JP3447569B2 - 異方性導電膜およびそれを用いた電極接続構造 - Google Patents

異方性導電膜およびそれを用いた電極接続構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対向配置される電
極同士を電気的に接続するための異方性導電膜およびそ
れを用いた電極接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】異方性導電膜は、たとえば液晶表示装置
において液晶ドライバと周辺部材とを接続するため、特
に液晶パネルと液晶ドライバLSI(集積回路)とを接
続するためまたは配線基板と液晶ドライバLSIとを接
続するためなど、高精細な対向電極の接続に用いられ
る。
【0003】図4は、従来技術である異方性導電膜21
を示す断面図である。異方性導電膜21は、バインダ樹
脂22に少なくとも導電粒子23を混合して成るが、た
とえば特開平5−174618号公報および特開平6−
59268号公報には、バインダ樹脂22に導電粒子2
3と絶縁粒子24とを混在して成る異方性導電膜21が
開示されている。
【0004】特開平5−174618号公報では、隣接
する電極間での短絡を防止することを目的としている。
導電粒子23は、アクリル樹脂などの樹脂微粒子から成
るコアの表面に、金、銀、銅、ニッケルおよびアルミニ
ウムなどの金属から成る導電膜をメッキや蒸着などによ
って被覆して構成される。絶縁粒子24は、導電粒子2
3よりも硬質であり、ガラスや硬質の樹脂などから成る
球状または円柱状のものから成る。また、絶縁粒子24
の粒子径は導電粒子23の粒子径よりも小さく、たとえ
ば導電粒子23の粒子径が5〜15μm程度で、絶縁粒
子24の粒子径は3〜8μm程度である。
【0005】特開平6−59268号公報では、100
μm以下の微細な端子ピッチで対向配置された電極間の
電気的接続の信頼性を向上することを目的としている。
バインダ樹脂22の膜厚は15〜30μmである。導電
粒子23は、粒子径が3〜8μm程度のポリスチレン粒
子の表面に約0.1μmの厚さのニッケル−金メッキを
施したものである。絶縁粒子24は、前記ポリスチレン
粒子、フェノール系樹脂またはポリスチレンブタジエン
重合体から成る粒子である。
【0006】また、特開平5−347464号公報にも
バインダ樹脂22に導電粒子23と絶縁粒子24とを混
合して成る異方性導電膜21が開示されている。
【0007】このような異方性導電膜21はいずれもセ
パレータ上に形成される。一方電極上に、該電極と異方
性導電膜21とが当接するようにして異方性導電膜21
が形成されたセパレータが配置され、セパレータを介し
て熱と圧力とを加え、セパレータを剥離することによっ
て、異方性導電膜21が一方電極上に転写される。さら
に、該異方性導電膜21の上に、一方電極と位置合わせ
して他方電極を配置し、圧着することによって、電極同
士が電気的に接続される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】転写時に加えられる熱
と圧力とによって、異方性導電膜21の流動性が高くな
って膜厚が薄くなると、バインダ樹脂22の充填不足に
よって密着力が低下する。また、電極上の導電粒子数が
減少する。したがって、圧着後の電極の接続の信頼性が
低下する。電極の接続の信頼性低下を防止するために、
異方性導電膜21の転写時には出来る限り低温かつ低圧
で行うことが好ましい。しかし、被着体である電極やそ
の周辺部の材質や表面状態によって、高温かつ高圧でし
か転写できない場合があり、この場合上述した接続信頼
性に問題が生じる。
【0009】前述した特開平5−174618号公報お
よび特開平6−59268号公報では、絶縁粒子24の
粒子径は導電粒子23の粒子径よりも小さいかまたは同
等である。したがって、電極やその周辺部の材質や表面
状態によって、高温かつ高圧で転写する場合、異方性導
電膜21の膜厚が薄くなって接続信頼性が低下する。ま
た、特開平5−347464号公報の異方性導電膜21
は、対向配置される電極間に異方性導電膜を配置して電
極同士を圧着接続する際の導電粒子の破壊を防止するこ
とを目的としたものである。
【0010】本発明の目的は、異方性導電膜転写時の熱
および圧力の影響による膜厚の低下を低減して圧着に必
要な膜厚を確保し、電極の電気的接続に高い信頼性が得
られる異方性導電膜およびそれを用いた電極接続構造を
提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、バインダ樹脂
中に、導電粒子と、該導電粒子よりも粒子径が大きくか
つ弾性率の低下温度が該導電粒子の弾性率の低下温度よ
りも低い絶縁粒子とを混在して成ることを特徴とする異
方性導電膜である。
【0012】本発明に従えば、バインダ樹脂中に、導電
粒子と、該導電粒子よりも粒子径が大きくかつ該導電粒
子よりも弾性率の低下温度が低い絶縁粒子とを混在して
異方性導電膜が構成される。異方性導電膜の膜厚は、転
写時に熱および圧力が加わっても絶縁粒子の粒子径以上
に保持される。したがって、異方性導電膜の膜厚の低下
を防止して、圧着に必要な膜厚が確保できる。
【0013】また、異方性導電膜を用いた電極の電気的
接続は、一方の電極上に異方性導電膜を転写し、さらに
他方の電極を配置して圧着することによって行われる。
圧着時において、絶縁粒子は、導電粒子による電極の電
気的接続に支障を来すことなく容易に偏平する。さら
に、隣接する電極間にも絶縁粒子は存在し、これによっ
て導電粒子が連通して発生する短絡を防止することがで
きる。
【0014】また本発明は、前記絶縁粒子の粒子径は、
異方性導電膜の膜厚の約0.7〜1倍に選ばれることを
特徴とする。
【0015】本発明に従えば、絶縁粒子の粒子径を異方
性導電膜の膜厚の約0.7〜1倍とすることによって、
異方性導電膜の膜厚は、転写時に絶縁粒子の粒子径以上
に確実に保持される。したがって、異方性導電膜の膜厚
の低下を確実に防止することができる。
【0016】また本発明は、前記絶縁粒子のガラス転移
点は、導電粒子のガラス転移点よりも小さいことを特徴
とする。
【0017】本発明に従えば、絶縁粒子のガラス転移点
を導電粒子のガラス転移点よりも小さくすることによっ
て、圧着時に絶縁粒子は、導電粒子による電極の電気的
接続に支障を来すことなく容易に偏平する。
【0018】また本発明は、互いに対向して配置される
一対の電極間に上述のうちのいずれか1つの異方性導電
膜を介在して、一対の前記電極同士が電気的に接続され
ることを特徴とする電極接続構造である。
【0019】本発明に従えば、電気的接続の信頼性の高
い電極の接続構造を提供することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある異方性導電膜1を示す断面図である。異方性導電膜
1は、バインダ樹脂2中に、導電粒子3と、絶縁粒子4
とを混在して成る。絶縁粒子4は、導電粒子3よりも粒
子径が大きくかつ導電粒子3よりも弾性率の低下温度が
低いものである。
【0021】特に、絶縁粒子4の粒子径は、異方性導電
膜1の膜厚の約0.7〜1倍に選ぶことが好ましい。ま
た、弾性率の低下温度は、たとえばガラス転移点Tgで
あり、絶縁粒子4のガラス転移点Tgiは、導電粒子3
のガラス転移点Tgcよりも小さいことが好ましい。
【0022】バインダ樹脂としては、たとえばエポキシ
樹脂を用いることができる。また、導電粒子3として
は、プラスチック製粒子にニッケル−金メッキしたもの
を用いることができる。さらに、絶縁粒子4としては、
プラスチック製ビーズを用いることができる。これらの
構成要素は、公知の技術、たとえば特開平5−1746
18号公報、特開平6−59268号公報および特開平
5−347464号公報に開示された材料で実現しても
構わない。
【0023】図2は、異方性導電膜1を用いた電極接続
の方法および構造を示す断面図である。異方性導電膜1
は、セパレータ5の上に形成される。図2(A)に示さ
れるように、たとえば一方電極6の上に、該電極6と異
方性導電膜1とが当接するようにして、異方性導電膜1
が形成されたセパレータ5が配置される。次に、セパレ
ータ5を介して熱と圧力とを加え、セパレータ5を剥離
することによって異方性導電膜1が一方電極6の上に転
写される。さらに図2(B)に示されるように、該異方
性導電膜1の上に、一方電極6と位置合わせして他方電
極7が配置される。次に、圧着することによって図2
(C)に示されるように、電極6,7同士が導電粒子を
介して電気的に接続される。
【0024】バインダ樹脂2の中に、導電粒子3と、該
導電粒子3よりも粒子径が大きくかつ該導電粒子3より
も弾性率の低下温度が低い絶縁粒子4とを混在して構成
される異方性導電膜1の膜厚は、転写時に熱および圧力
が加わっても絶縁粒子4の粒子径以上に保持される。し
たがって、異方性導電膜1の膜厚の低下を防止して、圧
着に必要な膜厚を確保することができる。
【0025】また、異方性導電膜1を用いた電極6,7
同士の電気的接続は、一方の電極6の上に異方性導電膜
1を転写し、さらに他方の電極7を配置して圧着するこ
とによって行われる。圧着時において、絶縁粒子4は、
導電粒子3による電極6,7の電気的接続に支障を来す
ことなく容易に偏平する。さらに、隣接する電極6の間
および隣接する電極7の間にも絶縁粒子4は存在し、こ
れによって導電粒子3が連通して発生する短絡を防止す
ることができる。したがって、電極6,7同士の接続構
造の信頼性を向上することができる。
【0026】また、絶縁粒子4の粒子径を異方性導電膜
1の膜厚の約0.7〜1倍とすることによって、異方性
導電膜1の膜厚は、転写時に絶縁粒子4の粒子径以上に
確実に保持される。したがって、異方性導電膜1の膜厚
の低下を確実に防止することができる。
【0027】また、絶縁粒子4のガラス転移点を導電粒
子3のガラス転移点よりも小さくすることによって、圧
着時に絶縁粒子4は、導電粒子3による電極6,7同士
の電気的接続に支障を来すことなく容易に偏平する。し
たがって、電極6,7同士の接続構造の信頼性を向上す
ることができる。
【0028】また、互いに対向して配置される一対の電
極6,7の間に上述したような異方性導電膜1を介在し
て、一対の前記電極6,7同士を電気的に接続すること
によって、電気的接続の信頼性の高い電極6,7の接続
構造を提供することができる。
【0029】図3は、異方性導電膜1を用いて液晶素子
用の一対の基板部材8,11がそれぞれ有する電極1
0,13同士を電気的に接続する方法および構造を示す
断面図である。図3(A)は圧着前の状態を示し、図3
(B)は圧着後の状態を示す。一方の基板部材8は、液
晶素子用の基板9の上に電極10を形成して構成され
る。他方の基板部材11であるキャリアテープ11は、
たとえば液晶ドライバLSIを備えた可撓性を有する基
板12の上に電極13を形成して構成される。
【0030】電極10,13の接続の温度条件として
は、異方性導電膜1の転写時が100℃以下に設定さ
れ、圧着時が160℃以上に設定されるのが一般的であ
る。導電粒子3および絶縁粒子4のガラス転移点Tg
c,Tgiはともに圧着温度よりも低い温度に選ばれ、
かつ絶縁粒子4のガラス転移点Tgiは導電粒子3のガ
ラス転移点Tgcよりも低い温度に選ばれる。たとえ
ば、導電粒子3のガラス転移点Tgcを155℃に選
び、絶縁粒子4のガラス転移点Tgiを150℃に選ん
だ。
【0031】また、一般的に、異方性導電膜1の膜厚は
15μm〜40μmの範囲に選ばれ、導電粒子3の粒子
径は3μm〜10μmの範囲に選ばれ、絶縁粒子4の粒
子径は異方性導電膜1の膜厚の0.7〜1倍に選ばれ
る。たとえば、異方性導電膜1の膜厚を20μmに、導
電粒子3の粒子径を5μmに、絶縁粒子4の粒子径を1
5μmにそれぞれ選んだ。
【0032】図3(A)に示されるように異方性導電膜
1の転写時に100℃に加熱すると、転写後の異方性導
電膜1の膜厚はバインダ樹脂2の特性にかかわらず絶縁
粒子4の粒子径である15μm以上に保持することがで
きる。したがって、異方性導電膜1の膜厚の低下を防止
して、圧着に必要な膜厚を確保することができる。
【0033】図3(B)に示されるように異方性導電膜
1の圧着時に200℃に加熱すると、充分な厚みを有す
る異方性導電膜1は接続部である電極10,13の間お
よび基板9,12の間に充分に充填される。これによっ
て、高い密着性で一方基板部材8とキャリアテープ11
とを接続することができる。また、電極10,13の間
に充填された絶縁粒子4は容易に変形するので、導電粒
子3を介して電極10,13同士を確実に電気的に接続
することができる。さらに、隣接する電極10の間およ
び電極13の間に絶縁粒子4が存在するので、導電粒子
3の連通を防止して、短絡の発生を防ぐことができる。
このように、電気的接続の信頼性の高い電極接続構造を
提供することができる。
【0034】本実施形態によれば、異方性導電膜1の実
装工程における転写不良の防止と、電極接続の信頼性の
向上とを両立することができる。従来技術では接続信頼
性の確保のために低温低圧で転写しており、そのために
被着体に異方性導電膜を確実に転写できずに転写不良が
発生し、転写に時間がかかっていたのに対して、本実施
形態の異方性導電膜1によれば、高温高圧での転写が可
能であり、転写不良を防止することができ、短時間で転
写することができる。また、転写用の加熱手段の温度お
よび圧力のバランスが崩れた場合でも、異方性導電膜1
の膜厚が薄くなることによる接続不良の発生を防止する
ことができる。さらに、異方性導電膜1に使用するバイ
ンダ樹脂の特性として、初期の粘着性や100℃程度に
おける流動性などの制限が不要となり、選択の自由度が
増す。したがって、低温硬化および高速硬化などの特性
を有する異方性導電膜1の実現を図ることができる。
【0035】なお、本発明の異方性導電膜は、図3で説
明した液晶用の基板部材8とキャリアテープ11との接
続に用いるものに限らず、液晶用基板部材とプリント配
線基板との接続、液晶用基板部材とベアチップとの接
続、ベアチップとプリント配線基板との接続、およびプ
リント配線基板とキャリアテープとの接続などに用いる
ものも本発明の範囲に属するものであり、本実施形態で
説明したのと同様の効果が得られるものである。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、バインダ
樹脂中に、導電粒子と、該導電粒子よりも粒子径が大き
くかつ該導電粒子よりも弾性率の低下温度が低い絶縁粒
子とを混在して異方性導電膜を構成したので、転写後に
絶縁粒子の粒子径以上の膜厚を保持でき、圧着に必要な
膜厚を確保することができる。また圧着時に絶縁粒子が
容易に偏平し、導電粒子によって電極が電気的に接続さ
れる。さらに、隣接する電極間に絶縁粒子が存在するの
で、導電粒子が連通することによって発生する短絡を防
止することができる。
【0037】また本発明によれば、絶縁粒子の粒子径を
異方性導電膜の膜厚の約0.7〜1倍にしたので、転写
後に絶縁粒子の粒子径以上の膜厚を確実に保持すること
ができ、異方性導電膜の膜厚の低下を確実に防止するこ
とができる。
【0038】また本発明によれば、絶縁粒子のガラス転
移点を導電粒子のガラス転移点よりも小さくしたので、
圧着時に絶縁粒子が容易に偏平し、導電粒子によって電
極が確実に電気的に接続され、電極接続構造の信頼性が
向上する。
【0039】また本発明によれば、電気的接続の信頼性
の高い電極接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である異方性導電膜1を
示す断面図である。
【図2】異方性導電膜1を用いた電極接続の方法および
構造を示す断面図である。
【図3】異方性導電膜1を用いて液晶素子用の一対の基
板部材8,11がそれぞれ有する電極10,13同士を
電気的に接続する方法および構造を示す断面図である。
【図4】従来技術である異方性導電膜21を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 異方性導電膜 2 バインダ樹脂 3 導電粒子 4 絶縁粒子 6,7,10,13 電極 8 基板部材 9,12 基板 11 キャリアテープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01R 11/01 H05K 3/32 H05K 3/36

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バインダ樹脂中に、導電粒子と、該導電
    粒子よりも粒子径が大きくかつ弾性率の低下温度が該導
    電粒子の弾性率の低下温度よりも低い絶縁粒子とを混在
    して成ることを特徴とする異方性導電膜。
  2. 【請求項2】 前記絶縁粒子の粒子径は、異方性導電膜
    の膜厚の約0.7〜1倍に選ばれることを特徴とする請
    求項1記載の異方性導電膜。
  3. 【請求項3】 前記絶縁粒子のガラス転移点は、導電粒
    子のガラス転移点よりも小さいことを特徴とする請求項
    1記載の異方性導電膜。
  4. 【請求項4】 互いに対向して配置される一対の電極間
    に請求項1〜3のうちのいずれか1つの異方性導電膜を
    介在して、一対の前記電極同士が電気的に接続されるこ
    とを特徴とする電極接続構造。
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