JP2000037961A - 多層インクリボン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多階調カラー画像上に金色等のインクによる
２値記録可能なプリンタに用いるインクリボンであっ
て、インクリボンの交換を不必要とし、コストアップを
招くことなく、印刷に時間がかからないカラー印刷が可
能なインクリボンを得る。 【解決手段】 薄膜フィルム１−１上に設けた融点の高
い２値記録用の特色インクからなる第一塗布層１−２
と、この第一塗布層１−２上に設けた融点の低い多階調
記録用のインクからなる第二塗布層１−３からなるイン
クリボン１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、熱転写印刷により
カラー印刷を行う熱転写印刷装置に用いるインクリボン
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、サーマルヘッドの発熱エネル
ギーを利用して熱転写印刷により多階調のカラー印刷を
行った後、金色や銀色等の特色インクで更に２値の印刷
を行う熱転写印刷装置が知られている。図２は、このよ
うな従来の熱転写印刷装置に用いるインクリボンの一例
を示す概略図である。図２に於いて、インクリボンＡは
薄膜フィルム１−１上に、例えば金色の特色インク層１
−２を単色塗布したインクリボンであり、インクリボン
Bはイエロー、マゼンタ、シアン等の複数色のインク層
１−３を薄膜フィルム１−１上に塗布したインクリボン
の例である。

【０００３】印刷方法としては、まずインクリボンＢを
用いて多階調のカラー印刷を行い、次にインクリボンを
インクリボンＢからインクリボンＡに交換して例えば金
色の特色インクによる印刷を行う。このインクリボンＡ
は、薄膜フィルム１−１上にバインダーを塗布した後、
例えば金色の金属を蒸着して作られるのが一般的であ
る。従って、同一薄膜フィルム上にイエロー、マゼン
タ、シアン等の通常インクと特色インクとをパターン化
して形成することは困難であるため、イエロー、マゼン
タ、シアン等のインクをパターン化して塗布したインク
リボンＢと、特色インクを単色で塗布したインクリボン
Ａとを交換して印刷している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来は、
特色インクを用いた熱転写印刷を行おうとするとインク
リボンを交換しなければならなかった。また、インクリ
ボンの交換に際し、記録紙も印刷装置内に記録状態で停
止させておく必要があるため、制御が煩雑になり、印刷
に時間がかかり、インクリボンも複数用意しなければな
らずコストアップの要因となる、などの問題点があっ
た。

【０００５】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、インクリボンの交換を不必要
とし、コストアップを招くことなく、印刷に時間がかか
らない特色インクを用いたカラー印刷が可能なインクリ
ボンを得ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に
鑑みなされたものであり、請求項１に係る発明は、「転
写温度の高い第１のインクを薄膜フィルム上に塗布し、
該第１のインク上に転写温度の低い第２のインクを部分
的に重ねて塗布したことを特徴とする多層インクリボ
ン。」を提供するものであり、

【０００７】請求項２に係る発明は、「該第１のインク
は２値記録に用いるべき単色のインクであり該第２のイ
ンクは多階調記録に用いるべき複数色のインクであるこ
とを特徴とする請求項１記載の多層インクリボン。」を
提供するものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の実施の形態に係
るインクリボンの構成を示す斜視図である。同図に示す
ように、本発明の多層インクリボン１は、ＰＥＴ等の薄
膜フィルム１−１上に塗布した２値記録用の特色インク
からなる第一塗布層１−２と、この第一塗布層１−２上
に部分的に塗布した多階調記録要用の複数色のインクか
らなる第二塗布層１−３から構成されている。

【０００９】特色インクがメタリック調の場合、金・銀
・アルミ等の金属が蒸着により第一塗布層１−２として
薄膜フィルム１−１上に全面に亘って設けられている。
そして、この第一塗布層１−２上にイエロー、マゼン
タ、シアンの各色のインクが第二塗布層１−３として面
順次に設けられている。ここで、第二塗布層１−３は、
図１に示すように、イエロー、マゼンタ、シアン各色の
インクリボン長手方向の寸法と略同じだけの長さに亘っ
て第一塗布層１−２を露出させるように設けられてい
る。なお、第二塗布層１−３に用いる熱転写用インクと
しては昇華性インクと溶融性インクの二種類が採用可能
である。

【００１０】ここで、インクリボン１の第一塗布層１−
２に塗布されたインクの融点は、第二塗布層１−３に塗
布されたインクの融点又は昇華点よりも高く設定され
る。このように、第二塗布層１−３のインクの融点又は
昇華点を第一塗布層１−２の融点より低く設定すること
により、まず、第二塗布層のイエロー、マゼンタ、シア
ンのインクをサーマルヘッドで加熱溶融又は昇華して記
録紙に転写して多階調のカラー印刷を行った後、第一塗
布層１−２の特色インクを第二塗布層１−３の時よりも
高い温度を加えて転写することにより、多階調のカラー
印刷の上から特色インクの２値の印刷を行うことが可能
となる。

【００１１】第二塗布層１−３として溶融性インクを用
いる場合、インクの融点を７０℃付近とし、第一塗布層
１−２の特色インクの融点を９０℃付近とすれば生産も
容易で、実用的である。このような多層インクリボン１
の製造方法例としては、まず薄膜フィルム１−１の上に
９０℃付近で溶融する透明バインダーを塗布する。次
に、特色インクとして例えば金を蒸着により透明バイン
ダーの上に付着させる。最後に、イエロー、マゼンタ、
シアンのインクを７０℃付近で溶融するバインダーとそ
れぞれ混合してパターン化して複数色塗布する。特色イ
ンクが露出している箇所は７０〜９０℃で溶融する透明
なバインダーを塗布するようにしてもよい。これにより
インクリボン１の平滑化を図ることができる。

【００１２】また、ここで用いる所定の融点を有するバ
インダーは、木ろう、密ろう等の天然ワックス；パラフ
ィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油
系ワックス；酸化ワックス、エステルワックス、低分子
ポリエチレン等の合成ワックス；ミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸；ステアリルアル
コール、ドコサノール等の高級脂肪族アルコール；高級
脂肪酸モノグリセリド、ショ糖の脂肪酸エステル等のエ
ステル類；ステアリン酸アミド、オレイルアミド等のア
ミド類等を１種または２種以上組み合わせることにより
実現することができる。

【００１３】第二塗布層１−３として昇華性インクを用
いる場合、昇華生インクの昇華点は約１２０℃〜２００
℃と範囲が広く高いので、第一塗布層１−２に用いる特
色インクの融点もこれに合わせて２００℃以上と高くす
ればよい。

【００１４】以上説明したように、本発明の多層インク
リボン１を用いた熱転写装置では、まず、記録紙に第二
塗布層１−３のインクを第一塗布層１−２の特色インク
の融点以下で加熱溶融又は昇華して転写することにより
多階調のカラー画像を印刷し、次に、印刷された多階調
のカラー画像の上に第一塗布層１−２の特色インクをそ
の融点以上に加熱溶融して転写することにより２値の印
刷を行う。

【００１５】特色インクは、加熱溶融した後、すぐにイ
ンクリボンから引き剥がそうとしても、インクリボンと
の付着力が強く剥がれにくい性質を持っている。第二塗
布層１−３の多階調記録用インクとして溶融性インクを
用いる場合、この性質を利用して、第二塗布層１−３の
多階調記録用インクを記録紙に転写してインクリボン１
から引き剥がすタイミングを、加熱溶融し冷却される前
の熱時剥離とし、特色インクの引き剥がすタイミング
を、冷却された後の冷時剥離となるように熱転写装置で
制御することにより、多階調記録用のインクの記録紙へ
の転写時に特色インクが同時に転写しないようにするこ
とができ、良好な転写画像が得られる。

【００１６】

【発明の効果】以上のように本発明に係るインクリボン
によれば、特色インクを含めたカラー印刷が、一種類の
インクリボンですむため、廉価で、迅速且つ手間の掛か
らない印刷を実現出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るインクリボンの実施の形態を示す
斜視図である。

【図２】従来のインクリボンの構成を示す斜視図であ
る。

【符号の説明】

１ インクリボン １−１ 薄膜フィルム １−２ 第一塗布層 １−３ 第二塗布層

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】転写温度の高い第１のインクを薄膜フィル
   ム上に塗布し、該第１のインク上に転写温度の低い第２
   のインクを部分的に重ねて塗布したことを特徴とする多
   層インクリボン。
2. 【請求項２】該第１のインクは２値記録に用いるべき単
   色のインクであり該第２のインクは多階調記録に用いる
   べき複数色のインクであることを特徴とする請求項１記
   載の多層インクリボン。