうち線膨張係数が小さい方であるLS
Iチップ4との間の線膨張係数の差が、35×10-6・
K-1以内となるように構成されている。
膨張係数の差を35×10-6・K-1以内とするために、
絶縁性接着剤樹脂6中に所定量の無機粒子9を混入す
る。
えば、酸化アルミニウム(Al2O3)、二酸化ケイ素
(SiO2)、酸化マグネシウム(MgO)、窒化ケイ素
(Si3N4)、窒化ホウ素(BN)、窒化アルミニウム
(AlN)、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)等か
らなるものがあげられる。
加量は、20〜70重量%であることが好ましく、さら
に好ましくは30〜60重量%である。
20重量%より小さいと、被着体であるLSIチップ4
との間の線膨張係数の差を35×10-6・K-1以内とす
ることが困難になり、70重量%より大きいと、フィル
ムになりにくくなるという不都合がある。
な接続の確保の観点からは、無機粒子9の平均粒径は、
導電粒子7の平均粒径の1/2以下であることが好まし
い。
〜2.0μmであり、さらに好ましくは0.5〜1.0
μmである。
さいと、絶縁性接着剤樹脂6への分散性が低下するとい
う不都合があり、2.0μmより大きいと、導電粒子7
と接続電極間の電気的な接続が低下するおそれがあると
いう不都合がある。
樹脂6の内部応力を低下させるために、絶縁性接着剤樹
脂6中にゴム系の弾性粒子(以下「ゴム粒子」とい
う。)8を所定量添加する。
子8の添加量は、1〜20重量%であることが好まし
く、さらに好ましくは2〜15重量%である。
1重量%より小さいと、絶縁性接着剤樹脂6に生ずる内
部応力を十分に小さくすることができず、20重量%よ
り大きいと、粘度が上昇してフィルムになりにくくなる
という不都合がある。
が硬化後の絶縁性接着剤樹脂6の弾性率より小さいもの
を用いるとよい。
7〜5×108Paであり、さらに好ましくは、5×10
7〜1×108Paである。
いと、接続信頼性が低下するという不都合があり、5×
108Paより大きいと、絶縁性接着剤樹脂6の内部応力
を十分に小さくすることができないという不都合があ
る。
100〜50℃であることが好ましく、さらに好ましく
は−80〜25℃である。
より低いと、異方導電性接着フィルム1の耐熱性が低下
するという不都合があり、50℃より高いと、絶縁性接
着剤樹脂6に生ずる内部応力を十分に小さくすることが
困難になるという不都合がある。
架橋ポリブタジエンゴム、カルボン酸変性アクリロニト
リル−ブタジエンゴム、アクリルポリマーゴム、シリコ
ーンゴムからなるものがあげられる。
ポリブタジエンゴムやアクリルゴムを用い、この核材の
表面をアクリレート樹脂によって被覆したものを使用す
ることもできる。
接続を十分に確保するためには、ゴム粒子8の平均粒径
は、導電粒子7の平均粒径より小さいことが好ましい。
500nmであり、さらに好ましくは50〜300nm
である。
るためには添加するゴム粒子8の粒径が小さくその表面
積が大きい方が望ましいが、ゴム粒子8の平均粒径が3
0nmより小さいと、絶縁性接着剤樹脂6中において均
一に分散しにくくなるという不都合がある。
より大きいと、導電粒子7と接続電極間の電気的な接続
が低下するおそれがある。
するには、まず、所定のエポキシ樹脂等を溶解させた溶
液に、無機粒子9、ゴム粒子8、硬化剤等を所定量加え
て混合し、溶剤に分散させた導電粒子7をこの溶液に加
えて混合してバインダーペーストを調製する。
テルフィルム等の剥離フィルム上にコーティングし、乾
燥後、カバーフィルムをラミネートして異方導電性接着
フィルム1を得る。
て電極間の接続を行う場合には、図1(a)(b)に示
すように、例えばLCDパネル2側に異方導電性接着フ
ィルム1を貼付し、LSIチップ4の位置合わせ(仮接
続)を行った後に、所定の温度及び圧力で熱圧着を行
い、LSIチップ4のバンプ5とLCDパネル2の電極
3とを電気的に接続させた状態で絶縁性接着剤樹脂6を
硬化させる。
ムの接着界面に発生する内部応力σは、次の式(1)によ
って算出しうることが知られている。
フィルム1においては、例えば絶縁性接着剤樹脂6中に
無機粒子9を混入することによって絶縁性接着剤樹脂6
全体の線膨張係数を低下させたことから、図1(c)及
び式(1)から明らかなように、熱圧着の際において、L
SIチップ4のひずみε1と絶縁性接着剤樹脂6のひず
みε2とがほぼ等しくなり、その結果、絶縁性接着剤樹
脂6に生ずる内部応力σを従来技術の場合に比べて小さ
くすることが可能になる。
着剤樹脂6より弾性率の小さいゴム粒子8を分散すれ
ば、熱圧着の際にゴム粒子8が大きく弾性変形すること
によって絶縁性接着剤樹脂6の被着体との界面部分に生
ずる熱応力及び残留応力が吸収されるため、絶縁性接着
剤樹脂6の弾性率Eの上昇を防ぐことができる。
内部応力を小さくすることができることから、異方導電
性接着フィルム1の導通信頼性を向上させることができ
るとともに、被着体として薄いガラス基板を用いた場合
であっても、反りの発生を回避することができる。
用のバンプを有する被着体を接続する場合を例にとって
説明したが、本発明はこれに限られず、接続用のバンプ
を有しない被着体を接続する場合にも適用しうるもので
ある。
重量部、エポキシ樹脂(油化シェル社製 828)60
重量部、イミダゾール系硬化剤(旭化成社製HX394
1HP)70重量部、シランカップリング剤(日本ユニ
カー社製 A187)3.2重量部、無機粒子として平
均粒径1μmのSiO2粒子(龍森社製二酸化ケイ素)1
23.2重量部(40重量%)を、溶剤トルエンに溶解
して固形分50%の絶縁性接着剤樹脂、すなわち、バイ
ンダー溶液を調製する。
に、導電粒子として、平均粒径5.0μmのジビニルベ
ンゼン粒子にニッケル−金めっきを施したものを7重量
部(12.3重量%)加えてバインダーペーストとす
る。
のPETフィルム上に乾燥後の厚みが40μmになるよ
うにコーティングし、異方導電性接着フィルムを得る。
この異方導電性接着フィルムを幅7.0mmのスリット
状に切断し、参考例のサンプルとした。
ゴム粒子として平均粒径180nmの架橋ポリブタジエ
ン粒子(レジプス化成社製 RKB1003)3重量%
を加えた以外は参考例と同様の方法によって異方導電性
接着フィルムのサンプルを作成した。
ものを用い、その添加量を3重量%とした以外は実施例
1と同様の方法によって異方導電性接着フィルムのサン
プルを作成した。
ものを用い、その添加量を10重量%とした以外は実施
例1と同様の方法によって異方導電性接着フィルムのサ
ンプルを作成した。
調製した以外は参考例と同様の方法によって異方導電性
接着フィルムのサンプルを作成した。
ム粒子を添加せずにバインダー溶液を調製した以外は参
考例と同様の方法によって異方導電性接着フィルムのサ
ンプルを作成した。
量%添加し、ゴム粒子を添加せずにバインダー溶液を調
製した以外は実施例1と同様の方法によって異方導電性
接着フィルムのサンプルを作成した。
子を2重量%添加した以外は参考例と同様の方法によっ
て異方導電性接着フィルムのサンプルを作成した。
子を12重量%添加した以外は参考例と同様の方法によ
って異方導電性接着フィルムのサンプルを作成した。
施例及び比較例の異方導電性接着フィルム並びに後述す
るシリコンチップの線膨張係数を測定した。これにより
得られた実施例及び比較例の異方導電性接着フィルムと
シリコンチップとの線膨張係数の差を表1に示す。
ル強度の測定及び温度サイクル試験並びに導通抵抗の評
価を行った。
ガラス基板(厚さ1mm)と、幅12μm、ピッチ10
0μmの銅(Cu)パターンを形成しパターン表面にニ
ッケル−金(Ni−Au)めっきを施したポリイミド基
板(厚さ25μm)とを、温度180℃、時間20秒、
圧力30kgf/cm2の条件で熱圧着によって接続した。
引張速度50mm/minで上記パターンと水平方向に
引っ張り、その時の強度を引張試験機(オリエンテック
社製)で測定した。その結果を表1に示す。
形成しパターン表面にニッケル−金(Ni−Au)めっ
きを施したガラス−エポキシ基板(厚さ0.6mm)
と、幅110μm□、高さ20のめっきバンプを形成し
たサイズ6.3mm□のシリコンチップ(線膨張係数=
3×10-6・K-1)とを、温度180℃、時間20秒、
圧力250kgf/cm2の条件で熱圧着し、得られたサン
プルについて温度サイクル試験を行った。
0分、125℃/30分を1サイクルとして、デイジー
テェーンでつないだ評価パターンの抵抗をリアルタイム
で記録し、50%の抵抗上昇が確認された回数を測定し
た。その結果を表1に示す。
4端子法で測定し、抵抗測定が問題なく行えるか否かで
端子間の接続が良好に行われているか否かを判断した。
また、温度サイクル試験の際に、デイジーテェーンでつ
ないだ評価パターンにおいて抵抗測定を問題なく行える
か否かで端部間の接続が良好に行われているか否かを判
断した。これらの結果を表1に示す。
SiO2粒子とゴム粒子を添加した実施例1、実施例2及
び実施例3は、シリコンチップとの線膨張係数の差が3
5×10-6・K-1より小さく、ピール強度、耐温度サイ
クル性ともに良好であり、また導通抵抗も問題なかっ
た。
い比較例1は、シリコンチップとの線膨張係数の差が3
5×10-6・K-1より大きくなり、耐温度サイクル性が
良くなかった。
を添加した比較例2は、シリコンチップとの線膨張係数
の差が35×10-6・K-1より小さかったが、ピール強
度測定の際に電極間の導通不良が発生した。
量が少ない(10重量%)比較例3は、シリコンチップ
との線膨張係数の差が35×10-6・K-1より大きくな
り、耐温度サイクル性が良くなかった。
を添加した比較例4及び比較例5についても、シリコン
チップとの線膨張係数の差が35×10-6・K-1以内に
ならなかった。
着の際の絶縁性接着剤の内部応力を小さくすることがで
き、これにより異方導電性接着フィルムの導通信頼性を
向上させることができる。また、本発明によれば、薄い
ガラス基板等の被着体に対して反りの生じない異方導電
性接着フィルムを提供することができる。
性接着フィルムの好ましい実施の形態を示すもので、図
1(a)は、熱圧着前の状態を示す構成図、図1(b)
は、熱圧着後の状態を示す構成図、図1(c)は、図1
(b)の一点鎖線Aで示す部分の作用を示す説明図であ
る。
Claims (3)
- 【請求項1】絶縁性接着剤中に導電粒子を分散してなる
異方導電性接着フィルムであって、 上記絶縁性接着剤中に、無機粒子が混入されるとともに
ゴム系の弾性粒子が分散され、上記無機粒子の添加量が、20〜70重量%であり、 上記絶縁性接着剤によって接着される複数の被着体のう
ち、その線膨張係数の小さい方と当該異方導電性接着フ
ィルムとの線膨張係数の差が、35×10-6・K-1以内
であることを特徴とする異方導電性接着フィルム。 - 【請求項2】無機粒子の平均粒径が、導電粒子の平均粒
径の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載の
異方導電性接着フィルム。 - 【請求項3】絶縁性接着剤中へのゴム系の弾性粒子の添
加量が、1〜20重量%であることを特徴とする請求項
1又は2のいずれか1項記載の異方導電性接着フィル
ム。
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1998
- 1998-07-22 JP JP20600098A patent/JP3508558B2/ja not_active Expired - Lifetime
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