JP2000038806A - 鉄筋同志の交叉部結束用具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】隣り合う鉄筋同志の交叉部をワンタツチ式の能
率良く、しかも安定・強固に結束できる結束用具を提供
する。 【解決手段】１本のバネ性金属線材における切り離し基
端部を横筋（Ｘ）への第１捲き掛けフック（１１）と
し、同じく切り離し先端部を横筋（Ｙ）への第２捲き掛
けバー（１５）として、上記第１捲き掛けフック（１
１）から第２捲き掛けバー（１５）に向かって順次縦筋
（Ｙ）への第１捲き掛けバー（１２）、横筋（Ｘ）への
第２捲き掛けフック（１３）並びに操作レバー（１４）
を連続的に曲成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鉄筋同志の交叉部結
束用具に関する。

【０００２】

【従来の技術】コンクリート工場や建築施工現場などに
おいて行なわれる鉄筋組立工事では、一般にバネ性を有
しない鉄線から、鉄筋同志の交叉部へ絡らみ付けやすい
長さのＵ字型に折り曲げられた結束線（所謂番線）を使
用している。

【０００３】そして、鉄筋組立作業者がその結束線を束
ねて片手に握り持つ一方、残る片手にはハッカーと称す
る縛り付け作業工具を把持し、上記結束線を１本づつ抜
き取って、鉄筋同志の交叉部へ絡らみ付けた上、これを
上記作業工具の振り廻し操作により、捻じる如く縛り上
げ固定している通例である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、これでは鉄
筋組立作業者が手袋を着用することとも相俟って、その
片手に握り持った結束線の束から、これを１本づつ正確
・円滑に抜き取ることが、非常に煩らわしく困難であ
り、その際に余分な結束線を脱落・散乱する結果になり
やすい。

【０００５】又、鉄筋組立作業者は片手を結束線の握り
持ち上自由に使えず、その制約を受けた状態のもとで、
鉄筋同志の交叉部に対する結束線の絡らみ付けや、引続
く上記作業工具の振り廻し操作による縛り上げを行なわ
なければならないので、甚だ不便であると共に重労働と
なり、その結束線による鉄筋の組立工事を能率良く遂行
することができないほか、結束状態にバラツキも生じや
すく、その結束強度と安定性に劣る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題
の改良を企図しており、そのために役立つ鉄筋同志の交
叉部結束用具として、１本のピアノ線やその他のバネ性
を発揮する金属線材から成り、その金属線材の切り離し
基端部を横筋の正面に対する掛止用の第１捲き掛けフッ
クとして屈曲させ、

【０００７】その第１捲き掛けフックの屈曲根元部から
引続き縦筋の背面に対する掛止用の第１捲き掛けバー
を、その縦筋の横断方向へ一旦約９０度だけ折り曲げ、

【０００８】その第１捲き掛けバーの折り曲げ先端部か
ら引続き横筋の正面に対する掛止用の第２捲き掛けフッ
クを、上記第１捲き掛けフックと向かい合い並列する方
向へ更に一旦約９０度だけ曲げ起し、

【０００９】その第２捲き掛けフックの曲げ起し先端部
から引続き操作レバーを、縦筋とほぼ平行な方向へ一定
長さだけ延長させて、

【００１０】その操作レバーの延長先端部から縦筋の背
面に対する掛止用の第２捲き掛けバーを、金属線材の切
り離し先端部に位置するものとして縦筋の横断方向へ約
９０度だけ折り曲げることにより、

【００１１】上記第１、２捲き掛けフックを横筋の正面
へ、上記第１捲き掛けバーを縦筋の背面へ何れも仮りに
掛止させた状態において、上記縦筋とのほぼ平行に延長
することとなる操作レバーを、その横筋に対する第２捲
き掛けフックの掛止位置を挺子運動支点として縦筋の背
面方向へ強制的に押し倒し乍ら、その縦筋から逃げる横
方向へ開き操作して、その操作手な離すことにより、上
記第２捲き掛けバーを縦筋の背面へ横断状態に掛止させ
得るように定めたことを特徴とするものである。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、図面に基いて本発明の具体
的構成を詳述すると、その本発明の結束用具は隣り合う
鉄筋同志のほぼ直交する交叉部を結束するためのものと
して、１本のピアノ線やその他のバネ性を発揮する金属
線材から、図１、２のような全体形状に屈曲されてい
る。

【００１３】即ち、上記結束用具とその使用状態を示し
た図１〜５において、（１１）はバネ性金属線材の切り
離し基端部をなす横筋（隣り合う一方の鉄筋）（Ｘ）へ
の第１捲き掛けフックであって、その横筋（Ｘ）の円弧
外周面にフィットし得る側面視のアーチ型に屈曲されて
おり、図３〜５から明白なように、上記横筋（Ｘ）へ正
面から掛止される。

【００１４】（１２）は上記第１捲き掛けフック（１
１）の屈曲根元部（下端部）から連続して、縦筋（隣り
合う他方の鉄筋）（Ｙ）の背面を横断する方向（上記横
筋（Ｘ）とほぼ平行する方向）へ、一旦約９０度（α）
だけ折り曲げられた縦筋（Ｙ）への第１捲き掛けバーで
あり、その縦筋（Ｙ）の円弧外周面へフィットし得る平
・底面視のアーチ型に屈曲している。

【００１５】そして、この第１捲き掛けバー（１２）は
やはり図３〜５から明白なように、縦筋（Ｙ）へ背面か
ら掛止され、その縦筋（Ｙ）を抱持する状態となる。
（Ｗ）は上記第１捲き掛けバー（１２）の作用長さを示
しており、縦筋（Ｙ）の太さとほぼ対応する寸法であ
る。

【００１６】又、（１３）は第１捲き掛けバー（１２）
の折り曲げ先端部から連続して、上記切り離し基端部の
第１捲き掛けフック（１１）と向かい合い並列する方向
へ、更に一旦約９０度（β）だけ曲げ起された横筋
（Ｘ）への第２捲き掛けフックであり、これは上記第１
捲き掛けフック（１１）とほぼ対応する側面視のアーチ
型をなし、横筋（Ｘ）へやはり正面から掛止される。

【００１７】つまり、上記作用長さ（Ｗ）の第１捲き掛
けバー（１２）を介して、互いに向かい合い並列する第
１、２捲き掛けフック（１１）（１３）の一対が、縦筋
（Ｙ）を挟んだ拘束状態のもとで、横筋（Ｘ）へ正面か
ら重畳的に掛止されるようになっており、これによって
縦筋（Ｙ）と横筋（Ｘ）とを振れ止め状態に固定維持す
る。

【００１８】（１４）は上記第２捲き掛けフック（１
３）の曲げ起し先端部から更に連続して、縦筋（Ｙ）と
ほぼ平行な方向へ延長された一定作用長さ（Ｌ）の操作
レバーであり、その延長先端部からは縦筋（Ｙ）への第
２捲き掛けバー（１５）が、その縦筋（Ｙ）の背面を横
断し得る方向へ約９０度（γ）だけ折り曲げられてい
る。

【００１９】この第２捲き掛けバー（１５）は上記第１
捲き掛けバー（１２）とほぼ対応する平・底面視のアー
チ型やＶ字型に屈曲しており、縦筋（Ｙ）へ背面から弾
圧状態に掛止される。この縦筋（Ｙ）への第２捲き掛け
バー（１５）が、上記バネ性金属線材の切り離し先端部
をなすことは言うまでもない。（１６）は上記第２捲き
掛けフック（１３）と操作レバー（１４）との段付き境
界部を示している。

【００２０】このような結束用具を使用して、隣り合う
縦筋（Ｙ）と横筋（Ｘ）との交叉部を結束作業するに当
っては、先ず図６に示す如く、そのバネ性金属線材の切
り離し基端部をなす第１捲き掛けフック（１１）と、こ
れと向かい合う第２捲き掛けフック（１３）とを横筋
（Ｘ）へ正面から仮りに掛止させると共に、第１捲き掛
けバー（１２）を縦筋（Ｙ）の背面へ抱持状態に横断さ
せる。

【００２１】その状態では正面から見た場合に、上記第
１捲き掛けフック（１１）とほぼ平行な操作レバー（１
４）が、横筋（Ｘ）とほぼ直交する言わばフリーな状態
にある。

【００２２】そこで、次に上記操作レバー（１４）を図
７から示唆される如く、縦筋（Ｙ）の背面方向へ強制的
に押し倒し乍ら、その金属線材の切り離し先端部を縦筋
（Ｙ）から逃げる横方向へ開くことにより、その先端部
の第２捲き掛けバー（１５）を縦筋（Ｙ）の背面へ横断
させた上、その操作手を離すのである。

【００２３】そうすれば、図３〜５のように上記第１、
２捲き掛けフック（１１）（１３）の一対が横筋（Ｘ）
の正面から、又上記第１捲き掛けバー（１２）が縦筋
（Ｙ）の背面から何れも完全に掛止して、その交叉部を
強固な結束状態に施錠する一方、上記操作レバー（１
４）の延長先端部に位置する第２捲き掛けバー（１５）
が、縦筋（Ｙ）の背面へ弾圧的な抱持状態に掛止する結
果となる。

【００２４】上記結束作業過程では、操作レバー（１
４）が横筋（Ｘ）に対する第２捲き掛けフック（１３）
の掛止位置を支点（Ｐ）として挺子運動し、その延長先
端部の第２捲き掛けバー（１５）が金属線材のバネ力に
抗して、縦筋（Ｙ）の背面へ掛止されることになるた
め、その縦筋（Ｙ）と横筋（Ｘ）との交叉部を安定・強
固な縛り付け状態に結束することができ、振動や衝撃な
どの外力を受けるも、その結束用具の脱落するおそれが
ないことは勿論、縦筋（Ｙ）と横筋（Ｘ）との振れ動く
おそれもない。

【００２５】その場合、上記交叉部の固定強度は操作レ
バー（１４）の挺子運動する作用長さと、金属線材の太
さとの相関々係を考慮して、適当に調整することができ
る。但し、その金属線材の太さとしては上記鉄筋（Ｘ）
（Ｙ）における横節（ａ）の隣り合う相互間隙よりも、
狭小寸法に設定することが好ましい。その横節（ａ）に
より、結束用具の滑り止め効果を得られるからである。
（ｂ）は同じく鉄筋（Ｘ）（Ｙ）の縦節を示している。

【００２６】尚、先にはコンクリート壁版の骨組として
隣り合う縦筋（Ｙ）と横筋（Ｘ）との交叉部に適用した
結束用具を説示したが、コンクリート床版の骨組として
水平状態での交叉する鉄筋（Ｘ）（Ｙ）についても、そ
の結束用具を上記と同じ作業順序のもとに、支障なく使
うことができることは言うまでもない。

【００２７】

【発明の効果】以上のように、本発明は隣り合う鉄筋
（Ｘ）（Ｙ）同志の交叉部結束用具として、１本のピア
ノ線やその他のバネ性を発揮する金属線材から成り、そ
の金属線材の切り離し基端部を横筋（Ｘ）の正面に対す
る掛止用の第１捲き掛けフック（１１）として屈曲さ
せ、

【００２８】その第１捲き掛けフック（１１）の屈曲根
元部から引続き縦筋（Ｙ）の背面に対する掛止用の第１
捲き掛けバー（１２）を、その縦筋（Ｙ）の横断方向へ
一旦約９０度（α）だけ折り曲げ、

【００２９】その第１捲き掛けバー（１２）の折り曲げ
先端部から引続き横筋（Ｘ）の正面に対する掛止用の第
２捲き掛けフック（１３）を、上記第１捲き掛けフック
（１１）と向かい合い並列する方向へ更に一旦約９０度
（β）だけ曲げ起し、

【００３０】その第２捲き掛けフック（１３）の曲げ起
し先端部から引続き操作レバー（１４）を、縦筋（Ｙ）
とほぼ平行な方向へ一定長さ（Ｌ）だけ延長させて、

【００３１】その操作レバー（１４）の延長先端部から
縦筋（Ｙ）の背面に対する掛止用の第２捲き掛けバー
（１５）を、金属線材の切り離し先端部に位置するもの
として縦筋（Ｙ）の横断方向へ約９０度（γ）だけ折り
曲げることにより、

【００３２】上記第１、２捲き掛けフック（１１）（１
３）を横筋（Ｘ）の正面へ、上記第１捲き掛けバー（１
２）を縦筋（Ｙ）の背面へ何れも仮りに掛止させた状態
において、上記縦筋（Ｙ）とのほぼ平行に延長すること
となる操作レバー（１４）を、その横筋（Ｘ）に対する
第２捲き掛けフック（１３）の掛止位置を挺子運動支点
（Ｐ）として縦筋（Ｙ）の背面方向へ強制的に押し倒し
乍ら、その縦筋（Ｙ）から逃げる横方向へ開き操作し
て、その操作手な離すことにより、上記第２捲き掛けバ
ー（１５）を縦筋（Ｙ）の背面へ横断状態に掛止させ得
るように定めてある構成のため、誰でも縦筋（Ｙ）と横
筋（Ｘ）との交叉部をワンタツチ式の能率良く結束作業
することができ、それにも拘らず常に安定・強固な結束
状態を得られるのであり、冒頭に述べた従来技術の課題
が確実に改良されることとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る結束用具の正面図である。

【図２】図１の斜面図である。

【図３】本発明に係る結束用具の使用状態を示す正面図
である。

【図４】図３の４−４線に沿う断面図である。

【図５】図３の５−５線に沿う断面図である。

【図６】本発明の使用による結束作業過程を示す斜面図
である。

【図７】同じく結束作業の完了状態を示す斜面図であ
る。

【符号の説明】

（１１）・第１捲き掛けフック （１２）・第１捲き掛けバー （１３）・第２捲き掛けフック （１４）・操作レバー （１５）・第２捲き掛けバー （Ｐ）・挺子運動支点 （Ｘ）・横筋 （Ｙ）・縦筋 （α）（β）（γ）・折り曲げ角度

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】１本のピアノ線やその他のバネ性を発揮す
   る金属線材から成り、その金属線材の切り離し基端部を
   横筋（Ｘ）の正面に対する掛止用の第１捲き掛けフック
   （１１）として屈曲させ、 その第１捲き掛けフック（１１）の屈曲根元部から引続
   き縦筋（Ｙ）の背面に対する掛止用の第１捲き掛けバー
   （１２）を、その縦筋（Ｙ）の横断方向へ一旦約９０度
   （α）だけ折り曲げ、 その第１捲き掛けバー（１２）の折り曲げ先端部から引
   続き横筋（Ｘ）の正面に対する掛止用の第２捲き掛けフ
   ック（１３）を、上記第１捲き掛けフック（１１）と向
   かい合い並列する方向へ更に一旦約９０度（β）だけ曲
   げ起し、 その第２捲き掛けフック（１３）の曲げ起し先端部から
   引続き操作レバー（１４）を、縦筋（Ｙ）とほぼ平行な
   方向へ一定長さ（Ｌ）だけ延長させて、 その操作レバー（１４）の延長先端部から縦筋（Ｙ）の
   背面に対する掛止用の第２捲き掛けバー（１５）を、金
   属線材の切り離し先端部に位置するものとして縦筋
   （Ｙ）の横断方向へ約９０度（γ）だけ折り曲げること
   により、 上記第１、２捲き掛けフック（１１）（１３）を横筋
   （Ｘ）の正面へ、上記第１捲き掛けバー（１２）を縦筋
   （Ｙ）の背面へ何れも仮りに掛止させた状態において、
   上記縦筋（Ｙ）とのほぼ平行に延長することとなる操作
   レバー（１４）を、その横筋（Ｘ）に対する第２捲き掛
   けフック（１３）の掛止位置を挺子運動支点（Ｐ）とし
   て縦筋（Ｙ）の背面方向へ強制的に押し倒し乍ら、その
   縦筋（Ｙ）から逃げる横方向へ開き操作して、その操作
   手な離すことにより、上記第２捲き掛けバー（１５）を
   縦筋（Ｙ）の背面へ横断状態に掛止させ得るように定め
   たことを特徴とする鉄筋同志の交叉部結束用具。